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猫の腎臓病(特設)の最近のブログ記事

猫ちゃんの多くが、高齢になるにつれて腎臓の数値が悪くなりやすいです。

 

みんながみんなというわけではないですが、確率は高く、またこの腎臓病という病気は進行性であるため、早期発見早期対策が重要です。

 

今回は2回に分けて投稿している「猫ちゃんの家での緩和ケア」の後編です。

猫ちゃんの家での緩和ケア1-2はこちらから読めます^^

 

前回は猫ちゃんの腎不全について導入から腎臓病ステージ3までの話でした。

 

ここからは、いよいよ腎臓病ステージ4から後半についてです。

 

出会いがあれば別れがあります。

 

後半戦、書いていきます。

 

図1.jpg

 

腎臓病ステージ4

最も往診依頼が多い腎臓病ステージがこのステージ4です。

腎臓病ステージ3の時と比べて、全ての症状が増悪しているものを想像していただければ大丈夫です。

これらの症状が強く出ており、さらに進行していた場合には、痙攣発作を伴っていることも多々あります。

 

ここまで腎不全が進行すると、腎性高血圧腎性貧血などを起こしている場合を多く見受けます。

 

腎性高血圧がある猫ちゃんだと、ぱっと見で瞳孔(黒目)が大きくなってることが多いです

 

これは、高血圧に伴った網膜剥離が疑われます。

 

もしかすると、腎不全の薬によって高血圧が改善すれば少しだけ視力が戻ってくる可能性もある非裂孔原生網膜剥離の状態も疑われますので、早期に治療を入れてあげる必要があります。

 

腎性貧血は、腎臓から出てくるエリスロポイエチンという造血ホルモンが、分泌できる正常な腎臓細胞が減少してしまったため、単純にその数が減ってしまうことから起きる貧血と考えていただければ大丈夫です。

 

腎性貧血の場合には、わんにゃん保健室では週1回の注射でエリスロポイエチンを接種してあげることで、貧血改善を目指します。

 

22582236_m.jpg

 

痙攣発作に備える

そして、痙攣発作です。

 

腎不全からくる痙攣発作(尿毒症)を疑うとき、ほとんどの猫ちゃんで血中尿素窒素(BUN)>140mg/dlでその他の腎臓評価の指標であるクレアチニン(CRE)やリン(IP)と言われるものも高値になっています。

 

発作に対しては発作止めを注射、点鼻、坐剤の3タイプから選択してもらい、家に準備していきます。

 

発作止めの使用方法や環境整備に関し、生活環境を確認しながらご説明させていただきます。

 

発作が起きている時に立ち会うのが誰なのか。

 

家で発作に対する備えをして、家の中で猫ちゃんの発作を抑え込んであげるのか、それとも緊急で動物病院へ通院するのか。

 

お母さんかもしれないし、お父さんかもしれない、または息子さんかもしれないし娘さんかもしれないです。

 

協力できるご家族様がどなたであり、その方が望む発作止めはどのタイプなのかを考えて、準備に入ります。

 

在宅or通院.jpg

 

酸素環境の準備

腎性貧血が起こると、徐々に呼吸状態が悪くなってきます。

 

これは、血液中のヘモグロビンという成分が減少するからです。

 

これに対して先述したエリスロポイエチンの注射を実施しますが、功を奏することなく亡くなってしまう子もいれば、改善して生活の質を上げられる子もいます。

 

ただ言えるのが、注射による体への負担が、少なからずあるということ、そして即効性があるものではないとことです。

 

経験上、ヘマトクリット値(Ht,PCVなど)が20%未満になると呼吸状態が下がると考えています。

 

即効性のある対策として、酸素環境の整備が挙がります。

 

1.jpg

※実際に設置した画像です。

 

酸素環境の整備以上に、むしろこの状態の時に必要なものはないと言っても過言ではありません。

 

また、ただ酸素を準備すればいいというわけではなく、この猫ちゃんにとって最適となる環境づくりを考えなければいけません。

 

わんにゃん保健室では、酸素室の選定および作成、酸素発生装置を含めた酸素環境の運用、そして酸素環境における日常ケアのやり方の決定など、さまざまな視点から残された時間にできることをご提案させていただいています。

 

 

まとめ

今回は、猫ちゃんの腎臓病ステージ1〜4のざっくりとしたお話をさせていただきました。

 

猫ちゃんという生き物としてこの世に生を受けた以上、腎臓病を患ってしまうことは考えておかなければいけません。

 

そして、残念なことに、現代獣医療では腎不全を完全に治療することはできません。

 

腎臓病は進行性の病気であり、わかっていることは、早期発見が何より重要です。

 

早期発見で早期から対策を打ち、少しでも進行を抑え込んであげることを考えていきましょう。

 

猫の腎不全(特に慢性腎臓病)のコントロールでは、腎臓ケア系のフード切り替え、内服薬の使用、皮下点滴の大きく3つがあります。

 

動物病院での入院ができるタイプの猫ちゃんであれば、急にグッと腎臓の数値が上がってしまった場合に、入院させて点滴(静脈点滴)を行うことで一過性に悪化した数値を元の値まで改善させられるかもしれません。

 

しかし、通院も苦手であることと入院のストレスには耐えられないであろうと考えられる場合には、ご自宅での皮下点滴プランを組んであげましょう。

 

おそらく血圧も高く、心臓に負担がかかっていたり、貧血気味になっているかもしれないので、できれば1回の皮下点滴でたくさん入れるよりは、たくさん入れなければいけないのであれば、2回〜3回に時間帯を分けて投与してあげるほうが、負担の軽減につながるので、当院としては推奨しています。

 

通院しなければ何もできないと諦める前に、在宅での往診獣医療があることを知っていただき、お困りの際には往診のご連絡をください。

 

東京23区とその近隣を診療圏とし、東京、千葉、埼玉、神奈川、そして遠くても時間を調整してお伺いさせていただいております。

 

在宅医療のご相談であれば、私たち、往診専門動物病院わんにゃん保健室が、往診にてご家族様とその先にいるわんちゃん、猫ちゃんへ安心の獣医療をお届けします。

 

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ほとんどの猫ちゃんは通院が苦手なため、もし通院させるのであれば、週1、2回程度までくらいまでが限度だと思われます。

 

病気で具合が悪いので動物病院へ連れていくのに、移動の前後でどっと疲れてしまい、検査のためならまだしも、処置のためであれば、果たして本当に通院させるのが正しいのかと、考えさせられる場面に多く直面すると思います。

 

特に高齢期で、体力も弱ってきている中で、必要な時には1日2回の通院を求められることだってあります。

 

今回は、猫の腎臓病(腎不全)に対し、往診ではどんな提案をしているのか、ステージごとに記載させていただきますので、通院ではなく往診を検討されている方、今は通院させているけど、今後は往診へ切り替えたいとお考えの方は、是非読んでいただき参考にしてください^^

 

腎臓.jpg

 

※本来であれば全て腎臓病と表記するのですが、ご家族様にわかりやすい言葉で記載したいため、腎不全と表記させていただきます。

 

腎臓病ステージ1

このステージでは、ほとんどが無症状なため、健康診断の時に発覚することが多いです。

 

高齢、特に10歳を超えてきたら、健康診断は少なくとも年2回、できれば3ヶ月おきの4回を推奨しています。

 

猫ちゃんの腎不全に対する往診での治療法では、大きく食事、内服、皮下点滴の3つです。

最初は侵襲性が最も少ない食事療法と、腎不全の早期から推奨されている内服薬をご提案させていただきます。

 

