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2023年2月アーカイブ

今回は、前回に引き続き、みゆちゃんのその後の経過についてです。

 

前回までの内容は、こちらの記事 から読んでいただけます^^

 

さて参りましょう。。。

 

猫ちゃんの腫瘍性疾患といえば、まず考えなければいけないのがリンパ腫です。

 

愛猫がリンパ腫を抱えた場合の主な流れは、大まかに以下の流れです。

 

1. 違和感に気づく or 健康診断で発覚

2. 動物病院にて腫瘍を疑う部位の細胞診

3. 細胞診で腫瘍を疑う結果だったため、麻酔をかけた外科処置が可能か判断するための精査(CTなど含む)

4. 腫瘍切除による病理検査

5. 確定診断と方針決定(腫瘍外科or/and 放射線 or/and 抗がん剤 or/and ・・・)

 

2までは負担が比較的少ないですが、3、4は麻酔が必要であり、また外科も実施となると、その身体的負担は膨大です。

 

そして、5から下、抗がん剤。

 

抗がん剤は、よく運転に例えられます。

 

通常の薬を普通車で一般道を走っているような表現とするのであれば、抗がん剤はF1レースのような印象です。

 

うまくいっているときはいいですが、トラブルがあった時の副反応は、通常の薬とは比べ物にならないくらい、ガクッと下がってきます。

 

そして、その対処に十分な対処ができるほどの抗がん剤に対する専門的な知識を持ち、副反応が出た際に理論的に向き合える獣医師がそこまで多くない、ということを知っておかなければいけません。

 

もし抗がん剤をしないならば、腫瘍外科は希望しないのであれば、3から下は必要ないと考えています。

 

積極的な治療よりも、緩和的にケアしてあげたいのか。

それとも2次医療センターなどに進み攻めていきたいのか。

 

そうは言っても、いきなり緩和ケアを選択するのは、少し薄情な印象もあるようで、初代の犬猫に対しては、攻める選択をされる方が多い印象です。

 

うまくいけばいいのですが、もし治療の過程で体力がもたないと判断されてから、また方針を切り替えて緩和ケアに切り替えることも可能です。

 

その時その時の、あなたの心を信じて突き進みましょう。

 

さて、長くなってしまいましたが、ここからは前回の続きです。

 

初診が終わり、初回処置に対してどこまで反応を示してくれたのかを評価する2日目からです。

 

IMG_2407.jpg

 

再診2日目

嬉しいことが起きました。

 

ほぼ寝たきりだったみゆちゃんは、昨日の皮下点滴後1時間半くらいで元気になってきたとのことでした。

 

今日は家の中をふらつきが多少ありながらも、スタスタ軽快に歩いて見せてくれました。

 

ほとんどなくなってしまった食欲も、一気に上がってきて、64gも食べてくれたと、嬉しそうにお話してくれました。

 

もちろんこれは薬の効果かもしれませんが、みゆちゃんに残された生命力の強さを目の当たりにしました

 

11月中か、もっても年内とされていたみゆちゃんでしたが、この改善幅を見る限り、もしかしたらまだ...って、その場にいた誰もが信じたくなりました。

 

このまま状態が上がってくれるかもしれないと判断し、同日ご家族様に皮下点滴指導をじっくりと入れさせていただき、今後はご家族様だけで皮下点滴が実施できるようになっていただきました。

 

再診3日目

昨日よりもさらに状態が上がり、今後のことを見据えて、血液検査と超音波検査を実施することとしました。

 

状態が改善したとはいえ、病気が病気なこともあるので、検査には十分な人数を揃え、酸素化しながら呼吸状態の悪化を防ぎつつ、保定していきました。

 

通常の猫ちゃんは、保定されるのがとにかく嫌いです。

 

ところが、みゆちゃんは全く嫌がらずに、身を委ねてくれました。

 

採血中、エコー検査中、一切嫌がる素振りも見せず、ただ横になって協力してくれました。

 

そして医薬品を本日お渡しとし、明日からはご家族様だけで皮下点滴をしていただくこととしました。

 

次回の診察は、3日後とし、状態が安定していれば4日後、7日後と間隔を延ばしていきました。

 

この時点では、1週間に1回程度検査を実施し、急激な数値変化が起こらないかを、慎重にモニタリングさせていただいていました。

 

