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2025年3月アーカイブ

大型犬に多く見られる腹腔内腫瘍。診断された時にはすでに高齢で、手術や抗がん剤などの積極的な治療が選択肢に入らないケースも少なくありません。

そんなとき、ご家族ができることは何か——それが「在宅での緩和ケア」という選択肢です。

今回は、東京都渋谷区に暮らす大型犬が、突然の起立不能をきっかけに腹腔内腫瘍が見つかり、ご家族とともに過ごした穏やかな在宅緩和ケアの実例をご紹介します。

犬のがん、特に腹腔内腫瘍と向き合うなかで「何ができるのか」「どう見送るのか」を考えるきっかけになれば幸いです。

目次

 

大型犬の腹腔内腫瘍とは

今回ご紹介するのは、東京都渋谷区にお住まいのご家族と暮らす、12歳・去勢済のゴールデンレトリバー(38kg)、タロくんです。

2025年1月9日の散歩中、突然ふらつく様子が見られたことから緊急で帰宅。その日は特に大きな異常はなかったものの、翌朝には起立不能となり、ご家族だけでは病院への移動が困難だったため、当院へ往診のご相談をいただきました。

超音波検査の結果、タロくんの腹腔内には約8cmの腫瘤を認めました。現時点での画像所見だけでは腫瘍の確定診断はできませんが、年齢や症状から悪性腫瘍の可能性が高いと判断しました。

腫瘍の摘出や抗がん剤といった積極的な治療についてもご提案はしましたが、ご家族としては「手術や入院ではなく、できるだけ穏やかに家で過ごさせてあげたい」との強いご希望がありました。

このように、大型犬の腹腔内腫瘍に対しては、年齢・体力・性格・生活環境などを総合的に考慮した上で、在宅緩和ケアという選択肢をとるケースが増えています。

次は、急な体調変化により通院が難しくなったタロくんに、どのように往診で対応していったのかをご紹介します。

 

 

通院が困難な大型犬への往診の選択

大型犬であるゴールデンレトリバーのタロくんは、体調が急変し、翌朝には完全に起立不能な状態となりました。高齢かつ体重のある犬にとって、移動のための介助はご家族だけでは非常に困難であり、移動中の負担も大きなリスクになります。

特に、腫瘍によって出血や貧血が起こっている可能性がある状態では、ちょっとした移動の衝撃が容体をさらに悪化させることがあります。結果として腫瘍が見つかったのですが、この時点ではまだ何も発覚していなかった中での急な症状だったため頑張って通院させようと試みましたが難しく、自宅での診療を希望されました。

当院では、必要な医療機器を持参し、往診で腹部超音波検査・血液検査などの初期評価を実施しました。その結果、腫瘤の存在とともに、炎症マーカーの上昇、肝酵素・膵酵素の上昇、そして軽度の貧血を認め、腫瘍からの慢性的な出血や局所炎症が疑われました。

このように、大型犬で体調急変があった場合には、速やかに往診による評価と対応を行うことが、安全で現実的な選択肢となります。

次は、タロくんに対してどのように在宅緩和ケアを開始していったのか、その具体的な初期対応についてご紹介します。

 

 

在宅緩和ケアの初期対応

往診初日に、タロくんの身体検査と血液検査、腹部超音波検査を実施し、腹腔内に8cm大の腫瘤を確認しました。画像と血液検査から判断しても、悪性腫瘍の可能性が高く、また抗がん剤治療や外科手術は希望されないとのことでした。

そのため、タロくんには「在宅緩和ケア」によるサポートを選択しました。これは、残された時間を穏やかに過ごしてもらうことを目的としたケアであり、ご家族にとっても精神的・肉体的な負担を軽減できる方法です。

初診当日は、以下の対応を行いました。

  • 皮下点滴による輸液と薬剤投与(鎮痛剤、制吐剤、抗炎症薬)
  • 酸素飽和度などのバイタルチェックと全身状態の評価
  • 環境評価(タロくんが快適に過ごせる場所の整備)
  • ご家族への今後の流れの説明と不安のヒアリング

皮下点滴には、炎症や痛みに対する鎮痛薬、制吐薬、食欲刺激などを含め、その時点で可能な限りのケアを提供しました。

翌日の再診では、検査結果に基づいた今後の見通しと、どのように医薬品を用いながらケアを継続していくのかについて、丁寧に説明を行いました。

次は、定期的なモニタリングとケアの調整についてご紹介します。

 

定期モニタリングとケア内容の調整

タロくんの在宅緩和ケアでは、1週間ごとの往診を基本とし、状態の変化に応じて柔軟に対応していきました。大切なのは、“今の状態に合ったケア”を提供し続けることです。

定期往診で行った内容
  • 身体検査(体重、粘膜色、脱水、呼吸状態など)
  • 血液検査による肝酵素、炎症マーカー、貧血の進行評価
  • 腹部超音波検査による腫瘍サイズと周囲臓器への影響確認
  • ご自宅での皮下点滴内容の見直しと調整

モニタリングの目的は、腫瘍の進行具合だけでなく、症状(痛み、食欲、活動性)の緩和度を客観的に把握することにあります。

皮下点滴内容の調整

最初は皮下点滴を獣医師が対応していましたが、ご家族ができるようにトレーニングを行い、在宅での自立したケアが可能になるよう指導しました。

  • 利便性を考えた1回あたりの点滴量の調整(例:30〜40ml/kg)
  • 薬剤構成(鎮痛薬・抗炎症薬・制吐薬など)を状態に応じて変更
  • ご家族が管理しやすいよう、薬剤の希釈方法や保存方法の共有
症状に応じた細やかな対応

