わんにゃん保健室

診察をご希望の場合には、必ず留守番電話にメッセージをお残しください。(お名前、ご住所、電話番号、動物種、年齢、体重、性別、症状)

東京23区へ往診エリア拡大!お気軽にご相談ください。

03-4500-8701 往診WEB予約はこちら
わんにゃん保健室 03-4500-8701 往診WEB予約はこちら

診察をご希望の場合には、必ず留守番電話にメッセージをお残しください。(お名前、ご住所、電話番号、動物種、年齢、体重、性別、症状)

東京23区へ往診エリア拡大!お気軽にご相談ください。

2025年4月アーカイブ

東京都内を中心に在宅緩和ケアに特化した往診専門で診療を行っている「わんにゃん保健室」です。
当院は、犬や猫などのペットに特化した動物病院として、
ご自宅にお伺いし、その子に合った緩和ケア・ターミナルケアを提供しています。

「病院に連れて行きたいけれど、ペットがストレスを感じてしまう...」
「高齢で通院が難しい...」
「急な体調不良、でも家を離れられない...」

そんな時にこそ、私たちの往診がお役に立てます。
わんにゃん保健室では、毎日さまざまなご家庭のご事情に寄り添いながら、
ペット一匹一匹の年齢や性格、生活環境、ご家族の思いに合わせて診療を行っています。

"ご自宅でできる最善の医療"を一緒に考えることが、私たちのスタイルです。

今回は、実際に当院をご利用いただいた飼い主さまから寄せられたお声をご紹介します。

飼い主さまからのお声

【M様】

高齢の猫が腎不全になり、病院に点滴で通っていましたが、ストレスなのか帰宅後元気がなくなるのでどうにかストレスがかからない方法はないかと探したところ、こちらの病院と出会いました。
とても親切に説明をしてくれ、こちらが納得し理解するまで話をしてくれました。
診察後も普段通りご飯も食べてくれてとても感謝しています。
往診て凄いなと思いました。お願いして本当に良かったです。

【U様】

我が家の犬は要介護で、これまでかかった動物病院も良い先生でしたが、こちらの先生は圧倒的に良い先生です。

ペットの健康状態、飼い主の生活スタイルに合わせた方針を提案していただけます。室内レイアウトや点滴の仕方など、飼い主の不安への対応策を丁寧にご提案してくださいます。

また、とても言いづらかったんですが、家蔵みんなにもう一度説明をしてほしいと相談したところ、快く承諾してくださり、家族が揃う日程を先生の方から伺ってくれて、とても安心しました。本当にこんな先生いらっしゃるんだ...と思うくらい、とても面倒見の良い先生です。

通院型の動物病院では、私自身も疲弊しきっていたと思いますが、先生のおかけで人間側も生活を保てています。1回の診察費は高額ですが、個人的にはなんとなくで流されてしまう動物病院の診察よりも、いっぱい相談に乗ってくれる江本先生にお願いして本当によかったです。
先生のお人柄も明るくとても優しい方だと思うので、ペットも人間も負担が少ないと思います。緩和ケアで悩んでいる方には、江本先生を推薦したいです。

【N様】

病院に行けなくても自宅で病院と同様に治療をしていただけることに、感謝しています。初めてお願いした時は、発作を起こして激しく苦しむ姿を見るだけで、どうすることもできず絶望していた時に家に来て貰え本当に救われました。

今は2代目がお世話になっていますが、獣医の先生、看護師さん、全員プロ意識が非常に高く本当に頼もしいです。
とても仲が良く、明るく元気でエネルギッシュな方たちで、私もいつも元気をいただいています。常に相談にのってくださり、まずは動物の状態をきちんと教えてくださり、治療も出来ることと出来ないことをちゃんと教えてくださいます。

その上で私達、飼い主がどうしたいか?を良く聞いてくださり、みんなが幸せになれる治療方法を提案してくださいます。
安心して任せられるので、これからもずっとお願いしたいと思っています。

わんにゃん保健室よりメッセージ

往診だからこそできる医療があります。
わんにゃん保健室では、単に治療を行うだけでなく、ペットと飼い主さんの"心に寄り添うケア"を大切にしています。
最期までその子らしく生きられるよう、QOL(生活の質)を尊重した緩和ケア・ターミナルケアを実践しています。

ご自宅という安心できる環境の中で、その子にとって本当に必要な医療を、一緒に考え、寄り添いながら提供いたします。
私たちは、最期のその時まで、飼い主さまとペットのそばにいる存在でありたいと願っています。

◆-----------------------------------◆

〜犬猫の在宅緩和ケア専門〜
往診専門動物病院わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
休診日:不定休診療カレンダー
 
〒111-0036
東京都台東区松が谷3-12-4 マスヤビル5F
 
【わんにゃん保健室】
公式インスタグラム、facebookがスタート!
 
