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2019年10月アーカイブ

こんにちは!

 

最近涼しくなってきましたね!ようやく秋の到来、という感じです。

みなさま、急な寒さで体調崩されていませんか?

私たち往診専門動物病院では、毎日ペットの往診車で、東京墨田区、東京台東区、東京中央区、東京足立区、など東京都内を回っているので、毎日東京都の天気予報をチェックしていますが、最近は最高気温も下がってきて過ごしやすくなってきましたね。

 

 

それでは本日の本題です!!

今日は「立てなくなってしまった犬」というテーマで、実際診察したわんちゃんをご紹介させていただこうと思います。みなさんは「立てなくなってしまった犬」というとどういったわんちゃんを想像されますか?立てなくなる理由は様々ですが、多くの方は高齢犬で足が弱くなってしまって立てなくなってしまったわんちゃんを想像されるのではないでしょうか?しかし、今回お話させて頂くわんちゃんの変化は、一見老化に思える症状ですが、違った病気が隠れている可能性が高いので、その変化がお家の子にもないかを見てもらえるようになれば、と思って書かせて頂きました。ご家族は動物たちの一番の看護師さんです。もっとも、動物たち、とくに猫ちゃんは症状を隠してしまうことが多いですが、何かおかしいな、いつもと様子が違うな、と感じたら、お気軽に往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡ください。

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起立不全から立てなくなってしまった高齢犬(東京足立区在住)

症例は、東京足立区在住で高齢犬のマメちゃん、15歳齢、突然立てなくなってしまい、立とうとすると痙攣が起こる、しかし車がなく動物病院に連れていけない、とのことでお電話を頂き、往診獣医師と動物看護師で訪問させて頂くこととなりました。

東京足立区という土地柄、車がなければ動物病院に行くには少し難しいとのことで、動物病院離れをしてしまっていたとのことでした。東京足立区では、

在宅で行う訪問獣医療では、動物病院に行くとストレスになる、という理由の他に、このように病院に連れていく手段がない、という場合もとても多いです。

お家に入ると、高齢犬のマメちゃん(東京足立区在住)は横になって寝ていました。しかし、私たちとお母さんがお部屋に入ると起き上がろうともがいていて、一緒にお話にいれてよ、と言っているようでした!

 

詳しくお話をお伺いすると、実際は急に立ち上がれなくなったわけではなく、1月頃から左に回るようになり、7月辺りから後肢の力が弱くなってきていて、立っていると後ろ脚だけ外側に開いていってしまっていたそうなのですが、9月に入ってから全く立てなくなってしまい、褥瘡もできてしまったということでした。そしてその辺りから、痙攣が起こるようになり、夜中に痙攣が多いとのことで、痙攣を止めてほしいとのご希望でした。

たしかに、高齢犬になると、後ろ足の筋力が弱くなり、立っていると足を開いていってペタンとなってしまう、というのはよくあります。この場合、特に基礎疾患がなければ、筋力低下と考え、できるだけ支えてあげたりして立つ時間を増やしてあげると、それ以上の筋力低下の防止にもなります。

一方で、今回のマメちゃん(東京足立区在住/高齢犬)で気になった症状が左旋回運動です。つまり、左にぐるぐるとまわってしまうということです。

高齢犬でこの症状を見た場合考えなければいけないのは、痴呆と神経症状です。

痴呆で多いのが、同じ方向にぐるぐる回る以外に、昼夜逆転している、ずっと抑揚のない声で鳴いている、狭い場所にはまってしまって抜け出せない、ごはんをいくらでも食べる、などがありますが、けいれんは、痴呆では起こりません。

今回マメちゃん(東京足立区在住/高齢犬)はけいれんを起こしているとのことでしたので、おそらく神経症状だろう、ということで診察を進めていきました。

神経症状といっても、原因はたくさんあり、大きく分けると

・心臓

・腎臓

・肝臓

・脳・中枢神経系(感染性/炎症性/腫瘍性)

・内分泌系

・特発性

に分けられます。

上記以外にもたくさんの原因があり、それぞれメカニズムがありますが、そのご説明はまた別のブログにて!

