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2024年2月アーカイブ

猫の心臓病といえば、肥大型心筋症です。

 

と言い切ると語弊がありますが、犬だと僧帽弁閉鎖不全症が多い中で、猫ちゃんは心筋の病気が多い印象があります。

 

そもそもが動物病院への通院を苦手とする猫ちゃんにとって、心臓病で苦しい中、ストレスを加えられながら通院して、検査を受けることが、果たしていつまで続けられるのかという課題は常に抱えているのが、動物病院として心苦しいところではあります。

 

しかし、通院してもらえなければ、心臓の精査は叶わないため、可能な限り、動物病院としても通院を促すしかないのが現状です。

 

ご自宅にいながらも、血圧や心電図などの補助的な検査であれば、猫ちゃんの性格にもよりますが、ご家族様だけで実施可能です。

 

心筋症を発症すると、肺水腫を起こすこともありますが、胸水貯留を起こすこともあります。

 

肺水腫を発症した場合には、その苦しさから救急的な処置が必要であり、また帰宅後も酸素ハウス内での集中管理を余儀なくすることが多いです。

 

完全に回復するまでは動物病院の酸素室内で集中的に管理してもらい、安定して酸素室から離脱できるようになってから帰宅させてあげたい気持ちも山々ですが、実際のところ、入院中は慣れない環境ということもあり、ご飯を全く食べてくれない、という猫ちゃんが多くいます。

 

その場合には、安定する前に帰宅せざるを得ないため、在宅での集中的な酸素管理が求められます。

 

今回は、通院で肥大型心筋症の検査と治療を行っていましたが、もう入院が難しいとされ、在宅での緩和ケアを実施した猫のミーちゃんのお話です。

 

東京足立区に住む、穏やかで人が大好きな日本猫、15歳の女の子です。

 

胸水抜去を繰り返しながらも、調子がいい時は酸素室の外でゆったりと過ごせていました。

 

内服薬の量が増えてしまって大変ですが、それ以上に動物病院での入院が辛かったのか、全部理解したようにちゃんとウェットフードと一緒に食べてくれていました。

 

最後は家族が揃った団欒の時間、2023年11月15日、リビングで眠るように旅立って行きました。

 

家族の力って、本当にすごいなと思う症例です。

ミーちゃん①.jpg

 

既往歴

2018年10月に、呼吸が変だなという感じから、かかりつけの動物病院に通院したところ、肺水腫を発症していたことから、緊急入院し、3日間入院した後に安定した頃から退院となったとのことでした。

 

ただ、8月にも健康診断で診てもらっていたのに、なぜ今になって急に心臓病が発症したのかということに不信感を得たことから、他院後は別の動物病院にて、心臓病の治療を進めていたとのことでした。

 

なお、最初の動物病院に今までの経過を伺ったところ、教えてくれなかったとのことから、新しいかかりつけとなる動物病院では、過去のデータがないままの初診となりましたが、特別問題なく受け入れてくれたとのことでした。

 

こちらの動物病院では、月に1回だけ、循環器専門医が来てくれたとのことで、その日に通院して心臓の精査をしてもらっていたとのことでした。

 

最初の動物病院で出された内服薬を確認すると、別の医薬品の方がミーちゃんの容態には合うかもしれないとことから変更を加えてくれたとのことでした。

 

その後も何度か肺水腫を繰り返し、入退院を繰り返しましたが、2022年9月に胸水が溜まってしまい、動物病院で抜去してもらったところ、それ以降キャリーを見ると異常に興奮してしまうことから、もう通院は難しいと判断し、かかりつけの動物病院と相談し、往診専門動物病院で緩和ケアを受けるように指示されたとのことでした。

 

経過報告書を作成していただけていたので、猫のミーちゃんの経過を把握することができ、どの抗生物質がミーちゃんと相性が悪く、またどの心臓薬を使ったらどんな反応が出たので、今の処方内容になっているのかという投薬歴も明記されていました。

 

ミーちゃんのことを真剣に診ていてくださったことが、書面から感じ取ることができるものでした。

 

ミーちゃんの在宅緩和ケアプラン

2022年10月3日に初診で訪問させていただきました。

 

知らない人が来ても、特別興奮することなく、逆に酸素ハウスから出してと言って、出てきてはスリスリしてくれました。

 

初診時には、すでに酸素ハウスが設置されており、酸素流量8L/min、酸素濃度60%で、酸素室内の酸素濃度が35%〜45%で管理されていました。

 

