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猫ちゃんの多くが、高齢になるにつれて腎臓の数値が悪くなりやすいです。

 

みんながみんなというわけではないですが、確率は高く、またこの腎臓病という病気は進行性であるため、早期発見早期対策が重要です。

 

今回は2回に分けて投稿している「猫ちゃんの家での緩和ケア」の後編です。

猫ちゃんの家での緩和ケア1-2はこちらから読めます^^

 

前回は猫ちゃんの腎不全について導入から腎臓病ステージ3までの話でした。

 

ここからは、いよいよ腎臓病ステージ4から後半についてです。

 

出会いがあれば別れがあります。

 

後半戦、書いていきます。

 

図1.jpg

 

腎臓病ステージ4

最も往診依頼が多い腎臓病ステージがこのステージ4です。

腎臓病ステージ3の時と比べて、全ての症状が増悪しているものを想像していただければ大丈夫です。

これらの症状が強く出ており、さらに進行していた場合には、痙攣発作を伴っていることも多々あります。

 

ここまで腎不全が進行すると、腎性高血圧腎性貧血などを起こしている場合を多く見受けます。

 

腎性高血圧がある猫ちゃんだと、ぱっと見で瞳孔(黒目)が大きくなってることが多いです

 

これは、高血圧に伴った網膜剥離が疑われます。

 

もしかすると、腎不全の薬によって高血圧が改善すれば少しだけ視力が戻ってくる可能性もある非裂孔原生網膜剥離の状態も疑われますので、早期に治療を入れてあげる必要があります。

 

腎性貧血は、腎臓から出てくるエリスロポイエチンという造血ホルモンが、分泌できる正常な腎臓細胞が減少してしまったため、単純にその数が減ってしまうことから起きる貧血と考えていただければ大丈夫です。

 

腎性貧血の場合には、わんにゃん保健室では週1回の注射でエリスロポイエチンを接種してあげることで、貧血改善を目指します。

 

22582236_m.jpg

 

痙攣発作に備える

そして、痙攣発作です。

 

腎不全からくる痙攣発作(尿毒症)を疑うとき、ほとんどの猫ちゃんで血中尿素窒素(BUN)>140mg/dlでその他の腎臓評価の指標であるクレアチニン(CRE)やリン(IP)と言われるものも高値になっています。

 

発作に対しては発作止めを注射、点鼻、坐剤の3タイプから選択してもらい、家に準備していきます。

 

発作止めの使用方法や環境整備に関し、生活環境を確認しながらご説明させていただきます。

 

発作が起きている時に立ち会うのが誰なのか。

 

家で発作に対する備えをして、家の中で猫ちゃんの発作を抑え込んであげるのか、それとも緊急で動物病院へ通院するのか。

 

お母さんかもしれないし、お父さんかもしれない、または息子さんかもしれないし娘さんかもしれないです。

 

協力できるご家族様がどなたであり、その方が望む発作止めはどのタイプなのかを考えて、準備に入ります。

 

在宅or通院.jpg

 

酸素環境の準備

腎性貧血が起こると、徐々に呼吸状態が悪くなってきます。

 

これは、血液中のヘモグロビンという成分が減少するからです。

 

これに対して先述したエリスロポイエチンの注射を実施しますが、功を奏することなく亡くなってしまう子もいれば、改善して生活の質を上げられる子もいます。

 

ただ言えるのが、注射による体への負担が、少なからずあるということ、そして即効性があるものではないとことです。

 

経験上、ヘマトクリット値(Ht,PCVなど)が20%未満になると呼吸状態が下がると考えています。

 

即効性のある対策として、酸素環境の整備が挙がります。

 

1.jpg

※実際に設置した画像です。

 

酸素環境の整備以上に、むしろこの状態の時に必要なものはないと言っても過言ではありません。

 

また、ただ酸素を準備すればいいというわけではなく、この猫ちゃんにとって最適となる環境づくりを考えなければいけません。

 

わんにゃん保健室では、酸素室の選定および作成、酸素発生装置を含めた酸素環境の運用、そして酸素環境における日常ケアのやり方の決定など、さまざまな視点から残された時間にできることをご提案させていただいています。

 

 

まとめ

今回は、猫ちゃんの腎臓病ステージ1〜4のざっくりとしたお話をさせていただきました。

 

猫ちゃんという生き物としてこの世に生を受けた以上、腎臓病を患ってしまうことは考えておかなければいけません。

 

そして、残念なことに、現代獣医療では腎不全を完全に治療することはできません。

 

腎臓病は進行性の病気であり、わかっていることは、早期発見が何より重要です。

 

早期発見で早期から対策を打ち、少しでも進行を抑え込んであげることを考えていきましょう。

 

猫の腎不全(特に慢性腎臓病)のコントロールでは、腎臓ケア系のフード切り替え、内服薬の使用、皮下点滴の大きく3つがあります。

 

動物病院での入院ができるタイプの猫ちゃんであれば、急にグッと腎臓の数値が上がってしまった場合に、入院させて点滴(静脈点滴)を行うことで一過性に悪化した数値を元の値まで改善させられるかもしれません。

 

しかし、通院も苦手であることと入院のストレスには耐えられないであろうと考えられる場合には、ご自宅での皮下点滴プランを組んであげましょう。

 

おそらく血圧も高く、心臓に負担がかかっていたり、貧血気味になっているかもしれないので、できれば1回の皮下点滴でたくさん入れるよりは、たくさん入れなければいけないのであれば、2回〜3回に時間帯を分けて投与してあげるほうが、負担の軽減につながるので、当院としては推奨しています。

 

通院しなければ何もできないと諦める前に、在宅での往診獣医療があることを知っていただき、お困りの際には往診のご連絡をください。

 

東京23区とその近隣を診療圏とし、東京、千葉、埼玉、神奈川、そして遠くても時間を調整してお伺いさせていただいております。

 

在宅医療のご相談であれば、私たち、往診専門動物病院わんにゃん保健室が、往診にてご家族様とその先にいるわんちゃん、猫ちゃんへ安心の獣医療をお届けします。

 

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ほとんどの猫ちゃんは通院が苦手なため、もし通院させるのであれば、週1、2回程度までくらいまでが限度だと思われます。

 

病気で具合が悪いので動物病院へ連れていくのに、移動の前後でどっと疲れてしまい、検査のためならまだしも、処置のためであれば、果たして本当に通院させるのが正しいのかと、考えさせられる場面に多く直面すると思います。

 

特に高齢期で、体力も弱ってきている中で、必要な時には1日2回の通院を求められることだってあります。

 

今回は、猫の腎臓病(腎不全)に対し、往診ではどんな提案をしているのか、ステージごとに記載させていただきますので、通院ではなく往診を検討されている方、今は通院させているけど、今後は往診へ切り替えたいとお考えの方は、是非読んでいただき参考にしてください^^

 

腎臓.jpg

 

※本来であれば全て腎臓病と表記するのですが、ご家族様にわかりやすい言葉で記載したいため、腎不全と表記させていただきます。

 

腎臓病ステージ1

このステージでは、ほとんどが無症状なため、健康診断の時に発覚することが多いです。

 

高齢、特に10歳を超えてきたら、健康診断は少なくとも年2回、できれば3ヶ月おきの4回を推奨しています。

 

猫ちゃんの腎不全に対する往診での治療法では、大きく食事、内服、皮下点滴の3つです。

最初は侵襲性が最も少ない食事療法と、腎不全の早期から推奨されている内服薬をご提案させていただきます。

 

なお、腎臓病ステージ1の時点で提案しているのは、食事療法と内服薬です。

 

当院では、味が苦いものや飲ませづらいものは極力使用しないよう、医薬品の選定に注力しています。

 

食事療法としては腎臓ケア系のドライとウェット、内服薬は動物薬の飲みやすいものです。

 

腎臓をケアした療法食を推奨してはいるものの、これまた好き嫌いが強い子が多く、療法食を食べてくれないということが多数見受けられます。

 

腎臓系のご飯は1種類ではなく、【猫 腎臓病 フード】など検索するだけで何十種類も出てきます。

 

診療時に複数種類の猫ちゃん用腎臓ケアフードをご紹介させていただきますが、なかなか好んでくれるご飯と出会えないことも想定できますので、気持ちとして全部に挑戦するくらいの意気込みを持って臨みましょう。

 

検診の頻度は、その猫ちゃんの状態やご家族様の希望にもよりますが、ほとんどの場合で状態は安定していることが多いため、大まかな目安として3ヶ月に1回程度です。

 

 

腎臓病ステージ2

このステージになると、なんとなく症状が見えてきます。

最近なんとなく飲水量が増えてきたような気がする、おしっこの量も増えたような気がする、といったものです。

とはいえ、日々の変化程度であることから、見逃されやすいです。

 

腎臓病ステージ2からは、内服薬をもう1種類増やすかどうかを相談していきます。

初めて腎臓病ステージ2を確認した時は一旦様子見とし、次回も腎臓病ステージ2だった場合には、ほぼ確実にもう1種類増やし、2種類の内服薬で様子を見ていきます。

 

検診の頻度は、状態次第ではありますが、大まかな目安として1〜3ヶ月に1回程度です。

 

猫ちゃんのストレス状況を評価し、往診頻度や血液検査の頻度を相談していきます。

 

腎臓病ステージ3

このステージになると、明らかな症状が見えてきます。

お水を飲む量は明らかに多くなり尿量も増える(多飲多尿)、週1回程度だった吐きが2,3回以上と嘔吐頻度が増える、脱水や胃腸の障害に伴った軟便または便秘、食欲低下、軽度な削痩などです。

 

IMG_0378.jpg

※写真は、現在当院でお伺いしているクロちゃん19歳です^^一つ前の記事で書かせていただきましたので、こちらも是非読んでみてください!

 

 

往診でお伺いする猫ちゃんのステージでは、第2位です。

 

第1位はステージ4、第3位はステージ1、第4位はステージ2です。

 

ステージ1の段階で見つかるのが第3位なのは、ご家族様の健康診断への意識が高い方が一定数いることを表していると考えています。

 

この腎臓病ステージ3では、内服薬だけで進めていくか、皮下点滴を合わせていくかを相談していきます。

 

当院では、腎臓病ステージ3からは在宅での皮下点滴を検討していくことから、ご家族様による皮下点滴を行える環境構築のため、皮下点滴トレーニングを実施していくことが多いです。

 

中には、ご家族様だけでは難しいとされた場合には、当院でスケジュールを組み、皮下点滴にお伺いすることもありますが、時間帯の確約が難しいことから、できる限りご家族様による皮下点滴をお願いしています。

 

猫ちゃんからしても、知らない人が来て抑えられて皮下点滴をされるよりも、お母さん、お父さんというプライベートな空間で実施される方が、ストレスも少なくできると考えています。

 

皮下点滴の頻度は週3〜4回程度、内服薬は2種類、食べられるのであれば療法食、の3つでコントロールしていきます。

 

検診の頻度は、状態が安定していれば1ヶ月に1回程度です。

 

なお、猫の腎臓病ステージ3でお伺いする場合には、1日目、2日目、3日目と連続で往診し、次は最終診療日から1週間後の10日目、ここで安定していれば2週間後の24日目、以後1ヶ月おきというのが多いパターンです。

 

ということで、まずは導入から腎臓病ステージ3までに対する往診での在宅中医療について書かせていただきました。続きは「猫ちゃんの家での緩和ケア2-2」で、腎臓病ステージ4を近日公開します。

 

猫ちゃんと暮らしていて、動物病院への通院で躊躇してしまっているご家族様は、まずは往診相談として当院へご連絡ください^^

 

気づいてからでは遅い猫の腎臓病、早期発見早期対策が大切です!

 

猫ちゃんの腎不全については、特集ページにて解説しております。

こちらをご一読いただければ、大まかな猫の腎不全について知っていただけると思います^^

猫腎不全バナー.jpg

 

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猫ちゃんの多くが、動物病院に通院することが苦手です。

 

通院させると異常に興奮してしまい、極度のストレスに失禁や脱糞をしてしまったり、診察室では恐怖のあまり威嚇してしまうなどの豹変ぶりを見せたり、帰宅すると隠れてしまったりと、通院するだけでぐったりしてしまうということを多く見受けます。

 

猫ちゃんが通院できないのは、決してご家族様のせいではなく、それは猫ちゃん自身が選んだことですので、あまり気負わないようにしましょう。

 

そんなこんなで年月が経ち、いつもなら数日で体調が戻っていたはずなのに、それどころか徐々に悪化してしまっているような時期が訪れます。

 

そこでご家族様には選択肢ができ、満を辞して通院させるべきなのか、このまま看取っていくべきなのか、または往診を呼ぶべきなのか。

 

今回は、東京港区のご実家で暮らす19歳6ヶ月の猫ちゃんの在宅緩和ケアのお話です。

 

今回のケースでは、ご実家にいるご高齢のお母さんと息子さん、近くにいるお孫さんと協力して在宅医療プランを組み、2022年11月9日から4日間の連続往診を終え、11月12日から内服と食餌介助のプランを開始しています。

 

今後往診による在宅医療をご検討のご家族様、その日の参考にご一読ください^^

 

1枚目.jpg

 

 

初診予約時

今回は、すでに当院で在宅医療を実施中の猫ちゃんと暮らしているお孫さんからご予約いただき、内容としては『実家にいる猫ちゃんの具合が悪いので往診をお願いしたい』とのことでした。

 

ここ最近急激に増えてきた事案として、「住んでいる場所は違うが、実家にいる犬猫の体調が悪く、また通院させることができないため、ご実家への往診してほしい」、というものです。

 

人間の方では、そういったサービスが拡大されているようですが、ペット業界ではまだまだ発展途上なため、こういったケースは以下のようなプランがおすすめかと思います。

1. 往診専門動物病院に依頼し、かかりつけ動物病院として現状を把握してもらう

2. 訪問サービスでペットの介助をしてくれる業者を選定する

3. 訪問サービス業者がどんなことをすべきかを往診専門動物病院から指示してもらう

 

今回のケースでは、お孫さんもご実家から比較的近くに住まれていたため、診察に立ち会っていただくことが可能だったので、スムーズに診療予約を確定できました。

 

もしこういったケースで遠方からのご依頼だった場合には、実際の診療に立ち会うことが物理的に難しいと思われます。

しかし、ご依頼される方と、実際にペットと生活しているご家族様の意見が異なってしまうと、お伺いしても何もできないという場合が発生してしまうことがあります。

ご依頼いただく時には、必ず意見の擦り合わせはできているのかをご確認させていただきますので、もしその時点でまだの場合には、何について決めておかなければいけないのかをご案内させていただきます。

