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2024年4月アーカイブ

猫のさぶちゃんの続きです。

 

前回まではさぶちゃんの在宅緩和ケア(初診から3日目まで)からどうぞ^^

 

もしかすると、インスタグラムでご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

 

まだ見たことがないという方は、インスタグラムで@koheiemotoを検索してください。

 

さぶちゃんの動画を載せてありますので、口腔内扁平上皮癌の猫ちゃんの在宅緩和ケアの雰囲気が伝わればと思います。

 

また、【ペットの緩和ケア】というテーマで、BS朝日の「ネコいぬワイドショー」で取り上げていただきました。

 

  • BS朝日「ネコいぬワイドショー」
  • 2024年4月12日22:00〜 「ペットの在宅緩和ケアを知る」

 

今回、猫の口腔内扁平上皮癌の在宅緩和ケア(さぶちゃん)腎臓病の猫の緩和ケア(タロウちゃん)がメインで出ています。

 

もしかすると、まだTverなどで視聴できるかもしれませんので、今後ペットの在宅緩和ケアをご検討されるご家族様は、この機会に是非一度見ていただければと思います。

 

今回のブログは、東京江東区在住のさぶちゃん(猫の口腔内扁平上皮癌)の、前回からの続きです。

 

2024年2月13日から始まった在宅緩和ケア。

 

一度は上がってきたものの、病気は必ず進行していきます。

 

そして、2024年4月24日の朝、お母さんと一緒に眠る枕元で永い眠りにつきました。

 

その姿は、寝た時のままであり、苦しむ素振りの一切を見せずに、生涯に幕を閉じました。

 

再診(診察7日目)  2024年2月20日 3.5kg

前回の診察時よりは元気さが減っていたものの、この日はまだまだ元気さもあり、ベッドやキッチンに飛び乗ることもできていました。

 

ずっと便秘だったので心配でしたが、その後下痢になり、そしてこの日は良便になっていました。

 

医薬品の開始、特に抗生剤や吐き気を抑える薬などでは軟便傾向になることがあります。

 

状態にもよりますが、最初のうちは都度ご連絡をいただき、医薬品をカットするか、その状態であれば継続するかをお伝えさせていただいております。

 

そして、口腔内腫瘍からの出血は、食べるたびにポタポタ垂れてしまう状況に変わりはありませんでした。

 

それでも力強くおもちゃで遊ぶし、ご飯もしっかりと食べられていました。

 

この時から、近い将来の酸素環境の構築を見据えて、酸素ハウスの設置を相談させていただきました。

 

元気なうちから、酸素ハウスに慣れておくことで、本当に必要になった時に抵抗なく使ってくれるかもしれないためです。

 

酸素発生装置の設置はまだ先ですが、早期から酸素ハウスを設置して、日常の中に溶け込ませておくことをお勧めします。

 

さぶちゃん2.png

 

再診(診察17日目)  2024年3月1日 3.2kg

徐々に腫瘍のある左顎下あたりが膨らんできました。

 

元気食欲は少しだけ下がってきて、昨日からぼーっとしている時間が長くなってきたとのことでした。

 

この日からステロイドの増量を行い、状態が少しでも上がってくるのを期待しました。

 

状態低下に伴い実施した血液検査では、肝臓の数値が少し高くなっていること、軽度の貧血になっていることがわかりました。

 

この病気の出血に対しては、効果の薄い止血剤を使用するまでしか対処できないため、徐々に貧血になっていくことが予想されていました。

 

また、食べるたびに出血してしまうため、食べさせない方がいいのかというご質問を受けることがありますが、私たちとしては、本人に任せてあげてほしいと考えています。

 

さぶちゃんの場合、出血はするものの食べたがるため、食べられるうちはあげてもらうようにお伝えさせていただきました。

 

さぶちゃん4.png

 

再診(診察31日目)  2024年3月15日 2.6kg

体重も徐々に減ってきて、ご飯もほとんど食べられなくなってきました。

 

血液検査では、貧血の値が大幅に減少し、前回値よりも10%くらい低い13.4%を認めたことから、酸素発生装置の手配を行い、在宅緩和ケアでの酸素環境構築を行いました。

 

酸素発生装置は2台体制とすることで、酸素濃度の上昇速度を早めることができ、酸素ハウス内が汚れてしまった時に掃除をしても、すぐに必要な酸素濃度まで上昇させてあげられるようにしました。