投薬内容も継続処方とさせていただき、内容によっては苦味の少ないもので代用できると判断し、できるかぎり飲みづらさを緩和させてあげました。

 

最初のうちは、月1回程度の訪問と継続処方、エコー検査、3ヶ月に1回の血液検査でコントロールしていました。

 

2023年1月9日から、呼吸状態が悪化してきたため、酸素管理方法を変更し、最初の頃の酸素発生装置1台体制だったのに対して、酸素発生装置2台での管理に変更しました。

 

また、胸水貯留を確認したため、処方されていた1日1回の利尿剤の用量を増加させることで、胸水の消失を認めることができ、そのまま管理としました。

 

しかし、3月7日に胸水が中等度まで貯留していることを確認し、胸水抜去に踏み込みました。

 

胸水抜去は、肋骨と肋骨の間を針で貫く必要があるため、腹水抜去と比較にならないほどの痛みを伴います。

 

そのため、往診では鎮静処置をしてから実施するようにしていますが、我慢強い場合や、状態から鎮静状態にある場合、すでに鎮静処置に耐えられない状態などの場合には、そのまま抜去してあげています。

 

胸水抜去は、通常の動物病院で実施するのと、往診にてご自宅の中で抜去するのでは、リスクが異なります。

 

そのため、十分にご理解いただき、事前にご家族様の同意を得ることが必要となります。

 

ミーちゃんの場合には、鎮静処置をせずに戦うこととし、見事耐えてくれました。

 

抜去する、ものの数分で呼吸が安定し、酸素室内であれば立ち上がって鳴いてる姿まで見せてくれました。

 

失神を起こす可能性や、急にチアノーゼを起こす可能性などを説明させていただき、その時にどんなアクションが取れるのか、事前準備を徹底的にさせていただきました。

 

往診は救急車ではないこと、そして救急症例には対応しかねるため、急変時は救急が対応できる動物病院に飛び込むか、そのまま看取ってあげるかの2択です。

 

ただ、そのまま看取るとしても、その時ご自宅でできることを理解しておけば、最後まで病状と戦うことができます。

 

気づけば家族みんなが、立派な動物看護師となり、ミーちゃんの容態をしっかりと管理してくれるまでに成長していました。

 

旅立つ前日に1回だけ発作を起こしましたが、最後の時は、本当に眠るように静かだったとのことでした。

 

2023年11月15日、家族が見守る中、大好きなリビングで静かに旅立ちました。

 

ミーちゃん②.jpg

 

動物と暮らす全ての方へ

最初に通院した動物病院は、おそらく家から近かった、その地域で人気があった、診療費が安かったのでいい先生だと思った、などの理由で、その動物病院をかかりつけとしたかと思います。

 

しかし、動物病院で働く獣医師も人であり、それぞれに得意、不得意があります

 

予防に力を入れる獣医師もいれば、先進医療に尽力し、新たな病気を発見したり、治療方法を提唱したりなど、獣医師によって様々です。

 

本当に、今のかかりつけの動物病院だけで大丈夫でしょうか。

 

現在の動物病院のスタンダードは、ある程度の医療機器や設備は整っているものであり、またネットワークとしては、外部の専門医による診療日を設けている動物病院も少なくありません。

 

経過報告書の作成や紹介状の作成などは、日常診療業務の中で当たり前のように舞い込んできます。

 

今の時代は1次診療と2次診療が手を組み、紹介医療の確立がある程度成されてきていると考えています

 

そんな中、もし専門医への紹介を拒まれた場合には、その理由に納得できるかどうか、まずはかかりつけの動物病院にお尋ねください。

 

しっかり理由を伺った上で、それでも納得できなければ、かかりつけの動物病院を変えることをお勧めします。

 

その選択が正しかったかどうかは、最後にわかることと思われますが、その決断をするかどうかは、全てご家族様次第です。

 

覚悟して行動するのも一つ、またかかりつけの動物病院を信じて最後まで愛犬、愛猫の命を付けて行くのも一つです。

 

そして、もし通院が難しいとなった場合には、病気を受け入れ、余生をできるかぎりストレスなく過ごさせるために、在宅緩和ケアに切り替えることも、また一つだと覚えておいてください。

 

何をどこまでするのが正しいのか、には答えはないです。

 

早期からご家族様で相談し、少しでも後悔ない選択ができるよう祈っています。

 

