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2022年11月アーカイブ

猫ちゃんの多くが、高齢になるにつれて腎臓の数値が悪くなりやすいです。

 

みんながみんなというわけではないですが、確率は高く、またこの腎臓病という病気は進行性であるため、早期発見早期対策が重要です。

 

今回は2回に分けて投稿している「猫ちゃんの家での緩和ケア」の後編です。

猫ちゃんの家での緩和ケア1-2はこちらから読めます^^

 

前回は猫ちゃんの腎不全について導入から腎臓病ステージ3までの話でした。

 

ここからは、いよいよ腎臓病ステージ4から後半についてです。

 

出会いがあれば別れがあります。

 

後半戦、書いていきます。

 

図1.jpg

 

腎臓病ステージ4

最も往診依頼が多い腎臓病ステージがこのステージ4です。

腎臓病ステージ3の時と比べて、全ての症状が増悪しているものを想像していただければ大丈夫です。

これらの症状が強く出ており、さらに進行していた場合には、痙攣発作を伴っていることも多々あります。

 

ここまで腎不全が進行すると、腎性高血圧腎性貧血などを起こしている場合を多く見受けます。

 

腎性高血圧がある猫ちゃんだと、ぱっと見で瞳孔(黒目)が大きくなってることが多いです

 

これは、高血圧に伴った網膜剥離が疑われます。

 

もしかすると、腎不全の薬によって高血圧が改善すれば少しだけ視力が戻ってくる可能性もある非裂孔原生網膜剥離の状態も疑われますので、早期に治療を入れてあげる必要があります。

 

腎性貧血は、腎臓から出てくるエリスロポイエチンという造血ホルモンが、分泌できる正常な腎臓細胞が減少してしまったため、単純にその数が減ってしまうことから起きる貧血と考えていただければ大丈夫です。

 

腎性貧血の場合には、わんにゃん保健室では週1回の注射でエリスロポイエチンを接種してあげることで、貧血改善を目指します。

 

22582236_m.jpg

 

痙攣発作に備える

そして、痙攣発作です。

 

腎不全からくる痙攣発作(尿毒症)を疑うとき、ほとんどの猫ちゃんで血中尿素窒素(BUN)>140mg/dlでその他の腎臓評価の指標であるクレアチニン(CRE)やリン(IP)と言われるものも高値になっています。

 

発作に対しては発作止めを注射、点鼻、坐剤の3タイプから選択してもらい、家に準備していきます。

 

発作止めの使用方法や環境整備に関し、生活環境を確認しながらご説明させていただきます。

 

発作が起きている時に立ち会うのが誰なのか。

 

家で発作に対する備えをして、家の中で猫ちゃんの発作を抑え込んであげるのか、それとも緊急で動物病院へ通院するのか。

 

お母さんかもしれないし、お父さんかもしれない、または息子さんかもしれないし娘さんかもしれないです。

 

協力できるご家族様がどなたであり、その方が望む発作止めはどのタイプなのかを考えて、準備に入ります。

 

在宅or通院.jpg

 

酸素環境の準備

腎性貧血が起こると、徐々に呼吸状態が悪くなってきます。

 

これは、血液中のヘモグロビンという成分が減少するからです。

 

これに対して先述したエリスロポイエチンの注射を実施しますが、功を奏することなく亡くなってしまう子もいれば、改善して生活の質を上げられる子もいます。

 

ただ言えるのが、注射による体への負担が、少なからずあるということ、そして即効性があるものではないとことです。

 

経験上、ヘマトクリット値(Ht,PCVなど)が20%未満になると呼吸状態が下がると考えています。

 

即効性のある対策として、酸素環境の整備が挙がります。

 

1.jpg

※実際に設置した画像です。

 

酸素環境の整備以上に、むしろこの状態の時に必要なものはないと言っても過言ではありません。

 

また、ただ酸素を準備すればいいというわけではなく、この猫ちゃんにとって最適となる環境づくりを考えなければいけません。

 

わんにゃん保健室では、酸素室の選定および作成、酸素発生装置を含めた酸素環境の運用、そして酸素環境における日常ケアのやり方の決定など、さまざまな視点から残された時間にできることをご提案させていただいています。

 

 

まとめ

今回は、猫ちゃんの腎臓病ステージ1〜4のざっくりとしたお話をさせていただきました。

 

猫ちゃんという生き物としてこの世に生を受けた以上、腎臓病を患ってしまうことは考えておかなければいけません。

 

そして、残念なことに、現代獣医療では腎不全を完全に治療することはできません。

 