なお、腎臓病ステージ1の時点で提案しているのは、食事療法と内服薬です。

 

当院では、味が苦いものや飲ませづらいものは極力使用しないよう、医薬品の選定に注力しています。

 

食事療法としては腎臓ケア系のドライとウェット、内服薬は動物薬の飲みやすいものです。

 

腎臓をケアした療法食を推奨してはいるものの、これまた好き嫌いが強い子が多く、療法食を食べてくれないということが多数見受けられます。

 

腎臓系のご飯は1種類ではなく、【猫 腎臓病 フード】など検索するだけで何十種類も出てきます。

 

診療時に複数種類の猫ちゃん用腎臓ケアフードをご紹介させていただきますが、なかなか好んでくれるご飯と出会えないことも想定できますので、気持ちとして全部に挑戦するくらいの意気込みを持って臨みましょう。

 

検診の頻度は、その猫ちゃんの状態やご家族様の希望にもよりますが、ほとんどの場合で状態は安定していることが多いため、大まかな目安として3ヶ月に1回程度です。

 

 

腎臓病ステージ2

このステージになると、なんとなく症状が見えてきます。

最近なんとなく飲水量が増えてきたような気がする、おしっこの量も増えたような気がする、といったものです。

とはいえ、日々の変化程度であることから、見逃されやすいです。

 

腎臓病ステージ2からは、内服薬をもう1種類増やすかどうかを相談していきます。

初めて腎臓病ステージ2を確認した時は一旦様子見とし、次回も腎臓病ステージ2だった場合には、ほぼ確実にもう1種類増やし、2種類の内服薬で様子を見ていきます。

 

検診の頻度は、状態次第ではありますが、大まかな目安として1〜3ヶ月に1回程度です。

 

猫ちゃんのストレス状況を評価し、往診頻度や血液検査の頻度を相談していきます。

 

腎臓病ステージ3

このステージになると、明らかな症状が見えてきます。

お水を飲む量は明らかに多くなり尿量も増える(多飲多尿)、週1回程度だった吐きが2,3回以上と嘔吐頻度が増える、脱水や胃腸の障害に伴った軟便または便秘、食欲低下、軽度な削痩などです。

 

IMG_0378.jpg

※写真は、現在当院でお伺いしているクロちゃん19歳です^^一つ前の記事で書かせていただきましたので、こちらも是非読んでみてください!

 

 

往診でお伺いする猫ちゃんのステージでは、第2位です。

 

第1位はステージ4、第3位はステージ1、第4位はステージ2です。

 

ステージ1の段階で見つかるのが第3位なのは、ご家族様の健康診断への意識が高い方が一定数いることを表していると考えています。

 

この腎臓病ステージ3では、内服薬だけで進めていくか、皮下点滴を合わせていくかを相談していきます。

 

当院では、腎臓病ステージ3からは在宅での皮下点滴を検討していくことから、ご家族様による皮下点滴を行える環境構築のため、皮下点滴トレーニングを実施していくことが多いです。

 

中には、ご家族様だけでは難しいとされた場合には、当院でスケジュールを組み、皮下点滴にお伺いすることもありますが、時間帯の確約が難しいことから、できる限りご家族様による皮下点滴をお願いしています。

 

猫ちゃんからしても、知らない人が来て抑えられて皮下点滴をされるよりも、お母さん、お父さんというプライベートな空間で実施される方が、ストレスも少なくできると考えています。

 

皮下点滴の頻度は週3〜4回程度、内服薬は2種類、食べられるのであれば療法食、の3つでコントロールしていきます。

 

検診の頻度は、状態が安定していれば1ヶ月に1回程度です。

 

なお、猫の腎臓病ステージ3でお伺いする場合には、1日目、2日目、3日目と連続で往診し、次は最終診療日から1週間後の10日目、ここで安定していれば2週間後の24日目、以後1ヶ月おきというのが多いパターンです。

 

ということで、まずは導入から腎臓病ステージ3までに対する往診での在宅中医療について書かせていただきました。続きは「猫ちゃんの家での緩和ケア2-2」で、腎臓病ステージ4を近日公開します。

 

猫ちゃんと暮らしていて、動物病院への通院で躊躇してしまっているご家族様は、まずは往診相談として当院へご連絡ください^^

 

気づいてからでは遅い猫の腎臓病、早期発見早期対策が大切です!

 

猫ちゃんの腎不全については、特集ページにて解説しております。

こちらをご一読いただければ、大まかな猫の腎不全について知っていただけると思います^^

猫腎不全バナー.jpg

 

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猫ちゃんの多くが、動物病院に通院することが苦手です。

 

通院させると異常に興奮してしまい、極度のストレスに失禁や脱糞をしてしまったり、診察室では恐怖のあまり威嚇してしまうなどの豹変ぶりを見せたり、帰宅すると隠れてしまったりと、通院するだけでぐったりしてしまうということを多く見受けます。

 

猫ちゃんが通院できないのは、決してご家族様のせいではなく、それは猫ちゃん自身が選んだことですので、あまり気負わないようにしましょう。

 

そんなこんなで年月が経ち、いつもなら数日で体調が戻っていたはずなのに、それどころか徐々に悪化してしまっているような時期が訪れます。

 

そこでご家族様には選択肢ができ、満を辞して通院させるべきなのか、このまま看取っていくべきなのか、または往診を呼ぶべきなのか。

 

今回は、東京港区のご実家で暮らす19歳6ヶ月の猫ちゃんの在宅緩和ケアのお話です。

 

今回のケースでは、ご実家にいるご高齢のお母さんと息子さん、近くにいるお孫さんと協力して在宅医療プランを組み、2022年11月9日から4日間の連続往診を終え、11月12日から内服と食餌介助のプランを開始しています。

 

今後往診による在宅医療をご検討のご家族様、その日の参考にご一読ください^^

 

1枚目.jpg

 

 

初診予約時

今回は、すでに当院で在宅医療を実施中の猫ちゃんと暮らしているお孫さんからご予約いただき、内容としては『実家にいる猫ちゃんの具合が悪いので往診をお願いしたい』とのことでした。

 

ここ最近急激に増えてきた事案として、「住んでいる場所は違うが、実家にいる犬猫の体調が悪く、また通院させることができないため、ご実家への往診してほしい」、というものです。

 

人間の方では、そういったサービスが拡大されているようですが、ペット業界ではまだまだ発展途上なため、こういったケースは以下のようなプランがおすすめかと思います。

1. 往診専門動物病院に依頼し、かかりつけ動物病院として現状を把握してもらう

2. 訪問サービスでペットの介助をしてくれる業者を選定する

3. 訪問サービス業者がどんなことをすべきかを往診専門動物病院から指示してもらう

 

今回のケースでは、お孫さんもご実家から比較的近くに住まれていたため、診察に立ち会っていただくことが可能だったので、スムーズに診療予約を確定できました。

 

もしこういったケースで遠方からのご依頼だった場合には、実際の診療に立ち会うことが物理的に難しいと思われます。

しかし、ご依頼される方と、実際にペットと生活しているご家族様の意見が異なってしまうと、お伺いしても何もできないという場合が発生してしまうことがあります。

ご依頼いただく時には、必ず意見の擦り合わせはできているのかをご確認させていただきますので、もしその時点でまだの場合には、何について決めておかなければいけないのかをご案内させていただきます。

意思決定ができる人間の数ほど意見がありますので、難しい場合には、診察に立ち会っていただくことをお勧めします。

私たちがお伺いして状況・状態を整理し、何がどこまで可能なのかを明確にした上で選択肢を挙げさせていただきます。

 

