こんにちは!
今回は糖尿病の猫ちゃんのお話です。
糖尿病はみなさんご存知かと思いますが、猫ちゃんも糖尿病になってしまうことがあります。
まずは糖尿病がどういったものなのか、少しお話しようと思います。
犬猫の糖尿病について
糖尿病にはⅠ型糖尿病とⅡ型糖尿病の2つの型があり、日本人の約95%はⅠ型の糖尿病と言われています。
Ⅱ型糖尿病は 遺伝的に糖尿病になりやすい人が、肥満・運動不足・ストレスなどをきっかけに発病します。インスリンの効果が出にくくなったり、分泌のタイミングが悪くなったりします。
生活習慣の見直し行うと改善したり、インスリン注射が必須ではありません。
残りの5%のⅠ型糖尿病は膵臓のβ細胞が壊れてしまい、まったくインスリンが分泌されなくなってしまいます。
インスリンを体外から補給しないと生命に関わるため、インスリン注射を欠かしてはなりません。
Ⅰ型は子供や若い人に多く、Ⅱ型は中高年に発症することが多い病気です。
では、犬や猫はどうでしょうか。
猫ちゃんの8割はⅡ型糖尿病と言われています。
一方、わんちゃんではどうでしょうか?
実は犬はどちらの型だか不明・・・なことが多いようです。
ほとんどは猫と同じようにⅡ型から発症したものと推測されるようですが、実際わんちゃんが具合が悪くなって病院に来る頃には病状が進んでいるため、Ⅰ型と同じようにインスリン注射が治療には欠かせなくなります。
また、犬や猫では膵炎との関連もよく言われており、膵炎により膵臓の細胞が破壊されてしまった結果、インスリンが出なくなってしまい、Ⅰ型糖尿病になってしまうケースもよくあります。
では実際どういった治療を行うのでしょうか?
糖尿病の治療方法
基本的には3つの治療を並行して実施します。
①食事療法
:炭水化物が少ない処方食を食べてもらうなど。
②インスリン注射
:インスリン注射によって適切な血糖値に調節。
③インスリンの効果を下げてしまう基礎疾患の治療
:炎症性疾患(歯肉炎など)などインスリン抵抗性を上げてしまう疾患を治療してインスリンを効きやすくするなど。
の3つです。
③はさておき、①は選り好みがない猫ちゃんであれば戦える手法かと思われます。
なお、②がよく用いられますが、こちらは「インスリン注射を接種できる」ことが大前提での条件です。
打てるか心配で・・・
とご相談されますが、大丈夫です。
そもそも、自分の猫ちゃんにインスリンを打ったことがある方が珍しいです。
家の中で普段から触れる猫ちゃんであれば、注射は打てると思われますので、一緒にインスリン療法のプランを立てていきましょう!