在宅緩和ケアでは、痛みの兆候、呼吸の変化、排泄状態など、細かな体調変化を敏感にキャッチし、対応策を即座に講じることが求められます。往診時だけでなく、LINEなどを用いた連絡体制で、必要に応じて助言や訪問を行いました。

次は、状態が大きく変化した際の対応と、ご家族へのサポート体制についてご紹介します。

 

 

お別れが近づいたときの準備と支え

病状が進行し、タロくんの体力が目に見えて落ちてきた頃、ご家族には「お別れが近いかもしれない」という現実をお伝えする必要がありました。これは決して冷たく突き放すものではなく、“最期まで一緒に過ごすための心と環境の準備”をする大切な時間です。

痙攣発作に備えた準備
  • 腫瘍からの炎症や毒素が神経に影響し、痙攣を引き起こす可能性を説明
  • 発作時の動画や資料を共有し、実際にどう対応するかを事前に練習
  • 発作止めの注射薬を準備し、使用手順をしっかり指導

予期せぬ急変に備えることは、ご家族の混乱を最小限にし、タロくんの苦痛を和らげる大きな支えとなります。

精神的な支えとしてのマインドセット

この時期は、ご家族の心の揺れもとても大きくなります。「これでよかったのか」「もう限界かもしれない」という葛藤が渦巻く中、私たちは“事実と感情を切り分ける”ことを意識的にお伝えします。

  • 「苦しいのは誰か」を常に考える
  • 客観的な指標(呼吸数、食欲、体温など)で状況を判断する
  • 冷静な判断が“穏やかだった”という記憶につながる
家族で過ごす最後の時間の整え方

最期の時間を家族でどう過ごすか。その準備を一緒に進めていきました。

  • リビングのソファーの下に寝床を設置し、家族全員の目が届く場所に
  • タロくんの大好きだったおもちゃや毛布をそばに置く
  • できるだけ一緒の時間を増やすために、仕事のスケジュールを調整

そして2025年3月18日、タロくんは玄関先から見える桜の木に花が咲き始めた頃、家族に見守られながら、自宅で穏やかに旅立ちました。

 

 

在宅緩和ケアがもたらした意義と学び

大型犬であるタロくんが腹腔内腫瘍を抱えながらも、自宅で穏やかに過ごし、家族に見守られて旅立つことができた背景には、在宅緩和ケアという選択の中で、日を追うごとに強まったご家族の覚悟があったからだと思っています。別れを受け入れることは決して単純なことでなければ簡単なことでもないです。

大型犬特有の在宅管理の難しさと工夫

  • 移動が困難なため、通院による負担が非常に大きい
  • 身体が大きいため、寝床の調整や介助が必要になる
  • 酸素管理や点滴量の設定も、小型犬・猫とは違う基準が求められる

これらの課題に対し、私たちは個別にプランを設計し、無理のない範囲での皮下点滴、酸素環境の構築、家族全員が協力できる診療体制を整えました。

ご家族の心の成長と準備の重要性

診断直後は混乱していたご家族も、診療を重ねていくうちに表情が変わっていきました。必要な情報を伝え、段階的に心構えをしていくことで、タロくんの最期に「やれることはやれた」と感じられたそうです。

  • 急変時に慌てないよう、シミュレーションを行った
  • 苦しみを和らげる投薬のタイミングを練習
  • お別れの時間を意識的に作るように指導
在宅緩和ケアは「医療」だけではない

点滴や投薬といった医療行為だけでなく、「最期をどこで迎えたいか」「誰と過ごしたいか」といった“生き方”に寄り添うケアこそが在宅緩和ケアの本質です。

タロくんが見せてくれた穏やかな最期と、ご家族が示してくれた愛情と覚悟は、これから同じような病と向き合う子たちへの大きなヒントになると確信しています。

 

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犬の腎臓腫瘍の在宅緩和ケア(2025年3月)

犬の腎臓腫瘍は、比較的まれではありますが進行が早く、発見時にはすでに他の臓器へ転移していることも多い疾患です。外科的な摘出や抗がん剤治療といった選択肢がある一方で、高齢や他の持病、性格的な問題、通院によるストレスを理由に、在宅での緩和ケアを選ばれるご家族も増えてきました。

このブログでは、犬の腎臓腫瘍において在宅医療という選択がどういったものか、どのようなケアが可能なのかをご紹介していきます。在宅でもしっかりとしたサポートが可能であることを、少しでも多くのご家族に知っていただけたら嬉しいです。

目次

 

犬の腎臓腫瘍とは?〜発見されにくい沈黙の病〜

犬の腎臓腫瘍は発生頻度としては決して高くはありませんが、発見が遅れることが多く、発見されたときにはすでに進行しているケースも少なくありません。腎臓は沈黙の臓器とも言われ、腫瘍がかなり大きくなるまで明確な症状が出にくいのが特徴です。

腎臓に発生する腫瘍の種類

- 腎細胞癌:最も代表的な原発性腎腫瘍

- 腎リンパ腫:リンパ腫が腎臓に転移または原発する形

- 移行上皮癌:腎盂や尿管に関係する腫瘍

特に腎細胞癌は片側の腎臓に発生することが多く、外科手術によって摘出可能であることもありますが、発見されたときには肺や肝臓などへの転移が確認されていることもあります。

進行しても症状が出にくい理由

腎臓は二つある臓器であり、一方が障害されてももう一方が機能を補うことで、体の代謝が維持される場合が多いため、片側の腫瘍だけでは目立った症状が出ないまま進行してしまうことがあります。

