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犬猫の往診を知る(初めての方向け)の最近のブログ記事

かかりつけの動物病院で、最初から最後まで診てもらいたいと希望されるご家族様はたくさんいます。

 

ただ、なかなかこの希望が叶うのは珍しいと考えています。。。

 

それは、ご家族様が求める「医療内容」と、動物病院が提供できる「医療サービス」に、ステージごとで徐々に違いが出るからです。

 

今回は、どんな違い(ズレ)が、ご家族様と動物病院、獣医師の間で起こるのかを書かせていただき、ペットが終末期に差し掛かった時に、往診切替という選択肢を選ぶタイミングはいつなのか、についてお話しさせていただきます。

 

最後まで通院で行くと考えているご家族様でも、犬猫のライフステージごとに考えなければいけないことを書かせていただきましたので、是非参考のためにも、ご一読いただければと思います^^

 

【かかりつけ動物病院=家から近いところ】

家から近い.png

 

SNSが普及しているため、単純に家から近いからと選ばれるご家族様は減少傾向にありますが、それでも通院距離は動物病院選びの優先事項に位置しています。

 

パピー期、キトン期では特にこの傾向が強く、健康診断やワクチン接種、健康診断や日常ケアといった内容だけで完結する時期は、『家から近い』ため、その動物病院をかかりつけにされています。

 

時間が経つのは早く、なんとなく体調が悪そうな日が増えてきた頃、動物病院選びは次のステージに入っていきます。

 

【かかりつけ動物病院=口コミがいい】

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家から近いという利便性を捨ててまで遠くにある動物病院に行く理由は、その動物病院が何かに優れているからです。

 

もちろん、知人や友人からの紹介というケースもありますが、紹介先として名前が挙がるような動物病院であれば、きっと信頼を置ける動物病院だと思います。

 

ただ、口コミがいい動物病院の多くが、「名医」という雰囲気を醸し出していますが、そんなことはないです。

 

飼い主様から支持されている本当の理由は、意外と別のところにあるかもしれません。

 

人気の理由①:人当たりがいい動物病院

人間の病院でも同じかもしれませんが、もちろん治療技術や実績に富んでいる場合もありますが、中には人当たりのいい先生であり、よく話を聞いてくれるという長所が口コミの高評価につながっていることもあります。

 

待ち時間が長いのは人気のある証拠ですが、ある程度の規模の動物病院であれば、昨今の予約システムの普及によって、昔みたいに何時間も待たされたなどの長時間の待合室トラブルは少なくなっているように思われます。

 

ただ、飛び込みですぐに診てもらいたい場合には、予約システムがしっかりしている動物病院では融通が効かないこともあるので、注意しましょう。

 

人気の動物病院であれば、ある程度の待ち時間は許容し、もしかしたら検査が入る可能性もあるので、丸1日通院のために空けておくくらいの時間配分を心がけたほうがいいです。

 

人気の理由②:設備システムの豊富さ

とはいえ、人気があっていい先生でも、動物病院のほとんどが小規模であるため、24時間診療をやりたいけどできないのが現状です。

 

朝診ていたペットが夜に急変し、夜通しその対応をした場合、翌朝に待機しているペットの診療が厳かになってしまうという、負のスパイラルが起きてしまうため、多くの動物病院が夜は診療をしていません。

 

獣医師も人間なため、最初は精神が肉体を凌駕するということもありましたが、そんな無理は長くは続かず、判断能力が下がってしまっては本末転倒なため、苦渋の決断として、夜は受け付けないのがほとんどです。

 

中には、再診のみで夜間救急を受け付けている動物病院もありますが、できれば夜間は夜間救急に飛び込めるように、ご家族様自身で、現状の既往歴、処置や処方内容など、初めて診てもらう動物病院でも情報が伝わるような準備をしておきます。

 

大病院.png

 

これら以外にもまだまだありますが、大体こんなところだと思います。

 

いよいよ大きな病気を患う頃になると、今度はこのまま通院し続けのか、往診に切り替えるべきかで悩む時期がやってきます。

 

【往診切り替えのタイミング】

往診切り替えのタイミングは、「治療が見込めないと判断された時」と、セミナーなどではお伝えしています。

 

この「治療が見込めない」には2つの意味があります。

・医学的に、すでに治療不可な状態

・負担を考えると攻めた治療ではなく緩和的な処置のみを希望したいとした状態

・通院させること自体が環境的に難しい状態

・通院させられないくらい弱ってしまった状態

 

例えば以下のような事例があります。

 

■猫、18歳、慢性腎臓病で毎日の内服、週数回の皮下点滴で通院している。定期検診は月1回くらいだが、通院自体がストレスになってしまい、もう通院ではなく在宅に切り替えたい。

疲れた猫.jpg

 

■犬/猫、腫瘍(がん)で抗がん剤など攻めた治療はしたくない。できる限り負担なく、家でゆっくり過ごさせてあげたい。

 

■大型犬で歩行が難しくなり、車に乗せるのも難しいため、往診で診てもらいたい。

図1.png

 

このように、医学的な側面だけでなく、環境的な側面、犬猫の性格などを加味して考えていくと、いつまで通院を選ぶのかが決まっていきます。

 

最後まで通院で行くという選択も一つですし、もう通院が難しいと判断し、往診に切り替えるのもまた一つです。

 

【わんにゃん保健室の往診(在宅医療)】

当院が提供している診療は、終末期と言われる、余命を見据えた最後の医療を、ご自宅で最後まで提供していく、終末期ケア特化型の在宅医療です。

 

当院の往診では、初診時に2時間枠を設けてじっくりとお話をお伺いさせていただき、ご家族様が何を不安に感じていて、何をしてあげたいのか、また、現実問題として何ができるのか、などをご相談させていただきます。

 

内服薬が飲めない性格の犬猫に対しては、内服ではなく注射薬処方プランをご提案したり、実際に看病にあたる方の日常のスケジュールを伺うことで、投薬プランが決められたりなど、リアルな生活環境を加味しながらのプランニングをしていきます。

 

往診を選ぶにしても、獣医師1人でくる簡易的な往診を希望されるか、当院のように体制を整えた往診を希望されるかなどで、在宅での検査プランや治療プランも変わってくるかと思います。

 

まずは、ご自宅まで来てくれる往診を調べておくことから始めましょう。

 

その上で、いつまで通院で、どこからの在宅切り替えがおすすめなのか、かかりつけの獣医師とご相談しておくことを覚えておきましょう!

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犬猫の往診専門動物病院
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ご紹介【わんちゃんホンポ】

「わんちゃんホンポ」というwebサイトを見たことはありますか?

 

わんにゃんとの生活に特化したもので、ペットライフに関する情報サイトです。

 

アプリも作られているので、使い勝手も良さそうです^^

 

犬を飼うための知識やしつけ、お手入れ、仕草でわかる気持ちなどが掲載されています。

 

・しつけの仕方
・散歩の仕方
・グッズ紹介
・どの犬種が合っているのか
・留守番のさせ方
・老犬との生活
・日常ケア

 

こんなカテゴリがありました^^

 

カテゴリも幅広く、情報も豊富ですね。

 

当院が監修しているわけではないのですが、いろいろな獣医師が記事監修をしていることもあり、しっかりとしたサイトになっている印象です。

 

犬の病気の情報、食べてはいけないものなど、様々な記事が出ていますので、お時間のある時に是非立ち寄ってみてください^^

>「わんちゃんホンポ」ウェブサイトはこちら

往診専門動物病院の存在を知ってもらう上で大切なことは、「一体何ができるのか」ですよね。

 

当院は犬猫の往診専門動物病院なため、今回は犬猫を専門とする往診(当院)と通常の動物病院を比較しながらお話しさせていただきます。

 

通常の動物病院をどう標準化してお話しするかですが、小規模の動物病院(獣医師1人、動物看護師2〜4人、血液検査機器、X線検査機器、超音波検査機器まで)を比較対象としていきます。

 

ちなみに、内視鏡を保有している動物病院は一般的ではないので、かかりつけの動物病院で内視鏡対応ができなければ、できる病院がどこにあるのか獣医師に事前確認しておきましょう。

 

万が一誤食してしまった場合、胃腸切開ではなく、内視鏡が備わっていれば、内視鏡下による摘出が選択肢に生まれてくるかもしれません^^

 

では、比較していきましょう。

 

【人数規模】

スタッフ数の差はないです。(※往診専門動物病院わんにゃん保健室の場合のみ)

 

当院の場合、獣医師(私)が1人、愛玩動物看護師が3人、動物ケアスタッフが1人の計5人体制ですので、今回比較する動物病院の規模と比較してもほぼほぼ一緒です。

 

ただ、通常の往診専門動物病院では、獣医師1人で運営しているところが大多数を占めていますので、当院がむしろ特殊なのかもしれません。

 

どんな診察においても、常に万が一の事態が起きることを想定していなければいけません。

 

その時のことを考えれば、ある程度のスタッフ人数規模が安全性の指標にもつながると、私個人としては強く考えています。

 

外回りと言われる、フリーな状態で臨機応変に動けるスタッフが1人、その場にいられるかどうかで、緊急時の初動速度に大きな差が生まれてきます。

 

もちろん熟練度は必須ですが、そこは外部からでは見ることができないため、比較しようがないため、客観的な数字だけで、まずは評価していきましょう。

 

 

【保定技術】

保定技術は、求められる能力によって異なりますが、基本的に相違ないです。

 

獣医師も保定に参加しますが、基本は補助スタッフである愛玩動物看護師にお願いすることが多く、彼らの保定能力は専門技術と言えるくらい高度なものです。

 

押さえ方一つで犬猫を興奮させてしまったり、不安にさせてしまったり、痛い思いをさせてしまったり...

 

そして、状態の悪い犬猫の保定はさらに難易度が高く、採血の保定一つをとっても、血圧も低く血管も細く潰れやすくなってしまった老体に対して、ゆっくりと十分量を採取するため、数分間全く動かさないくらいの覚悟ある保定が必要です。

 

令和5年4月1日に、動物看護師さんの資格が国家資格化したこともあり、ようやくこの専門的な能力を理解していただけるような社会になったんだなと思っています。

 

保定をご家族様にお願いすることは基本的にはないのですが、お母さん、お父さん抱っこの方が落ち着いて診察させてくれる場合もありますので、その際にはお声かけさせていただきます。

 

その場合にも、ご家族様の隣には必ず動物看護師が付きますので、安心して取り組んでいただけますので、一緒に頑張っていきましょう。

 

【問診】

往診は、飼い主様の声をヒアリングする問診に、特に力を入れています。

 

通常の動物病院では、初診時問診であって15分程度であることに対し、往診では1時間以上かけて、今までの経緯の全てをお伺いさせていただきます。

 

過去の検査結果がお手元にあれば、参考資料として、その場で見させていただきます。

 

当院の往診は、特にターミナルケアという終末期の医療としてご依頼いただくことが多いため、今までどんなことがあって、その時何をして、どうなったのか、その時どう感じたのかなど、時系列に沿ってできるだけ多くの情報をヒアリングさせていただき、今何ができるのかを考えていきます。

 

ご家族様のお話を最後まで伺い、やってあげたいことは何なのか、誰がそれをできるのか、現実問題実施可能なのか、などなどを一緒に考えていきます。

 

とはいうものの、緩和ケアやターミナルケアではなく、単純な処置のみでのお伺いを希望されることもありますので、状況次第で変化させていきます。

 

【検査】

大きな違いで言えば、X線検査と内視鏡検査は施設がある通常の動物病院でなければ実施できません。血液検査、尿検査、便検査など、その場に大型医療機器がなければ実施不可能ではない検査の多くは実施可能です。

検査結果はその場で出るものもあれば、持ち帰って検査結果を得られるものもあり、その場で結果を見て急ぎ方針を立てなければいけない病態を急性期といいますが、急性期であれば往診を待つのではなく、入院覚悟で急いで通院させましょう。

 

【処置と処方】

処方できる医薬品は動物病院の方針に依存しているため差はなく、全身麻酔をかけた処置を除いた内容では、できることに大きな差はないです。ただ、あえて書かせていただきたい大きな違い、それが「リスク」です。

 

万が一の時に挿管して人工呼吸器に繋ぐという一連の動作は、動物病院で設備が整っていなければいけません。

 

往診でのリスク説明が必須となってくると考えられる処置に、胸水抜去があります。

 

胸水抜去は、肋間に針を刺して胸腔から貯留してしまった液体を抜去してあげるのですが、肋間を針が通過する時に強い痛みがあり、ペットが大きく動いてしまうことが想定されます。

 

また、この状態の犬猫では呼吸状態が悪いことが予想されるため、当院では酸素環境を整え、信頼できる動物看護師を2人以上揃えてから、胸水抜去に挑んでおります。

 

万が一ペットが動いてしまって、肺を切ってしまうようなことが起こらないよう、準備できるものは万全にしておくことで、往診専門動物病院として7年目となる2023年現在においても、安全に胸水抜去が行えております。

 

まとめ

今回は、往診専門動物病院と小規模の動物病院とを比較して、往診専門動物病院とは一体どんなものなのかを説明させていただきました。

 

とどのつまり、ご家族様が動物病院選びをするときに必要なことは、外からしか判断ができないことを考えると、まずは医療設備がどんなものがあるのか、スタッフ体制や人数、といったことを病院のwebページで確認しましょう。

 

先生の力量は私たちから見てもわからないため、そこを判断基準に入れて考えると、きっと迷走してしまうと思われます。

 

治療を求めるのであれば通院、緩和を求めるのであれば往診。

 

診断を求めるのであれば検査が必要で、X線検査を含めた検査を希望するならば通院、猫の腎臓病などで血液検査と尿検査が必要なだけであれば、往診で十分対応可能です。

 

ペットの性格を加味して、診療形態を通院にするか、往診にするかを選んであげましょう。

 

まだまだ書き足りないことが山ほどあるので、これからもどんどん描いていきますので、お楽しみ^^

 

前回のブログ

往診専門動物病院を知る①(往診の現状と保定は専門技術ということ)

 

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当院の往診は、一過性の症状に対する治療にも対応しております。

在宅医療特化型の犬猫往診を東京23区を中心に近隣地区までお伺いし、慢性疾患に対する検査-処方コントロール、および緩和ケアと看取りまでのターミナルケアに対しては、専門的に取り組んでおります。

わんちゃん、猫ちゃんの在宅医療でお困りのご家族様、まずはご相談ください。(03-4500-8701 / 10:00-19:00 / 不定休)

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休診のお知らせ(東京/犬/猫/往診)

代表獣医師の江本です。

 

5月22日(月)、23日(火)は、社内総会のため休診とさせていただきます。

 

4月以降、終末期ケアを希望される診察で混み合ってしまい、通常の時間枠での予約が取りづらい状況となっております。

 

可能な限り診療時間外の枠も開放し、順次対応させていただいておりますので、診療をご希望される飼い主様は様子見してからではなく、お早めにご連絡ください。

 

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当院の往診は、一過性の症状に対する治療にも対応しております。

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皆さんは、往診専門動物病院を利用されたことはございますか?