 

また、さぶちゃんは酸素室の中でずっと過ごすことを嫌がっていたため、貧血になっても酸素ハウスの外での生活を希望していました。

 

この場合には、酸素ハウスの一部を開放してあげることで、自由に出入りができる空間を実現し、また垂れ流される酸素からの酸素供給が可能となります。(少量ですがないよりはマシです)

 

呼吸状態が悪い時は、酸素ハウス内に入れ、安定したら自由にさせてあげるような流れで使用していただくようにしました。

 

 

 

再診(診察42日目)  2024年3月26日 2.3kg

いよいよウェットのおやつを少し舐める程度までに、食欲が下がってきました。

 

ぼーっとしている時間が長くなったため、ぼーっとしているときは苦しいのかなと思い、酸素室に入れると、30分くらいで出せっていうので出す、というのを繰り返しているとのことでした。

 

 

再診(診察45日目)  2024年3月29日 2.2kg

まだこの時は、ベッドやキッチンには飛び乗れていました。

 

ずっと便が出ていなかったので心配だったが、2日前に大量のうんちをしてくれたとのことで、写真で見せてくれました^^

 

写真を見せてくれた時のお母さんの表情はとても明るく、本当に嬉しそうなご様子でした

 

ただ、その時にかなり体力を消費してしまったのか、ぐったりしてしまったとのことでした。

 

食欲増進剤の軟膏を使用するも食欲増加を認めないことから、軟膏はここで使用中止としました。

 

食欲増進剤の軟膏は、求めたい効果である食欲増進だけでなく、一定数は興奮してしまう作用があります。

 

最初に使用する時は半量で挑戦し、メリットとデメリットを評価してあげ、メリットの方が高い場合のみ、通常量を使用することをお勧めします。

 

もうトイレは間に合わないため、寝ているカーペットの上で漏らしているとのことでした。

 

猫ちゃんは本当に綺麗好きで、最後の最後までトイレまで行っておしっこやうんちをしようとします。

 

これは本能なのか、プライドなのか。

 

体力的に難しいからと、トイレを近くに持ってくるのではなく、トイレの数を増やすなどして対処してあげましょう。

 

再診(診察49日目)  2024年4月2日 2.2kg

前回の排便から出ないままで6日間が経過しました。

 

良かったことは、ウェットフードを右側からあげると出血を起こすが、腫瘍のある左側からあげると出血を起こさないことを見つけたとのこと。

 

もう目は見えていなさそうでしたが、それでも呼びかけにはちゃんと反応するし、たまに立ち上がって歩く姿も見せてくれました。

 

再診(診察52日目)  2024年4月5日 2.2kg

前日に小指の先程度の排便を認めたとのことでした。

 

もう何も食べないし、水も飲めていないとのことでした。

 

飲水ができないと脱水が一気に進行しそうなイメージですが、さぶちゃんの場合には腎機能はほぼ正常だったため、毎日の皮下点滴だけで十分にカバーできていたと考えています。

 

 

再診(診察64日目)  2024年4月16日 1.9kg

もうほとんど動けなくなっていました。

 

それなのに、大好きな猫じゃらしを前にしたら、体を起こして追いかけようとしてくれたんです。

 

遊んでいるのか、遊んでくれているのか。

 

私たちが来たことを、ちゃんと認識してくれていました。

 

さぶちゃん1.png

 

 

再診(診察67日目)  2024年4月19日 1.9kg

音はまだ聞こえていました。

 

音のする方に耳を少しだけ向けてくれました。

 

目もは見えないし、きっと鼻も効かないけど、すごく穏やかな表情で毎日を過ごしているとのことでした。

 

 

再診(診察69日目)  2024年4月21日 1.9kg

もうすぐお別れかなと思い、手のところに指を持っていくと、グイッと握ってくれたとのこと。

 

お母さんの温もりを、しっかりと感じているんだなと思えたお話でした。

 

最後の診察から3日後の2024年4月24日、さぶちゃんは永い眠りにつきました。

 

いつものようにベッドに連れていき、いつもの場所で一緒に寝て、いつもの朝を起きると、昨日の夜の姿で眠っていたとのことでした。

 

お母さんに気づかれないように、安らかな表情のまま眠るように旅立ったんだろうなと思いました。

 