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猫の口腔内腫瘍で最も多いとされるのが、扁平上皮癌です。

 

扁平上皮癌を抱えると、口の動きに合わせて痛みや出血を伴う印象があり、ご飯を食べなくなり、動かなくなるという経過をよく見受けます。

 

また、発生場所にもよりますが、頬が腫れてくるように見えることから、歯の病気に分類される根尖部膿瘍を疑われ、根尖部膿瘍の治療に入ってしまう場合があります。

 

この場合にも、基本的には麻酔下での処置となるため、口腔内をしっかりと観察することができ、その違和感から細胞診などの実施を踏み切り、扁平上皮癌が発見されるというケースもあります。

 

また、初期であれば腫脹も軽度なため、もしその時に鼻風邪や鼻炎のような症状を伴っていた場合には、猫風邪などで様子見とされてしまうことが多いです。

 

猫風邪の治療に、もしプレドニゾロンなどのステロイドを使用されていた場合には、少し状態が改善してしまうということが起こってしまうかもしれません。

 

そのため、細胞診などの麻酔をかけた検査への踏み込みが遅れてしまい、猫風邪にしては症状が長く、改善したのに徐々に悪化してきておかしいとされ、ようやく麻酔に踏み切り口腔内を精査すると明らかな違和感を認め、検査、診断とつながるという、少し回り道をしてしまう可能性がありますので、注意が必要です。

 

この病気は、明らかな変化(頬の腫脹や鼻の形状変化など)を伴っていなければ、検査に麻酔が必要となることから踏み込まれづらいところがありますが、もし見つかれば腫瘍性疾患となり、可能であれば腫瘍を専門とする動物病院でがん治療に踏み込みましょう。

 

また、現状は慢性の猫風邪だと思い長期間の服薬をしている猫ちゃんの場合にも、一度セカンドオピニオンとして、腫瘍専門の動物病院で、がん専門医の診察を受けることをお勧めします。

 

今回書かせていただく症例は、東京江東区にお住まいのさぶちゃん、12歳の日本猫の男の子です。

 

現在も継続中の在宅緩和ケアについて書かせていただきます。

さぶちゃん1.png

 

今までの経緯

2023年12月に左頬からの排膿を認めてかかりつけの動物病院に通院したところ、その違和感から検査に踏み込み、扁平上皮癌と診断されました。

 

その状況から、内服薬での緩和治療とされていましたが、2024年2月を迎えると徐々に食欲が下がり、内服薬を受け付けてくれなくなりました。

 

もともとドライフードを好んでいましたが、この時はすでにチュールしか食べてもらえず、それの量も減ってしまっていました。

 

もう通院させるのは厳しいと判断され、2024年2月13日に当院までご連絡をいただきました。

 

 

初診(診察1日目)

お伺いすると、猫のさぶちゃんはリビングで伏せており、手をぴんと伸ばしたまま、終始じっとしていて動きませんでした。

 

目が開かないほどの左頬の腫脹もあり、毛並みもパサパサ、脱水も著しい状況でした。

 

過去の血液検査結果、かかりつけ動物病院での処方歴など、お母さんがお持ちだった全てのデータを見させていただき、現在までにどんなことがあり、何をされていたのかなどについて整理させていただきました。

 

血液検査結果では、腎臓や肝臓などに異常所見はなく、栄養状態なども含めて特記すべき所見は認めませんでした。

 

腫瘍疾患を抱えていて、特に肝臓転移や腹腔内腫瘤による障害などを伴わない場合には、血液検査結果がキレイなことが多いです。

 

そのため、肝臓や腎臓の機能は正常に残っていることから、現在の状態をサポートしてあげ、自力でご飯を食べたり、お水を飲んだりできるようになれれば、体を維持できることが期待できます。

 

お母さんのお話によると、まだ歩いて水を飲みに行っているが、全然飲めていないように感じるとのことがあり、おそらく扁平上皮癌によって、舌をうまく動かせていない可能性を疑いました。

 

食欲がないのも、痛みと口を動かすことが辛いのではないかと疑いました。

 

排便も、食欲の低下とともに徐々に少なくなり、ころっとした硬いものが少しでた程度とのことでした。

 

おしっこは出ていないとのことで、腎臓の問題で尿の生成ができていない、いわゆる腎不全の最終段階にある無尿期ではなく、単純に水が飲めていないことで、体内にある少量の水分をうまく運用して生命維持をしている可能性を疑いました。