2枚目.jpg

 

初診(2022年11月9日)

子猫との時からの慢性鼻炎と便秘持ちで、現在は耳が聞こえてないとのことでした。

お会いすると、ベッドの上でぐったりとした猫ちゃんが静かに伏せして待っていてくれました。

 

普段は人見知りなのか、おそらく知らない人が来たら真っ先に隠れてしまうはずなのですが、それだけ具合が悪かったということと思います。

 

かかりつけの動物病院から処方された内服薬は、ちゃんと飲ませられていることに驚きました。

 

それであれば、もし押さえられたり針刺が苦手だった場合にも、内服薬でのコントロールを選択肢として挙げられるかもしれないと思われました。

 

お母さんのお気持ちとしては、検査はストレスが大きいので、検査なしで今の症状を楽にすることを望まれましたが、この背景には、まだ若くて元気だった頃に検査ですごく抵抗していて可哀想だった記憶がありました。

 

お孫さんとも相談し、長年検査をしていなかったことと、やはり今の状況を把握する方が対策を打てる可能性が高いことから、やはり検査をすることで話を進めさせていただきました。

 

もし猫ちゃんが嫌がって取り乱すことがあれば、その場で検査をすることを中止することとし、お母さんにどうにか承諾を得て、血液検査、超音波検査を実施しました。

 

想定していた通り、既に血圧も低くなっていたこともあり、ほぼ嫌がらずに検査を受けてくれました。

 

お母さんも、その姿に安心してくれました。

 

最後に皮下点滴を行い、この日は終了です。

 

初診日、翌日、翌々日と診察を行い、4日目に状況を整理してプランニングをしていくこととなりました。

 

 

再診(2022年11月10日)

昨日よりは状態も上がり、朝は猫ちゃん自らご飯を少しだけ食べてくれたとのことでした。

 

この時点で確認できた血液検査結果より、慢性腎臓病のステージ4急性〜慢性膵炎の2つを検出しました。

 

本来であれば、毎日皮下点滴を実施してもらいたいため、皮下点滴トレーニングをご家族様にしっかりと入れ、家の中でご家族様だけで実施できる環境づくりを行う状況です。

 

しかし、ご家族様の希望もあり、連続往診による皮下点滴処置後は、内服で余生を過ごさせてあげることとなりました。

 

わんにゃん保健室の在宅医療プランは、決して攻めた医療内容ではなく、愛犬、愛猫の余生を少しでも楽に過ごさせてあげるためのプランです。

ご家族様の望む最後の時間の過ごさせ方を、医療の面から、家の中でサポートさせていただきます。

 

少し元気が出てくると、この猫ちゃんらしさが徐々に出てきて、処置中にもイヤイヤモード全開でした。

 

 

連続往診4日目(2022年11月12日)

ご家族様がシリンジを用いた食事介助や投薬ができるという環境でしたので、連続往診を終え状況が把握できた後は、内服と食餌介助でのコントロールとしました。

 

ただ、状態がグッと上がってきたわけではなく、初診時よりは少し上がったものの、まだまだ予断を許さない状況であることをお伝えし、また内服薬がなくなる1ヶ月後くらいを目処にご予約をいただくこととしました。

 

内服薬は全部で6種類です。

 

頑張っていきましょう!

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実家の猫ちゃんは腎臓病(東京北区/猫往診)

もともとは一緒にご実家で住んでいましたが、ライフステージの変化に伴い、実家を離れるといいうこと多くあるケースです。

 

今回の猫ちゃんは、娘さんがアメリカに引っ越され、ご実家には高齢のご両親と猫ちゃんがいるという環境で、実家にいる猫ちゃんの健康状態管理をご依頼されたケースのご紹介です。

 

猫ちゃんは現在16歳10ヶ月で、高齢のお母さん、お父さんと日々のんびりと過ごせています。

 

腎臓病ステージ3で、1日2回のシロップ投薬を頑張っています。

 

往診での血液検査と超音波検査は1ヶ月に1回程度、2週間おきに内服薬シロップの交換補充です。

 

それでは症例紹介に入ります。

 

逆光モコちゃん.png

 

予約から初診までの流れ

基本はアメリカに住まれている娘さんからご依頼を受け、通院が猫ちゃんにとって負担であることと、今後通院させる側の人間(ご両親)にとっても通院は厳しいという理由から、往診での管理をお願いされました。

 

おそらく今後はお母さんが基本的に診察に立ち会うこともあり、診療報告や治療プラン、医薬品の説明なども全てメールにて共有させていただくこととしました。

 

また、メールに決済フォームをお送りし、そこから決済可能ですので、遠方の地にいらしたとしても、ご実家にいる猫ちゃんの診療時における状況報告を共有できるようにしました。

 

そして、まだ最後の方針という段階では全くないですが、以前一緒に住んでいた猫ちゃんの経験から、外科や抗がん剤などの攻めた医療は望まなず、穏やかに家の中で過ごさせてあげたいという方針を受けました。

 

 

初診時の診療内容

初診時には、今の状態を把握するために検査を行います。

 

検査方法として用いる基本的な手技は、血液検査と超音波検査です。

 

爪切りは毎回実施することとし、初診は終了です。

 

往診では、X線検査を実施することが難しいため、X線検査は実施しませんが、もし通院可能な場合には、X線検査もお勧めします。

備えあれば憂いなし。定期健診は大切です^^

 

 

再診(検査結果説明と方針決定)

血液検査結果の説明と今後の方針を決めていきます。

 

腎臓が少し悪くなっていることが見つかり、内服薬の開始相談です。

 

シロップ剤.jpg

 

1回に投与する薬の量は、全部1錠という簡単なものではなく、体重あたりで計算するため、物によっては分割使用する必要があります。

 

今回処方する薬は動物薬で揃えられたため、1錠そのままのものと、1/2錠に分割して使用してもらうものでしたので、分割する上では比較的簡単なものでしたが、お母さんからすれば難しい課題となる可能性もありました。

 

そのため、お姉さんが日本にいる間に、次に帰国するまでの量を分割しておくか、処方時に私たちの方で分割するか、またはお母さんに頑張ってもらうかの選択肢がありましたが、お母さんに頑張っていただけることとなりました。

 

分割し1回量を準備していただき、乳鉢で粉砕し、それをウェットフードにかけて与えてもらうこととしました。

 

 

投薬プランの変化

腎臓病は進行性の病気であり、早期発見・早期対策が重要です。

 

早期に対策をすることで、腎臓病の進行を抑えてあげられることが期待されます。

 

この猫ちゃんの場合には、腎臓病ステージ2で発見できましたので、比較的早くから内服などの対策を立てることができました。

 

慢性腎不全に罹患した猫の余命は約771日とされています。

なお、IRISステージ分類という専門的な分類方法があるのですが、それによると軽度の臨床症状がみられるステージ2bで約3年(中央値1151日)、重度の臨床症状がみられるステージ3で約2年(中央値778日)、集中治療が求められるステージ4では約3ヶ月(中央値103日)であったと報告されているようです。

とはいうものの、データ上の話であり、このデータが必ずしも愛猫に当てはまる訳ではないので、一つの目安として知っておく程度で十分であると考えています。

 

・・・しかし、ここで問題が2つ起こりました。

 

1. 医薬品のフレーバー問題

医薬品の多くは苦く、あまりにも飲ませづらいものには糖衣と言って、砂糖のようなものでコーティングが使用されています。

 

これらを分割して飲ませるのですら至難の技なのに、粉にしてしまうと、その苦さはご飯全体に広がってしまいます。

 

