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急に足を痛がる、足を引きずる(猫/東京江戸川区/ペットの在宅ケア)

こんにちは!

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室 往診獣医師の江本宏平です。

 

わんにゃん保健室では、東京の東側を中心に訪問依頼を受けることが多く、東京江戸川区や東京葛飾区などに頻繁に往診しています。

往診と言うと、やはり人間の医者による高齢者や病院に通院できない方のご自宅に往診に行っているイメージが強いですが、犬猫の場合も同じです。

ただ、おそらく違う点を挙げるとするならば、犬猫の往診はペットの性格や状態によっては、結構激しい現場になることです。

と言うのも、動物病院に連れていけないくらい状態が低い犬猫だけではなく、全く手がつけられないくらい怒って暴れる犬猫のケースもあるからです。

わんにゃん保健室では、状況に応じて動物看護師が1人〜3人同行し、わんちゃん・猫ちゃんの確保に尽力します。

確保できれば、あとは通常通り採血、採尿、腹部超音波検査などの各種検査を行い、内服薬が苦手な犬猫出会った場合には、複数の注射薬を皮下点滴に混ぜて1度に投与することをできますので、ペットにとっても飼い主様にとっても最小限の負担で治療を行うことができます。

動物病院に連れて行けないで困っている飼い主様、お気軽にお問い合わせください。

 

 

さて今回は、血栓症という、血栓ができて血管に詰まってしまう病気になってしまった猫ちゃんのお話をさせて頂きます。

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血栓症というのは、人でいうと脳梗塞や心筋梗塞が最もイメージしやすいかと思います。

これらの梗塞、というのは血栓が血管に詰まってしまいそこから先に血液が行かなくなってしまうことを意味します。

血液が行かないと、その先の組織は壊死してしまったり、例えば脳梗塞であれば、血液がいかない時間が長くなってしまうと脳の組織が虚血してしまい、神経麻痺が後遺症として残ってしまうことがあります。

わんちゃんや猫ちゃんでももちろん脳梗塞や心筋梗塞になる場合もありますがなかなかそこまでの診断ができることは多くはありません。

しかし、わんちゃん猫ちゃんでも血栓症が起こりやすくなってしまう疾患は沢山ありますそして、その詰まってしまった場所によって、症状にかなり差がありますが、今回は猫ちゃんで多い、足に血栓が詰まってしまった高齢猫についてお話していこうと思います。

 

症例は、東京江戸川区在住の18歳、高齢猫のシロちゃんです。

シロちゃんは1年ほど前に初めて往診に行かせていただき、そこから甲状腺機能亢進症、という高齢猫さんではよく見られる内分泌疾患の治療を続けており、内服薬で経過は良好でした。

しかし、ある日の朝、往診車で出発しようとしていると、シロちゃんからお電話がなりました。

お電話にて、シロちゃんが先ほどから急に悲鳴をあげて暴れまわっていて足がすごく痛そうですぐに往診をしてほしいとのご希望でした。その日は朝のご予約に余裕があり、甲状腺機能亢進症を治療中ということもあって、血栓の合併症が考えられたため、緊急と判断し、そのまますぐにシロちゃんのお家に向かわせて頂きました。

緊急処置が必要と感じられたので、お電話で詳しくお話をお伺いさせていただいたところ、今朝の直前までかなり元気に過ごしてくれていたそうなのですが、その後から急に暴れまわる状態になってしまい、ご家族様もかなり動揺されている様子でした。

お家に入るとシロちゃんはかなり興奮状態で、興奮することでかなり心拍数も上がってしまっていました。

足が突っ張ってしまいかなり痛そうでしたので、まず応急処置として鎮静剤、鎮痛剤を注射し、落ち着かせて痛みをまずは鎮めました。

しかし1回だけでは効果が弱く感じられましたので、追加で投与したところ、ようやく落ち着きを取り戻し少し眠そうな様子になってくれました。

そのまま薬が効いているうちに採血を行い、点滴を行なっていきました。

シロちゃんにはそのまま少し寝ていてもらい、心拍数など身体の状態を見つつ、飼い主様と再びお話させて頂きました。

急な変化ということと、興奮する様子を見たところ、血栓症の可能性がかなり高く思われ、鎮痛、鎮静剤を積極的に2日ほどは使っていき、様子次第で減らしていくことが良いかと思われました。

脳梗塞でも頭が急に痛くなるように、猫ちゃんも足に血栓が詰まってしまうとかなりの激痛が走ります。

そのため興奮してしまい、興奮しすぎてケガをしてしまったり、心拍数が上がりすぎてしまい、心臓に負担をかけてしまったり、と危険な状態になってしまいます。

そのため、まずは痛みを取ってあげて、同時に鎮静効果もあるため落ち着いてくれて、身体としては少し麻酔が入っているような状態になりますが、負担は減ってくれます。

しかし、痛みをとっても、血栓があるままであればその足はいずれ壊死していってしまう可能性があり、それに関しては注射で血栓溶解剤を入れたり、という治療がありますが、どこまで治療をしていくか、というところになってきます。

病状についてご家族様にお話させて頂いたところ、痛みを取ってあげたいが、年齢的にも無理はして欲しくないので、それ以上の治療は望まれていないということでしたので、いわゆる緩和ケアを行なっていくこととしました。

しかし、そのまま何もせず壊死していくことはかわいそうなので、血栓を溶かすように働いてくれるお薬も使っていくこととしました。

鎮痛剤や血栓のお薬は1日3回必要になってるので、お家でご家族様に入れて頂く必要があります。

それに関しては、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室の獣医師が丁寧にできるまでご指導させていただきました。

ここで、血栓症について少しお話です。わんちゃんではクッシング症候群という病気で血栓ができやすくなりますが、猫ちゃんでは冒頭でもお話させていただきました通り、甲状腺機能亢進症や心筋症などでも血栓ができやすくなってしまいます。

わんちゃんのクッシング症候群についてはまたべつの記事でお話させて頂きますので、今回は甲状腺機能亢進症で血栓ができやすくなる仕組みをお話させて頂きます。

甲状腺機能亢進症では身体の代謝がかなり上がってしまった状態になりますが、その中でもちろん心臓も心拍数が上がり血圧も上がります。

そうすると、心拍数が高すぎて、1回の拍動で出て行く血液量が減ってしまい、心臓の中に血液が残ってしまいます。そうするとそれが少しずつ固まって血栓を形成してしまうことがあるのです。

その血栓が心臓から出ていき、身体のどこかの血管で塞栓すると、その部分で症状が起きてしまいます。

今回のシロちゃんの場合はそれが足で、かなりの痛みを伴ったということです。

血液検査では、大きな異常はありませんでしたが、赤血球がかなり多くなっていて、興奮の度合いが予測されました。

次の日もう一度お伺いさせて頂いたところ、シロちゃんは昨日より落ち着いていて、お薬が効いているようでした。

引き続き同じお薬を使用し、明日も大丈夫そうであればお薬を少しずつ減らして行く方向でご家族様とお話させて頂きました。

 

今回のシロちゃんのように、基礎疾患があり、急に併発疾患が出てきてしまうこともありますが、動物病院にすぐに連れていけない、興奮しすぎるので外に連れ出せない、などの理由で動物病院に行けないご家族様はとってもたくさんいらっしゃいます。

自分の家の子だけかも、と心配なさらず、往診専門動物病院わんにゃん保健室までお気軽にご連絡ください。その子その子にあった、そのご家族様に合った治療をオーダーメイドでご提案させて頂きます。

 

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