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犬猫の往診を知る(初めての方向け)の最近のブログ記事

 

年末年始の休診情報

●往診受付最終:2024年12月27日

●往診休診:2024年12月28日〜2025年1月3日

●往診受付開始:2025年1月4日

 

 

初診の方へ

最後の時間を見据え、早期から在宅緩和ケアに切り替えるご家族様からのご相談を多くいただいております。

 

緩和ケアに入るためには、まずは生活環境や家族環境の把握、そしてどこまで何をしてあげたいのかなどのヒヤリングによる方針決定が必要となってきます。

 

決められた方針に沿って進めて行きますが、途中でご家族様に心境の変化があった場合には、その都度ヒヤリングさせていただき、方針変更を行い、最後の日まで一緒に向き合って行きます。

 

例えば、がん(腫瘍)の症例では、腫瘍外科や化学療法(抗がん剤など)は使いたくないが、苦痛を少しでも減らす方法はないかとの相談をいただく機会が多いです。

 

腎臓病(腎不全など)の症例であれば、皮下点滴のために通院する必要がなくなることを目的に、在宅での皮下点滴トレーニングを希望される方が多い印象です。

 

検査は通院で行うか、もう検査から在宅で実施できるように、訪問医療への切り替えを行うかの2択から選択できます。

 

血液検査や超音波検査、尿検査などを定期的に行なっている場合には、それらの検査は家の中で実施することかが可能であり、X線検査が必要な場合には通院ができるかどうかにもよりますが、都度ご相談しながら方針決定の補助をさせていただいております。

 

なお、すでに持病を抱えていたり、通院は性格的、環境的に難しい場合、最終的には往診への切り替えを検討している場合には、体調が著しく低下し、もう何も食べない、動けないなど、ぐったりしてしまう前に、まずはご連絡ください。

 

事前に状況を把握させていただくことで、「急変時にどうしたらいいのか」をお手伝いさせていただきます。

 

もし年末年始の休診期間に入ってしまったとしても、そのタイミングぐったりしてしまいましたら、慌てずにまずはご連絡ください。

 

 

当院での処方管理期間中のご家族様

休診期間中にぐったりした場合には、まずはご連絡ください。

 

スタッフが待機しておりますので、お電話にて状況を詳しくお伺いさせていただきます。

 

なお、緩和ケア、終末期ケアに向けて、在宅での皮下点滴トレーニングがお済みの場合には、内服ができない状況でも、注射薬の処方にてご自宅で対応していただくことが可能です。

 

生活環境を踏まえた診療プランを組ませていただいておりますので、安心して年末年始をお過ごしいただければと思います。

 

2024年も残すところあと僅か。

 

今年も心穏やかに過ごせることを祈りましょう。

 

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ペットはただの動物ではなく、ご自宅で一緒に過ごしてきた家族であり、日々の生活の中で積み重ねた「家族の時間」は、かけがえのないものです。

 

今回ご紹介するのは、12歳6ヶ月の女の子の猫ちゃん。

 

とても優しく、飼い主様に甘えん坊な性格の猫ちゃんですが、外出や通院が極端に苦手で、キャリーに入れるだけで呼吸が乱れ、パニックを起こしてしまうほどでした。

 

この子に消化器型リンパ腫が見つかったのは、突然のことでした。

 

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診断後の決断。通院治療か、それとも在宅でのケアか

最初に症状が出始めたのは2024年8月。

 

少しずつ食欲が落ち、元気がなくなっていく猫ちゃんを見て、ご家族様はどこか「ただの食欲不振だろう」と楽観的に考えようとしていました。

 

しかし、その様子が日を追うごとに悪化し、体重も急激に減ってきたことで、意を決して近くの動物病院を受診。

 

そこで告げられたのは「消化器型リンパ腫」という病名でした。

 

通院を勧められたものの、移動が大きなストレスになる猫ちゃんにとって、抗がん剤治療を続けることは苦痛以外の何物でもないとすぐに判断されたそうです。

 

大好きな家族と一緒にいられることが、この子にとって何よりも大事だと考えたご家族様は、在宅でできる緩和ケアを探し、当院にたどり着きました。

 

初めてお会いしたとき、ご家族様は明るく振舞おうとしていましたが、心の内には深い不安が渦巻いているのを感じました。

 

「本当にこれでいいのだろうか」

 

「もっと積極的な治療を受けさせるべきでは?」

 

という葛藤。

 

そして何より、「この子の最期を、どう見守ってあげるべきか」という問いを胸に秘めているのが伝わってきました。

 

初診時に見えたご家族様の愛情と、私たちの責任

初診時、約1時間半の問診を行いました。

 

猫ちゃんの病状の変化を辿るのはもちろんのこと、ただその時間のほとんどは、ご家族様の想いを伺うことに費やされました。

 

診察室ではなく、自宅のリビングで、猫ちゃんがいつものベッドの上で丸まっている様子を見ながら、ご家族様はこれまでの日々の出来事や、診断を受けたときのショック、そして「どこまで治療すべきか」という迷いを、涙ながらに語られました。

 

「この子に負担をかけたくない。大好きな家で、できるだけ苦痛のないようにしてあげたい。でも、私たちの選択が、この子にとって正しいのかどうか……わからないんです。」

 

その言葉に、私たちも胸が締め付けられる思いでした。

 

病気と闘うか、それとも穏やかな時間を優先するか。

 

どちらを選んでもご家族様にとっては苦しい選択です。

 

それでも、最後にご家族様が出した結論は「自宅で見守りながら、できる限り穏やかな時間を過ごさせてあげたい」というものでした。

 

日々の診療を通して変わるご家族様の気持ち

初診時の検査結果に基づき、緩和ケアを中心に診療方針を立てました。治療計画には、通院を避けるための皮下点滴や自宅での注射投与が含まれ、ご家族様も積極的にケアに取り組まれました。

 

特に、注射の指導をする際は、最初は恐る恐るだったご家族様が、少しずつ自信をつけていかれるのを目の当たりにし、「この子のために私たちも頑張らなければ」と覚悟を決められた姿を見て、家族って本当にすごいなと思いました。

 

しかし、診療が進むにつれ、病状は日々変化していきました。

 

状態が落ち着いている日もあれば、急に呼吸が乱れ、不安な日々を過ごさなければならないこともありました。

 

その度に、ご連絡をいただいたり、往診の頻度を変動させ、注射薬の内容を調整し、ご家族様の不安を少しでも減らせるようにサポートを続けました。

 

中でも、特に印象に残っているのは、呼吸困難の兆候が強まったときのことです。

 

酸素室の設置を提案した際、ご家族様は一瞬だけ「ここまでしても、この子は喜ぶだろうか」と迷われました。

 

けれども、酸素室の中で眠る猫ちゃんの姿を見て、「これで、この子が少しでも楽になっているなら」と安堵された表情を見たとき、この診療方針が正しかったと強く感じました。

 

最期の瞬間、穏やかに眠りについた猫ちゃん

初診から18日が経った時の再診の際、ご家族様には「残された時間がもうわずかであること」をお伝えしました。

 

どこかで覚悟はされていたものの、やはりそれを直接伝えられると、ご家族様の表情には悲しみが色濃くにじみました。

 

それでも、「家でこの子を見守ってあげたい」という想いに変わりはなく、最後まで家族と一緒に過ごせるよう、ご家族様は決意を新たにされたようでした。

 

「もし発作が起きたときのために」とお渡しした頓服薬を手にしたとき、ご家族様は静かに頷きながら「何があっても、しっかりと受け止めます」とおっしゃったのが忘れられません。

 

最期の時が訪れたのは、それから2日後の夜でした。

 

家族に見守られながら、穏やかに息を引き取ったというご報告をメールでいただきました。

 

最後に少しの痙攣は見られたものの、それ以外は本当に安らかで、まるで「今までありがとう」と伝えるように、静かに目を閉じたとのことでした。

 

自宅でできるケアの意義

在宅医療は、時として通院治療よりも飼い主様にとって大きな決断を伴います。

 

目の前で愛するペットが苦しむ姿を見るのは、ご家族様にとっても辛いことです。

 

それでも、自宅での診療が持つ意味は、ペットにとっても、ご家族様にとっても、かけがえのないものです。

 

今回のケースでは、ご家族様が一歩ずつ決断を重ね、ご自身の手で猫ちゃんを支える覚悟を決めたことが、最期の穏やかな時間につながったのだと思います。

 

私たちは、その過程を支え、ご家族様が少しでも安心して最期の時間を迎えられるようサポートできたことを心から誇りに思います。

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腫瘍というと、犬、特に大型犬という印象がありますが、猫ちゃんにも多く見られます。

 

猫ちゃんの腫瘍(がん)というと、最も多いのが皮膚腫瘍と言われており、次いで乳腺腫瘍、リンパ腫、と続いています。

 

猫ちゃんの皮膚腫瘍のほとんどが悪性の可能性が高く、肥満細胞腫や扁平上皮癌、繊維肉腫などその種類は様々です。

 

今回は、猫ちゃんが抱えうる腫瘍疾患(がん)の中で、最近よく在宅緩和ケアを実施している、「リンパ腫」について書かせていただきます。

 

「最近なんだか軟便気味だな」

食欲が少しだけ下がったような気がする

元気が少しだけないような気がする

体重が減ってきた感じがする

 

これらの症状は、もしかしたらリンパ腫が潜んでいるかもしれません。

 

往診専門動物病院での在宅緩和ケアにおける、実際の問診内容、検査プラン、処方プラン、生活環境へのアドバイスなどを中心に書かせていただきます。

 

 

予約時の問合せ内容

13歳の猫ちゃん(みー)で、1週間ほど前から元気食欲がなくなったとのことでした。

 

それ以外は至って普通だが、キャリーを見せるとよだれをこぼしながら興奮して隠れてしまい、頑張って動物病院に通院させようとしたが異常興奮したので、往診を希望したとのことでした。

 

通院歴はほぼなく、0歳の時に避妊手術とワクチンで動物病院に連れて行って以来、通院ができなくなってしまったとのことでした。

 

家の中なら、抱っこもできるし、落ち着いていると思うので、在宅でできる範囲で見てあげてほしいとのことでした。

 

初診時

ご家族様の印象通り、初対面の獣医師や看護師に対してもスリスリしてくれるような性格の猫ちゃんでした。

 

パッと見はそこまで体調が悪そうではないように見えるとのことでしたが、猫ちゃんの呼吸数はやや早めな印象を受けました。

 

往診専門動物病院では、通常の動物病院での問診と比べて長く時間を取り、深く伺うことが多いです。

 

当院では、初回問診は1時間〜2時間ほどかけています。

 

お伺いする内容は、元気、食欲、排便、排尿、飲水、発咳などの状況、今食べているご飯の種類や、猫ちゃんの好みのテイスト、ご飯の形状やあげ方、お水の位置や数、トイレについてなどです。

 

これらは基本的な内容ですが、生活環境や家族構成なども重要となる場合が多いので、そのあたりも深くお伺いすることもあります。

 

誰がどのくらい、この猫ちゃんの看護、介護に協力してくれるのか、どの時間帯に処置、処方のプランを組み込めば実施可能なのかなど、ご家族様ごとに組み立てさせていただきます。

 

この猫ちゃんの場合、まずは現状を把握するため、血液検査、超音波検査(エコー検査)を実施することとしました。

 

状態に応じて検査項目や検査種類を変えますが、かなり重篤な状態で、ストレスによってぐったりしてしまう可能性が高いと判断された場合には、まずは検査よりも臨床所見を持ってある程度診断を下し、処置のみを先行することもあります。

 

この猫ちゃんの場合には、初診時の状態がそこまで歩くなかったこともあり、検査が可能であると判断しました。

 

検査結果

往診では、ご自宅にて血液検査や超音波検査(エコー検査)、尿検査などを行うことが可能です。

 

中にはその場で結果がわかる検査もございますが、血液検査などの場合には、血液を持ち帰って検査を行いますので、次回診察時に結果のご説明をさせていただいています。

 

この猫ちゃん場合にも、血液は持ち帰っての検査となりましたが、その場で結果を一緒に見ることができる超音波検査(エコー検査)にて、お腹の中(腹腔内)にボコボコした腫瘤病変が、複数個確認されました。

 

初めて画像検査であったこともあるので、もしかすると昔から、または体質としてリンパ節が腫れやすい猫ちゃんも経験しているため断定はできませんが、画像の所見上で最も疑わしい病気として、リンパ腫の可能性をお伝えしました。

 

猫ちゃんのリンパ腫の余命は、抗がん剤などの積極的な治療を図らない場合には、おおよそ2ヶ月程度です。

 

また、経験上最初の6週間は元気なことが多いですが、そこから一気に体調が崩れていく印象です。

 

今回の猫ちゃんの場合も、この説明をさせていただき処置を行い、翌日も診察を組むこととしました。

 

その後のプラン

翌日には血液検査結果がある程度出揃い、数値には何も異常を認めないという、腫瘍疾患らしい結果が出ました。

 

こちらも主観的ではありますが、部位によって異なりますが、猫のリンパ腫の多くで、肝臓や腎臓などの数値が大きく崩れていることは少ないと受け取っています。

 

そのため、猫ちゃんで多い皮下点滴に関しても、輸液量を極端に少なくすることが可能であり、実際に投薬に要する時間は5秒ほどで完了しました。

 