IMG_1771.JPG

 

再診49日目

状態も安定してきていることから、注射プランから内服薬プランへの変更を検討させていただきました。

 

もし飲ませるのが難しかった場合には、注射薬プランにすぐに戻せる体制を整えつつ、内服に変更していきました。

 

内服薬6種類を全て苦くないものから選定し、シロップにして飲ませていただきます。

 

もし飲ませられれば、ここからは2週間に1回の検査までに減らすことができます。

 

うまくいくことを祈っていたところ、ちゃんと飲ませられたとの報告を受け、一安心でした。

 

このままの状態が長く続くことを、心から祈っていました。

 

再診71日目

少しずつ食欲が下がってしまったこともあり、内服薬プランのまま、1種類だけ皮下注射として追加処方させていただきました。

 

注射薬の量が少ないこともあり、ロードーズという細く小さい注射器に吸って準備することができましたので、刺される側も、刺す側もストレスが最小限で済みます。

 

インスリン注射の時に、よく使用される、細い針が注射器と一体になったものです。

 

状態が少しでも上がってくれることを信じ、次回も14日後の診察としました。

 

再診85日目

さらに下がってしまい、もう食欲増進の軟膏が反応しないようになりました。

 

基本は軟便だが、水っぽくなってしまったおきに下痢止めの注射を入れると、しっかりと反応してくれるとのことでした。

 

なお、下痢が止まっている日は調子がいいようです。

 

体重も少し下がっていましたが、直前の一番体調が悪そうだった日からは少し増えていました。

 

ヒレカツの中身、エビフライの中身、しらす、アジ、そして金目鯛...

 

食べてくれるなら、みゆちゃんが食べたいのなら、なんでもいいです。

 

キャットフードだけにこだわって食べられないのであれば、好きなものを好きなだけ食べてもらった方が、何倍もいいと考えています。

 

この日の超音波検査では、腸管の動きが普段よりも低下していて、拡張傾向のような所見を認めました。

 

消化管への浸潤が始まったのかもしれないと考えつつも、まだご飯を食べれば便が形成され、下痢止めにも反応を示すので、そこは様子見とさせていただきました。

 

この日から、内服薬を一部注射薬へと移行し、注射薬プランと内服薬プランを併用としました。

 

そして、診療間隔も、2週間に1回ではく、週1回とし、病状の変化を捉えていきます。

 

IMG_1764.JPG

 

今日のまとめ

医薬品を使用することで、状態が下がりすぎていない状況であれば、経験上2度だけ不快な状態が軽減し、少し楽そうに過ごしてくれることが多いです。

 

ただ、医薬品は万能ではないし、その効果は有限であり、必ず終わりはやってきます。

 

いつ体調が大きく下がってもおかしくない状態ではありますが、できることを一緒に頑張っていきましょう。

 

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猫ちゃんの病気というと、きっと多くの方で、「腎臓病」という言葉が最初に浮かんでくると思います。

 

もちろん、ほとんどの猫ちゃんで腎臓病を抱えますので、定期的な検査をしてあげることを推奨します。

 

ただ、猫ちゃんの多くで通院を苦手としているため、健康診断目的に通院させて、帰宅後にぐったりさせてしまうくらいなら、いっそのこと往診で在宅診療による健康診断を選択することも可能です。

 

往診では、血液検査、超音波検査、尿検査など、大型機器を必要としない検査は実施可能です。

 

また、検査は安全性を確保するため、獣医師と動物看護師1〜3名ほどでお伺いさせていただきます。

 

何事も手際よくスムーズに実施することで、猫ちゃんにかかるストレスを最小限まで下げてあげることを大切にし、開放後、速やかに安心できる場所に隠れさせてあげられるよう、動線確保にもご協力をいただいています。

 

本日は主疾患が腎臓病でははなく、私たち人間と同じ、旅立ち要因として最も多く挙げられる、腫瘍性疾患についてです。

 

かかりつけ動物病院にて、膵十二指腸リンパ節のFNA(細胞診)を実施し、大細胞性リンパ腫と診断された日本猫のみゆちゃんの在宅医療についてのお話です。

 