 

猫の肥大型心筋症と在宅緩和ケア(2025年4月)

心臓病を抱える猫にとって、「通院による負担」は病状を大きく左右する重要な要素です。特に、肥大型心筋症は進行とともに胸水貯留や呼吸困難を引き起こす可能性があり、病気自体の重症度だけでなく、日々のケアの在り方が予後を左右します。

今回ご紹介するのは、東京都内に暮らす13歳の日本猫・キキちゃん。かかりつけで心臓病と診断され通院を続けていましたが、ある日を境に、通院後の疲弊がひどくなり、薬も飲ませられなくなってしまいます。

ご家族は、治療をあきらめたのではなく、「別の形でのケア」を模索し、在宅緩和ケアへと舵を切りました。

このブログでは、キキちゃんがどのように在宅緩和ケアへ移行し、どのようなサポートを受け、そして最期を迎えたのかを記録としてまとめています。通院が難しい猫と暮らすご家族に、ひとつの選択肢として届くことを願っています。

目次

 

キキちゃんの心臓病発覚とその経過

心臓病の診断と通院による管理

キキちゃんは2022年4月、かかりつけの猫専門動物病院にて肥大型心筋症と診断されました。当初は元気・食欲ともに安定していたため、3ヶ月に1回の通院で心臓の検査と内服薬の処方を受けながら経過観察を行っていました。

病状の悪化と通院の限界

2024年10月、急激な体調悪化が見られ、ぐったりとした様子にご家族も強い不安を抱かれました。どうにか通院したものの、胸水貯留が認められ胸水抜去を実施。その後、内服薬を継続するも、食欲がなく投薬が難しくなり、通院後もぐったりとした状態が続いたため、「通院が限界」と感じるようになったとのことでした。

在宅緩和ケアへの希望とご家族の決断

通院によるストレスや体調悪化のリスクを避けたいという思いから、ご家族は在宅での緩和ケアを希望されました。Web検索で当院を見つけてくださり、「この子にとって一番穏やかな選択を」と、往診での在宅ケアへの切り替えを決断されました。

 

呼吸の悪化と在宅ケアの開始

初診時の評価と胸水の状況

往診初診は、胸水抜去から10日後でした。キキちゃんは玄関まで迎えに来てくれるほどの体力は残っていましたが、超音波検査では少量の胸水が確認されました。呼吸の状態を鑑みて、この日は抜去は行わず、経過観察としました。

投薬方法の変更:皮下点滴への切り替え

ご家族からの「口を開けるだけで呼吸が乱れてしまう」という訴えを受け、すべての内服薬を中止し、注射薬を希釈した皮下点滴への変更を決定しました。これにより、投薬時のストレスを最小限にしながら治療を継続する体制を整えました。

在宅酸素環境の整備

初診時に酸素発生装置1台と酸素ハウスを導入し、呼吸補助を行いました。在宅酸素環境は、呼吸状態の安定に重要な要素であり、以後の診療でも環境強化を適宜行っていく方針としました。

 

在宅ケアでの安定期

内服中止後のキキちゃんの変化

皮下点滴への切り替え後、キキちゃんは徐々に食欲と元気を取り戻し、ご家族の目にもはっきりとした改善が見られました。内服のストレスが軽減されたことで、体への負担も大きく減ったと考えられます。

再診時の胸水減少と呼吸安定

初診から1週間後の再診では、胸水はほとんど認められず、呼吸状態も落ち着いていました。この結果を受け、診療間隔を2週間に1回とすることに決定しました。

穏やかな日常の再構築

この間、キキちゃんはお気に入りの窓辺のベッドで過ごし、ご家族とゆったりとした時間を取り戻していました。治療の効果と在宅環境の整備が、安定した時間を作る大きな要因となりました。

 

 

