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2023年9月アーカイブ

急に愛猫がふらついたら、皆さんは何を疑いますか?

 

●もう高齢だからふらついただけだろう

●腰が痛いのかな

●足が痛いのかな

●爪が伸びてて歩きづらいのかな

●足裏の毛で滑っただけかな

 

動物病院への通院を苦にしない猫ちゃんであれば、すぐに通院して検査してもらうという選択ができると思いますが、多くの猫ちゃんはキャリーに入ることすら容易ではありません。

 

そのため、ご家族様判断で様子見を選択しがちです。

 

しかしこのふらつきには、実は怖い病気が潜んでいて、これから暴れ出すかもしれないという予兆になる可能性があることを知っておいてください。

 

今回ご紹介する症例は、ふらつきを様子見をした結果、1ヶ月ほどで食欲がなくなり、呼吸が一気に悪なったことをきっかけに往診のご連絡をいただき、ギリギリ投薬が間に合ったため状態が安定し、緩和ケアに入ることができた猫ちゃんです。

 

原因は甲状腺機能亢進症で、それに伴う心臓病の発症と増悪。緩和ケア、ターミナルケアと1年5ヶ月に渡る在宅医療の末、最後は家族が寝静まった夜のこと、音を立てずに静かに旅立ちました。

 

もし初診の時にもう少し様子を見ていたら、きっと数日後には旅立っていたと思います。

 

往診専門動物病院は、ご家族様が最後の時間をご自宅で最愛のペットとどう過ごしていくのかを、医療面だけでなく精神面や生活面からサポートしていきます。

 

通常の診察ではお伺いできない事細かな日常のことの中に、緩和ケアのヒントが隠されていることがあります。

 

診察時間をゆっくり時間をとって、全部私たちに教えてください。

 

一緒に愛犬、愛猫の最後の時間を、どこでどんな風に過ごさせたいのか、考えていきましょう。

 

今回紹介する症例は、14歳の去勢雄、猫丸ちゃんについてです。

 

2022年1月6日に当院を食欲廃絶と呼吸促迫を主訴に受診し、甲状腺機能亢進症に伴う心筋症の併発と判断され緩和ケアを開始。2023年4月3日からターミナルケアに移行し、2023年6月1日に大好きだったご自宅のリビングの大きな窓の下で、静かに眠りにつきました。

 

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【初診】

猫丸ちゃんはとても人懐こく、太々しい表情がとても可愛い男の子でした。

 

猫丸ちゃんのご家族様も、この表情がなんとも言えないくらい愛らしいと、よく診察で話していました。

 

最初に出会った時は本当に苦しそうで、大きくお腹を動かす呼吸をしながら、少し歩くと開口呼吸してしまうような状態でした。

 

今までの経緯を伺うと、最初のワクチン接種と去勢手術をきっかけに、普段はおとなしい性格の猫丸ちゃんが、キャリーを見せた瞬間に豹変してしまう姿を見て以来、動物病院への通院は断念したとのことでした。

 

初診時は明らかに呼吸状態が悪いことから、超音波検査のみ、しっかりと酸素管理をしながら、呼吸状態に細心の注意を払い、獣医師1人と動物看護師2人で臨みました。

 

胸水、腹水ともに貯留を認めないこと、また多飲多尿などの症状がないことからも、所見でおそらく甲状腺機能亢進症が隠れていると感じました。

 

ただ、ホルモン系の疾患は採血である程度判断がつきますが、採血なくして治療を開始するにはあまりにも博打過ぎてしまうため、まずは対症療法を行い、在宅酸素管理環境を徹底することとしました。

 

酸素発生装置2台、酸素ボンベ完備の状態を作り、安定させる処置だけを行い、翌日の再診としました。

 

【再診】

昨日と比べて格段と状態が上がってきており、運動をしても開口呼吸をしないところまで改善を認めました。

 

やっぱり生き物は、「水」と「酸素」が重要なんだと感じさせられる現場でした。

 