どれが原因になっているか、通常は血液検査や心電図検査をお勧めいたしますが、今回は検査はご希望されませんでしたので、稟告や身体検査から、おそらく脳からの神経症状だろうと推測されました。マメちゃんのように、検査をご希望ではない場合は、ある程度の推測で診察を進めることにはなりますが、往診専門動物病院わんにゃん保健室では、必ずご相談させて頂きますので、お気軽におっしゃってください。

高齢犬のマメちゃんは、食欲はあり、多飲多尿はなく、不整脈も身体検査ではありませんでした。また、すべての足でナックリングといって、足の甲を地面につけても元に戻る反射が見られないことから、おそらく脳からの神経症状ではないかと推測しました。

マメちゃん(東京足立区在住/高齢犬)は身体検査中も立ちたい立ちたい、という感じで頑張っていて、スタッフで腰を支えてあげると立ち上がって、お母さんの方に行こうとしていました。本人も立ち上がりたい、という意思が強く、なんとかけいれんをなくして、立たせてあげられればなあと思いましたが、やはり筋力の低下がある以上、支えなしでは難しいですが、けいれんが起こらなければ満足に立たせてあげられると思い、けいれんを抑えられるように薬を考えていきました。

まずは、頓服で鼻に入れる点鼻薬を使用し、応急処置で発作時に使用してもらい、飲み薬で発作を抑えるお薬も飲んでもらうことになりました。

頓服のお薬は、作用時間が短く30分程度しかないので、通常時にも発作が起きないように、長時間作用する発作の飲み薬を併用しなければなりません。

何種類かのお薬を少ない量で使うことで、1種類を多い量で使うよりも副作用が少ないので、一見とてもたくさんお薬を飲んでいるように見えますが、何種類か使う方が体への負担は少ないのです。

マメちゃんの場合は、発作を抑えつつ、寿命を全うしてほしい、というご家族のご希望でしたので、まずは発作のお薬で様子をみることになりました。

今回のマメちゃんのように、高齢犬で検査をご希望されない方もたくさんいらっしゃいます。その場合は、身体の状態を身体検査で確かめて、ある程度の予測のもとで、お薬を使っていきます。

多くのご家族は、発作や、吐き気などしんどそうな状態を何とかしてほしいが、無理な検査などはご希望されないことが多く、往診専門動物病院わんにゃん保健室では、それもひとつの愛情だと考えています。

診察時に、今後の方針に関するご希望などございましたら、お気軽にご相談ください。

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、必ずご家族とご相談し、オーダーメイドな治療法をご提案させて頂いております。

 

 

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往診専門動物病院わんにゃん保健室 往診獣医師の大東です。

私たち獣医療チームは、東京中央区と東京江東区、東京台東区に拠点を構え、近隣地区である東京墨田区や東京葛飾区、東京千代田区などをメインに東京23区を日々往診しています。

基本は獣医師と動物看護師の2人で往診車に乗って、ペットのいるご自宅まで訪問し、ご自宅で診察を行います。ご自宅に持ち運べる医療機器(超音波検査機器や簡易血液検査機器など)や注射、内服薬など、小さな動物病院をそのまま持ち込めますので、ご自宅にいながら安心して獣医療をペット(犬・猫)に提供することができます。

動物病院に通院できないで困っている犬猫の飼い主様、お気軽にご相談ください。

 

さて、今回ご紹介させて頂こうと思っている子は、飼い主様が外出中に大量出血していた高齢犬のまるちゃんです。家のわんちゃんが外出中に出血していたらびっくりしますよね。

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まるちゃん(東京墨田区在住/高齢犬/シニア犬)

東京墨田区在住のまるちゃんは、ご家族様が外出中に、ビデオにてまるちゃんの様子を確認したところ、部屋の中が血だらけになっていて、急いで帰ってきたとのことで、お電話を頂きました。お家にお伺いすると、まるちゃんはベッドの上でお迎えしてくれました。知らない人たちが来た、という感じでソワソワ落ち着かず。

先に詳しくお話をお伺いしたところ、数日前に、やや元気がなかったため、別の往診専門動物病院の往診獣医師に来てもらい、関節痛疑いで痛み止めを処方されたとのことでしたが、食欲はあり、様子もいつもと変わらないが、出血量がかなり多かったため、転院にて当院の診察をご希望されたとのことでした。