そこに医薬品を混ぜることで、苦い薬を口から飲むことなく背中に入れてしまうことができるため、投薬後に口をくちゃくちゃしたり、泡を吹いてしまったりということが起きないようにすることができます。

 

ただ、皮下点滴ですので、実施にあたって誰が協力してくれるのかを明確にすることがとても大切であり、最終的にはご家族様の覚悟の問題になる場合が多いです。

 

病気の初期では、猫ちゃんも元気さが残っているため嫌がることが予想されます。

 

ここでは、皮下点滴時の保定の仕方が、皮下点滴成功への鍵となります。

 

ほとんどのご家族様で、みんな在宅での皮下点滴を実施できていますが、どうしても難しい場合には、別のプランを常に準備していますので、1つの方法に固執することなく、ご家族様が諦めなければ都度ご提案させていただいています。

 

2024年1月21日から始まった、この猫ちゃんが抱えたリンパ腫に対する在宅緩和ケアは順調に進み、最初の2週間は元気さを取り戻すことができました。

 

しかし、3週目からはだんだんと弱々しさが見えてきて、医薬品の量と頻度の変更が必要となりました。

 

そして2024年2月21日、いつもは入らないリビングにあるこたつの中に朝から入ったので、中を覗いたところ、そこで眠りについていたとの事でした。

 

お母さんはずっと付きっきりで看病してくれていましたが、きっと最後の姿を見せたくなく、最後の場所として、こたつの中を選んだと思います。

 

みーちゃんのご冥福、心からお祈り申し上げます。

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最近、腫瘍を抱えた犬猫の在宅緩和ケアのご依頼をいただくことが多くなりました。

 

「緩和ケア」と聞くと、「がん(癌)」というイメージが強いですが、犬猫においては、慢性疾患に該当する心臓病、肝臓病、腎臓病などにも、適応すると考えています。

 

慢性疾患は、いかにして進行を抑止して行くのかが大切です。

 

早期発見早期治療といっても、治療ができない場合がほとんどであり、そのため、症状をできるだけ緩和させながら、定期的な血液検査や尿検査、画像検査などを実施して、医薬品の種類であったり用法用量、ご飯の話などを行います。

 

おそらく、これらの疾患を抱えた場合に、動物病院に通院ができる犬猫の場合でも、上記の内容を逸脱することはないかと思われます。

 

「いつまで通院で頑張るべきなのか」というご質問をよくいただき、その回答としては、「愛犬、愛猫のストレス状況を見て判断する」とよくお伝えしています。

 

しかしながら、本来であれば、血液検査や画像検査などで診断が下された時点で、緩和ケアに自然と移行されています。

 

腫瘍であれば、根治治療を目的に腫瘍外科や化学療法(抗がん剤)、分子標的薬や放射線治療などの選択肢が提示されますが、年齢的なもの、体力的なもの、そして、ご家族様としてどこまで頑張らせたいのかによって、選択は異なってきます。

 

そして、もう根治治療ではなく、腎臓病に対する点滴や、心臓病、肝臓病に対する内服薬でのコントロールを含めた緩和的な治療を選択されるのであれば、次に考えるべきなのは、動物病院への通院医療なのか、訪問での在宅医療なのか、です。

 

どちらを選択しても間違いではないです。

 

費用面を考えると、通院の方が安いです。

 

しかし、犬猫のストレスを考慮すれば、答えは異なることが多いです。

 

最終的な判断はご家族様に委ねられるため、家族内で話し合っていきましょうね。

 

ここからは、実際の緩和ケア症例についてです。

 

今回は、緩和ケア症例の中でも、「腫瘍(がん)」を抱えた猫ちゃんの在宅緩和ケアについて書かせていただきます。

 

現在、動物病院への通院で抗がん剤をされている方、また、もう抗がん剤はやめて内服や注射などの緩和治療に切り替えられている方は、是非ここで、在宅緩和ケアついて知っていただければと思います。

 

扁平上皮癌の猫

2022年12月10日に動物病院への通院ではなく、往診での在宅医療に切り替えた症例です。

 

2022年9月頃に顔が腫れていることを主訴に、かかりつけの動物病院に通院したところ、歯槽膿漏を疑われ、抜歯を行うことで経過観察となったとのことでした。

 

しかし、そこからさらに顔の腫れがひどくなったことで、病理検査を行ったところ、扁平上皮癌の診断を受けたとのことでした。

 

この日から通院で痛み止めを処方されていましたが、だんだんと内服薬を飲ませるのが辛くなり、食欲もなくなり、ふらつきが目立ってきたため、在宅緩和ケアに切り替えました。

 

かかりつけの動物病院から紹介状をいただけたこともあり、そのデータを元に在宅緩和ケアプランを作成していきました。

 

ご家族様はお父さん、お母さん共に基本的には在宅とのことでしたので、1日3回の処置が可能であると判断しました。

 

痛み止めを1日3回、また、朝と夜分は、その他医薬品と一緒に皮下点滴に混ぜることで投与してもらいました。

 

なお、血液検査結果では肝臓や腎臓などの数値が正常であることが多いのが、腫瘍疾患の犬猫の特徴でもあります。

 

なるべく少量の皮下点滴、そして、なるべく細い針で実施してあげることを選択することができます。

 

この猫ちゃんの場合には、輸液剤は3mlだけで十分であると判断しましたので、実際の皮下点滴に要する時間はほんの数秒程度です。

 

苦い薬を口に無理やり入れられることもないため、投薬後の口腔内の違和感もなく、また必要な医薬品を必要な分だけ的確に投与できるため、食欲は回復し、動きも良くなりました。

 

このプランをベースとし、都度容態に合わせて変更させながら在宅緩和ケアを進めていき、2023年1月22日に旅立ちました。

 

この猫ちゃんの場合には、かかりつけの動物病院からの紹介状もあったことから、事前情報がある程度まとまった状態で訪問させていただけたことによって、即日の在宅緩和ケアプラン作成を行うことができました。

 

お母さん、そして担当していた獣医師の早期判断により、診断を持って在宅での緩和ケアに切り替えられた症例でした。

 

獣医師の中には最後まで通院を進めたい先生もいますが、そこはご家族様の意思次第になると思われます。

 

また、途中から薬だけをもらうために、ご家族様だけ通院し、写真や動画で説明して状況を伝えるというのも、状況次第ではやめた方がいいです。

 

状況が安定している犬猫の場合であれば、ある程度はそのレベルで判断できるとは思います。

 

しかし、今回のような緩和ケアの症例では、日々状態が変化するため、獣医師としても、犬猫を実際に見てみなければ判断できません。

 

そのため、動物病院の休診時間に往診にきてくれないのであれば、早々に在宅緩和ケアを得意とする往診専門動物病院を探したほうがいいです。

 

在宅緩和ケアに特化した往診専門動物病院は希少ですが、東京、埼玉、千葉、神奈川であれば、私たちがお力になれます。

 

愛犬、愛猫で腎不全、心臓病、肝臓病、腫瘍(がん)、また甲状腺機能亢進症や低下症などの慢性疾患を含め、完治を見込めず、医薬品を使って症状を抑え込んでいくことが求められた場合には、早々から在宅に切り替えてあげることを推奨します。

 

当院のような、犬猫の在宅緩和ケアに特化した往診専門動物病院では、獣医師だけでなく、在宅に特化した愛玩動物看護師が一緒にお伺いさせていただきます。

 

医療面だけでなく、床の種類、ご飯の種類やその子その子に応じたご飯のあげ方、ものの配置やトイレの相談など、生活面の全てをご相談いただけます。

 

近い将来、私たちのような在宅医療に特化した往診専門獣医療チームが全国に広がっていくことを信じています。

 

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猫の心臓病といえば、肥大型心筋症です。

 

と言い切ると語弊がありますが、犬だと僧帽弁閉鎖不全症が多い中で、猫ちゃんは心筋の病気が多い印象があります。

 

そもそもが動物病院への通院を苦手とする猫ちゃんにとって、心臓病で苦しい中、ストレスを加えられながら通院して、検査を受けることが、果たしていつまで続けられるのかという課題は常に抱えているのが、動物病院として心苦しいところではあります。

 

しかし、通院してもらえなければ、心臓の精査は叶わないため、可能な限り、動物病院としても通院を促すしかないのが現状です。

 

ご自宅にいながらも、血圧や心電図などの補助的な検査であれば、猫ちゃんの性格にもよりますが、ご家族様だけで実施可能です。

 

心筋症を発症すると、肺水腫を起こすこともありますが、胸水貯留を起こすこともあります。

 

肺水腫を発症した場合には、その苦しさから救急的な処置が必要であり、また帰宅後も酸素ハウス内での集中管理を余儀なくすることが多いです。

 

完全に回復するまでは動物病院の酸素室内で集中的に管理してもらい、安定して酸素室から離脱できるようになってから帰宅させてあげたい気持ちも山々ですが、実際のところ、入院中は慣れない環境ということもあり、ご飯を全く食べてくれない、という猫ちゃんが多くいます。

 

その場合には、安定する前に帰宅せざるを得ないため、在宅での集中的な酸素管理が求められます。

 

今回は、通院で肥大型心筋症の検査と治療を行っていましたが、もう入院が難しいとされ、在宅での緩和ケアを実施した猫のミーちゃんのお話です。

 

東京足立区に住む、穏やかで人が大好きな日本猫、15歳の女の子です。

 

胸水抜去を繰り返しながらも、調子がいい時は酸素室の外でゆったりと過ごせていました。

 

内服薬の量が増えてしまって大変ですが、それ以上に動物病院での入院が辛かったのか、全部理解したようにちゃんとウェットフードと一緒に食べてくれていました。

 

最後は家族が揃った団欒の時間、2023年11月15日、リビングで眠るように旅立って行きました。

 

家族の力って、本当にすごいなと思う症例です。

ミーちゃん①.jpg

 

既往歴

2018年10月に、呼吸が変だなという感じから、かかりつけの動物病院に通院したところ、肺水腫を発症していたことから、緊急入院し、3日間入院した後に安定した頃から退院となったとのことでした。

 

ただ、8月にも健康診断で診てもらっていたのに、なぜ今になって急に心臓病が発症したのかということに不信感を得たことから、他院後は別の動物病院にて、心臓病の治療を進めていたとのことでした。

 

なお、最初の動物病院に今までの経過を伺ったところ、教えてくれなかったとのことから、新しいかかりつけとなる動物病院では、過去のデータがないままの初診となりましたが、特別問題なく受け入れてくれたとのことでした。

 

こちらの動物病院では、月に1回だけ、循環器専門医が来てくれたとのことで、その日に通院して心臓の精査をしてもらっていたとのことでした。

 

最初の動物病院で出された内服薬を確認すると、別の医薬品の方がミーちゃんの容態には合うかもしれないとことから変更を加えてくれたとのことでした。

 

その後も何度か肺水腫を繰り返し、入退院を繰り返しましたが、2022年9月に胸水が溜まってしまい、動物病院で抜去してもらったところ、それ以降キャリーを見ると異常に興奮してしまうことから、もう通院は難しいと判断し、かかりつけの動物病院と相談し、往診専門動物病院で緩和ケアを受けるように指示されたとのことでした。

 

経過報告書を作成していただけていたので、猫のミーちゃんの経過を把握することができ、どの抗生物質がミーちゃんと相性が悪く、またどの心臓薬を使ったらどんな反応が出たので、今の処方内容になっているのかという投薬歴も明記されていました。

 

ミーちゃんのことを真剣に診ていてくださったことが、書面から感じ取ることができるものでした。

 

ミーちゃんの在宅緩和ケアプラン

2022年10月3日に初診で訪問させていただきました。

 

知らない人が来ても、特別興奮することなく、逆に酸素ハウスから出してと言って、出てきてはスリスリしてくれました。

 

初診時には、すでに酸素ハウスが設置されており、酸素流量8L/min、酸素濃度60%で、酸素室内の酸素濃度が35%〜45%で管理されていました。

 

投薬内容も継続処方とさせていただき、内容によっては苦味の少ないもので代用できると判断し、できるかぎり飲みづらさを緩和させてあげました。

 

最初のうちは、月1回程度の訪問と継続処方、エコー検査、3ヶ月に1回の血液検査でコントロールしていました。

 

2023年1月9日から、呼吸状態が悪化してきたため、酸素管理方法を変更し、最初の頃の酸素発生装置1台体制だったのに対して、酸素発生装置2台での管理に変更しました。

 

また、胸水貯留を確認したため、処方されていた1日1回の利尿剤の用量を増加させることで、胸水の消失を認めることができ、そのまま管理としました。

 

しかし、3月7日に胸水が中等度まで貯留していることを確認し、胸水抜去に踏み込みました。

 

胸水抜去は、肋骨と肋骨の間を針で貫く必要があるため、腹水抜去と比較にならないほどの痛みを伴います。

 

そのため、往診では鎮静処置をしてから実施するようにしていますが、我慢強い場合や、状態から鎮静状態にある場合、すでに鎮静処置に耐えられない状態などの場合には、そのまま抜去してあげています。

 

胸水抜去は、通常の動物病院で実施するのと、往診にてご自宅の中で抜去するのでは、リスクが異なります。

 

そのため、十分にご理解いただき、事前にご家族様の同意を得ることが必要となります。

 

ミーちゃんの場合には、鎮静処置をせずに戦うこととし、見事耐えてくれました。

 