状態も安定したことから、血液検査を実施し、甲状腺機能亢進症、心臓病の併発を確認しました。

 

甲状腺機能亢進症をコントロールしてあげることで、猫丸ちゃんはみるみる回復していき、1週間ほどで状態が上がり、2週間後の再診では通常通りの生活ができるまで改善することができました。

 

在宅酸素環境を一旦解除し、また必要な時に同じように運用できるように、ご自宅での酸素運用の流れをメモしてお渡しさせていただきました。

 

甲状腺機能亢進症の症例では、薬用量の変更を伴う場合には2週間後、伴わない場合には1ヶ月後、さらに安定していれば以降3ヶ月ごとの検診を、当院の在宅医療では目安としています。

 

採血することが猫にとって負担であることはもちろんですが、それによって適当な医薬品の選択及び生活環境の変更ができるならば、天秤にかけ、実施してあげることを検討してあげたいと考えています。

 

血液検査、尿検査、超音波検査、便検査など、在宅医療でも専門検査機関と連携していることが多いため、ご自宅にいながらも、愛犬、愛猫に適切な医療を届けてあげることが可能です。

 

また、もし測定することで評価でき、コントロールすることで今の生活が楽になるのであれば、この子たちのためにも、まずは一度往診専門動物病院までお問い合わせください。

 

動物病院へ通院ができるのであれば通院を優先し、もし難しい場合には、諦める前に往診専門動物病院へ相談しましょう。

 

猫丸ちゃんは、その後も安定した生活を過ごせていました。

 

2022年1月6日に当院を受診し、1月7日に検査を行い、1月8日から甲状腺機能亢進症の治療及び心臓病の緩和ケアを開始。

 

2023年4月に入ると少しずつ体調不良を認め、腎臓の数値が上がってきたことと、心臓の数値が上がってきたことから酸素環境の再設置を行い、日常は大気中で過ごし、苦しい時のみ吹きかけ、または酸素室管理としました。

 

2023年5月28日からは、基本的には酸素室内で管理となっていましたが、酸素チューブを駆使することで、酸素管理されながらもリビングで一緒に過ごすことができるような環境を構築して過ごすことができました。

 

2023年5月31日の朝に、お母さんの手からマグロを少し食べてくれ、少し状態が上がってくるかもと思った夜中、ちょうど日付が回った頃に、静かに眠りにつきました。

 

最後はご家族様が寝落ちしてしまった、ほんの10分くらいのことだったとのことでした。

 

猫丸ちゃんのご冥福を、心からお祈り申し上げます。

 

わんにゃん保健室 スタッフ一同

 

【まとめ】

高齢になった犬猫の症状を、一過性の症状だ、いつものだから放っておけば治るなど、安易に判断しないほうがいいです。

 

若齢の頃は、大体の症状が3日もすれば消えると言われればそうかもしれませんが、高齢期では3日待てば、その時間でどんどん衰弱していってしまいます。

 

いつから高齢期なのか、という質問があれば、それは「運動機能や生理機能が下がった時」からです。

 

●下痢しない子が下痢しやすくなった

●食事の量が減ってきた

●ソファーに飛び乗らなくなった

●鳴き声が変わった

●吐く頻度が増えた

●よく水を飲む

●トイレによくいく

●おしっこの量が増えた

 

あげればキリがないですが、何かしらの体調不良のサインを見逃さないであげましょう。

 

全てはご家族様次第です。

 

不調のサインを受け取り、僕ら獣医師にパスしてください。

 

動物病院への通院が難しい場合には、諦める前に、必ず往診専門動物病院までご連絡ください。

 

当院は、東京23区を中心に、東京都下、千葉、埼玉、神奈川まで往診しています。

 

お近くで、通院ができなくて困っている犬猫と暮らすご家族様がいらっしゃいましたら、往診専門動物病院の存在を教えてあげてください。

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犬猫の往診専門動物病院
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猫の乳腺腫瘍の多くは悪性です。