初診が2022年11月で、年越しは難しいとされていた中で、2023年1月初旬までは安定してくれて、そこから少しずつ状態が下がりつつも、2月13日現在、今日もお母さん、お父さんとゆっくりと過ごせています。

 

IMG_1750.jpg

 

初診時の問診内容

2022年3月くらいから徐々に体重が減少してきた感じはありましたが、まだまだ全身状態は良好でした。

 

この時通院していた動物病院では、体重減少に対して相談したところ、特別何もせずに様子見とされたとのことでした。

 

しかし2022年8月になると体調不良を訴え始め、ただ本格的に食欲がなくなってしまい、ご飯を食べられなくなってきたのは2022年10月9日からとのことでした。

 

2022年11月5日に状態がおかしいと感じ、11月7日に少し大きめの動物医療センターに転院し検査したところ、膵十二指腸リンパ節が腫脹していると指摘され、細胞診の結果悪性のリンパ腫と言われたとのこと。

 

このから2日間連続で抗がん剤治療を通院で行い、また毎日通院させて皮下点滴を打つようプランとされたとのことでした。

 

内服薬を4種類処方されており、ただ内服薬は状態が悪い中でも、まだ元気なうちしか飲ませられないため、今後どうすべきか悩まれていたとのことでした。

 

2022年11月17日、本来であればこの日も通院の予定でしたが、ぐったりとしている姿を見て、もう皮下点滴のために毎日通院することは体力的に難しいと判断し、在宅に切り替えて看取ってあげたいと考え、往診を希望されました。

 

 

初診時の様子

ほぼ寝たきりのみゆちゃんですが、まだお家の中を歩く体力はありそうでした。

 

食欲はもう無さそうで、排便もずっとできていませんでした。

 

それでも、お水は自分から飲みに行けて、おしっこも1日に3回は自力でトイレでできていました。

 

呼吸状態も安定しており、咳もありませんでした。

 

ただ、初診前夜に嘔吐をしてしまったとのことでした。

 

みゆちゃんが抱えている病気はリンパ腫であることから、今後もしかすると胸水が溜まってきてしまう可能性があります。

 

初診時検査

当院では、初診時に全身状態を把握するためにも血液検査を含めた、各種検査を実施しています。

 

しかし、今回は前日の検査結果が手元にあることもあり、大きく変化が出ていないとと判断したため、それらのデータを用いて診療プランを決定する、初回カウンセリングとして診療を進めました。

 

診断がついている病気であったり、また過去の検査結果が数日前のものであったりする場合には、無理に検査して負担をかけるより、まずはそのデータを持って今後のプランを組み立てたほうがいいとする場合があります。

 

ただ、もちろん検査が全てではないですが、できれば検査をしてあげたいと考えています。

 

とはいうものの、在宅での検査であっても、保定や捕獲などによるストレスは、多少なりともかかってしまうものです。

 

しかし、移動を伴わないため、検査・処置後に好きな場所にすぐ隠れられるという大きなメリットがあるので、通院が苦手な犬猫には、往診はおすすめです。

 

診療を進める上で、現状把握を優先すべきか、過去のデータと今得られる視診や望診、一般身体検査から得られたデータのみで診療を進めていくべきか、常に葛藤しています。

 

処置

今回みゆちゃんは、初回カウンセリングとして状況を判断し、皮下点滴に6種類の医薬品を混ぜて投与しました。

 

また、腫瘍性疾患であり、脱水補正のための皮下点滴ではないので、投与量も20ml/kg未満の50mlとしたこともあり、処置中もあまり嫌がることなく、静かに受けてくれました。

 

IMG_1771.JPG

 

今後のプラン

まずは3日間連続、1日1回の往診とし、状態に合わせて医薬品の量や種類を調整することとしました。

 

なお、内服薬は全部中止としました。

 

先述した通り、猫ちゃんで内服薬を飲めるのは、ほんの一部であり、また状態がまだいい時までです。

 

状態が下がってしまった時からは、できる限り注射にできる薬は注射で投与してあげ、どうしても内服でしかダメなものだけを経口投与するようにしましょう。

 

お薬の優先順位を立てて、全部飲めなくても良しとする心構えが大切になってくる時期です。

 

少しでも状態が安定し、お父さん、お母さんと一緒に過ごせる時間を今よりも快適にできればと祈りました。

 

