わんにゃん保健室 03-4500-8701

2020年8月アーカイブ

往診専門動物病院わんにゃん保健室 往診専門獣医師の江本宏平です。

当院は、往診専門ということもあり、猫ちゃんの診察がとても多いという特徴があります。

往診予約の電話で相談される猫ちゃんの症状でとても多いのが、よくお水を飲む、おしっこをたくさんする、トイレにたくさん行く、痩せてきた、元気がない、ぐったりしている、などです。

 

子猫.jpg

 

お水をよく飲む、おしっこの量が多いなどから連想されるのは、腎不全がまずは上がってくると思います。また、トイレの回数が多いという主訴に加えて、トイレの時によく鳴いているという主訴が加われば、膀胱炎を除外していきたいところです。

 

しかし、今回は、おしっこの量が多く、トイレの回数も多い、たくさん水を飲むという主訴から往診をしたところ、なんとなく単純な腎不全でも膀胱炎でもなさそうだなという雰囲気の猫ちゃんで、実は糖尿病だったという症例に出会いましたので、今回は猫ちゃんの糖尿病についてお話ししていきます。

 

猫ちゃんにも糖尿病があることは皆様ご存じかと思うのですが、どういったものか、どんな症状が出るのかは知らない方も多いと思います。

そこで今回は、豊食の現代で増えてきた、猫ちゃんの糖尿病についてお話していこうと思います。

 

そもそも糖尿病とはどんな病気なのでしょうか?

 

糖尿病はおしっこに糖が出る、というイメージですよね。

たしかにその通りです。

ではなぜ通常は尿糖が出ないのに、糖尿病になると出てしまうのでしょう・・・。

健康であれば、ご飯を食べて糖分を摂取します。

その糖分によって血糖値が上昇し、膵臓からインスリンが分泌されます。

インスリンによって、血液中の糖分やほかの物質も細胞の中に吸収されて、血糖値が落ち着き、ある一定ラインを切るとインスリンの分泌はストップします。

こうして体の血糖値は調節されますが、膵臓からのインスリンの分泌量が減ってしまう、あるいはインスリンに対する体の反応が落ちてしまっていると、細胞内に糖分が吸収されず、血糖値が下がらなくなってしまい、高血糖状態が持続してしまいます。

そうすると、腎臓から再吸収量を超えてしまった糖分が出てしまい、尿糖が出てきてしまうのです。

また、身体の中では、食べても糖分が細胞のエネルギーとして使えていないため、身体の中でエネルギーは不足した状態となっており、糖分ではなく体の脂肪を代謝してエネルギーを産生します。

その結果、ケトンという物質が体内に蓄積し、致死的になってしまうこともあります。

 

通常糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病に分類されていますが、猫ちゃんではほとんどが2型糖尿病であると言われています。

 

1型と2型の違いを簡単にご説明します。

1型は人やわんちゃんで一般的ですが、膵炎や免疫疾患によって膵臓が破壊されて、インスリンが出なくなってしまいます。

一方、猫ちゃんで多い2型糖尿病では、インスリンは出ているものの、肥満、炎症、など様々な要因によって、身体がインスリンに反応しにくくなっており、糖尿病になってしまいます。

 

では糖尿病になるとどうなってしまうのでしょうか?

 

まずは、おしっこに糖が出ていってしまうので、浸透圧の関係で、水分も多量に出ていってしまいます。

そうするとのどが渇くので、いわゆる多飲多尿の状態となります。そして、尿糖が出ていると、尿中に細菌も増えやすくなってしまいますので、膀胱炎も起こりやすくなってきます。

また、重症化してくると、身体の中でエネルギーが使えないので、痩せていってしまったり、食欲が落ちてきたり、といった変化が起きてきます。

ご家族の方では、最近妙にお水をたくさん飲むようになった、という変化で気付かれる方が多いかと思います。

また、神経障害が出てくることもあり、かかとを付けて歩く姿を見ることもありますが、人やわんちゃんのように白内障や糖尿病性腎症などは猫ちゃんではほとんど起こらないと言われています。

 

以上のような変化が見られた時には注意が必要で、すぐに獣医さんの診察を受けることをお勧めします。

 

しかし、なかなか病院に連れていくことが出来ない猫ちゃんも多いかと思いますので、そんな時は、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室が往診をさせて頂きます。

 

では実際に診断はどのようにするのでしょうか?