意思決定ができる人間の数ほど意見がありますので、難しい場合には、診察に立ち会っていただくことをお勧めします。

私たちがお伺いして状況・状態を整理し、何がどこまで可能なのかを明確にした上で選択肢を挙げさせていただきます。

 

2枚目.jpg

 

初診(2022年11月9日)

子猫との時からの慢性鼻炎と便秘持ちで、現在は耳が聞こえてないとのことでした。

お会いすると、ベッドの上でぐったりとした猫ちゃんが静かに伏せして待っていてくれました。

 

普段は人見知りなのか、おそらく知らない人が来たら真っ先に隠れてしまうはずなのですが、それだけ具合が悪かったということと思います。

 

かかりつけの動物病院から処方された内服薬は、ちゃんと飲ませられていることに驚きました。

 

それであれば、もし押さえられたり針刺が苦手だった場合にも、内服薬でのコントロールを選択肢として挙げられるかもしれないと思われました。

 

お母さんのお気持ちとしては、検査はストレスが大きいので、検査なしで今の症状を楽にすることを望まれましたが、この背景には、まだ若くて元気だった頃に検査ですごく抵抗していて可哀想だった記憶がありました。

 

お孫さんとも相談し、長年検査をしていなかったことと、やはり今の状況を把握する方が対策を打てる可能性が高いことから、やはり検査をすることで話を進めさせていただきました。

 

もし猫ちゃんが嫌がって取り乱すことがあれば、その場で検査をすることを中止することとし、お母さんにどうにか承諾を得て、血液検査、超音波検査を実施しました。

 

想定していた通り、既に血圧も低くなっていたこともあり、ほぼ嫌がらずに検査を受けてくれました。

 

お母さんも、その姿に安心してくれました。

 

最後に皮下点滴を行い、この日は終了です。

 

初診日、翌日、翌々日と診察を行い、4日目に状況を整理してプランニングをしていくこととなりました。

 

 

再診(2022年11月10日)

昨日よりは状態も上がり、朝は猫ちゃん自らご飯を少しだけ食べてくれたとのことでした。

 

この時点で確認できた血液検査結果より、慢性腎臓病のステージ4急性〜慢性膵炎の2つを検出しました。

 

本来であれば、毎日皮下点滴を実施してもらいたいため、皮下点滴トレーニングをご家族様にしっかりと入れ、家の中でご家族様だけで実施できる環境づくりを行う状況です。

 

しかし、ご家族様の希望もあり、連続往診による皮下点滴処置後は、内服で余生を過ごさせてあげることとなりました。

 

わんにゃん保健室の在宅医療プランは、決して攻めた医療内容ではなく、愛犬、愛猫の余生を少しでも楽に過ごさせてあげるためのプランです。

ご家族様の望む最後の時間の過ごさせ方を、医療の面から、家の中でサポートさせていただきます。

 

少し元気が出てくると、この猫ちゃんらしさが徐々に出てきて、処置中にもイヤイヤモード全開でした。

 

 

連続往診4日目(2022年11月12日)

ご家族様がシリンジを用いた食事介助や投薬ができるという環境でしたので、連続往診を終え状況が把握できた後は、内服と食餌介助でのコントロールとしました。

 

ただ、状態がグッと上がってきたわけではなく、初診時よりは少し上がったものの、まだまだ予断を許さない状況であることをお伝えし、また内服薬がなくなる1ヶ月後くらいを目処にご予約をいただくこととしました。

 

内服薬は全部で6種類です。

 

頑張っていきましょう!

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実家の猫ちゃんは腎臓病(東京北区/猫往診)

もともとは一緒にご実家で住んでいましたが、ライフステージの変化に伴い、実家を離れるといいうこと多くあるケースです。

 

今回の猫ちゃんは、娘さんがアメリカに引っ越され、ご実家には高齢のご両親と猫ちゃんがいるという環境で、実家にいる猫ちゃんの健康状態管理をご依頼されたケースのご紹介です。

 

猫ちゃんは現在16歳10ヶ月で、高齢のお母さん、お父さんと日々のんびりと過ごせています。

 

腎臓病ステージ3で、1日2回のシロップ投薬を頑張っています。

 

往診での血液検査と超音波検査は1ヶ月に1回程度、2週間おきに内服薬シロップの交換補充です。

 

それでは症例紹介に入ります。

 

逆光モコちゃん.png

 

予約から初診までの流れ

基本はアメリカに住まれている娘さんからご依頼を受け、通院が猫ちゃんにとって負担であることと、今後通院させる側の人間(ご両親)にとっても通院は厳しいという理由から、往診での管理をお願いされました。

 

おそらく今後はお母さんが基本的に診察に立ち会うこともあり、診療報告や治療プラン、医薬品の説明なども全てメールにて共有させていただくこととしました。

 

また、メールに決済フォームをお送りし、そこから決済可能ですので、遠方の地にいらしたとしても、ご実家にいる猫ちゃんの診療時における状況報告を共有できるようにしました。

 

そして、まだ最後の方針という段階では全くないですが、以前一緒に住んでいた猫ちゃんの経験から、外科や抗がん剤などの攻めた医療は望まなず、穏やかに家の中で過ごさせてあげたいという方針を受けました。

 

 

初診時の診療内容

初診時には、今の状態を把握するために検査を行います。

 

検査方法として用いる基本的な手技は、血液検査と超音波検査です。

 

爪切りは毎回実施することとし、初診は終了です。

 

往診では、X線検査を実施することが難しいため、X線検査は実施しませんが、もし通院可能な場合には、X線検査もお勧めします。

備えあれば憂いなし。定期健診は大切です^^

 

 

再診(検査結果説明と方針決定)

血液検査結果の説明と今後の方針を決めていきます。

 

腎臓が少し悪くなっていることが見つかり、内服薬の開始相談です。

 

シロップ剤.jpg

 

1回に投与する薬の量は、全部1錠という簡単なものではなく、体重あたりで計算するため、物によっては分割使用する必要があります。

 

今回処方する薬は動物薬で揃えられたため、1錠そのままのものと、1/2錠に分割して使用してもらうものでしたので、分割する上では比較的簡単なものでしたが、お母さんからすれば難しい課題となる可能性もありました。

 

そのため、お姉さんが日本にいる間に、次に帰国するまでの量を分割しておくか、処方時に私たちの方で分割するか、またはお母さんに頑張ってもらうかの選択肢がありましたが、お母さんに頑張っていただけることとなりました。

 

分割し1回量を準備していただき、乳鉢で粉砕し、それをウェットフードにかけて与えてもらうこととしました。

 

 

投薬プランの変化

腎臓病は進行性の病気であり、早期発見・早期対策が重要です。

 

早期に対策をすることで、腎臓病の進行を抑えてあげられることが期待されます。

 

この猫ちゃんの場合には、腎臓病ステージ2で発見できましたので、比較的早くから内服などの対策を立てることができました。

 

慢性腎不全に罹患した猫の余命は約771日とされています。

なお、IRISステージ分類という専門的な分類方法があるのですが、それによると軽度の臨床症状がみられるステージ2bで約3年(中央値1151日)、重度の臨床症状がみられるステージ3で約2年(中央値778日)、集中治療が求められるステージ4では約3ヶ月(中央値103日)であったと報告されているようです。

とはいうものの、データ上の話であり、このデータが必ずしも愛猫に当てはまる訳ではないので、一つの目安として知っておく程度で十分であると考えています。

 

・・・しかし、ここで問題が2つ起こりました。

 

1. 医薬品のフレーバー問題

医薬品の多くは苦く、あまりにも飲ませづらいものには糖衣と言って、砂糖のようなものでコーティングが使用されています。

 

これらを分割して飲ませるのですら至難の技なのに、粉にしてしまうと、その苦さはご飯全体に広がってしまいます。

 

今回は動物薬ということである程度、犬猫への投薬特有の問題をカバーできるような作りではあったのですが、逆に動物役特有の問題であるフレーバーで、こちらの猫ちゃんはダメだったようです。

 

同じ医薬品でも製剤が変わればその味や形などは変わるため、飲めなかった猫ちゃんが飲めるようになったということも起こり得ます。

 

しかし、ここで重要なのは動物薬の多くは若干フレーバーがあるということです。

 

今回は、腎臓病で使用する医薬品を人薬のOD錠(口腔内徐放剤)にすることで、味の問題を解決することができました。

 

 

2. 分割して粉砕することが難しい

分割まではまだしも、粉砕するときは上から押し砕く必要があるため、上から下に向かった力を込めなければいけません。

 

何気ない日常での投薬指導では、きっとこの問題に気づけなかったと思います。

 

ご高齢のお母さんが猫ちゃんの看病を家の中で実施していくということを常に考えた上で、投薬プランを再度検討させていただきました。

 

そして、ここでご提案させていただいたのはシロップにして飲ませる方法です。

 

ただ、通常ですと、投薬したい医薬品達を必要量粉砕し投薬便に移し、1回量を0.3mlに作成できるよう指示書を書いてお渡しします。

 

なお、投薬便には5ml〜100mlのサイズがあるので、適宜使い分けます。

 

しかし、スポイトとして使用するシリンジ(針がついていない注射器)ですが、これまた一定のところまで吸い上げるのが細かい作業となってしまうため、小さい数字が難なく見える世代でないと難しいです。

 

今回は、1回に使用するシロップを吸った状態で、朝用シロップ、夜用シロップ、というように1回1回シリンジを使い捨てできるような投薬タイプで処方させていただきました。

 

この方法であれば、ご高齢のお母さんでも問題なく実施することができ、現在も同じ方法で投薬していただいています。

 

このように、ご自宅に上がることで見えなかった問題点が見える化でき、より継続しやすい方法をご提案することができます。これは往診専門動物病院の強みですね!

 

モコちゃん(窓際全身).jpg

 

まとめ

診療の形式により、通院ができるわんちゃん、猫ちゃんに対しては動物病院への通院が推奨されますが、通院を苦手とする場合には、往診という選択肢があります。

 

往診では、ご家族様が実際に生活している環境を生の目で見ることができるため、診察室での診療方針決定や指導よりも、よりこの猫ちゃんに特化した診療プランを組むことができます。

 

診療プランには、もちろんわんちゃん、猫ちゃんの病気に対する検査や処方などが含まれていますが、往診ではご家族様の行動プランも一緒に含めて考えていきます。

 

「1日2回の投薬が難しいのであれば、1日1回の投薬で済む処方内容を組んでいく。」

 

「錠剤は飲まめないのであれば、粉にしてウェットフードと混ぜましょう。」

「ウェットが好きじゃなくドライフード派であれば、シロップにしてドライフードにかけましょう。その時、ドライの食感を無くさないために、できるだけ少ない量のシロップに全部溶かせるように、計算させていただきます。」

 

「どんな形状でも内服が難しいのであれば、注射薬での投薬プランを組みましょう。複数種類あるのであれば皮下点滴として、打てるようになるまで一緒にトレーニングしていきましょう!」

 

「ご家族様での注射が難しいようであれば、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室で注射プランを組んでお伺いさせていただきますね!」

 

他にも呼吸状態が苦しくなった場合の酸素環境の構築や、介護が必要になった場合のマインドセットや実技的な内容を含めた指導など、その子その子にオリジナル性ある診療プランを作成していきます。

 

わんちゃん、猫ちゃんの通院でお困りの方は、都内であれば当院までご連絡ださい。また、都外であっても近隣地区であればご相談の上、お伺いさせていただけますので、諦めずにまずはご連絡ください^^

 

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当院では、インスタグラムにて診療の雰囲気がわかるものや、院長江本の犬猫の在宅緩和ケア専門としての目線からのメッセージなどをお送りしています。

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犬猫にも糖尿病があるのをご存知でしょうか?

 

わんちゃん、猫ちゃんたちにも私たち人間と同様、糖尿病が存在します。

 

糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があり、犬は1型、猫と人は2型が多いとされています。

(※詳しい病態や座学的な箇所は、web上でたくさん情報が落ちているため割愛します。)

 

本ブログでは、糖尿病を発症した猫ちゃんが、早期発見早期治療によってインスリン投与生活から離脱できたため、症例報告として書かせていただこうと思います。

 

猫ちゃんが糖尿病を発症すると、以下のような症状が現れます。

 

☑️飲水量が増える(多飲)

☑️尿量が増える(多尿)

☑️食欲不振

☑️元気消失

☑️嘔吐

☑️毛艶が悪くなる

☑️削痩(痩せてきた)

☑️尿の臭いがなんか変

 

ご自宅にいる猫ちゃんで、あれ?なんか変だな?と思う箇所が上記に当てはまるのであれば、かかりつけの獣医師に相談するようにしましょう。

もし通院が難しく、かかりつけの動物病院がない場合には、往診専門動物病院まで相談し、指示を仰ぐようにしましょう。

 

 

糖尿病を発症した経緯

今回の猫ちゃんは、特発性膀胱炎を持病としていました。

 

猫ちゃんの膀胱炎というと、結石性膀胱炎細菌性膀胱炎、そして原因不明の特発性膀胱炎に分類されます。

 

特発性というのは調べたけど原因不明である、という意味です。

 

この場合は、ストレス性を疑うものの、原因は特定されませんので、対症療法のみを行って症状のコントロールを行っていきます。

 

この猫ちゃんは特発性膀胱炎を繰り返しており、処置すると症状が治るため、毎回同じ処置を繰り返していました。

 

本来は1日1回〜2回の内服薬でコントロールするのが一番いいのですが、とはいえ内服が苦手な猫ちゃんに対して毎日投薬することはとても難しく、ストレスがどんどん蓄積されてしまい、もしこの特発性膀胱炎の原因がストレスであればもっと悪化していく可能性も疑われました。

 

そのため、膀胱炎の症状が認められる度に、2週間の効果を期待できる注射薬を使用して、毎日処置するストレスをなくすことで調子を保てていました。

 

そんな中で、2022年1月末に異変が起き、糖尿病を発症していることが発覚しました。

 

糖尿病に気づくきっかけ

2022年1月末の定期検診の時に、「そういえば最近尿がベタつく」という主訴を受け、まさかと思い検査をしたところ、糖尿病を発症していることが発覚しました。

 

尿検査でケトンが検出されなかった(陰性)ことが救いです。

 

〜余談〜

糖尿病であれば、そのコントロールをどうするかについて経時的な変化を見つつ相談していく猶予がありますが、もしケトンが検出された場合には糖尿病性ケトアシドーシスを発症していることを疑い、致命的な結末も想定した入院管理が必須となり、24時間の集中治療を行います。

その場合には、できれば24時間管理ができるだけの規模の動物病院に入院させるのがおすすめですが、もし難しい場合に、夜間はケージで一人になることを受け入れなければいけません。