在宅ケアを検討するケースとは

- 高齢で全身麻酔のリスクが高い

- すでに転移が認められており、根治が望めない

- 性格的に通院や入院が著しいストレスになる

こうした理由から、腎臓腫瘍の犬においては、在宅でできるだけ穏やかに過ごさせてあげたいと考え、緩和ケアを選択されるご家族も増えてきています。

 

診断のきっかけと代表的な症状

犬の腎臓腫瘍は進行するまで明確な症状が出ないことも多いですが、ある程度腫瘍が拡大したり、腎機能が落ちたり、または他の臓器に転移したことによる症状から発見されることがあります。

腎臓腫瘍でよく見られる症状

- 食欲不振や体重減少

- 元気の低下や動きの鈍さ

- 持続的な嘔吐

- 血尿や頻尿などの泌尿器症状

- 腹部の膨満感やしこりを触れる

検査で発見されるケースも

症状があまり出ていない場合でも、定期的な健康診断での血液検査や腹部超音波検査で偶発的に腫瘍が見つかることもあります。特に高齢犬では、腎機能マーカー(BUN、クレアチニンなど)の上昇が見られた際に画像検査を併用することで、腫瘍性病変が判明する場合もあります。

当院の往診(在宅緩和ケア)では、検査の時に検査項目を絞らずに決まった項目は必ず検査することをスクリーニング検査として実施しています。費用面では項目を絞った方がいいとされる考え方もありますが、結果として見落としがあった場合に、あの時検査していればと後悔しないためです。追加検査で再度採血などのストレスをかけるくらいであれば、1度の検査で、かつストレスが限定されている範囲で、得られる所見は集めることを推奨しています。

診断後の選択肢

- 外科手術による腎摘出(片側のみの場合)

- 抗がん剤治療(腫瘍の種類によっては適応あり)

- 積極的治療が難しい場合は在宅での緩和ケアの選択

ご家族の意向や年齢、性格、基礎疾患の有無を踏まえたうえで、治療方針を決めていく必要があります。

 

在宅ケアで注意したいこと

犬の腎臓腫瘍に対する在宅緩和ケアを行う際には、いくつかの重要なポイントに注意を払う必要があります。これらを適切に管理することで、愛犬が少しでも快適に過ごせるようサポートできます。

定期的な健康状態のモニタリング

- 毎日の食欲、飲水量、排尿・排便の状態を観察し、変化があれば記録する。

- 体重測定を定期的に行い、体重減少がないか確認する。

- 呼吸状態や粘膜の色(歯茎など)をチェックし、異常がないか観察する。

異常時の対応策の準備

- 急な体調不良や症状の悪化に備え、かかりつけの獣医師と連絡を取れる体制を整える。

- 緊急時に使用できる薬剤や処置方法について、事前に指導を受けておく。

- 夜間や休日でも対応可能な動物病院の連絡先を把握しておく。

犬猫も人と同じく、終末期に向かって歩んでいく道のりは、決して平坦ではないです。そのため、急変はつきものであり、その時にどうするのかという具体的なアクションプランを、ご家族で決めておきましょう。

ご家族の精神的・身体的負担の軽減

- 在宅ケアは決して楽ではなく、ご家族にも負担が大きいため、無理のない範囲で行うことが重要。

- 必要に応じて、訪問看護サービスやペットシッターなどの外部サポートを検討する。

- ご家族自身の休息やリフレッシュの時間を確保し、心身の健康を維持する。

在宅緩和ケアを行う際には、これらのポイントを踏まえ、愛犬とご家族双方のQOLを維持することが大切です。

 

在宅緩和ケアを選択するタイミング

腎臓腫瘍の犬において、在宅での緩和ケアを選ぶべきタイミングにはいくつかの目安があります。体調の変化や治療の限界を迎えたとき、ご家族と愛犬が一緒にいられる時間を大切にするための選択肢となります。

治療の限界が見えたとき

- 外科手術や化学療法などの根治治療が難しいと判断されたとき。

- 腫瘍の進行により、症状が再発・悪化し続けているとき。

- これ以上の積極的治療が犬にとって苦痛を伴うと判断されたとき。

通院や入院が犬にとって大きな負担になるとき

- 移動に伴うストレスや興奮で体調が悪化するリスクがある場合。

- 入院が長期化し、愛犬が精神的に不安定になっているとき。

- 通院後にぐったりする、食欲が落ちるなどの反応が見られる場合。

ご家族が「自宅で過ごさせたい」と感じたとき

- 最期は病院よりも住み慣れた自宅で迎えさせてあげたいと考えたとき。

- ご家族が在宅でのケアを希望し、覚悟を持って支えていく意志を持ったとき。

- 愛犬が家族のそばで安心して過ごす姿が望ましいと感じたとき。

在宅緩和ケアへの切り替えは、診断名や病期だけで判断するものではありません。犬の状態、ご家族の想いと覚悟、生活スタイルなど、すべてを総合的に考慮した上で決定することが大切です。

ここまでで、愛犬が腎臓腫瘍を抱えたことを知った後のことを書かせていただきました。

最後に、わんにゃん保健室が提供する在宅ケアのサポート体制についてご紹介します。

 