抜去する、ものの数分で呼吸が安定し、酸素室内であれば立ち上がって鳴いてる姿まで見せてくれました。

 

失神を起こす可能性や、急にチアノーゼを起こす可能性などを説明させていただき、その時にどんなアクションが取れるのか、事前準備を徹底的にさせていただきました。

 

往診は救急車ではないこと、そして救急症例には対応しかねるため、急変時は救急が対応できる動物病院に飛び込むか、そのまま看取ってあげるかの2択です。

 

ただ、そのまま看取るとしても、その時ご自宅でできることを理解しておけば、最後まで病状と戦うことができます。

 

気づけば家族みんなが、立派な動物看護師となり、ミーちゃんの容態をしっかりと管理してくれるまでに成長していました。

 

旅立つ前日に1回だけ発作を起こしましたが、最後の時は、本当に眠るように静かだったとのことでした。

 

2023年11月15日、家族が見守る中、大好きなリビングで静かに旅立ちました。

 

ミーちゃん②.jpg

 

動物と暮らす全ての方へ

最初に通院した動物病院は、おそらく家から近かった、その地域で人気があった、診療費が安かったのでいい先生だと思った、などの理由で、その動物病院をかかりつけとしたかと思います。

 

しかし、動物病院で働く獣医師も人であり、それぞれに得意、不得意があります

 

予防に力を入れる獣医師もいれば、先進医療に尽力し、新たな病気を発見したり、治療方法を提唱したりなど、獣医師によって様々です。

 

本当に、今のかかりつけの動物病院だけで大丈夫でしょうか。

 

現在の動物病院のスタンダードは、ある程度の医療機器や設備は整っているものであり、またネットワークとしては、外部の専門医による診療日を設けている動物病院も少なくありません。

 

経過報告書の作成や紹介状の作成などは、日常診療業務の中で当たり前のように舞い込んできます。

 

今の時代は1次診療と2次診療が手を組み、紹介医療の確立がある程度成されてきていると考えています

 

そんな中、もし専門医への紹介を拒まれた場合には、その理由に納得できるかどうか、まずはかかりつけの動物病院にお尋ねください。

 

しっかり理由を伺った上で、それでも納得できなければ、かかりつけの動物病院を変えることをお勧めします。

 

その選択が正しかったかどうかは、最後にわかることと思われますが、その決断をするかどうかは、全てご家族様次第です。

 

覚悟して行動するのも一つ、またかかりつけの動物病院を信じて最後まで愛犬、愛猫の命を付けて行くのも一つです。

 

そして、もし通院が難しいとなった場合には、病気を受け入れ、余生をできるかぎりストレスなく過ごさせるために、在宅緩和ケアに切り替えることも、また一つだと覚えておいてください。

 

何をどこまでするのが正しいのか、には答えはないです。

 

早期からご家族様で相談し、少しでも後悔ない選択ができるよう祈っています。

 

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犬猫の往診専門動物病院
わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
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〒111-0036
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猫の腎臓病を疑うサイン(東京/猫/往診)

猫ちゃんは言葉を話すことができないため、猫ちゃんが発するサインをご家族様が受け取らなければいけません。

 

また、そのサインをどう解釈するかによって、次の行動が大きく変わることと思います。

 

動物病院への通院が苦手ながらも定期的にできているご家族様であれば、その違和感について、すぐにかかりつけの動物病院に問い合わせることで、通院を促してもらえることと思います。

 

しかし、猫ちゃんの多くがかかりつけと言えるほどの動物病院を持っていません。

 

通院が苦手であり、昔行っていた近所の動物病院で暴れてしまったことをきっかけに、もう来ないでくださいなど辛辣な言葉を受けたご家族様も少なくありません。

 

ただ、多くのご家族様が通院をやめるきっかけが、「キャリーに入れたら発狂した」「通院させた後に、逆にぐったりさせてしまった」などのネガティブな経験、そして、「体調が悪そうだったけど放っておいたら3日くらいで治った」というある種の成功体験をきっかけに、通院しないでも大丈夫という意識付けがなされているように思われます。

 

若い時であれば、それでもいいかもしれません。

 

免疫力も高く、栄養状態も万全の頃であれば、大病でなければ自力で回復させることができると思います。

 

でも、10歳以上の高齢だった場合には、受け取って違和感のサインを見逃すことで、致命的な結果となってしまうかもしれません。

 

緊急のサインはたくさんありますが、在宅緩和ケアの観点から、診察をしてあげたほうがいいと思われるサインをいくつかご紹介させていただこうと思います。

 

動物病院への通院が苦手な猫ちゃんと暮らしているご家族様は、是非ご一読いただければと思います。

 

ご飯の減りが悪い(食欲低下、食欲廃絶)

このサインは、もっとも見逃されやすいサインと言っても過言ではないと感じています。

 

ここでいう食欲低下は、こんなストーリー性を持っています。

 

a.1週間以上前から、食欲が50%ほどまで下がっているような気がしていた。

b.ここ1週間はほとんど食べなくなっていた。

c.2日前からは、チュールを舐める程度しかできていない。

 

往診のご依頼をいただくのは、大体cになってからが多く、10歳以上の猫ちゃんにおいて高い確率で腎臓病がヒットしています。

 

aの段階で往診のご予約をいただけるケースは稀となっている理由は、上記のとおりです。

 

3-③ 食欲が下がった.JPG

 

このケースでの往診では、1つの例として以下のような流れで取り組んでいきます。

・Day1 初診時にフル検査(血液検査、超音波検査)と処置

・Day2 翌日までに院内検査結果が出るので、結果に沿って処置内容を変動させ実施

・Day3 外注検査結果が出てくるので、その内容を元にさらに処置内容を変動させ、短期処方プラン決定

・Day7 経過確認と必要に応じての再検査。

 

このプランは、猫ちゃんの在宅緩和ケアプラン作成が必要な症例の多くで実施している内容です。

 

これから往診専門動物病院での在宅緩和ケアの実施をご検討中のご家族様にとって、1つの参考になればと思います。

 

よく吐くようになった(嘔吐、頻回嘔吐)

主訴で嘔吐が関与してくることはかなり多いです。

 

猫ちゃんの場合には、週1回程度であれば生理的嘔吐と呼ばれる現象かもしれないので様子見とされることが多いです。

 

しかし、以下のような場合には見逃してはいけません。

 

・嘔吐後に食欲減退、ぐったりなどの一般状態の変化を伴った場合

・頻回嘔吐(当院では1日に3回以上吐いたら該当するとお伝えしています)

 

また、上記以外でも、吐瀉物が白(胃液)ではなく茶色だった場合には、フードの色や未消化物の影響しているかもしれませんが、急いだほうがいいかもしれないので、必ずご連絡いただくようにお伝えしています。

 

高齢猫において、嘔吐は状態を大きく加工させる現象の1つですので、在宅緩和ケアでは注視してあげたいポイントになっています。

3-⑨ 吐く頻度が増えた猫 .jpg

 

 

痩せた気がする(削痩)

いつも一緒にいると、体重や体型の変化に気付きづらいものです。

 

毎日のように体重測定してあげていれば別ですが、おざなりにされやすい指標評価の1つが、体重の変化です。

 

痩せてきたなと感じた時には、すでに最盛期から半分近くまで減っているということも少なくありません。

 

年齢のせいで痩せてきたと解釈されているご家族様も多いですが、もちろんそういった場合もありますが、やはり基礎疾患によって体重減少を伴ってしまったと考える方が自然だと考えます。

 

もしかしたら、今苦しくてご飯を十分に食べられないのかもしれません。

 

基礎疾患がなければ老化現象だったと受け取ってあげるとして、まずは基礎疾患を調べであげましょう。

 

また検査は万能ではないので、原因は突き止められないかもしれません。

 

その場合でも、今ある症状に対して緩和処置を施してあげることは可能ですので、まずは獣医師に相談するようお勧めします。

 

3-⑦ 痩せてきた猫.png

 

まとめ

このほかにも、ふらつきが出始めた、飲水量が増えた、おしっこの量が増えた、口が痛そう、臭いが変わった、などまだ挙げればたくさんありますが、今回はよく往診の初診で伺う主訴の中から抜粋させて記載させていただきました。

 

猫ちゃんは通院が苦手な生き物です。

 

だからこそ、日常の中で彼らが発するサインを、ご家族様が的確に捉えなければいけません。

 

もし通院ができない猫ちゃんと暮らしている場合には、まずは家まできてくれる往診専門動物病院があるのかを検索しておきましょう。

 

また、もし可能であれば、大きく体調が下がってしまう(急変)前に、事前にその往診専門動物病院で健診を受けておくことをお勧めします。

 

東京23区とその近郊(都下、千葉、埼玉、神奈川)までであれば、往診専門動物病院わんにゃん保健室が訪問させていただきます。

 

ご家族様がではさわれなくても大丈夫です。

 

在宅医療専門スタッフがお伺いさせていただきますので、診察時に、ご家族様に保定をお願いすることも、捕獲をお願いすることもございません。

 

猫ちゃん、特に10歳以上の猫ちゃんと暮らしている場合には、健診を踏まえて、一度ご相談ください。

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年末年始の休診情報

●往診受付最終:2023年12月26日

●往診休診:2023年12月27日〜2024年1月3日

●往診受付開始:2024年1月4日

 

 

初診の方へ

当院は、在宅医療に特化した往診専門の獣医療をご提供させていただいております。

愛犬、愛猫を、積極的な治療ではなく、苦痛をできるだけ減らしてあげ、家でゆっくりと余生を過ごさせてあげたいとお考えの場合には、在宅での緩和ケアを選択することができます。

体調が著しく低下し、もう何も食べない、動けないなど、ぐったりしてしまう前に、まずはご連絡ください。

事前に状況を把握させていただくことで、「急変時にどうしたらいいのか」をお手伝いさせていただきます。

 

もし年末年始の休診期間に入ってしまったとしても、そのタイミングぐったりしてしまいましたら、慌てず、まずはご連絡ください。

 

緊急のみに対応できる特別診療として、お受けできる場合がございます。

 

その場合には、年末年始特別診療費として、別途30,000円がかかります。

 

ご了承くださいますよう、お願い申し上げます。

 

 

当院での処方管理期間中のご家族様

休診期間中にぐったりした場合には、まずはご連絡ください。

 

スタッフが待機しておりますので、お電話にて状況を詳しくお伺いさせていただきます。

 

なお、緩和ケア、終末期ケアに向けて、在宅での皮下点滴トレーニングがお済みの場合には、内服ができない状況でも、注射薬の処方にてご自宅で対応していただくことが可能です。

 

生活環境を踏まえた診療プランを組ませていただいておりますので、安心して年末年始をお過ごしいただければと思います。

 

また、もし緊急での往診が必要と判断した場合には、対応できる場合もございます。

 

諦めず、まずはお電話にてご相談ください。

 

2023年も残すところあと僅か。

 

心穏やかに過ごせることを祈りましょう。

 

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かかりつけの動物病院で、最初から最後まで診てもらいたいと希望されるご家族様はたくさんいます。

 

ただ、なかなかこの希望が叶うのは珍しいと考えています。。。

 

それは、ご家族様が求める「医療内容」と、動物病院が提供できる「医療サービス」に、ステージごとで徐々に違いが出るからです。

 

今回は、どんな違い(ズレ)が、ご家族様と動物病院、獣医師の間で起こるのかを書かせていただき、ペットが終末期に差し掛かった時に、往診切替という選択肢を選ぶタイミングはいつなのか、についてお話しさせていただきます。

 

最後まで通院で行くと考えているご家族様でも、犬猫のライフステージごとに考えなければいけないことを書かせていただきましたので、是非参考のためにも、ご一読いただければと思います^^

 

【かかりつけ動物病院=家から近いところ】

家から近い.png

 

SNSが普及しているため、単純に家から近いからと選ばれるご家族様は減少傾向にありますが、それでも通院距離は動物病院選びの優先事項に位置しています。

 

パピー期、キトン期では特にこの傾向が強く、健康診断やワクチン接種、健康診断や日常ケアといった内容だけで完結する時期は、『家から近い』ため、その動物病院をかかりつけにされています。

 

時間が経つのは早く、なんとなく体調が悪そうな日が増えてきた頃、動物病院選びは次のステージに入っていきます。

 

【かかりつけ動物病院=口コミがいい】

1559730.png

 

家から近いという利便性を捨ててまで遠くにある動物病院に行く理由は、その動物病院が何かに優れているからです。

 

もちろん、知人や友人からの紹介というケースもありますが、紹介先として名前が挙がるような動物病院であれば、きっと信頼を置ける動物病院だと思います。

 

ただ、口コミがいい動物病院の多くが、「名医」という雰囲気を醸し出していますが、そんなことはないです。

 

飼い主様から支持されている本当の理由は、意外と別のところにあるかもしれません。

 

人気の理由①:人当たりがいい動物病院

人間の病院でも同じかもしれませんが、もちろん治療技術や実績に富んでいる場合もありますが、中には人当たりのいい先生であり、よく話を聞いてくれるという長所が口コミの高評価につながっていることもあります。

 

待ち時間が長いのは人気のある証拠ですが、ある程度の規模の動物病院であれば、昨今の予約システムの普及によって、昔みたいに何時間も待たされたなどの長時間の待合室トラブルは少なくなっているように思われます。

 