腎臓病は進行性の病気であり、わかっていることは、早期発見が何より重要です。

 

早期発見で早期から対策を打ち、少しでも進行を抑え込んであげることを考えていきましょう。

 

猫の腎不全(特に慢性腎臓病)のコントロールでは、腎臓ケア系のフード切り替え、内服薬の使用、皮下点滴の大きく3つがあります。

 

動物病院での入院ができるタイプの猫ちゃんであれば、急にグッと腎臓の数値が上がってしまった場合に、入院させて点滴(静脈点滴)を行うことで一過性に悪化した数値を元の値まで改善させられるかもしれません。

 

しかし、通院も苦手であることと入院のストレスには耐えられないであろうと考えられる場合には、ご自宅での皮下点滴プランを組んであげましょう。

 

おそらく血圧も高く、心臓に負担がかかっていたり、貧血気味になっているかもしれないので、できれば1回の皮下点滴でたくさん入れるよりは、たくさん入れなければいけないのであれば、2回〜3回に時間帯を分けて投与してあげるほうが、負担の軽減につながるので、当院としては推奨しています。

 

通院しなければ何もできないと諦める前に、在宅での往診獣医療があることを知っていただき、お困りの際には往診のご連絡をください。

 

東京23区とその近隣を診療圏とし、東京、千葉、埼玉、神奈川、そして遠くても時間を調整してお伺いさせていただいております。

 

在宅医療のご相談であれば、私たち、往診専門動物病院わんにゃん保健室が、往診にてご家族様とその先にいるわんちゃん、猫ちゃんへ安心の獣医療をお届けします。

 

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ほとんどの猫ちゃんは通院が苦手なため、もし通院させるのであれば、週1、2回程度までくらいまでが限度だと思われます。

 

病気で具合が悪いので動物病院へ連れていくのに、移動の前後でどっと疲れてしまい、検査のためならまだしも、処置のためであれば、果たして本当に通院させるのが正しいのかと、考えさせられる場面に多く直面すると思います。

 

特に高齢期で、体力も弱ってきている中で、必要な時には1日2回の通院を求められることだってあります。

 

今回は、猫の腎臓病(腎不全)に対し、往診ではどんな提案をしているのか、ステージごとに記載させていただきますので、通院ではなく往診を検討されている方、今は通院させているけど、今後は往診へ切り替えたいとお考えの方は、是非読んでいただき参考にしてください^^

 

腎臓.jpg

 

※本来であれば全て腎臓病と表記するのですが、ご家族様にわかりやすい言葉で記載したいため、腎不全と表記させていただきます。

 

腎臓病ステージ1

このステージでは、ほとんどが無症状なため、健康診断の時に発覚することが多いです。

 

高齢、特に10歳を超えてきたら、健康診断は少なくとも年2回、できれば3ヶ月おきの4回を推奨しています。

 

猫ちゃんの腎不全に対する往診での治療法では、大きく食事、内服、皮下点滴の3つです。

最初は侵襲性が最も少ない食事療法と、腎不全の早期から推奨されている内服薬をご提案させていただきます。

 

なお、腎臓病ステージ1の時点で提案しているのは、食事療法と内服薬です。

 

当院では、味が苦いものや飲ませづらいものは極力使用しないよう、医薬品の選定に注力しています。

 

食事療法としては腎臓ケア系のドライとウェット、内服薬は動物薬の飲みやすいものです。

 

腎臓をケアした療法食を推奨してはいるものの、これまた好き嫌いが強い子が多く、療法食を食べてくれないということが多数見受けられます。

 

腎臓系のご飯は1種類ではなく、【猫 腎臓病 フード】など検索するだけで何十種類も出てきます。

 

診療時に複数種類の猫ちゃん用腎臓ケアフードをご紹介させていただきますが、なかなか好んでくれるご飯と出会えないことも想定できますので、気持ちとして全部に挑戦するくらいの意気込みを持って臨みましょう。

 

検診の頻度は、その猫ちゃんの状態やご家族様の希望にもよりますが、ほとんどの場合で状態は安定していることが多いため、大まかな目安として3ヶ月に1回程度です。

 

 

腎臓病ステージ2

このステージになると、なんとなく症状が見えてきます。

最近なんとなく飲水量が増えてきたような気がする、おしっこの量も増えたような気がする、といったものです。

とはいえ、日々の変化程度であることから、見逃されやすいです。

 

