こんにちは!
往診専門獣医師の江本です。
今回は外に遊びに行ったら怪我をして帰ってきた猫ちゃんのお話です。
にゃんぽは危険(東京千代田区)
症例は東京千代田区在住、12歳で元気な猫のモンちゃんです。
普段から外に出かけるタイプの猫ちゃんで(本当はダメです)、1週間前に帰宅すると外傷を負っていて、食欲が下がってしまったので、家での皮下点滴をしてほしいとのご依頼で往診をさせて頂きました。
お家にお伺いすると、モンちゃんはテーブル下で、シャーっと怒っており、不機嫌さが伝わってきたので、ごめんね、と謝りつつ、別のお部屋でご家族様から詳しくお話をお伺いすることにしました。
モンちゃんは、普段からその性格ゆえに、抱っこをしたり、キャリーに入れることができず、通院するのも一苦労で、以前は満を辞して頑張ることができたそうなのですが、飼い主様としても、嫌がるモンちゃんを無理やりキャリーに入れて動物病院に連れて行き、抵抗する中での治療をすることに精神的に疲弊してしまい、お家で治療を出来ないか探して頂いたところ、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室を見つけてご連絡して頂いたとのことでした。
通院で処置してもらって帰宅すると、ずっとシャーシャー言っていて、家の隅っこに隠れたまま出てこないようになってしまうような感じで、投薬どころか全く食べ物に興味を示さず、ご飯を食べてくれないため、投薬もできないとのことでした。何とかご飯を食べられるようになると内服薬にすることができるので、頑張って食べてくれるようになるまで、食べてくれることを願って、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室のスタッフで治療をさせて頂くことになりました。
往診でも、通常の動物病院と同様に、検査や処置をする間は多少ながらもストレスを与えていますのは事実です。
しかし、通院と往診の大きな違いは、『すぐに好きな場所に逃げられる』ということです。猫ちゃんは環境に懐く生き物であるということもあり、安心できる環境でさっと処置を済ませて解放してあげることで、ストレスのかかっている時間をより少なくすることを図ります。
さぁ、いよいよ検査開始です!
検査開始
まずは食べない原因を調べるために、動物病院にて行なっていた血液検査の結果を見せて頂くことにしました。
血液検査ではたしかに大きな異常値はなく、電解質バランスも正常でした。
つぎに、実際にモンちゃんを触って、身体検査です。
モンちゃんのいるお部屋に行くと、再びシャーっとお怒り気味でしたが、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室のスタッフは慣れっこです。
モンちゃんをバスタオルに包んで出てきてもらい、全身を触って身体検査を行なっていきました。
すると、通常はお腹に聴診器を当てると、消化管が蠕動する音、いわゆる、ギュルギュルというお腹の音が聞こえるのですが、モンちゃんの場合それが聞こえず、お腹の動きが良くないことが考えられました。
そこで、実際にどれぐらい動いていないのかを超音波検査で見てみることにしました。
食べない以外は元気そうなモンちゃん、とても嫌そうでしたが、何とか実施することができました。
たしかに、胃の中や十二指腸まで液体が溜まっているような状態で、消化管の動きも全体的にあまり蠕動運動していない様子でした。
そのため、消化管が動くようになると、今溜まっている液体が流れていき、食べられるようになることが予測できましたので、消化管を動かすお薬を使っていくことにしました。
とりあえず現時点では脱水はしていないようでしたので、注射で消化管を動かすお薬のみ使用し、拘束時間を短くしてモンちゃんのストレスを最小限にすることにしました。
しかし、このお薬は効果時間が長くはないため、お家でご家族様にあと2回、注射して頂くこととし、その日の診察は終了としました。
次の日、もう一度お伺いすると、ご家族様は無事に注射が出来たとのことで安心しました。また、少し缶詰を温めて置いておくと、今朝は匂いを嗅ぎに行っていたとのことで、少し消化管が動き始めた感じがしたので、もう一度超音波にて胃の中を確認しました。
すると昨日よりも明らかに液体貯留は減っており、腸も少し蠕動運動をし始めていました。
治療が好感触でしたので、引き続き、モンちゃんには点滴ではなく、お薬のみ注射を頑張ってもらい、ご家族様にも注射を頑張ってもらいました。
その次の日には、モンちゃんは少しスープとスープの具を食べてくれていました。
この調子だと内服薬への切り替えももうすぐ出来そうとおはなしをさせて頂いたところ、ご家族様も喜ばれていて、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室のスタッフも安心しました。
その後、モンちゃんは無事に内服薬への切り替えもできて、今ではしっかりとご飯もいつも通り食べてくれています。
猫ちゃんの性格によっては、動物病院に連れて行くこと自体が難しくなってしまうケースもたくさんあります。
そういった場合には、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室にご相談ください。
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