胸水再貯留とその対応

4ヶ月後の状態悪化

安定していた在宅ケアから4ヶ月が経過した頃、キキちゃんの呼吸状態が再び悪化。再診を前倒しで実施したところ、超音波検査で胸水の再貯留が確認されました。

在宅胸水抜去と鎮静処置

猫ちゃんは胸水抜去の際に強い不安やストレスを感じやすいため、軽度の鎮静をかけて処置を実施しました。こうすることで、処置へのトラウマを軽減し、次回以降のケアをスムーズに行うことが可能になります。

酸素環境の再構築

呼吸状態をさらに安定させるため、酸素発生装置を追加でもう1台設置し、酸素ボンベの併用も開始。必要に応じて酸素濃度を調整できるようにし、安心して過ごせる環境づくりを強化しました。

 

 

頻回な胸水抜去と症状の変化

1週間ごとの胸水抜去

キキちゃんはその後、1週間に1回のペースで胸水の抜去が必要となる状態が続きました。抜去後は一時的に呼吸が落ち着くものの、数日で再び呼吸促迫が見られるようになってきました。

呼吸の安定が得られない状況

4回目の胸水抜去後には、抜去後も呼吸状態がなかなか安定せず、これまでの経過とは異なる反応が見られました。この段階で、胸水以外の要因による呼吸不全の可能性を疑いました。

胸水がないのに呼吸困難

再度3日後に往診を実施し、超音波検査を行ったところ、胸水はほとんど貯留していませんでした。これは、末期の肥大型心筋症においてよく見られる症状であり、胸水がそんなに溜まっていなくても呼吸困難が継続する状態でした。

 

 

最期の夜と静かな旅立ち

お母さんとの最後のふれあい

その夜、キキちゃんはお母さんの手をペロペロと優しく舐めてくれました。それはまるで、「ありがとう」と伝えているような仕草だったとのことでした。その仕草に、お別れを感じ取ったとのことで、何も不安はなかったとのことでした。呼吸は浅くなりつつも、穏やかな表情を見せてくれていたそうです。

静かで穏やかな最期

明け方、キキちゃんは一瞬だけピクピクと痙攣のような動きを見せた後、大きくばたつくことなく、静かに眠るように旅立ちました。お母さんがそばにいてくれたことが、キキちゃんにとって何よりの安心だったことだと思っています。

最期を一緒に過ごせた

通院の負担を減らし、家で過ごす時間を大切にした選択は、キキちゃんにとっても、ご家族にとっても、かけがえのない時間だったのことでした。あの状態で通院させていたら、途中の車の中で、または病院で亡くなっていたかもしれないので、それだけは絶対避けたかったことだったとのことで、「家で見送れてよかった」というお母さんの言葉を受け、これが在宅緩和ケアの最大の意義であると、改めて思えました。

 

 

在宅緩和ケアでできること

通院に代わるケアの実現

通院が困難になったキキちゃんにとって、往診による在宅緩和ケアは大きな安心につながりました。検査・処方・処置をすべてご自宅で実施できるため、負担の少ない医療が実現できます。また、もう通院に伴うストレスをかけないでいいんだというご家族の精神的な安定が、キキちゃんの状態安定に繋がったんだと思います。ご家族の心の安定が、犬猫に及ぼす影響は、緩和ケアの時期にはかなり大きいと感じています。

酸素環境や注射薬での管理

酸素発生装置や酸素ハウスの設置、必要に応じた薬剤の皮下投与など、病院と同等の環境を自宅で整えることが可能です。特に心疾患を抱える猫にとって、呼吸をサポートする環境は今を少しでも楽に過ごさせてあげるための鍵になります。酸素環境を徹底することで、苦しいはずの時間を少しでも穏やかに過ごさせてあげることが可能であり、もしかすると、またご飯を食べてくれるかもしれないという期待を持てるかもしれません。

ご家族の心の準備を支える

在宅緩和ケアでは、医療面だけでなく、ご家族の心のサポートも大切にしています。今後の変化について丁寧に説明し、心構えを共有することで、急な変化にも落ち着いて対応できるよう支援しています。ご家族の病気への理解、そして家族としての方針決定などが、緩和ケアではとても大切です。

 

 

看取りからお別れまで

最期の時間をどう過ごすか

キキちゃんは、お母さんの見守るなか、静かに最期の時を迎えました。胸水貯留がないにもかかわらず呼吸状態が改善しないという状況は、心筋症の終末期のサインの一つです。苦しさを最小限に抑え、静かに息を引き取ることができるよう、医療と環境の両面からサポートしてきました。