ただ、飛び込みですぐに診てもらいたい場合には、予約システムがしっかりしている動物病院では融通が効かないこともあるので、注意しましょう。

 

人気の動物病院であれば、ある程度の待ち時間は許容し、もしかしたら検査が入る可能性もあるので、丸1日通院のために空けておくくらいの時間配分を心がけたほうがいいです。

 

人気の理由②:設備システムの豊富さ

とはいえ、人気があっていい先生でも、動物病院のほとんどが小規模であるため、24時間診療をやりたいけどできないのが現状です。

 

朝診ていたペットが夜に急変し、夜通しその対応をした場合、翌朝に待機しているペットの診療が厳かになってしまうという、負のスパイラルが起きてしまうため、多くの動物病院が夜は診療をしていません。

 

獣医師も人間なため、最初は精神が肉体を凌駕するということもありましたが、そんな無理は長くは続かず、判断能力が下がってしまっては本末転倒なため、苦渋の決断として、夜は受け付けないのがほとんどです。

 

中には、再診のみで夜間救急を受け付けている動物病院もありますが、できれば夜間は夜間救急に飛び込めるように、ご家族様自身で、現状の既往歴、処置や処方内容など、初めて診てもらう動物病院でも情報が伝わるような準備をしておきます。

 

大病院.png

 

これら以外にもまだまだありますが、大体こんなところだと思います。

 

いよいよ大きな病気を患う頃になると、今度はこのまま通院し続けのか、往診に切り替えるべきかで悩む時期がやってきます。

 

【往診切り替えのタイミング】

往診切り替えのタイミングは、「治療が見込めないと判断された時」と、セミナーなどではお伝えしています。

 

この「治療が見込めない」には2つの意味があります。

・医学的に、すでに治療不可な状態

・負担を考えると攻めた治療ではなく緩和的な処置のみを希望したいとした状態

・通院させること自体が環境的に難しい状態

・通院させられないくらい弱ってしまった状態

 

例えば以下のような事例があります。

 

■猫、18歳、慢性腎臓病で毎日の内服、週数回の皮下点滴で通院している。定期検診は月1回くらいだが、通院自体がストレスになってしまい、もう通院ではなく在宅に切り替えたい。

疲れた猫.jpg

 

■犬/猫、腫瘍(がん)で抗がん剤など攻めた治療はしたくない。できる限り負担なく、家でゆっくり過ごさせてあげたい。

 

■大型犬で歩行が難しくなり、車に乗せるのも難しいため、往診で診てもらいたい。

図1.png

 

このように、医学的な側面だけでなく、環境的な側面、犬猫の性格などを加味して考えていくと、いつまで通院を選ぶのかが決まっていきます。

 

最後まで通院で行くという選択も一つですし、もう通院が難しいと判断し、往診に切り替えるのもまた一つです。

 

【わんにゃん保健室の往診(在宅医療)】

当院が提供している診療は、終末期と言われる、余命を見据えた最後の医療を、ご自宅で最後まで提供していく、終末期ケア特化型の在宅医療です。

 

当院の往診では、初診時に2時間枠を設けてじっくりとお話をお伺いさせていただき、ご家族様が何を不安に感じていて、何をしてあげたいのか、また、現実問題として何ができるのか、などをご相談させていただきます。

 

内服薬が飲めない性格の犬猫に対しては、内服ではなく注射薬処方プランをご提案したり、実際に看病にあたる方の日常のスケジュールを伺うことで、投薬プランが決められたりなど、リアルな生活環境を加味しながらのプランニングをしていきます。

 

往診を選ぶにしても、獣医師1人でくる簡易的な往診を希望されるか、当院のように体制を整えた往診を希望されるかなどで、在宅での検査プランや治療プランも変わってくるかと思います。

 

まずは、ご自宅まで来てくれる往診を調べておくことから始めましょう。

 

その上で、いつまで通院で、どこからの在宅切り替えがおすすめなのか、かかりつけの獣医師とご相談しておくことを覚えておきましょう!

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ご紹介【わんちゃんホンポ】

「わんちゃんホンポ」というwebサイトを見たことはありますか?

 

わんにゃんとの生活に特化したもので、ペットライフに関する情報サイトです。

 

アプリも作られているので、使い勝手も良さそうです^^

 

犬を飼うための知識やしつけ、お手入れ、仕草でわかる気持ちなどが掲載されています。

 

・しつけの仕方
・散歩の仕方
・グッズ紹介
・どの犬種が合っているのか
・留守番のさせ方
・老犬との生活
・日常ケア

 

こんなカテゴリがありました^^

 

カテゴリも幅広く、情報も豊富ですね。

 

当院が監修しているわけではないのですが、いろいろな獣医師が記事監修をしていることもあり、しっかりとしたサイトになっている印象です。

 

犬の病気の情報、食べてはいけないものなど、様々な記事が出ていますので、お時間のある時に是非立ち寄ってみてください^^

>「わんちゃんホンポ」ウェブサイトはこちら

往診専門動物病院の存在を知ってもらう上で大切なことは、「一体何ができるのか」ですよね。

 

当院は犬猫の往診専門動物病院なため、今回は犬猫を専門とする往診(当院)と通常の動物病院を比較しながらお話しさせていただきます。

 

通常の動物病院をどう標準化してお話しするかですが、小規模の動物病院(獣医師1人、動物看護師2〜4人、血液検査機器、X線検査機器、超音波検査機器まで)を比較対象としていきます。

 

ちなみに、内視鏡を保有している動物病院は一般的ではないので、かかりつけの動物病院で内視鏡対応ができなければ、できる病院がどこにあるのか獣医師に事前確認しておきましょう。

 

万が一誤食してしまった場合、胃腸切開ではなく、内視鏡が備わっていれば、内視鏡下による摘出が選択肢に生まれてくるかもしれません^^

 

では、比較していきましょう。

 

【人数規模】

スタッフ数の差はないです。(※往診専門動物病院わんにゃん保健室の場合のみ)

 

当院の場合、獣医師(私)が1人、愛玩動物看護師が3人、動物ケアスタッフが1人の計5人体制ですので、今回比較する動物病院の規模と比較してもほぼほぼ一緒です。

 

ただ、通常の往診専門動物病院では、獣医師1人で運営しているところが大多数を占めていますので、当院がむしろ特殊なのかもしれません。

 

どんな診察においても、常に万が一の事態が起きることを想定していなければいけません。

 

その時のことを考えれば、ある程度のスタッフ人数規模が安全性の指標にもつながると、私個人としては強く考えています。

 

外回りと言われる、フリーな状態で臨機応変に動けるスタッフが1人、その場にいられるかどうかで、緊急時の初動速度に大きな差が生まれてきます。

 

もちろん熟練度は必須ですが、そこは外部からでは見ることができないため、比較しようがないため、客観的な数字だけで、まずは評価していきましょう。

 

 

【保定技術】

保定技術は、求められる能力によって異なりますが、基本的に相違ないです。

 

獣医師も保定に参加しますが、基本は補助スタッフである愛玩動物看護師にお願いすることが多く、彼らの保定能力は専門技術と言えるくらい高度なものです。

 

押さえ方一つで犬猫を興奮させてしまったり、不安にさせてしまったり、痛い思いをさせてしまったり...

 

そして、状態の悪い犬猫の保定はさらに難易度が高く、採血の保定一つをとっても、血圧も低く血管も細く潰れやすくなってしまった老体に対して、ゆっくりと十分量を採取するため、数分間全く動かさないくらいの覚悟ある保定が必要です。

 

令和5年4月1日に、動物看護師さんの資格が国家資格化したこともあり、ようやくこの専門的な能力を理解していただけるような社会になったんだなと思っています。

 

保定をご家族様にお願いすることは基本的にはないのですが、お母さん、お父さん抱っこの方が落ち着いて診察させてくれる場合もありますので、その際にはお声かけさせていただきます。

 

その場合にも、ご家族様の隣には必ず動物看護師が付きますので、安心して取り組んでいただけますので、一緒に頑張っていきましょう。

 

【問診】

往診は、飼い主様の声をヒアリングする問診に、特に力を入れています。

 

通常の動物病院では、初診時問診であって15分程度であることに対し、往診では1時間以上かけて、今までの経緯の全てをお伺いさせていただきます。

 

過去の検査結果がお手元にあれば、参考資料として、その場で見させていただきます。

 

当院の往診は、特にターミナルケアという終末期の医療としてご依頼いただくことが多いため、今までどんなことがあって、その時何をして、どうなったのか、その時どう感じたのかなど、時系列に沿ってできるだけ多くの情報をヒアリングさせていただき、今何ができるのかを考えていきます。

 

ご家族様のお話を最後まで伺い、やってあげたいことは何なのか、誰がそれをできるのか、現実問題実施可能なのか、などなどを一緒に考えていきます。

 

とはいうものの、緩和ケアやターミナルケアではなく、単純な処置のみでのお伺いを希望されることもありますので、状況次第で変化させていきます。

 

【検査】

大きな違いで言えば、X線検査と内視鏡検査は施設がある通常の動物病院でなければ実施できません。血液検査、尿検査、便検査など、その場に大型医療機器がなければ実施不可能ではない検査の多くは実施可能です。

検査結果はその場で出るものもあれば、持ち帰って検査結果を得られるものもあり、その場で結果を見て急ぎ方針を立てなければいけない病態を急性期といいますが、急性期であれば往診を待つのではなく、入院覚悟で急いで通院させましょう。

 

【処置と処方】

処方できる医薬品は動物病院の方針に依存しているため差はなく、全身麻酔をかけた処置を除いた内容では、できることに大きな差はないです。ただ、あえて書かせていただきたい大きな違い、それが「リスク」です。

 

万が一の時に挿管して人工呼吸器に繋ぐという一連の動作は、動物病院で設備が整っていなければいけません。

 

往診でのリスク説明が必須となってくると考えられる処置に、胸水抜去があります。

 

胸水抜去は、肋間に針を刺して胸腔から貯留してしまった液体を抜去してあげるのですが、肋間を針が通過する時に強い痛みがあり、ペットが大きく動いてしまうことが想定されます。

 

また、この状態の犬猫では呼吸状態が悪いことが予想されるため、当院では酸素環境を整え、信頼できる動物看護師を2人以上揃えてから、胸水抜去に挑んでおります。

 

万が一ペットが動いてしまって、肺を切ってしまうようなことが起こらないよう、準備できるものは万全にしておくことで、往診専門動物病院として7年目となる2023年現在においても、安全に胸水抜去が行えております。

 

まとめ

今回は、往診専門動物病院と小規模の動物病院とを比較して、往診専門動物病院とは一体どんなものなのかを説明させていただきました。

 

とどのつまり、ご家族様が動物病院選びをするときに必要なことは、外からしか判断ができないことを考えると、まずは医療設備がどんなものがあるのか、スタッフ体制や人数、といったことを病院のwebページで確認しましょう。

 

先生の力量は私たちから見てもわからないため、そこを判断基準に入れて考えると、きっと迷走してしまうと思われます。

 

治療を求めるのであれば通院、緩和を求めるのであれば往診。

 

診断を求めるのであれば検査が必要で、X線検査を含めた検査を希望するならば通院、猫の腎臓病などで血液検査と尿検査が必要なだけであれば、往診で十分対応可能です。

 

ペットの性格を加味して、診療形態を通院にするか、往診にするかを選んであげましょう。

 

まだまだ書き足りないことが山ほどあるので、これからもどんどん描いていきますので、お楽しみ^^

 

前回のブログ

往診専門動物病院を知る①(往診の現状と保定は専門技術ということ)

 

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当院の往診は、一過性の症状に対する治療にも対応しております。

在宅医療特化型の犬猫往診を東京23区を中心に近隣地区までお伺いし、慢性疾患に対する検査-処方コントロール、および緩和ケアと看取りまでのターミナルケアに対しては、専門的に取り組んでおります。

わんちゃん、猫ちゃんの在宅医療でお困りのご家族様、まずはご相談ください。(03-4500-8701 / 10:00-19:00 / 不定休)

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休診のお知らせ(東京/犬/猫/往診)

代表獣医師の江本です。

 

5月22日(月)、23日(火)は、社内総会のため休診とさせていただきます。

 

4月以降、終末期ケアを希望される診察で混み合ってしまい、通常の時間枠での予約が取りづらい状況となっております。

 

可能な限り診療時間外の枠も開放し、順次対応させていただいておりますので、診療をご希望される飼い主様は様子見してからではなく、お早めにご連絡ください。

 

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当院の往診は、一過性の症状に対する治療にも対応しております。

在宅医療特化型の犬猫往診を東京23区を中心に近隣地区までお伺いし、慢性疾患に対する検査・処方コントロール、および緩和ケアと看取りまでのターミナルケアに対しては、専門的に取り組んでおります。

わんちゃん、猫ちゃんの在宅医療でお困りのご家族様、まずはご相談ください。(03-4500-8701 / 10:00-19:00 / 不定休)

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皆さんは、往診専門動物病院を利用されたことはございますか?