今回は動物薬ということである程度、犬猫への投薬特有の問題をカバーできるような作りではあったのですが、逆に動物役特有の問題であるフレーバーで、こちらの猫ちゃんはダメだったようです。

 

同じ医薬品でも製剤が変わればその味や形などは変わるため、飲めなかった猫ちゃんが飲めるようになったということも起こり得ます。

 

しかし、ここで重要なのは動物薬の多くは若干フレーバーがあるということです。

 

今回は、腎臓病で使用する医薬品を人薬のOD錠(口腔内徐放剤)にすることで、味の問題を解決することができました。

 

 

2. 分割して粉砕することが難しい

分割まではまだしも、粉砕するときは上から押し砕く必要があるため、上から下に向かった力を込めなければいけません。

 

何気ない日常での投薬指導では、きっとこの問題に気づけなかったと思います。

 

ご高齢のお母さんが猫ちゃんの看病を家の中で実施していくということを常に考えた上で、投薬プランを再度検討させていただきました。

 

そして、ここでご提案させていただいたのはシロップにして飲ませる方法です。

 

ただ、通常ですと、投薬したい医薬品達を必要量粉砕し投薬便に移し、1回量を0.3mlに作成できるよう指示書を書いてお渡しします。

 

なお、投薬便には5ml〜100mlのサイズがあるので、適宜使い分けます。

 

しかし、スポイトとして使用するシリンジ(針がついていない注射器)ですが、これまた一定のところまで吸い上げるのが細かい作業となってしまうため、小さい数字が難なく見える世代でないと難しいです。

 

今回は、1回に使用するシロップを吸った状態で、朝用シロップ、夜用シロップ、というように1回1回シリンジを使い捨てできるような投薬タイプで処方させていただきました。

 

この方法であれば、ご高齢のお母さんでも問題なく実施することができ、現在も同じ方法で投薬していただいています。

 

このように、ご自宅に上がることで見えなかった問題点が見える化でき、より継続しやすい方法をご提案することができます。これは往診専門動物病院の強みですね!

 

モコちゃん(窓際全身).jpg

 

まとめ

診療の形式により、通院ができるわんちゃん、猫ちゃんに対しては動物病院への通院が推奨されますが、通院を苦手とする場合には、往診という選択肢があります。

 

往診では、ご家族様が実際に生活している環境を生の目で見ることができるため、診察室での診療方針決定や指導よりも、よりこの猫ちゃんに特化した診療プランを組むことができます。

 

診療プランには、もちろんわんちゃん、猫ちゃんの病気に対する検査や処方などが含まれていますが、往診ではご家族様の行動プランも一緒に含めて考えていきます。

 

「1日2回の投薬が難しいのであれば、1日1回の投薬で済む処方内容を組んでいく。」

 

「錠剤は飲まめないのであれば、粉にしてウェットフードと混ぜましょう。」

「ウェットが好きじゃなくドライフード派であれば、シロップにしてドライフードにかけましょう。その時、ドライの食感を無くさないために、できるだけ少ない量のシロップに全部溶かせるように、計算させていただきます。」

 

「どんな形状でも内服が難しいのであれば、注射薬での投薬プランを組みましょう。複数種類あるのであれば皮下点滴として、打てるようになるまで一緒にトレーニングしていきましょう!」

 

「ご家族様での注射が難しいようであれば、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室で注射プランを組んでお伺いさせていただきますね!」

 

他にも呼吸状態が苦しくなった場合の酸素環境の構築や、介護が必要になった場合のマインドセットや実技的な内容を含めた指導など、その子その子にオリジナル性ある診療プランを作成していきます。

 

わんちゃん、猫ちゃんの通院でお困りの方は、都内であれば当院までご連絡ださい。また、都外であっても近隣地区であればご相談の上、お伺いさせていただけますので、諦めずにまずはご連絡ください^^

 

公式インスタグラム

当院では、インスタグラムにて診療の雰囲気がわかるものや、院長江本の犬猫の在宅緩和ケア専門としての目線からのメッセージなどをお送りしています。

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腎不全(ここでは腎臓病の全てを“腎不全”と記載します)を抱えると、多飲多尿という飲水量の増加やおしっこの量が増えたというもの、食欲不振などの他にも、ふらつきのような、歩きづらいような、という運動器症状を示します。

 

なんとなく後肢がうまく支えていないというか、後ろ足が突っ張ったままで竹馬のような歩き方をしているとか、立っているだけで後ろ足が開いてしまうなど、その症状はバラバラです。

 

今回ご紹介するのは、後肢破行(後ろ足をひきづる)を主訴に診察した高齢猫ちゃんです。血液検査結果で腎不全(腎臓病)が発覚し、投薬生活を続け、今も元気食欲満載でソファーに飛び乗る元気を持ち合わせた、タロウくんのお話です。

 

吉田タロウくん①.jpg

 

往診依頼のきっかけ

往診を依頼するきっかけになった症状は、5年前くらいから続く口を気にする様子と、3年前からの左後肢破行とその進行です。

口に関しては、最初は壁に擦り付ける程度だったが、だんだんと手で口元をかいてしまい、激しい時には手に膿のような時もあるとのことでした。

左後肢破行は3年くらい前からでしたが、最近はフローリングだと踏ん張れなくて、足が開いてしまうとのことでした。

 

往診当日の様子

元気食欲は大きく下がっているわけではなく、年相応に寝ている時間は多いが、いまだにソファーに飛び乗っているとのことでした。

便はやや硬めで、頻度も2日に1回程度。尿に関しては、ベランダとお部屋の中にトイレのがあり、紙タイプのトイレを使用しているため色はわからないが、特段尿量が増えた印象はないとのことでした。

お水も飲んではいるが、こちらも特段多くなっている印象はないとのことでした。

嘔吐もなく、呼吸状態も安定しており、飲水時にむせることはあるが、基本的には咳はしないとのことでした。

 

既往歴

18年ほど前(2004年頃)にトイレに行くが出ないという症状があって通院させたところ、尿石症と診断されたとのこと。

 

これらの状況を踏まえ、血液検査と超音波検査を実施したました。

 

吉田タロウくん②.jpg

 

検査が始まると、太い大きな声で「ギャーッ!!」と物申し続け、これだけ声が出せる姿を見て、安心して検査を行えました。

高齢犬、高齢猫のほとんどが関節になんらかの疾患を持っていることが多いため、あまり関節を伸ばさないよう注意しながら保定しました。

 

「よく簡単に押さえられますね!私には無理でした…。」

とお声かけいただくのですが、保定技術は何年もかけて習得していくものですので、ご家族様ができなくても気になさらないでください。また、高齢の猫ちゃんでは心臓や血圧、肺の状態などにも異常がある可能性もあり、極力酸素化させながら、苦しくないように検査をするようにしています。

 

タロウちゃんの診察雰囲気は、当院公式instagramに動画投稿してありますので、是非見てみてください^^

 

血液検査結果では、BUN 59.5mg/dl、CRE 4.01mg/dl、SDM A 17pmol/L、SpecfPL 9.1μg/Lと検出され、慢性膵炎持ちであることと、腎不全があることが発覚しました。

 

超音波検査では、胃から十二指腸にかけての食滞、膀胱内の浮遊物、胆嚢の1/3程度を占める胆泥貯留、左右腎臓の血流低下と左腎の腎嚢胞を検出しました。

 

これらの検査結果から、複数の治療プランをご提案させていただき、いよいよ処方プランのスタートです。

 

ここで最大のポイントとなるのは、タロウくんが“何なら飲んでくれるのか”です。

 

往診では、飲めなかったらまたご連絡ください、などと悠長なことは言っていられず、これが飲めなければこっちを飲んでください。そしてこれがダメならこっちを…というように、たらればをいくつも想定して行かなければいけません。

 

そんなこんなを乗り越え、現在は腎臓の薬を2種類、便通を良くしてあげる薬を1種類、口の痛みに対する頓服薬を1種類とさせていただいています。

 

次回は6週間後に往診でお伺いし、経過観察と定期検査を実施していきます。

 

また頑張ろうね!