腎臓病ステージ2からは、内服薬をもう1種類増やすかどうかを相談していきます。

初めて腎臓病ステージ2を確認した時は一旦様子見とし、次回も腎臓病ステージ2だった場合には、ほぼ確実にもう1種類増やし、2種類の内服薬で様子を見ていきます。

 

検診の頻度は、状態次第ではありますが、大まかな目安として1〜3ヶ月に1回程度です。

 

猫ちゃんのストレス状況を評価し、往診頻度や血液検査の頻度を相談していきます。

 

腎臓病ステージ3

このステージになると、明らかな症状が見えてきます。

お水を飲む量は明らかに多くなり尿量も増える(多飲多尿)、週1回程度だった吐きが2,3回以上と嘔吐頻度が増える、脱水や胃腸の障害に伴った軟便または便秘、食欲低下、軽度な削痩などです。

 

IMG_0378.jpg

※写真は、現在当院でお伺いしているクロちゃん19歳です^^一つ前の記事で書かせていただきましたので、こちらも是非読んでみてください!

 

 

往診でお伺いする猫ちゃんのステージでは、第2位です。

 

第1位はステージ4、第3位はステージ1、第4位はステージ2です。

 

ステージ1の段階で見つかるのが第3位なのは、ご家族様の健康診断への意識が高い方が一定数いることを表していると考えています。

 

この腎臓病ステージ3では、内服薬だけで進めていくか、皮下点滴を合わせていくかを相談していきます。

 

当院では、腎臓病ステージ3からは在宅での皮下点滴を検討していくことから、ご家族様による皮下点滴を行える環境構築のため、皮下点滴トレーニングを実施していくことが多いです。

 

中には、ご家族様だけでは難しいとされた場合には、当院でスケジュールを組み、皮下点滴にお伺いすることもありますが、時間帯の確約が難しいことから、できる限りご家族様による皮下点滴をお願いしています。

 

猫ちゃんからしても、知らない人が来て抑えられて皮下点滴をされるよりも、お母さん、お父さんというプライベートな空間で実施される方が、ストレスも少なくできると考えています。

 

皮下点滴の頻度は週3〜4回程度、内服薬は2種類、食べられるのであれば療法食、の3つでコントロールしていきます。

 

検診の頻度は、状態が安定していれば1ヶ月に1回程度です。

 

なお、猫の腎臓病ステージ3でお伺いする場合には、1日目、2日目、3日目と連続で往診し、次は最終診療日から1週間後の10日目、ここで安定していれば2週間後の24日目、以後1ヶ月おきというのが多いパターンです。

 

ということで、まずは導入から腎臓病ステージ3までに対する往診での在宅中医療について書かせていただきました。続きは「猫ちゃんの家での緩和ケア2-2」で、腎臓病ステージ4を近日公開します。

 

猫ちゃんと暮らしていて、動物病院への通院で躊躇してしまっているご家族様は、まずは往診相談として当院へご連絡ください^^

 

気づいてからでは遅い猫の腎臓病、早期発見早期対策が大切です!

 

猫ちゃんの腎不全については、特集ページにて解説しております。

こちらをご一読いただければ、大まかな猫の腎不全について知っていただけると思います^^

猫腎不全バナー.jpg

 

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猫ちゃんの多くが、動物病院に通院することが苦手です。

 

通院させると異常に興奮してしまい、極度のストレスに失禁や脱糞をしてしまったり、診察室では恐怖のあまり威嚇してしまうなどの豹変ぶりを見せたり、帰宅すると隠れてしまったりと、通院するだけでぐったりしてしまうということを多く見受けます。

 

猫ちゃんが通院できないのは、決してご家族様のせいではなく、それは猫ちゃん自身が選んだことですので、あまり気負わないようにしましょう。

 

そんなこんなで年月が経ち、いつもなら数日で体調が戻っていたはずなのに、それどころか徐々に悪化してしまっているような時期が訪れます。

 

そこでご家族様には選択肢ができ、満を辞して通院させるべきなのか、このまま看取っていくべきなのか、または往診を呼ぶべきなのか。

 

今回は、東京港区のご実家で暮らす19歳6ヶ月の猫ちゃんの在宅緩和ケアのお話です。

 

今回のケースでは、ご実家にいるご高齢のお母さんと息子さん、近くにいるお孫さんと協力して在宅医療プランを組み、2022年11月9日から4日間の連続往診を終え、11月12日から内服と食餌介助のプランを開始しています。

 

今後往診による在宅医療をご検討のご家族様、その日の参考にご一読ください^^

 