 

乳腺腫瘍に関しての記事はたくさんweb上に溢れていますので、もし犬猫の乳腺腫瘍に関する治療方法や外科の術式、抗がん剤の話や余命の話などは、是非そちらを探してお読みいただければと思います。

 

私たち、往診専門動物病院わんにゃん保健室では、病気を抱えたが、手術や抗がん剤などの攻めた治療を望みたくはないが、せめて残された時間を少しでも緩和的に過ごさせてあげたいとお考えのご家族様のお力になれます。

 

過去にも、乳腺腫瘍の記事を書いていますので、もしお時間がございましたら一読いただければと思います。

■乳腺腫瘍の高齢犬

■乳腺腫瘍末期の高齢猫

 

今回ご紹介する症例は、乳腺腫瘍を患った猫ちゃんです。

 

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【既往歴】

2021年2月10日に乳腺のしこりを認め、すぐに2次医療施設にて片側の乳腺全部と所属リンパ節の切除を行いました。

 

だいぶ痛そうな術後だったとのことでしたが、病気を乗り越え退院することがで、つい先日まで、いつも通り過ごせていたとのことでした。

 

定期検診も3ヶ月に1回、苦手な通院でしたが意を決して動物病院に通院し、血液検査、X線検査、超音波検査としっかりと診ていました。

 

直前の検査では問題なかったとされた中、その1ヶ月後の2023年4月3日夜に咳、ふらつき、食欲低下を認め、動物病院に行って再度検査してみたところ、肺に腫瘍病変を確認されました。

 

抗がん剤や外科手術はすでに不可とされ、自宅で見守るようにと内服薬と坐薬をもらいましたが、お薬を飲ませることができず、日に日に弱々しく、また咳も激しくなり、ふらつきも強くなってしまったため、もう在宅医療に切り替えてあげたいと考えたとのことでした。

 

【初診時】

普段から通院できる性格の猫ちゃんということもあり、診察にお伺いすると、スリスリしに出てきてくれました。

 

話しかけてくれて、撫でてとせがまれるのですが、その呼吸状態は荒々しく、急ぎ酸素環境の準備が必要であることと、この状態だと血液検査などのストレスがかかることは避けた方がいいとお伝えしました。

 

呼吸状態が悪い犬猫に対して、通常は酸素を嗅がせ、呼吸を安定させながら検査や処置を実施しています。

診療時には保定してもらうことが必須になりますが、当院では動物看護師を含めた複数のスタッフと一緒にお伺いしているため、診療の補助の全ては、基本的に必要ありません。

呼吸状態を管理しながらの保定業務は、訓練を積んだ専門チームに任せるべきですが、多くの往診専門動物病院が獣医師1人でお伺いしていることから、この業務をご家族様が担わなければいけません。

胸を強く押さえてしまうことで、呼吸を悪化させてしまい、最悪致命的なことになってしまうことを避けるためにも、もし往診専門動物病院を始めてご利用される場合には、必ず動物看護師が同行しているのかを確認するようにしましょう。

 

その場で酸素発生装置、酸素ボンベ、酸素ハウスの手配完了し、運用方法を簡単にご説明させていただきました。

 

翌日の診療までに全部が揃うこととなりましたので、詳しい運用方法はそこでご説明させていただくこととしました。

 

超音波検査にて特記すべき所見は認めませんでした。

 

処置は皮下点滴を実施したのですが、液体量を極力なくし、なるべく早く処置を完了させてあげることが優先であると判断しました。

 

猫ちゃんに特に多くみられる腎臓病など病気では、脱水補正の観点からも皮下点滴の輸液量をちゃんと多く入れます。

 

もちろん貧血(腎性貧血など)や心臓の状況、高血圧はどうなのか、そもそも皮下点滴に耐えられるのかなど、多岐にわたる情報整理を一瞬で行い、できる限り負担のない、かつ多めの量を投与してあげるよう専念します。

