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2019年3月アーカイブ

 

『ペットの緩和ケア』という言葉をご存知でしょうか?

 

当院の緩和ケアとは、吐気や痛み、不安などの苦痛をできるだけ軽減し、その子らしく残された時間を快適なご自宅でゆっくりとご家族様と過ごしてもらうためのケアを言います。

 

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高齢猫、高齢犬はどこかしら具合が悪く、今までのように体が自由に動かなくて、日常生活を送るのにも飼い主様のサポートが必要になります。つまり、犬猫も高齢期(シニア期)になると飼い主様による『介護』が必要になります。

また、何かしらの持病を抱えているならば、毎日の投薬は避けられず、週に何回かの点滴も必要になってきます。ご飯は自分から積極的に食べることをやめ、排尿・排便すら自力でできなくなってきます。

ペットが高齢になると、些細な出来事でもストレスになり、環境の変化や刺激によって一気に体調が低下することもあります。

 

ペットの介護、皮下点滴、投薬、強制給餌、緩和ケア・・・

 

ペットの介護、緩和ケアは決して簡単ではありません。しかし、やると決めて歩き出すならば、獣医師を含めた専門家のサポートを受けることをお勧めします。そうすることで、ぺットの介護はただ辛いだけではなく、今まで受け取ったたくさんの愛情を返せる、いわば恩返しの時間となります。そして、ペットの介護が始まると考えなければいけないのが、医療面です。

 

ペットの緩和ケアはまだまだ新しい分野であり、病気を治すのではなく、病気を受け入れ向き合っていくことを中心に進めていきます。当院では、できる限りご家族様の意見を尊重し、最後の日まで一緒に歩んでいくことを大切にしています。

 

今回は、高齢期に入ったペットと一緒に暮らしているご家族様に勇気をお届けできればと思い、往診での緩和ケアを今この瞬間も頑張っている高齢猫ちゃんの緩和ケア記録をご紹介させていただきます。

3月21日現在、高齢猫の小豆ちゃんは緩和ケアを受けながら、ご家族様の愛情に包まれてご自宅の大好きなソファーの上でゆっくりと過ごしています。

 

江東区に住んでいる小豆ちゃん(18歳/高齢猫)

今日は江東区にお住いの小豆ちゃん(18歳、雄猫)の緩和ケア奮闘記を書いていきます!

是非この記録が、高齢猫ちゃん、そして高齢犬と過ごしているご家族さまを勇気づけられればと思います。小豆ちゃんは往診獣医療と出会った日(2019年02月19日)の状態がかなり悪かったのですが、ご家族様の献身的な介護のおかげで、見事その山を越えることができました!

 

高齢猫の小豆ちゃんとの出会いは2月19日、とっても寒い冬の日でした。

以前から腎不全と肝障害があり、2018年12月からはくしゃみをするようになったとのことでした。

2ヶ月後の2019年2月3日から食欲がなくなってきて、2月8日にかかりつけの動物病院を受診したのですが、状態は良くならず、2月19日にさらに状態低下を認めたため、往診を呼ばれました。

この時、小豆ちゃんの心臓音は弱くなっていて、全身の反応もかなり弱っていました。

ご家族さまとしっかりとご相談させていただき、検査を行うよりも苦痛をとってあげることをまずは中心に診療方針を固め、処置をメインに行いました。

この日は皮下点滴に注射薬を混ぜたものを投与し、その後、小豆ちゃんにとって久しぶりであろうご飯を目一杯食べさせてあげました。

もちろん自分からではなく、強制給餌で食べさせました。この場合に、強制給餌により、栄養分を摂取でき、明日以降の食欲回復を狙うことができます。

もちろん最初は嫌がりました。顔まわりも汚れるし、なんか口にピューっと入ってくるしで、みんなちゃんと嫌がります。

顔を背けるし暴れるしで、最初はとても難しそうに見えますが、その子その子に合ったやり方さえわかってしまえば、決して難しくありません。

お母さんたちに強制給餌のやり方を説明し、一緒に頑張ってきました。

 

小豆ちゃんに出会ったこの日から、小豆ちゃんの緩和ケアが始まりました。しかし、出会ったばかりの小豆ちゃんの状態から、初日のインフォーム内容では、今夜が山であることをお伝えしました。

 

しかし翌日になると、薬も効きご飯を食べることができたおかげなのか、山を乗り越え少し元気になっていました。

5日間毎日同じ治療をして、4日目からは強制給餌のやり方を、ご家族様に指導させていただきました。

そして6日目になると、お母さんたちだけで投薬のみならず強制給餌での1日分の栄養補給までもができるようになっていました。

ちなみに、内服薬は複数個あるので、シロップ状にしてあげています。

その後、状態も上がってきたので血液検査と腹部超音波検査(エコー検査)をご自宅で行い、その結果を持って今後の診療内容を決めていきました。

内服薬は朝と夜の2回、ご飯には粉状のものを水で溶かしてあげてもらい、皮下点滴は1日置きに行っています。

 

桜の開花を見ることができ、今もゆっくりと流れる時間の中を、小豆ちゃんは快適な自宅で過ごしています。

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往診では、最愛のペットの余生をどこで過ごさせてあげたいか、どのように過ごさせてあげたいのかを一緒に考え、そのゴールに向けてご家族様と一緒に歩んでいきます。

 

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往診専門動物病院わんにゃん保健室では、高齢期の犬猫、そして病末期の犬猫たちが、ご家族様とどうしたら長く一緒にいれるのか、今より快適に過ごせるのかについて、常に最良の答えを出せるよう真剣に考えていきます。