 

そもそも往診という診療形態は、従来から存在しており、人間では専門分野として確立されていますが、獣医療業界では、まだまだ通常の動物病院の診療サービスのオプションとして存在している程度でしか浸透していません。

 

施設を有する通常の動物病院の往診は、基本はずっと通院していたペットに対し、もう通院が難しいからと判断した時に、診療時間の合間を縫って処置のみで伺うことが多いとされています。

 

ポータブルの検査機器を準備されていれば、飼い主様のご自宅にて検査を実施することは可能ですが、通常診療の中で往診を求められる頻度が極端に少ないこともあり、ポータブルに特化した検査機器を完備しているところは少ないです。

 

もしかすると、ニーズはたくさんあるにもしても、動物病院では手術や検査などに時間を優先的に割かなければいけないという経営的な観点から、往診に対して消極的な対応となっているという側面が大きいのかもしれません。

 

なお、診察の時には保定」と言って、検査や処置の間できる限り動かないように抑える行為を診療を、専門技術を有する動物看護師にお願いするのですが、診察室にある診察台の上で行う保定と、ご自宅で行う保定では、同じようですが全然違うものを要求されます。

 

写真②(エコー+酸素).JPG

 

基本はご自宅の床上で行うため、体の柔軟性や失禁・脱糞・肛門腺を飛ばしてしまうなどの事象に対し、事前準備と飼い主様への説明であったり、その場合にどうするべきなのかなどを常に意識していなければいけません。

 

また、往診を希望されるペットの状態は、基本的には病気の末期で体力が極端に消耗していたりと、重体であることがほとんどです。

 

ましてや呼吸状態が悪いペットの保定には、どこをどれくらいの力で押さえるべきなのかがとても重要なため、それをご自宅の床上でやりながら、さらに言えば呼吸状態の変化に対して酸素供給の動線確保などを考えなければいけないなど、多岐にわたる意識分散が必要となってきます。

 

この状態のペットの保定を、通常であれば飼い主様に強いるようなことはしないのですが、獣医師が一人でお伺いするような往診診療を行なっている場合には、飼い主様自身でこの保定業務を行わなければいけません。

 

そのようなことが起きる場合には、細心の注意を払うのはもちろん、万が一胸やお腹を圧迫してしまって呼吸困難を引き起こしてしまった時に、どう対処したらいいのかなど、事前に獣医師に確認して万全の体制で臨みましょう。

 

最終的に、全ての判断を委ねられるのは、飼い主であるご家族様です。

 

できれば動物看護師を連れてきてもらえるよう、しっかりとお願いすることをお勧めします。

 

 

このようなことから、普段から在宅での診療を意識した準備をしていなければ、ペットの往診では、いろんなところにトラブルが潜んでいます。

 

しかし、実際の現場では、往診を希望されるシニア期のペットと暮らしているご家族様が多くいて、潜在ニーズとしては、往診を希望されるご家族様が多くいると考えています。

 

ただ、忙しく診療されている担当の獣医師や院長に、往診にきてほしいとなかなか言いづらいために、ペットに鞭打って通院させなければいけないような雰囲気を過ごしてしまっているのもまた、悲しい事実です。

 

そんな中、ペットが病気の末期で、もう動かすことすら厳しい状態になって初めて往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡をいただき、覚悟を持って終末期医療(ターミナルケア)の往診切り替えを希望されています。

 

月間で多い時だと初診数で20件ほどを受けていますが、今後はより診療件数が増えてくることが予想されるため、もし今後往診での緩和ケアやターミナルケアを希望される場合には、早期から一度ご連絡をいただき、カルテ作成と現状把握をさせていただくことをお勧めします。

 

もう少し早くご連絡をいただければという症例も多々ある中で、ご家族様にとって動物病院への通院は日常に存在するものですが、往診は非日常的な存在であると考えています。

 

そのため、ペットの往診専門が存在することすら知らなかったというご家族様が、当院初診時の大半を占めています。

 

写真③(皮下点滴写真).JPG

 

往診専門動物病院が、一体どんな性質の動物病院なのか、何ができるのか、実際の診療の雰囲気はどんなものなのかは、ブログやインスタなどで発信してはいるものの、ご家族様だけでなく、実は動物病院で働く獣医師や動物看護師の方たちもまだまだ知られていないのも事実です。

 

これからも、どんどん往診専門動物病院の実態について発信していきますので、往診を将来的に利用されるかもしれないと考えているご家族様、紹介先として往診専門動物病院を差がされている動物医療関係者の方々は、是非当院のブログを見ていただければと思います。

 

前置きが長くなってしまいましたが、次のブログでは【往診専門動物病院でできることとできないこと】を書かせていただきます。

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当院の往診は、一過性の症状に対する治療にも対応しております。

在宅医療特化型の犬猫往診を東京23区を中心に近隣地区までお伺いし、慢性疾患に対する検査・処方コントロール、および緩和ケアと看取りまでのターミナルケアに対しては、専門的に取り組んでおります。

わんちゃん、猫ちゃんの在宅医療でお困りのご家族様、まずはご相談ください。(03-4500-8701 / 10:00-19:00 / 不定休)

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犬猫の往診専門動物病院
わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
休診日:不定休診療カレンダー
 
〒111-0036
東京都台東区松が谷3-12-4 マスヤビル5F
 
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緩和ケアをご存知でしょうか?

 

人の医療の方では、十分にその分野が周知されつつありますが、ペットの医療である獣医療業界では、まだまだその認知度は低いです。

 

緩和ケアとは、『慢性疾患やがんなど、もう治すことはできない病気に対して、苦痛をできる限り軽減することを最大の目的とした行為』です。(※個人的な見解ですが、このように考えています。)

 

緩和ケアと治療の違いは、以前ブログで書かせていただきましたので、本ブログの最後にリンクを載せておきます。後ほどご一読いただけたら幸いです。

 

今回は、この『ペットの緩和ケア』について、動物病院への通院と往診による在宅医療では、どんなメリット・デメリットがあるのかを書かせていただきます。

 

愛犬・愛猫が病気になった時、最初はもちろん治療を望みます。

 

治せる病気であれば、治療に踏み切ることを推奨します。

 

もしその病気が急性疾患ならば... 入院治療で良くなるならば...

 

動物病院に通院させ、入院管理による集中的な医療を選択される方は多くいます。

 

ただ、もしその病気が慢性疾患や癌などで、治療ではなく定期的な検診による毎日の投薬によるコントロールが重要とされる状態であれば、もう通院ではなく往診に切り替えたいと考えられるご家族様もいます。

 

通院なのか、往診なのか。

 

選択の参考になれればと思います。

 

今回は、以下のような症例で検討していきます。

 

【症例】

日本猫、16歳、慢性腎臓病(腎不全)。

1ヶ月ほど前からの食欲不振を主訴に動物病院へ通院したところ、慢性腎臓病(腎不全)のステージ4とされ、現在は月1回の血液検査で経過観察し、内服薬2種類と2日に1回の皮下点滴でコントロール中。

 

【通院のメリット】

通院でのメリットは、その場で幅広い検査結果が出るということと、必要に応じてX線検査を実施できることが挙げられます。

また、血液検査結果が大きく悪化していて、静脈点滴を推奨される状況だった場合に、ご家族様の同意のもと、集中的に静脈点滴を入院管理下で実施できるので、急性期には最適と考えられます。

 

【通院のデメリット】

通院と往診の大きな違いに、「通院させなければいけない」という通院ストレスの存在は大きくあります。

緩和ケアのステージでは高い頻度での通院が求められるため、帰宅するとぐったりしてしまうタイプの犬猫には、早期からの往診切り替えを検討するといいかと思われます。

 

【往診のメリット】

往診のメリットは、何といっても「自宅にいながら医療を受けられる」、そして「診療後すぐに好きな場所に隠れられる」です。

血液検査や尿検査などであれば、通院しなくても往診で可能です。

今回の症例で、もしこの猫ちゃんが通院が苦手な性格だとするならば、早期から往診に切り替えましょう。

 

【往診のデメリット】

往診は救急に不適なため、万が一に急変や入院を必要としているような場合には、往診では対応できません。

このような場合に、動物病院へ飛び込むか、もう通院させることがこの子にとって歩単位なるのでさせたくないと考える場合には、事前に今後起こりうる症状に対する対策を打っておくことで、ご自宅でいかにして過ごせるかを議論しておく必要があります。

また、往診は通院と比べて診療費がかかることは忘れてはダメです。

動物病院が家に来て、2時間ほど診療に時間を費やすため、通常の動物病院での診療がおおよそ10分間だとすると、単純に12倍ほどかかる可能性があります。

おそらく、この症例であれば、1ヶ月単位での検査と処方ですので3〜5倍程度かもしれませんが、往診は通院と比べると費用が嵩むことは覚えておきましょう。

ただ、その分色々な相談ができたり、生活環境を加味した最適な診療プランを組んでもらえるという最大のメリットがあることもあるため、ペットの負担を減らしてあげたいと感じた時に、一度往診専門動物病院へ相談してみるといいかと思われます^^

 

まとめ

今回紹介したケース「猫の慢性腎臓病(腎不全)」は、通院よりも往診での検診と処方が最適になりやすい症例です。

 

ただ、同じケースだとしても猫ではなくて犬の場合、費用面や検査設備面などから、往診よりも通院が好まれると考えます。

 

わんちゃんの多くがお散歩に出かける習慣があるため、連れ出すことが容易なことから、通院も難なくこなせる子が多いです。(中には、動物病院が苦手すぎる犬もいます...)

 

一緒に暮らすペットの性質を見極めて、ご家族様が判断してあげましょう。

 

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当院の往診は、一過性の症状に対する治療にも対応しております。

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次回は往診専門動物病院選択の注意点についてです^^

 

 

前回の記事

前回の記事は、以下からお読みいただけます。

・治療と緩和ケアの違い

 

 

 

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最近話題になっている【OpenAI】を使って、当院について聞いてみました^^

 

なんか面白かったので、共有させていただきます^^

 

Q. 往診専門動物病院では、どんな診療ができるのですか?

往診専門の動物病院では、獣医師が患者の自宅を訪れて診療を行います。これは、特にペットが病院に連れて行くのが困難な場合や、ストレスを軽減したい場合に便利です。往診専門の動物病院で行われる一般的な診療内容は以下の通りです。

1. 健康診断:ペットの健康状態をチェックし、病気や問題の早期発見を目指します。

2. 予防接種:犬や猫に必要なワクチンを接種し、感染症の予防に努めます。

3. 内科診療:呼吸器、消化器、循環器、内分泌器、泌尿器などの内科的疾患の診断と治療が行われます。

4. 外科診療:軽度の外科手術が可能な場合もありますが、重度の手術は通常、病院で行われます。

5. 歯科診療:歯石除去や歯周病の治療が行われます。

6. 皮膚診療:皮膚病の診断と治療が行われます。

7. 行動診療:ペットの行動問題に対処するためのアドバイスや指導が提供されます。

ただし、往診専門の動物病院では、設備や治療範囲が限定されるため、より専門的な診療や検査、手術が必要な場合は、通常の動物病院を受診することが推奨されます。往診獣医師の専門分野やサービスは個々に異なるため、具体的な診療内容については、事前に往診獣医師に確認することが重要です。

 

・・・・なるほど!外科や歯科は、基本的に往診では受けるべきではないと考えていますが、ほぼほぼずれなく回答が返ってきました^^

当院では、歯科治療は犬猫の歯科専門または歯科に精通した獣医師がいる動物病院を紹介受信していただくよう手配しています。外科に関しては、もし必要な場合には、歯科同様、信頼できる動物病院をご紹介させていただいています^^

紹介先は近隣からかんとうけんまでと幅広く、ご家族様のニーズに合う動物病院を一緒に選定しています^^

 

Q. 江本宏平(院長)について教えてください。

江本宏平先生は、日本で往診専門の動物病院での在宅医療を確立した第一人者であり、ペットの在宅緩和ケアやターミナルケア(終末期医療)の先駆者です。2017年2月に東京台東区であさくさワンニャン保健室を設立し、2018年3月16日に往診専門動物病院わんにゃん保健室を開設しました。

 

江本先生はまた、2022年11月に『猫の介護ハンドブック』を出版し、日本におけるペットの介護分野の発展に貢献しています。先生の専門知識や活動は、ペットと飼い主にとって非常に重要であり、ペット医療の進歩に大きく寄与しています。

 

どこで仕入れた情報なのか、びっくりしました。

AIに評価していただけて嬉しいです^^

 

Q. わんにゃん保健室って知ってる?

はい、「わんにゃん保健室」とは、往診専門の動物病院であり、犬や猫を対象として診療を行うクリニックです。以前の会話で触れられた江本宏平先生が開設した往診専門動物病院わんにゃん保健室は、ペットの在宅緩和ケアやターミナルケア(終末期医療)に特化した診療を提供しています。

このような往診専門の動物病院は、ペットのストレス軽減や飼い主の負担を軽くするために重要です。自宅での診療により、病院への移動が困難なペットや、高齢・障害のあるペットに対しても適切なケアが提供されることになります。江本先生が開設したわんにゃん保健室は、ペットと飼い主にとって非常に有益なサービスを提供していると言えます。

 

質問をしていくたびに、どんどん知識が深まっているような回答が返ってきます...!