なお、在宅で管理できますか?、と質問を受けることがありますが、入院治療と比べて細かく1日に何度も検査ができないことから、コントロールが十分にできず、致命率は大幅に上がってしまうことを懸念し、もし回復を望むのであれば入院を推奨します。

なお、もうぐったりしていて、動物病院の中で1人旅立つのは絶対に嫌だとされる場合には、そのまま在宅で看取りを見据えた緩和ケアおよびターミナルケアに移行することもありました。

 

データが揃うのを待ち、2022年2月3日から、インスリン治療を開始しました。

 

血糖値の変化を知る方法

ここで、血糖値の変化について在宅医療ではどのように把握していくのかについて書かせていただきます。

 

皆さんは「Free Style Libre」をご存知でしょうか?皮膚に装着させることで、長期にわたって血糖値の変化をアプリで見ることができる優れものです。

 

人の医療では多用されているもので、ここ数年で動物医療にも使用されてきています。

 

img-index-01.jpg

 

装着させながら血糖値の変化を把握しつつ、尿検査も実施していただき、尿糖の状態、ケトン検出の有無を評価していただきました。

 

糖尿病のコントロールを把握するための表を作成し、ご家族様に測定していただいたものを毎日共有していただき、データの変化によってインスリン投与量を変化させてコントロールしていきました。

 

〜余談〜

Free Style Libreは、体表に装着させるため、設置面がそこまでルーズではなく、かつ設置面の広さを担保できる個体には有用かもしれませんが、結果としては参考値程度で3回の装着の後に、使用しなくなりました。

1回目は6日間程度データを取ることができ、2回目、3回目は4日程度で、商品に記載のある14日間有効というのは、「人の場合であり、ペットでは個体差あり」と認識させられました。

とはいえ、通常の動物病院で行うインスリン投与量決定前の日内入院による血糖効果曲線作成のための複数回の採血よりも、ストレスのない在宅中での正常時血糖を測定する方が有用であると考えているため、今後も初期検査方法の一つとして使用していこうと考えています。

 

基本プラン設定から離脱まで

 

基本的なプランは以下です。

 

☑️毎日の給餌時間と食事量(%)を主観で記載してもらう

☑️毎日のインスリン投与時間と投与量を記載してもらう

☑️トイレに溜まった尿で朝と夜に尿検査を実施してもらう

☑️毎日データを共有してもらう

☑️2週間に1回の往診で血液検査スクリーニング+長期血糖測定を実施する

 

基本的なプランと書きましたが、このプランもご家族様と相談し、何ができて何ができないかを明確にすることから、プラン決定に入ります。無理のない範囲で、かつちょっとだけ頑張ってもらうくらいがちょうどいいかと、個人的には考えています。

 

この方法で、インスリン投与量を徐々に増加させて4Uまで増加し、0.5Uずつ1週間〜2週間程度かけて下げていきました。

2022年2月3日から開始したインスリン療法は、ご家族様と猫ちゃんの協力により、2022年7月12日に完全離脱を成功し、今では食事療法のみでコントロールできています。

 

まとめ

猫ちゃんの糖尿病は、早期発見、早期治療でインスリン生活から離脱できるかもしれません。

もしすでに糖尿病が進行していて、ケトン尿が出てしまっている場合には、どうしても入院させたくない場合を除いて、治療を望むのであれば、可能な限り入院での集中管理を選ぶべきです。

とはいえ、もし糖尿病のサイン(多飲、多尿、尿の臭いの変化など)を感じた場合に、通院が苦手なわんちゃん・猫ちゃんであれば、早めに往診専門動物病院まで相談するようにしましょう。

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猫ちゃんの乳腺腫瘍は、わんちゃんの乳腺腫瘍と比べて悪性率が高いです。

 

猫ちゃんの乳腺腫瘍が発見されたら、通院ができる猫ちゃんであればすぐに動物病院へ通院し、可能であれば2次医療施設へかかりつけ獣医師から紹介していただき、CT検査+手術、そして抗がん剤治療へシフトすることが多いように感じます。

 

ただ、通院できない猫ちゃんや、すでに末期の状態の猫ちゃんであれば、治療プランというよりは、看取りを見据えたターミナルケアを検討していきます。

 

ターミナルケアとは、緩和ケアの最終段階であり、どこまで何をしてあげたいのか、実際問題として何がしてあげられるのかなどを明確にして、最後の日まで一緒に歩んでいきます。

 

今回ご紹介するのは、乳腺腫瘍を抱えた12歳の猫ちゃんです。

 

乳腺腫瘍は、避妊手術をしていても発症することがある疾患です。

 

毎日のスキンシップで乳腺領域(脇から足の付け根まで)にしこりがあるのを感じた場合には、迅速に獣医師に相談するようにしましょう。

 

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症例:乳腺腫瘍末期で肺転移を発症した猫ちゃん(東京荒川区)

往診依頼のきっかけ

5年ほど前に、お胸のあたりにしこりがあるのを感じて、近所にある動物病院に通院させたところ、乳腺腫瘍の可能性があるとされて所属リンパ節までの切除を行ったとのことでした。

しかし、6ヶ月ほど前にまたしこりがあるのを感じ、通院させたところ、すでに肺転移していることがわかり、かかりつけの動物病院ではこれ以上治療方法はないとされ、また、家での看取りを見据えた在宅医療を勧められ、当院を紹介されたとのことでした。

 

 

往診当日の様子

紹介元の動物病院からいただいた血液検査結果では特別異常な値は認めませんでした。

X線検査データもCD-ROMでいただくことができ、肺転移も確認できました。

呼吸状態はやや促迫気味であり、元気食欲も通常時の半分くらいとのことでしたが、まだご家族様の中でどうしていくべきなのかを判断しかねている様子でした。

猫ちゃん自身はとても怖がりだと伺っていたのですが、不思議と私たちのことは受け入れてくれたのか、状況を把握している間、終始出てきてスリスリして鼻を鳴らしてくれていました。

 

愛犬、愛猫ともうすぐお別れが来るということを受け入れるには、時間が短すぎるのが常です。

治る病気であればまだしも、もしがん(腫瘍)と考えられた場合には、その事実を理解し、どうすればいいのかを決めていくには、時間もなければ、精神的な余裕もないかと思われます。

一人で悩まずに、必ず専門家に相談しましょう。

通院+入院で最後まで頑張っていくか、もっと体調が下がってから在宅医療に切り替えるか、もう早い段階で在宅医療に切り替えてあげるか、などの選択から、ご家族様の意思にもっとも近いものをご選択していただくのがいいと思われます。

 

猫ちゃんの性格

内服薬は苦手で、子猫のときからちゅ〜るやピルポケットみたいなのを使用しても絶対飲んでくれなかったとのこと。

選り好みがある性格で、ウェットフードを食べないで、ドライフードのみとのこと。

 

ドライフード派の投薬イヤイヤ猫ちゃんです。

よくあるパターンですが、もしどうしても投薬が難しい場合には、ターミナルケアでは毎日のことになるため、内服ではなく、全て注射薬として準備し、皮下点滴で投薬していきます。

皮下点滴のやり方は一緒にトレーニングさせていただきますので、この性格の猫ちゃんでは内服という選択肢はあってないようなものです。

泡を吹いて抵抗している猫ちゃんに対して毎日押さえて投薬するのは、猫ちゃんにとってだけでなく、ご家族様にとっても、あまりいい環境とは言えません。

このような場合には、最初から皮下点滴の練習を希望されるご家族様が多い印象です。

今回も、投薬が苦手であることから、皮下点滴という投薬方法を用いて、どこまでしてあげられるのかについて、お話を進めていきました。

 

 

各種検査

肺転移があるためどの部位の肺が拡張し辛い状況なのかを、右左の肺を合わせて24箇所ほど聴診することで把握していきます。

この段階においては、右肺と比較して左肺の方が拡張しづらいと判断できました。

血液検査は紹介元のデータが3日前のものだったため、そのまま参考資料とさせていただき、同日での採血はなしとしました。

超音波検査では腹水、胸水の貯留の有無を確認しましたが、両方とも貯留なしでしたので、呼吸を阻害する要因は肺腫瘍のみと考えられました。

 

870827.jpg

 

 

診療プラン

ここで最大のポイントとなるのは、ご家族様の考える最後の描き方についてです。

延命を望むのであれば救急飛び込める動物病院を調べておく必要がありますが、経験上、このステージのご家族様で救急に飛び込む方は現状ではいないようです。

元気だったペットが急におかしくなってしまった場合には、ほぼ全ご家族様が救急に飛び込み命が救われることを祈られると思いますが、ターミナルケアでは、命が繋がったとしてもまた苦しい日々が続くのであれば、もうこのまま旅立たせてあげたいと考えられる方が多いです。

とはいうものの、旅立つその日まではできる限り苦しくなく過ごさせてあげるために何ができるのかを一緒に考え、内服が難しいのであれば、全て注射薬で処方し、皮下点滴で投薬してあげれば、針刺も1度で済みます。

今回は、全て皮下点滴での投薬とし、医薬品の種類は6種類、頓服として発作止めを1種類処方していきました。

 

そして、頓服薬の準備です。

頓服薬には、目的や手段によって様々なものがありますが、今回は疼痛に対する頓服と、発作に対する頓服です。

今回の疼痛に対する頓服薬は、皮下点滴で使用している医薬品と同じものを準備しました。状態に応じて、追加投与するためです。

しかし、この痛み止めにも上限値があり、一定の量を超えると効果がそれ以上は見込めないものとなっています。

まずは中間くらいの処置用量で使用していただき、それでも痛みが強い場合には、用量の増加を目的として追加していただくようになっています。

 

次が発作止めです。

乳腺腫瘍の病態では、発作は起きづらいと考えています。

しかし、乳腺腫瘍が起因して、別の病気を発症してしまった際に、その病気がトリガーとなって発作がでる可能性もあります。

もし通院ができる猫ちゃんであれば、救急で通院させて発作止めしの処置をしてもらえますが、すでに在宅での見取りを視野に入れた場合には、無理に連れて行くのではなく、できる限り家の中で、かつご家族様だけで完結させることが望まれています。

そのため、使用するかどうかは未確定であったとしても、今後起こりうる可能性と対処できる方法があるのであれば、事前に準備しておくことが先決です。

 

最後に酸素環境の準備です。

酸素室の手配もご自宅でおこなっていきます。

酸素室と言っても、そんなに大掛かりなことではなく、家の中に簡易の酸素発生装置+酸素ボンベ、簡易酸素室(ビニール製)を準備するだけです。

費用はかかってしまうのですが、医薬品の準備と同じかそれ以上に求められるのが、この病気では酸素環境です。

実際のところ、悲しいのですが、最初のうち、もしくは重篤な呼吸悪化までは酸素室に基本的に入りません。

この猫ちゃんもまた、入ってくれませんでした。。。

とはいうものの、酸素室から酸素を垂れ流しにしておき、自由に出入りできるようにしてあげておくことが大切ですので、チャックは全部閉めないで置いておいてあげましょう。

ちなみに、準備から1ヶ月ほどで徐々に入るようになり、2ヶ月が経つと、苦しいその中に寝ていることが多くなりました。

酸素室だと呼吸が楽なので、熟睡できるようです。

 

現在も1日1回の皮下点滴注射薬、頓服薬の準備、酸素室設置の3つで、食欲は通常時の半分以下になってはいますが、マイペースに過ごせています。

 

現在は、2週間に1回の往診で、超音波検査にて胸水と腹水貯留のみをモニタリングしています。

 

もし貯留した場合には、難しいながらも医薬品を使用して胸水を散らしていくか、沈静をかけながら針を刺して胸水抜去していくかを検討中です。

 

このように、ターミナルケアにはその子の病気と病態、状態だけでなく、ご家族様が何をどこまでしてあげたいかなど、細かなことにおいても明確な方針を決めていかなければいけません。

 

時間はかかりますが、ゆっくりと時間をとることで、本当に実現したい最後の形を伺い、できる限りその意思に沿えるようなプランをご提案させていただきます。

 

もしご自宅での看取りを視野に入れた緩和ケアやターミナルケアをご希望されるご家族様は、愛犬、愛猫の状態が悪化する前に、お早めにご連絡ください。

 

通常であれば、ご連絡をいただいてから2〜3日で診療予約を組めるかと思われますので、できる限りお早めにご連絡ください。

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腎不全(ここでは腎臓病の全てを“腎不全”と記載します)を抱えると、多飲多尿という飲水量の増加やおしっこの量が増えたというもの、食欲不振などの他にも、ふらつきのような、歩きづらいような、という運動器症状を示します。

 

なんとなく後肢がうまく支えていないというか、後ろ足が突っ張ったままで竹馬のような歩き方をしているとか、立っているだけで後ろ足が開いてしまうなど、その症状はバラバラです。

 

今回ご紹介するのは、後肢破行(後ろ足をひきづる)を主訴に診察した高齢猫ちゃんです。血液検査結果で腎不全(腎臓病)が発覚し、投薬生活を続け、今も元気食欲満載でソファーに飛び乗る元気を持ち合わせた、タロウくんのお話です。

 

吉田タロウくん①.jpg

 

往診依頼のきっかけ

往診を依頼するきっかけになった症状は、5年前くらいから続く口を気にする様子と、3年前からの左後肢破行とその進行です。

口に関しては、最初は壁に擦り付ける程度だったが、だんだんと手で口元をかいてしまい、激しい時には手に膿のような時もあるとのことでした。

左後肢破行は3年くらい前からでしたが、最近はフローリングだと踏ん張れなくて、足が開いてしまうとのことでした。

 

往診当日の様子

元気食欲は大きく下がっているわけではなく、年相応に寝ている時間は多いが、いまだにソファーに飛び乗っているとのことでした。

便はやや硬めで、頻度も2日に1回程度。尿に関しては、ベランダとお部屋の中にトイレのがあり、紙タイプのトイレを使用しているため色はわからないが、特段尿量が増えた印象はないとのことでした。

お水も飲んではいるが、こちらも特段多くなっている印象はないとのことでした。

嘔吐もなく、呼吸状態も安定しており、飲水時にむせることはあるが、基本的には咳はしないとのことでした。

 

既往歴

18年ほど前(2004年頃)にトイレに行くが出ないという症状があって通院させたところ、尿石症と診断されたとのこと。

 

これらの状況を踏まえ、血液検査と超音波検査を実施したました。

 

吉田タロウくん②.jpg

 

検査が始まると、太い大きな声で「ギャーッ!!」と物申し続け、これだけ声が出せる姿を見て、安心して検査を行えました。

高齢犬、高齢猫のほとんどが関節になんらかの疾患を持っていることが多いため、あまり関節を伸ばさないよう注意しながら保定しました。

 

「よく簡単に押さえられますね!私には無理でした…。」

とお声かけいただくのですが、保定技術は何年もかけて習得していくものですので、ご家族様ができなくても気になさらないでください。また、高齢の猫ちゃんでは心臓や血圧、肺の状態などにも異常がある可能性もあり、極力酸素化させながら、苦しくないように検査をするようにしています。

 

タロウちゃんの診察雰囲気は、当院公式instagramに動画投稿してありますので、是非見てみてください^^

 

血液検査結果では、BUN 59.5mg/dl、CRE 4.01mg/dl、SDM A 17pmol/L、SpecfPL 9.1μg/Lと検出され、慢性膵炎持ちであることと、腎不全があることが発覚しました。

 

超音波検査では、胃から十二指腸にかけての食滞、膀胱内の浮遊物、胆嚢の1/3程度を占める胆泥貯留、左右腎臓の血流低下と左腎の腎嚢胞を検出しました。

 

これらの検査結果から、複数の治療プランをご提案させていただき、いよいよ処方プランのスタートです。

 

ここで最大のポイントとなるのは、タロウくんが“何なら飲んでくれるのか”です。

 

往診では、飲めなかったらまたご連絡ください、などと悠長なことは言っていられず、これが飲めなければこっちを飲んでください。そしてこれがダメならこっちを…というように、たらればをいくつも想定して行かなければいけません。

 

そんなこんなを乗り越え、現在は腎臓の薬を2種類、便通を良くしてあげる薬を1種類、口の痛みに対する頓服薬を1種類とさせていただいています。

 

次回は6週間後に往診でお伺いし、経過観察と定期検査を実施していきます。

 

また頑張ろうね!

