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慢性腎不全の猫(よく吐く/口をくちゃくちゃする/お水をよく飲む/痩せた)

こんにちは!

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、往診獣医師と動物看護師がペット往診車でご自宅まで訪問し、犬猫が安心して診療を受けることができる環境で診察し、血液検査のための採血や、脱水補正のための皮下点滴や痛み止め、痒み止め、吐き気止めなど、愛犬・愛猫にあった検査・処置を行うことができます。

 

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そんな往診の特性から、高い頻度でお伺いするペットは猫であり、中でもよく吐く、お水をよく飲む、食欲が下がった、ご飯食べない、よだれを流している、などの主訴で伺うことが多く、このような症状を呈している猫ちゃんの多くが腎機能低下ないし腎不全(慢性腎臓病)を患っています。

 

今回は、猫ちゃんの慢性腎不全のお話しをさせていただこうと思います。

 

猫ちゃんのご家族様は、腎不全というのは耳にしたことがある方が多いかと思いますが、ではどんな症状が出るのか、治療とは?初期症状は何に気をつけたら良いの?ということはあまりイメージがないかと思います。

そこで今回は慢性腎不全の病態、症状、治療についてお話しさせて頂きます。

 

まず慢性腎不全とはどういったものなのでしょうか?慢性があるということは急性もあるということ?という方もいらっしゃると思います。

 

ご名答。

 

もちろん急性腎不全もあります。

 

今回のテーマとは異なりますが、急性腎不全は、脱水や感染、尿路閉塞などによって急激に腎臓への負担がかかってしまった時に起こります。

そして名前の通り、慢性腎不全よりも進行が早く、すぐに適切な処置をしなければすぐに致死的になってしまうことも珍しくありません。

また、適切な処置を行ったとしても、完全な回復ができず慢性腎不全に移行してしまうこともあります。

猫ちゃんの場合であれば、尿路閉塞や尿路感染からの急性腎不全が多いかと思います。

 

話が逸れてしまいましたので、慢性腎不全のお話しに戻します。

 

慢性腎不全とは、病態としては腎臓の毛細血管が萎縮したり、尿細管という水分を再吸収する器官の機能が低下するということが起こります。

その結果、腎臓全体の機能が落ちてしまい、老廃物がうまく体外に出せなくなり、必要な水分は外に出してしまうという状態になってしまいます。

老廃物とは具体的には尿毒素と言われるもので、これらが身体に溜まって症状を伴う場合に、尿毒症と呼ばれる状態になります。

これが慢性腎不全の病態です。

 

ではどういった症状が出るのでしょうか?

 

必要な水分を外に出してしまうため、健常時より薄いおしっこを大量にするようになります。

そして、薄いおしっこを大量にするため、身体としてはすぐに乾いてしまいます。

そのため、お水を大量に飲みます。

これがいわゆる多飲多尿という状態です。

 

猫ちゃんの慢性腎不全は長ければ2〜3年かけて少しずつ進行していきます。

そのため、長い間少しずつ多飲多尿の状態が進行していきますので、なかなか気付かないこともあるかと思います。

また、進行すると、多飲多尿だけでなく、悪心や嘔吐食欲不振といった尿毒症の症状が出てきます。

そして悪心に伴い、よだれがたくさん出たり、口臭が出てきたりといった変化も起きてきます。

こうなると気持ち悪くてお水もあまり飲まなくなってしまいます。

しかしお水を飲まなくても変わらず薄いおしっこが出続けるので、脱水が進み、衰弱してしまいます。

往診専門動物病院わんにゃん保健室でお電話を頂くのは、たいていこう言う状態になった時で、毎日見ているとやはり少しずつ進む病気なだけに変化に気付くのは難しいと実感します。

 

診断には、尿検査や血液検査を用います。

 

1番最初に出てくる変化としては尿検査でのおしっこの薄さです。

次に出てくる変化として血液検査での腎臓の数値の上昇ですが、血液検査で変化が出て時には、腎臓の3/4の機能低下が認められている状態と言われているので、尿検査で出来るだけ早期発見を目指しています。

 

ではどういった治療をしてあげれば良いのでしょうか?

 

段階にもよりますが、まずは多飲多尿のみで脱水はしていない場合の猫ちゃんです。

その場合は、腎臓の血管の萎縮を少しでも遅らせるようなお薬を使ったり、腎臓の血圧を下げるお薬を飲み薬で使用します。

これらのお薬を使うことで、慢性腎不全が治るわけではありませんが、進行を少しでも遅らせることが出来ます。

また、腎臓にとって高タンパクのご飯を与えることは負担になりますので、極端に低タンパクする必要はありませんが、高タンパクでないご飯への切り替えを推奨します。

そして、進行して脱水していたり、腎臓の数値が高い場合には皮下点滴を実施します。

皮下点滴は、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室では、ご自宅にある家具などをうまく活用することで、猫ちゃんをタオルに包んだりなどして安心させながら、リビングだったりソファーの上だったり、猫ちゃんが好きな環境を駆使して皮下点滴を実施して頂いています。皮下点滴後はすぐに好きな場所に隠れられるので、ストレスも最小限で済むため、多くの飼い主様が、動物病院への頻繁な通院ではなく往診での皮下点滴に切り替えています。

まずは皮下点滴の様子ややり方を飼い主様に見ていてもらい、飼い主様のタイミングでご家族様だけで皮下点滴を実施できるように皮下点滴指導を入れさせていただき、多くの飼い主様がご家族様だけでの皮下点滴を行えています。

 

もちろん、しっかりご家族様にご指導させて頂き、ご家族ご自身で出来るようになってからのお渡しにはなりますが、その方が猫ちゃんにとってもストレスが少なく負担が少ないと考えているためです。

その後も、定期往診に加えて体調の変化や悪化を認めた場合にはご連絡をいただき、往診させて頂くこともできます。

 

さらに、進行して悪心や嘔吐などの尿毒症の症状が出始めたら、皮下点滴だけでなく、吐き気どめやお腹を動かすお薬、二次感染を予防するための抗生物質、胃薬などを注射で足してあげて、ご飯が食べられるようになったらお薬を減らしていきます。

ご飯が食べられるようになるまでは集中的な治療が必要となってきます。

 

しかし、尿毒症の症状が出た猫ちゃんでは、慢性的な脱水状態となっていることが多いため、毎日でなくとも多くは皮下点滴を続ける必要があります。

 

ここまで、慢性腎不全の病態、症状、診断、治療についてお話ししましたが、お家の猫ちゃんはどうですか?

 

初期症状としてやはり一番お家で気をつけて見ていただきたいのがおしっこの薄さと量です。

 

もし思い当たることがあれば、お気軽に往診専門動物病院わんにゃん保健室までご相談ください。

往診専門動物病院わんにゃん保健室では慢性腎不全の治療にも、ご家族様のお考えと猫ちゃんの性格に合った治療法を個々に考えさせて頂き、ご提案させて頂きます。

 

 

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