 

そもそも往診という診療形態は、従来から存在しており、人間では専門分野として確立されていますが、獣医療業界では、まだまだ通常の動物病院の診療サービスのオプションとして存在している程度でしか浸透していません。

 

施設を有する通常の動物病院の往診は、基本はずっと通院していたペットに対し、もう通院が難しいからと判断した時に、診療時間の合間を縫って処置のみで伺うことが多いとされています。

 

ポータブルの検査機器を準備されていれば、飼い主様のご自宅にて検査を実施することは可能ですが、通常診療の中で往診を求められる頻度が極端に少ないこともあり、ポータブルに特化した検査機器を完備しているところは少ないです。

 

もしかすると、ニーズはたくさんあるにもしても、動物病院では手術や検査などに時間を優先的に割かなければいけないという経営的な観点から、往診に対して消極的な対応となっているという側面が大きいのかもしれません。

 

なお、診察の時には保定」と言って、検査や処置の間できる限り動かないように抑える行為を診療を、専門技術を有する動物看護師にお願いするのですが、診察室にある診察台の上で行う保定と、ご自宅で行う保定では、同じようですが全然違うものを要求されます。

 

写真②(エコー+酸素).JPG

 

基本はご自宅の床上で行うため、体の柔軟性や失禁・脱糞・肛門腺を飛ばしてしまうなどの事象に対し、事前準備と飼い主様への説明であったり、その場合にどうするべきなのかなどを常に意識していなければいけません。

 

また、往診を希望されるペットの状態は、基本的には病気の末期で体力が極端に消耗していたりと、重体であることがほとんどです。

 

ましてや呼吸状態が悪いペットの保定には、どこをどれくらいの力で押さえるべきなのかがとても重要なため、それをご自宅の床上でやりながら、さらに言えば呼吸状態の変化に対して酸素供給の動線確保などを考えなければいけないなど、多岐にわたる意識分散が必要となってきます。

 

この状態のペットの保定を、通常であれば飼い主様に強いるようなことはしないのですが、獣医師が一人でお伺いするような往診診療を行なっている場合には、飼い主様自身でこの保定業務を行わなければいけません。

 

そのようなことが起きる場合には、細心の注意を払うのはもちろん、万が一胸やお腹を圧迫してしまって呼吸困難を引き起こしてしまった時に、どう対処したらいいのかなど、事前に獣医師に確認して万全の体制で臨みましょう。

 

最終的に、全ての判断を委ねられるのは、飼い主であるご家族様です。

 

できれば動物看護師を連れてきてもらえるよう、しっかりとお願いすることをお勧めします。

 

 

このようなことから、普段から在宅での診療を意識した準備をしていなければ、ペットの往診では、いろんなところにトラブルが潜んでいます。

 

しかし、実際の現場では、往診を希望されるシニア期のペットと暮らしているご家族様が多くいて、潜在ニーズとしては、往診を希望されるご家族様が多くいると考えています。

 

ただ、忙しく診療されている担当の獣医師や院長に、往診にきてほしいとなかなか言いづらいために、ペットに鞭打って通院させなければいけないような雰囲気を過ごしてしまっているのもまた、悲しい事実です。

 

そんな中、ペットが病気の末期で、もう動かすことすら厳しい状態になって初めて往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡をいただき、覚悟を持って終末期医療(ターミナルケア)の往診切り替えを希望されています。

 

月間で多い時だと初診数で20件ほどを受けていますが、今後はより診療件数が増えてくることが予想されるため、もし今後往診での緩和ケアやターミナルケアを希望される場合には、早期から一度ご連絡をいただき、カルテ作成と現状把握をさせていただくことをお勧めします。

 

もう少し早くご連絡をいただければという症例も多々ある中で、ご家族様にとって動物病院への通院は日常に存在するものですが、往診は非日常的な存在であると考えています。

 

そのため、ペットの往診専門が存在することすら知らなかったというご家族様が、当院初診時の大半を占めています。

 

写真③(皮下点滴写真).JPG

 

往診専門動物病院が、一体どんな性質の動物病院なのか、何ができるのか、実際の診療の雰囲気はどんなものなのかは、ブログやインスタなどで発信してはいるものの、ご家族様だけでなく、実は動物病院で働く獣医師や動物看護師の方たちもまだまだ知られていないのも事実です。

 

これからも、どんどん往診専門動物病院の実態について発信していきますので、往診を将来的に利用されるかもしれないと考えているご家族様、紹介先として往診専門動物病院を差がされている動物医療関係者の方々は、是非当院のブログを見ていただければと思います。

 

前置きが長くなってしまいましたが、次のブログでは【往診専門動物病院でできることとできないこと】を書かせていただきます。

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当院の往診は、一過性の症状に対する治療にも対応しております。

在宅医療特化型の犬猫往診を東京23区を中心に近隣地区までお伺いし、慢性疾患に対する検査・処方コントロール、および緩和ケアと看取りまでのターミナルケアに対しては、専門的に取り組んでおります。

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緩和ケアをご存知でしょうか?

 

人の医療の方では、十分にその分野が周知されつつありますが、ペットの医療である獣医療業界では、まだまだその認知度は低いです。

 

緩和ケアとは、『慢性疾患やがんなど、もう治すことはできない病気に対して、苦痛をできる限り軽減することを最大の目的とした行為』です。(※個人的な見解ですが、このように考えています。)

 

緩和ケアと治療の違いは、以前ブログで書かせていただきましたので、本ブログの最後にリンクを載せておきます。後ほどご一読いただけたら幸いです。

 

今回は、この『ペットの緩和ケア』について、動物病院への通院と往診による在宅医療では、どんなメリット・デメリットがあるのかを書かせていただきます。

 

愛犬・愛猫が病気になった時、最初はもちろん治療を望みます。

 

治せる病気であれば、治療に踏み切ることを推奨します。

 

もしその病気が急性疾患ならば... 入院治療で良くなるならば...

 

動物病院に通院させ、入院管理による集中的な医療を選択される方は多くいます。

 

ただ、もしその病気が慢性疾患や癌などで、治療ではなく定期的な検診による毎日の投薬によるコントロールが重要とされる状態であれば、もう通院ではなく往診に切り替えたいと考えられるご家族様もいます。

 

通院なのか、往診なのか。

 

選択の参考になれればと思います。

 

今回は、以下のような症例で検討していきます。

 

【症例】

日本猫、16歳、慢性腎臓病(腎不全)。

1ヶ月ほど前からの食欲不振を主訴に動物病院へ通院したところ、慢性腎臓病(腎不全)のステージ4とされ、現在は月1回の血液検査で経過観察し、内服薬2種類と2日に1回の皮下点滴でコントロール中。

 

【通院のメリット】

通院でのメリットは、その場で幅広い検査結果が出るということと、必要に応じてX線検査を実施できることが挙げられます。

また、血液検査結果が大きく悪化していて、静脈点滴を推奨される状況だった場合に、ご家族様の同意のもと、集中的に静脈点滴を入院管理下で実施できるので、急性期には最適と考えられます。

 

【通院のデメリット】

通院と往診の大きな違いに、「通院させなければいけない」という通院ストレスの存在は大きくあります。

緩和ケアのステージでは高い頻度での通院が求められるため、帰宅するとぐったりしてしまうタイプの犬猫には、早期からの往診切り替えを検討するといいかと思われます。

 

【往診のメリット】

往診のメリットは、何といっても「自宅にいながら医療を受けられる」、そして「診療後すぐに好きな場所に隠れられる」です。

血液検査や尿検査などであれば、通院しなくても往診で可能です。

今回の症例で、もしこの猫ちゃんが通院が苦手な性格だとするならば、早期から往診に切り替えましょう。

 

【往診のデメリット】

往診は救急に不適なため、万が一に急変や入院を必要としているような場合には、往診では対応できません。

このような場合に、動物病院へ飛び込むか、もう通院させることがこの子にとって歩単位なるのでさせたくないと考える場合には、事前に今後起こりうる症状に対する対策を打っておくことで、ご自宅でいかにして過ごせるかを議論しておく必要があります。

また、往診は通院と比べて診療費がかかることは忘れてはダメです。

動物病院が家に来て、2時間ほど診療に時間を費やすため、通常の動物病院での診療がおおよそ10分間だとすると、単純に12倍ほどかかる可能性があります。

おそらく、この症例であれば、1ヶ月単位での検査と処方ですので3〜5倍程度かもしれませんが、往診は通院と比べると費用が嵩むことは覚えておきましょう。

ただ、その分色々な相談ができたり、生活環境を加味した最適な診療プランを組んでもらえるという最大のメリットがあることもあるため、ペットの負担を減らしてあげたいと感じた時に、一度往診専門動物病院へ相談してみるといいかと思われます^^

 

まとめ

今回紹介したケース「猫の慢性腎臓病(腎不全)」は、通院よりも往診での検診と処方が最適になりやすい症例です。

 

ただ、同じケースだとしても猫ではなくて犬の場合、費用面や検査設備面などから、往診よりも通院が好まれると考えます。

 

わんちゃんの多くがお散歩に出かける習慣があるため、連れ出すことが容易なことから、通院も難なくこなせる子が多いです。(中には、動物病院が苦手すぎる犬もいます...)

 

一緒に暮らすペットの性質を見極めて、ご家族様が判断してあげましょう。

 

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当院の往診は、一過性の症状に対する治療にも対応しております。

在宅医療特化型の犬猫往診を東京23区を中心に近隣地区までお伺いし、慢性疾患に対する検査・処方コントロール、および緩和ケアと看取りまでのターミナルケアに対しては、専門的に取り組んでおります。

わんちゃん、猫ちゃんの在宅医療でお困りのご家族様、まずはご相談ください。(03-4500-8701 / 10:00-19:00 / 不定休)

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次回は往診専門動物病院選択の注意点についてです^^

 

 

前回の記事

前回の記事は、以下からお読みいただけます。

・治療と緩和ケアの違い

 

 

 

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最近話題になっている【OpenAI】を使って、当院について聞いてみました^^

 

なんか面白かったので、共有させていただきます^^

 

Q. 往診専門動物病院では、どんな診療ができるのですか?

往診専門の動物病院では、獣医師が患者の自宅を訪れて診療を行います。これは、特にペットが病院に連れて行くのが困難な場合や、ストレスを軽減したい場合に便利です。往診専門の動物病院で行われる一般的な診療内容は以下の通りです。

1. 健康診断:ペットの健康状態をチェックし、病気や問題の早期発見を目指します。

2. 予防接種:犬や猫に必要なワクチンを接種し、感染症の予防に努めます。

3. 内科診療:呼吸器、消化器、循環器、内分泌器、泌尿器などの内科的疾患の診断と治療が行われます。

4. 外科診療:軽度の外科手術が可能な場合もありますが、重度の手術は通常、病院で行われます。

5. 歯科診療:歯石除去や歯周病の治療が行われます。

6. 皮膚診療:皮膚病の診断と治療が行われます。

7. 行動診療:ペットの行動問題に対処するためのアドバイスや指導が提供されます。

ただし、往診専門の動物病院では、設備や治療範囲が限定されるため、より専門的な診療や検査、手術が必要な場合は、通常の動物病院を受診することが推奨されます。往診獣医師の専門分野やサービスは個々に異なるため、具体的な診療内容については、事前に往診獣医師に確認することが重要です。

 

・・・・なるほど!外科や歯科は、基本的に往診では受けるべきではないと考えていますが、ほぼほぼずれなく回答が返ってきました^^

当院では、歯科治療は犬猫の歯科専門または歯科に精通した獣医師がいる動物病院を紹介受信していただくよう手配しています。外科に関しては、もし必要な場合には、歯科同様、信頼できる動物病院をご紹介させていただいています^^

紹介先は近隣からかんとうけんまでと幅広く、ご家族様のニーズに合う動物病院を一緒に選定しています^^

 

Q. 江本宏平(院長)について教えてください。

江本宏平先生は、日本で往診専門の動物病院での在宅医療を確立した第一人者であり、ペットの在宅緩和ケアやターミナルケア(終末期医療)の先駆者です。2017年2月に東京台東区であさくさワンニャン保健室を設立し、2018年3月16日に往診専門動物病院わんにゃん保健室を開設しました。

 

江本先生はまた、2022年11月に『猫の介護ハンドブック』を出版し、日本におけるペットの介護分野の発展に貢献しています。先生の専門知識や活動は、ペットと飼い主にとって非常に重要であり、ペット医療の進歩に大きく寄与しています。

 

どこで仕入れた情報なのか、びっくりしました。

AIに評価していただけて嬉しいです^^

 

Q. わんにゃん保健室って知ってる?

はい、「わんにゃん保健室」とは、往診専門の動物病院であり、犬や猫を対象として診療を行うクリニックです。以前の会話で触れられた江本宏平先生が開設した往診専門動物病院わんにゃん保健室は、ペットの在宅緩和ケアやターミナルケア(終末期医療)に特化した診療を提供しています。

このような往診専門の動物病院は、ペットのストレス軽減や飼い主の負担を軽くするために重要です。自宅での診療により、病院への移動が困難なペットや、高齢・障害のあるペットに対しても適切なケアが提供されることになります。江本先生が開設したわんにゃん保健室は、ペットと飼い主にとって非常に有益なサービスを提供していると言えます。

 

質問をしていくたびに、どんどん知識が深まっているような回答が返ってきます...!