 

Q. わんにゃん保健室の緩和ケアについて教えてください。

わんにゃん保健室で提供されている緩和ケアは、ペットの痛みや不快感を軽減し、生活の質を向上させることを目的としたケアです。緩和ケアは、主に慢性疾患やがんなどの重度の疾患を抱えるペットに対して行われます。具体的な緩和ケアの内容は、ペットの状況や病気によって異なりますが、以下にいくつかの例を挙げます。

 

疼痛管理:痛みを和らげるための薬物療法や、必要に応じて鎮痛剤の投与などが行われます。

闘病生活のサポート:ペットの日常生活を楽にするための工夫やアドバイスが提供されます。たとえば、食事の工夫や運動プログラムなどが含まれます。

通院が困難なペットのケア:自宅での診療により、ペットのストレスを軽減し、飼い主の負担も軽くします。

症状の緩和:呼吸困難や消化不良などの症状を緩和するための治療が行われます。

ターミナルケア:終末期にあるペットのケアや、飼い主への精神的サポートが提供されます。

緩和ケアは、ペットが快適で安らかな生活を送ることができるように、症状や状態に応じた適切なケアが行われます。これにより、ペットと飼い主の心身の負担が軽減され、ペットの生活の質が向上します。

 

うん、なんだか文明の進化に触れたような気がしました。

 

動物医療の今後の進歩には、IT分野をどうやって取り入れるのかが課題となっていると考えます。

 

往診という診療形態は、最大のアナログ診療ではあるものの、システムとしてITを活用しないとと思える今日この頃でした。

 

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『治療』『緩和ケア』の違いについて、ご存知でしょうか?

 

最近よく耳にする『緩和ケア』を、治療の一環として捉えている方も多くいらっしゃいますので、あえて明確にするために、本ブログを書きました^^

 

なるべく難しくない言葉で、個人の言葉として書かせていただきますので、『治療』を求めているのか『緩和』を求めているのか、その判断材料となれればと思います。

 

シニア犬.jpg

 

治療とは

『治療は病気や怪我の症状をなくすための行為』として認識してください。

 

治療したらもう2度と同じことは起きない(再発はしない)とは言い切れないため、それだったら治療と呼ばないのでは?と思う方もいるかと思いますが、再発の云々はここでは検討していません。

 

では一体、治療に当てはまるのはどんな病気や怪我なのでしょうか?

 

 

いくつか例を出して説明していきます。

 

1. 急に発症した膀胱炎

猫、6歳、去勢雄、昨日からの頻尿と血尿、排尿時に鳴くことを主訴に診察。

超音波検査、尿検査を実施し、細菌性膀胱炎と診断。抗生剤での治療にて、14日間継続投与し、症状が軽快したため、投薬終了。

 

2. 骨折

犬、8歳、避妊雌、昨日の自転車のかごから落ちて以来の前足挙上を主訴に診察。

X線検査にて尺骨骨折と診断。骨オペは実施せずに、ギプス固定にて2ヶ月で症状が軽快したため終了。

 

3. 脳腫瘍

猫、6歳、ロシアンブルー、去勢雄、眼振と発作、旋回行動を主訴に診察。

血液検査、X線検査、超音波検査、尿検査、便検査など、一通り行ったが異常所見はないことから、麻酔をかけたCT/MRIを実施。

麻酔をかけた検査には侵襲性が伴うため、そのまま目が覚めないことがあることを了承する書類にサインしなければいけません。

検査結果から脳腫瘍が発覚し、開頭手術と抗がん剤の投与で経過観察とした。

 

4.リンパ腫

猫、12歳、日本猫、1週間くらい前からの食欲不振と軟便を主訴に診察。

血液検査、便検査、尿検査では異常は認めなかったため、画像検査としてエコー検査を実施したところ、腹腔内リンパ節の腫脹が目立っており、針刺による細胞診(FNA)を実施し他ところ、リンパ腫と診断。毎日の投薬と週1回の通院での抗がん剤投与を行い、25週間かけて治療。治療を終えて5年経過し、問題が起こらなかったため寛解とした。

 

このように、今抱えている病気に対して、診察終了と一旦ピリオドを打てる状態まで持っていけた、ないし持っていけるように進めていくことを治療と考えています。

 

治療を行うには、全部が全部ではないとしても、ある程度攻めた検査をして所見を取り、それらのデータを分析し診断を下すことが必要です。

 

その診断内容に対して、実際にその環境で実施可能かどうかを評価して、攻めた治療プランを決定していきます。

 

子猫ぽっちゃり.jpg

 

ここで、『攻める』と表現したのは、抗がん剤など、副反応やすでに予期できる反応が、身体機能に対して、決して軽くない負担を生じる可能性がある治療方法までを比較検討していくためです。

 

ここまでで、『治療』を選択することは、『攻めた医療』を希望することと認識していただけたと思います。

 

もちろん、病気もさまざまであることもそうですし、その重症度などでも変わってきます。

 

ただ言えることは、治療は攻めるという視点から前向きに考えていく、という姿勢で臨むものであると考えてください。

 

ではその反対は『攻めない治療』『後ろ向き』などとなってしまい、それが『緩和ケア』のようになってしまいますが、決して後ろ向きでも、全く攻めないわけでもありません。

 

では、緩和ケアについてご説明します。

 

緩和ケアとは

『慢性疾患やがんなど、もう治すことはできない病気に対して、苦痛をできる限り軽減することを最大の目的とした行為』です。(※個人的な見解ですが、このように考えています。)

 

まだまだ未来があるのなら、今だけ辛い思い(攻めた治療や麻酔などを使用した攻めた検査)も我慢させ、必死に治療に取り組むことで、また楽しかった日常を取り戻せるかもしれないと、多くの方が治療を望みます。

 

しかし、もう治る見込みがないのであれば...

 

慢性疾患と言われる腎臓病や心臓病、腫瘍性疾患と言われるリンパ腫や脳腫瘍など、完治が望めないものであれば、いつまで攻めるべきなのか、もう攻めるべきではないのか、の瀬戸際で、常に葛藤されています。

 

そんな時、もう治療をするために毎回犬猫に負担をかけるのであれば、もう負担のない緩やかな処方プランに切り替え、余生をその子らしく過ごさせてあげるという選択肢を選ぶ方も多くいます。

 

だからと言って何もしないわけではなく、吐き気があるのなら吐き気どめ、下痢するなら下痢止め、消化不良があるなら消化剤や胃薬、痛いなら痛み止めなど、抱えている病気から生じる症状を軽減させることを目的に、できる限り負担の少ない検査と処置、処方などで調節していきます。

 

実際の事例を見ていきましょう。

 

悩む猫.jpg

 

1.腎臓病の猫

猫、16歳、日本猫、2ヶ月くらい前からの食欲不振と軟便、1日2回以上の嘔吐を主訴に診察。

血液検査で腎臓病が発覚し、安定するまでは毎日点滴処置(+注射薬あり)とし、同時に内服薬を開始。

安定したのちは、ご家族様のご希望を伺った上で、1〜3ヶ月おきの検診と皮下点滴プラン及び内服プランの決定をしていく。

 

2. 心臓病末期の犬

犬、14歳、チワワ、1ヶ月くらい前からの食欲不振と呼吸促迫、たまに咳をすることを主訴に診察。

X線検査で心拡大を確認し、血液検査と超音波検査にて僧帽弁閉鎖不全症と診断。

安定するまでは高い頻度で検査を行い、ご家族様のご希望を伺った上で、安定したのちには1〜3ヶ月おきの検診と内服プランで進めていく。

 

3. 肥満細胞腫の犬

犬、13歳、トイプードル、1ヶ月くらい前から赤く腫れては小さくなって、また大きくなって小さくなってを繰り返していることを主訴に診察。

皮膚検査にて肥満細胞腫と診断され、超音波検査にて脾臓への転移を認めた。

抗がん剤は使用したくないとのことから、まだ食欲もあることを考慮して内服薬でのコントロールとし、ご家族様のご希望を伺った上で、2週間〜1ヶ月おきの検査とした。

 

このように、緩和ケアは攻める医療と比べると、全力でせめていくわけではいないが、ご家族様と相談の上で方針を決定していき、できる限り負担を加えないように考慮していきます。

 

緩和ケアで最も重要なことは、ご家族様のお話の中から拾える所見と、実際に診察で得られた所見とを組み合わせて、想定できる内容を事細かにお伝えすることで、ご家族様に最終的な判断をしていただくということです。

 

なかなか治療の現場では、担当獣医師の一存でプランが進んでしまいがちですが、それでは緩和ケアは成り立ちません。

 

お伝えした内容を持って、今後のプランとして幾つかのパターンをお伝えさせていただき、まずはその場で暫定的に方針を決定します。その後、持ち帰っていただき、ご家族様の中で話し合っていただき、次回の診察で方針を再度検討していきます。

 

このように、緩和ケアは獣医師の一存で進めるのではなく、ご家族様と一緒に診療プランを決定していくという特徴があります。

 

まとめ

今回は、治療と緩和ケアについて、ざっと私の見解について書かせていただきました。

 

もちろんこれに限ることではありませんが、担当される獣医師によって、治療なのか緩和なのかの考え方は千差万別です。

 

ただ、最終的にはご家族様が判断しなければいけないということと、何が不安なのか、何をしてあげたいのかを、しっかりと獣医師に伝えていただければ、きっとご家族様に寄り添ってくれると信じています。

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次回は、通院と往診での緩和ケアの違いについて書かせていただきます^^

 

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今回は、前回に引き続き、水頭症を抱えながら生活してきた、小枝ちゃんのお話です。

 

前回のブログはこちらからご覧いただけます。

 

それでは、続きに入ります。

 

1.png

 

水頭症には好発犬種があり、マルチーズやトイ・プードル、チワワなどが該当します。

 

生まれながらにある先天性、何かしらの病気に併発した後天性に分けられますが、なんとなく多くの場合が先天性、つまり簡単いうと、生まれつき、ということです。

 

水頭症に伴う脳のダメージによる症状の一つが発作や行動異常であり、それを長年お薬コントロールしてきました。

 

今回は、前回からの続き「初診時の検査問診と対策」の続きと、その後についてです。

 

初診時血液検査

往診であったとしても、現段階での状態把握及び方針決定のために、どうしても初回検査が必要となってきます。

 

ただし、1週間前までのデータがかかりつけ動物病院にて実施済みで、そのデータを参照できた場合には、状態次第で、負担を減らす目的で、初診時検査をパスすることもありますが、できる限り実施してあげています。

 

実施してあげることで、今まで気づかなかったものが見えることがあります。

 

その背景には、今までの検査項目を絞り込みすぎてしまった結果、評価できなかったということも、実際にありました。

 

犬猫の状態が検査不適ではない限り、負担と相談しながらも、初回検査は実施していきましょう。

 

血液検査

さぁ検査頑張ろう!と抱っこして保定した瞬間、結構強く嫌がりました...

 

嫌がるとチアノーゼが出てしまうという状況も事前に把握できていましたので、スタッフ人数を揃えて臨むことができ、持ち込んだ酸素ボンベを最大限使用し、保定と酸素管理の看護師2人体制で、採血を無事終えることができました。

 

採血量も、少量でいいわけではなく、外注検査を実施するにはある程度の検体量が必要なため、当院では必ず保定を動物看護師にお願いしています。

 

保定一つで、犬猫の安全性だけでなく、押さえる圧力や緊張の伝わりなどに付随するストレスも下がり、検査精度も大幅に上がります。

 

もしお願いした往診専門動物病院で、獣医師一人でくると言われた場合には、保定として動物看護師さんをお願いできないか、確認してみてください。

 

もし連れてきてもらえない場合には、ご家族様がその役を担わなければなりませんので、当日しっかりと指導を受けてから、保定に取り組むようにしましょう。

 

 

超音波検査

呼吸状態の異常の要因除去を目的とし、胸水エコー、腹水エコーにて貯留がないことを確認しました。

 

特別押さえることはなく、横の下の方からピッピッとあてて終了です。

 

今回の検査では、胸水も腹水も貯留していませんでした。

 

 

尿検査

負担を避けたいところではありますが、培養検査を実施するためにも採尿を行いました。

 

採尿検体には、自然尿(自然に排尿した尿)、カテーテル尿(カテーテルで抜去した尿)、穿刺尿(針を刺して採取した尿)があります。

 

培養検査をするには、穿刺尿が必要なため、頑張ってもらいました。

 

先ほどの採血の状況があったので、できるかどうかも含めて取り組みましたが、全く嫌がらず、むしろ気づいていないようなくらいでした^^

 

 

...という流れで、前回のブログ〜ここまでが、初診時問診と検査まででした。

 

次に、初診時における診療プランの決定です^^

 

2.png

 

 

初診時診療プラン

初診時のプラン決定は、検査結果が出揃うまでの行動指針及び処方内容を決定していくというものです。

 

早速みていきましょう^^

 

投薬プラン

小枝ちゃんのご飯のタイミングを中心に投薬されていたのですが、意識レベルを少しあげ、かつ夜鳴きや発作の頻度を下げるためには、医薬品の都合に合わせたプログラムを実施する必要があります。

 

そのため、ご飯と投薬の時間を8:00、16:00、24:00に固定することで、8時間おきに使用するお薬を中心とした生活リズムをお願いし、夜鳴きや明け方に1時間おきに起こされるようなことの頻度がどうなるかを評価してもらうこととしました。

 

 

今後のプラン

発作のコントロールで使用する薬は、薬用量の変更が伴う場合に、2週間程度経過後に血中濃度測定を行い、用量判定および薬の効果を評価していきます。

 

ただ、小枝ちゃんの場合には、すでに長期間にわたって使用されていたこともあり、何より採血が苦手なこともあって、次回1週間後の往診では、できる限りストレスのないよう、検査は行わないこととしました。

 

状態次第ですが、その後は1ヶ月単位での診察としています。

 

状態も安定していた中、お正月に排尿痛が始まり、感受性試験で適応とされた抗生物質の多剤療法を行った結果、落ち着きを取り戻すことができました。

 

 

状態の変化と対策

時間の経過とともに、病状は変化します。

 

2023年1月の後半になると、薬が苦手となってしまい、薬がご飯に入っているかと、ご飯もあまり食べてくれなくなってしまいました。

 

どこまで頑張るべきなのか...