さぶちゃんの73日間に及んだ在宅緩和ケアは、この日幕を閉じました。

 

さぶちゃんのご冥福をお祈り申し上げます。

 

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腫瘍というと、犬、特に大型犬という印象がありますが、猫ちゃんにも多く見られます。

 

猫ちゃんの腫瘍(がん)というと、最も多いのが皮膚腫瘍と言われており、次いで乳腺腫瘍、リンパ腫、と続いています。

 

猫ちゃんの皮膚腫瘍のほとんどが悪性の可能性が高く、肥満細胞腫や扁平上皮癌、繊維肉腫などその種類は様々です。

 

今回は、猫ちゃんが抱えうる腫瘍疾患(がん)の中で、最近よく在宅緩和ケアを実施している、「リンパ腫」について書かせていただきます。

 

「最近なんだか軟便気味だな」

食欲が少しだけ下がったような気がする

元気が少しだけないような気がする

体重が減ってきた感じがする

 

これらの症状は、もしかしたらリンパ腫が潜んでいるかもしれません。

 

往診専門動物病院での在宅緩和ケアにおける、実際の問診内容、検査プラン、処方プラン、生活環境へのアドバイスなどを中心に書かせていただきます。

 

 

予約時の問合せ内容

13歳の猫ちゃん(みー)で、1週間ほど前から元気食欲がなくなったとのことでした。

 

それ以外は至って普通だが、キャリーを見せるとよだれをこぼしながら興奮して隠れてしまい、頑張って動物病院に通院させようとしたが異常興奮したので、往診を希望したとのことでした。

 

通院歴はほぼなく、0歳の時に避妊手術とワクチンで動物病院に連れて行って以来、通院ができなくなってしまったとのことでした。

 

家の中なら、抱っこもできるし、落ち着いていると思うので、在宅でできる範囲で見てあげてほしいとのことでした。

 

初診時

ご家族様の印象通り、初対面の獣医師や看護師に対してもスリスリしてくれるような性格の猫ちゃんでした。

 

パッと見はそこまで体調が悪そうではないように見えるとのことでしたが、猫ちゃんの呼吸数はやや早めな印象を受けました。

 

往診専門動物病院では、通常の動物病院での問診と比べて長く時間を取り、深く伺うことが多いです。

 

当院では、初回問診は1時間〜2時間ほどかけています。

 

お伺いする内容は、元気、食欲、排便、排尿、飲水、発咳などの状況、今食べているご飯の種類や、猫ちゃんの好みのテイスト、ご飯の形状やあげ方、お水の位置や数、トイレについてなどです。

 

これらは基本的な内容ですが、生活環境や家族構成なども重要となる場合が多いので、そのあたりも深くお伺いすることもあります。

 

誰がどのくらい、この猫ちゃんの看護、介護に協力してくれるのか、どの時間帯に処置、処方のプランを組み込めば実施可能なのかなど、ご家族様ごとに組み立てさせていただきます。

 

この猫ちゃんの場合、まずは現状を把握するため、血液検査、超音波検査(エコー検査)を実施することとしました。

 

状態に応じて検査項目や検査種類を変えますが、かなり重篤な状態で、ストレスによってぐったりしてしまう可能性が高いと判断された場合には、まずは検査よりも臨床所見を持ってある程度診断を下し、処置のみを先行することもあります。

 

この猫ちゃんの場合には、初診時の状態がそこまで歩くなかったこともあり、検査が可能であると判断しました。

 

検査結果

往診では、ご自宅にて血液検査や超音波検査(エコー検査)、尿検査などを行うことが可能です。

 

中にはその場で結果がわかる検査もございますが、血液検査などの場合には、血液を持ち帰って検査を行いますので、次回診察時に結果のご説明をさせていただいています。

 

この猫ちゃん場合にも、血液は持ち帰っての検査となりましたが、その場で結果を一緒に見ることができる超音波検査(エコー検査)にて、お腹の中(腹腔内)にボコボコした腫瘤病変が、複数個確認されました。

 

初めて画像検査であったこともあるので、もしかすると昔から、または体質としてリンパ節が腫れやすい猫ちゃんも経験しているため断定はできませんが、画像の所見上で最も疑わしい病気として、リンパ腫の可能性をお伝えしました。

 