 

Q. わんにゃん保健室の緩和ケアについて教えてください。

わんにゃん保健室で提供されている緩和ケアは、ペットの痛みや不快感を軽減し、生活の質を向上させることを目的としたケアです。緩和ケアは、主に慢性疾患やがんなどの重度の疾患を抱えるペットに対して行われます。具体的な緩和ケアの内容は、ペットの状況や病気によって異なりますが、以下にいくつかの例を挙げます。

 

疼痛管理:痛みを和らげるための薬物療法や、必要に応じて鎮痛剤の投与などが行われます。

闘病生活のサポート:ペットの日常生活を楽にするための工夫やアドバイスが提供されます。たとえば、食事の工夫や運動プログラムなどが含まれます。

通院が困難なペットのケア:自宅での診療により、ペットのストレスを軽減し、飼い主の負担も軽くします。

症状の緩和:呼吸困難や消化不良などの症状を緩和するための治療が行われます。

ターミナルケア:終末期にあるペットのケアや、飼い主への精神的サポートが提供されます。

緩和ケアは、ペットが快適で安らかな生活を送ることができるように、症状や状態に応じた適切なケアが行われます。これにより、ペットと飼い主の心身の負担が軽減され、ペットの生活の質が向上します。

 

うん、なんだか文明の進化に触れたような気がしました。

 

動物医療の今後の進歩には、IT分野をどうやって取り入れるのかが課題となっていると考えます。

 

往診という診療形態は、最大のアナログ診療ではあるものの、システムとしてITを活用しないとと思える今日この頃でした。

 

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犬猫の往診専門動物病院
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猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
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『治療』『緩和ケア』の違いについて、ご存知でしょうか?

 

最近よく耳にする『緩和ケア』を、治療の一環として捉えている方も多くいらっしゃいますので、あえて明確にするために、本ブログを書きました^^

 

なるべく難しくない言葉で、個人の言葉として書かせていただきますので、『治療』を求めているのか『緩和』を求めているのか、その判断材料となれればと思います。

 

シニア犬.jpg

 

治療とは

『治療は病気や怪我の症状をなくすための行為』として認識してください。

 

治療したらもう2度と同じことは起きない(再発はしない)とは言い切れないため、それだったら治療と呼ばないのでは?と思う方もいるかと思いますが、再発の云々はここでは検討していません。

 

では一体、治療に当てはまるのはどんな病気や怪我なのでしょうか?

 

 

いくつか例を出して説明していきます。

 

1. 急に発症した膀胱炎

猫、6歳、去勢雄、昨日からの頻尿と血尿、排尿時に鳴くことを主訴に診察。

超音波検査、尿検査を実施し、細菌性膀胱炎と診断。抗生剤での治療にて、14日間継続投与し、症状が軽快したため、投薬終了。

 

2. 骨折

犬、8歳、避妊雌、昨日の自転車のかごから落ちて以来の前足挙上を主訴に診察。

X線検査にて尺骨骨折と診断。骨オペは実施せずに、ギプス固定にて2ヶ月で症状が軽快したため終了。

 

3. 脳腫瘍

猫、6歳、ロシアンブルー、去勢雄、眼振と発作、旋回行動を主訴に診察。

血液検査、X線検査、超音波検査、尿検査、便検査など、一通り行ったが異常所見はないことから、麻酔をかけたCT/MRIを実施。

麻酔をかけた検査には侵襲性が伴うため、そのまま目が覚めないことがあることを了承する書類にサインしなければいけません。

検査結果から脳腫瘍が発覚し、開頭手術と抗がん剤の投与で経過観察とした。

 

4.リンパ腫

猫、12歳、日本猫、1週間くらい前からの食欲不振と軟便を主訴に診察。

血液検査、便検査、尿検査では異常は認めなかったため、画像検査としてエコー検査を実施したところ、腹腔内リンパ節の腫脹が目立っており、針刺による細胞診(FNA)を実施し他ところ、リンパ腫と診断。毎日の投薬と週1回の通院での抗がん剤投与を行い、25週間かけて治療。治療を終えて5年経過し、問題が起こらなかったため寛解とした。

 

このように、今抱えている病気に対して、診察終了と一旦ピリオドを打てる状態まで持っていけた、ないし持っていけるように進めていくことを治療と考えています。

 

治療を行うには、全部が全部ではないとしても、ある程度攻めた検査をして所見を取り、それらのデータを分析し診断を下すことが必要です。

 

その診断内容に対して、実際にその環境で実施可能かどうかを評価して、攻めた治療プランを決定していきます。

 

子猫ぽっちゃり.jpg

 

ここで、『攻める』と表現したのは、抗がん剤など、副反応やすでに予期できる反応が、身体機能に対して、決して軽くない負担を生じる可能性がある治療方法までを比較検討していくためです。

 

ここまでで、『治療』を選択することは、『攻めた医療』を希望することと認識していただけたと思います。

 

もちろん、病気もさまざまであることもそうですし、その重症度などでも変わってきます。

 

ただ言えることは、治療は攻めるという視点から前向きに考えていく、という姿勢で臨むものであると考えてください。

 

ではその反対は『攻めない治療』『後ろ向き』などとなってしまい、それが『緩和ケア』のようになってしまいますが、決して後ろ向きでも、全く攻めないわけでもありません。

 

では、緩和ケアについてご説明します。

 

緩和ケアとは

『慢性疾患やがんなど、もう治すことはできない病気に対して、苦痛をできる限り軽減することを最大の目的とした行為』です。(※個人的な見解ですが、このように考えています。)

 

まだまだ未来があるのなら、今だけ辛い思い(攻めた治療や麻酔などを使用した攻めた検査)も我慢させ、必死に治療に取り組むことで、また楽しかった日常を取り戻せるかもしれないと、多くの方が治療を望みます。

 

しかし、もう治る見込みがないのであれば...

 

慢性疾患と言われる腎臓病や心臓病、腫瘍性疾患と言われるリンパ腫や脳腫瘍など、完治が望めないものであれば、いつまで攻めるべきなのか、もう攻めるべきではないのか、の瀬戸際で、常に葛藤されています。

 

そんな時、もう治療をするために毎回犬猫に負担をかけるのであれば、もう負担のない緩やかな処方プランに切り替え、余生をその子らしく過ごさせてあげるという選択肢を選ぶ方も多くいます。

 

だからと言って何もしないわけではなく、吐き気があるのなら吐き気どめ、下痢するなら下痢止め、消化不良があるなら消化剤や胃薬、痛いなら痛み止めなど、抱えている病気から生じる症状を軽減させることを目的に、できる限り負担の少ない検査と処置、処方などで調節していきます。

 

実際の事例を見ていきましょう。

 

悩む猫.jpg

 

1.腎臓病の猫

猫、16歳、日本猫、2ヶ月くらい前からの食欲不振と軟便、1日2回以上の嘔吐を主訴に診察。

血液検査で腎臓病が発覚し、安定するまでは毎日点滴処置(+注射薬あり)とし、同時に内服薬を開始。

安定したのちは、ご家族様のご希望を伺った上で、1〜3ヶ月おきの検診と皮下点滴プラン及び内服プランの決定をしていく。

 

2. 心臓病末期の犬

犬、14歳、チワワ、1ヶ月くらい前からの食欲不振と呼吸促迫、たまに咳をすることを主訴に診察。

X線検査で心拡大を確認し、血液検査と超音波検査にて僧帽弁閉鎖不全症と診断。

安定するまでは高い頻度で検査を行い、ご家族様のご希望を伺った上で、安定したのちには1〜3ヶ月おきの検診と内服プランで進めていく。

 

3. 肥満細胞腫の犬

犬、13歳、トイプードル、1ヶ月くらい前から赤く腫れては小さくなって、また大きくなって小さくなってを繰り返していることを主訴に診察。

皮膚検査にて肥満細胞腫と診断され、超音波検査にて脾臓への転移を認めた。

抗がん剤は使用したくないとのことから、まだ食欲もあることを考慮して内服薬でのコントロールとし、ご家族様のご希望を伺った上で、2週間〜1ヶ月おきの検査とした。

 

このように、緩和ケアは攻める医療と比べると、全力でせめていくわけではいないが、ご家族様と相談の上で方針を決定していき、できる限り負担を加えないように考慮していきます。

 

緩和ケアで最も重要なことは、ご家族様のお話の中から拾える所見と、実際に診察で得られた所見とを組み合わせて、想定できる内容を事細かにお伝えすることで、ご家族様に最終的な判断をしていただくということです。

 

なかなか治療の現場では、担当獣医師の一存でプランが進んでしまいがちですが、それでは緩和ケアは成り立ちません。

 

お伝えした内容を持って、今後のプランとして幾つかのパターンをお伝えさせていただき、まずはその場で暫定的に方針を決定します。その後、持ち帰っていただき、ご家族様の中で話し合っていただき、次回の診察で方針を再度検討していきます。

 

このように、緩和ケアは獣医師の一存で進めるのではなく、ご家族様と一緒に診療プランを決定していくという特徴があります。

 

まとめ

今回は、治療と緩和ケアについて、ざっと私の見解について書かせていただきました。

 

もちろんこれに限ることではありませんが、担当される獣医師によって、治療なのか緩和なのかの考え方は千差万別です。

 

ただ、最終的にはご家族様が判断しなければいけないということと、何が不安なのか、何をしてあげたいのかを、しっかりと獣医師に伝えていただければ、きっとご家族様に寄り添ってくれると信じています。

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当院の往診は、一過性の症状に対する治療にも対応しております。

在宅医療特化型の犬猫往診を東京23区を中心に近隣地区までお伺いし、慢性疾患に対する検査・処方コントロール、および緩和ケアと看取りまでのターミナルケアに対しては、専門的に取り組んでおります。

わんちゃん、猫ちゃんの在宅医療でお困りのご家族様、まずはご相談ください。(03-4500-8701 / 10:00-19:00 / 不定休)

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次回は、通院と往診での緩和ケアの違いについて書かせていただきます^^

 

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今回は、前回に引き続き、水頭症を抱えながら生活してきた、小枝ちゃんのお話です。

 

前回のブログはこちらからご覧いただけます。

 

それでは、続きに入ります。

 

1.png

 

水頭症には好発犬種があり、マルチーズやトイ・プードル、チワワなどが該当します。

 

生まれながらにある先天性、何かしらの病気に併発した後天性に分けられますが、なんとなく多くの場合が先天性、つまり簡単いうと、生まれつき、ということです。

 

水頭症に伴う脳のダメージによる症状の一つが発作や行動異常であり、それを長年お薬コントロールしてきました。

 

今回は、前回からの続き「初診時の検査問診と対策」の続きと、その後についてです。

 

初診時血液検査

往診であったとしても、現段階での状態把握及び方針決定のために、どうしても初回検査が必要となってきます。

 

ただし、1週間前までのデータがかかりつけ動物病院にて実施済みで、そのデータを参照できた場合には、状態次第で、負担を減らす目的で、初診時検査をパスすることもありますが、できる限り実施してあげています。

 

実施してあげることで、今まで気づかなかったものが見えることがあります。

 

その背景には、今までの検査項目を絞り込みすぎてしまった結果、評価できなかったということも、実際にありました。

 

犬猫の状態が検査不適ではない限り、負担と相談しながらも、初回検査は実施していきましょう。

 

血液検査

さぁ検査頑張ろう!と抱っこして保定した瞬間、結構強く嫌がりました...