 

吉田タロウくん③.jpg

 

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腎臓病の猫ちゃん(東京中央区)

東京都台東区を中心に、ペットの往診を専門にて行っている動物病院、わんにゃん保健室です。
当動物病院では、犬や猫といったペットの往診で、飼い主様とわんちゃん・猫ちゃんの安心をサポートします。

動物病院を嫌うペットの飼い主様からのご相談を多数受け、台東区に限らず、東京23区にて往診エリアを拡大しております。
病院が苦手なわんちゃんやねこちゃんの飼い主様は、是非一度、わんにゃん保健室へご相談ください。

 

 

わんにゃん保健室では、腎臓病のご相談が増えています

猫ちゃんと暮らしているご家族様であれば、腎臓病という言葉は聞いたことがあると思います。

 

腎臓病になると、特徴的な所見として、よく水を飲む(多飲)、よくおしっこをする(多尿)、食欲がない(食欲不振)、吐く(嘔吐)、下痢または便秘などがあり、進行するとふらつきが見られることもあります。

 

多飲多尿嘔吐猫.png

 

高齢の猫ちゃんに多く見られる病気であり、経験上10歳以上の猫ちゃんで、上記の症状がある場合には、かなり高い確率で腎臓病が認められます。

 

往診で出会う猫ちゃんの多くが、多飲多尿ではまだ様子を見ていたが、吐く頻度が多くなり、ご飯を食べなくなったという症状を抱えています。

 

腎臓病は進行性の病気であるため、本来であればもっと早い段階で検査をして発見することができれば、早期に治療を入れることができ、少しでも長く腎臓をケアしてあげることが可能とされています。

 

それでも症状の経過を待ってしまうのは、動物病院に連れて行った時にとても嫌がっている姿を見て、あまりにもかわいそうだったというトラウマがあるためであり、その結果、動物病院と距離ができてしまったのだと考えられます。

 

「こんなに暴れるなら、もう連れて来ないでほしい」

 

診察室で言われた辛辣な言葉で、深く傷付けられてしまった飼い主様は、少なくありません。

 

とはいうものの、できれば1年に最低でも1回は健康診断をしてあげたほうが、その時の状態を知ることができるので、万が一異常値があっても、早期に対処できる可能性が高くなるため、お勧めです。

 

もし通院が苦手な場合には、通院以外の方法として往診があります。

 

通常の動物病院に付随する往診ですと、院内検査や手術を優先されてしまうことから、単発の往診依頼であればばまだしも、慢性疾患とされる腎臓病や緩和ケアなどの時には、定期的な時間の確約などができずに辛い思いをされるかもしれません。

 

慢性疾患や緩和ケアで往診を望まれているご家族様には、往診専門動物病院にお願いすることをお勧めしています。

 

ここ数年で往診専門動物病院が全国的に開設されつつありますので、もし通院が難しい場合には、どの往診専門動物病院がご自宅まで来てくれるのかを、早めに調べておくことが大切です。

 

今日は、尿石症疑いで検査したところ、たまたま腎臓病を発見でき、今もなお元気に過ごしているカツオくん(初診当時8歳、2019年)のお話です。

 

カツオちゃん1.jpg

 

カツオくん8歳、東京中央区(2019年当時8歳)

初診:2019年8月24日

初診時のカツオくんは、なんとなく調子が悪いことと、黄色い大量の嘔吐、尿があまり出ていなさそうとのことでした。また、食欲はあり、排便もしっかりできていたとのことでした。気になるのは、もともと尿石症持ちとのことで、もしかしたら結石ができて尿閉を起こしているかもしれないと心配されていました。

 

超音波検査にて膀胱に結晶を疑うキラキラ光る浮遊物はたくさんありましたが、明確な結石はありませんでした。なお、膀胱も収縮していたことから、尿閉は否定されました。

 

この日は、皮下点滴の処置をして、症状の緩和を図りました。

 

再診:2019年8月31日

血液検査結果上、腎臓病ステージ2であることが疑われました。

全身状態も良好であることから内服薬を開始するまでとしました。

この日から、カツオくんの投薬生活が始まります。

 

最初のうちは、1ヶ月に1回の血液検査と超音波検査(エコー検査)でしたが、調子もいいことから、今では3ヶ月に1回と頻度を下げることができています。

 

カツオくんは吐きやすいタイプの猫ちゃんでして、嘔吐を3日連続した、または1日のうちに2回以上激しい嘔吐をして食欲が下がってきた場合には、まずはご連絡をいただき、頓服薬として準備してある吐き止めを飲ませてもらうようなプランを組んでいます。

 

今後どんな事が起こりうるのかを事前にご説明させていただき、その時に対応できるような頓服薬をどこまで準備するかを決め、ご自宅に備えていきます。

 

図1.png

 

まとめ

慢性腎臓病の定期検査は、1〜3ヶ月に1回とする場合が多く、この時のデータ次第でその頻度が決まります。

本来であれば、あまり高頻度に針を刺して検査をすることは、猫にとってもストレスになることもあり、あまり実施したくないところではあります。

しかし、急性期と言って、徐々に数値が悪化してきたのではなく急に悪化した場合には、1日2回の採血やそれ以上の頻度で検査することだってあります。

 

検査頻度に関しては、猫ちゃん性格と、ご家族様の意向、そして猫ちゃんの状態を考慮しながら、都度判断していきましょう。

 

どんなきっかけだったとしても、もし最後の検査から半年以上空いてしまっている場合には、状況把握の意味合いも込めて、血液検査だけでもお願いすることをお勧めします^^

 

猫ちゃんの腎臓病特設ページ

猫ちゃんと暮らしている以上、腎臓病については知っておかなければいけません。

腎臓病とは?腎臓病になるとどうなるのか?猫ちゃんではどんな薬を使うのか、などなど。

そして、大切なことは通院ができるかどうか、という点です。

なかなか動物病院に通院が苦手な猫ちゃんの場合には、往診ではどんなことができるのか、ご参考にどうぞ!

 

猫の腎不全特設サイト:https://asakusa12.com/kidney-failure/index.html

 

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東京台東区の動物病院 わんにゃん保健室です。

「腎臓病の猫ちゃんの看取りを知る」の5回目の記事です。
ターミナルケアの時期に入った場合、飼い主の皆様が愛するペットの最期をどのように看取るのかを考えなければなりません。

わんにゃん保健室では、ペットの安心や安全は勿論ですが、飼い主様の心に寄り添う診療を行いたいと考えています。
つらい病状で、見ていることが苦しくなる場面もあるかもしれません。
懸命に生きるわんちゃん・ねこちゃんに、飼い主様ができることを一緒に考えていきましょう。

 

 

病気が進行し、いよいよお別れが視野に入ってきた頃になると、今までのようにご飯をいっぱい食べたり、お散歩に行けなくなったりするどころか、家の中を自由に動き回ることすらままならなくなり、トイレだって間に合わずに粗相をしてしまうようになります。

 

・大好きだったご飯も食べられないのに、このまま長らえても、本当にこの子にとって幸せなのか。

・治療しても良くならないのであれば...もう何もしないで自然のまま旅立たせてあげたい。

・いっそ安楽死だって考えたい...

・でも、お別れはしたくない。もっと一緒にいたい。寂しい...

 

人間は矛盾した感情を持ち合わせた、一番複雑な動物なんだと思います。

 

だからこそ、悩んで苦しんで当たり前です。

 

お別れを視野に入れたプランを、私たちはターミナルケアと呼んでいます。

 

このステージになると、家族としてよりももっと小さい単位である、家族一人一人の「あなたはどうしたいのか」について、直球で考えてもらうこととなります。

そして、最終的には、家族としての方針を固めていきます。

ターミナルケア①.png

 

 

食卓を囲んで和気藹々とはいかないと思いますが、大切な家族の最後についての方針決めなので、必ず1度立ち止まって、みんなで向き合う機会をとってもらうことを強くお勧めします。

 

マインドセットをするということ

元気な時ではなく、もう病気は治らないとされ、残りの時間が後わずかである時、看取りを見据えたターミナルケアに入ります。

 

最後の日まで緩やかに下がっていき、ロウソクの火が消えるように、最後は苦しむことなくスッと旅立ってほしいと願うものです。

 

しかし、見取りはそんなに甘くなく、たった1時間の間ですら状態が急激に状態が下がることもあり、そのまま下がっていくのかと思いきや、また持ち直し、また下がる、を繰り返します。

 

もうこのまま眠っていいんだよって何度も声をかけても、まだ生きたい意志があるならば、きっとまた意識を戻してくるかもしれません。

 

ご家族様は肉体的にも精神的にも疲弊していき、もしかすると正常な判断ができなくなっているかもしれません。

 

それが、「看取りを視野に入れたターミナルケア」を実施するということです。

 

Q.急変しますか?

A.急激に状態が下がることはあると思います。

 

 

Q.急変したどうしたらいいでしょうか?

 

この質問を決めるのが、1つ目の課題です。

 

延命という言葉について、皆さんはどうお考えでしょうか?

 

言葉の定義などはさておき、この言葉について、あなた自身の答えを出さなければいけません。

 

現在の獣医療では、人間の救急車のようなものは存在しないため、状態がグッと下がった時には、この子を抱いて救急対応をしている動物病院へ駆け込まなければいけません。

 

そして、もしそれが夜間であれば、夜間救急を対応している動物病院になることでしょう。

 

この場合、夜間救急で命を繋ぎ、昼間の動物病院で状態を安定させ、退院できるのを待つ、という流れです。

 

これは、延命でしょうか?

 

事故とか、急性の病気・病状であれば、この道筋を描くことで、また一緒に暮らせるようになるかもしれませんので、できることなら連れていきましょう。

 

ただ、ターミナルケアでは、「そのまま家で看取る」という選択肢が並行してあります。

 

もし命がつながっても、また状態が急激に下がります。

 

そしてまた入院させるのでしょうか?

 

ターミナルケアの時期に入ったのであれば、私個人の経験上、ほとんどのご家族様が延命を希望されません。

 

「もう十分頑張ったし、十分幸せな時間をくれました。だから、このまま家で看取ってあげたいです。」

 

つい先日、ターミナルケアを実施しているご家族様からの言葉です。

 

 

Q.延命しない場合、何もしないで見ているしかできないのでしょうか?

 

これが2つ目です。

 

家で看取ることを選択されたとしても、今後起こると想定される症状に対して使える頓服薬をご自宅に準備していきます。

 

どんな症状があった時に、それをどのように解釈し、どの薬を、どの量で、どの方法で投与するのか、その間隔はどのくらいは最低でも開けなければいけないのか、などを細かく指導させていただきます。

 

 

その症状については、きっと参考になる写真や動画などをインターネット上から見つけることができると思いますが、この時の心境であったり、またそれが自分の子だったりすると、冷静さを失うほどの恐怖を感じると思います。

 

しかし、その場にはきっとあなたしかいません。

 

いかに冷静に対処できるかが求められるため、全てをシンプルに、そしてご理解いただけるまで説明させていただきます。

 

 

Q.ご飯を食べなくなったらどうしたらいいですか?

 

必ずぶつかる3つ目の課題です。

 

何は最後の最後までご飯を食べてくれる食欲旺盛な子もいますが、ほとんどの子で段々とご飯が食べられなくなります。その姿をみて、とても辛い気持ちになると思います。

 

この段階での食事の摂らせ方として、強制給餌や鼻カテーテル設置という方法もありますが、もう無理に食べさせない、という選択肢もあります。

 

強制給餌をすると、間違いなく嫌われます。長年築き上げてきた関係性が、一気に崩れるような気がして、少なくない数の飼い主様が、途中で断念しています。

 

ただ、食べなければ栄養価が下がってくることは事実なため、するべきなのか、食べないのであれば無理にあげる必要はないと判断するかは、ご家族様次第です。

 

ご家族様の意思決定に沿ったプランをご説明させていただきます。

 

 

Q.薬はいつまで飲ませるのでしょうか?

 

これが最後、4つ目です。

 

薬に関しては、可能な限り最後まで飲ませていただきたいと考えています。

 

最後とは、嚥下機能がなくなるとき、を表しています。

 

ただ、こちらもご家族様の意向を汲ませていただくため、まずは家族としての意見を伺わせていただきます。

 

 

・救急か看取りかの選択

・状態低下時の対応

・食欲廃絶時の対応

・投薬中止の判断

 

 

これら全部に対して、家族一人一人に考えていただき、そして家族として方針を決定していただきます。

 

これが、犬猫の在宅ターミナルケアにおけるマインドセットです。

 

もちろんこれで全てではないのですが、大きなポイントであるこの4点を、ターミナルケアだけでなく、緊急事態に備えて、是非日常生活においても話し合っておくことをお勧めします。

 

ターミナルケア②.png

 

 

今回、こちらのご家族様は、以下のような選択となりました。

・状態急変時は、動かしてさらに苦しい思いをさせたくないので、このまま家で看取る。

・強直性発作に対してのみ発作止めを使用する。

・嚥下ができるうちは内服薬のシロップを継続させる。

・ご飯を食べないのであれば、それは本人の選択として捉え、強制給餌はしない。

・皮下点滴による投薬は、最後まで行う。

 

 

以上、マインドセットでした。

 

次は、「看取りからお別れ、そしてご葬儀」です。

 

​猫の腎臓病についての解説ページ
猫の腎不全

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みなさんは、『貧血』について、ご存じでしょうか?