この状態でも飲ませるべきなのか...

 

ご状況をしっかりと共有いただき、ご家族様とご相談の上、今は1種類のみで状態維持を図ることとしました。

 

状態も下がってきたことから、前倒しで診察を組み直し、今の状態に合わせた投薬プランに切り替えていきます。

 

ペットの在宅医療を選ばれるご家族様のほとんどが、すでに愛犬、愛猫が緩和ケアのステージであったり、看取りを踏まえたターミナルケアのステージです。

 

状態の変化だけでなく、どんなことに悩んでいるのかをご共有いただき、その部分の解決ができなくとも、少しでも緩和できればと考えています。

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、在宅医療に特化した緩和ケアと看取りを見据えたターミナルケアに特化した獣医療を提供しています。^^

 

 

 

2023年2月5日

小枝ちゃんは、家族が見守る中、お空へ旅立っていきました。

 

お母さんたちが寝ている横で、最後の瞬間を知らせないくらい、とても静かに旅立っていったそうです。

 

旅立つ数日前に、大好きだったきゅうりとりんごを食べてくれ、眼振もなぜか止まっており、うんちもおしっこもしてくれましたとのことでした。

 

きっと、神様がくれたお別れの時間だったのかなって思いました^^

 

最後が苦しかったのかは誰にもわかりませんが、ただ静かに寝ている姿を見ると、とても穏やかな最期だったんだと、そう思えるほどの綺麗な寝顔でした^^

 

みんなからたくさんのパワーをもらって、無事に虹の向こうへお引越しできたのかな?

 

お姉さんたちが辛そうな時は、そっと向こうから応援してあげてね^^

 

小枝ちゃんのご冥福を心からお祈り申し上げます。

 

3.png

 

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皆さんは、てんかん発作を起こしたわんちゃん、猫ちゃんのケアをしたことはありますか?

 

てんかんは、その原因がある症候性てんかんと特発性てんかんに分けられますが、私たちが「特発性」といった場合には、原因がわからない、という意味だと受け取りましょう。

 

全部が全部、原因を突き止められ、治すことができればいいのですが、まだまだ未知の領域が存在していることは事実です。

 

今回ご紹介する症例は、生まれつき「水頭症」を抱えた小枝ちゃん、16歳の女の子です。

 

水頭症とは、その名の通り頭に水が溜まってしまう病気です。

 

水頭症を抱えて生まれてきた犬猫は、生涯に渡り脳圧を下げる薬だったり、発作を抑え込んであげる薬だったりを飲まなければなりません。

 

外科的な処置もありますので、もし水頭症を疑われた場合には、大きな動物病院、できれば二次医療施設などの脳神経外科を受診することをお勧めします。

 

それでは、症例紹介です。

 

今回の初診では、2時間半ほどお時間をいただき、過去(既往歴や投薬歴)から現在、そして未来(検査プランや処方プランの決定と今後の流れ)をゆっくりとお伺いさせていただきました^^

 

小枝ちゃん①.jpg

(若かりし頃の小枝ちゃんです^^クリクリお目目が愛らしいですね♪)

 

初診時のご様子と対策

小枝ちゃんは、子犬の時から水頭症があり、頭の病気に伴うてんかん発作もあったことから、医薬品を使用して、発作をずっと抑え込むためのコントロールをしていたとのことでした。

 

最近になって、深夜2、3時になると夜鳴きを起こしてしまうようになり、発作も見られ始めたため、小枝ちゃんの体力もかなり消耗していましたが、その横で看病しているご家族様も、疲弊しきっているご様子でした。

 

少し前から、かかりつけの動物病院にて後肢のふらつきを指摘されたはいましたが、徐々に夜中の発作の頻度が上がるにつれてナックリングが強くなり、体勢維持が難しくなり歩けなくなってしまったとのことでした。

 

初診時に現在のお薬内容を見てみると、かかりつけ動物病院から5種類処方されており、用量もしっかりとした量になっていたことから、ここ最近は意識レベル自体を下げることで常時鎮静状態にして、発作をコントロールしていたんだと判断できるものでした。

 

この場合、用法用量の見直しで、意識レベルを少しだけ上げてあげることで、また歩けるかもしれないことと、そのデメリットとして、投薬プランが1日3回になってしまうこと、さらには意識レベルが上がることで発作や夜鳴きが頻発してしまう可能性があることを天秤にかけながら調整していかなければなりません。

 

初診時段階で、かかりつけ動物病院から処方されていたお薬を必ず確認させていただきます。

 

また、アレルギーであったり、以前使った薬で体に合わなかったものがあるのかも併せて伺わせていただいています。

 

小枝ちゃんの場合5種類の医薬品を常備薬として処方されていて、発作止めとして1種類処方されていました。

 

現状の小枝ちゃんの体調及びご家族様の環境を踏まえ、3種類の医薬品を用量用法変更、2種類を種類変更させていただき、意識レベルと発作と夜鳴きの頻度を評価対象として様子見としました。

 

薬は全部で7種類、お母さんたちの工夫もあり、全部平らげてくれました^^

 

発作以外に併発していた病気

発作以外に、3ヶ月ほど前から、オリモノが出てしまうほどの、強い細菌性膀胱炎を発症しており、トイレの時にいつも鳴いてしまうほどでした。

 

抗生物質をずっと使用されていたこともあり、まずは培養検査と薬剤感受性検査を実施することが、症状緩和への最短ルートであると判断し、初診時に尿培養検査を行いました。

 

尿培養検査結果が揃うまでは、かかりつけ動物病院で処方されていた抗生物質を継続しようとしました。

 

チアノーゼ対策の酸素発生装置

小枝ちゃんは発作時や興奮時にはチアノーゼを起こしてしまうことから、ご自宅には酸素発生装置がレンタルされていました。

 

酸素発生装置(テルコム).jpeg

※ご自宅までレンタルしてくれる酸素業者さんを、事前に調べておきましょう。必要となったときにエリア外ですってならないよう、今のうちに調べるのがおすすめです^^

 

 

アクリル製の酸素ハウスの中にどうしても入ることが嫌いで、無理にでもハウスに入れてあげると、中を歩き回ってぶつかってしまうため、ほとんど使用できていないとのことでした。

 

ここ最近までは発作が出ていなかったので、発生装置をあまり使用していなかったが、発作が出てきてしまってからは、酸素発生装置をどうするべきか悩まれていました。

 

顔前で噴射する方法もありますが、風が顔に当たることを嫌がる犬猫がとても多いことから、少し工夫が必要であることをお伝えし、生活環境を見ながらアドバイスさせていただきました。

 

そして、今回重要なポイントである「介護の悩み」です。

 

病気の話もそうですが、理解して一歩ずつ進めなければいけないカテゴリが、現段階におけるご家族様の「病気以外の悩み」です。

 

犬猫の介護は、問題点をあぶり出すことから始まります。

 

看病/介護環境の整理から見つめ直す

犬猫の介護では、ペットの生活リズムに合わせてご家族様が生活していくというのが多く見受けられます。

 

まずは小枝ちゃんの生活リズムです。

 

・8:00ご飯(薬)→食後は就寝

・13:00ご飯(薬)→食後は就寝

・19:00ご飯(薬)→食後は就寝

 

お昼ご飯と夕食の間に1、2回起きて唸るため、抱っこして落ち着かせ、ベッドに戻すとまた寝てくれるとのことでした。

 

食後は疲れるようで、鼻をフガフガして震え出し、抱っこしてあげていると5〜10分程度で震えが収まり寝てしまうとのことでした。

 

お水を自分から飲んでくれないので、ご飯と薬をすりつぶして水で伸ばしてあげているとのことでした。

 

このリズムだけならば、まだ在宅環境であれば問題にはなりづらいのですが、問題は夜中の発作です。

初診時は、夜中2時〜明け方5時くらいに数回の発作のような症状が出てしまい、都度治まるまで見守り続けてしまっているという状況でした。

 

全体のお話の中から、まず最初に対処すべきは、この夜中の発作や夜鳴きをコントロールであることを確認しました。

 

発作のコントロールでは、容易に中毒域に達してしまう医薬品や呼吸抑制を起こしてしまうような医薬品を使用することもあり、いきなり強い薬を使用せずに、ステップを踏む必要があります。

そのため、もしかすると今の処方では効果が見られない可能性をお伝えした上で、まだまだ手はある事を支えとしてもらうために、未来予想図をお伝えし、安心してもらいながら一緒に向き合っていきます。

 

小枝ちゃん②.jpg

(ちなみに、小枝ちゃんの横にいたお猿さんのお人形はジョージって言うらしいです^^)

 

最後に・・・

今回は、最初の診察時に、問診の中で伺い対策を立てられた内容について書かせていただきました。

 

介護・看病と言葉で言うのは簡単ですが、その実態はかなりの精神力と体力を消耗しながらの戦いとなります。

 

向き合い方ややり方を見つめ直すだけで、愛犬、愛猫にとってだけでなく、その場で頑張っているご家族様にとっても心が軽くなることがあります。

 

...かなり長くなってしまったので、2回に分けてお送りさせていただきます^^

 

わんにゃん保健室では、在宅医療に特化した緩和ケアと看取りを見据えたターミナルケアに特化した獣医療を提供しています。

 

もちろん、通常診療で通院が難しい場合には、ご相談可能です。

 

それでは、また次回!^^

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東京23区を中心に、近隣エリアへ犬猫の往診を行っております、わんにゃん保健室です。

当院では往診によるわんちゃん・ねこちゃんの緩和ケア、ターミナルケアを行っています。
終末期のペットのことで不安な点やご相談したいことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

この度、当院院長江本が、『猫の介護ハンドブック 〜気持ちに寄り添う緩和ケア・ターミナルケア・看取り』を発行いたしましたため、ご紹介いたします。

こちらの本は、猫の介護や緩和ケアを行っている方が日々感じている、
「お薬ってどう飲ませたらいいのかな?」
「皮下点滴のやり方が合っているのか不安...」
といった疑問や不安などにお答えするハウツー本に仕上がっています。

ご自宅で困ったときに、この本があれば疑問が解決できる。
そんな、皆様の猫の介護に寄り添う本になっています。

はじめてのことで不安がいっぱいの方や、猫ちゃんに少しでも最期を穏やかに過ごしてほしい方の心のよりどころになれれば幸いです。

また書籍の発行にともない、現代ビジネスへ江本院長のインタビュー記事が掲載されております。
是非ご覧ください。

 

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今回は、前回に引き続き、左鼻腔内腫瘍を発症した猫ちゃんのお話です。

前のブログは以下からどうぞ!

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)1-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)2-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)3-4①

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)3-4②

 

過去4回の投稿のテーマはこんな感じです。

1-4:予約までの経緯とご家族様の葛藤

2-4:ターミナルケアの往診現場の臨場感ある初診雰囲気

3-4:急変時のマインドセットとアクションプラン

 

鼻腔内腫瘍を発症した猫ちゃん。

多くの猫ちゃんが動物病院への通院ができない中で、本当によく頑張りました。

急に状態が下がってきて、もう家にある酸素室から出られなくなったことをきっかけに、往診でのターミナルケアを希望されました。

2022年8月19日から往診に切り替え、家族の見守る中、2022年9月8日に旅立ちました。

 

最終回となる今回は、方針が決まってから最後の日までをご紹介します。

 

ここからいよいよ、実技的な指導に入ります。

 

まずは、皮下点滴をご家族様だけで実施できるようになる必要があります。

 

このお家の場合には、先代の猫ちゃんで家の中での皮下点滴を実施していたということもあり、初めてのご家族様と比べて比較的スムーズに指導を終えることができました。

 

しかし、先代の猫ちゃんと比べてこの猫ちゃんは拘束されることを非常に嫌がり、嫌がった挙句に呼吸状態が悪化し(鼻腔内腺癌なので仕方ないのですが…)、開口呼吸をしてしまうということもあったので、長い時間拘束することは難しいと判断しました。

 

力強い性格なのか、お水もご飯も自分から行ってくれていました。

 

通常だと、皮下点滴はその脱水の状況に合わせて輸液量を増やしてあげたいところではありますが、このような犬猫の場合には、いかにして短時間で終わらせるかがポイントとなります。

 

自力で飲食ができる=脱水補正はある程度自力で可能、と考え、それであれば輸液量をギリギリまで減らし、投薬する時間をものの数秒とすることで、猫ちゃんにも、ご家族様にも負担にならないような治療プランを実現できます。

 

今回の皮下点滴は、複数の医薬品を1回の針刺でまとめて投薬してあげるための手段であり、脱水補正は経口補水で頑張ってもらうこととしました。

 

実際は、皮下点滴を10mlシリンジと23G翼状針を用いて、1回の注射薬の薬液量と希釈するための輸液を合算して8mlで実施することができました。

 