 

嫌がるとチアノーゼが出てしまうという状況も事前に把握できていましたので、スタッフ人数を揃えて臨むことができ、持ち込んだ酸素ボンベを最大限使用し、保定と酸素管理の看護師2人体制で、採血を無事終えることができました。

 

採血量も、少量でいいわけではなく、外注検査を実施するにはある程度の検体量が必要なため、当院では必ず保定を動物看護師にお願いしています。

 

保定一つで、犬猫の安全性だけでなく、押さえる圧力や緊張の伝わりなどに付随するストレスも下がり、検査精度も大幅に上がります。

 

もしお願いした往診専門動物病院で、獣医師一人でくると言われた場合には、保定として動物看護師さんをお願いできないか、確認してみてください。

 

もし連れてきてもらえない場合には、ご家族様がその役を担わなければなりませんので、当日しっかりと指導を受けてから、保定に取り組むようにしましょう。

 

 

超音波検査

呼吸状態の異常の要因除去を目的とし、胸水エコー、腹水エコーにて貯留がないことを確認しました。

 

特別押さえることはなく、横の下の方からピッピッとあてて終了です。

 

今回の検査では、胸水も腹水も貯留していませんでした。

 

 

尿検査

負担を避けたいところではありますが、培養検査を実施するためにも採尿を行いました。

 

採尿検体には、自然尿(自然に排尿した尿)、カテーテル尿(カテーテルで抜去した尿)、穿刺尿(針を刺して採取した尿)があります。

 

培養検査をするには、穿刺尿が必要なため、頑張ってもらいました。

 

先ほどの採血の状況があったので、できるかどうかも含めて取り組みましたが、全く嫌がらず、むしろ気づいていないようなくらいでした^^

 

 

...という流れで、前回のブログ〜ここまでが、初診時問診と検査まででした。

 

次に、初診時における診療プランの決定です^^

 

2.png

 

 

初診時診療プラン

初診時のプラン決定は、検査結果が出揃うまでの行動指針及び処方内容を決定していくというものです。

 

早速みていきましょう^^

 

投薬プラン

小枝ちゃんのご飯のタイミングを中心に投薬されていたのですが、意識レベルを少しあげ、かつ夜鳴きや発作の頻度を下げるためには、医薬品の都合に合わせたプログラムを実施する必要があります。

 

そのため、ご飯と投薬の時間を8:00、16:00、24:00に固定することで、8時間おきに使用するお薬を中心とした生活リズムをお願いし、夜鳴きや明け方に1時間おきに起こされるようなことの頻度がどうなるかを評価してもらうこととしました。

 

 

今後のプラン

発作のコントロールで使用する薬は、薬用量の変更が伴う場合に、2週間程度経過後に血中濃度測定を行い、用量判定および薬の効果を評価していきます。

 

ただ、小枝ちゃんの場合には、すでに長期間にわたって使用されていたこともあり、何より採血が苦手なこともあって、次回1週間後の往診では、できる限りストレスのないよう、検査は行わないこととしました。

 

状態次第ですが、その後は1ヶ月単位での診察としています。

 

状態も安定していた中、お正月に排尿痛が始まり、感受性試験で適応とされた抗生物質の多剤療法を行った結果、落ち着きを取り戻すことができました。

 

 

状態の変化と対策

時間の経過とともに、病状は変化します。

 

2023年1月の後半になると、薬が苦手となってしまい、薬がご飯に入っているかと、ご飯もあまり食べてくれなくなってしまいました。

 

どこまで頑張るべきなのか...

この状態でも飲ませるべきなのか...

 

ご状況をしっかりと共有いただき、ご家族様とご相談の上、今は1種類のみで状態維持を図ることとしました。

 

状態も下がってきたことから、前倒しで診察を組み直し、今の状態に合わせた投薬プランに切り替えていきます。

 

ペットの在宅医療を選ばれるご家族様のほとんどが、すでに愛犬、愛猫が緩和ケアのステージであったり、看取りを踏まえたターミナルケアのステージです。

 

状態の変化だけでなく、どんなことに悩んでいるのかをご共有いただき、その部分の解決ができなくとも、少しでも緩和できればと考えています。

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、在宅医療に特化した緩和ケアと看取りを見据えたターミナルケアに特化した獣医療を提供しています。^^

 

 

 

2023年2月5日

小枝ちゃんは、家族が見守る中、お空へ旅立っていきました。

 

お母さんたちが寝ている横で、最後の瞬間を知らせないくらい、とても静かに旅立っていったそうです。

 

旅立つ数日前に、大好きだったきゅうりとりんごを食べてくれ、眼振もなぜか止まっており、うんちもおしっこもしてくれましたとのことでした。

 

きっと、神様がくれたお別れの時間だったのかなって思いました^^

 

最後が苦しかったのかは誰にもわかりませんが、ただ静かに寝ている姿を見ると、とても穏やかな最期だったんだと、そう思えるほどの綺麗な寝顔でした^^

 

みんなからたくさんのパワーをもらって、無事に虹の向こうへお引越しできたのかな?

 

お姉さんたちが辛そうな時は、そっと向こうから応援してあげてね^^

 

小枝ちゃんのご冥福を心からお祈り申し上げます。

 

3.png

 

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皆さんは、てんかん発作を起こしたわんちゃん、猫ちゃんのケアをしたことはありますか?

 

てんかんは、その原因がある症候性てんかんと特発性てんかんに分けられますが、私たちが「特発性」といった場合には、原因がわからない、という意味だと受け取りましょう。

 

全部が全部、原因を突き止められ、治すことができればいいのですが、まだまだ未知の領域が存在していることは事実です。

 

今回ご紹介する症例は、生まれつき「水頭症」を抱えた小枝ちゃん、16歳の女の子です。

 

水頭症とは、その名の通り頭に水が溜まってしまう病気です。

 

水頭症を抱えて生まれてきた犬猫は、生涯に渡り脳圧を下げる薬だったり、発作を抑え込んであげる薬だったりを飲まなければなりません。

 

外科的な処置もありますので、もし水頭症を疑われた場合には、大きな動物病院、できれば二次医療施設などの脳神経外科を受診することをお勧めします。

 

それでは、症例紹介です。

 

今回の初診では、2時間半ほどお時間をいただき、過去(既往歴や投薬歴)から現在、そして未来(検査プランや処方プランの決定と今後の流れ)をゆっくりとお伺いさせていただきました^^

 

小枝ちゃん①.jpg

(若かりし頃の小枝ちゃんです^^クリクリお目目が愛らしいですね♪)

 

初診時のご様子と対策

小枝ちゃんは、子犬の時から水頭症があり、頭の病気に伴うてんかん発作もあったことから、医薬品を使用して、発作をずっと抑え込むためのコントロールをしていたとのことでした。

 

最近になって、深夜2、3時になると夜鳴きを起こしてしまうようになり、発作も見られ始めたため、小枝ちゃんの体力もかなり消耗していましたが、その横で看病しているご家族様も、疲弊しきっているご様子でした。

 

少し前から、かかりつけの動物病院にて後肢のふらつきを指摘されたはいましたが、徐々に夜中の発作の頻度が上がるにつれてナックリングが強くなり、体勢維持が難しくなり歩けなくなってしまったとのことでした。

 

初診時に現在のお薬内容を見てみると、かかりつけ動物病院から5種類処方されており、用量もしっかりとした量になっていたことから、ここ最近は意識レベル自体を下げることで常時鎮静状態にして、発作をコントロールしていたんだと判断できるものでした。

 

この場合、用法用量の見直しで、意識レベルを少しだけ上げてあげることで、また歩けるかもしれないことと、そのデメリットとして、投薬プランが1日3回になってしまうこと、さらには意識レベルが上がることで発作や夜鳴きが頻発してしまう可能性があることを天秤にかけながら調整していかなければなりません。

 

初診時段階で、かかりつけ動物病院から処方されていたお薬を必ず確認させていただきます。

 

また、アレルギーであったり、以前使った薬で体に合わなかったものがあるのかも併せて伺わせていただいています。

 

小枝ちゃんの場合5種類の医薬品を常備薬として処方されていて、発作止めとして1種類処方されていました。

 

現状の小枝ちゃんの体調及びご家族様の環境を踏まえ、3種類の医薬品を用量用法変更、2種類を種類変更させていただき、意識レベルと発作と夜鳴きの頻度を評価対象として様子見としました。

 

薬は全部で7種類、お母さんたちの工夫もあり、全部平らげてくれました^^

 

発作以外に併発していた病気

発作以外に、3ヶ月ほど前から、オリモノが出てしまうほどの、強い細菌性膀胱炎を発症しており、トイレの時にいつも鳴いてしまうほどでした。

 

抗生物質をずっと使用されていたこともあり、まずは培養検査と薬剤感受性検査を実施することが、症状緩和への最短ルートであると判断し、初診時に尿培養検査を行いました。

 

尿培養検査結果が揃うまでは、かかりつけ動物病院で処方されていた抗生物質を継続しようとしました。

 

チアノーゼ対策の酸素発生装置

小枝ちゃんは発作時や興奮時にはチアノーゼを起こしてしまうことから、ご自宅には酸素発生装置がレンタルされていました。

 

酸素発生装置(テルコム).jpeg

※ご自宅までレンタルしてくれる酸素業者さんを、事前に調べておきましょう。必要となったときにエリア外ですってならないよう、今のうちに調べるのがおすすめです^^

 

 

アクリル製の酸素ハウスの中にどうしても入ることが嫌いで、無理にでもハウスに入れてあげると、中を歩き回ってぶつかってしまうため、ほとんど使用できていないとのことでした。

 

ここ最近までは発作が出ていなかったので、発生装置をあまり使用していなかったが、発作が出てきてしまってからは、酸素発生装置をどうするべきか悩まれていました。

 

顔前で噴射する方法もありますが、風が顔に当たることを嫌がる犬猫がとても多いことから、少し工夫が必要であることをお伝えし、生活環境を見ながらアドバイスさせていただきました。

 

そして、今回重要なポイントである「介護の悩み」です。

 

病気の話もそうですが、理解して一歩ずつ進めなければいけないカテゴリが、現段階におけるご家族様の「病気以外の悩み」です。

 

犬猫の介護は、問題点をあぶり出すことから始まります。

 

看病/介護環境の整理から見つめ直す

犬猫の介護では、ペットの生活リズムに合わせてご家族様が生活していくというのが多く見受けられます。

 

まずは小枝ちゃんの生活リズムです。

 

・8:00ご飯(薬)→食後は就寝

・13:00ご飯(薬)→食後は就寝

・19:00ご飯(薬)→食後は就寝

 

お昼ご飯と夕食の間に1、2回起きて唸るため、抱っこして落ち着かせ、ベッドに戻すとまた寝てくれるとのことでした。

 

食後は疲れるようで、鼻をフガフガして震え出し、抱っこしてあげていると5〜10分程度で震えが収まり寝てしまうとのことでした。

 

お水を自分から飲んでくれないので、ご飯と薬をすりつぶして水で伸ばしてあげているとのことでした。

 

このリズムだけならば、まだ在宅環境であれば問題にはなりづらいのですが、問題は夜中の発作です。

初診時は、夜中2時〜明け方5時くらいに数回の発作のような症状が出てしまい、都度治まるまで見守り続けてしまっているという状況でした。

 

全体のお話の中から、まず最初に対処すべきは、この夜中の発作や夜鳴きをコントロールであることを確認しました。

 

発作のコントロールでは、容易に中毒域に達してしまう医薬品や呼吸抑制を起こしてしまうような医薬品を使用することもあり、いきなり強い薬を使用せずに、ステップを踏む必要があります。

そのため、もしかすると今の処方では効果が見られない可能性をお伝えした上で、まだまだ手はある事を支えとしてもらうために、未来予想図をお伝えし、安心してもらいながら一緒に向き合っていきます。

 

小枝ちゃん②.jpg

(ちなみに、小枝ちゃんの横にいたお猿さんのお人形はジョージって言うらしいです^^)

 

最後に・・・

今回は、最初の診察時に、問診の中で伺い対策を立てられた内容について書かせていただきました。

 

介護・看病と言葉で言うのは簡単ですが、その実態はかなりの精神力と体力を消耗しながらの戦いとなります。

 

向き合い方ややり方を見つめ直すだけで、愛犬、愛猫にとってだけでなく、その場で頑張っているご家族様にとっても心が軽くなることがあります。

 

...かなり長くなってしまったので、2回に分けてお送りさせていただきます^^

 

わんにゃん保健室では、在宅医療に特化した緩和ケアと看取りを見据えたターミナルケアに特化した獣医療を提供しています。

 

もちろん、通常診療で通院が難しい場合には、ご相談可能です。

 

それでは、また次回!^^

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東京23区を中心に、近隣エリアへ犬猫の往診を行っております、わんにゃん保健室です。

当院では往診によるわんちゃん・ねこちゃんの緩和ケア、ターミナルケアを行っています。
終末期のペットのことで不安な点やご相談したいことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

この度、当院院長江本が、『猫の介護ハンドブック 〜気持ちに寄り添う緩和ケア・ターミナルケア・看取り』を発行いたしましたため、ご紹介いたします。

こちらの本は、猫の介護や緩和ケアを行っている方が日々感じている、
「お薬ってどう飲ませたらいいのかな?」
「皮下点滴のやり方が合っているのか不安...」
といった疑問や不安などにお答えするハウツー本に仕上がっています。

ご自宅で困ったときに、この本があれば疑問が解決できる。
そんな、皆様の猫の介護に寄り添う本になっています。

はじめてのことで不安がいっぱいの方や、猫ちゃんに少しでも最期を穏やかに過ごしてほしい方の心のよりどころになれれば幸いです。

また書籍の発行にともない、現代ビジネスへ江本院長のインタビュー記事が掲載されております。
是非ご覧ください。

 

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今回は、前回に引き続き、左鼻腔内腫瘍を発症した猫ちゃんのお話です。

前のブログは以下からどうぞ!