なお現段階では、物理的な抜去は痛みを伴うこともあり、積極的に胸水抜去はしない方針としています。

 

胸水抜去の時には、特に猫ちゃんでは、往診だと鎮静麻酔をかけることが多いです。

 

そのくらい、肋間を針が貫くときに痛みがあるということです。

 

今回のまとめ

今回のブログでは、リンパ腫を抱えた猫ちゃんの在宅医療の初診について書かせていただきました。

 

いつまで攻めるべきなのか、抗がん剤を使用することが正しいのか、やめてしまうことが間違っているのか。

 

答えなんてありません。ただ言えるのは、最終的に判断するのはご家族様、ということです。

 

ご家族様と愛猫、愛犬との間には、深くて長いストーリーが存在します。

 

もしかしたら、今までの経緯の中に、今この段階で緩和に使える出来事があるかもしれません。

 

在宅での緩和ケアは医療面だけでなく、生活環境や介護面など多岐にわたる視点から実施することで、より良い診療プランを組むことができます。

 

そのため、初診ではご家族様の声をしっかりとヒアリングすることに重点を置いて、診療をおこなっています。

 

どんな悩みがあり、今この子たちに対して何をしてあげたいのか、現実問題としてどこまでできるのか、など、まずはお話をお伺いさせていただき、一緒に考えていきましょう。

 

次回は、在宅で【リンパ腫と向き合う②(その後の診療経過)】です^^

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今回は、前回に引き続き、水頭症を抱えながら生活してきた、小枝ちゃんのお話です。

 

前回のブログはこちらからご覧いただけます。

 

それでは、続きに入ります。

 

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水頭症には好発犬種があり、マルチーズやトイ・プードル、チワワなどが該当します。

 

生まれながらにある先天性、何かしらの病気に併発した後天性に分けられますが、なんとなく多くの場合が先天性、つまり簡単いうと、生まれつき、ということです。

 

水頭症に伴う脳のダメージによる症状の一つが発作や行動異常であり、それを長年お薬コントロールしてきました。

 

今回は、前回からの続き「初診時の検査問診と対策」の続きと、その後についてです。

 

初診時血液検査

往診であったとしても、現段階での状態把握及び方針決定のために、どうしても初回検査が必要となってきます。

 

ただし、1週間前までのデータがかかりつけ動物病院にて実施済みで、そのデータを参照できた場合には、状態次第で、負担を減らす目的で、初診時検査をパスすることもありますが、できる限り実施してあげています。

 

実施してあげることで、今まで気づかなかったものが見えることがあります。

 

その背景には、今までの検査項目を絞り込みすぎてしまった結果、評価できなかったということも、実際にありました。

 

犬猫の状態が検査不適ではない限り、負担と相談しながらも、初回検査は実施していきましょう。

 

血液検査

さぁ検査頑張ろう!と抱っこして保定した瞬間、結構強く嫌がりました...

 

嫌がるとチアノーゼが出てしまうという状況も事前に把握できていましたので、スタッフ人数を揃えて臨むことができ、持ち込んだ酸素ボンベを最大限使用し、保定と酸素管理の看護師2人体制で、採血を無事終えることができました。

 

採血量も、少量でいいわけではなく、外注検査を実施するにはある程度の検体量が必要なため、当院では必ず保定を動物看護師にお願いしています。

 

保定一つで、犬猫の安全性だけでなく、押さえる圧力や緊張の伝わりなどに付随するストレスも下がり、検査精度も大幅に上がります。

 

もしお願いした往診専門動物病院で、獣医師一人でくると言われた場合には、保定として動物看護師さんをお願いできないか、確認してみてください。

 

もし連れてきてもらえない場合には、ご家族様がその役を担わなければなりませんので、当日しっかりと指導を受けてから、保定に取り組むようにしましょう。

 

 

超音波検査

呼吸状態の異常の要因除去を目的とし、胸水エコー、腹水エコーにて貯留がないことを確認しました。

 

特別押さえることはなく、横の下の方からピッピッとあてて終了です。

 

今回の検査では、胸水も腹水も貯留していませんでした。

 

 

尿検査

負担を避けたいところではありますが、培養検査を実施するためにも採尿を行いました。

 

採尿検体には、自然尿(自然に排尿した尿)、カテーテル尿(カテーテルで抜去した尿)、穿刺尿(針を刺して採取した尿)があります。

 