家族にしかできないサポート

最期の瞬間にそっと手を舐めてくれたキキちゃん。その行動は、ご家族との絆の深さを物語っていました。ご家族の存在こそが、キキちゃんにとって何よりの安心であり、痛みを超えて心を癒す力となります。いつものように話しかけ、撫でてあげることで、愛犬、愛猫の不安が少しでも和らぎ、苦痛緩和につながるようです。これは、ご家族にしかできない、最後のケアです。

わんにゃん保健室ができること

当院では、症状に応じた医療サポートはもちろん、看取り後のご相談やご葬儀の案内など、最期のその先までを見据えたサポートを提供しています。「苦しませたくない」「穏やかに送り出したい」という想いに寄り添いながら、最期の時間を家族らしく過ごしていただけるよう尽力いたします。

 

愛犬、愛猫の穏やかな最期のために、在宅緩和ケアをご希望される場合には、当院までご連絡ください。

 

◆-----------------------------------◆

〜犬猫の在宅緩和ケア専門〜
往診専門動物病院わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
休診日:不定休診療カレンダー
 
〒111-0036
東京都台東区松が谷3-12-4 マスヤビル5F
 
【わんにゃん保健室】
公式インスタグラム、facebookがスタート!
 
 

肺腫瘍の犬の在宅胸水抜去(2025年4月)

肺腫瘍は犬にとって決して珍しい病気ではなく、特に高齢の大型犬では、徐々に進行する呼吸器の異常として現れることが多くあります。今回ご紹介するのは、ゴールデンレトリバーのマコトくん。肺腫瘍と診断されてから半年後、呼吸状態の悪化とともに胸水の貯留が見られ、在宅緩和ケアという選択肢に切り替えました。胸水抜去を通じて、苦しみを最小限に抑えながら、最期の時間をご家族と共に穏やかに過ごしたその記録をお届けします。

 

肺腫瘍と診断されたゴールデンレトリバーの最後の1ヶ月

マコトくんは、12歳のゴールデンレトリバーの男の子です。2024年9月、かかりつけの動物病院にて「肺腫瘍」と診断されました。はじめは特に目立った症状もなく、通院しながら内服薬を服用し、日常生活を続けていました。

性格は穏やかで、ご家族と一緒にいる時間が大好きな子でした。ご飯もモリモリ食べるタイプで、食欲が落ちることはほとんどなく、少し息が荒くなっても気にせずに過ごしていたそうです。

しかし、診断から半年が経った2025年3月、急に様子が変わり始めました。食欲が突然落ち、呼吸も早く浅くなってきたため、ご家族が再度病院へ連れて行くことを決意。その時、胸水が多量に貯留していることが判明しました。

 

通院での緩和ケアのはじまり

肺腫瘍の診断を受けた後、マコトくんはかかりつけの動物病院で通院しながらの緩和ケアを続けていました。幸いにも、診断直後の状態は安定しており、無理のない範囲での通院が可能でした。

食欲旺盛だったマコトくんは、内服薬もご飯に混ぜれば問題なく摂取できていました。ご家族も薬の管理をしっかりと行い、日々の体調を細かく観察することで、症状の進行にいち早く気づけるよう心がけていました。

当時のマコトくんは、息が少し荒くなることがあっても、お散歩を楽しみ、日常の生活を自分のペースで送っていました。肺腫瘍という厳しい診断を受けても、ご家族と一緒に過ごす日々が、穏やかに流れていたのです。

ただ、この時期から、少しずつ「呼吸の変化」に注意が必要となってきていました。肺腫瘍が進行する中で、胸腔内に水が貯まることは、よく起こることです。

 

呼吸状態の急変と胸水の貯留

肺腫瘍の進行に伴い、マコトくんの体調に大きな変化が現れたのは2025年2月下旬のことでした。元気や食欲があったにもかかわらず、急に呼吸が浅く、速くなり、見た目にも苦しそうな様子が目立つようになってきました。

ご家族は、すぐにかかりつけの動物病院を受診し、超音波検査(エコー検査)を実施。その結果、胸腔内に多量の胸水が貯留していることが判明しました。肺腫瘍が進行することで、肺から胸腔に滲出液が漏れ出し、呼吸機能を圧迫していたのです。

その場で胸水抜去を実施することになり、マコトくんはゴールデンレトリバーという犬種の特性もあって、鎮静処置を行わずに処置を受けることができました。この時、抜去された胸水は1500mlにも及び、処置後には呼吸がかなり楽になった様子が見られました。