 

そして、診察開始の少し前に吐血のような症状があり、結構な量の血が出ていたこともあってか、舌色はかなり白く、出血性の貧血を伴っている様子でした。

 

今の状態に出血が重なったこともあり、さぶちゃんはぐったりしていたと考えました。

 

状態から、同日に検査で負担をかけることは避けた方がいいと考え、今までのデータを持って在宅緩和ケアプランを組み立てていくこととし、脱水補正ではなく投薬を目的とした皮下点滴を1日2回実施してもらうこととしました。

 

在宅緩和ケアプランを組む上で大切なことは、病状だけでなく、この犬猫と暮らすご家族様の環境などをすることです。

 

具体的には、生活環境や家族構成、誰がペットの看護や介護に協力してくれるのか、その人たちの日常のスケジュールなどです。

 

猫のさぶちゃんでは、まずは皮下点滴をご自宅で実施していただくために、皮下点滴のトレーニングをしていただきました。

 

1つ1つの手順を一緒に、ゆっくりと指導させていただきますので、初めての方でもご自宅で、家族内で皮下点滴を実施できるようになります。

 

道具をお渡しし、次回診察を3日後としました。

 

薬の効果がどこまで出るかにもよりますが、状態が悪くなってから内服薬がうまく飲ませられていなかったことを考慮すれば、少し状態が上がってくることが期待できると考えました。

 

再診(診察4日目)

 

そこには、元気さを取り戻したさぶちゃんがいました。

 

さぶちゃん2.png

 

本当にびっくりするくらいまで状態が上がっており、遊んでって言わんばかりに猫じゃらしのおもちゃを持ってきては、戯れてくれていました。

 

ふらつきも強く、お水も飲めていなさそうだった初診の時とは打って変わり、動きも俊敏にあり、ジャンプまでするようになったとのことでした。

 

水もちゃんと飲めているようで、体重も増え、毛並みもだいぶ改善しており、もう見た目が別の猫ちゃんのようでした。

 

ご飯もチュールだけでなくウェットフードを食べてくれるようにあり、少し軟便が出ましたが、その後良便に戻りました。

 

さぶちゃん3.png

 

在宅緩和ケアの可能性

私たちが得意とする「犬猫の在宅緩和ケア」では、末期症状だった犬猫の状態を少しでも楽にしてあげることで、体の不自由左から諦めていた行動を、犬猫たちの意思によってまた時間を与えられる可能性があります。

 

また、緩和ケアは治療ではないため、延命かどうかの問いには答えられません。

 

しかし、少しでも楽に余生を過ごさせてあげたいと考えた場合、緩和ケアは最良の選択肢になりうると考えています。

 

犬猫は言葉を話せないため、送られてくるサインをどう受け取り、どう判断していくかの全ては、ご家族様次第です。

 

最後の時間を、できる限り家の中で過ごさせてあげたいとお考えの場合には、在宅緩和ケアをお勧めします。

 

ご自宅の地域まで往診で来てもらえる動物病院、または往診専門動物病院があるかどうかを、事前に調べておきましょう。

 

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腎臓病にはステージがあります。

 

時間と共に、徐々に進んでいく病気に分類されるのが腎臓病であり、早期発見が大切であり、早期からご飯の選定やケア、投薬することで、進行を遅らせることが期待されています。

 

多くの猫ちゃんが動物病院への通院を苦手としているため、わんちゃんのように毎月のように動物病院に通院して状態を診てもらうことが叶わないのも事実です。

 

そのため、日常の中での変化を、ご家族様がしっかりと観察しておく必要があります。

 

「少し水を飲む量が増えたかな?」

「ご飯を残すようになった?」

「痩せてきた?」

 

そのほかにも、毛並みはどうなのか、ふらつきはあるのかなど、日常に潜む違和感に、目を光らせてあげましょう。

 

今回書かせていただくのは、腎臓病末期の猫ちゃん、ソマリの稟ちゃんのお話です。

 

最後の1週間を動物病院への通院ではなく、往診(在宅医療)に切り替え、できる限り負担のない時間をご自宅で過ごしたお話です。

 

2024年2月9日に出逢い、在宅医療プランを組み、負担のない範囲で、毎日の皮下点滴を頑張ってもらいました。

 

少しだけ元気さを取り戻すことができましたが、やはりステージは末期。

 

5日後の2024年2月14日、家族の見守る中、静かに眠りにつきました。

 