培養検査をするには、穿刺尿が必要なため、頑張ってもらいました。

 

先ほどの採血の状況があったので、できるかどうかも含めて取り組みましたが、全く嫌がらず、むしろ気づいていないようなくらいでした^^

 

 

...という流れで、前回のブログ〜ここまでが、初診時問診と検査まででした。

 

次に、初診時における診療プランの決定です^^

 

2.png

 

 

初診時診療プラン

初診時のプラン決定は、検査結果が出揃うまでの行動指針及び処方内容を決定していくというものです。

 

早速みていきましょう^^

 

投薬プラン

小枝ちゃんのご飯のタイミングを中心に投薬されていたのですが、意識レベルを少しあげ、かつ夜鳴きや発作の頻度を下げるためには、医薬品の都合に合わせたプログラムを実施する必要があります。

 

そのため、ご飯と投薬の時間を8:00、16:00、24:00に固定することで、8時間おきに使用するお薬を中心とした生活リズムをお願いし、夜鳴きや明け方に1時間おきに起こされるようなことの頻度がどうなるかを評価してもらうこととしました。

 

 

今後のプラン

発作のコントロールで使用する薬は、薬用量の変更が伴う場合に、2週間程度経過後に血中濃度測定を行い、用量判定および薬の効果を評価していきます。

 

ただ、小枝ちゃんの場合には、すでに長期間にわたって使用されていたこともあり、何より採血が苦手なこともあって、次回1週間後の往診では、できる限りストレスのないよう、検査は行わないこととしました。

 

状態次第ですが、その後は1ヶ月単位での診察としています。

 

状態も安定していた中、お正月に排尿痛が始まり、感受性試験で適応とされた抗生物質の多剤療法を行った結果、落ち着きを取り戻すことができました。

 

 

状態の変化と対策

時間の経過とともに、病状は変化します。

 

2023年1月の後半になると、薬が苦手となってしまい、薬がご飯に入っているかと、ご飯もあまり食べてくれなくなってしまいました。

 

どこまで頑張るべきなのか...

この状態でも飲ませるべきなのか...

 

ご状況をしっかりと共有いただき、ご家族様とご相談の上、今は1種類のみで状態維持を図ることとしました。

 

状態も下がってきたことから、前倒しで診察を組み直し、今の状態に合わせた投薬プランに切り替えていきます。

 

ペットの在宅医療を選ばれるご家族様のほとんどが、すでに愛犬、愛猫が緩和ケアのステージであったり、看取りを踏まえたターミナルケアのステージです。

 

状態の変化だけでなく、どんなことに悩んでいるのかをご共有いただき、その部分の解決ができなくとも、少しでも緩和できればと考えています。

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、在宅医療に特化した緩和ケアと看取りを見据えたターミナルケアに特化した獣医療を提供しています。^^

 

 

 

2023年2月5日

小枝ちゃんは、家族が見守る中、お空へ旅立っていきました。

 

お母さんたちが寝ている横で、最後の瞬間を知らせないくらい、とても静かに旅立っていったそうです。

 

旅立つ数日前に、大好きだったきゅうりとりんごを食べてくれ、眼振もなぜか止まっており、うんちもおしっこもしてくれましたとのことでした。

 

きっと、神様がくれたお別れの時間だったのかなって思いました^^

 

最後が苦しかったのかは誰にもわかりませんが、ただ静かに寝ている姿を見ると、とても穏やかな最期だったんだと、そう思えるほどの綺麗な寝顔でした^^

 

みんなからたくさんのパワーをもらって、無事に虹の向こうへお引越しできたのかな?

 

お姉さんたちが辛そうな時は、そっと向こうから応援してあげてね^^

 

小枝ちゃんのご冥福を心からお祈り申し上げます。

 

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皆さんは、てんかん発作を起こしたわんちゃん、猫ちゃんのケアをしたことはありますか?