出血痕がついたペットシーツを見させていただいたところ、かなりの出血で、ペットシーツ1枚分ほどあり、かなり血餅(血の塊)も入っていました。

このような場合通常どこからの出血か、身体検査で確認していきます。まず、一番疑ったのが口の中からの出血でした。歯石がつき、歯周病が進行していると、歯の根元が溶けて、歯が抜け、そこから出血することがよくあります。特に小型犬では歯周病の子が多く、奥の臼歯が抜けてしまいます。

しかし、シニア犬のまるちゃん(東京墨田区在住)の場合、歯周病はかなり重度でしたが、口腔内からの出血点は確認できず、歯周病による出血の可能性は低いと考えました。

また、肛門や手足、耳なども出血は見られないことから、消化管内からの出血、それによる吐血が最も可能性が高かったです。

しかし、消化管内からの出血を確認するためには、内視鏡で消化管内部を確認する必要があり、内視鏡にはもちろん麻酔が必要になってきます。

今回、まるちゃんは高齢で心臓に雑音があることも考慮すると、麻酔のリスクは高く、あまりお勧めは出来ない状況でした。しかし、出血量も多いことから貧血になっていないか、また、消化管出血によって上昇する項目もあるので、それらを確認するために、血液検査をお勧め致しました。ご家族様にそういったことをご相談したところ、血液検査は行い、内視鏡検査はとりあえず見送る、という形になり、まるちゃんには採血を頑張ってもらうこととなりました。

採血自体は、細い針で行うので痛みはほとんどないのですが、手足を持たれるのがみんな嫌いでバタバタもがきます。もちろんまるちゃんも例外ではなく、とても嫌がっていました。体はすごく細いのですが、逃げる力はかなりの力です。しかし、往診専門動物病院わんにゃん保健室の獣医師もそのような場合には慣れているので、保定すると大人しくしてくれました。そして、採血中は大人しく頑張ってくれ、無事に終了しました。

ここで、余談ですが少し歯の話を挟みます。

わんちゃんの歯周病は、軽度→中等度→重度の段階があります。

そもそも歯周病とはどういったものでしょうか?

ご飯を食べると歯垢が歯に付きます。それが数日で固く石になり、歯石となって歯に付着します。歯石の表面はザラザラしており、そこにはさらに歯垢が付着しやすくなり、歯垢がたまっていきます。そこに、唾液と混ざった、ねちゃねちゃしたものが付着するようになると匂いを発します。そのネチャネチャが細菌の塊で、においの元凶です。この細菌が、歯の根元を溶かしていき、歯が浅くなって抜けてしまいます。逆に、抜けずに、歯の奥に膿が溜まってしまい、頬に穴が開いてしまうこともあります。

このようになってしまった場合、根本的な治療法としては、麻酔が必要となってしまいますが抜歯を行う方法があります。しかし、麻酔がかけられない子では、抗生剤を使用することが多いです。

また、歯石除去を動物病院で行ってもらうこともあるかと思いますが、注意しなければならないのは、その後いかに歯垢がつかないように歯のケアをしていくか、というところになってきます。そして、まれに無麻酔での歯石除去を行っているところもありますが、わんちゃんの恐怖心がトラウマとして残ってしまったり、歯周ポケットまできれいにできなかったり、舌や口腔内を傷つけてしまうことがあり危険なので、お勧めは出来ません。

歯に関しては、また別のブログにて詳しく説明しますね!

 

ということで、まるちゃんの採血も無事に終わり、おそらく上部消化管内の出血であろうということで胃薬、抗生物質、吐き気止めを処方し、改善が見られるかみてみることになりました。

血液検査の結果は、消化管内の出血がある場合に上昇する項目が上がっており、また、偶発的に内分泌系の疾患も発見されました。

今回の治療で、まるちゃんの出血は止まり、元気に過ごしてくれています。

おそらく考えられる要因としては、痛み止めによって胃が荒れてしまい出血が起こった可能性が高いと考えられました。非ステロイド性の消炎鎮痛剤は空腹で服用したり、体質的にはまれに、胃での出血を引き起こします。

そして、今回まるちゃんはかなり高齢でしたが、一見元気そうに見えました。しかし、実は内分泌系の疾患(甲状腺機能低下症)が隠れていました。この病気は、なんとなく活動性が落ちたり、毛が粗になったり、といった症状が出ることが多く、高齢の犬に多い病気です。

症状だけを見ていると、年のせいかな?と思ってしまうかと思いますが、実は病気で、治療が必要になることもあるので、もし年齢とともに動きが鈍くなったな、など変化がありましたら、一度往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡ください。

高齢になって一度健診を受けたいけど動物病院に連れていけない、などのお悩みがある方は、往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡ください。

高齢の子に多い病気や症状を詳しくご説明し、検査が必要かどうかも含めてご相談させて頂きます。

 

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こんにちは!!