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)1-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)2-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)3-4①

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)3-4②

 

過去4回の投稿のテーマはこんな感じです。

1-4:予約までの経緯とご家族様の葛藤

2-4:ターミナルケアの往診現場の臨場感ある初診雰囲気

3-4:急変時のマインドセットとアクションプラン

 

鼻腔内腫瘍を発症した猫ちゃん。

多くの猫ちゃんが動物病院への通院ができない中で、本当によく頑張りました。

急に状態が下がってきて、もう家にある酸素室から出られなくなったことをきっかけに、往診でのターミナルケアを希望されました。

2022年8月19日から往診に切り替え、家族の見守る中、2022年9月8日に旅立ちました。

 

最終回となる今回は、方針が決まってから最後の日までをご紹介します。

 

ここからいよいよ、実技的な指導に入ります。

 

まずは、皮下点滴をご家族様だけで実施できるようになる必要があります。

 

このお家の場合には、先代の猫ちゃんで家の中での皮下点滴を実施していたということもあり、初めてのご家族様と比べて比較的スムーズに指導を終えることができました。

 

しかし、先代の猫ちゃんと比べてこの猫ちゃんは拘束されることを非常に嫌がり、嫌がった挙句に呼吸状態が悪化し(鼻腔内腺癌なので仕方ないのですが…)、開口呼吸をしてしまうということもあったので、長い時間拘束することは難しいと判断しました。

 

力強い性格なのか、お水もご飯も自分から行ってくれていました。

 

通常だと、皮下点滴はその脱水の状況に合わせて輸液量を増やしてあげたいところではありますが、このような犬猫の場合には、いかにして短時間で終わらせるかがポイントとなります。

 

自力で飲食ができる=脱水補正はある程度自力で可能、と考え、それであれば輸液量をギリギリまで減らし、投薬する時間をものの数秒とすることで、猫ちゃんにも、ご家族様にも負担にならないような治療プランを実現できます。

 

今回の皮下点滴は、複数の医薬品を1回の針刺でまとめて投薬してあげるための手段であり、脱水補正は経口補水で頑張ってもらうこととしました。

 

実際は、皮下点滴を10mlシリンジと23G翼状針を用いて、1回の注射薬の薬液量と希釈するための輸液を合算して8mlで実施することができました。

 

そして、通常であれば、注射後に針穴を塞ぐために刺入部近くの毛の根本を30秒程度は持ち上げるのですが、8ml程度なので、最悪逃げてしまっても抑える必要がないくらいです。

 

そして、この量であれば、針が入ってしまえば5秒もかからないで終わりますので、嫌がり出した頃には終わっているという状況を作ることができました。

 

もしこの性格の猫ちゃんで、この呼吸状態で、腎臓病の皮下点滴による補正を試みることになっていたと考えると、酸素環境をしっかりと設置しなければ難しかっただろうなと思いました。

 

この日から、朝と夜の皮下点滴プランを組ませていただきました。

 

心臓も少し悪かったことから、できるうちは心臓のお薬を使っていきますが、内服しかないこともあり、できる範囲でやっていただくこととなりました。

 

ご飯はいつもの場所で、自分でお皿から食べたいって感じならお皿から、徐々に甘えてきて手から食べたいとされたら手から、もう食べたくないって言っていたら、何度か口にご飯をつけてあげ、それでも嫌がるようであれば、もう食事はストップとしました。

 

トイレに関しては、猫ちゃんって、最後の最後まで、自分の力で頑張って、いつものトイレの場所に行くんですよね。

 

ご家族様がその姿を見て大変だろうからとトイレを近づけてあげても、やっぱりいつもの場所まで、休み休み行くんです。

 

途中で力付きで漏らしちゃうことはありますが、環境として、そのルートではどこでもトイレをしていい環境を作ってあげ、また、近くに新たなトイレを新設する(猫砂は同じもので、ステップの高さは極力低めで)のはありです。

 

今後のプランとしては、1週間おきの往診で、貧血などのデータが大きく変わっていないかだけの、血液スクリーニング検査と、負担のない範囲での胸部・腹部エコーのチェック、また発作が始まったら、前倒しでの往診予定とさせていただきました。

 

今のままの容体で、少しでも安定している時間を長く取れたらなと祈りつつ、3日目の往診を終了としました。

 

初診から2週間後

状態が急変したのは、初診からちょうど2週間後の、2022年9月2日です。

前日の夜に発作が出て、発作止めを使用したら1本で止まったとのことだったのですが、またすぐに出てしまい、昨晩から今朝にかけて5回ほど認めたとのことでした。

ご飯を食べなくなってしまい、ふらつきが強く、立ち上がってもすぐに倒れてしまうような状態だとことでした。

 

もし往診に切り替えていなければ、すぐに夜間救急に今までと同じく連れて行っていたが、今は発作が出ても発作止めがあるので怖いけど怖くないとのことで、発作に対して向き合う覚悟ができたようでした。

 

しかし、日中に家を空けなければいけないことが多いこともあり、頓服としての発作コントロールだけでなく、朝夜の皮下点滴に発作を抑え込む薬を使用することとなりました。

 

今よりももっとふらつきが強くなるかもしれないし、効き過ぎてしまうとそのまま眠ってしまうかもしれないリスクをとり、少しでも発作で苦しむ頻度を減らしてあげたいという希望に沿ったプランです。

 

実際に使用していくと、そこまでふらつきも出ないで、普通に生活しているとのことでした。

 

ただ、もうご飯は食べてくれないとのことでした。

 

食欲を出させる軟膏があるのですが、この医薬品の使用で興奮してしまう猫ちゃんも多々いることから、興奮させてしまうくらいなら使用しないというご家族様もおり、今回はもう食欲は見ないこととし、軟膏の食欲増進剤は使用しませんでした。

 

この日の診察を終え、次回は2022年9月9日の午前中を予定していました。

 

9月10日からお姉さんが出張で1日家を空けてしまうので、お母さんだけでは心配とのことでしたので、その日の訪問プランはまた次回の診療の時に決めることとしました。

 

しかし、ターミナル期と言われる終末期は、そう安定した日々は長く続きません。

 

旅立ち

9月8日にお姉さんが帰宅すると、いつも通り視線をくれて尻尾でお迎えの挨拶をしてくれたとのことでした。

 

夕食を済ませ、食器を洗っていたところ、急に開口呼吸が始まったとのことでした。

 

発作かと思ったが、発作とは何か違う様子で、不思議と、もうお別れなんだと感じたとのことでした。

 

近くまで駆け寄ると、苦しそうにしながらも何度か視線をくれて、抱きしめながら最後の時間を過ごさせてあげられたとのことでした。

 

翌々日からの出張の前の休暇中だったこともあり、旅立った後の丸1日を一緒に過ごすことができ、葬儀を無事終わらせることができました。

 

先代の猫ちゃんの壮絶な最後が脳裏にあったため、緩和ケアに対して消極的かつ牽制的

だった最初の頃とは違い、全部を受け入れた上で最後の時間に臨めたことで、恐怖もあったが、それ以上に使命感が高買ったとのことでした。

 

2022年9月9日 ご家族様の腕の中で、長い眠りにつきました。

 

 

全体を通じて

今回は、ターミナルケアの症例に対する往診専門動物病院わんにゃん保健室の診療の雰囲気について、伝わりやすく、伝わりやすく、を意識しながら書かせていただきました。

 

ご紹介させていただいた猫ちゃんでは、今回のような診療プランとなりましたが、猫ちゃんの個性に合わせ、かつご家族様の生活環境や意向を加味してプランニングを行います。

 

できる限り事細かにご説明させていただき、愛犬・愛猫がこれから旅立とうとしているという現実を少しでも受け入れながら、できること、できないこと、やってあげたいこと、やるべきこと、などを決めていきます。

 

もう通院させることができないからと諦めてしまう前に、まずは往診のご相談をください。

 

東京23区を中心に、近隣地区まで獣医師と動物看護師が一緒にお伺いし、呼吸状態など全ての状態に合わせた往診を行います。

 

看取るということは、決して簡単なことではありません。

 

まずはご相談いただき、何ができるのか、一緒に考えていきましょう。

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今回は、前回に引き続き、左鼻腔内腫瘍を発症した猫ちゃんのお話です。

前のブログは以下からどうぞ!

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)1-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)2-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)3-4①

 

『もしも…』が起こってしまうのが、ターミナルと呼ばれる終末期です。

 

前回は発作について書かせていただきました。

 

今回は、吐血・喀血、下血、嘔吐、ぐったり、開口呼吸です。

 

吐血・喀血

あまり起こりづらいとは思いつつも、もし起きた場合には、もしかすると消化管粘膜に腫瘍細胞が浸潤した結果かもしれないとお伝えしました。

 

こちらに関しては、もし吐血を認めたら写真をとって共有していただき、お電話をいただくこととしました。

 

なお、吐血後の食事については、少量頻回としたいため、電話が繋がるまでは、吐血後の食事方法を少量頻回給餌とさせていただきました。

 

喀血は全く違ったもので、咳に血が混じったようなものを認めることがあります。

 

こちらは、きっとその咳から出てくる液体は赤というよりはピンク色のことが多く、この場合ですと腫瘍の肺転移に伴う肺水腫や肺の損傷を疑います。これを認めた場合には、早急に酸素室に入れてあげ、写真、動画の共有をお願いしました。

 

下血

猫ちゃんの腫瘍性疾患で、最も多いのが、リンパ腫という、今回の病気とはずれてしまいますが、そういうものがあります。

 

このリンパ腫には何個かのパターンがあり、その一つが消化器型リンパ腫というもので、猫ちゃんに多く起こります。

 

下血は大きく2つに別れ、鮮血なのか、黒色便なのか、です。

 

鮮血であれば、血が固まりづらくなっていることを意識していきますが、今回はすでに止血剤関連の医薬品が皮下点滴に含まれているため、特別対処はないことから、もし発症したらご連絡をいただき、状況を詳しく伺うことから始めましょうとしました。

 

そして、もし黒色便(タール便)であれば話は変わり、もう長くない可能性を示唆しているとお伝えしました。

 

日常生活の中で変えるべきことはなく、ただこれから一気に運動性が下がってきてしまうことと、貧血が一気に進行することで呼吸状態が悪化することも想定できるので、その時の対応についてご説明させていただきました。

 

経験上、このステージのメレナと呼ばれるタール便を認めると、なんとなく貧血が5%ずつ進んでいくような気がしています。これはあくまで個人的な見解ですので、参考程度に覚えておいてください。

 

嘔吐

基本、嘔吐は起きないような処方となっております。

犬猫たちのターミナルケアの現場では、嘔吐することで一気に状態が悪くなることが多いです。

例えば、ご飯を少しでも食べられていて、全然吐かない犬猫の場合でも、血液検査や超音波検査(エコー検査)所見などから、嘔吐が起こる可能性が高くなっている場合には、先制的に制吐剤(吐き気止め)を使用しています。

 

もちろん、こちらも選択制ですので、メリット・デメリットをお伝えした上で、常用として使用するのではなく、頓服として使用したいなどのご希望も承っています。

 

ここで覚えておくべきことは、吐き気止めには大きく2つあり、1つ目が吐き気を緩和する薬、2つ目が吐くことをほぼほぼ抑制する薬です。

 

1つ目の方が理にかなっていると思われますが、実際の獣医療の現場では、嘔吐がひどい場合や絶対に吐かせたくないと考えた時、2つ目を使用することが多いです。

 

ターミナルの現場では両方とも使用してあげることで、少しでも多く口にしてもらって、それが原因で吐いてしまわないように、医薬品の力を使って、ゆっくりと時間をかけて吸収できるように促してあげています。

 

ぐったり、そして開口呼吸

『急にぐったりした』『猫ちゃんの開口呼吸』は明らかな急変のサインです。

 

ここで重要な選択を迫らせていただきます。

 

延命は希望されますか?

 

延命と通院

元気だった犬猫が、急に具合が悪そうになった場合には、できる限り救急で動物病院へ通院させてあげてください。

 

もしかしたら誤飲や誤食などで、中毒のようなものや腸閉塞を起こしているのか、膵炎かもしれないし、持病が急激に悪化したのかもしれません。

 

日中であったり、まだかかりつけの動物病院が診療中であれば、飛び込んでください。

 

夜間であれば、夜間受付をしている動物病院へ飛び込んでください。

 

あなたには、待てる猶予など、1分もないはずです。

 

緊急で犬猫を通院させ、検査し、入院治療を受けさせてあげ、安定したら、また家に帰って来れて、今まで通りの生活が戻ってくる。

 

きっとこんな想像ができるからこその決断と行動だと思います。

 

では、今のこの猫ちゃんではどうでしょうか?

 

左鼻腔内腺癌を発症し、肺に転移を起こしている可能性が高い状態で、もし急変した場合に、苦手な通院をさせて、入院治療を受けさせれば、また元の生活が戻ってくると思えますか?

 

そして、また急変を繰り返します。

 

その度に、動物病院への通院と入院を繰り返しますか?

 

移動中に、病院での検査中に、入院中に、亡くなることが十分に考えられる状態であることを、忘れないでください。

 

夜間救急の責務は、命を繋ぎ安定させ、日中のかかりつけの動物病院へ犬猫たちを返すことであり、かかりつけの動物病院の責務は、その犬猫たちが安心して家に戻れるようにアシストすることです。

 

今という終末期ステージでは、これって延命なるのでしょうか?

 

多くの飼い主様が、もう急変しても連れて行かないとされます。

 

もっと長く生きていてほしいという本心はあるものの、苦しみながら長らえるのは可哀想だと判断されることが多いです。

 

しかし、延命という強い言葉は、家族であっても暗黙の了解のように口にできないキーワードですので、あえて私たちが言葉にすることで、話し合えるきっかけを作らせていただいています。

 

万が一の時、その場に立ち会っている人が全てを判断しなくてはいけません。

 

それがお母さんなのか、お姉さんなのか。

 

その判断は、後からそれでよかったと背中を撫でられたところで、その判断をした人が責任を感じてしまうものです。

 

だからこそ、事前にどうなったらどうするのかという家族としての指針を立てるべきなのです。

 

話し合う.png

 

愛犬、愛猫とずっと一緒に暮らしてきた家族だからこそ、目の前が苦しんでいるこの子たちに何をしてあげるべきなのかを話し合えるものだと思っています。

 

今回は、お姉さんも、お母さんも、急変時に通院させることはせず、家でのそのまま看取ることを決意されたようでした。

 

ただ、これはあくまで現時点での意志であり、数分後には変わっていても全く問題ないです。

 

一緒に最良となる方針を立てていきましょう。

 

今回のまとめ

前回の『発作』に続き、『吐血・喀血、下血、嘔吐、ぐったり、開口呼吸』について書かせていただきました。

 

愛犬、愛猫がどんな形で最後の時間を過ごしていくのか、旅立つときは苦しいのか、どんな症状を見せるのか、など、飼い主様ごとで相談される内容は様々ですが、これらの質問は必ずされています。

 

いざその場になってみなければ、実際のところわかりかねてしまうのが正直なところではありますが、経験上であったり、血液検査や超音波検査などの検査結果、診断された病気などを参考に、ある程度想定される最後の形についてご説明させていただいています。

 

万が一の時をただ怖がって待っているより、もしその時が来たらどうすればいいのか、というアクションプランを明確にすることで、ただ怖がっていたはずの未来が、知識と医薬品という武器を持って、戦えるようになれます。

 

完璧な飼い主になる必要はないです。

 

一緒に最後まで頑張っていきましょう!