 

てんかんは、その原因がある症候性てんかんと特発性てんかんに分けられますが、私たちが「特発性」といった場合には、原因がわからない、という意味だと受け取りましょう。

 

全部が全部、原因を突き止められ、治すことができればいいのですが、まだまだ未知の領域が存在していることは事実です。

 

今回ご紹介する症例は、生まれつき「水頭症」を抱えた小枝ちゃん、16歳の女の子です。

 

水頭症とは、その名の通り頭に水が溜まってしまう病気です。

 

水頭症を抱えて生まれてきた犬猫は、生涯に渡り脳圧を下げる薬だったり、発作を抑え込んであげる薬だったりを飲まなければなりません。

 

外科的な処置もありますので、もし水頭症を疑われた場合には、大きな動物病院、できれば二次医療施設などの脳神経外科を受診することをお勧めします。

 

それでは、症例紹介です。

 

今回の初診では、2時間半ほどお時間をいただき、過去(既往歴や投薬歴)から現在、そして未来(検査プランや処方プランの決定と今後の流れ)をゆっくりとお伺いさせていただきました^^

 

小枝ちゃん①.jpg

(若かりし頃の小枝ちゃんです^^クリクリお目目が愛らしいですね♪)

 

初診時のご様子と対策

小枝ちゃんは、子犬の時から水頭症があり、頭の病気に伴うてんかん発作もあったことから、医薬品を使用して、発作をずっと抑え込むためのコントロールをしていたとのことでした。

 

最近になって、深夜2、3時になると夜鳴きを起こしてしまうようになり、発作も見られ始めたため、小枝ちゃんの体力もかなり消耗していましたが、その横で看病しているご家族様も、疲弊しきっているご様子でした。

 

少し前から、かかりつけの動物病院にて後肢のふらつきを指摘されたはいましたが、徐々に夜中の発作の頻度が上がるにつれてナックリングが強くなり、体勢維持が難しくなり歩けなくなってしまったとのことでした。

 

初診時に現在のお薬内容を見てみると、かかりつけ動物病院から5種類処方されており、用量もしっかりとした量になっていたことから、ここ最近は意識レベル自体を下げることで常時鎮静状態にして、発作をコントロールしていたんだと判断できるものでした。

 

この場合、用法用量の見直しで、意識レベルを少しだけ上げてあげることで、また歩けるかもしれないことと、そのデメリットとして、投薬プランが1日3回になってしまうこと、さらには意識レベルが上がることで発作や夜鳴きが頻発してしまう可能性があることを天秤にかけながら調整していかなければなりません。

 

初診時段階で、かかりつけ動物病院から処方されていたお薬を必ず確認させていただきます。

 

また、アレルギーであったり、以前使った薬で体に合わなかったものがあるのかも併せて伺わせていただいています。

 

小枝ちゃんの場合5種類の医薬品を常備薬として処方されていて、発作止めとして1種類処方されていました。

 

現状の小枝ちゃんの体調及びご家族様の環境を踏まえ、3種類の医薬品を用量用法変更、2種類を種類変更させていただき、意識レベルと発作と夜鳴きの頻度を評価対象として様子見としました。

 

薬は全部で7種類、お母さんたちの工夫もあり、全部平らげてくれました^^

 

発作以外に併発していた病気

発作以外に、3ヶ月ほど前から、オリモノが出てしまうほどの、強い細菌性膀胱炎を発症しており、トイレの時にいつも鳴いてしまうほどでした。

 

抗生物質をずっと使用されていたこともあり、まずは培養検査と薬剤感受性検査を実施することが、症状緩和への最短ルートであると判断し、初診時に尿培養検査を行いました。

 

尿培養検査結果が揃うまでは、かかりつけ動物病院で処方されていた抗生物質を継続しようとしました。

 

チアノーゼ対策の酸素発生装置

小枝ちゃんは発作時や興奮時にはチアノーゼを起こしてしまうことから、ご自宅には酸素発生装置がレンタルされていました。

 

酸素発生装置(テルコム).jpeg

※ご自宅までレンタルしてくれる酸素業者さんを、事前に調べておきましょう。必要となったときにエリア外ですってならないよう、今のうちに調べるのがおすすめです^^

 

 

アクリル製の酸素ハウスの中にどうしても入ることが嫌いで、無理にでもハウスに入れてあげると、中を歩き回ってぶつかってしまうため、ほとんど使用できていないとのことでした。

 

ここ最近までは発作が出ていなかったので、発生装置をあまり使用していなかったが、発作が出てきてしまってからは、酸素発生装置をどうするべきか悩まれていました。

 