 

しかし、呼吸器疾患や腫瘍性疾患などでは、腎機能はそもそもダメージを受けていないケースが多く、その場合には少量であってもしっかりと腎臓が機能してくれます。

 

ペットの在宅終末期ケアでは、その子がいかにして普段の慣れ親しんだ環境で、他に邪魔されることなく悠々自適に過ごさせてあげられるかを考えてあげたいです。

 

そのため、ご家族様だけで処置の全てを完結できるようなプランを構築することに、私たち往診専門動物病院は特化しています。

 

この日の診察では、過去の血液検査結果や既往歴、今までどんな経過を歩んでこられたかなどを幅広くヒヤリングさせていただき、明日の診療までの暫定的な診療プランを組みました。

 

【再診】

初診時とは変わり、足並みも軽やかであり、食欲も上がってきたとのことでした。

 

もちろん病気が治ったわけではなく、症状が緩和されただけとわかっているものの、昨日よりも元気そうな姿が本当に微笑ましかったです。

 

酸素環境を整える道具も全て揃っており、この日は酸素環境の構築および運用皮下点滴トレーニングの2つをご説明させていただきました。

 

呼吸状態から、まずは酸素運用方法を吹きかけによることで、日常コントロールとしました。

 

また、当院としておすすめしている酸素ハウスは、見栄えは良くはないものの、機能性重視でご紹介させていただいています。

 

酸素ハウス.jpg

 

 

呼吸状態に合わせて、酸素吹きかけから初めていき、酸素ハウス内での管理となっていきます。

 

酸素室内での管理となっても、掃除のタイミングやご飯のタイミングなどで酸素ハウスを開閉する必要があります。

 

その時に登場するのが酸素ボンベです。

在宅酸素ボンベ.jpg

 

わんにゃん保健室では、常に呼吸状態の悪化を想定した診療を心が変えており、常時酸素ボンベを数本揃えています。

呼吸状態が悪い犬猫、または検査や処置で呼吸状態が悪くなりそうな場合には、使用することにご同意いただいております。

 

酸素室内の酸素濃度が下がってきたら、酸素ボンベでブーストしてあげることで、酸素発生装置だけでの酸素コントロールよりも酸素ボンベを併用した方が、より利便性高く運用することが可能です。

 

そして、皮下点滴のトレーニングをしました^^

 

【まとめ】

今回のように、呼吸状態が悪い犬猫の症例で、いかにして呼吸状態を悪化させないのかが鍵になってくると考えています。

 

そのためには、詳しいヒヤリングと既往歴、今までの経緯や犬猫の性格など、詳細に把握しておくに越したことはありません。

 

今回の症例では、初診におおよそ2時間半ほどかかりましたが、この猫ちゃんの性格や病状をしっかりと把握できたこともあり、スムーズに診療に入ることができました。

 

乳腺腫瘍、特に猫ちゃんの乳腺腫瘍は悪性の可能性が高く、発見された時点で、すでに末期であるということはかなり多くあります。

 

まずは普段からのコミュニケーションの中で、乳腺にしこりがないかを入念に確認し、もしあった場合には、外科手術を選択するのか、または痛い思いをさせるくらいなら運命を受け入れ、在宅での終末期ケアにするのかを考えましょう。

 

保定業務は、呼吸状態が悪い犬猫においてかなり高度な洞察力が求められます。

 

健康診断程度であればまだしも、病気でもうぐったりしている場合には、動物看護師に保定業務が頼めるのか、必ず担当される動物病院に確認するようにしましょう。

 

往診専門動物病院のほとんどが、獣医師一人で運営しています。

 

動物看護師をアテンドしてくれるのか、往診専門動物病院が初めての場合には、必ず電話などで確認をとりましょう。

 

乳腺腫瘍は怖い病気です。

 

もし乳腺にしこりが見つかった場合には、まずは獣医師にご相談ください。

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