わんにゃん保健室の在宅ケアサポート体制

わんにゃん保健室では、腎臓腫瘍を含む終末期の疾患に対して、ご家族とペットが安心して在宅で過ごせるよう、きめ細やかなサポート体制を整えています。

初診時の丁寧なカウンセリング

- 初診では獣医師が訪問し、最大2時間かけて病歴やご家族の希望を丁寧にヒアリング。

- 動物看護師の同行は、必要に応じて検査や処置の際に対応。

- 在宅で可能な処置の範囲や、今後の経過予測についても具体的に説明。

緩和ケアプランの個別設計

- 診察や検査結果に基づき、症状のコントロールを目的とした投薬プランを作成。

- 皮下点滴や注射薬など、ご家族でも管理可能な方法をご提案。

- 酸素環境の構築や床の工夫など、生活環境の最適化も併せてアドバイス。

ご家族への細やかなフォローアップ

- 緊急時に備えた対応や頓服薬を準備。

- 状態が変化しやすい子には、必要に応じて週1回以上の定期訪問。

在宅ケアにおいて、最も大切なのは「この子の最期は、どこでどんな風に過ごさせてあげたいのか」という視点です。

病気と闘うのではなく、病気を受け入れ、共に穏やかな時間を生きていく。

わんにゃん保健室は、ご家族と愛犬、愛猫の最後の時間に寄り添った在宅緩和ケアを最後まで提供します。

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わんにゃん保健室での一日の診療の流れ

東京台東区を中心に、往診専門で犬・猫の診療/緩和ケアを行っておりますわんにゃん保健室です。
当ブログでは、当院が提供する獣医療について、より詳しくご紹介してまいります。

本日は、当院での業務の一日の流れについてご紹介します。
普段往診で診察を受けている方は、どういった流れでわんにゃん保健室が訪問するのかを参考にしてみてください。

わんにゃん保健室が行っている業務について

獣医師の主な業務は、

  • 往診での診察:実際にご自宅にお伺いし、診察いたします
  • 症例の報告:受け持った症例をチームに共有します
  • 電話対応:飼い主様からの相談にお電話で対応

となります。

獣医師は「診療」のみを行っていると思われがちですが、

わんにゃん保健室では「獣医師」と「愛玩動物看護師」がチームとなり
飼い主様、ペットをサポートします。

そのため、どういった病状なのか? どういった症例なのか?
といった内容を、院内で共有、チームがより適切な対応をできるよう努めております。

また、一度診察した飼い主様から入電があることも。
急遽病状が変化したり、困ったことがあった際などにお電話をいただくことがあります。

ペットの往診で出ている時間帯や、別のペットの診療中は通話に出ることが難しいこともあります。
そのため、時間を作って折り返しのお電話となることも。
留守電にメッセージを残していただけると、折り返しの際もスムーズに対応できますので、ご協力をお願いいたします。

わんにゃん保健室の一日の様子

1、往診の予約が入ったら、まずはカルテのチェックを行います。

同時にメール等のチェックも行い、飼い主様からの連絡がないかを確認します。

2、お客様のご自宅にお伺いし、診察します。

診察に必要な器具はわんにゃん保健室から持参します。
往診は車での移動がほとんどのため、車の中に必要な機器を揃えたら、そのまま飼い主様のご自宅に運び込みます。

3、カルテの内容や、飼い主様へのヒヤリングをもとに、診察を進めていきます。
4、予約がなければ待機・もしくは事務所へ戻り、次の予約が入っていれば直行します。

次の予約までの時間が長くある場合は、ここで休憩をとります。

5、全ての往診が完了しましたら事務所へ戻り、検査や翌日の往診の準備を行います。

往診は事前準備が肝となります。
必要な器具を揃える・どういった診察が予想されるかを考える、といった面でも飼い主様、
ペットが安心して受けられる獣医療を提供したいと考えています。

お問い合わせを頂く際も、なるべく詳細にご要望や現状の記載をいただきますと、
ご予約についてもスムーズにご案内が可能です。
病状やご状況によって必要な診療時間が異なります。
お問い合わせ時にその状況が確認できますと、より確実な予約枠の確保が可能です。

安心して診察を受けていただくために

わんにゃん保健室では様々な状況に対応できるよう、診療器具を揃えています。 ご予約優先とはなりますが、急ぎでの対応も可能な場合がありますので、 ペットの様子がおかしい・普段と違う・病状が急に悪化した等の場合は 迷わずお電話でお問い合わせください。

普段は動物病院に通っている子も、休診日等で診療が受けられないなどの理由で往診を利用する場合もあります。
わんにゃん保健室はいつでも皆様に寄り添う動物病院として、これからも心を込めた診察を心がけてまいります。

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猫の腎不全、皮下点滴はいつまで続けるの?

導入

猫の慢性腎不全(CKD)は高齢猫に多く見られる病気であり、進行性の疾患です。そのため、病状の管理には皮下点滴(皮下補液)が重要な役割を果たします。

腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物を排出する力が衰え、水分のバランスが崩れて脱水状態になりやすくなります。これを補うために、腎不全の猫には皮下点滴を行い、必要な水分や薬剤を補給していきます。

しかし、皮下点滴はずっと続けるべきなのでしょうか?また、どのタイミングでやめるべきなのでしょうか?