1枚目.jpg

 

 

初診予約時

今回は、すでに当院で在宅医療を実施中の猫ちゃんと暮らしているお孫さんからご予約いただき、内容としては『実家にいる猫ちゃんの具合が悪いので往診をお願いしたい』とのことでした。

 

ここ最近急激に増えてきた事案として、「住んでいる場所は違うが、実家にいる犬猫の体調が悪く、また通院させることができないため、ご実家への往診してほしい」、というものです。

 

人間の方では、そういったサービスが拡大されているようですが、ペット業界ではまだまだ発展途上なため、こういったケースは以下のようなプランがおすすめかと思います。

1. 往診専門動物病院に依頼し、かかりつけ動物病院として現状を把握してもらう

2. 訪問サービスでペットの介助をしてくれる業者を選定する

3. 訪問サービス業者がどんなことをすべきかを往診専門動物病院から指示してもらう

 

今回のケースでは、お孫さんもご実家から比較的近くに住まれていたため、診察に立ち会っていただくことが可能だったので、スムーズに診療予約を確定できました。

 

もしこういったケースで遠方からのご依頼だった場合には、実際の診療に立ち会うことが物理的に難しいと思われます。

しかし、ご依頼される方と、実際にペットと生活しているご家族様の意見が異なってしまうと、お伺いしても何もできないという場合が発生してしまうことがあります。

ご依頼いただく時には、必ず意見の擦り合わせはできているのかをご確認させていただきますので、もしその時点でまだの場合には、何について決めておかなければいけないのかをご案内させていただきます。

意思決定ができる人間の数ほど意見がありますので、難しい場合には、診察に立ち会っていただくことをお勧めします。

私たちがお伺いして状況・状態を整理し、何がどこまで可能なのかを明確にした上で選択肢を挙げさせていただきます。

 

2枚目.jpg

 

初診(2022年11月9日)

子猫との時からの慢性鼻炎と便秘持ちで、現在は耳が聞こえてないとのことでした。

お会いすると、ベッドの上でぐったりとした猫ちゃんが静かに伏せして待っていてくれました。

 

普段は人見知りなのか、おそらく知らない人が来たら真っ先に隠れてしまうはずなのですが、それだけ具合が悪かったということと思います。

 

かかりつけの動物病院から処方された内服薬は、ちゃんと飲ませられていることに驚きました。

 

それであれば、もし押さえられたり針刺が苦手だった場合にも、内服薬でのコントロールを選択肢として挙げられるかもしれないと思われました。

 

お母さんのお気持ちとしては、検査はストレスが大きいので、検査なしで今の症状を楽にすることを望まれましたが、この背景には、まだ若くて元気だった頃に検査ですごく抵抗していて可哀想だった記憶がありました。

 

お孫さんとも相談し、長年検査をしていなかったことと、やはり今の状況を把握する方が対策を打てる可能性が高いことから、やはり検査をすることで話を進めさせていただきました。

 

もし猫ちゃんが嫌がって取り乱すことがあれば、その場で検査をすることを中止することとし、お母さんにどうにか承諾を得て、血液検査、超音波検査を実施しました。

 

想定していた通り、既に血圧も低くなっていたこともあり、ほぼ嫌がらずに検査を受けてくれました。

 

お母さんも、その姿に安心してくれました。

 

最後に皮下点滴を行い、この日は終了です。

 

初診日、翌日、翌々日と診察を行い、4日目に状況を整理してプランニングをしていくこととなりました。

 

 

再診(2022年11月10日)

昨日よりは状態も上がり、朝は猫ちゃん自らご飯を少しだけ食べてくれたとのことでした。

 

この時点で確認できた血液検査結果より、慢性腎臓病のステージ4急性〜慢性膵炎の2つを検出しました。

 

本来であれば、毎日皮下点滴を実施してもらいたいため、皮下点滴トレーニングをご家族様にしっかりと入れ、家の中でご家族様だけで実施できる環境づくりを行う状況です。

 

しかし、ご家族様の希望もあり、連続往診による皮下点滴処置後は、内服で余生を過ごさせてあげることとなりました。

 

わんにゃん保健室の在宅医療プランは、決して攻めた医療内容ではなく、愛犬、愛猫の余生を少しでも楽に過ごさせてあげるためのプランです。

ご家族様の望む最後の時間の過ごさせ方を、医療の面から、家の中でサポートさせていただきます。

 

少し元気が出てくると、この猫ちゃんらしさが徐々に出てきて、処置中にもイヤイヤモード全開でした。

 

 

連続往診4日目(2022年11月12日)

ご家族様がシリンジを用いた食事介助や投薬ができるという環境でしたので、連続往診を終え状況が把握できた後は、内服と食餌介助でのコントロールとしました。

 

ただ、状態がグッと上がってきたわけではなく、初診時よりは少し上がったものの、まだまだ予断を許さない状況であることをお伝えし、また内服薬がなくなる1ヶ月後くらいを目処にご予約をいただくこととしました。

 

内服薬は全部で6種類です。

 

頑張っていきましょう!