糖尿病からの回復劇の主演を務める猫ちゃん
症例は東京都渋谷区松濤にお住まいの猫ちゃん、8歳の女の子。
猫ちゃんが最近お水をたくさん飲んで、トイレの回数も多いのですが、すごく怖がりな性格で家族でも触るのが難しいけれども診察をしてもらえますか?とのお問い合わせでした。
往診専門動物病院わんにゃん保健室の往診は、獣医師と1〜3名ほどの看護スタッフが一緒にお伺いさせていただきますので、ほとんどの猫ちゃんで捕獲から検査、処置を実施することができます。なお、危険な保定などをご家族様にお願いすることはせず、ご家族様には近くでそっと見守っていていただきます。
こちらの猫ちゃんは小さい頃からすごく繊細で敏感なタイプで、子猫のワクチン以来、動物病院への通院はおろか、外に連れ出すこともできなかったとのことです。
しかし家の中ではとても甘えん坊で、抱っこが大好きで、よくお父さんのお腹の上で寝ているとのことでした。
キャリーを見せた時の豹変ぶりから、通院を諦めて今になったとのことでした。
ここ最近になって、お水が減るのが早くなり、おしっこの量もすごく増えたこともあって、猫ということもあり腎臓病が心配となったため、往診専門動物病院わんにゃん保健室にご連絡をいただきました。
たしかに、年齢的に多飲多尿の症状があれば腎不全も疑われますが、多飲多尿の原因はそれだけではないので、ほかの原因も考えながら、まずは血液検査をご提案させて頂きました。
ご家族様としては、初めての検査なのでぜひ健診もして欲しいとのことで、血液検査と超音波検査、可能であれば尿検査を実施することとなりました。
猫ちゃんのいるお部屋に入ると、カーテンが静かに揺れているのを目視でき、この後ろに隠れているご様子でした^^
大きめのバスタオルを数枚ご用意いただき、そっと覆うようにして捕獲してあげることで、結構多くの猫ちゃんが静かに出てきてくれます。当院の看護スタッフは、いろんな性格の猫ちゃんと向き合ってきているため、かなりの手練れですのでうまくいきますが、ご家族様だけで捕獲する場合には、専用のグローブを装着することをお勧めしています。
さっと捕獲し、まずは身体検査です。
身体検査では、かなりぽっちゃりな体型で、少し脱水していました。
素早く採血を行い、最初に血糖値測定を実施すると、かなりの高値が認められました。
猫ちゃんでは興奮すると血糖値が高く出ることがありますが、今回は通常の上昇幅を超す値でした。
タオルで顔を隠したままひっくり返して超音波検査を実施し、蓄尿を確認できましたので尿の採取も行えました。
大変よく頑張りました!
採取した尿はその場で尿一般検査を実施したところ、尿糖陽性を検出しました。
この時点で、糖尿病確定です。
猫の糖尿病って、学術的な内容は割愛しますが、早期であればインスリンから離脱できることがあります。
今回、初診段階で把握できた内容をもとに状況整理し、今日明日の診療プランをご説明させていただき、明日再診としました。
院内検査の項目は、翌日までには揃いますので、明日はそれを持ってさらに診療プランを組み立てていきます。
結果が揃い、インスリン量も決定し、ご家族様に毎日頑張っていただいたおかげで、今回のケースでは見事にインスリンの量を4.5Uから1.0Uまで漸減成功中です。
具体的には、以下のようなプランを主軸としました。
・食事量のコントロール
・毎日のご家族様による尿検査
・1日2回のインスリン注射
・2週に1回の血液検査
糖尿病を発症した猫ちゃんだと、従来では通院させて日内入院し、複数回の採血を実施しながら血糖値の経時的変化を追って、血糖効果曲線を作成します。
何度も押さえて採血するというストレスもですが、それ以上通院や入院など、非日常に対するストレスの影響は猫ちゃんにとってとてつもなく大きく、血糖値が明らかに上昇して見えてしまうため、日常の中での正確な血糖値を測定していくことが難しいです。
本来であれば安心できる環境で血糖降下曲線を作ってあげることが理想なんですが・・・
ちなみに、往診専門動物病院わんにゃん保健室では装着型の血糖測定器を体の側面に装着させ、アプリなどを用いて管理する方法も取り入れています。
一度安定してしまえば、そこからは低血糖発作に気をつけながら、ご家族様と連絡をうまく取り合うことで、ゆっくりとその子その子にあったペースで治療プランを進めていくことができます。
昨年までは、ペットの往診ではインスリン量の調整はできない!と考えられていましたが、このケースのように、往診であったとしても、ご家族様のご協力があれば頑張ることができます。むしろ、急性期を乗り越えインスリン量が決まった猫ちゃんであれば、往診の方が合っているのでは?と感じています。
ただし、これが需要なのですが、尿ケトン陽性となってしまった場合には、残念ですが入院させてあげて、適切かつ集中的な入院治療が必須となります。。。
何事も早期発見早期治療を心がけましょう!
猫ちゃんの糖尿病は、早期発見早期治療で、インスリンから離脱させてあげましょう^^
ではまた〜^^
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