 

次回は、ターミナルケア、そしてお別れです。

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今回は、前回に引き続き、左鼻腔内腫瘍を発症した猫ちゃんのお話です。

前のブログは以下からどうぞ!

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)1-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)2-4

 

愛犬、愛猫が病気であることを知り、まずは治療に向けてどう歩んでいけばいいのかを探すことと思います。

 

模索している間、きっと飼い主様の精神状態はズタボロで、何をしてあげるのが正解なのかわからずに、ただひたすらかかりつけの動物病院に足を運び検査をお願いしたり、インターネットで同じような症状の犬猫がいないかを探すことかと思います。

 

中には通院すら難しく、ぐったりした段階ですでに看取りを覚悟されるご家族様もいます。

 

最初から、すでに手遅れな状態だとわかったり、老化現象の一環での生命維持活動が弱まっているだけとわかればいいのですが、そこは検査をしてみなければわかりません。

 

そして検査はどんどんステップアップし、途中で必ず考えさせられることがきっと出てくることと思われます。

 

「どこまでやるべきなのか」

 

「この検査って誰のため?この子のためなのか、それとも理解したいというあなた自身のためなの。」

 

立ち止まるのもまた勇気がいることです。

 

検査が嫌な猫.png

 

もう攻めた検査はせずに、余生をゆっくりと過ごさせてあげるための最小限にとどめ、できる限り苦痛なく過ごさせてあげたいと考えた時点から、緩和ケア、そしてターミナルケアが始まります。

 

前回に引き続き、左鼻腔内腺癌の猫ちゃんのお話です。

 

初診で血液検査を行えましたので、翌日の再診となる今回は、そのデータを用いたお話です。

 

そして、今回の最大のテーマは、「急変時」です。

 

急変時はどうするべきなのか、については、その時になって考えるのでは遅いです。

 

どんなことが起こりうるのかを想定し、それに対して事前にある程度決めておくこと。

 

しかし、登場人物が多ければ多いほど、その意見は分かれてきてしまい、それらが交わらなければ、何もできないまま、ないも決められないまま、その時を迎えるのを待っているようなものです。

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、できれば意思決定ができるご家族様全員が揃うように診察日程を調整しています。

 

私たちが想像できる事象に対し、どんなアクションを取ると、どんなメリット・デメリットが生じるのかを説明させていただき、それらを飲み込んだ状態で、ご家族様で話し合ってもらいます。

 

今回は、お母さんとお姉さんの2人です。

 

院内血液検査結果から、重度の貧血と黄疸、腎数値の大幅な上昇を認めました。

 

早速参ります。

 

再診(初診の翌日)

お伺いすると、猫ちゃんは昨日と変わらずゆっくり、ズビズビ音を立てながら挨拶に来てくれました。

 

追加の酸素発生装置とボンベも到着しており、酸素の運用方法について詰めてご説明させていただきました。

 

さて、本日は血液検査結果から想定される「急変リスク」についてです。

 

血液検査結果から急変のリスクが高いことをお伝えし、どんな症状を出す可能性があるかをご説明させていただきました。

 

ここで、先代の猫ちゃんが、最後に重度の痙攣発作を伴って亡くなったということがトラウマであることをお伺いできました。

 

痙攣発作は、意識を伴ったままのものと、意識すら飛ばしてしまう大きなものに別れ、放っておいても止まりますが、もしかするとそのまま旅立ってしまうかもしれないし、もし止まるのであれば、早期に止めてあげた方が、発作後の生活に支障が少ないように感じています。

 

発作止めがあることを説明しましたが、先代猫の時にそんな話をしてもらえなかったと辛い胸の内を聴かせていただきました。

 

なぜ説明がなかったのかは存じませんが、動物病院で獣医師として立っている以上、しっかりと説明して、飼い主様の理解をもらえるよう努力すべきだと、強く感じました。

 

きっと、その獣医師は忙しさを理由に、説明を省いたのだと解釈しています。

 

獣医師側の気持ちもお察ししますが、ちゃんと責務を全うしてほしいと思いました。

 

今回は、発作止めがあり、それがどんな風に作用するのか、投与経路も3つあって、お母さんとお姉さんに選択しただけることをお伝えしました。

 

発作が起きた時、本当であれば発作中に投与することが一番いいのですが、なかなかハードルが高いことと、その場に誰が立ち会えるのかで話が変わってきます。

 

何より、急変時の対応に対して「やらなきゃいけない」という切迫観念を持って過ごしてしまうと、人間側が簡単にガス欠を起こして精神衰弱となり壊れてしまいます。

 

できる範囲でできることをやればいいんですよ、ということを心がけ、それが正しいと肯定することが、私たち往診専門獣医師の大きな仕事の一つです。

 

お母さんは針刺が怖いため、点鼻タイプと坐薬タイプを選択され、お姉さんは針刺が一番楽という意味合いから注射タイプを希望されました。

 

発作って、3タイプに大きく分類できると考えています。

 

すぐに止まる発作と、なかなか止まらない発作、止まらない発作。

 

学術的な話を出すととても複雑になりますが、結局現場ではこの3つです。

 

そして、ご家族様を深く傷つけ、トラウマにするのが、「止まらない発作」です。

 

うちの子は苦しんで死んでいった。

 

もし今そう思っているのであれば、ここで訂正させてください。

 

止まらない発作であれば、きっとすでに早期段階から意識がないはずです。

 

苦しかったかどうかは本人でなければわかりません。

 

ただ、その姿を見て苦しがって死んでいったと断言する必要はないです。

 

その姿は、その子が最後まで頑張って生きていった証です。

 

そして、その姿をちゃんと最後まで見守り続けられたという、飼い主としての最後のお勤めを終えられたという、むしろ勲章に値することです。

 

あなたに見守られながら旅立つことができた子は、何より幸せだったと思います。

 

だから、もう自身を責めないでください。

 

発作に対しては発作止めがあり、また日常的にボ〜ッとさせてあげることで、発作の頻度を減らすことにつながるかもしれない方法もあります。

 

今回は、お母さんもお姉さんも先代の発作がトラウマだったため、もし発作が出たら頓服で止めていただき、次の点滴から安定剤を常時投与してあげる方針としました。

 

発作止め.png

 

もしもの話を1回でまとめようと思ったのですが、全然書ききれなかったので、この回だけボリュームが多くなると思います(>_<)

 

犬猫と暮らしているご家族様にとって有益となるブログになれるよう頑張りますので、是非お付き合いください^^

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往診専門動物病院わんにゃん保健室の年末年始に関するお知らせです。

年末年始用.png

 

 

年内最終 2022年12月27日

休診期間 2022年12月28日〜2023年1月3日

診療再開 2023年1月4日

 

休診期間も、電話応対はしております。

もし電話が繋がらずに留守番電話になった婆には、必ず留守番電話に以下のメッセージを残してください。

 

・お名前

・ご住所

・犬/猫と品種

・ペットの年齢

・性別/避妊去勢の有無

・症状

 

諸事情により、動物病院に通院させることが困難な場合には、諦める前にまずは往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡ください。

 

 

診療範囲:東京23区と近隣地区

診療時間:10時〜19時(不定休)

電話番号:03-4500-8701

メール:house.call@asakusa12.com

 

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今回は、前回に引き続き、左鼻腔内腫瘍を発症した猫ちゃんのお話です。

前回のブログはこちらからどうぞ!

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)1-4

 

 

がん治療といっても多種多様であり、さらにはターミナルケアに関しては、ご家族様や犬猫の状況を考慮しなければいけないため、それはもう無数の形があるといっても過言ではないです。

 

だからこそ、全てがオリジナルであり、その子その子の性格や体調、取り巻く生活環境と登場人物と協力体制などを細かく把握する必要があります。

 

それでは、実際の往診当日から初診までの流れを書かせていただきます。

 

診察前準備(初診前)

初診時は、獣医師1人と動物看護師2人でお伺いしました。

初診の時は、できる限り人数を多くし、1人でも多く状況把握と飼い主様のマインドを共有しておくことが必要です。話している飼い主様の仕草や言葉の詰まり、早さやトーンなど、今の精神状態を知るキーポイントは診療現場にたくさん溢れています。

 

ちなみに、お伺いする前に必要そうなものを事前に準備しなければいけません。

 

そのため、電話問診は最初の超重要箇所ですので、当院としても気を引き締めて応対させていただいております。

 

今回は、前回予約までの流れとして書かせていただいた内容から察するに、左鼻腔内腺癌の末期+肺転移と判断し、準備を行なっています。

 

持ち込むべきボンベは小型ではなく中型サイズであり、もしかすると呼吸が途中で安定しなくなる可能性も大いに考えられるため、診察中に酸素流量最大の10L/分で使用することも想定できました。

 

初診時

お伺いすると、意外と人馴れしている猫ちゃんで、擦り寄ってきてはくれなかったんですが、挨拶に来てくれました。

 

左鼻からは鼻血を伴う鼻水が出ており、ズピーズピーといった音をずっと鳴らしていました。

 

まずは問診です。

 

往診の問診、特にターミナルケアでは、この問診という聞き取りの時間を最大限取っていきます。

 

なぜご家族様が往診を選択したのか。

 

そこには、いろんな出来事や過去のトラウマ、もっとやってあげたいけど猫ちゃん自体が望まないということを受け入れなければいけないという葛藤、そして、今まで通院で診てもらっていた動物病院の獣医師からの突き放しなど、いろんな思いがあります。

 

できることに限りがあるのが、ターミナルケアです。

 

しかし、それは医療側面の問題であり、逆に日常生活や猫ちゃんとの関わり方などについては、かなり大きく広がっていきますので、実際には限りがあると感じている余裕はないと思います。

 

ご飯ひとつにしても、食べてくれないのであればそこで諦めるのか、はたまた食べてくれそうなものを血眼になって探し出すのか。

 

粗相が始まったら、おむつにするのか環境自体を変えてあげるのか。

 

排尿排便がうまくできなくなった場合に、圧迫排尿や摘便などはどうするべきかなど、たくさんの日常問題を一挙に解決していきます。

 

それが、往診です。

 

状況から考えて、最後の血液検査から1週間以上経過してしまっていることもあり、まずは血液検査、できそうであれば超音波検査で胸部・腹部を一通り見てあげたいと考えました。

 

ただ、鼻が詰まっていることで容易に呼吸が乱れることが懸念されている中で、さらに肺転移までも疑われている状況で、どこまで検査してあげるべきなのかという論点があるため、メリットとデメリットを説明した上で、ご家族様に決めていただき、結果実施となりました。

 

点滴量それで大丈夫?.png

 

今後の方針を組む上で、都度状態に合わせて変化させていくことは前提としても、やはり現状を把握することは重要であると考えています。

 

貧血が一気に進行していたことを見逃し、皮下点滴の輸液量を前回のデータを参考に算出した結果、皮下点滴後に呼吸が悪化しまった、となっては元も子もありません。

 

胸水や腹水の貯留状況、消化管(胃腸など)につまりはなさそうか、蠕動運動はできているのかなども、食事量や食事間隔などの参考になります。

 

呼吸状態が安定できるように、酸素化を万全に行い、検査中も最大量の酸素が終始確保できる環境で臨みました。

 

通常だと、小型酸素ボンベの持ち込みなのですが、電話での事前問診で呼吸状態が悪いことが強く懸念できたため、持ち込むことができました。

 

いよいよ検査です。

 

まずは持ち込んだ体重計で、今の猫ちゃんの体重を測定します。

 

1週間前で4.3kgあった体重が、本日は4.3kgと、まさかのキープ!すごいぞ、、、!^^

 

酸素キャップを設置し、まずは酸素流量5L/分で設定し、いざ保定です。

 

保定されるのは嫌いのようで、早速呼吸が早くなり、鼻詰まりもあるせいで少し開口を始めました。

 

この開口呼吸は、緊急時のものとは違い、ただ鼻詰まりに対して代償的に口呼吸をしたまでと考えました。

 

とはいえ、酸素流量を一気に10L/分に変更です。

 

すると、呼吸が安定したのか、それにより不安が少し取れたのか、全体的に安定していきました。

 

血管が細くなっていたため少し時間がかかりましたが、無事に採血、超音波検査を完了させることができました。

 

採血した感覚として、血液がサラサラしており、1週間ほど前の血液検査データではなかった貧血が起きていると判断できましたので、本日の処置として、皮下点滴の輸液量を当初20ml/kgで設定していたのですが、10ml/kgまで落とし、43mlとさせていただきました。

その中に、今の猫ちゃんの状況に適した8種類の注射薬(抗炎症剤や抗生剤、胃薬や吐き気止めなど)を混ぜて皮下点滴し、終了です。

 