3枚目.jpg

 

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実家の猫ちゃんは腎臓病(東京北区/猫往診)

もともとは一緒にご実家で住んでいましたが、ライフステージの変化に伴い、実家を離れるといいうこと多くあるケースです。

 

今回の猫ちゃんは、娘さんがアメリカに引っ越され、ご実家には高齢のご両親と猫ちゃんがいるという環境で、実家にいる猫ちゃんの健康状態管理をご依頼されたケースのご紹介です。

 

猫ちゃんは現在16歳10ヶ月で、高齢のお母さん、お父さんと日々のんびりと過ごせています。

 

腎臓病ステージ3で、1日2回のシロップ投薬を頑張っています。

 

往診での血液検査と超音波検査は1ヶ月に1回程度、2週間おきに内服薬シロップの交換補充です。

 

それでは症例紹介に入ります。

 

逆光モコちゃん.png

 

予約から初診までの流れ

基本はアメリカに住まれている娘さんからご依頼を受け、通院が猫ちゃんにとって負担であることと、今後通院させる側の人間(ご両親)にとっても通院は厳しいという理由から、往診での管理をお願いされました。

 

おそらく今後はお母さんが基本的に診察に立ち会うこともあり、診療報告や治療プラン、医薬品の説明なども全てメールにて共有させていただくこととしました。

 

また、メールに決済フォームをお送りし、そこから決済可能ですので、遠方の地にいらしたとしても、ご実家にいる猫ちゃんの診療時における状況報告を共有できるようにしました。

 

そして、まだ最後の方針という段階では全くないですが、以前一緒に住んでいた猫ちゃんの経験から、外科や抗がん剤などの攻めた医療は望まなず、穏やかに家の中で過ごさせてあげたいという方針を受けました。

 

 

初診時の診療内容

初診時には、今の状態を把握するために検査を行います。

 

検査方法として用いる基本的な手技は、血液検査と超音波検査です。

 

爪切りは毎回実施することとし、初診は終了です。

 

往診では、X線検査を実施することが難しいため、X線検査は実施しませんが、もし通院可能な場合には、X線検査もお勧めします。

備えあれば憂いなし。定期健診は大切です^^

 

 

再診(検査結果説明と方針決定)

血液検査結果の説明と今後の方針を決めていきます。

 

腎臓が少し悪くなっていることが見つかり、内服薬の開始相談です。

 

シロップ剤.jpg

 

1回に投与する薬の量は、全部1錠という簡単なものではなく、体重あたりで計算するため、物によっては分割使用する必要があります。

 

今回処方する薬は動物薬で揃えられたため、1錠そのままのものと、1/2錠に分割して使用してもらうものでしたので、分割する上では比較的簡単なものでしたが、お母さんからすれば難しい課題となる可能性もありました。

 

そのため、お姉さんが日本にいる間に、次に帰国するまでの量を分割しておくか、処方時に私たちの方で分割するか、またはお母さんに頑張ってもらうかの選択肢がありましたが、お母さんに頑張っていただけることとなりました。

 

分割し1回量を準備していただき、乳鉢で粉砕し、それをウェットフードにかけて与えてもらうこととしました。

 

 

投薬プランの変化

腎臓病は進行性の病気であり、早期発見・早期対策が重要です。

 

早期に対策をすることで、腎臓病の進行を抑えてあげられることが期待されます。

 

この猫ちゃんの場合には、腎臓病ステージ2で発見できましたので、比較的早くから内服などの対策を立てることができました。

 

慢性腎不全に罹患した猫の余命は約771日とされています。

なお、IRISステージ分類という専門的な分類方法があるのですが、それによると軽度の臨床症状がみられるステージ2bで約3年(中央値1151日)、重度の臨床症状がみられるステージ3で約2年(中央値778日)、集中治療が求められるステージ4では約3ヶ月(中央値103日)であったと報告されているようです。

とはいうものの、データ上の話であり、このデータが必ずしも愛猫に当てはまる訳ではないので、一つの目安として知っておく程度で十分であると考えています。

 