 

吉田タロウくん③.jpg

 

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腎臓病の猫ちゃん(東京中央区)

東京都台東区を中心に、ペットの往診を専門にて行っている動物病院、わんにゃん保健室です。
当動物病院では、犬や猫といったペットの往診で、飼い主様とわんちゃん・猫ちゃんの安心をサポートします。

動物病院を嫌うペットの飼い主様からのご相談を多数受け、台東区に限らず、東京23区にて往診エリアを拡大しております。
病院が苦手なわんちゃんやねこちゃんの飼い主様は、是非一度、わんにゃん保健室へご相談ください。

 

 

わんにゃん保健室では、腎臓病のご相談が増えています

猫ちゃんと暮らしているご家族様であれば、腎臓病という言葉は聞いたことがあると思います。

 

腎臓病になると、特徴的な所見として、よく水を飲む(多飲)、よくおしっこをする(多尿)、食欲がない(食欲不振)、吐く(嘔吐)、下痢または便秘などがあり、進行するとふらつきが見られることもあります。

 

多飲多尿嘔吐猫.png

 

高齢の猫ちゃんに多く見られる病気であり、経験上10歳以上の猫ちゃんで、上記の症状がある場合には、かなり高い確率で腎臓病が認められます。

 

往診で出会う猫ちゃんの多くが、多飲多尿ではまだ様子を見ていたが、吐く頻度が多くなり、ご飯を食べなくなったという症状を抱えています。

 

腎臓病は進行性の病気であるため、本来であればもっと早い段階で検査をして発見することができれば、早期に治療を入れることができ、少しでも長く腎臓をケアしてあげることが可能とされています。

 

それでも症状の経過を待ってしまうのは、動物病院に連れて行った時にとても嫌がっている姿を見て、あまりにもかわいそうだったというトラウマがあるためであり、その結果、動物病院と距離ができてしまったのだと考えられます。

 

「こんなに暴れるなら、もう連れて来ないでほしい」

 

診察室で言われた辛辣な言葉で、深く傷付けられてしまった飼い主様は、少なくありません。

 

とはいうものの、できれば1年に最低でも1回は健康診断をしてあげたほうが、その時の状態を知ることができるので、万が一異常値があっても、早期に対処できる可能性が高くなるため、お勧めです。

 

もし通院が苦手な場合には、通院以外の方法として往診があります。

 

通常の動物病院に付随する往診ですと、院内検査や手術を優先されてしまうことから、単発の往診依頼であればばまだしも、慢性疾患とされる腎臓病や緩和ケアなどの時には、定期的な時間の確約などができずに辛い思いをされるかもしれません。

 

慢性疾患や緩和ケアで往診を望まれているご家族様には、往診専門動物病院にお願いすることをお勧めしています。

 

ここ数年で往診専門動物病院が全国的に開設されつつありますので、もし通院が難しい場合には、どの往診専門動物病院がご自宅まで来てくれるのかを、早めに調べておくことが大切です。

 

今日は、尿石症疑いで検査したところ、たまたま腎臓病を発見でき、今もなお元気に過ごしているカツオくん(初診当時8歳、2019年)のお話です。

 

カツオちゃん1.jpg

 

カツオくん8歳、東京中央区(2019年当時8歳)

初診:2019年8月24日

初診時のカツオくんは、なんとなく調子が悪いことと、黄色い大量の嘔吐、尿があまり出ていなさそうとのことでした。また、食欲はあり、排便もしっかりできていたとのことでした。気になるのは、もともと尿石症持ちとのことで、もしかしたら結石ができて尿閉を起こしているかもしれないと心配されていました。

 

超音波検査にて膀胱に結晶を疑うキラキラ光る浮遊物はたくさんありましたが、明確な結石はありませんでした。なお、膀胱も収縮していたことから、尿閉は否定されました。

 

この日は、皮下点滴の処置をして、症状の緩和を図りました。

 

再診:2019年8月31日

血液検査結果上、腎臓病ステージ2であることが疑われました。

全身状態も良好であることから内服薬を開始するまでとしました。

この日から、カツオくんの投薬生活が始まります。

 

最初のうちは、1ヶ月に1回の血液検査と超音波検査(エコー検査)でしたが、調子もいいことから、今では3ヶ月に1回と頻度を下げることができています。

 

カツオくんは吐きやすいタイプの猫ちゃんでして、嘔吐を3日連続した、または1日のうちに2回以上激しい嘔吐をして食欲が下がってきた場合には、まずはご連絡をいただき、頓服薬として準備してある吐き止めを飲ませてもらうようなプランを組んでいます。

 

今後どんな事が起こりうるのかを事前にご説明させていただき、その時に対応できるような頓服薬をどこまで準備するかを決め、ご自宅に備えていきます。

 

図1.png

 

まとめ

慢性腎臓病の定期検査は、1〜3ヶ月に1回とする場合が多く、この時のデータ次第でその頻度が決まります。

本来であれば、あまり高頻度に針を刺して検査をすることは、猫にとってもストレスになることもあり、あまり実施したくないところではあります。

しかし、急性期と言って、徐々に数値が悪化してきたのではなく急に悪化した場合には、1日2回の採血やそれ以上の頻度で検査することだってあります。

 

検査頻度に関しては、猫ちゃん性格と、ご家族様の意向、そして猫ちゃんの状態を考慮しながら、都度判断していきましょう。

 

どんなきっかけだったとしても、もし最後の検査から半年以上空いてしまっている場合には、状況把握の意味合いも込めて、血液検査だけでもお願いすることをお勧めします^^

 

猫ちゃんの腎臓病特設ページ

猫ちゃんと暮らしている以上、腎臓病については知っておかなければいけません。

腎臓病とは?腎臓病になるとどうなるのか?猫ちゃんではどんな薬を使うのか、などなど。

そして、大切なことは通院ができるかどうか、という点です。

なかなか動物病院に通院が苦手な猫ちゃんの場合には、往診ではどんなことができるのか、ご参考にどうぞ!

 

猫の腎不全特設サイト:https://asakusa12.com/kidney-failure/index.html

 

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東京台東区の動物病院 わんにゃん保健室です。

「腎臓病の猫ちゃんの看取りを知る」の5回目の記事です。
ターミナルケアの時期に入った場合、飼い主の皆様が愛するペットの最期をどのように看取るのかを考えなければなりません。

わんにゃん保健室では、ペットの安心や安全は勿論ですが、飼い主様の心に寄り添う診療を行いたいと考えています。
つらい病状で、見ていることが苦しくなる場面もあるかもしれません。
懸命に生きるわんちゃん・ねこちゃんに、飼い主様ができることを一緒に考えていきましょう。

 

 

病気が進行し、いよいよお別れが視野に入ってきた頃になると、今までのようにご飯をいっぱい食べたり、お散歩に行けなくなったりするどころか、家の中を自由に動き回ることすらままならなくなり、トイレだって間に合わずに粗相をしてしまうようになります。

 

・大好きだったご飯も食べられないのに、このまま長らえても、本当にこの子にとって幸せなのか。

・治療しても良くならないのであれば...もう何もしないで自然のまま旅立たせてあげたい。

・いっそ安楽死だって考えたい...