①.jpg

 

 

往診までの経緯

かかりつけの動物病院までは徒歩1分ほど近かったこともあり、年1回の予防接種には行くことが出来ていました。

 

腎臓病を指摘されたのは去年のことで、その日から3ヶ月に1回の通院検査の指示を出されたとのことでした。

 

2024年1月に入ると、食欲がだんだんと下がってきました。

 

2024年2月4日の通院時には、すでに食欲がほとんどなく、普段好きだったドライフードは全く食べられず、ウェットフードをなんとか食べてくれていました。

 

この日の検査結果で、腎臓の数値が大きく悪くなっていることを受け、入院管理とされました。

 

腎臓病の入院点滴では、多くの場合で3日間ほどの集中管理を行なった上で数値に改善が見られるか否かで、予後判断となります。

 

今回、3日間入院するも改善を認めないことから、余命宣告を受けたとのことでした。

 

かかりつけの動物病院からは、週2回の通院を促されましたが、もう動かすだけでも辛そうな姿を見ていて、往診に切り替えたいと希望されました。

 

 

初診(1日目)

お伺いすると、ソファーの下で寝転がっている稟ちゃんがいました。

 

状態は日々下がっているとのことで、数日前まではまだ普通に歩けていたものの、後肢の踏ん張りが効かないのか、ふらつきが強く出てきたとのことでした。

 

食欲もこの時点でガクッと下がっており、ウェットを1、2回舐め、リーナルリキッド(腎臓病用の液体ご飯)を強制給餌(10ml/回)で3回くらい、チュールを2本ほどやっと食べてくれたとのことでした。

 

おしっこの量も少し減った印象とのことだが、飲水量は多くなったような印象とのことでした。

 

最後の検査から数日しか経っていませんでしたが、急性変化の中にいることを考慮し、また当日の状態を加味した上で、検査を実施しました。

 

また、過去の検査結果から、すでに腎数値がかなり高くなっていることから、1日2回の皮下点滴が必要であると考え、同日、皮下点滴指導を実施し、無事打てるようになっていただけました。

 

1日2回の皮下点滴が実施できるようになると、在宅医療プランを組む上で選択肢が多くなります。

 

今回の稟ちゃんのケースでは、ご家族様が基本在宅していただけることを踏まえ、1日2回の投薬を踏まえた皮下点滴と、苦くない薬だけで組んだ医薬品シロップを1日1回の投与として、在宅医療プランを組ませていただきました。

 

そして、腎臓病の終末期では、多くの確率で発作が出ます。

 

この日の最後は、頓服薬の指導を行い、今後どんなことが起こりうるのか、その時何ができるのか、どんな選択肢があるのか、などをゆっくりとご説明させていただきました。

 

初日は2時間半ほどのお時間をいただき、綿密なプラン構築を行い、再診は翌日としました。

 

明日の朝の皮下点滴が、ご家族様だけで実施する最初の在宅皮下点滴です。

 

うまく行くことを祈って、この日は診察終了です。

 

 

再診(2日目)

前日とは打って変わり、一回だけでしたがダイニングテーブルまで飛び乗ったとのことでした。

 

食欲も上がってきたのか、割と食べた印象とのことで、チュール2本、ウェットフードをすりつぶしてペーストにしたものを20gほど、リーナルリキッドを少々、カツオのおやつにはがっつくほどだったとのことでした。

 

お尻がいつもおしっこで濡れているとのことを受け、介護用のお尻洗浄液をお渡しさせていただき、少しでも稟ちゃんに負担なく綺麗にしてあげられるような準備をさせていただきました。

 

再診(5日目)

3日前とは打って変わり、もうほとんど動けない様子でした。

 

1日中ずっとソファーの下で寝ており、あまり外に出てくることはなかったとのことでした。

 

食欲もなく、もうご飯も食べてくれなくなったとのことでした。

 

ここから強制給餌をするかどうかに分かれますが、状態とステージを考慮すると、もう無理して食べさせることで、逆に嫌な思い出ばかり作ってしまうことが懸念されることもあり、強制級はお勧めしませんでした。

 

お水を飲む量もガクッと減り、いよいよお別れの準備に入ったような印象を受けました。

 

いつまで点滴を続けるのかという質問を受けることがあります。

 

これには状態を把握していないと、一概にお伝えできませんが、何のためにその処置を行なっているのか、によって答えは異なります。

 