 

貧血とは、赤血球に含まれるヘモグロビンという物質が少なくなった状態です。

血液検査をしたときに、ヘマトクリット値などを用いて正常値より低いので貧血ですね、など言われたことがあるかもしれません。

 

貧血っていうと、鉄剤を飲ませるとか、ビタミンを摂ろうなどいろんな話が出てきますが、今回は再生不良性貧血っていう重度な病気で、白血球、赤血球、血小板など全てが減少してしまう疾患を抱えた、ゴールデンレトリバーの元気くんのお話です。

 

2022年8月6日現在、元気くんは内服薬を苦にせず飲んでくれるため、週1回の往診と1日2回の内服薬で頑張っています。

 

8月12日がお誕生日で12歳を迎えます。元気くんと、そしてご家族様が、この日を迎えられることを祈っています。

 

元気くん②.jpg

 

【往診依頼のきっかけ】

病気が発覚したのは、お散歩中、急に立ち上がれなくなってしまったことがきっかけでした。

 

それまでも、定期的に健康診断を受けていたのですが、この病気に関連したことは一切言われていなかったようです。

 

ただ、この病気に関しては、健康診断を定期的に行なっていたとしても見逃されやすく、気づいた頃には... ということも多い病気であり、また診断するにも骨髄検査を行うため、麻酔をかけなければいけません。

 

麻酔をかけることが悪いわけではないですが、診断したら、治療が始まり、その治療の全てを受け入れなければいけないという覚悟は、なかなか過酷です。

 

初めて迎えた子であれば、どこまでも追いかけなきゃという気持ちが高いかもしれませんが、先代を看取ったことのあるご家族様であれば、『攻める苦しさ』を知っています。

知っているからこそ、もう無理をさせたくないという気持ちで、攻めない選択を選ぶことも多いです。

 

元気くんは30kg弱のゴールデンレトリバーの男の子です。

元気なうちは難なく通院できますが、具合が悪くなり、自力で長時間歩けなくなったら、頻度の高い通院は、ペットだけでなくご家族様にとっても大きな負担になってきます。

 

本来は週1回通院されていたのですが、もう厳しいと判断されて、往診専門である当院までご連絡をいただきました。

 

【診察の様子】

お伺いすると、尻尾を振って私たちを迎えてくれる元気くんの姿があり、『あれ?元気そう?』って思うほどでした。

 

事前に病気のお話を電話でお伺いしていたので、興奮して呼吸レベルが下がらないかどうかを見ながら、元気くんへの挨拶を済ませ、お母さんから詳しいお話を伺いました。

 

この時、すでにヘマトクリット値も10%ギリギリだったこともあり、挨拶してくれた後は、テーブルの横で横になり、重度の貧血ながらもリラックスできているように見えました。

 

普段は屋内で歩いた後、バギーに乗せて散歩の場所まで行き、降ろしてあげると15分程度歩いているとのことでした。

この状態でもトイレは外でなければしないため、今も頑張って外に出ています。徐々に歩ける距離が短くなったものの、お外が好きなタイプの子たちは、最後の最後まで、できれば連れ出してあげてほしいと思っています。

 

奇跡的に食欲も普段通りにあり、ご飯の中に薬を入れてもしっかりと食べてくれるとのことでした。

薬は体重に準じて投与量が増えてしまうため、大型犬だとかなりの量になりますが、元気くんはそれをものともせずに、しっかりと食べてくれているようです。

 

採血も超音波検査(エコー検査)難なく受け入れてくれて、診察が終わると体力を振り絞って玄関まで見送りに来てくれました。

 

酸素環境も家の中に整えることができ、呼吸が苦しくなった時のみ使用していただきます。

酸素環境の構築には、①酸素発生装置の設置だけでなく、②酸素ボンベの設置、そして③酸素ハウスの設置の3つを考えなければいけません。またいつか、在宅における酸素環境については書かせていただきます。

 

そしてなんと、まだまだ歩けるんだよ!って姿を見せたいのか、お外まで出てきてくれて、トイレしている姿も見せてくれました。

 

本当に心の優しい、ゴールデンレトリバーの元気くんでした。

 

【今後の診療プラン】

診療プランは週1回程度の訪問で、血液検査とエコー検査を実施していきます。

内服薬を基本としますが、食欲が下がってしまい内服が難しい時期がきたら、皮下点滴による投薬に切り替えています。

 

緩和ケアの後半以降〜ターミナルケアでは、ほとんどのわんちゃん、猫ちゃんが内服薬を飲むことができません。

食欲もなく、ご飯も一切受け付けない時期がやってきたら、早々にプラン変更し、在宅でも実施可能な処置・処方プランをご提案させていただきます。

 

もし、今のかかりつけ動物病院にて、飲めないのに内服を出され続けている、ということがございましたら、ちゃんと話し合うことをお勧めします。

飲めない間にどんどん事態は悪化し、致命的な結果になってしまう前に、対策を相談し合うことが大切です。

ご家族様から言われないと気付けないため、むしろ早く相談してほしいと獣医師も思ってい流はずですので、心置きなく相談しましょう^^

 

また来週、お会いできることを楽しみにしています。

 

元気くん③.jpg

 

 

2022年08月13日(土) 追記

 

ゴールデンレトリバーの元気くん、昨日12歳を迎えることができました^^

 

本日往診でお伺いすると、インターフォンの音で玄関まで迎えにきてくれました。

 

今日もご飯をいっぱい食べてくれて、薬も全部そのまま食べてくれています。

 

本日は血液検査と増血剤の注射、超音波検査を行い、終始機嫌良く受け入れてくれました。

 

12歳のお誕生日にもらったおもちゃを持ってきて、音を鳴らして遊ぶ姿を見せてくれました。

 

次回は来週です。

 

写真は12歳のお誕生日の日の写真です^^

image_16850689.JPG

 

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東京の往診専門、わんにゃん保健室です。
ペットの往診を専門としている動物病院となっており、病院嫌いのわんちゃん・ねこちゃんのご自宅へお伺いし医療を提供しています。

「腎臓病の猫ちゃんの看取りを知る」の4回目の記事となります。
当院では、腎臓病(腎不全)を抱えた猫ちゃんに対して、適切な治療を行います。

 

 

本日で連続お伺い3日目で、結果もある程度揃ってきたこともあり、今後の方針決定に入ります。

 

0201000537.png

 

初診日、昨日と処置を入れたこともあり、状態としては落ち着いているものの、やはり食欲は一口舐めた程度だったとのことでした。

シロップの薬は飲めたとのことでしたので、本日は皮下点滴指導を行い、明日からはお母さんたちだけで実施してもらいます。よく頑張りましたね^^

 

全部の結果が揃った段階で、病態を考慮すると痙攣発作を起こす可能性があることをお伝えしました。

 

腎臓病が進行すると、胃潰瘍腸潰瘍口内炎だったり高血圧に伴う網膜剥離だったりと考えることはたくさんあるのですが、その一つが尿毒症による痙攣発作です。

 

痙攣発作は、急に見られる症状なのですが、正直最初は気が動転するくらい焦ることと思われます。

猫ちゃんに腎臓病はつきものですので、痙攣発作の動画をYoutubeなどで事前に確認し、どのようなものなのかを知っておくことが重要です。

 

痙攣発作が起きた時の考え方、生活環境として取ることができる行動指針、実際の対処法などをお伝えさせていただます。

 

そして、少しでも、残された家時間を快適に過ごさせてあげるために、猫ちゃんの生活環境の改善策(床の工夫、トイレの高さ、ご飯皿など)など、アドバイスできることがあればできる限りさせていただきます。

 

今回のケースでは、内服薬を1種類のみシロップで1日1回投与、皮下点滴は状態に合わせた医薬品を混ぜ1日1回実施、1週間に1回の検査、発作止めは5回分お渡しし、使用したらご連絡をもらうこととしました。

 

最後に、とても重要なことです。

 

医療プランや生活環境の見直しなどの側面をお話ししてきましたが、実は同じくらい大切なことに、マインドセット(覚悟を決めること)があります。

次は、「延命と看取りを考える」「ターミナルケアを知る」の2つの視点から書かせていただきます。

 

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前回は腎臓病の猫ちゃんの「問い合わせから在宅医療の初診内容」を書かせていただきました。

初診当日は、今までの経緯をお伺いするのにおおよそ30分〜2時間程度と、通常の診療と比べて長く十分な時間をとって、今までの経緯をゆっくりと教えてください。

 

翌日の診療となる今日は、昨日採取した検体から暫定的に得られたデータをもとに診療内容を組んでいきます。

 

もちろん、ここでも問診は必須です。

 

問診猫.png

 

Q. 昨日から今日にかけて、元気さ(運動性)に変化はありましたか?

A. ふらつきが強くなってきたことが気になっていたのですが、昨日の点滴を打ってから2時間くらいしてゆっくり眠ってくれて、起きた時の足取りが、なんとなく軽くなっていたように感じました。

 

Q. 食欲はどうでしたか?

A. 昨日の夜、少しですが食べてくれました。もう食べれないと思っていたので涙が出るほど嬉しかったです。

 

Q. 排便・排尿はどうでしたか?

A. おしっこは変わらずよくしています。うんちは出ていません。

 

Q. 嘔吐はありましたか?

A. 吐き気止めを入れてもらったおかげで、久しぶりに丸1日吐いていません。

 

Q. 咳はありましたか?

A. なかったです。

 

最初の見立てと検査結果が一致していたというのもありますが、処置を入れるのが遅すぎない限り、最初の方は結構な確率で状態が上がってきてくれています。

 

この猫ちゃんも同様で、見立てから腎臓病が第一優先でしたので、処置内容が合致してとても嬉しかったです。

ここで、昨日行った検査結果の暫定的なものをご説明させていただきました。

 

高齢猫ちゃんの腎臓病といえば、往診では以下の項目をよく用います。

 

血液検査

・BUN(尿素窒素)

・CRE(クレアチニン)

・IP(リン)

・SDMA

・Na-K-Cl(電解質)

・血球計算(貧血の評価など)

 

腹部超音波検査

・腎臓の左右差、大きさ、血流など

 

この猫ちゃんの検査結果はBUN、CRE、IPが重度に高値であり、貧血も軽度に起こしていました。

 

電解質には、そこまでの大きな乱れはありませんでした。

 

尿検査ではタンパク尿が認められましたので、これらのことから、皮下点滴+内服薬の処方プランを立てていきます。

 

皮下点滴は今後ご自宅でお母さんたちにお願いすることも視野に入れ、ご自宅で実施可能かどうか伺ったところ、「やるしかないのでやります!」、と力強いお言葉をいただけました^^

 

家族だけでは心配だという場合であれば、慣れるまでの間をスケジュールを組んでお伺いさせていただくこともあれば、私たちの方で皮下点滴を実施していくというプランにすることもあります。

 

内服薬もシロップ状にして飲ませてあげるやり方を同日指導させてもらい、明日の診察までに明日分の内服シロップ飲ませに挑戦してもらい、できたかできなかったか、できなかったとしたら何が難しかったのか、などをお伺いする予定であることをお伝えさせていただきました。

 

さて、ここまでで初診日、その翌日、その翌々日と3日間のスケジュールを組んでいきます。

 

今回のケースでは、初日は詳しい問診と詳しい身体検査を主体とした処置内容の決定と検査を行い、翌日は検査結果に沿った暫定的な治療プランを組んでいきました。

 

最終的に処方プランや検査プランを決めていくのは翌日の3日目が多いですが、おおよそのイメージをこの段階でお伝えしています。

 

当院では、腎臓病の猫ちゃんでコントロールが聞いていないうちは週1回程度の検査を実施しています。安定してしまえば、3ヶ月に1回程度の訪問で、検診を行なっていきます。

 

明日、処方プランを最終的に決めていきますが、ここで重要なのは、「内服を飲ませることはできるのか」です。ちなみに、内服薬の上げ方はたくさんあります。

 

・例えば錠剤の場合

  • 錠剤のまま飲ませる
  • 細かく砕いて投薬用のカプセルに入れて飲ませる
  • 細かく砕いてウェットや投薬用のおやつなどで包んで飲ませる
  • 粉にしてウェットや投薬用のおやつなどで包んで飲ませる
  • 粉にして水などの液体を少量(飲ませられる液体量は1ショット0.5ml以内にするのがおすすめ)

薬剤形.png

きっと上記以外にもあるかと思いますが、とりあえず5パターンのご紹介でした^^

 

ちなみに、フィルムや糖衣でコーティングされている薬は、粉にしてシロップにすると、全体がとてつもなく苦くなることがあるので、そういった薬は①〜③がおすすめです。

 

明日の診察で、シロップを飲ませられたかどうかで処方プランが変わっていきますので、明日の診察に期待です^^

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今回ご紹介するのは、東京渋谷区にお住まいの16歳の日本猫の女の子、徐々に食べる量が減ってはきていたが、ここ1週間ほどご飯をほとんど食べられていない、という主訴でした。

 

②用.png

 

訪問してみると、脱水してそうな顔つきの猫ちゃんがカーペットの上で寝そべっており、いかにも気だるそうな雰囲気でした。

口をくちゃくちゃしており、気持ち悪んだろうな、または口が痛いのかな?という素振りを見せてくれました。

キャットタワーもありましたが、もう登れていないとのことでした。

ただ、高いところが好きなのか、よく下から眺めているとのことでした。

もともとは体重が6kgくらいあった大柄の猫ちゃんだったとのことでしたが、測定すると体重は3.2kgと、半分近くまで下がっていました。

 

初診では、こんなお話を伺いました。動物病院に行った時も、きっと同じようなことを質問されると思いますので、普段から答えられるようにトレーニングしておきましょう^^

 

Q. ご飯を食べる量が減ってきたのはいつくらいからでしょうか?

A. ここ半年くらい、徐々に下がってきていましたが、ドライフードからウェットフードに切り替えたら食べてくれていました。それが、今月に入って一気に食べる量が減ってきて、それでもチュールなら食べてくれていて、1日3本くらい食べてくれていました。しかし、ここ1週間くらいから全く食べてくれなくなってしまいました。

 

Q. 元気さ(運動性)はいかがでしょうか?キャットタワーにはいつくらいまで登っていましたか?

A. 年齢もあってか、ずっと寝っぱなしの猫なんです。朝から夜までカーペットの上で寝ていて、たまに起きてトイレに行き、また寝るといった感じです。ここ最近、寝ている時間が増えた気がします。キャットタワーは、もう1年ほど前ですね。上を眺めているので乗せたいが、落ちたら危ないと思って何もできていません。

 

Q. トイレ(排便状況/排尿状況)について教えてください。

A. 排便はだんだんと便秘傾向になったのか、もともと1日1回は出ていたものが、最近では3日に1回とかだったと思います。硬いコロッとしたものを1〜2個程度でした。食べなくなってからは、もう1週間ほど排便を見てないです。おしっこは回数としては変化はないですが、全体として量(尿量)が増えていました。

 

Q. お水は飲めていますか?

A. すごい飲みます。このお皿で(おそらく200ml程度入るもの)で、朝入れておくと夜にはほとんどなくなっていることが多いです。

 

Q. 吐き戻し(嘔吐)はいかがですか?

A. もともと吐き戻し(嘔吐)をしないタイプの猫だったんですが、言われてみると、やっぱり1年くらい前からたまに(1〜2日に1回程度)吐くようになって、1ヶ月前くらいからは1日1回くらいは吐いていたような気がします。今もそのくらいです。

 

Q 咳はありますか?