しかし、ご家族にとって印象的だったのは、処置後の帰宅時のマコトくんの姿でした。行きよりも状態は改善していたとはいえ、大きな負担を抱えての移動であることは明らかでした。この経験を経て、ご家族は「今後は自宅でできる限りのケアを」と考えるようになり、在宅緩和ケアへの切り替えを検討し始めたのです。

 

在宅緩和ケアへの切り替えと準備

病院での胸水抜去の後、ご家族は移動中のマコトくんの苦しそうな様子に心を痛め、通院に限界を感じ始めました。「このまま通院を続けるのではなく、自宅で穏やかに過ごさせてあげたい」というお気持ちから、在宅緩和ケアが可能な動物病院を探され、当院へご連絡をいただきました。

初診は2025年3月3日。ご自宅の玄関まで尻尾を振って迎えてくれたマコトくんの姿は、まだまだしっかりとした力を感じさせてくれるものでした。身体検査とエコー検査を実施した結果、再び胸水の貯留を確認しましたが、すぐの抜去は行わず、あえて日程を調整し、最も苦しくなる直前で胸水抜去を実施するようにスケジュールを組むことにしました。

また、このタイミングで処方の見直しを行い、鎮咳薬や鎮痛薬を強めに加え、呼吸の快適さを保ちつつ、痛みや不快感をできる限り抑えることを目指しました。マコトくんの状態、性格、ご家族の希望をすべて踏まえて、在宅緩和ケアに向けた最初の一歩を踏み出したのです。

 

在宅での胸水抜去とマコトくんの反応

初診から4日後、予定通りマコトくんの2回目の胸水抜去を在宅で実施しました。ご自宅という安心した環境で、移動のストレスもなく落ち着いた様子で処置に臨むことができました。この時の抜去量は1380ml。抜去後、呼吸の速さが緩やかになり、ご家族の表情も少し和らぎました。

その後も約1週間おきに胸水の貯留が見られ、次の抜去では1520ml、さらにその次には1750mlと、貯留量は増加傾向にありました。ですが、抜去後は毎回、呼吸が楽になり、短いながらも穏やかな時間が戻ってきました。

胸水抜去は強い痛みを伴うため、処置の可否やタイミングには常に慎重な判断が求められます。痛みの負担と呼吸の苦しさ、そのどちらも極力減らしたいという思いの中で、ご家族と相談を重ねながら、その都度最善と思われる選択を重ねていきました。

 

最期の時間とご家族の思い

2025年4月7日。マコトくんは、その日も朝まではご飯を食べていたそうです。「ちょっと様子が違うな」と感じたとのことでしたが、その後は静かに、まるで眠るかのように旅立ったとのことでした。

最後まで内服薬もご飯と一緒に食べてくれて、処置のたびに呼吸が楽になり、ご家族とともに少しでも楽に過ごせる時間を作ることができました。苦しみが強くなる前にその時を迎えられたことに、ご家族様も「頑張ってくれたね」と静かに話されていました。

ゴールデンレトリバーのような大型犬では、腫瘍(がん)を抱えることは珍しくないです。呼吸を圧迫する胸水の貯留は命に関わる重大な状態ですが、その都度の丁寧なケアと、ご家族の見守りにより、マコトくんは穏やかに最後を迎えることができました。

 

胸水貯留の犬における在宅緩和ケアの考え方

胸水の貯留は、肺腫瘍や転移性腫瘍、心不全などさまざまな原因で起こることがあります。貯留した胸水は肺を圧迫し、呼吸を著しく妨げるため、犬にとって大きな苦痛となります。

在宅での胸水管理が重要な理由

- 通院の負担を減らすことで、呼吸状態の悪化リスクを下げられる

- ストレスによる呼吸促迫を避けることができる

- ご家族が側で寄り添いながらケアを行える

胸水抜去の実施タイミング

- 呼吸が速くなる、胸が上下に大きく動くといった症状が見られたとき

- ご飯を食べなくなったとき

- 横になって眠れなくなるとき(座ったまま寝ようとする

これらの兆候が見られた場合には、胸水の貯留が原因である可能性があり、抜去を検討すべきタイミングです。

胸水抜去時の注意点

- 大型犬では無鎮静で対応できるケースが多いが、痛みは強いということは忘れないこと

- 頻回に抜去を行うと、それ自体が負担になるため、呼吸状態や生活の質を見ながら判断

- 初回の抜去量に比べ、次第に貯留量が増えていくケースが多いため、次の処置のタイミングは柔軟に調整する

在宅で胸水を適切に管理することは、犬のQOL(生活の質)を守り、穏やかな時間を提供する上で非常に重要です。

次は、当院が行う在宅胸水抜去と継続的なケアの方針についてご紹介します。

 