処置が終わると、「終わったよ〜!ご飯出して〜!」と言わんばかりにお母さんたちに催促を始め、私たちの目の前でガツガツ食べている姿を見せてくれました。

 

検査結果は即日〜1週間程度で出揃いますので、都度そのデータとその時の体調に合わせた処置プランを組んでいきます。

 

次回の診察は翌日であり、予定としては翌日に皮下点滴指導を入れて、翌々日に再度指導と確認を行い、医薬品のお渡し、さらに2日後にフィードバックと状況確認のための往診としました。

 

3日間は集中的に往診することとなったため、お母さんもお姉さんも、最初のご挨拶の時の緊張した面持ちから変わり、優しい安堵の表情となりました。

 

そして最後に、すでに設置されていた家にある酸素発生装置の運用方法についてです。

 

初診時の酸素運用説明

機械の裏側をチェックすると、酸素流量を3L/分に設定すると酸素濃度80%の風が出てくると記載がありました。

 

酸素ハウスは横90cm×奥行60cm×高さ60cmと、俗にいうMサイズくらいでした。

 

当院では、酸素ハウス形状として、その中に犬猫を生活させながらトイレの処理や処置などを行うことを視野に入れて、より運用しやすいものを推奨しております。

 

ちなみによくあるアクリル板でできたかっこいいものは、確かにかっこいいことと、全面が透明なので閉塞感が少ないこと、そして酸素ハウスの上に物が置けるというのがメリットであると考えています。

 

酸素ハウスの比較.png

 

今回の運用では、3L/分の酸素流量でこのサイズの酸素ハウスを運用することは難しく、また猫ちゃんも酸素ハウスを自由に出入りさせてあげられるよう半分開きっぱなしにしていることもあり、せめて5L/分は必要であり、かつ5L/分で80%以上の酸素濃度が出るものでなければ、ほとんど意味がないです。

 

ハウスサイズは終の住処になることも視野に入れ、酸素ハウスの中にご飯やトイレ、寝床を設置することも考えれば、このサイズの猫ちゃんであれば最適であると考えます。

 

変更および追加点は以下です。

・酸素発生装置を1台追加(5L/分の酸素流量で80%以上を確保できるもの)

・ボンベ設置(10L/分でほぼ100%を確保できるもの)

 

酸素関連機器が届くまでの間は今ある酸素発生装置の8L/分(45%以上)で酸素ハウス内に噴射し、呼吸が苦しそうになったら、3L/分(80%以上)に切り替えて鼻先で嗅がせてあげるというプランにしました。

 

状態も安定しているため、翌日に届く酸素関連機器を待っていられると判断したため、上記のようなプランとしましたが、もし厳しいと判断した場合には、わんにゃん保健室の方で酸素発生装置(10L/分、80%以上)を準備しています。

 

すぐに準備しない理由は、音の問題です。(結構うるさいんです。。。)

猫ちゃんにとって、あまりうるさい音はストレスになってしまいますので、耳がかなり遠くなっている場合を除き、基本は別会社の酸素発生装置を依頼設置していただいております。

(・・・東京都内は設置可能で、おそらく近郊までは、、、という予想です。予想だけですみません。)

 

以上で初診が終了です。

 

入室から退室までで、この日はおおよそ2時間でした。1時間は初回問診、30分が処置時間、30分が今日から明日にかけてのお話と今後想定されるタラレバと対策でした。

 

今回のまとめ

今回は、犬猫の往診でのターミナルケアにおける初診の雰囲気を伝えられるよう、実際の症例を使ってご説明させていただきました。

 

命の現場には、緊張感はつきものであり、時としてその場で見送ることもあります。

 

だからこそ、ご家族様の言葉に誠意を持って耳を傾けることと、先入観を一旦外す努力が重要です。

 

そうすることで、ご家族様の求めている最後の形を想像でき、医療面及び生活面でアドバイスを交えて方針決定が行えます。

 

次回は、急変時はどうすべきなのかの意思決定について書かせていただきます。

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犬猫にも同様に癌(がん)はあります。

 

人と同じように、癌と言っても一つではなく、良性腫瘍悪性腫瘍があります。

 

もっと早く検査していれば、早期治療ができたのにと思ってしまい、自身を傷つけがちですが、犬猫の場合は人間とは違い、そもそも治療を受けることが嫌いですので、愛犬・愛猫がどんな性格なのか、どこまでなら耐えてくれるのかなど、精神面も考えてあげなければいけません。

 

ただ理解しなければいけないことは、もしその腫瘍が悪性であれば、近い未来にお別れの日が訪れます。

 

その日がいつなのかは誰もわかりませんが、教科書や文献などのデータを参考にした余命(中央生存期間)をお伝えすることは可能です。

 

腫瘍に対する攻めた治療方法に、化学療法(抗がん剤)、腫瘍外科、放射線があり、最近では分子標的薬を用いた治療も適応であれば選択することができます。

 

腫瘍と診断された段階で、今後のことを事前に話し合っておく必要があります。

 

かかりつけの獣医師とご家族様で、何をどこまでやって、どんな副反応が出るまでは攻めた治療を続けるということ。

 

23245788.png

 

 

 

そして、もし抗がん剤治療などをやめて緩和ケアを実施したいとした場合に、どこに相談すべきなのか、または、かかりつけの動物病院が最後まで、在宅での治療も含めて支えてくれるのかなど、事細かに相談しておきましょう。

 

いざその時になると、気が動転してしまい、不安によって感情が先行してしまうことが予想されますので、冷静でいられるうちにある程度相談しておきのがおすすめです。

 

抗がん剤などの治療の一切を止める判断をするタイミングは、多くの例で投薬後にぐったりしてしまい、もう通院させることすら厳しいと判断した場合です。

 

昨日までは調子も良く頑張っていられたが、今朝になり急にぐったりとしてしまった、ということは容易に起こります。これが、【攻めた治療(抗がん剤治療など)を選ぶ】ということです。

 

ぐったりしてしまったことをきっかけに、もし往診を呼べる地域であれば、在宅緩和ケアに移行していきます。

 

緩和ケアにはいろんな形があり、ご家族様がどうしたいのか、それはそもそも実施可能なのか、犬猫の具合はどの程度まで下がっているのか、などはもちろんのこと、ご飯についてや温度や湿度、床の性状や物の高さや位置などの生活環境を、事細かに考えていきます。

 

緩和ケアを見据えた時には、これらに関しても担当の獣医師に相談しておくべきです。

 

もしかかりつけの動物病院だと緩和ケアはできないとされ、「内服薬だけを渡すので家で飲ませてあげ、ゆっくりと看取ってください」とされた場合には、すぐに往診専門動物病院に連絡するようにしましょう。

 

 

おそらくこの段階まで状態が下がった犬猫に対して、内服薬を飲ませることは叶わないと思っていた方がいいです。

 

ここの段階で突き放されてしまうというケースが多くあり、もしそうなってしまった場合には、諦める前に必ずお近くの往診専門動物病院まで連絡するようにしてください。

 

今回は、鼻腔内腫瘍を発症し、最初は通院できていたが急に状態が下がってしまい、家にある酸素室から出られなくなってしまったため、2022年8月19日から往診に急遽切り替え、在宅にて家族の見守る中、2022年9月8日に旅立った猫ちゃん(14歳7ヶ月)のお話です。

 

できることはもうないと諦めてしまう前に、まずは往診専門動物病院にご相談ください。

 

東京近郊であれば、私たち、往診専門動物病院わんにゃん保健室が、みんなの力になります。

 

疲れた猫.jpg

 

予約までの経緯

2022年2月頃に咳とくしゃみがはじまったとのことでした。

 

かかりつけの動物病院では怒ってしまうためX線検査ができず、とりあえず抗生剤を2週間ほど処方され一旦症状が治ったとのことでした。

 

その後もちょくちょく咳とくしゃみ継続していたのですが、そこまで症状がひどくならなかったので様子見としていたとのことでした。

 

徐々に粘り気のある鼻水や鼻血が出るようになり、7月3日に咳、くしゃみ、鼻血、吐血(少量)を認め、かかりつけが休診だったことから別の動物病院に通院したところ、そのまま入院となり、X線検査で左鼻の異常を認めたとのことでした。

 

麻酔をかけての精査を勧められたのですが、もっと元気になってからにしてほしいと伝え、4日間の入院を経て、無事退院することができました。

 

帰宅後には元気食欲があり、これで安心だと思っていたとのことでした。

 

退院から2週間後の7月21日に頻回嘔吐を認め、再度通院で点滴処置をしてもらい、また状態は安定したのですが、8月1日に鼻出血と呼吸促迫から入院となってしまいました。

 

入院中の8月4日にCT検査を行い、左鼻腔内腺癌が発見されました。

 

8月6日の退院と同時に酸素室をレンタルし、呼吸状態が悪い時だけ酸素室に入れてあげていたとのことでした。

 

その後も通院を予定していたのですが、8月15日の段階で重度の呼吸促迫と咳が出てしまい、もう通院できないと考え、往診を希望されました。

 

この経緯の中にも、本当であればかかりつけの動物病院で、担当の獣医師の指示のもと、最後まで一緒に歩いていけたら一番いいと考えていますが、通常の動物病院の運営上、多くの場合に、それは叶いません。

 

緩和ケアを希望された時点から、もしかしたら転院するかもしれないことを頭の片隅に置いておきましょう。

 

次回は、この猫ちゃんの往診で起きた実際のストーリーについて書いていきます。

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猫ちゃんの多くが、高齢になるにつれて腎臓の数値が悪くなりやすいです。

 

みんながみんなというわけではないですが、確率は高く、またこの腎臓病という病気は進行性であるため、早期発見早期対策が重要です。

 

今回は2回に分けて投稿している「猫ちゃんの家での緩和ケア」の後編です。

猫ちゃんの家での緩和ケア1-2はこちらから読めます^^

 

前回は猫ちゃんの腎不全について導入から腎臓病ステージ3までの話でした。

 

ここからは、いよいよ腎臓病ステージ4から後半についてです。

 

出会いがあれば別れがあります。

 

後半戦、書いていきます。

 

図1.jpg

 

腎臓病ステージ4

最も往診依頼が多い腎臓病ステージがこのステージ4です。

腎臓病ステージ3の時と比べて、全ての症状が増悪しているものを想像していただければ大丈夫です。

これらの症状が強く出ており、さらに進行していた場合には、痙攣発作を伴っていることも多々あります。

 

ここまで腎不全が進行すると、腎性高血圧腎性貧血などを起こしている場合を多く見受けます。

 

腎性高血圧がある猫ちゃんだと、ぱっと見で瞳孔(黒目)が大きくなってることが多いです

 

これは、高血圧に伴った網膜剥離が疑われます。

 

もしかすると、腎不全の薬によって高血圧が改善すれば少しだけ視力が戻ってくる可能性もある非裂孔原生網膜剥離の状態も疑われますので、早期に治療を入れてあげる必要があります。

 

腎性貧血は、腎臓から出てくるエリスロポイエチンという造血ホルモンが、分泌できる正常な腎臓細胞が減少してしまったため、単純にその数が減ってしまうことから起きる貧血と考えていただければ大丈夫です。

 

腎性貧血の場合には、わんにゃん保健室では週1回の注射でエリスロポイエチンを接種してあげることで、貧血改善を目指します。

 

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痙攣発作に備える

そして、痙攣発作です。

 

腎不全からくる痙攣発作(尿毒症)を疑うとき、ほとんどの猫ちゃんで血中尿素窒素(BUN)>140mg/dlでその他の腎臓評価の指標であるクレアチニン(CRE)やリン(IP)と言われるものも高値になっています。

 

発作に対しては発作止めを注射、点鼻、坐剤の3タイプから選択してもらい、家に準備していきます。

 

発作止めの使用方法や環境整備に関し、生活環境を確認しながらご説明させていただきます。

 

発作が起きている時に立ち会うのが誰なのか。

 

家で発作に対する備えをして、家の中で猫ちゃんの発作を抑え込んであげるのか、それとも緊急で動物病院へ通院するのか。

 

お母さんかもしれないし、お父さんかもしれない、または息子さんかもしれないし娘さんかもしれないです。

 

協力できるご家族様がどなたであり、その方が望む発作止めはどのタイプなのかを考えて、準備に入ります。

 

在宅or通院.jpg

 

酸素環境の準備

腎性貧血が起こると、徐々に呼吸状態が悪くなってきます。

 

これは、血液中のヘモグロビンという成分が減少するからです。

 

これに対して先述したエリスロポイエチンの注射を実施しますが、功を奏することなく亡くなってしまう子もいれば、改善して生活の質を上げられる子もいます。

 

ただ言えるのが、注射による体への負担が、少なからずあるということ、そして即効性があるものではないとことです。

 

経験上、ヘマトクリット値(Ht,PCVなど)が20%未満になると呼吸状態が下がると考えています。

 

即効性のある対策として、酸素環境の整備が挙がります。

 

1.jpg

※実際に設置した画像です。

 

酸素環境の整備以上に、むしろこの状態の時に必要なものはないと言っても過言ではありません。

 

また、ただ酸素を準備すればいいというわけではなく、この猫ちゃんにとって最適となる環境づくりを考えなければいけません。

 

わんにゃん保健室では、酸素室の選定および作成、酸素発生装置を含めた酸素環境の運用、そして酸素環境における日常ケアのやり方の決定など、さまざまな視点から残された時間にできることをご提案させていただいています。

 

 

まとめ

今回は、猫ちゃんの腎臓病ステージ1〜4のざっくりとしたお話をさせていただきました。

 

猫ちゃんという生き物としてこの世に生を受けた以上、腎臓病を患ってしまうことは考えておかなければいけません。

 