この記事では、猫の腎不全における皮下点滴の役割、適切な使用方法、やめるタイミング、注意すべきポイントについて詳しく解説します。

 

目次

次は、猫の腎不全と皮下点滴の基本について詳しく解説していきます。

 

猫の腎不全と皮下点滴の基本

猫の慢性腎不全(CKD)は進行性の病気であり、症状の管理が重要です。特に、脱水の予防や体内の老廃物の排出を助けるために、皮下点滴(皮下補液)が広く用いられています。

 

皮下点滴の目的
  • 体内の水分バランスを維持し、脱水を防ぐ
  • 腎臓の負担を軽減し、老廃物の排出を促進
  • 電解質のバランスを整え、全身状態の改善を目指す
  • 必要な薬剤を混ぜ、腎不全の進行を抑える
皮下点滴の一般的な投与量と頻度
  • 通常の目安は30ml/kg(例:4kgの猫なら120ml)
  • 腎不全の進行度に応じて、10〜20ml/kgに減量することも
  • 最初は週3回程度、進行に応じて1日おき、毎日へと増加

皮下点滴は、初期段階では脱水を防ぐために実施されますが、進行に伴い薬剤投与の手段としても重要になっていきます。次は、腎不全の進行と皮下点滴の変化について詳しく解説します。

 

 

腎不全の進行と皮下点滴の変化

腎不全の進行に伴い、皮下点滴の目的や投与量、頻度が変わります。適切なタイミングで調整することが、猫の快適な生活につながります。

 

慢性腎臓病ステージごとの皮下点滴の役割
  • ステージ2〜3:脱水予防が中心。必要に応じて週3〜4回の皮下点滴を実施。
  • ステージ4(末期腎不全):体液管理と投薬のために、1日おきまたは毎日実施。
  • 終末期(ターミナル期):水分補給ではなく、投薬を目的とした皮下点滴に移行。
皮下点滴の調整ポイント
  • 貧血や循環不全がある場合は、輸液量を減らす(10〜20ml/kgに調整)。
  • 浮腫や呼吸状態の悪化が見られた場合、皮下点滴の頻度や1回量をすぐに見直す。
  • 利尿剤や補助療法と併用しながら、全体のバランスを考える。

腎不全の進行に伴い、皮下点滴の役割は変化します。特に終末期では、単なる水分補給ではなく、投薬手段としての役割が主になります。次は、皮下点滴をやめるべきタイミングについて詳しく解説します。

 

 

皮下点滴をやめるべきタイミングとは?

腎不全の猫にとって、皮下点滴は重要な治療の一環ですが、病状が進行すると「いつまで続けるべきか?」という問題に直面します。適切な判断をするためのポイントを見ていきましょう。

 

皮下点滴を中止する判断基準
  • 循環不全が進行し、浮腫や胸水が認められる:体内の水分バランスが崩れ、呼吸困難を引き起こす可能性がある。
  • 尿量が極端に減少腎機能がほぼ停止し、水分の排出が困難になった場合。
  • 全身状態の悪化:活動量の低下、意識レベルの変化が見られ、輸液による改善が見込めなくなった場合。
終末期の皮下点滴の役割
  • 水分補給ではなく投薬手段として継続鎮痛薬や抗吐剤などを注射薬として投与することを目的とする。
  • ご家族の負担を考慮:皮下点滴が猫にとって大きなストレスとなる場合は無理に続けない。
  • 最期の時間を穏やかに過ごせるかを優先:皮下点滴の継続が苦痛になっていないかを見極める。

皮下点滴の中止を判断する際は、猫の状態を観察しながら、ご家族と獣医師が相談して決定することが大切です。

次は、皮下点滴をやめる際の注意点について詳しく解説します。

 

 

皮下点滴をやめる際の注意点

皮下点滴をやめる際には、猫の状態や症状を慎重に評価しながら判断することが重要です。以下のポイントに注意しながら、適切な対応を考えていきましょう。

 

急に中止せず、徐々に調整する
  • 輸液量を徐々に減らす:いきなりゼロにするのではなく、体調を見ながら1回量や頻度を減らしていく。
  • 尿量や水分摂取量の変化を確認:皮下点滴を減らすことで脱水や尿量の変化がないか注意深く観察する。
  • 呼吸状態や浮腫の有無をチェック:輸液量が多かった場合は、むしろ呼吸の改善が見られることもある。
猫のストレスを最小限に抑える
  • 皮下点滴自体が負担になっていないか:痛みやストレスが強い場合は無理に続けない。
  • ご家族の精神的負担も考慮:皮下点滴をやめることへの罪悪感を感じることが多いが、猫にとって最適な選択を優先する。
  • 獣医師と相談しながら進める:独断でやめるのではなく、適切なタイミングを専門家と話し合う。

皮下点滴を中止するかどうかは、その子の状態に応じた判断が求められます。獣医師と連携しながら、無理のないケアを続けていくことが大切です。次は、皮下点滴をやめた後のケアについて詳しく説明します。

 

皮下点滴をやめた後のケア

皮下点滴をやめた後も、猫の体調管理は引き続き重要です。水分補給の方法や症状の変化に注意しながら、適切なケアを続けていきましょう。

 

水分補給の工夫
  • 飲水量の確認:水を飲む量が減っていないかを毎日チェックする。
  • ウェットフードを活用:ドライフードよりも水分を多く含むため、食事からの水分摂取を増やせる。
  • 給水器の見直し:流れる水を好む猫も多いため、自動給水器を活用すると飲水量が増えることがある。
体調の変化を観察
  • 脱水のサインを見逃さない:皮膚の張りや歯茎の状態をチェックし、脱水の兆候がないか確認する。
  • 食欲の変化:皮下点滴をやめたことで体調が変化し、食欲が落ちていないか確認する。
  • 排尿の頻度と量:尿量が極端に減っていないかを注意深く観察する。
獣医師との継続的な連携
  • 定期的な診察を受ける:皮下点滴をやめた後も、血液検査や健康チェックを継続する。
  • 異変があればすぐに相談:呼吸が荒い、ぐったりしている、食べられないなどの変化があれば早めに獣医師に相談する。
  • ケアプランの見直し:猫の状態に合わせて、最適なサポート方法を随時調整する。