・・・しかし、ここで問題が2つ起こりました。

 

1. 医薬品のフレーバー問題

医薬品の多くは苦く、あまりにも飲ませづらいものには糖衣と言って、砂糖のようなものでコーティングが使用されています。

 

これらを分割して飲ませるのですら至難の技なのに、粉にしてしまうと、その苦さはご飯全体に広がってしまいます。

 

今回は動物薬ということである程度、犬猫への投薬特有の問題をカバーできるような作りではあったのですが、逆に動物役特有の問題であるフレーバーで、こちらの猫ちゃんはダメだったようです。

 

同じ医薬品でも製剤が変わればその味や形などは変わるため、飲めなかった猫ちゃんが飲めるようになったということも起こり得ます。

 

しかし、ここで重要なのは動物薬の多くは若干フレーバーがあるということです。

 

今回は、腎臓病で使用する医薬品を人薬のOD錠(口腔内徐放剤)にすることで、味の問題を解決することができました。

 

 

2. 分割して粉砕することが難しい

分割まではまだしも、粉砕するときは上から押し砕く必要があるため、上から下に向かった力を込めなければいけません。

 

何気ない日常での投薬指導では、きっとこの問題に気づけなかったと思います。

 

ご高齢のお母さんが猫ちゃんの看病を家の中で実施していくということを常に考えた上で、投薬プランを再度検討させていただきました。

 

そして、ここでご提案させていただいたのはシロップにして飲ませる方法です。

 

ただ、通常ですと、投薬したい医薬品達を必要量粉砕し投薬便に移し、1回量を0.3mlに作成できるよう指示書を書いてお渡しします。

 

なお、投薬便には5ml〜100mlのサイズがあるので、適宜使い分けます。

 

しかし、スポイトとして使用するシリンジ(針がついていない注射器)ですが、これまた一定のところまで吸い上げるのが細かい作業となってしまうため、小さい数字が難なく見える世代でないと難しいです。

 

今回は、1回に使用するシロップを吸った状態で、朝用シロップ、夜用シロップ、というように1回1回シリンジを使い捨てできるような投薬タイプで処方させていただきました。

 

この方法であれば、ご高齢のお母さんでも問題なく実施することができ、現在も同じ方法で投薬していただいています。

 

このように、ご自宅に上がることで見えなかった問題点が見える化でき、より継続しやすい方法をご提案することができます。これは往診専門動物病院の強みですね!

 

モコちゃん(窓際全身).jpg

 

まとめ

診療の形式により、通院ができるわんちゃん、猫ちゃんに対しては動物病院への通院が推奨されますが、通院を苦手とする場合には、往診という選択肢があります。

 

往診では、ご家族様が実際に生活している環境を生の目で見ることができるため、診察室での診療方針決定や指導よりも、よりこの猫ちゃんに特化した診療プランを組むことができます。

 

診療プランには、もちろんわんちゃん、猫ちゃんの病気に対する検査や処方などが含まれていますが、往診ではご家族様の行動プランも一緒に含めて考えていきます。

 

「1日2回の投薬が難しいのであれば、1日1回の投薬で済む処方内容を組んでいく。」

 

「錠剤は飲まめないのであれば、粉にしてウェットフードと混ぜましょう。」

「ウェットが好きじゃなくドライフード派であれば、シロップにしてドライフードにかけましょう。その時、ドライの食感を無くさないために、できるだけ少ない量のシロップに全部溶かせるように、計算させていただきます。」

 

「どんな形状でも内服が難しいのであれば、注射薬での投薬プランを組みましょう。複数種類あるのであれば皮下点滴として、打てるようになるまで一緒にトレーニングしていきましょう!」

 

「ご家族様での注射が難しいようであれば、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室で注射プランを組んでお伺いさせていただきますね!」

 

他にも呼吸状態が苦しくなった場合の酸素環境の構築や、介護が必要になった場合のマインドセットや実技的な内容を含めた指導など、その子その子にオリジナル性ある診療プランを作成していきます。

 

わんちゃん、猫ちゃんの通院でお困りの方は、都内であれば当院までご連絡ださい。また、都外であっても近隣地区であればご相談の上、お伺いさせていただけますので、諦めずにまずはご連絡ください^^

 

公式インスタグラム

当院では、インスタグラムにて診療の雰囲気がわかるものや、院長江本の犬猫の在宅緩和ケア専門としての目線からのメッセージなどをお送りしています。

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