使用する医薬品、その用量、用法、愛犬、愛猫の病気または病状などをしっかりとかかりつけの動物病院、獣医師から説明を受けておくことで、その判断につながります。

 

稟ちゃんのケースでは、最後まで実施するようにお伝えさせていただきました。

 

四肢浮腫も、胸水や腹水の貯留も認めず、ちゃんと水を代謝できている状態であれば、そこまで点滴を絞る必要はありません。

 

ただ、もう皮下点滴を吸収できなくなってきた頃からは、輸液量をギリギリまで絞るという方法を取ることもありますので、当院では適宜お伝えさせていただいております。

 

次回の診察は4日後としましたが、もうその日が来る可能性は低いことも、同時にお伝えさせていただきました。

 

②.jpg

 

お別れ(6日目)

翌日の昼間に、稟ちゃんは眠りにつきました。

 

最後に1回だけ発作を起こしましたが、すぐにご家族様による鎮静処置を実施していただくことができました。

 

急変時に何もできないわけではなく、事前準備さえできていれば、ご家族様だけで対応できることはあります。

 

終末期の動物たちと過ごすのであれば、事前の準備と今後起こりうること、その時何をどうすればいいのかなどを、きちんとかかりつけ動物病院と、獣医師と、話し合っておくことが大切です。

 

最後まで本当に力強い子でした。

 

稟ちゃんのご冥福を、心からお祈り申し上げます。

 

わんにゃん保健室

スタッフ一同

 

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病気は同時に、別々のものが発症しないと思ってます。

 

とはいえ、立証できないことや、もちろんそういった事例もあるとも思います。

 

ただ、大体のケースで、ストーリー性に病気が発症し、どれが原疾患だったのかを追求することが、完治であったり、緩和ケアだったりの初手につながると考えています。

 

今回お話しする「猫ちゃんの扁平上皮癌」の終末期ケアですが、もともとはかかりつけの動物病院で治療を受けていました。

 

徐々にご飯を食べられなくなり、ふらつきも見え始める中、それでも通院するたびに普段出さない鳴き声を出すことから、在宅での終末期ケアに切り替えた症例のお話です。

 

緩和ケアプランは、犬猫の病気だけでなく、性格や取り巻く環境、ご家族様が何を求めるのかによって異なってきます。

 

扁平上皮癌の猫.jpg

 

予約時の電話内容

2ヶ月ほど前に、口を気にすることを主訴にかかりつけの動物病院へ通院したところ、扁平上皮癌の可能性があると言われ、すぐに2次医療施設を紹介受診し、確定診断を受けたとのことでした。

 

年齢は12歳であり、抗がん剤などの説明を受けましたが、入院や高頻度での通院には向かない性格だったことから断念したとのことでした。

 

かかりつけの動物病院の獣医師と相談し、緩和ケアに切り替えることで進めていましたが、最初は頑張れていた内服薬の投与も、食欲の低下とともに、徐々に難しくなり、もう内服は厳しいいと思い動物病院に相談したところ、往診専門動物病院があることを教えてもらい、当院を紹介されたとのことでした。

 

すぐに予約を確定し、翌日訪問することとなりました。

 

当院は、東京23区を中心に、23区外、千葉、埼玉、神奈川を含む近隣エリアまで往診対応しております。

 

最近では、動物病院からの紹介が増えておりますが、まだまだご家族様自身で探し当ててご連絡をいただくことのほうが多いです。

 

今回のケースでは、経過報告書もいただけるとのことから、現在までにどんな治療をしてきたのかなどがわかるため、スムーズに診察に入れました。

 

初診時

ふらつきながらも、悠々自適に家の中を歩いており、初対面の私たちに擦り寄ってきてくれるほど人懐っこい性格の猫ちゃんでした。

 

食事は猫ちゃん自身でお皿から食べることは難しく、ご家族様が口の奥の方にペースト状のご飯を入れてあげると飲み込んでくれるという状態でした。

 

排便は3日前が最後でころっとしたものを1粒、排尿は普段と変わらずできているとのことでした

 

飲水はできているが、お皿の水が目立って減っているような印象はないとのことでした。

 

咳もなく、呼吸状態も安定していました。

 

家族構成はお父さん、お母さんの二人暮らし。

 

お父さんはカレンダー通りのお休みで、お母さんはこの病気の発覚を機に、お仕事を辞めて常に在宅されているとのことでした。

 