A. 咳はないですが、くしゃみはたまにしています。

 

上記のような質問を繰り返し、今までの経緯やどんな形を望んでいるのかなど、かなり幅広くお話を伺っていきます。

おおよそ30分〜2時間程度かけて、今まで溜まっていた心のうちを一つずつ、一緒に紐解いていきます。

 

今回は、上にある内容から推察するに、腎臓病をまずは第一優先で調べていくことを考えるべきと判断しました。

また、その治療の過程で皮下点滴が必要になる可能性があるため、心臓の評価も合わせて行うことしました。

また、1年ほど前までは食欲があったこと、キャットタワーも登れていたことが、もしかすると代謝の異常亢進があったことも考え、甲状腺機能検査も実施しました。

 

血液検査を含めた各種検査に関しての考え方は動物病院ごとで大きく差があります。

往診では、次回診察までの期間でどんなことが起こるかを推測し、それに対しても事前に対策を練らなければいけません。

そのため、在宅医療における緩和ケアやターミナルケアに入ったわんちゃん、猫ちゃんに対しては、何度も針刺をして細かく検査するよりも、初診で必要であろうと判断される項目を全て検査しています。負担を最小限に考えつつも、集められるデータというパーツ集め、それをもとに大きめのデータの地図を広げ、どんなことが起こりうるかをご説明させていただいた上で、その時の対策を一緒に練っていきます。

 

今回は、血液検査に合わせて、腹部超音波検査を実施することになりました。なお、実施中に尿を漏らしてくれたため、その尿を採取して尿検査も実施することができました。

 

まずは症状に合わせた注射薬を選定し、皮下点滴として投薬していきます。

 

今回は、当日、翌日、翌々日と診療プランを組み、結果が出たものから順次評価していき、その結果に沿った治療を実施していきます。

 

点滴は初めてだったようで、モゾモゾ動いていましたが、ここは獣医師と動物看護師がチームで伺っておりますので、安心して全量きちんと投与を完了し、本日は終了です。

 

次回は検査プランと処方プランのお話です^^

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腎臓病の猫ちゃんの看取りを知る①

猫ちゃんの腎臓病って、本当に多いんです。

経験的には、10歳以上になればほとんどの猫ちゃんで腎臓が悪くなっていて、以下のような症状を認めています。

 

・お水をよく飲むようになった。(多飲)

・尿量が増えた。(多尿)

・痩せてきた。(削痩)

・後肢がふらついてきた。(筋力低下)

 

そのほかにもたくさんありますが、まずはこんなところです。

 

猫ちゃんって、どうしても動物病院へ通院するのが苦手な性格の子が多く、きっかけは最初の避妊去勢のあたりかなと思っています。

 

これを機に、キャリーに入れて外出すると、キャリーに入れて持ち上げただけで、またはキャリーを見るだけで、発狂してしまったり、失禁・脱糞、泡を吹くなど、全力で嫌がるようになってきます。

 

図1.png

 

 

ご家族様も、そんなに嫌がるなら、「健康診断程度で通院させなくていいのではないか?」という感じで、通院をしないことを選択されるようになります。

 

少しくらいの体調不良も、私たちと同様で、大体数日経てば治ったりします。

 

そんな経験もあってか、かなり多くの猫ちゃんが、動物病院離れをしているのが、この世の中の現状です。

 

そんな猫ちゃんも高齢になり、数日程度でいつもは改善していた体調が治らないだけでなく、徐々に進行してるような気がしてきた段階で、覚悟を決めて通院に踏み出すはずです。

 

ここで問題なのは、そもそも通院ストレスでおかしくなってしまいそうな猫ちゃんに対して、「体調が悪いのにさらにストレスをかけてもいいのか?」ということです。

 

ご家族様の中には、それでも通院させることを選択できる方もいれば、いっそのことこのまま家で看取りを視野に入れて、ゆっくりと過ごさせてあげたいと考える方もいます。

 

動物病院へ通院させることができるのであれば、待たないですぐにでも連れて行ってあげてください。

若齢の頃と比べ、高齢、特に10歳を過ぎての体調不良は、放っておくと致命的な結果になるかも知れません。

 

そして、通院を断念し、家で看取りを視野に入れようとお考えのご家族様、一度「往診/獣医/動物病院/犬/猫」などで、ご自宅まで来てくれる往診専門動物病院を検索してみましょう。

 

東京都内であれば複数の往診専門獣医師がいますので比較的見つけやすいかと思いますが、他の地域では、往診専門動物病院の数自体がかなり少ないことが予想されるため、万が一の時に備えて、先に調べておくことをお勧めします。

 

これは猫ちゃんだけでなく、いよいよペットを連れて動物病院へ通院させることが難しい時期がくることを想定し、わんちゃんの飼い主さんも検索しておくことをお勧めします。

 

検索ワードのおすすめは、「往診/犬/東京」、「往診/猫/東京」など、目的/対象動物/地域で調べるのがいいかと思われます^^

 

携帯画面+猫.png

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室の往診は、自宅での緩和ケアと呼ばれる苦痛をできる限り軽減して余生を過ごさせてあげることを目的とした治療、看取りが迫ったことを想定したターミナルケアに特化しています。

 

・病気に合わせた在宅医療プラン作成

・急変時の考え方と対処方法

・家で看取るということに対する心構え

 

生活環境とその子自身の性格などを考慮し、家族みんなの意思決定のもと、その方針に沿った、できる限り苦痛のない時間を過ごさせてあげるプランを作成していきます。

 

・ご飯のあげ方や種類

・トイレの位置や高さ

・床の簡易的な加工方法

 

状況に応じ、臨機応変にご提案させていただき、ご家族様と一丸となって、在宅ケアから家での看取りまで、一歩ずつゆっくりと一緒に歩んで行きます。

 

まだできることをあるはずです。諦める前に、必ずご相談ください^^

 

今回は、腎臓病の猫ちゃんの初診相談、緩和ケア〜看取り(ターミナルケア)までのお話です。

 

・問い合わせから在宅医療の初診内容

・検査プランと処方プランの立て方

・今後の方針決定

・延命と看取りを考える

・緩和ケアとターミナルケアのご飯の考え方

・看取りからお別れ、ご葬儀まで

 

猫ちゃんだけでなくわんちゃんであっても、最後を意識することで、今ある幸せにもっと気付けるようになれればなと思います^^

 

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犬猫の往診専門動物病院
わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
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東京の往診専門 動物病院、わんにゃん保健室です。
台東区を中心に、東京23区内へ往診エリアを拡大しております。

通院が難しいわんちゃん・ねこちゃんの飼い主様、お困りのことがございましたら往診に駆け付けます!

本日は、以前掲載を行った「猫の腎不全」関連の記事をご紹介したいと思います。

慢性腎不全の猫の症例

慢性腎不全とは、病態としては腎臓の毛細血管が萎縮したり、尿細管という水分を再吸収する器官の機能が低下するということが起こります。

その結果、腎臓全体の機能が落ちてしまい、老廃物がうまく体外に出せなくなり、必要な水分は外に出してしまうという状態になってしまいます。

老廃物とは具体的には尿毒素と言われるもので、これらが身体に溜まって症状を伴う場合に、尿毒症と呼ばれる状態になります。

これが慢性腎不全の病態です。

「よく吐く」「お水をよく飲む」「食欲が下がった」「ご飯を食べない」「よだれを流している」といった主訴の往診が多くなっております。

慢性腎不全の診断には、尿検査や血液検査を用います。

>慢性腎不全の猫(よく吐く/口をくちゃくちゃする/お水をよく飲む/痩せた)

嘔吐!大丈夫?よく吐く猫

お家の猫ちゃんが吐いてしまっても、猫だから、と思って特に気にしないことはございませんか?

たしかに、毛玉や空腹で吐いてしまうこともありますが、あまりにも嘔吐回数が多かったり、痩せてきたりするようであればそれは病気かもしれません。

見逃しがちな猫ちゃんの嘔吐の原因になる多い病気。慢性腎臓病の可能性があります。

猫ちゃんの慢性腎臓病は数年単位で進行していき、ある一定のラインを超えると嘔吐や悪心などの症状が出てきます。

>嘔吐!大丈夫?よく吐く猫(腎不全/甲状腺機能亢進症/犬猫往診)

腎不全になるには4段階ある!

猫ちゃんの往診で最も多いのが、腎機能と腎不全に関する治療です。高齢猫ちゃんで非常に多い病気の1つです。

お電話でも、『ここ1週間くらい食欲がなくて、3日前くらいから全く食べなくなった。毎日複数回吐き戻していて、今日は立てない』というお問い合わせをよくいただいています。

腎不全罹患の年齢に幅はあるものの、おおよそ10歳以上の子が多い傾向がありますので、やはり高齢期(シニア期)に発症しやすい病気だと言えます。

体内の老廃物を血液から濾し、尿として排出する機能を持つ腎臓。

 たんぱく質が体内で代謝・分解されてできた窒素化合物(尿素やクレアチニン、尿酸)
 体内で行なわれる新陳代謝で生じた老廃物
 体内に入った不要な薬物や毒物

なども、全て尿に溶けて排出されるのです。

上記が腎臓に負担をかける懸念があるため、往診の際には可能な限りタンパク量の少ないご飯をおすすめしていますが、猫ちゃんの状況によっては対応が難しい場合もありますので、臨機応変に診療プランを組んでまいります。

>腎不全になるには4段階ある!/高齢猫/ 16歳(目黒区)女の子

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こんにちは!

 

今回は糖尿病の猫ちゃんのお話です。

 

糖尿病はみなさんご存知かと思いますが、猫ちゃんも糖尿病になってしまうことがあります。

 

まずは糖尿病がどういったものなのか、少しお話しようと思います。

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犬猫の糖尿病について

 

糖尿病にはⅠ型糖尿病Ⅱ型糖尿病の2つの型があり、日本人の約95%はⅠ型の糖尿病と言われています。

 

Ⅱ型糖尿病は 遺伝的に糖尿病になりやすい人が、肥満・運動不足・ストレスなどをきっかけに発病します。インスリンの効果が出にくくなったり、分泌のタイミングが悪くなったりします。

生活習慣の見直し行うと改善したり、インスリン注射が必須ではありません。

 

残りの5%のⅠ型糖尿病は膵臓のβ細胞が壊れてしまい、まったくインスリンが分泌されなくなってしまいます。

 

インスリンを体外から補給しないと生命に関わるため、インスリン注射を欠かしてはなりません。

 

Ⅰ型は子供や若い人に多く、Ⅱ型は中高年に発症することが多い病気です。

 

では、犬や猫はどうでしょうか。

 

猫ちゃんの8割はⅡ型糖尿病と言われています。

 

一方、わんちゃんではどうでしょうか?

 

実は犬はどちらの型だか不明・・・なことが多いようです。

 

ほとんどは猫と同じようにⅡ型から発症したものと推測されるようですが、実際わんちゃんが具合が悪くなって病院に来る頃には病状が進んでいるため、Ⅰ型と同じようにインスリン注射が治療には欠かせなくなります。

また、犬や猫では膵炎との関連もよく言われており、膵炎により膵臓の細胞が破壊されてしまった結果、インスリンが出なくなってしまい、Ⅰ型糖尿病になってしまうケースもよくあります。

 

では実際どういった治療を行うのでしょうか?

 

糖尿病の治療方法

基本的には3つの治療を並行して実施します。

 

①食事療法

炭水化物が少ない処方食を食べてもらうなど。

 

②インスリン注射

:インスリン注射によって適切な血糖値に調節。

 

③インスリンの効果を下げてしまう基礎疾患の治療

:炎症性疾患(歯肉炎など)などインスリン抵抗性を上げてしまう疾患を治療してインスリンを効きやすくするなど。

 

の3つです。

 

③はさておき、①は選り好みがない猫ちゃんであれば戦える手法かと思われます。

 

なお、②がよく用いられますが、こちらは「インスリン注射を接種できる」ことが大前提での条件です。

 

打てるか心配で・・・

 

とご相談されますが、大丈夫です。

そもそも、自分の猫ちゃんにインスリンを打ったことがある方が珍しいです。

 

家の中で普段から触れる猫ちゃんであれば、注射は打てると思われますので、一緒にインスリン療法のプランを立てていきましょう!

 

糖尿病からの回復劇の主演を務める猫ちゃん

症例は東京都渋谷区松濤にお住まいの猫ちゃん、8歳の女の子。

 

猫ちゃんが最近お水をたくさん飲んで、トイレの回数も多いのですが、すごく怖がりな性格で家族でも触るのが難しいけれども診察をしてもらえますか?とのお問い合わせでした。

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室の往診は、獣医師と1〜3名ほどの看護スタッフが一緒にお伺いさせていただきますので、ほとんどの猫ちゃんで捕獲から検査、処置を実施することができます。なお、危険な保定などをご家族様にお願いすることはせず、ご家族様には近くでそっと見守っていていただきます。

 

こちらの猫ちゃんは小さい頃からすごく繊細で敏感なタイプで、子猫のワクチン以来、動物病院への通院はおろか、外に連れ出すこともできなかったとのことです。

 

しかし家の中ではとても甘えん坊で、抱っこが大好きで、よくお父さんのお腹の上で寝ているとのことでした。

 

キャリーを見せた時の豹変ぶりから、通院を諦めて今になったとのことでした。

 

ここ最近になって、お水が減るのが早くなり、おしっこの量もすごく増えたこともあって、猫ということもあり腎臓病が心配となったため、往診専門動物病院わんにゃん保健室にご連絡をいただきました。

 

たしかに、年齢的に多飲多尿の症状があれば腎不全も疑われますが、多飲多尿の原因はそれだけではないので、ほかの原因も考えながら、まずは血液検査をご提案させて頂きました。

 

ご家族様としては、初めての検査なのでぜひ健診もして欲しいとのことで、血液検査と超音波検査、可能であれば尿検査を実施することとなりました。

 

猫ちゃんのいるお部屋に入ると、カーテンが静かに揺れているのを目視でき、この後ろに隠れているご様子でした^^

 

大きめのバスタオルを数枚ご用意いただき、そっと覆うようにして捕獲してあげることで、結構多くの猫ちゃんが静かに出てきてくれます。当院の看護スタッフは、いろんな性格の猫ちゃんと向き合ってきているため、かなりの手練れですのでうまくいきますが、ご家族様だけで捕獲する場合には、専用のグローブを装着することをお勧めしています。

 

さっと捕獲し、まずは身体検査です。

 

身体検査では、かなりぽっちゃりな体型で、少し脱水していました。

 

素早く採血を行い、最初に血糖値測定を実施すると、かなりの高値が認められました。

 

猫ちゃんでは興奮すると血糖値が高く出ることがありますが、今回は通常の上昇幅を超す値でした。

 

タオルで顔を隠したままひっくり返して超音波検査を実施し、蓄尿を確認できましたので尿の採取も行えました。

 

大変よく頑張りました!