皮下点滴をやめた後も、日々の変化を観察しながら、猫が快適に過ごせるようにサポートしていきましょう。

 

 

まとめ:猫の皮下点滴をやめるタイミングと適切な判断

猫の慢性腎臓病において、皮下点滴は重要な治療の一環ですが、最終的にいつやめるかの判断は非常に繊細です。これまで述べてきたポイントを整理し、適切な判断基準についてまとめます。

 

皮下点滴をやめるべきか判断するポイント
  • 猫の体調の変化:体重減少、食欲低下、動きの鈍化が進んでいないか。
  • 水分補給の必要性:自力で十分に水分を摂取できるかどうか。
  • 腎臓の状態:血液検査の結果や尿量の変化を考慮する。
  • 合併症の有無:浮腫、胸水、肺水腫などの症状が出ていないか。
  • 猫のQOL(生活の質):皮下点滴が猫にとって強いストレスになっていないか。
最期までのサポートと在宅緩和ケアの重要性
  • 皮下点滴の代替ケア:投薬や食事管理、環境調整で猫の負担を軽減。
  • ご家族の判断を尊重:獣医師と相談しながら、猫にとって最適な選択を考える。
  • ターミナルケアの準備:最期の時間を穏やかに過ごせるよう、環境を整える。

皮下点滴の中止は、単に「やめる」ことではなく、猫のQOLを最優先に考えた上での選択です。症状の変化をよく観察しながら、適切なタイミングを見極め、ご家族と獣医師が協力して最善のケアを提供していくことが大切です。

皮下点滴の適切な判断に不安がある場合は、往診専門の動物病院に相談するのも一つの選択肢です。あなたの大切な猫が、最期まで穏やかに過ごせるように、慎重にケアの方針を決めていきましょう。

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電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
休診日:不定休診療カレンダー
 
〒111-0036
東京都台東区松が谷3-12-4 マスヤビル5F
 
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東京都内23区を中心に往診専門の獣医療を提供しております、わんにゃん保健室です。
当院はペットとご家族様が過ごす最後の時間を、
より良いものにするべく最良の往診獣医療を
提供することに注力しています。

本日のブログでは、わんにゃん保健室が大切にしている3つのポイントについてご紹介します。
より良い獣医療を提供するため、様々な点から獣医療の在り方を検討し
飼い主様・ペットのみんながより良く過ごせる環境を作るため、
『動物病院』を運営しています。

わんにゃん保健室が動物病院を運営する理由

わんにゃん保健室が動物病院を運営しているのは、
飼い主様やペットたちがより良く過ごせるよう、環境を整えるお手伝いがしたいからです。

ペットに対する緩和ケアやターミナルケアについて、
より深く、多くの方へ知ってもらいたいと考えています。

「最良の在宅医療を最後まで」というのが、
わんにゃん保健室の考えの一つです。
ペットが年齢を重ねて、以前のように自由に動き回れなくなった時、
痛みや辛さを緩和するための方法を提供したいと考えたからです。

往診が求められている現状

動物病院は多くありますが、そのすべてが往診を行っているわけではありません。ですが、緩和ケアやターミナル期となった子は、
自分で自由に動いたりすることが難しい場合もあります。
また、そもそも病院が嫌いで診察を受けることができないといった
子もいます。

飼い主様も、お仕事や家事でお忙しい中で
ペットに対して十分な時間を捻出できない場合もあるかもしれません。また、交通手段の関係で、動けなくなったペットを動物病院へ診察するのが難しい場合も。

上記のような場合でも、動物病院が往診を行っていれば、
そういった子たちにも獣医療を届けられるのです。

わんにゃん保健室では、獣医療の形として往診が求められていると考え
往診専門動物病院として運営しています。

適切な診療料金

わんにゃん保健室では、適切な診療料金にて診療を行っております。

往診のため実際にご自宅にお伺いをすることを考慮しますと
通常の動物病院よりも費用がかかる印象となるかもしれませんが、
飼い主様の負担とならないよう、料金を考慮しております。

ペットに対して、費用をかけてしっかりと診療を受けさせたいという方ばかりだと思います。 ですが、実際にはご自身やご家族の生活もあるため、制限なく費用がかけられるわけではないと思います。

そのため、当院では負担とならないよう適宜料金改定などを行い、
なるべく皆様の診療費の負担を減らしたいと考えています。
費用が理由で診療を諦めてしまう子を少しでも減らしたいという思いからです。

 

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犬猫の往診専門動物病院
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猫の腎臓病の在宅緩和ケア(2025年3月)

猫の腎臓病は高齢猫に非常に多い疾患であり、慢性腎臓病(CKD)として徐々に進行していきます。特にステージが進行すると、通院の頻度が増え、猫にとって大きなストレスとなることがあります。そこで、在宅での緩和ケアを取り入れることで、猫の負担を軽減しながら適切な治療を続けることが可能になります。

本記事では、猫の腎臓病の基本情報から、動物病院での検査や治療の流れ、通院の負担、そして在宅緩和ケアの導入について詳しく解説します。猫にとって最適なケアを考え、ご家族が無理なく続けられる治療方法を一緒に探っていきましょう。

 

【 目次 】

 

 

猫の腎臓病とは?