そして、通常であれば、注射後に針穴を塞ぐために刺入部近くの毛の根本を30秒程度は持ち上げるのですが、8ml程度なので、最悪逃げてしまっても抑える必要がないくらいです。

 

そして、この量であれば、針が入ってしまえば5秒もかからないで終わりますので、嫌がり出した頃には終わっているという状況を作ることができました。

 

もしこの性格の猫ちゃんで、この呼吸状態で、腎臓病の皮下点滴による補正を試みることになっていたと考えると、酸素環境をしっかりと設置しなければ難しかっただろうなと思いました。

 

この日から、朝と夜の皮下点滴プランを組ませていただきました。

 

心臓も少し悪かったことから、できるうちは心臓のお薬を使っていきますが、内服しかないこともあり、できる範囲でやっていただくこととなりました。

 

ご飯はいつもの場所で、自分でお皿から食べたいって感じならお皿から、徐々に甘えてきて手から食べたいとされたら手から、もう食べたくないって言っていたら、何度か口にご飯をつけてあげ、それでも嫌がるようであれば、もう食事はストップとしました。

 

トイレに関しては、猫ちゃんって、最後の最後まで、自分の力で頑張って、いつものトイレの場所に行くんですよね。

 

ご家族様がその姿を見て大変だろうからとトイレを近づけてあげても、やっぱりいつもの場所まで、休み休み行くんです。

 

途中で力付きで漏らしちゃうことはありますが、環境として、そのルートではどこでもトイレをしていい環境を作ってあげ、また、近くに新たなトイレを新設する(猫砂は同じもので、ステップの高さは極力低めで)のはありです。

 

今後のプランとしては、1週間おきの往診で、貧血などのデータが大きく変わっていないかだけの、血液スクリーニング検査と、負担のない範囲での胸部・腹部エコーのチェック、また発作が始まったら、前倒しでの往診予定とさせていただきました。

 

今のままの容体で、少しでも安定している時間を長く取れたらなと祈りつつ、3日目の往診を終了としました。

 

初診から2週間後

状態が急変したのは、初診からちょうど2週間後の、2022年9月2日です。

前日の夜に発作が出て、発作止めを使用したら1本で止まったとのことだったのですが、またすぐに出てしまい、昨晩から今朝にかけて5回ほど認めたとのことでした。

ご飯を食べなくなってしまい、ふらつきが強く、立ち上がってもすぐに倒れてしまうような状態だとことでした。

 

もし往診に切り替えていなければ、すぐに夜間救急に今までと同じく連れて行っていたが、今は発作が出ても発作止めがあるので怖いけど怖くないとのことで、発作に対して向き合う覚悟ができたようでした。

 

しかし、日中に家を空けなければいけないことが多いこともあり、頓服としての発作コントロールだけでなく、朝夜の皮下点滴に発作を抑え込む薬を使用することとなりました。

 

今よりももっとふらつきが強くなるかもしれないし、効き過ぎてしまうとそのまま眠ってしまうかもしれないリスクをとり、少しでも発作で苦しむ頻度を減らしてあげたいという希望に沿ったプランです。

 

実際に使用していくと、そこまでふらつきも出ないで、普通に生活しているとのことでした。

 

ただ、もうご飯は食べてくれないとのことでした。

 

食欲を出させる軟膏があるのですが、この医薬品の使用で興奮してしまう猫ちゃんも多々いることから、興奮させてしまうくらいなら使用しないというご家族様もおり、今回はもう食欲は見ないこととし、軟膏の食欲増進剤は使用しませんでした。

 

この日の診察を終え、次回は2022年9月9日の午前中を予定していました。

 

9月10日からお姉さんが出張で1日家を空けてしまうので、お母さんだけでは心配とのことでしたので、その日の訪問プランはまた次回の診療の時に決めることとしました。

 

しかし、ターミナル期と言われる終末期は、そう安定した日々は長く続きません。

 

旅立ち

9月8日にお姉さんが帰宅すると、いつも通り視線をくれて尻尾でお迎えの挨拶をしてくれたとのことでした。

 

夕食を済ませ、食器を洗っていたところ、急に開口呼吸が始まったとのことでした。

 

発作かと思ったが、発作とは何か違う様子で、不思議と、もうお別れなんだと感じたとのことでした。

 

近くまで駆け寄ると、苦しそうにしながらも何度か視線をくれて、抱きしめながら最後の時間を過ごさせてあげられたとのことでした。

 

翌々日からの出張の前の休暇中だったこともあり、旅立った後の丸1日を一緒に過ごすことができ、葬儀を無事終わらせることができました。

 

先代の猫ちゃんの壮絶な最後が脳裏にあったため、緩和ケアに対して消極的かつ牽制的

だった最初の頃とは違い、全部を受け入れた上で最後の時間に臨めたことで、恐怖もあったが、それ以上に使命感が高買ったとのことでした。

 

2022年9月9日 ご家族様の腕の中で、長い眠りにつきました。

 

 

全体を通じて

今回は、ターミナルケアの症例に対する往診専門動物病院わんにゃん保健室の診療の雰囲気について、伝わりやすく、伝わりやすく、を意識しながら書かせていただきました。

 

ご紹介させていただいた猫ちゃんでは、今回のような診療プランとなりましたが、猫ちゃんの個性に合わせ、かつご家族様の生活環境や意向を加味してプランニングを行います。

 

できる限り事細かにご説明させていただき、愛犬・愛猫がこれから旅立とうとしているという現実を少しでも受け入れながら、できること、できないこと、やってあげたいこと、やるべきこと、などを決めていきます。

 

もう通院させることができないからと諦めてしまう前に、まずは往診のご相談をください。

 

東京23区を中心に、近隣地区まで獣医師と動物看護師が一緒にお伺いし、呼吸状態など全ての状態に合わせた往診を行います。

 

看取るということは、決して簡単なことではありません。

 

まずはご相談いただき、何ができるのか、一緒に考えていきましょう。

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今回は、前回に引き続き、左鼻腔内腫瘍を発症した猫ちゃんのお話です。

前のブログは以下からどうぞ!

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)1-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)2-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)3-4①

 

『もしも…』が起こってしまうのが、ターミナルと呼ばれる終末期です。

 

前回は発作について書かせていただきました。

 

今回は、吐血・喀血、下血、嘔吐、ぐったり、開口呼吸です。

 

吐血・喀血

あまり起こりづらいとは思いつつも、もし起きた場合には、もしかすると消化管粘膜に腫瘍細胞が浸潤した結果かもしれないとお伝えしました。

 

こちらに関しては、もし吐血を認めたら写真をとって共有していただき、お電話をいただくこととしました。

 

なお、吐血後の食事については、少量頻回としたいため、電話が繋がるまでは、吐血後の食事方法を少量頻回給餌とさせていただきました。

 

喀血は全く違ったもので、咳に血が混じったようなものを認めることがあります。

 

こちらは、きっとその咳から出てくる液体は赤というよりはピンク色のことが多く、この場合ですと腫瘍の肺転移に伴う肺水腫や肺の損傷を疑います。これを認めた場合には、早急に酸素室に入れてあげ、写真、動画の共有をお願いしました。

 

下血

猫ちゃんの腫瘍性疾患で、最も多いのが、リンパ腫という、今回の病気とはずれてしまいますが、そういうものがあります。

 

このリンパ腫には何個かのパターンがあり、その一つが消化器型リンパ腫というもので、猫ちゃんに多く起こります。

 

下血は大きく2つに別れ、鮮血なのか、黒色便なのか、です。

 

鮮血であれば、血が固まりづらくなっていることを意識していきますが、今回はすでに止血剤関連の医薬品が皮下点滴に含まれているため、特別対処はないことから、もし発症したらご連絡をいただき、状況を詳しく伺うことから始めましょうとしました。

 

そして、もし黒色便(タール便)であれば話は変わり、もう長くない可能性を示唆しているとお伝えしました。

 

日常生活の中で変えるべきことはなく、ただこれから一気に運動性が下がってきてしまうことと、貧血が一気に進行することで呼吸状態が悪化することも想定できるので、その時の対応についてご説明させていただきました。

 

経験上、このステージのメレナと呼ばれるタール便を認めると、なんとなく貧血が5%ずつ進んでいくような気がしています。これはあくまで個人的な見解ですので、参考程度に覚えておいてください。

 

嘔吐

基本、嘔吐は起きないような処方となっております。

犬猫たちのターミナルケアの現場では、嘔吐することで一気に状態が悪くなることが多いです。

例えば、ご飯を少しでも食べられていて、全然吐かない犬猫の場合でも、血液検査や超音波検査(エコー検査)所見などから、嘔吐が起こる可能性が高くなっている場合には、先制的に制吐剤(吐き気止め)を使用しています。

 

もちろん、こちらも選択制ですので、メリット・デメリットをお伝えした上で、常用として使用するのではなく、頓服として使用したいなどのご希望も承っています。

 

ここで覚えておくべきことは、吐き気止めには大きく2つあり、1つ目が吐き気を緩和する薬、2つ目が吐くことをほぼほぼ抑制する薬です。

 

1つ目の方が理にかなっていると思われますが、実際の獣医療の現場では、嘔吐がひどい場合や絶対に吐かせたくないと考えた時、2つ目を使用することが多いです。

 

ターミナルの現場では両方とも使用してあげることで、少しでも多く口にしてもらって、それが原因で吐いてしまわないように、医薬品の力を使って、ゆっくりと時間をかけて吸収できるように促してあげています。

 

ぐったり、そして開口呼吸

『急にぐったりした』『猫ちゃんの開口呼吸』は明らかな急変のサインです。

 

ここで重要な選択を迫らせていただきます。

 

延命は希望されますか?

 

延命と通院

元気だった犬猫が、急に具合が悪そうになった場合には、できる限り救急で動物病院へ通院させてあげてください。

 

もしかしたら誤飲や誤食などで、中毒のようなものや腸閉塞を起こしているのか、膵炎かもしれないし、持病が急激に悪化したのかもしれません。

 

日中であったり、まだかかりつけの動物病院が診療中であれば、飛び込んでください。

 

夜間であれば、夜間受付をしている動物病院へ飛び込んでください。

 

あなたには、待てる猶予など、1分もないはずです。

 

緊急で犬猫を通院させ、検査し、入院治療を受けさせてあげ、安定したら、また家に帰って来れて、今まで通りの生活が戻ってくる。

 

きっとこんな想像ができるからこその決断と行動だと思います。

 

では、今のこの猫ちゃんではどうでしょうか?

 

左鼻腔内腺癌を発症し、肺に転移を起こしている可能性が高い状態で、もし急変した場合に、苦手な通院をさせて、入院治療を受けさせれば、また元の生活が戻ってくると思えますか?

 

そして、また急変を繰り返します。

 

その度に、動物病院への通院と入院を繰り返しますか?

 

移動中に、病院での検査中に、入院中に、亡くなることが十分に考えられる状態であることを、忘れないでください。

 

夜間救急の責務は、命を繋ぎ安定させ、日中のかかりつけの動物病院へ犬猫たちを返すことであり、かかりつけの動物病院の責務は、その犬猫たちが安心して家に戻れるようにアシストすることです。

 

今という終末期ステージでは、これって延命なるのでしょうか?

 

多くの飼い主様が、もう急変しても連れて行かないとされます。

 

もっと長く生きていてほしいという本心はあるものの、苦しみながら長らえるのは可哀想だと判断されることが多いです。

 

しかし、延命という強い言葉は、家族であっても暗黙の了解のように口にできないキーワードですので、あえて私たちが言葉にすることで、話し合えるきっかけを作らせていただいています。

 

万が一の時、その場に立ち会っている人が全てを判断しなくてはいけません。

 

それがお母さんなのか、お姉さんなのか。

 

その判断は、後からそれでよかったと背中を撫でられたところで、その判断をした人が責任を感じてしまうものです。

 

だからこそ、事前にどうなったらどうするのかという家族としての指針を立てるべきなのです。

 

話し合う.png

 

愛犬、愛猫とずっと一緒に暮らしてきた家族だからこそ、目の前が苦しんでいるこの子たちに何をしてあげるべきなのかを話し合えるものだと思っています。

 

今回は、お姉さんも、お母さんも、急変時に通院させることはせず、家でのそのまま看取ることを決意されたようでした。

 

ただ、これはあくまで現時点での意志であり、数分後には変わっていても全く問題ないです。

 

一緒に最良となる方針を立てていきましょう。

 

今回のまとめ

前回の『発作』に続き、『吐血・喀血、下血、嘔吐、ぐったり、開口呼吸』について書かせていただきました。

 

愛犬、愛猫がどんな形で最後の時間を過ごしていくのか、旅立つときは苦しいのか、どんな症状を見せるのか、など、飼い主様ごとで相談される内容は様々ですが、これらの質問は必ずされています。

 

いざその場になってみなければ、実際のところわかりかねてしまうのが正直なところではありますが、経験上であったり、血液検査や超音波検査などの検査結果、診断された病気などを参考に、ある程度想定される最後の形についてご説明させていただいています。

 

万が一の時をただ怖がって待っているより、もしその時が来たらどうすればいいのか、というアクションプランを明確にすることで、ただ怖がっていたはずの未来が、知識と医薬品という武器を持って、戦えるようになれます。

 

完璧な飼い主になる必要はないです。

 

一緒に最後まで頑張っていきましょう!

 

次回は、ターミナルケア、そしてお別れです。

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