全てはオーダーメイドであり、その子その子の個性やご家族様の生活環境にあわせた診療方針をご提案させていただいています。

 

高齢期を迎える、または迎えているわんちゃん、猫ちゃんと暮らしているご家族様へ

最後をご自宅で過ごさせてあげたいとお考えの飼い主様は、ペットの体調が悪くなる前に、一度当院にご相談ください。

事前に状況を把握しておくことで、高齢期を迎えるわんちゃん、猫ちゃんの老後をより快適に過ごさせてあげられるかもしれません。

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室は、高齢期のペット(犬、猫)の緩和ケア、そしてターミナルケアに特化しています。

決して飼い主様を一人で悩ませず、一緒に考えてペットの命と向きあっていきます。当院の往診は完全予約制であり、基本的には前日までのご予約が必要です。

診察の状況次第では、当日予約も受付できますので、何かペットに異変を感じ、動物病院へ通院することが難しいと感じた場合には、すぐにご連絡ください。

 

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こんにちは!往診専門動物病院わんにゃん保健室の往診獣医師です。

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、ご自宅まで往診獣医師が訪問し、ペット(犬、猫)の診療を行っております。

最近では、渋谷区からのご依頼を多くいただくようになりましたが、まだまだ往診専門動物病院を知らなかったという飼い主様が大多数であることを実感しています。

ちなみに、当動物病院は、東京23区全域、そして近隣地域まで訪問させていただきます。

当院では特に、病院が苦手な猫ちゃんの診療件数が多いです。

ワクチンの接種や健康診断、爪切りといった内容から、腎不全や心疾患といった慢性疾患を患う愛犬や愛猫のご自宅での看護のサポートなど幅広い診療に対応致しております。

毎日10時から19時まで、日曜祝日も診療しております。完全予約制で訪問させていただきますので、まずは受付時間内にお電話でご予約をお願い致します。

 

以前、猫の性格についてお話をさせていただきました。愛猫の通院に苦労する飼い主様は多いのではないでしょうか?キャリーに入れるだけで一苦労、キャリーの中では落ち着きがなく鳴き叫び、病院では警戒してほとんど検査をさせてくれない、そんな猫ちゃんはたくさんいます。出来るだけ通院の機会を減らしたいという思いは飼い主様皆様が抱えているのではないでしょうか。そのためには、猫ちゃんのSOSサインを知っておくことが必要です。SOSサイン、つまり病気の兆候です。今日は、猫ちゃんにみられる口内炎についてお話します。

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猫の口内炎

愛猫が口を気にしている、よだれが出ている、口を開けるときに鳴く、痩せてきた、食欲が落ちた、ご飯を食べなくなった、これらの症状は、口内炎による口の中の痛みが原因かもしれません。高齢期に入った猫ちゃんの食欲の低下は年のせいと思われ、見逃されてしまうこともあります。高齢期の猫ちゃんの食欲は確かに徐々に低下していくことが多いです。しかし、同時に身体のさまざまな部分で不調が出てくるのが高齢期です。どんなささいなことでも愛猫の状態の変化を感じた時には、ぜひ獣医師に相談してください。

 

猫の口内炎の原因はいまだ解明はされていませんが、口の中の細菌やウイルス、また免疫反応の異常が関与しているのではないかと疑われています。口の中の粘膜に炎症が起こり、腫れてしまったり、出血してしまったりすることで、痛みを生じます。炎症が重度の場合は、ご飯が食べれなくなるほどの強い痛みを生じることもあります。

同じような症状が見られる病気には、歯周病や口の中に出来る腫瘍もありますので、獣医師による診察と診断が必要です。また、高齢な猫ちゃんの場合は、腎不全の合併症として口内炎を発症している可能性も考えられるため、可能な場合には血液検査も実施した方が良いでしょう。

 

猫の口内炎の治療

治療としては、まず歯石がたまっている場合には全身麻酔下での歯石の除去(スケーリング)を実施し、口の中を洗浄します。その後、抗菌薬や消炎鎮痛薬を使用し、場合によっては抗ウイルス薬を使用します。

 

往診では、歯石の除去など全身麻酔を必要とする治療は行うことが出来ませんが、往診を必要とする、通院が困難な猫ちゃん達にとって必要なことは、処置の回数を出来る限り減らしてあげることだと考えています。抗菌薬と消炎鎮痛薬は、一度の注射で2週間効果が持続する注射薬を使用します。薬の内服が可能な猫ちゃんには、飲みやすいシロップの内服薬を処方します。血液検査の結果から腎不全が疑われる際には、併せて猫専用腎不全治療薬のシロップを処方します。

 

猫の口内炎は完治が難しい

猫の口内炎は、抗菌薬や消炎鎮痛薬による内科的治療で一時的に症状が改善しますが、投薬をやめると数週~数か月単位で再発を繰り返すことが多く、完治は難しいと言われています。内科的治療と併せて奥歯を全て抜歯する外科的治療を実施すると、完治や症状の緩和が認められることが多いとの報告もありますが、効果がない場合もあります。外科的治療を望まない場合には特に、猫の口内炎は長期的に付き合っていかなければならない疾患です。

 

往診専門動物病院では、往診獣医師がご自宅に訪問しペット(犬・猫)の診療をすることで、通院が困難なわんちゃんや猫ちゃんの定期健診も実施することが出来ます。診療の際に、往診では実施出来ない処置や検査が必要と考えられた場合には、ご希望に応じて二次医療施設をご紹介させていただくことも可能です。猫ちゃんにとっても、飼い主様にとっても無理のない診療をご提案させていただきます。猫ちゃんの通院にお困りの際には、ぜひ一度往診の受診もご検討ください。

 

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