・でも、お別れはしたくない。もっと一緒にいたい。寂しい...

 

人間は矛盾した感情を持ち合わせた、一番複雑な動物なんだと思います。

 

だからこそ、悩んで苦しんで当たり前です。

 

お別れを視野に入れたプランを、私たちはターミナルケアと呼んでいます。

 

このステージになると、家族としてよりももっと小さい単位である、家族一人一人の「あなたはどうしたいのか」について、直球で考えてもらうこととなります。

そして、最終的には、家族としての方針を固めていきます。

ターミナルケア①.png

 

 

食卓を囲んで和気藹々とはいかないと思いますが、大切な家族の最後についての方針決めなので、必ず1度立ち止まって、みんなで向き合う機会をとってもらうことを強くお勧めします。

 

マインドセットをするということ

元気な時ではなく、もう病気は治らないとされ、残りの時間が後わずかである時、看取りを見据えたターミナルケアに入ります。

 

最後の日まで緩やかに下がっていき、ロウソクの火が消えるように、最後は苦しむことなくスッと旅立ってほしいと願うものです。

 

しかし、見取りはそんなに甘くなく、たった1時間の間ですら状態が急激に状態が下がることもあり、そのまま下がっていくのかと思いきや、また持ち直し、また下がる、を繰り返します。

 

もうこのまま眠っていいんだよって何度も声をかけても、まだ生きたい意志があるならば、きっとまた意識を戻してくるかもしれません。

 

ご家族様は肉体的にも精神的にも疲弊していき、もしかすると正常な判断ができなくなっているかもしれません。

 

それが、「看取りを視野に入れたターミナルケア」を実施するということです。

 

Q.急変しますか?

A.急激に状態が下がることはあると思います。

 

 

Q.急変したどうしたらいいでしょうか?

 

この質問を決めるのが、1つ目の課題です。

 

延命という言葉について、皆さんはどうお考えでしょうか?

 

言葉の定義などはさておき、この言葉について、あなた自身の答えを出さなければいけません。

 

現在の獣医療では、人間の救急車のようなものは存在しないため、状態がグッと下がった時には、この子を抱いて救急対応をしている動物病院へ駆け込まなければいけません。

 

そして、もしそれが夜間であれば、夜間救急を対応している動物病院になることでしょう。

 

この場合、夜間救急で命を繋ぎ、昼間の動物病院で状態を安定させ、退院できるのを待つ、という流れです。

 

これは、延命でしょうか?

 

事故とか、急性の病気・病状であれば、この道筋を描くことで、また一緒に暮らせるようになるかもしれませんので、できることなら連れていきましょう。

 

ただ、ターミナルケアでは、「そのまま家で看取る」という選択肢が並行してあります。

 

もし命がつながっても、また状態が急激に下がります。

 

そしてまた入院させるのでしょうか?

 

ターミナルケアの時期に入ったのであれば、私個人の経験上、ほとんどのご家族様が延命を希望されません。

 

「もう十分頑張ったし、十分幸せな時間をくれました。だから、このまま家で看取ってあげたいです。」

 

つい先日、ターミナルケアを実施しているご家族様からの言葉です。

 

 

Q.延命しない場合、何もしないで見ているしかできないのでしょうか?

 

これが2つ目です。

 

家で看取ることを選択されたとしても、今後起こると想定される症状に対して使える頓服薬をご自宅に準備していきます。

 

どんな症状があった時に、それをどのように解釈し、どの薬を、どの量で、どの方法で投与するのか、その間隔はどのくらいは最低でも開けなければいけないのか、などを細かく指導させていただきます。

 

 

その症状については、きっと参考になる写真や動画などをインターネット上から見つけることができると思いますが、この時の心境であったり、またそれが自分の子だったりすると、冷静さを失うほどの恐怖を感じると思います。

 

しかし、その場にはきっとあなたしかいません。

 

いかに冷静に対処できるかが求められるため、全てをシンプルに、そしてご理解いただけるまで説明させていただきます。

 

 

Q.ご飯を食べなくなったらどうしたらいいですか?

 

必ずぶつかる3つ目の課題です。

 

何は最後の最後までご飯を食べてくれる食欲旺盛な子もいますが、ほとんどの子で段々とご飯が食べられなくなります。その姿をみて、とても辛い気持ちになると思います。

 

この段階での食事の摂らせ方として、強制給餌や鼻カテーテル設置という方法もありますが、もう無理に食べさせない、という選択肢もあります。

 

強制給餌をすると、間違いなく嫌われます。長年築き上げてきた関係性が、一気に崩れるような気がして、少なくない数の飼い主様が、途中で断念しています。

 

ただ、食べなければ栄養価が下がってくることは事実なため、するべきなのか、食べないのであれば無理にあげる必要はないと判断するかは、ご家族様次第です。

 

ご家族様の意思決定に沿ったプランをご説明させていただきます。

 

 

Q.薬はいつまで飲ませるのでしょうか?

 

これが最後、4つ目です。

 

薬に関しては、可能な限り最後まで飲ませていただきたいと考えています。

 

最後とは、嚥下機能がなくなるとき、を表しています。

 

ただ、こちらもご家族様の意向を汲ませていただくため、まずは家族としての意見を伺わせていただきます。

 

 

・救急か看取りかの選択

・状態低下時の対応

・食欲廃絶時の対応

・投薬中止の判断

 

 

これら全部に対して、家族一人一人に考えていただき、そして家族として方針を決定していただきます。

 

これが、犬猫の在宅ターミナルケアにおけるマインドセットです。

 

もちろんこれで全てではないのですが、大きなポイントであるこの4点を、ターミナルケアだけでなく、緊急事態に備えて、是非日常生活においても話し合っておくことをお勧めします。

 

ターミナルケア②.png

 

 

今回、こちらのご家族様は、以下のような選択となりました。

・状態急変時は、動かしてさらに苦しい思いをさせたくないので、このまま家で看取る。

・強直性発作に対してのみ発作止めを使用する。

・嚥下ができるうちは内服薬のシロップを継続させる。

・ご飯を食べないのであれば、それは本人の選択として捉え、強制給餌はしない。

・皮下点滴による投薬は、最後まで行う。

 

 

以上、マインドセットでした。

 

次は、「看取りからお別れ、そしてご葬儀」です。

 

​猫の腎臓病についての解説ページ
猫の腎不全

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ペットの往診を専門としている動物病院となっており、病院嫌いのわんちゃん・ねこちゃんのご自宅へお伺いし医療を提供しています。

「腎臓病の猫ちゃんの看取りを知る」の4回目の記事となります。
当院では、腎臓病(腎不全)を抱えた猫ちゃんに対して、適切な治療を行います。

 

 

本日で連続お伺い3日目で、結果もある程度揃ってきたこともあり、今後の方針決定に入ります。

 

0201000537.png

 

初診日、昨日と処置を入れたこともあり、状態としては落ち着いているものの、やはり食欲は一口舐めた程度だったとのことでした。

シロップの薬は飲めたとのことでしたので、本日は皮下点滴指導を行い、明日からはお母さんたちだけで実施してもらいます。よく頑張りましたね^^

 

全部の結果が揃った段階で、病態を考慮すると痙攣発作を起こす可能性があることをお伝えしました。

 

腎臓病が進行すると、胃潰瘍腸潰瘍口内炎だったり高血圧に伴う網膜剥離だったりと考えることはたくさんあるのですが、その一つが尿毒症による痙攣発作です。

 