そして、残念なことに、現代獣医療では腎不全を完全に治療することはできません。

 

腎臓病は進行性の病気であり、わかっていることは、早期発見が何より重要です。

 

早期発見で早期から対策を打ち、少しでも進行を抑え込んであげることを考えていきましょう。

 

猫の腎不全(特に慢性腎臓病)のコントロールでは、腎臓ケア系のフード切り替え、内服薬の使用、皮下点滴の大きく3つがあります。

 

動物病院での入院ができるタイプの猫ちゃんであれば、急にグッと腎臓の数値が上がってしまった場合に、入院させて点滴(静脈点滴)を行うことで一過性に悪化した数値を元の値まで改善させられるかもしれません。

 

しかし、通院も苦手であることと入院のストレスには耐えられないであろうと考えられる場合には、ご自宅での皮下点滴プランを組んであげましょう。

 

おそらく血圧も高く、心臓に負担がかかっていたり、貧血気味になっているかもしれないので、できれば1回の皮下点滴でたくさん入れるよりは、たくさん入れなければいけないのであれば、2回〜3回に時間帯を分けて投与してあげるほうが、負担の軽減につながるので、当院としては推奨しています。

 

通院しなければ何もできないと諦める前に、在宅での往診獣医療があることを知っていただき、お困りの際には往診のご連絡をください。

 

東京23区とその近隣を診療圏とし、東京、千葉、埼玉、神奈川、そして遠くても時間を調整してお伺いさせていただいております。

 

在宅医療のご相談であれば、私たち、往診専門動物病院わんにゃん保健室が、往診にてご家族様とその先にいるわんちゃん、猫ちゃんへ安心の獣医療をお届けします。

 

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ほとんどの猫ちゃんは通院が苦手なため、もし通院させるのであれば、週1、2回程度までくらいまでが限度だと思われます。

 

病気で具合が悪いので動物病院へ連れていくのに、移動の前後でどっと疲れてしまい、検査のためならまだしも、処置のためであれば、果たして本当に通院させるのが正しいのかと、考えさせられる場面に多く直面すると思います。

 

特に高齢期で、体力も弱ってきている中で、必要な時には1日2回の通院を求められることだってあります。

 

今回は、猫の腎臓病(腎不全)に対し、往診ではどんな提案をしているのか、ステージごとに記載させていただきますので、通院ではなく往診を検討されている方、今は通院させているけど、今後は往診へ切り替えたいとお考えの方は、是非読んでいただき参考にしてください^^

 

腎臓.jpg

 

※本来であれば全て腎臓病と表記するのですが、ご家族様にわかりやすい言葉で記載したいため、腎不全と表記させていただきます。

 

腎臓病ステージ1

このステージでは、ほとんどが無症状なため、健康診断の時に発覚することが多いです。

 

高齢、特に10歳を超えてきたら、健康診断は少なくとも年2回、できれば3ヶ月おきの4回を推奨しています。

 

猫ちゃんの腎不全に対する往診での治療法では、大きく食事、内服、皮下点滴の3つです。

最初は侵襲性が最も少ない食事療法と、腎不全の早期から推奨されている内服薬をご提案させていただきます。

 

なお、腎臓病ステージ1の時点で提案しているのは、食事療法と内服薬です。

 

当院では、味が苦いものや飲ませづらいものは極力使用しないよう、医薬品の選定に注力しています。

 

食事療法としては腎臓ケア系のドライとウェット、内服薬は動物薬の飲みやすいものです。

 

腎臓をケアした療法食を推奨してはいるものの、これまた好き嫌いが強い子が多く、療法食を食べてくれないということが多数見受けられます。

 

腎臓系のご飯は1種類ではなく、【猫 腎臓病 フード】など検索するだけで何十種類も出てきます。

 

診療時に複数種類の猫ちゃん用腎臓ケアフードをご紹介させていただきますが、なかなか好んでくれるご飯と出会えないことも想定できますので、気持ちとして全部に挑戦するくらいの意気込みを持って臨みましょう。

 

検診の頻度は、その猫ちゃんの状態やご家族様の希望にもよりますが、ほとんどの場合で状態は安定していることが多いため、大まかな目安として3ヶ月に1回程度です。

 

 

腎臓病ステージ2

このステージになると、なんとなく症状が見えてきます。

最近なんとなく飲水量が増えてきたような気がする、おしっこの量も増えたような気がする、といったものです。

とはいえ、日々の変化程度であることから、見逃されやすいです。

 

腎臓病ステージ2からは、内服薬をもう1種類増やすかどうかを相談していきます。

初めて腎臓病ステージ2を確認した時は一旦様子見とし、次回も腎臓病ステージ2だった場合には、ほぼ確実にもう1種類増やし、2種類の内服薬で様子を見ていきます。

 

検診の頻度は、状態次第ではありますが、大まかな目安として1〜3ヶ月に1回程度です。

 

猫ちゃんのストレス状況を評価し、往診頻度や血液検査の頻度を相談していきます。

 

腎臓病ステージ3

このステージになると、明らかな症状が見えてきます。

お水を飲む量は明らかに多くなり尿量も増える(多飲多尿)、週1回程度だった吐きが2,3回以上と嘔吐頻度が増える、脱水や胃腸の障害に伴った軟便または便秘、食欲低下、軽度な削痩などです。

 

IMG_0378.jpg

※写真は、現在当院でお伺いしているクロちゃん19歳です^^一つ前の記事で書かせていただきましたので、こちらも是非読んでみてください!

 

 

往診でお伺いする猫ちゃんのステージでは、第2位です。

 

第1位はステージ4、第3位はステージ1、第4位はステージ2です。

 

ステージ1の段階で見つかるのが第3位なのは、ご家族様の健康診断への意識が高い方が一定数いることを表していると考えています。

 

この腎臓病ステージ3では、内服薬だけで進めていくか、皮下点滴を合わせていくかを相談していきます。

 

当院では、腎臓病ステージ3からは在宅での皮下点滴を検討していくことから、ご家族様による皮下点滴を行える環境構築のため、皮下点滴トレーニングを実施していくことが多いです。

 

中には、ご家族様だけでは難しいとされた場合には、当院でスケジュールを組み、皮下点滴にお伺いすることもありますが、時間帯の確約が難しいことから、できる限りご家族様による皮下点滴をお願いしています。

 

猫ちゃんからしても、知らない人が来て抑えられて皮下点滴をされるよりも、お母さん、お父さんというプライベートな空間で実施される方が、ストレスも少なくできると考えています。

 

皮下点滴の頻度は週3〜4回程度、内服薬は2種類、食べられるのであれば療法食、の3つでコントロールしていきます。

 

検診の頻度は、状態が安定していれば1ヶ月に1回程度です。

 

なお、猫の腎臓病ステージ3でお伺いする場合には、1日目、2日目、3日目と連続で往診し、次は最終診療日から1週間後の10日目、ここで安定していれば2週間後の24日目、以後1ヶ月おきというのが多いパターンです。

 

ということで、まずは導入から腎臓病ステージ3までに対する往診での在宅中医療について書かせていただきました。続きは「猫ちゃんの家での緩和ケア2-2」で、腎臓病ステージ4を近日公開します。

 

猫ちゃんと暮らしていて、動物病院への通院で躊躇してしまっているご家族様は、まずは往診相談として当院へご連絡ください^^

 

気づいてからでは遅い猫の腎臓病、早期発見早期対策が大切です!

 

猫ちゃんの腎不全については、特集ページにて解説しております。

こちらをご一読いただければ、大まかな猫の腎不全について知っていただけると思います^^

猫腎不全バナー.jpg

 

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猫ちゃんの多くが、動物病院に通院することが苦手です。

 

通院させると異常に興奮してしまい、極度のストレスに失禁や脱糞をしてしまったり、診察室では恐怖のあまり威嚇してしまうなどの豹変ぶりを見せたり、帰宅すると隠れてしまったりと、通院するだけでぐったりしてしまうということを多く見受けます。

 

猫ちゃんが通院できないのは、決してご家族様のせいではなく、それは猫ちゃん自身が選んだことですので、あまり気負わないようにしましょう。

 

そんなこんなで年月が経ち、いつもなら数日で体調が戻っていたはずなのに、それどころか徐々に悪化してしまっているような時期が訪れます。

 

そこでご家族様には選択肢ができ、満を辞して通院させるべきなのか、このまま看取っていくべきなのか、または往診を呼ぶべきなのか。

 

今回は、東京港区のご実家で暮らす19歳6ヶ月の猫ちゃんの在宅緩和ケアのお話です。

 

今回のケースでは、ご実家にいるご高齢のお母さんと息子さん、近くにいるお孫さんと協力して在宅医療プランを組み、2022年11月9日から4日間の連続往診を終え、11月12日から内服と食餌介助のプランを開始しています。

 

今後往診による在宅医療をご検討のご家族様、その日の参考にご一読ください^^

 

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初診予約時

今回は、すでに当院で在宅医療を実施中の猫ちゃんと暮らしているお孫さんからご予約いただき、内容としては『実家にいる猫ちゃんの具合が悪いので往診をお願いしたい』とのことでした。

 

ここ最近急激に増えてきた事案として、「住んでいる場所は違うが、実家にいる犬猫の体調が悪く、また通院させることができないため、ご実家への往診してほしい」、というものです。

 

人間の方では、そういったサービスが拡大されているようですが、ペット業界ではまだまだ発展途上なため、こういったケースは以下のようなプランがおすすめかと思います。

1. 往診専門動物病院に依頼し、かかりつけ動物病院として現状を把握してもらう

2. 訪問サービスでペットの介助をしてくれる業者を選定する

3. 訪問サービス業者がどんなことをすべきかを往診専門動物病院から指示してもらう

 

今回のケースでは、お孫さんもご実家から比較的近くに住まれていたため、診察に立ち会っていただくことが可能だったので、スムーズに診療予約を確定できました。

 

もしこういったケースで遠方からのご依頼だった場合には、実際の診療に立ち会うことが物理的に難しいと思われます。

しかし、ご依頼される方と、実際にペットと生活しているご家族様の意見が異なってしまうと、お伺いしても何もできないという場合が発生してしまうことがあります。

ご依頼いただく時には、必ず意見の擦り合わせはできているのかをご確認させていただきますので、もしその時点でまだの場合には、何について決めておかなければいけないのかをご案内させていただきます。

意思決定ができる人間の数ほど意見がありますので、難しい場合には、診察に立ち会っていただくことをお勧めします。

私たちがお伺いして状況・状態を整理し、何がどこまで可能なのかを明確にした上で選択肢を挙げさせていただきます。

 

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初診(2022年11月9日)

子猫との時からの慢性鼻炎と便秘持ちで、現在は耳が聞こえてないとのことでした。

お会いすると、ベッドの上でぐったりとした猫ちゃんが静かに伏せして待っていてくれました。

 

普段は人見知りなのか、おそらく知らない人が来たら真っ先に隠れてしまうはずなのですが、それだけ具合が悪かったということと思います。

 

かかりつけの動物病院から処方された内服薬は、ちゃんと飲ませられていることに驚きました。

 

それであれば、もし押さえられたり針刺が苦手だった場合にも、内服薬でのコントロールを選択肢として挙げられるかもしれないと思われました。

 

お母さんのお気持ちとしては、検査はストレスが大きいので、検査なしで今の症状を楽にすることを望まれましたが、この背景には、まだ若くて元気だった頃に検査ですごく抵抗していて可哀想だった記憶がありました。

 

お孫さんとも相談し、長年検査をしていなかったことと、やはり今の状況を把握する方が対策を打てる可能性が高いことから、やはり検査をすることで話を進めさせていただきました。

 

もし猫ちゃんが嫌がって取り乱すことがあれば、その場で検査をすることを中止することとし、お母さんにどうにか承諾を得て、血液検査、超音波検査を実施しました。

 

想定していた通り、既に血圧も低くなっていたこともあり、ほぼ嫌がらずに検査を受けてくれました。

 

お母さんも、その姿に安心してくれました。

 

最後に皮下点滴を行い、この日は終了です。

 

初診日、翌日、翌々日と診察を行い、4日目に状況を整理してプランニングをしていくこととなりました。

 

 

再診(2022年11月10日)

昨日よりは状態も上がり、朝は猫ちゃん自らご飯を少しだけ食べてくれたとのことでした。

 

この時点で確認できた血液検査結果より、慢性腎臓病のステージ4急性〜慢性膵炎の2つを検出しました。

 

本来であれば、毎日皮下点滴を実施してもらいたいため、皮下点滴トレーニングをご家族様にしっかりと入れ、家の中でご家族様だけで実施できる環境づくりを行う状況です。

 

しかし、ご家族様の希望もあり、連続往診による皮下点滴処置後は、内服で余生を過ごさせてあげることとなりました。

 

わんにゃん保健室の在宅医療プランは、決して攻めた医療内容ではなく、愛犬、愛猫の余生を少しでも楽に過ごさせてあげるためのプランです。

ご家族様の望む最後の時間の過ごさせ方を、医療の面から、家の中でサポートさせていただきます。

 

少し元気が出てくると、この猫ちゃんらしさが徐々に出てきて、処置中にもイヤイヤモード全開でした。

 

 

連続往診4日目(2022年11月12日)

ご家族様がシリンジを用いた食事介助や投薬ができるという環境でしたので、連続往診を終え状況が把握できた後は、内服と食餌介助でのコントロールとしました。

 

ただ、状態がグッと上がってきたわけではなく、初診時よりは少し上がったものの、まだまだ予断を許さない状況であることをお伝えし、また内服薬がなくなる1ヶ月後くらいを目処にご予約をいただくこととしました。

 

内服薬は全部で6種類です。

 

頑張っていきましょう!

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