 

採取した尿はその場で尿一般検査を実施したところ、尿糖陽性を検出しました。

 

この時点で、糖尿病確定です。

 

猫の糖尿病って、学術的な内容は割愛しますが、早期であればインスリンから離脱できることがあります。

今回、初診段階で把握できた内容をもとに状況整理し、今日明日の診療プランをご説明させていただき、明日再診としました。

 

院内検査の項目は、翌日までには揃いますので、明日はそれを持ってさらに診療プランを組み立てていきます。

 

結果が揃い、インスリン量も決定し、ご家族様に毎日頑張っていただいたおかげで、今回のケースでは見事にインスリンの量を4.5Uから1.0Uまで漸減成功中です。

 

具体的には、以下のようなプランを主軸としました。

 

・食事量のコントロール

・毎日のご家族様による尿検査

・1日2回のインスリン注射

・2週に1回の血液検査

 

糖尿病を発症した猫ちゃんだと、従来では通院させて日内入院し、複数回の採血を実施しながら血糖値の経時的変化を追って、血糖効果曲線を作成します。

 

何度も押さえて採血するというストレスもですが、それ以上通院や入院など、非日常に対するストレスの影響は猫ちゃんにとってとてつもなく大きく、血糖値が明らかに上昇して見えてしまうため、日常の中での正確な血糖値を測定していくことが難しいです。

本来であれば安心できる環境で血糖降下曲線を作ってあげることが理想なんですが・・・

ちなみに、往診専門動物病院わんにゃん保健室では装着型の血糖測定器を体の側面に装着させ、アプリなどを用いて管理する方法も取り入れています。

 

一度安定してしまえば、そこからは低血糖発作に気をつけながら、ご家族様と連絡をうまく取り合うことで、ゆっくりとその子その子にあったペースで治療プランを進めていくことができます。

 

昨年までは、ペットの往診ではインスリン量の調整はできない!と考えられていましたが、このケースのように、往診であったとしても、ご家族様のご協力があれば頑張ることができます。むしろ、急性期を乗り越えインスリン量が決まった猫ちゃんであれば、往診の方が合っているのでは?と感じています。

IMG_7831.jpg

 

ただし、これが需要なのですが、尿ケトン陽性となってしまった場合には、残念ですが入院させてあげて、適切かつ集中的な入院治療が必須となります。。。

 

何事も早期発見早期治療を心がけましょう!

 

猫ちゃんの糖尿病は、早期発見早期治療で、インスリンから離脱させてあげましょう^^

 

ではまた〜^^

 

#出会ってくれてありがとう #糖尿病の猫 #往診専門動物病院

 

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年末のご挨拶

2021年もたくさんの命と出逢い、その命を囲んで奮闘を繰り広げるご家族様をわんにゃん保健室のスタッフ総出でサポートさせていただきました。

 

2020年、2021年はコロナ禍ということもあり、診療数に制限をかけていたこともあり、ご連絡いただいた全てのご家族様のもとへお伺いできたわけではないのが心苦しい年でした。

世の中の雰囲気を見て、2022年はきっと明るい光が差すことを信じ、スタッフ一同、各々の健康管理に徹底し、全力で診療に励みます。

 

診療報告

新たに出逢った緩和ケア総数:62

見送った命の数(ターミナルケア含む):42頭

スヤスヤ猫.jpg

 

 

情報発信

2022年は、在宅での緩和ケアやターミナルケアに関する情報を発信にも力を入れていきます。

instagramを中心に、具体的な事例紹介や高齢期に役立つ情報や、緩和ケア・ターミナルケアの時に考えなければいけないこと、マインドセットについてなど、できる限り多くのことをお伝えできればと考えています。

事例紹介:@wannyan_hokenshitsu公式アカウント

当院で診ている子たちの在宅緩和ケア、在宅ターミナルケア(看取り)の様子を発信していきます。

情報発信:@koheiemoto 院長のつぶやき

高齢期に考えなければいけないこと、もしも時の覚悟、あったらいいな、など高齢期に特化した情報を発信していきます。

 

年始の診療に関するお知らせ

2022年1月4日午後から、通常診療を開始します。

電話やメールは通じますので、年始の診療予約はお気軽にご連絡ください。

 

では、また来年^^

 

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腎不全の猫(食欲がない)

猫ちゃんは気分屋な生き物で、昨日まで大好きだったご飯を、今日は全く見向きもしない、といったことが日常茶飯事かと思います。

 

猫ちゃんで有名なフレーズで、“3日間食べないと肝臓の病気になる”というものがあります。

 

これはどういうことかというと、ご飯を食べないことによって飢餓状態になると、糖分の不足が起き、どこからか生命維持をするためのエネルギー供給源を探す必要があります。

 

そこで、身体が探し出したエネルギー共有源は脂肪であり、それを分解することでエネルギーを作り出します。

 

その過程で、肝臓にダメージが蓄積してしまい、脂肪肝のような状態へと移行していきます。

 

肝臓のダメージは不可逆性のような印象でいた方がよく、発症してしまったら、いかにして維持し症状を出させないかに尽力していきます。

 

ほとんどの場合、翌日には食べてくれますし、またはご飯を変えることによって「そうそう、これこれ」というように、悩んでいるご家族様を嘲笑うかのうようにガツガツ食べてくれたりもするので、食べてくれないという現象に慣れてしまうようになります。

 

しかし、上記のように“3日間食べないと肝臓の病気になる”ということを常に考えていなければいけませんし、異常かもと思って毎回動物病院に連れ出すのは、猫ちゃんのストレスが気になることと思います。

 

そのため、もし猫ちゃんが通院好きなタイプであれば例外としますが、そうでなければご家族様側が「小さな変化」に気づき、冷静に判断する必要があります。

 

本当に食欲低下だけでしょうか?

普段と比べて、運動性が下がっていませんか?

以前は大丈夫だったその“以前”は、何年も前のことではないですか?

 

経験からの期待的観測は危険です。

 

その結果、致命的なものとならないように、私たち人間が過去から学んであげる必要があります。

 

今回は、経験的観測により長く「食欲低下」を見逃してしまった猫ちゃんのお話です。

 

変化に対しては、無理矢理でもある種の指標を立て、感情的ではなく客観的に評価する。

 

そんなきっかけになればと思います。

図1.jpg

 

違和感に気づくきっかけ

東京足立区にお住まいの、くるみちゃん12歳、食ムラの多い性格とのことでした。

 

普段はご飯の種類を3~4パターン変えるだけで大体食べてくれたのが、ここ最近は準備しても全く興味を示してくれなかったとのことでした。

 

しかし夜になると1~2口だけ食べてくれた後があるので、少しでも食べてるなら大丈夫と判断してしまったとのことでした。

 

その状態で1ヶ月ほど経ってしまい、丸3日ご飯を全く食べなかったため、これはおかしいと思ったとのことでした。

 

ポイント:柔軟な姿勢で向き合う

こういった猫ちゃんへの対策は、これを食べなきゃあげない!という強硬姿勢を取るより、柔軟にご飯を選んであげることが大切です。

そのため、ご飯の種類をたくさん準備しておく必要があるので、ここで注意しなければいけないのが、食物アレルギーの存在です。

ご飯を食べて、体調に異変があった場合には獣医師に相談しましょう。

 

往診を予約したきっかけ

家の中ではゴロゴロなくるみちゃんですが、キャリーの中に入れるとものすごい勢いで鳴き叫んでしまい、それがトラウマで動物病院離れしてしまったという背景もあり、通院ではなく往診でお願いしたとのことでした。

 

当初は近隣の動物病院でも往診をしているとのことだったので、電話して相談してみたところ、すでに継続診療をしている子に限って往診をしていると言われてしまったり、別の動物病院では往診では何もできないから連れてきてくださいと言われて切られてしまったなどあったとのことでした。

 

調べてみたところ、当院を発見し、ご連絡いただいとのことです。

 

ポイント:動物病院に付属する“往診”はオプションサービス

動物病院は午前・午後診療時間以外に入院患者のケアや検査、手術などを行っています。

例えば10:00診療開始であれば、もしかしたらスタッフの出勤は8:00とかで、そこから入院動物たちのケアを行い、中にはギリギリで生きている子たちもいるため、朝からアクセル全開で仕事に臨んでいます。

午前診療が終わると、昼オペと精密検査、午後の診療が終わると入院動物のケアと夜オペの準備、夜オペ、更には病院清掃業務など、多岐に渡り、かつそのどれもが重たい作業です。そんな中に往診をどう盛り込めるかが勝負ですが、多くの場合、まずは通院・入院している目の前の犬猫を助けることで精一杯のはずです。

それでも往診をしてくれるのは、先生方の優しさからであると思ってあげてください。

そのため、怪我などの1回で済む治療以外は、往診専門動物病院まで連絡するようにしましょう。

 

3-③ 食欲が下がった.JPG

 

問診内容

食欲不振というお話以外は、普段と変わりないですとのことで伺っていましたが、状況は違いました。

 

元気はなく(運動性低下)、食欲は廃絶、嘔吐も1日1回以上あり、便秘気味、排尿はできていますがその臭いはほとんどありませんでした。

 

爪を見てみると太くなっていて、長い間爪研ぎができていなかったこともあり、おそらく長く体調が悪かったのだと考えました。

 

毛並み、皮膚の状態もあまり良くなく、重度の脱水を起こしていると判断しました。

 

ポイント:先入観ほど怖いものはない

往診では、元気、食欲、排尿、排便、嘔吐の5点をまずは一般状態の確認でお伺いしています。

日常的に繰り返していたり、または長い年月をかけて起きた変化だったりすると、ご家族様側に耐性ができているため、“まぁ、今回も大丈夫でしょ”という先入観を持ってしまう傾向があります。

動物病院に連れて行けない犬猫と生活していると、ある程度先入観を持たざるを得ないと思いますが、できれば専門家に相談できる環境を作ってあげましょう。

 

検査

①全身の状態チェック(一般身体検査)

体重は3.5kgで、全盛期が6.8kgあったことを考えると半分近くまで下がっていました。

削痩状態であり、危険な状態だと判断しました。

目はうっすら黄色く、また耳の内側も若干黄色味を帯びていました。

 

②腹部超音波検査

肝臓は全体的にザラザラしており、胆嚢には泥が軽度に貯留していましたが、特記すべき所見は認めませんでした。

腎臓の大きさは、左が右に比べて少し小さめであり、また左の構造が崩れていて血流もかなり弱いことが確認されました。

右も構造が変化しており、血流は確認できたものの、やはり弱くなっていました。

 

③血液検査

BUN >140mg/dL

CRE 14.3 mg/dL

Ca 6.5mg/dL

IP >15.0mg/dL

Na 170mEq/L

K 2.5mEq/L

Cl 127mEq/L

SDMA 35μg/dL

Hct 25.6%

(※ここでは腎不全と相関性の高い数値のみ記載しています。)

 

④尿検査

比重 1.035

黄疸(+)

タンパク(+)

(※採血時に漏らしてくれたので、それを採取したものを使用しています。)

 

以上の検査結果から、腎不全ステージ4ということがわかりました。

 

今後の診療プラン

本来であれば入院管理をしてガンガン点滴を流したり、できることであれば腎臓の透析をおこなっている動物病院もあるので、そこで入院治療を行うことも選べるのですが、そうは言っていられないのが猫ちゃんです。

もともと動物病院への通院が苦手で、さらに知らない環境で数日間の入院、知らない人に囲まれ、知らない臭いがたくさんする中で、具合の悪いこの子を入院させられないと考えるご家族様がほとんどです。

それであれば、看取りを視野に入れてでも、家でできる範囲で全力でやってあげたいと希望されましたので、1日2回の皮下点滴を開始しました。

 

3日後の血液検査で、奇跡的に大幅な改善を認めました。

その後、点滴頻度を1日1回、そして2日に1回と漸減し、現在は1週間に2回+内服薬2種類でコントロールしています。

図2.jpg

 

 

まとめ

単なる食欲不振だと思っていたら、腎不全だった猫ちゃんは、往診という診療形態であることから、かなり多く出会います。

先入観からの判断はかなり危険ですが、それでも毎回動物病院に連れて行くには、そのストレスでおかしくなっちゃうんじゃないかと考えられるかと思います。

それであれば、選択肢は1択で、ご家族様が専門的な知識を得ることです。

専門的と言っても、飼い猫ちゃんに特化した専門知識です。

 

猫ちゃんを迎えたということは、通院できない前提で、ご家族様が家で何ができるのかを先に考えておくことが大切です。

 

できる限り心残りがないように、できることを事前にできる分だけやっていきましょう。

 

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腎不全の猫(元気がないような気がする)

“…元気がない”

 

これには指標がないため、判断するのが非常に難しい症状の一つになるかと思われます。

 

元気があるかないかの判断には、“日常の普通”を把握している必要があり、その判断ができるのはご家族様です。

 

例えばこんな変化が、「元気がなさそう」に入ります。

 

□好きだったキャットタワーに登らなくなった

□鳴いて甘えてきたのに甘えてこなくなった

□呼びかけに対して反応が遅くなった、ないし反応しなくなった

□ご飯の音で近づいてきたのに、来なくなった

□寝てる時間が多くなった

□一箇所から動かなくなった

□動かないのに、目をあけて寝ていないような気がする

□普段は抱っこが嫌いなのに、静かに抱っこさせてくれた

 

などなど、挙げればキリがないですが、さまざまな角度から見て「元気がなさそう」と判断していきます。

 

猫ちゃんの“元気がなさそう”は、ちゃんと具合が悪い証拠だと考えてもらった方がいいです。

 

今日は、元気がなさそうだという主訴から、検査結果、腎不全ステージ4だった猫ちゃんのお話です。

 

何気なく気づいてしまったその違和感、無視していませんか?