当院が行う在宅胸水抜去と継続ケアの方針

当院では、大型犬や高齢の犬に対して、通院や入院によるストレスを避けるため、在宅での胸水抜去を積極的に取り入れています。診察は基本的に獣医師1名で行い、胸水抜去などの処置が必要な場合には、動物看護師が同行します。

在宅での胸水抜去の進め方

- 往診時に超音波検査で胸水の貯留量と状態を確認

- 鎮静なしでの抜去を基本とし、状態によって鎮静を使用

- 初回は処置の反応や量を慎重に観察し、次回以降のプランを立てる

抜去頻度とモニタリング

- 呼吸状態に応じて抜去頻度を調整(例:1〜2週間おき、必要に応じて週1回)

- ご家族からの日常の観察情報も重要な判断材料となる

継続的な在宅緩和ケアの内容

- 鎮痛薬や鎮咳薬など、内服薬の調整

- 酸素発生装置を活用した在宅酸素管理

このように、在宅緩和ケアでは単に胸水を抜くだけでなく、犬の体調やご家族のご希望を踏まえて、柔軟で丁寧な対応を行っていきます。

 

ご家族とともに過ごした最期の日々

マコトくんが旅立ったのは、2025年4月7日。ご家族に見守られながら、自宅のリビングで穏やかにその時を迎えました。胸水抜去の直後には、呼吸が楽になった様子を見せ、ご飯も少しずつ口にすることができていました。

旅立ちの直前まで見せた“いつもの姿”

- 朝には自分の足で立ち、少しだけお散歩にも行こうとする素振りを見せた

- ご飯の香りには反応し、少量ながら口にしてくれた

- 大好きな場所、リビングのソファー下でゆっくりと眠るように旅立った

ご家族の寄り添いと、安心感

- 胸水抜去の処置も含め、すべてのケアをご自宅で行えたことに、深い安心を感じていただけた

- 「いつもと変わらない日常」の中で過ごせた時間が、ご家族の心の支えに

- 苦しみを最小限にできたことが、ご家族にとって最大の救いだった

在宅緩和ケアの価値

- 病院に行くことなく、最後まで大好きな家族と自分の家で過ごせたこと

- ご家族と獣医師、動物看護師が一緒に歩んだ、最期の時間

- 「家で看取ってあげられて良かった」と語ってくださった言葉が印象的だった

在宅緩和ケアは、ご家族にとっても愛犬にとっても、心穏やかな選択肢となり得ます。

 

わんにゃん保健室が行う在宅緩和ケアの特徴

わんにゃん保健室は、東京都内および近隣エリアを中心に活動している往診専門動物病院です。ペットの在宅医療、特に緩和ケアやターミナルケアに特化し、「病院に行けない・行かせたくない」状況でも、できる限りの医療を提供することを目指しています。

在宅でできる医療を最大限に

- エコーや血液検査など、病院と同等レベルの検査を自宅で実施

- 症状に合わせた処方変更や、投薬内容の調整が可能

- 緩和ケア・ターミナルケアを熟知した獣医師による診療

ご家族の不安に寄り添う

- 初診では2時間近くかけて、じっくりと問診・カウンセリングを実施

- 状況の整理、選択肢の提示、判断サポートまでを一貫して提供

- 医療面だけでなく、精神面のケアにも重点を置いた対応

苦しまない最期のために

- 胸水や心嚢水の抜去など、症状の緩和に必要な処置も自宅で対応

- 鎮痛、鎮静、呼吸管理など、ペットのQOLを最優先に考えた医療設計

- 家で過ごすこと、家で旅立つことを選ぶご家族への全面的なサポート

マコトくんのように、最期まで“家で”を貫いた子たちの物語が、これからも増えていくよう、私たちはひとつひとつの命と真摯に向き合っていきます。

腎臓病や心臓病、甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症、糖尿病などの慢性疾患で、定期検診での血液検査や超音波検査(エコー検査)のための通院が、愛犬、愛猫にとってストレスになっていると感じたとき、またはがん(腫瘍)や病末期で、もう余生を穏やかに過ごさせてあげたいと感じた時からは、私たち、在宅緩和ケアに特化した往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡ください。