ようやく秋が来て、過ごしやすくなりそうですが、また台風が来ないことを願うばかりです。

さてさて、台風も多いですが、日本でもう一つ多い災害が地震で、そのような災害時に必ず問題になるのが避難時の対策ですね。

天候が荒れている時は、なぜか持病を抱えているペット(犬・猫)の体調も低下しやすいようで、荒れた天候の中、往診専門動物病院わんにゃん保健室では道路が封鎖されない限り、ご自宅まで獣医師と動物看護師が往診車で訪問させていただいています。

最近では動物も一緒に避難できるところも増えてきていますが、その際の準備が必要になってきます。例えば、ご飯やキャリーなどです。

いざという時のために、備えておくことをお勧めいたします。

 

それでは、最近猫ちゃんのお話が多かったかと思いますが、今回は、ワンちゃんのお話をしようと思います。

今回は、数日間嘔吐、元気食欲がなくなってしまった14歳の高齢犬、リッキーちゃん(東京墨田区在住)のお話です。

 

リッキーちゃん(東京墨田区在住、高齢犬)

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東京墨田区在住の高齢犬であるリッキーちゃんは、数日前から元気食欲がなくなり、嘔吐が続いているということで、昨夜に別の往診専門動物病院の獣医師に診てもらい、慢性腎不全の終末期と言われ、そのターミナルケアをご希望でご連絡をいただきました。

お家に獣医師と動物看護師が訪問すると、高齢犬のリッキーちゃんはご家族に囲まれて、酸素ハウスの中で横になっていました。かなり苦しそうな状態でしたので、緊急状態でないか、舌の色や口の粘膜色を確認し、とりあえず緊急状態ではなかったので、問診に移らせて頂きました。

高齢犬のリッキーちゃんは元はすごくよく食べる犬だったそうなのですが、最近食欲が減ってきていて、どんどん痩せていってしまっていたとのことでした。また、数日前から吐く回数が増えて、昨夜は歩様もフラフラだったため、夜間の往診専門動物病院に電話をしてきてもらい、血液検査を行ったところ腎臓の数値が重度に上昇していて、慢性腎不全の末期だと言われましたが、皮下点滴などの対症療法をしたところ少し顔つきが楽になっていたので、対症療法などを行ってほしいというご希望でした。

ここで、ターミナルケアについて少しご説明させて頂こうと思います。

ターミナルケアと緩和ケア、すごくよく似た言葉で同じ意味じゃないの?という方も多いかと思いますが、実は少し意味合いが違っています。

ターミナルケアとは、緩和ケアの一部に含まれ、末期の子がどれだけ心穏やかにすごせるか、少しでもストレスや苦痛なく過ごせるように治療することです。一方、緩和ケアとは、末期の子たちだけではなく、比較的早期の段階でも、病気による症状を軽減し、苦痛を減らすことと並行して、治療も行っていくケアのことを言います。なので、緩和ケアという言葉は、決して末期の子たちにだけ使う言葉ではなく、対症療法を行いながら、まだまだ病気と付き合っていく、または戦っていけるということを意味しています。

今回のリッキーちゃん(東京墨田区、高齢犬)ではどちらを選ぶかというと、ターミナルケアを選び、少しでも慢性腎不全による吐き気や倦怠感、ふらつき、それによる食欲不振、元気消失を軽減してあげることが目標となりました。

ターミナルケアを行う時は、まず病状を見ることが大切になってきます。人であれば「ここが痛い」「吐き気がする」「こういう症状があるから食べられない」など話してもらえるのですが、犬猫では話をすることが出来ないので、検査結果から症状を推察していきます。今回のリッキーちゃんの場合、前日の血液検査で一部の項目のみですが、血液検査を行っていたので、慢性腎不全からくる症状を推測することが出来ました。

しかし、一口に慢性腎不全といっても、わんちゃんと猫ちゃんでは進行の仕方に違いがあるので、簡単にご説明します。

まず、腎臓の仕組みはどうなっているのでしょうか?