顔前で噴射する方法もありますが、風が顔に当たることを嫌がる犬猫がとても多いことから、少し工夫が必要であることをお伝えし、生活環境を見ながらアドバイスさせていただきました。

 

そして、今回重要なポイントである「介護の悩み」です。

 

病気の話もそうですが、理解して一歩ずつ進めなければいけないカテゴリが、現段階におけるご家族様の「病気以外の悩み」です。

 

犬猫の介護は、問題点をあぶり出すことから始まります。

 

看病/介護環境の整理から見つめ直す

犬猫の介護では、ペットの生活リズムに合わせてご家族様が生活していくというのが多く見受けられます。

 

まずは小枝ちゃんの生活リズムです。

 

・8:00ご飯(薬)→食後は就寝

・13:00ご飯(薬)→食後は就寝

・19:00ご飯(薬)→食後は就寝

 

お昼ご飯と夕食の間に1、2回起きて唸るため、抱っこして落ち着かせ、ベッドに戻すとまた寝てくれるとのことでした。

 

食後は疲れるようで、鼻をフガフガして震え出し、抱っこしてあげていると5〜10分程度で震えが収まり寝てしまうとのことでした。

 

お水を自分から飲んでくれないので、ご飯と薬をすりつぶして水で伸ばしてあげているとのことでした。

 

このリズムだけならば、まだ在宅環境であれば問題にはなりづらいのですが、問題は夜中の発作です。

初診時は、夜中2時〜明け方5時くらいに数回の発作のような症状が出てしまい、都度治まるまで見守り続けてしまっているという状況でした。

 

全体のお話の中から、まず最初に対処すべきは、この夜中の発作や夜鳴きをコントロールであることを確認しました。

 

発作のコントロールでは、容易に中毒域に達してしまう医薬品や呼吸抑制を起こしてしまうような医薬品を使用することもあり、いきなり強い薬を使用せずに、ステップを踏む必要があります。

そのため、もしかすると今の処方では効果が見られない可能性をお伝えした上で、まだまだ手はある事を支えとしてもらうために、未来予想図をお伝えし、安心してもらいながら一緒に向き合っていきます。

 

小枝ちゃん②.jpg

(ちなみに、小枝ちゃんの横にいたお猿さんのお人形はジョージって言うらしいです^^)

 

最後に・・・

今回は、最初の診察時に、問診の中で伺い対策を立てられた内容について書かせていただきました。

 

介護・看病と言葉で言うのは簡単ですが、その実態はかなりの精神力と体力を消耗しながらの戦いとなります。

 

向き合い方ややり方を見つめ直すだけで、愛犬、愛猫にとってだけでなく、その場で頑張っているご家族様にとっても心が軽くなることがあります。

 

...かなり長くなってしまったので、2回に分けてお送りさせていただきます^^

 

わんにゃん保健室では、在宅医療に特化した緩和ケアと看取りを見据えたターミナルケアに特化した獣医療を提供しています。

 

もちろん、通常診療で通院が難しい場合には、ご相談可能です。

 

それでは、また次回!^^

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東京23区を中心に、近隣エリアへ犬猫の往診を行っております、わんにゃん保健室です。

当院では往診によるわんちゃん・ねこちゃんの緩和ケア、ターミナルケアを行っています。
終末期のペットのことで不安な点やご相談したいことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

この度、当院院長江本が、『猫の介護ハンドブック 〜気持ちに寄り添う緩和ケア・ターミナルケア・看取り』を発行いたしましたため、ご紹介いたします。

こちらの本は、猫の介護や緩和ケアを行っている方が日々感じている、
「お薬ってどう飲ませたらいいのかな?」
「皮下点滴のやり方が合っているのか不安...」
といった疑問や不安などにお答えするハウツー本に仕上がっています。

ご自宅で困ったときに、この本があれば疑問が解決できる。
そんな、皆様の猫の介護に寄り添う本になっています。

はじめてのことで不安がいっぱいの方や、猫ちゃんに少しでも最期を穏やかに過ごしてほしい方の心のよりどころになれれば幸いです。

また書籍の発行にともない、現代ビジネスへ江本院長のインタビュー記事が掲載されております。
是非ご覧ください。

 

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犬猫の往診専門動物病院
わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
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