残された時間にどんなことを考え、準備していかなければいけないのかなど、1つ1つ生活環境やご家族の意思を確認しながら、緩和ケアプランを構築していきます。

 

◆-----------------------------------◆

犬猫の往診専門動物病院
わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
休診日:不定休診療カレンダー
 
〒111-0036
東京都台東区松が谷3-12-4 マスヤビル5F
 
【わんにゃん保健室】
公式インスタグラム、facebookがスタート!
 
 

ターミナルケア・緩和ケアについて

東京23区を中心に往診を行っている「わんにゃん保健室」です。
当院では、ペットのいるお住まいへ直接診療に向かう『往診』を専門にしております。

往診のメリットは、何と言ってもペットが自宅でリラックスした状態で診療を受けられることです。 動物病院へ通院が難しいペットにも、快適な環境で適切な獣医療を提供できることが、わんにゃん保健室の強みです。 本日は、当院が特に力を入れている「ターミナルケア」と「緩和ケア」についてご紹介します。

ペットにとってのターミナルケア

犬や猫は人間よりも寿命が短いため、飼い主様より先に旅立つことが多くあります。
それは自然の摂理であり、避けられない現実です。
しかしその時が訪れる前に、ペットとどのように向き合っていくかを考えることが大切です。
ターミナル期を迎えたペットを前に、飼い主様は「いつまで治療を続けるか」 長い年月を共に過ごしてきた大切な家族を見守ることは、どんなに辛くてもその決断をしなければならない時が来ます。
しかし、「もう楽にしてあげたい」という想いが沸き上がるのも事実です。

飼い主様の想いに寄り添う

ペットが病に苦しんでいる姿を見守る飼い主様もまた、同じように心が痛むものです。
そのような中で、獣医師や愛玩動物看護師は飼い主様の決断に寄り添い、支える役割を担っています。
ターミナルケア」は単に病気を治療することではなく、ペットの最後の時期を穏やかに過ごさせ、飼い主様が納得のいく形で見送ることが目的です。 わんにゃん保健室では、飼い主様が抱える不安や疑問をしっかりと受け止め、最良の選択肢をご一緒に考えていきます。

長い時間をかけて向き合う

わんにゃん保健室では、通常の動物病院とは異なり、飼い主様とお話をする時間を大切にしています。
動物の診察だけでなく、そのペットの未来や最良の診療をしっかりと考えるために、時間をかけて寄り添っています。
そのため、ペットのターミナルケアに関しても、飼い主様の決断を支えるためにじっくりと時間をかけて向き合います。
飼い主様としっかり向き合い、ペットの最良の未来を考えたい」と当院では考えています。

わんにゃん保健室の思い

わんにゃん保健室は、飼い主様とペットの最も近くに寄り添い、支え合いながら診療を行っています。
ターミナルケア・緩和ケアにおいても、飼い主様とペットがより穏やかで安心できる時間を過ごせるようサポートしています。
もしもペットが辛い時期に差し掛かった際には、わんにゃん保健室のスタッフがしっかりとサポートいたします。
ペットと過ごす大切な時間を、できるだけ穏やかで意味のあるものにするために、私たちにお任せください。

◆-----------------------------------◆

犬猫の往診専門動物病院
わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
休診日:不定休診療カレンダー
 
〒111-0036
東京都台東区松が谷3-12-4 マスヤビル5F
 
【わんにゃん保健室】
公式インスタグラム、facebookがスタート!
 
 
ブログ
非常事態宣言について
ドクターズインタビューに当院のドクターが掲載されました

所在地

本拠点:
〒111-0036
東京都台東区松が谷3-12-4
マスヤビル5F

東京23区へ往診エリア拡大!
お気軽にご相談ください。

診療日・受付時間

診療時間 10:00~19:00
休診:不定休

>診療カレンダー

電話番号

03-4500-8701
診察をご希望の場合には、必ず留守番電話に
メッセージをお残しください
(お名前、ご住所、電話番号、動物種、年齢、体重、性別、症状)

お問い合わせ

お問い合わせはコチラ

リンク集

ご自宅での緩和ケアを
ご検討される方へ