腎臓は大きく分けると、糸球体と尿細管という部分に分けることができます。糸球体は血管がたくさん集まって球になっている部分で、ここはザルのような役割をしています。つまり、ここで水分や様々な老廃物、ミネラル成分などが濾されて出ていきます。しかし、たんぱく質は大きいので通常はザルを通らずに体内に残ります。ここで作られた尿を原尿と言います。一方、尿細管では、糸球体で通過してしまったもの(原尿)の中で、必要な物質を必要なだけ再吸収します。例えば、ミネラル成分や水分などです。そうして濃縮されたものがおしっことして出ていきます。

そしてわんちゃんとねこちゃんでは、腎不全が始まるときに機能が落ちてくる場所が異なっています。猫ちゃんでは、尿細管の機能が先に落ちてくることが多いです。つまり、再吸収する機能が先に落ちていくので、まず最初にでる症状は、おしっこがたくさん出るようになった、つまり、多飲多尿です。

一方、わんちゃんでは糸球体の機能が先に落ちていきます。糸球体はザルの役割をしているのですが、ザルの網目が荒くなってしまうというイメージです。すると、通常通らないたんぱく質も原尿の中に含まれてしまい、たんぱく質は尿細管では再吸収できないので、おしっこの中に流れて行ってしまいます。これが尿たんぱくがでる仕組みです。

するとせっかく食べて吸収したたんぱく質がおしっこの中に出て行ってしまうので、どんどん痩せていきます。そして、たんぱく質が糸球体を通ること自体が腎不全の悪化要因でもあります。わんちゃんでは、腎機能が落ちるよりも前に尿たんぱくが出るという異常が一番最初に出るので、定期的に尿たんぱくを測定することをおすすめします。

余談が過ぎてしまいましたが、リッキーちゃんは病院がすごく苦手な子で、今までもずっと元気に過ごしてきたので、検査などもしたことがないとのことでした。しかし、今回体調が悪くなって、原因が分かったのですが、腎臓は治療法がなく、体内の老廃物の排出を少しでも薄めて排出を促すために、皮下点滴、吐き気止め、胃薬、二次感染を予防するために抗生剤を注射、という対症療法になってきます。

リッキーちゃんも、昨晩その治療によって少し楽になったとのことでしたので、今日も、より楽になってほしい、という思いを込めて治療に入らせて頂きました。

治療中は少しもぞもぞしていたリッキーちゃんでしたが、終わると立ち上がって酸素ハウスから出たがっていました。慢性腎不全では貧血になって、呼吸状態が悪くなることが多いので、酸素ハウスのレンタルをご家族が早急に行っていただいていて、リッキーちゃんは点滴や注射などの治療だけでなく、酸素ハウスにいることでも楽になっていたのだと思います。

リッキーちゃんの体調が徐々に進行し、高齢犬のリッキーちゃんの周りにはたくさんのご家族が集まっていました。これはリッキーちゃんがとても愛されていた証でもあります。

きっと体調が悪い中で、リッキーちゃんはみんなに「ありがとう」と伝えていたんだと思います。

次の日には、高齢犬のリッキーちゃんは全く立ち上がれず、ご家族様も診察をご希望されませんでした。たしかに、しんどい中で少しでも楽にしてあげることがターミナルケアですが、その中でご家族様がお別れを覚悟する時間や、お互いに感謝を伝える時間を、わんちゃんたちが与えてくれているのだと思います。それ以上は治療をせず、お別れをする、というのもまた一つの考え方だと思います。

私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室では、ご家族様と、どこまで最愛のペット(犬・猫)にターミナルケアを行うか、どこまで検査や治療を行うか、などしっかりとご相談させていただき、治療に入らせて頂いています。たとえ、途中で考えが変わってもご遠慮なくご相談頂ければ、その時々に合った治療法・ケア方法をご提案させて頂きます。

犬猫のターミナルケアでお悩みのご家族様、緩和ケアでお悩みのご家族様、一度往診専門動物病院わんにゃん保健室までお気軽にご相談ください。

 

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