 

糖尿病の診断は、興奮しやすい猫ちゃんでは血糖値が上がりやすいので、他の検査結果と症状と合わせて考えていきます。

まずは持続する高血糖があるかどうかが重要で、それを見ていきます。また、尿検査にて尿糖が出ているかも確認していきます。

一時的な高血糖であれば尿糖は出てきません。そのため、尿検査は必須となってきます。

 

では自分の猫ちゃんが糖尿病になってしまったら、どうしたら良いのでしょう?

 

一番に思い浮かべるのはインスリンではないでしょうか?まさにその通りで、インスリンを注射して血糖値をコントロールすることが治療になってきます。

また、それと同時に痩せさせないと、と思われる方も多いかと思います。

しかし、猫ちゃんの場合、必要カロリーが足りないと肝臓に脂肪が蓄積してしまい、肝機能が低下してしまいます。

そのため、急激なダイエットは絶対やってはいけません。

治療の目標は血糖値のコントロールと、動物の調子が良い、と言えるようになることです。

そのうえで、体重を少しずつ落としていく、身体の中に炎症があるとインスリンの効きが悪くなってしまうので、歯周病などに注意する、といったことが重要です。

 

どうしても、ダイエットのために猫ちゃんに運動をさせるというのは、特にぽっちゃりの猫ちゃんであれば動きたがらないので、難しいかと思います。

そうなると、猫ちゃんのダイエットで一番実施しやすいのが食事制限ですが、まずはおやつを減らす、ごはんの量を決める、ご飯を食物繊維が多いフードに変える、などといったことから始め、ある程度身体が軽くなった時点で遊びを取り入れると良いかと思います。

 

次に、往診で出会った猫ちゃんの糖尿病症例のご紹介です。

 

猫ちゃんは、6歳の未避妊雌、東京千代田区在住の日本猫のサッちゃんです。

半年くらい前から水を飲む量が増えてきて、よく吐き戻す(嘔吐)という症状はあったのですが、キャリーを見ると異常に興奮し、無理やり入れるとキャリーの中でおしっこやうんちをしてしまい、開口呼吸をしてしまうまでになることから、動物病院に通院できないので諦めていたとのことでした。

3ヶ月くらい前から徐々に痩せてきて、ここ2週間くらいで一気に痩せるスピードが早くなり、ぐったりしているので、どうにか家まで来てくれる動物病院はないかということで、当院を発見したとのこおtでした。

お伺いすると、腎不全のような膀胱炎のような雰囲気もあったのですが、なんとなく違和感を覚え、採血を行なったところ、血糖値が600以上という高血糖症候群を引き起こしていました。点滴内容からステロイドを削除し、外注検査にて内分泌検査や糖尿病検査(フルクトサミン)を行いました。また、診察時に失禁を認めましたので、尿検査を行なったところ、尿糖と尿ケトンが多量に検出されました。

検査結果が出るのを待てる状況ではないことから、即日入院手配を進めました。

サッちゃんの性格上、入院はストレスになってしまうということもありますが、この病状から抜け出すには入院管理が必須であることをお伝えし、入院の手続きを始めていただきました。

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、入院設備を設けていないため、入院管理が必要な状況だと判断した場合には、飼い主様のご自宅から近い場所、かつ環境的に整っている動物病院を一緒に探していきます。動物病院を選ぶ際に幾つかポイントはあるかと思いますが、この時の検索基準は、獣医師が複数人いること、酸素室があること、の2つでした。

 

その後、2週間の入院管理の末、無事退院ができ、現在はご自宅でインスリン療法を毎日行いながら普段通りの生活を遅れています。

 

突然猫ちゃんの調子が悪くなった、といった場合、糖尿病の可能性も考えられます。

調子がわるくて動物病院に行けない、ストレスになってしまうので心配です、といったご相談も、往診専門動物病院わんにゃん保健室では、お家を診察室として使用させて頂きますので、ストレスも少なく治療することが出来ます。

一度往診専門動物病院わんにゃん保健室までご相談下さい。

 

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