環境としては、猫ちゃんの看護、介護ができる大人が2人以上いるため、大体のプランを組むことが可能であると判断しました。

 

いただいた紹介状にもあったように、扁平上皮癌の終末期ケアを中心とした緩和ケアプランを作成することで、診療を進めます。

 

今までの血液検査結果を拝見すると、至って正常であることが、こういった病気の特徴だったりもします。

 

肝臓腫瘍などの場合には肝数値と言われる項目に変化が見えるのですが、扁平上皮癌やリンパ腫などで、臓器に浸潤していないものの場合には、体調不良を主訴に血液検査を時失したが特別異常所見がなく、画像検査をしたら見つかったというケースが多いです。

 

そのため、検査は負担のかかりすぎない範囲で、できる限り広く実施してあげることが、私としては重要だと考えています。

 

金額面で許容することが難しい場合には、必ず実施前に獣医師から説明があるかと思いますので、そこで相談するようにしましょう。

 

検査は検査であり、処置は処置。

 

検査して、治療を続ける費用が難しくならないように、包み隠さず相談するようにしましょう。

 

この日から在宅緩和ケアプランを実施していただくこととしました。

 

この猫ちゃんの場合、肝臓や腎臓、膵臓に問題がないことから1日2回の注射薬を用いた皮下点滴、痛み止めは1日3回の皮下投与をお願いしました。

 

液量もかなり少なく設定できるため、猫ちゃんに刺す針の太さも一番細い、子猫用の針としいて選択されるもので実施していただきます。

 

これから毎日刺すことから、針の太さはとても大切な選択ポイントです。

 

ただ、細ければいいっていうこともなく、長くじっとしていられないタイプの犬猫の場合には針を少し太くしたり、液量をたくさん入れなければいけない場合には、一番太いものを選択することもあります。

 

皮下点滴1つをとっても、何のために実施するのか、実施環境はどこまで整っているのかなどを明確にすれば、自ずとどんな道具選択が一番いいのかを導き出すことができます。

 

食事は好きなものをあげるようにお伝えしました。

 

口の痛みは、医薬品の力である程度緩和できます。

 

少しでも、最後に食べたいものを探してあげるようにお伝えしました。

 

その後の流れ

初診時に、すでに皮下点滴指導が完了し、そのほかにも頓服薬指導なども完了したため、以降は週1回の往診としました。

 

毎週の往診では、超音波検査による胸水や腹水の貯留がないかを評価し、状態にあった医薬品を調整してお渡ししていました。

 

初診後すぐに食欲がグッと上がり、ご飯を久しぶりに猫ちゃん自身で食べてくれたとのことでした。

 

ジャンプもできるようになり、大好きだったソファーの上に、猫ちゃん自身で飛び乗ることができたとのことでした。

 

初診から4 週間、安定した終末期を過ごせていましたが、5週間目には徐々にまたふらつきが出始め、同時に食欲がグッと下がってきました。

 

食欲増進を期待する軟膏も処方しましたが、効果は認めませんでした。

 

初診から6週間目、呼吸が荒くなってきたことを受け、酸素環境を構築することとなりました。

 

酸素濃度は45%でも呼吸が荒く、55%でようやく落ち着きました。

 

酸素室内で久しぶりに立ち上がり、ゴロゴロいっている姿を見ることができました。

 

酸素室設置から6日後、お父さんの帰宅を待っていたかのように、そのタイミングで旅立ちました。

 

猫の扁平上皮癌の在宅終末期ケア

 

今回の症例では、皮下点滴を1日2回+痛み止め注射を1日3回で組ませていただきました。

 

そして、呼吸状態に合わせて酸素室を設置し、酸素環境を整えることができました。

 

何をどこまでしてあげたいのかは、全てご家族様次第であり、その意向に沿って診療プランであったり、処方内容や在宅での処置プランを組んでいきます。

 

動物病院では何もできないとされ、家で看取ってくださいとされた時から、初めて往診専門動物病院を探すご家族様がほとんどの中、このように動物病院から紹介をしていただくことが叶えば、スムーズに診療に入ることができます。

 

少しでも広く、動物病院に往診専門動物病院の存在を認知していただき、命のバトンを途絶えることなく受け渡せる社会がくることを願っています。

 

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犬猫の往診専門動物病院
わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
休診日:不定休診療カレンダー
 
〒111-0036
東京都台東区松が谷3-12-4 マスヤビル5F
 
【わんにゃん保健室】
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