猫ちゃんのリンパ腫の余命は、抗がん剤などの積極的な治療を図らない場合には、おおよそ2ヶ月程度です。

 

また、経験上最初の6週間は元気なことが多いですが、そこから一気に体調が崩れていく印象です。

 

今回の猫ちゃんの場合も、この説明をさせていただき処置を行い、翌日も診察を組むこととしました。

 

その後のプラン

翌日には血液検査結果がある程度出揃い、数値には何も異常を認めないという、腫瘍疾患らしい結果が出ました。

 

こちらも主観的ではありますが、部位によって異なりますが、猫のリンパ腫の多くで、肝臓や腎臓などの数値が大きく崩れていることは少ないと受け取っています。

 

そのため、猫ちゃんで多い皮下点滴に関しても、輸液量を極端に少なくすることが可能であり、実際に投薬に要する時間は5秒ほどで完了しました。

 

そこに医薬品を混ぜることで、苦い薬を口から飲むことなく背中に入れてしまうことができるため、投薬後に口をくちゃくちゃしたり、泡を吹いてしまったりということが起きないようにすることができます。

 

ただ、皮下点滴ですので、実施にあたって誰が協力してくれるのかを明確にすることがとても大切であり、最終的にはご家族様の覚悟の問題になる場合が多いです。

 

病気の初期では、猫ちゃんも元気さが残っているため嫌がることが予想されます。

 

ここでは、皮下点滴時の保定の仕方が、皮下点滴成功への鍵となります。

 

ほとんどのご家族様で、みんな在宅での皮下点滴を実施できていますが、どうしても難しい場合には、別のプランを常に準備していますので、1つの方法に固執することなく、ご家族様が諦めなければ都度ご提案させていただいています。

 

2024年1月21日から始まった、この猫ちゃんが抱えたリンパ腫に対する在宅緩和ケアは順調に進み、最初の2週間は元気さを取り戻すことができました。

 

しかし、3週目からはだんだんと弱々しさが見えてきて、医薬品の量と頻度の変更が必要となりました。

 

そして2024年2月21日、いつもは入らないリビングにあるこたつの中に朝から入ったので、中を覗いたところ、そこで眠りについていたとの事でした。

 

お母さんはずっと付きっきりで看病してくれていましたが、きっと最後の姿を見せたくなく、最後の場所として、こたつの中を選んだと思います。

 

みーちゃんのご冥福、心からお祈り申し上げます。

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最近、腫瘍を抱えた犬猫の在宅緩和ケアのご依頼をいただくことが多くなりました。

 

「緩和ケア」と聞くと、「がん(癌)」というイメージが強いですが、犬猫においては、慢性疾患に該当する心臓病、肝臓病、腎臓病などにも、適応すると考えています。

 

慢性疾患は、いかにして進行を抑止して行くのかが大切です。

 

早期発見早期治療といっても、治療ができない場合がほとんどであり、そのため、症状をできるだけ緩和させながら、定期的な血液検査や尿検査、画像検査などを実施して、医薬品の種類であったり用法用量、ご飯の話などを行います。

 

おそらく、これらの疾患を抱えた場合に、動物病院に通院ができる犬猫の場合でも、上記の内容を逸脱することはないかと思われます。

 

「いつまで通院で頑張るべきなのか」というご質問をよくいただき、その回答としては、「愛犬、愛猫のストレス状況を見て判断する」とよくお伝えしています。

 

しかしながら、本来であれば、血液検査や画像検査などで診断が下された時点で、緩和ケアに自然と移行されています。

 

腫瘍であれば、根治治療を目的に腫瘍外科や化学療法(抗がん剤)、分子標的薬や放射線治療などの選択肢が提示されますが、年齢的なもの、体力的なもの、そして、ご家族様としてどこまで頑張らせたいのかによって、選択は異なってきます。

 

そして、もう根治治療ではなく、腎臓病に対する点滴や、心臓病、肝臓病に対する内服薬でのコントロールを含めた緩和的な治療を選択されるのであれば、次に考えるべきなのは、動物病院への通院医療なのか、訪問での在宅医療なのか、です。

 

どちらを選択しても間違いではないです。

 

費用面を考えると、通院の方が安いです。

 

しかし、犬猫のストレスを考慮すれば、答えは異なることが多いです。

 

最終的な判断はご家族様に委ねられるため、家族内で話し合っていきましょうね。

 