猫の腎臓病(慢性腎臓病:CKD)は、高齢の猫に非常に多く見られる疾患です。特に10歳以上の猫では、腎機能の低下が進行しやすく、病気が発見されたときにはすでに慢性腎不全の状態になっていることも少なくありません。

腎臓は、体内の老廃物を排出し、水分やミネラルのバランスを調整する重要な役割を持っています。しかし、慢性腎臓病では腎機能が徐々に低下し、以下のような症状が現れます。

 

猫の腎臓病の主な症状

- 水をたくさん飲むようになる(多飲)

- おしっこの量が増える(多尿)

- 食欲が落ちる、痩せてくる(削痩)

- 嘔吐や下痢を繰り返す

- 後ろ足がふらつく(筋力低下)

- 口臭が強くなる(尿毒症の影響)

これらの症状は、腎臓の機能が低下することで体内の老廃物を適切に排出できなくなったり、水分バランスが崩れたりすることで引き起こされます。特に、慢性腎臓病は初期段階では症状がほとんど見られないことが多く、定期的な健康診断で早期発見することが重要です。

 

腎臓病の進行と生活の変化

腎臓病の進行に伴い、食欲の低下や脱水症状が顕著になり、生活の質(QOL)が低下していきます。特に、ステージが進むにつれて通院や点滴治療の頻度が増え、猫にとっての負担が大きくなるため、在宅でのケアの必要性が高まります。

次は、動物病院での検査頻度とその意義について詳しく解説していきます。

 

 

動物病院での検査頻度とその意義

猫の腎臓病は進行性の疾患であり、定期的な検査を行うことで病気の進行度を把握し、適切な治療を実施することが重要です。特に慢性腎臓病(CKD)は、症状が徐々に現れるため、早期発見と継続的なモニタリングが欠かせません。

 

腎臓病の進行度を把握するための検査

- 血液検査(BUN、クレアチニン、SDMA、リン、電解質)

- 尿検査(尿比重、尿蛋白、UPC比)

- 超音波検査(腎臓の形状、血流の評価)

- 血圧測定(高血圧の有無を確認)

これらの検査を組み合わせることで、腎臓の機能低下の進行度を把握し、治療方針を決定します。特に、慢性腎臓病では腎機能がある程度失われてから症状が現れるため、早期に異常を発見できるSDMA(対称性ジメチルアルギニン)検査が有効とされています。

 

検査頻度の目安

- 健康な猫:年に1回の健康診断

- 慢性腎臓病(初期):3〜6ヶ月ごと

- 慢性腎臓病(進行中):1〜2ヶ月ごと

- 末期腎不全:1〜2週間ごと

腎臓病の進行度に応じて検査頻度を調整し、病状の変化に迅速に対応することが大切です。

 

検査結果に基づく治療方針の決定

検査結果をもとに、適切な治療を行います。

- 早期腎臓病:食事療法やサプリメントで管理

- 進行期:利尿薬、リン吸着剤、ACE阻害薬などの投薬

- 末期腎不全:皮下点滴や給餌補助などのサポート

特に腎臓病が進行すると、皮下点滴や強制給餌が必要になることが多く、ご家族の負担も増えるため、在宅でのケアを検討することが重要になります。

次は、腎臓病の進行に伴う処方の変化について詳しく解説していきます。

 

 

経過における処方の変化

猫の腎臓病は進行性の疾患であり、病状の変化に応じて処方内容を適切に調整する必要があります。初期段階では食事療法やサプリメントを中心とした管理が可能ですが、進行するにつれて、投薬や補助療法の必要性が高まります。

 

腎臓病の進行と処方の変化
初期(ステージ1〜2)

- 腎臓療法食(低リン・高品質タンパクの食事)

- リン吸着剤の導入(リン値が高い場合)

- 血管拡張薬などの使用

初期段階では、食事管理が最も重要となります。特にリンを制限することで、腎機能の低下を遅らせることが期待できます。

 

進行期(ステージ3)

上記の治療に加えて、以下の処方を追加

- 腎性貧血に対する造血ホルモン製剤(エリスロポエチンなど)

- 胃腸障害の管理(制酸剤、吐き気止め)

- 脱水予防のための皮下点滴の開始(週1〜2回)

腎機能の低下が進むと、貧血や食欲低下が目立つようになります。この時期から皮下点滴を導入し、脱水を防ぐことが重要です。

 

末期(ステージ4)

- 皮下点滴の頻度を増やし(1日おき、または毎日)

- 強制給餌の検討(食欲が大幅に低下した場合)

- 尿毒症に対する事前対策

末期腎不全の段階では、猫の生活の質(QOL)を重視したケアが求められます。この頃になると、通院の負担が大きくなるため、在宅緩和ケアへ切り替えるタイミングを検討することが重要です。

次は、通院が猫にとってどれほど負担になるのか、そしてその影響について解説していきます。

 

 

通院は猫にとって負担

猫は環境の変化に敏感な動物であり、動物病院への通院は大きなストレスとなります。特に腎臓病を抱えた高齢猫にとって、頻繁な通院は負担が増し、病状の悪化を招く可能性があります。

 

猫はそもそも通院が苦手
キャリーに入れること自体がストレス

- キャリーを見ただけで逃げる猫も多い

- 無理に入れようとすると興奮し、呼吸が荒くなる

- 強いストレスがかかると、脱糞や嘔吐をすることもある

 

移動中の環境変化が大きな負担

- 車や電車などの移動音や振動に驚く

- 外の匂いや他の動物の気配に警戒する

- 通院後、帰宅しても落ち着かないことがある

これらの理由から、通院自体が猫のストレスとなり、病状を悪化させる可能性があるのです。

 

通院できる猫でも頻度が重要
週1回程度の通院なら耐えられることが多い

- 腎臓病の管理のため、定期的な検査や処方調整が必要

- 週1回程度の通院であれば、猫のストレスも最小限に抑えられる

- しかし、体調が悪化すると移動自体が難しくなる

 