 

スライド2.jpeg

 

違和感に気づくきっかけ

東京千代田区にお住まいの、トラちゃん18歳、年齢の割に元気で、キャットタワーの上り下りと、お父さんの膝の上が大好きで、夕食の時間になると、いつも飛び乗って甘えていたとのことでした。

 

しかし、お母さんには強気で、「撫でろ」とお腹を見せてはくれるのですが、抱っこしようとすると怒って逃げてしまうという、気難しいキャラクターだったとのことです。

 

ある日お仕事から戻ると、なんとなく動きが悪い、というよりは冷たい床の上で寝そべったまま移動していなさそうだなという違和感を感じたとのことでした。

 

以前にも、少し動きが悪いなという日はあったのですが、その時は放っておいても大丈夫そうという感じがして、案の定3日程度で復活したという経験はあったとのことでしたが、今回の違和感は「何か変だな」っていう怖い感覚を覚えたらしく、急いで往診を予約したとのことでした。

 

 

往診を選んだきっかけ

動物病院へ通院させることもできそうなのですが、普段から抱っこが嫌いだったということもあり、あまり無理に抱きかかえてストレスを与えるくらいであれば、家でまず見てもらいたいと思ったとのことでした。

現に、採血時に低血圧を疑うほどに血管が見えにくかったので、この選択は英断でした。

 

 

問診内容

ぱっと見ふさふさで、ガリガリだったり顔が浮腫んでいたりなどの所見はなかったのですが、伺っている性格との違いは明らかで、わんにゃん保健室のスタッフが近づいても逃げることなく、じっとしていました。

食欲は普段の30%以下くらい、水は結構飲んでいるとのことでした。

トイレの回数は減ったとのことでした。

 

ポイント:“性格の変化には要注意”

年齢を重ねて丸くなったなど、加齢と共にある程度の変化は伴ってきます。

ここで重要なのは、「急激な変化」です。

急激な変化とは、昨日と今日で雰囲気が変わったなど、明らかな違和感として気づく変化です。例えば、昨日まではシャーシャーで触れなかった猫ちゃんが、今日は触っても、抱っこしても怒らない、などです。逆も然りで、普段は温厚な猫ちゃんが、急に怒りん坊になったというのも注意が必要です。

前者であれば、単純に具合が悪いか、持病が悪化して症状を伴ったのかなど。

後者であれば甲状腺機能亢進症や脳神経系疾患、どこかが痛いなどが考えられます。

 

スライド1.jpeg

 

検査

①全身の状態チェック(一般身体検査)

お母さんからの連絡が早期だったため、トラちゃんは削痩することなく、診察を受けることができました。

腰仙部と言われる腰椎と仙椎の関節部分(腰の辺り)に、圧痛があること以外、大きな所見は認めませんでした。

 

ポイント: “高齢猫ちゃんで、腰仙部の圧痛はよくあること”

猫ちゃんは、体の構造上、腰仙部に長い間負荷がかかってしまいやすい生き物です。

猫ちゃんが運動するときは、全身の筋肉と関節をうまく使用してしなやかに、かつ瞬発力のある動きを見せますが、ちゃんと体には負担がかかっているということですね。

対策や予防など、元気な時には基本的に考えないでいいです。高いところにのぼらせないなど、教科書的な判詞はあっても、現実問題キャットタワーとか高いところは猫ちゃんの大好物なわけなので、それを取り上げて逆にストレスを加えるのは、そっちの方が体に良くないと考えています。

元気がないなと感じた時に、その部分を圧迫すると皮筋がピクピクしたり、腰が下がったりなどの反応があれば圧痛ありと判断できます。

しかし、もし椎間板ヘルニアなどの病気があった場合に、むやみに刺激を加えたことが致命傷になりかねないので、違和感を感じたら、獣医師に相談しましょう。

 

 

②腹部超音波検査

肝臓はやや白くなっていて、軽度の脂肪肝はありそうではありましたが、特記すべき所見は認めませんでした。

腎臓の大きさも左右対象で、左右共に腎臓の血流が弱いことがわかりました。

 

 

③血液検査

続いて血液検査です。

血液検査では、BUN >140mg/dL、 CRE 7.5 mg/dL、 C a 10.5mg/dL、IP >15.0mg/dL、 Na 162mEq/L、 K 3.0mEq/L、 Cl 117mEq/L、 SDMA 32μg/dL、 Hct 38.1%でした。

(※ここでは腎不全と相関性の高い数値のみ記載しています。)

 

 

④尿検査

比重 1.013、タンパク(−)

(※尿は翌日の診察で、その日の朝に採取してもらったものを使用しています。)

 

 

以上の検査結果から、腎不全ステージ4ということがわかりました。

 

今後の診療プラン

腎不全ステージ4でタンパク尿陰性ということなので、当院では内服薬2種類に併せて皮下点滴プランを組みました。

食欲が下がっていることもありますが、血液検査で腎臓の数値が飛んでいることを考えると、すぐに手放しはできないと考え、最初の3日間は朝・夜の皮下点滴で訪問し、3日後の検査でデータが安定してきたことと、食欲が上がってきて元気になってきたこともあり、1日1回の皮下点滴とさせていただきました。

また、この段階でご家族様だけで皮下点滴をお渡しも可能だったのですが、お父さんの出張と重なってしまってしまったため、帰宅までの2週間は毎日お伺いして実施し、戻られてから皮下点滴トレーニングを行い、お渡しという流れになりました。

 

・最初は1日2回の皮下点滴

・3日後の血液検査と尿検査で改善傾向を認め、1日1回の皮下点滴に変更

・1週間後の血液検査と尿検査でさらに改善傾向を認め、2日に1回の皮下点滴に変更

・1週間後の血液検査と尿検査でさらに改善傾向を認め、週2回の皮下点滴に変更

・1ヶ月に1回の血液検査と尿検査で安定しているため、プランを維持

 

 

まとめ

今回は、何よりお母さんの初動の速さが功を奏したと思います。

もう少し放っておくと、嘔吐が止まらなくなり、重度の貧血を起こし、また腎不全末期まで進行してしまい、皮下点滴では対応できず入院するか家で看取りを視野に入れての集中的なケアをしてあげるかの選択を迫られていたと思われます。

 

腎不全って腎臓の病気なのですが、腎臓の病気って進行性の病気なため、早期発見・早期治療が何より重要とされています。

気づきに対する対策としては定期健診なのですが、猫ちゃんという生き物である手前、そう簡単に検査に連れ出すことが難しく、結果動物病院離れを起こしてしまっている状況が多く見られます。

動物病院へ通院できるうちは、また連れ出せる性格の猫ちゃんであれば、定期的な検査をしてもらうようにしましょう。頻度は、年2回が目安です。さらに、10歳を超えてきたら、すこなくとも年4回(3ヶ月おき)は検査を受けさせてあげ、異常値が見つかったら早期から何ができるのかを獣医師と相談しましょう。

 

通院が難しい場合には、お近くの往診専門動物病院に、まずは相談してみましょう。

東京23区とその近郊であれば、私たち、往診専門動物病院わんにゃん保健室が全力でサポートさせていただきます。

 

 

ペットの緩和ケアと看取りのお話

ペットの緩和ケアやターミナルケアをお考えのご家族様向けに参考ページを作成しました。

今後、もし慢性疾患など、治療による根治ではなく、症状や病状のコントロールのみと診断された場合、通院で今後も診てもらうか、在宅に切り替えるべきかを考える参考にしていただければと思います。

 

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是非ご一読ください。

 

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腎不全の猫(最近ふらつくようになった)

“猫ちゃんは腎不全を患ってしまう”

 

という印象があります。

 

※毎回前置きになってしまうのですが、腎不全は診断名としては不適なのですが、一般的に使われている言葉ですので、web上ではなるべく腎不全に統一させて表記していますので、ご了承ください。※

 

しかし、猫ちゃんからすれば、一体何をきっかけに腎不全と気づいてもらえるのでしょうか?

 

定期健診の中で、たまたま測定して血液検査結果や尿検査結果などをみて気づくのでしょうか?

 

多くの猫ちゃんが動物病院に通院することを苦手としているという背景を考えると、定期的な健康診断の中で発覚するという、教科書的な理想の実現は難しいと思われます。

 

なら何から気づくのでしょうか?

 

答えは、「症状」からです。

 

症状?と言われると、少し抵抗を感じるかと思いますが、大切なのはなんとなく感じる“違和感”に素直に反応することです。

 

違和感を感じるためには、日常の普通を把握しておく必要がありますので、普段から食事内容や量、運動性やトイレ事情などを肌で感じておきましょう。

 

今回は、「最近ふらつくことが多くなった気がする」というお話から、腎不全が発覚した猫ちゃんのお話です。

 

ふらつく猫1.png

 

違和感に気づくきっかけ

東京中央区にお住まいの、三郎くん16歳、年齢からなのか動きも鈍く、たまにふらつくということを数ヶ月前から認めていたとのことでした。

特に寝起きに多いことから、年齢からくる変化であり、人間も高齢になればいきなり起き上がれないということは日常的によくあることですので、あまり気にしていなかったとのことでした。

ふらつきがある以外には、食事も摂るし、トイレだって粗相しないし、嘔吐も特別目立ってはないかなったとのことでした。

 

 

往診を予約したきっかけ

16歳の誕生日を迎え、ネットの記事で猫ちゃんが16歳になったら腎不全を発症するかもっていうのを見たらしく、安心のためにご連絡をいただいたとのことでした。

また、動物病院への通院も考えたのですが、お母さんたち自体がご高齢であることから、キャリーに入れて持ち歩ことが難しいと判断したため、往診を選ばれました。

 

問診内容

元気は普段と変わらず、食欲も旺盛で、排便や排尿にも問題はないとのことでした。

しかし、ふらつきはだんだん目立ってきたので「関節が痛いんだと思っていた」、とのことで伺いました。トイレの頻度に大きな変化はないとのことでした。

 

ポイント:“日常の緩徐的な変化は見逃されやすい”

ふらつきがいつ頃から始まったのかを伺うと、3ヶ月前くらいからとのことでしたが、もっと詳しく話を伺うと、本当にふらつきが始まったのは、おそらく2 週間程度前だということがわかりました。3ヶ月前は寝起きだけふらついていたのに対して、2週間ほど前から普通歩いていて転ぶことがあるとのことでしたので、おそらくこの時点で病気が変わったか、あるいは発症したのかと考えます。

 

 

一般身体検査・血液検査・腹部超音波検査・尿検査検査

①全身の状態チェック(一般身体検査)

削痩といって、高齢の猫ちゃんであったり、病気を抱えている猫ちゃんだったりすると、全盛期と比べて大きく痩せていることから、背骨のあたりが目立ってくる子が多くいます。しかし、三郎くんはそんな様子はなく、また手足に浮腫みもなければ足腰の関節に痛みを伴うこともありませんでした。

この年齢の猫ちゃんにしては、奇跡的に丈夫な骨格の持ち主だなと感心されます。

背中のお肉を少しつねって放し、皮膚の戻りをチェックする方法で脱水状態を確認するのですが、軽度に脱水がある程度で、そこまで明らかな脱水はなさそうでした。

 

②腹部超音波検査

肝臓はやや白くなっていて、軽度の脂肪肝はありそうではありましたが、猫ちゃんで高齢であれば、大体同じような所見ですので、あまり気にする必要はないと考えています。

腎臓の大きさも左右対象でしたが、左の腎臓の血流が弱かったことがわかり、ある日を境に、右の腎臓で頑張っていたんじゃないかと推測されました。

 

ポイント: “腎臓の機能は、左右2つ合わせた合計”

片方が機能0%であったとしても、もう片方が100%機能していれば、全体では50%です。ちなみに腎不全は腎臓の機能が残り25%未満にならないと数値として評価できないことを考えると、もしかすると見逃されてしまっているかもしれません。

 

③血液検査

続いて血液検査です。

血液検査では、BUN 104mg/dL、 CRE 4.8 mg/dL、 C a 9.2mg/dL、IP 7.5mg/dL、 Na 160mEq/L、 K 4.2mEq/L、 Cl 124mEq/L、 SDMA 20μg/dL、 Hct 20.1%でした。

(※ここでは腎不全と相関性の高い項目のみ記載しています。)

 

ポイント:“血液検査中は声をかけないでください”

三郎くんはずっしりした姿勢の持ち主であったということもあり、びっくりするくらい抵抗せずにすんなり採血に応じてくれました。押さえられることが非常に苦手なのが猫ちゃんという生き物ですので、この時ギャ〜ッて鳴くのですが、お母さんたちが必死に声をかけてくれることがあります。しかし、これはかえって感情を煽ってしまったり、またはお母さんたちも嫌なことをするグループの一人として認識されてしまう恐れがあります。

そのため、心を鬼にして離れて見守ってあげてください。

 

④尿検査

比重 1.014、タンパク(−)

(※尿は翌日の診察で、その日の朝に採取してもらったものを使用しています。)

 

ポイント:“尿検査はできる限り新鮮尿で”

尿検査には、尿の採取が必要なのですが、採取方法として自然排尿または医療的な採尿に分かれます。医療的な処置であれば、圧迫排尿、カテーテル採尿、穿刺尿がありますが、どうしても急ぎ検査しなければいけない場合を除き、往診では自然排尿で採取した尿で検査することをおすすめしています。猫ちゃんはストレスに弱い生き物です。できる限り、ストレスが少ない方を選んでいきましょう!ちなみに、細菌感染の判定は、自然排尿の尿では可となってしまいますので、どんな尿がいいのかを獣医師と相談しましょう。

 

以上の検査結果から、腎不全ステージ3ということがわかりました。

 

今後の診療プラン

腎不全ステージ3タンパク尿陰性ということなので、当院では内服薬2種類に併せて皮下点滴プランを組みました。ご飯も食べれているということと、ふらつき以外に大きな支障が生活に出ていないことを考慮して、皮下点滴は週2回程度として、1ヶ月後に再検査としました。

その結果、血液検査結果上、優位に改善を認め、三郎くんのふらつきがなくなったということでした。

 

 

まとめ

単なるふらつきであっても、ふらつくタイミングや頻度、その度合いなどから、高齢猫ちゃんの単なる関節炎などの老齢性変化だけでなく、そこには腎不全が隠れているかもしれません。

 

日常の中に潜む何気ない違和感、あなたは見逃していませんか?

 

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