ここからは、実際の緩和ケア症例についてです。

 

今回は、緩和ケア症例の中でも、「腫瘍(がん)」を抱えた猫ちゃんの在宅緩和ケアについて書かせていただきます。

 

現在、動物病院への通院で抗がん剤をされている方、また、もう抗がん剤はやめて内服や注射などの緩和治療に切り替えられている方は、是非ここで、在宅緩和ケアついて知っていただければと思います。

 

扁平上皮癌の猫

2022年12月10日に動物病院への通院ではなく、往診での在宅医療に切り替えた症例です。

 

2022年9月頃に顔が腫れていることを主訴に、かかりつけの動物病院に通院したところ、歯槽膿漏を疑われ、抜歯を行うことで経過観察となったとのことでした。

 

しかし、そこからさらに顔の腫れがひどくなったことで、病理検査を行ったところ、扁平上皮癌の診断を受けたとのことでした。

 

この日から通院で痛み止めを処方されていましたが、だんだんと内服薬を飲ませるのが辛くなり、食欲もなくなり、ふらつきが目立ってきたため、在宅緩和ケアに切り替えました。

 

かかりつけの動物病院から紹介状をいただけたこともあり、そのデータを元に在宅緩和ケアプランを作成していきました。

 

ご家族様はお父さん、お母さん共に基本的には在宅とのことでしたので、1日3回の処置が可能であると判断しました。

 

痛み止めを1日3回、また、朝と夜分は、その他医薬品と一緒に皮下点滴に混ぜることで投与してもらいました。

 

なお、血液検査結果では肝臓や腎臓などの数値が正常であることが多いのが、腫瘍疾患の犬猫の特徴でもあります。

 

なるべく少量の皮下点滴、そして、なるべく細い針で実施してあげることを選択することができます。

 

この猫ちゃんの場合には、輸液剤は3mlだけで十分であると判断しましたので、実際の皮下点滴に要する時間はほんの数秒程度です。

 

苦い薬を口に無理やり入れられることもないため、投薬後の口腔内の違和感もなく、また必要な医薬品を必要な分だけ的確に投与できるため、食欲は回復し、動きも良くなりました。

 

このプランをベースとし、都度容態に合わせて変更させながら在宅緩和ケアを進めていき、2023年1月22日に旅立ちました。

 

この猫ちゃんの場合には、かかりつけの動物病院からの紹介状もあったことから、事前情報がある程度まとまった状態で訪問させていただけたことによって、即日の在宅緩和ケアプラン作成を行うことができました。

 

お母さん、そして担当していた獣医師の早期判断により、診断を持って在宅での緩和ケアに切り替えられた症例でした。

 

獣医師の中には最後まで通院を進めたい先生もいますが、そこはご家族様の意思次第になると思われます。

 

また、途中から薬だけをもらうために、ご家族様だけ通院し、写真や動画で説明して状況を伝えるというのも、状況次第ではやめた方がいいです。

 

状況が安定している犬猫の場合であれば、ある程度はそのレベルで判断できるとは思います。

 

しかし、今回のような緩和ケアの症例では、日々状態が変化するため、獣医師としても、犬猫を実際に見てみなければ判断できません。

 

そのため、動物病院の休診時間に往診にきてくれないのであれば、早々に在宅緩和ケアを得意とする往診専門動物病院を探したほうがいいです。

 

在宅緩和ケアに特化した往診専門動物病院は希少ですが、東京、埼玉、千葉、神奈川であれば、私たちがお力になれます。

 

愛犬、愛猫で腎不全、心臓病、肝臓病、腫瘍(がん)、また甲状腺機能亢進症や低下症などの慢性疾患を含め、完治を見込めず、医薬品を使って症状を抑え込んでいくことが求められた場合には、早々から在宅に切り替えてあげることを推奨します。

 

当院のような、犬猫の在宅緩和ケアに特化した往診専門動物病院では、獣医師だけでなく、在宅に特化した愛玩動物看護師が一緒にお伺いさせていただきます。

 

医療面だけでなく、床の種類、ご飯の種類やその子その子に応じたご飯のあげ方、ものの配置やトイレの相談など、生活面の全てをご相談いただけます。

 

近い将来、私たちのような在宅医療に特化した往診専門獣医療チームが全国に広がっていくことを信じています。

 

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