痙攣発作は、急に見られる症状なのですが、正直最初は気が動転するくらい焦ることと思われます。

猫ちゃんに腎臓病はつきものですので、痙攣発作の動画をYoutubeなどで事前に確認し、どのようなものなのかを知っておくことが重要です。

 

痙攣発作が起きた時の考え方、生活環境として取ることができる行動指針、実際の対処法などをお伝えさせていただます。

 

そして、少しでも、残された家時間を快適に過ごさせてあげるために、猫ちゃんの生活環境の改善策(床の工夫、トイレの高さ、ご飯皿など)など、アドバイスできることがあればできる限りさせていただきます。

 

今回のケースでは、内服薬を1種類のみシロップで1日1回投与、皮下点滴は状態に合わせた医薬品を混ぜ1日1回実施、1週間に1回の検査、発作止めは5回分お渡しし、使用したらご連絡をもらうこととしました。

 

最後に、とても重要なことです。

 

医療プランや生活環境の見直しなどの側面をお話ししてきましたが、実は同じくらい大切なことに、マインドセット(覚悟を決めること)があります。

次は、「延命と看取りを考える」「ターミナルケアを知る」の2つの視点から書かせていただきます。

 

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前回は腎臓病の猫ちゃんの「問い合わせから在宅医療の初診内容」を書かせていただきました。

初診当日は、今までの経緯をお伺いするのにおおよそ30分〜2時間程度と、通常の診療と比べて長く十分な時間をとって、今までの経緯をゆっくりと教えてください。

 

翌日の診療となる今日は、昨日採取した検体から暫定的に得られたデータをもとに診療内容を組んでいきます。

 

もちろん、ここでも問診は必須です。

 

問診猫.png

 

Q. 昨日から今日にかけて、元気さ(運動性)に変化はありましたか?

A. ふらつきが強くなってきたことが気になっていたのですが、昨日の点滴を打ってから2時間くらいしてゆっくり眠ってくれて、起きた時の足取りが、なんとなく軽くなっていたように感じました。

 

Q. 食欲はどうでしたか?

A. 昨日の夜、少しですが食べてくれました。もう食べれないと思っていたので涙が出るほど嬉しかったです。

 

Q. 排便・排尿はどうでしたか?

A. おしっこは変わらずよくしています。うんちは出ていません。

 

Q. 嘔吐はありましたか?

A. 吐き気止めを入れてもらったおかげで、久しぶりに丸1日吐いていません。

 

Q. 咳はありましたか?

A. なかったです。

 

最初の見立てと検査結果が一致していたというのもありますが、処置を入れるのが遅すぎない限り、最初の方は結構な確率で状態が上がってきてくれています。

 

この猫ちゃんも同様で、見立てから腎臓病が第一優先でしたので、処置内容が合致してとても嬉しかったです。

ここで、昨日行った検査結果の暫定的なものをご説明させていただきました。

 

高齢猫ちゃんの腎臓病といえば、往診では以下の項目をよく用います。

 

血液検査

・BUN(尿素窒素)

・CRE(クレアチニン)

・IP(リン)

・SDMA

・Na-K-Cl(電解質)

・血球計算(貧血の評価など)

 

腹部超音波検査

・腎臓の左右差、大きさ、血流など

 

この猫ちゃんの検査結果はBUN、CRE、IPが重度に高値であり、貧血も軽度に起こしていました。

 

電解質には、そこまでの大きな乱れはありませんでした。

 

尿検査ではタンパク尿が認められましたので、これらのことから、皮下点滴+内服薬の処方プランを立てていきます。

 

皮下点滴は今後ご自宅でお母さんたちにお願いすることも視野に入れ、ご自宅で実施可能かどうか伺ったところ、「やるしかないのでやります!」、と力強いお言葉をいただけました^^

 

家族だけでは心配だという場合であれば、慣れるまでの間をスケジュールを組んでお伺いさせていただくこともあれば、私たちの方で皮下点滴を実施していくというプランにすることもあります。

 

内服薬もシロップ状にして飲ませてあげるやり方を同日指導させてもらい、明日の診察までに明日分の内服シロップ飲ませに挑戦してもらい、できたかできなかったか、できなかったとしたら何が難しかったのか、などをお伺いする予定であることをお伝えさせていただきました。

 

さて、ここまでで初診日、その翌日、その翌々日と3日間のスケジュールを組んでいきます。

 

今回のケースでは、初日は詳しい問診と詳しい身体検査を主体とした処置内容の決定と検査を行い、翌日は検査結果に沿った暫定的な治療プランを組んでいきました。

 

最終的に処方プランや検査プランを決めていくのは翌日の3日目が多いですが、おおよそのイメージをこの段階でお伝えしています。

 

当院では、腎臓病の猫ちゃんでコントロールが聞いていないうちは週1回程度の検査を実施しています。安定してしまえば、3ヶ月に1回程度の訪問で、検診を行なっていきます。

 

明日、処方プランを最終的に決めていきますが、ここで重要なのは、「内服を飲ませることはできるのか」です。ちなみに、内服薬の上げ方はたくさんあります。

 

・例えば錠剤の場合

  • 錠剤のまま飲ませる
  • 細かく砕いて投薬用のカプセルに入れて飲ませる
  • 細かく砕いてウェットや投薬用のおやつなどで包んで飲ませる
  • 粉にしてウェットや投薬用のおやつなどで包んで飲ませる
  • 粉にして水などの液体を少量(飲ませられる液体量は1ショット0.5ml以内にするのがおすすめ)

薬剤形.png

きっと上記以外にもあるかと思いますが、とりあえず5パターンのご紹介でした^^

 

ちなみに、フィルムや糖衣でコーティングされている薬は、粉にしてシロップにすると、全体がとてつもなく苦くなることがあるので、そういった薬は①〜③がおすすめです。

 

明日の診察で、シロップを飲ませられたかどうかで処方プランが変わっていきますので、明日の診察に期待です^^

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今回ご紹介するのは、東京渋谷区にお住まいの16歳の日本猫の女の子、徐々に食べる量が減ってはきていたが、ここ1週間ほどご飯をほとんど食べられていない、という主訴でした。

 

②用.png

 

訪問してみると、脱水してそうな顔つきの猫ちゃんがカーペットの上で寝そべっており、いかにも気だるそうな雰囲気でした。

口をくちゃくちゃしており、気持ち悪んだろうな、または口が痛いのかな?という素振りを見せてくれました。

キャットタワーもありましたが、もう登れていないとのことでした。

ただ、高いところが好きなのか、よく下から眺めているとのことでした。

もともとは体重が6kgくらいあった大柄の猫ちゃんだったとのことでしたが、測定すると体重は3.2kgと、半分近くまで下がっていました。

 

初診では、こんなお話を伺いました。動物病院に行った時も、きっと同じようなことを質問されると思いますので、普段から答えられるようにトレーニングしておきましょう^^

 

Q. ご飯を食べる量が減ってきたのはいつくらいからでしょうか?

A. ここ半年くらい、徐々に下がってきていましたが、ドライフードからウェットフードに切り替えたら食べてくれていました。それが、今月に入って一気に食べる量が減ってきて、それでもチュールなら食べてくれていて、1日3本くらい食べてくれていました。しかし、ここ1週間くらいから全く食べてくれなくなってしまいました。

 