皮下点滴が始まると通院頻度が増える

- 皮下点滴の頻度は、病状によって1日おきや毎日になる

- 頻繁な通院は、猫にとって大きな負担となる

- 通院のたびにキャリーに入れるストレスが加わる

腎臓病の進行に伴い、皮下点滴の頻度が増えると、通院の負担がさらに大きくなります。そこで、在宅緩和ケアの導入を検討することが推奨されます。

次は、猫の腎臓病における在宅緩和ケアの具体的な方法について説明します。

 

 

猫の腎臓病の在宅緩和ケア切替

猫の腎臓病が進行し、通院が負担になってきた場合、在宅緩和ケアへの切り替えを検討することが重要です。在宅緩和ケアでは、動物病院での治療と同様に、適切な管理が可能です。

 

通常の定期検査は在宅で対応可能
血液検査や尿検査を自宅で実施

- 往診での血液検査や尿検査により、腎臓の状態を把握

- ストレスの少ない環境で、猫の負担を軽減

- 定期的な検査により、病状の変化を早期に察知

 

超音波検査も在宅で可能

- 腎臓の大きさや血流を確認し、進行度を評価

- 往診により、自宅で落ち着いた状態で検査を実施

- 動物病院と同様の精度で検査が可能

在宅でも定期的な検査が可能なため、動物病院へ通院するのと同様に病状を管理することができます。

 

結果に応じて処方を変化させることも可能
血液検査の結果をもとに処方調整

- 腎臓の状態に合わせて内服薬の種類や量を変更

- 必要に応じて、皮下点滴の頻度や成分を調整

- 生活環境や食事内容も併せて最適化

 

猫の状態に合わせた柔軟なケア

- 内服薬が飲めない場合は、皮下点滴での薬剤投与を検討

- 食欲低下時には、嗜好性の高い療法食やサプリメントを提案

- 生活の質(QOL)を重視し、苦痛を最小限に抑える

 

在宅緩和ケアでは、猫の状態に合わせて治療を柔軟に調整できるため、負担を抑えながら適切なケアを継続できます。

 

ご家族による在宅皮下点滴でストレス軽減
ご家族が皮下点滴を実施するメリット

- 通院の必要がなくなり、猫のストレスを軽減

- ご家族が猫の状態を観察しながら対応できる

- 継続的なケアが可能になり、病状の安定化につながる

 

皮下点滴のトレーニングとサポート

- 獣医師が往診時に皮下点滴の方法を指導

- 針の刺し方や適切な量の確認を丁寧にサポート

- 初めてのご家族でも安心して実施できるようフォローアップ

 

皮下点滴を在宅で実施することで、動物病院へ行くストレスを減らしながら、適切なケアを継続することができます。

次は、在宅緩和ケアへ切り替える適切なタイミングについてお話しします。

 

 

切り替えはいつから?

在宅緩和ケアへの切り替えは、猫の病状や生活環境に応じて検討することが重要です。適切なタイミングを見極めることで、猫の負担を最小限に抑えながら、適切なケアを続けることができます。

 

慢性腎臓病かもしれないと言われた時から変更を検討
初期段階での選択肢としての在宅緩和ケア

- 腎臓病の診断を受けた段階で、在宅ケアの選択肢を考える

- 通院ストレスが大きい猫の場合、早めの在宅切り替えが有効

- ご家族が猫の病気に対する理解を深め、準備を進める

 

定期検査の頻度が増えたタイミング

- 月1回の検査から、2週間に1回、週1回と頻度が増えてきた

- 皮下点滴の必要性が出てきた段階で在宅ケアを検討

- 通院後の疲労やストレスが顕著になったと感じたら切り替えのサイン

 

通院が難しくなった時

- キャリーに入れるだけで強い拒否反応を示すようになった

- 通院後にぐったりしてしまい、回復に時間がかかる

- ご家族が通院の負担を感じ、在宅ケアを希望するようになった

 

在宅緩和ケアへの切り替えは、猫の状態だけでなく、ご家族の生活環境や希望も考慮しながら進めることが大切です。

次は、猫の腎臓病の在宅緩和ケアの具体的な方法について詳しくご紹介します。

 

 

猫の腎臓病と在宅緩和ケアの重要性

猫の腎臓病は高齢の猫に多く見られ、進行すると日常生活にさまざまな影響を与えます。早期発見と適切な管理が重要ですが、通院が負担になるケースも少なくありません。在宅緩和ケアを適切に導入することで、猫の生活の質を維持しながら、ご家族の負担も軽減できます。

 

在宅緩和ケアを検討すべきタイミング

- 猫が通院を極端に嫌がる場合

- 定期検査の頻度が増え、通院が負担になってきた時

- 皮下点滴や継続的な投薬が必要になったタイミング

 

在宅緩和ケアのメリット

- 自宅で安心した環境の中で治療を受けられる

- ストレスを最小限に抑えながら適切なケアが可能

- ご家族が猫の状態をより深く理解し、適切な対応ができる

 

最後に

猫の腎臓病は長期的な管理が必要な病気ですが、在宅での適切なケアによって、穏やかに過ごせる時間を延ばすことができます。猫の性格やご家族の生活スタイルに合わせた最適な方法を選び、できる限り快適な環境を整えてあげましょう。

当院では、在宅緩和ケアを通じて、猫とご家族が穏やかに過ごせる時間をサポートしています。通院が難しくなった、在宅ケアを考えたいという方は、お気軽にご相談ください。

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