Q. 元気さ(運動性)はいかがでしょうか?キャットタワーにはいつくらいまで登っていましたか?

A. 年齢もあってか、ずっと寝っぱなしの猫なんです。朝から夜までカーペットの上で寝ていて、たまに起きてトイレに行き、また寝るといった感じです。ここ最近、寝ている時間が増えた気がします。キャットタワーは、もう1年ほど前ですね。上を眺めているので乗せたいが、落ちたら危ないと思って何もできていません。

 

Q. トイレ(排便状況/排尿状況)について教えてください。

A. 排便はだんだんと便秘傾向になったのか、もともと1日1回は出ていたものが、最近では3日に1回とかだったと思います。硬いコロッとしたものを1〜2個程度でした。食べなくなってからは、もう1週間ほど排便を見てないです。おしっこは回数としては変化はないですが、全体として量(尿量)が増えていました。

 

Q. お水は飲めていますか?

A. すごい飲みます。このお皿で(おそらく200ml程度入るもの)で、朝入れておくと夜にはほとんどなくなっていることが多いです。

 

Q. 吐き戻し(嘔吐)はいかがですか?

A. もともと吐き戻し(嘔吐)をしないタイプの猫だったんですが、言われてみると、やっぱり1年くらい前からたまに(1〜2日に1回程度)吐くようになって、1ヶ月前くらいからは1日1回くらいは吐いていたような気がします。今もそのくらいです。

 

Q 咳はありますか?

A. 咳はないですが、くしゃみはたまにしています。

 

上記のような質問を繰り返し、今までの経緯やどんな形を望んでいるのかなど、かなり幅広くお話を伺っていきます。

おおよそ30分〜2時間程度かけて、今まで溜まっていた心のうちを一つずつ、一緒に紐解いていきます。

 

今回は、上にある内容から推察するに、腎臓病をまずは第一優先で調べていくことを考えるべきと判断しました。

また、その治療の過程で皮下点滴が必要になる可能性があるため、心臓の評価も合わせて行うことしました。

また、1年ほど前までは食欲があったこと、キャットタワーも登れていたことが、もしかすると代謝の異常亢進があったことも考え、甲状腺機能検査も実施しました。

 

血液検査を含めた各種検査に関しての考え方は動物病院ごとで大きく差があります。

往診では、次回診察までの期間でどんなことが起こるかを推測し、それに対しても事前に対策を練らなければいけません。

そのため、在宅医療における緩和ケアやターミナルケアに入ったわんちゃん、猫ちゃんに対しては、何度も針刺をして細かく検査するよりも、初診で必要であろうと判断される項目を全て検査しています。負担を最小限に考えつつも、集められるデータというパーツ集め、それをもとに大きめのデータの地図を広げ、どんなことが起こりうるかをご説明させていただいた上で、その時の対策を一緒に練っていきます。

 

今回は、血液検査に合わせて、腹部超音波検査を実施することになりました。なお、実施中に尿を漏らしてくれたため、その尿を採取して尿検査も実施することができました。

 

まずは症状に合わせた注射薬を選定し、皮下点滴として投薬していきます。

 

今回は、当日、翌日、翌々日と診療プランを組み、結果が出たものから順次評価していき、その結果に沿った治療を実施していきます。

 

点滴は初めてだったようで、モゾモゾ動いていましたが、ここは獣医師と動物看護師がチームで伺っておりますので、安心して全量きちんと投与を完了し、本日は終了です。

 

次回は検査プランと処方プランのお話です^^

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腎臓病の猫ちゃんの看取りを知る①

猫ちゃんの腎臓病って、本当に多いんです。

経験的には、10歳以上になればほとんどの猫ちゃんで腎臓が悪くなっていて、以下のような症状を認めています。

 

・お水をよく飲むようになった。(多飲)

・尿量が増えた。(多尿)

・痩せてきた。(削痩)

・後肢がふらついてきた。(筋力低下)

 

そのほかにもたくさんありますが、まずはこんなところです。

 

猫ちゃんって、どうしても動物病院へ通院するのが苦手な性格の子が多く、きっかけは最初の避妊去勢のあたりかなと思っています。

 

これを機に、キャリーに入れて外出すると、キャリーに入れて持ち上げただけで、またはキャリーを見るだけで、発狂してしまったり、失禁・脱糞、泡を吹くなど、全力で嫌がるようになってきます。

 

図1.png

 

 

ご家族様も、そんなに嫌がるなら、「健康診断程度で通院させなくていいのではないか?」という感じで、通院をしないことを選択されるようになります。

 

少しくらいの体調不良も、私たちと同様で、大体数日経てば治ったりします。

 

そんな経験もあってか、かなり多くの猫ちゃんが、動物病院離れをしているのが、この世の中の現状です。

 

そんな猫ちゃんも高齢になり、数日程度でいつもは改善していた体調が治らないだけでなく、徐々に進行してるような気がしてきた段階で、覚悟を決めて通院に踏み出すはずです。

 

ここで問題なのは、そもそも通院ストレスでおかしくなってしまいそうな猫ちゃんに対して、「体調が悪いのにさらにストレスをかけてもいいのか?」ということです。

 

ご家族様の中には、それでも通院させることを選択できる方もいれば、いっそのことこのまま家で看取りを視野に入れて、ゆっくりと過ごさせてあげたいと考える方もいます。

 

動物病院へ通院させることができるのであれば、待たないですぐにでも連れて行ってあげてください。

若齢の頃と比べ、高齢、特に10歳を過ぎての体調不良は、放っておくと致命的な結果になるかも知れません。

 

そして、通院を断念し、家で看取りを視野に入れようとお考えのご家族様、一度「往診/獣医/動物病院/犬/猫」などで、ご自宅まで来てくれる往診専門動物病院を検索してみましょう。

 

東京都内であれば複数の往診専門獣医師がいますので比較的見つけやすいかと思いますが、他の地域では、往診専門動物病院の数自体がかなり少ないことが予想されるため、万が一の時に備えて、先に調べておくことをお勧めします。

 

これは猫ちゃんだけでなく、いよいよペットを連れて動物病院へ通院させることが難しい時期がくることを想定し、わんちゃんの飼い主さんも検索しておくことをお勧めします。

 

検索ワードのおすすめは、「往診/犬/東京」、「往診/猫/東京」など、目的/対象動物/地域で調べるのがいいかと思われます^^

 

携帯画面+猫.png

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室の往診は、自宅での緩和ケアと呼ばれる苦痛をできる限り軽減して余生を過ごさせてあげることを目的とした治療、看取りが迫ったことを想定したターミナルケアに特化しています。

 

・病気に合わせた在宅医療プラン作成

・急変時の考え方と対処方法

・家で看取るということに対する心構え

 

生活環境とその子自身の性格などを考慮し、家族みんなの意思決定のもと、その方針に沿った、できる限り苦痛のない時間を過ごさせてあげるプランを作成していきます。

 

・ご飯のあげ方や種類

・トイレの位置や高さ

・床の簡易的な加工方法

 

状況に応じ、臨機応変にご提案させていただき、ご家族様と一丸となって、在宅ケアから家での看取りまで、一歩ずつゆっくりと一緒に歩んで行きます。

 

まだできることをあるはずです。諦める前に、必ずご相談ください^^

 

今回は、腎臓病の猫ちゃんの初診相談、緩和ケア〜看取り(ターミナルケア)までのお話です。

 

・問い合わせから在宅医療の初診内容

・検査プランと処方プランの立て方

・今後の方針決定

・延命と看取りを考える

・緩和ケアとターミナルケアのご飯の考え方

・看取りからお別れ、ご葬儀まで

 

猫ちゃんだけでなくわんちゃんであっても、最後を意識することで、今ある幸せにもっと気付けるようになれればなと思います^^

 

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