わんにゃん保健室

診察をご希望の場合には、必ず留守番電話にメッセージをお残しください。(お名前、ご住所、電話番号、動物種、年齢、体重、性別、症状)

東京23区へ往診エリア拡大!お気軽にご相談ください。

03-4500-8701 往診WEB予約はこちら
わんにゃん保健室 03-4500-8701 往診WEB予約はこちら

診察をご希望の場合には、必ず留守番電話にメッセージをお残しください。(お名前、ご住所、電話番号、動物種、年齢、体重、性別、症状)

東京23区へ往診エリア拡大!お気軽にご相談ください。

2025年5月アーカイブ

猫の腎臓病は在宅緩和ケアが可能(2025年5月)

猫の慢性腎臓病は進行性の疾患であり、内服薬や皮下点滴などを含めた期的な管理が必要です。特に高齢の猫にとって、頻繁な通院は大きなストレスとなることがあります。本記事では、15歳7ヶ月の日本猫、ロッキーくんの症例を通じて、在宅での緩和ケアの可能性とその実践について詳しく解説します。

 

ロッキーくんの症例紹介

東京都中央区にお住まいの日本猫、15歳7ヶ月の去勢雄ロッキーくん。3年前にかかりつけ動物病院で腎不全と診断されました。診断当初は腎臓ケアのフードやサプリメントによる治療が中心でしたが、徐々に血液検査結果の悪化がみられ、血管拡張薬やラプロスの投与が開始されました。

さらに病状が進行するにつれ、皮下点滴が必要となり、通院回数も最初は週1回から週3回へと増えていきました。しかし通院後はぐったりして寝込んでしまう日が続き、ご家族は「これ以上の通院はストレスになる」と判断し、在宅緩和ケアへの切り替えを決断。当院へのご相談をいただきました。

初診ではこれまでの治療経過や現在のご様子、ご家族が希望する今後の診療方針を細かくお伺いするカウンセリングからスタート。特に呼吸状態の悪化が気になったため詳細に状況をお聞きすると、体重2.3kgのロッキーくんに対し1回150ml以上の皮下点滴を行っていたことがわかりました。

すぐに超音波検査(エコー検査)を実施したところ、胸水の貯留を確認。もともと心臓には問題がないと聞いていたものの、診察では心雑音も確認できました。このことから、腎臓病の管理に集中するあまり、循環状態の悪化に気づかず過剰輸液になってしまっていたと考えられました。

さらに動物病院の診療体制からも、多くの獣医師による引き継ぎの中でプランが固定化されていたリスクも考えられました。当時の体重は4.5kgあったため、当初の計画は理解できましたが、その後の体重変化に応じた見直しが行われていなかったようです。

このような経緯を経て、ご家族のご希望に沿いながらロッキーくんの在宅緩和ケアがスタートしました。現在は1回60mlの皮下点滴を1日2回、ご自宅で行っていただきながら、月1回の往診と血液検査で状態を管理しています。

初期の在宅緩和ケアと症状改善

在宅緩和ケアに切り替えた直後のロッキーくんは、呼吸状態が悪く全身のだるさも顕著でした。まずは過剰輸液による循環負担を軽減するため、皮下点滴の量を標準量に合わせ、1回60mlを1日2回に分けて投与するプランを立てました。

この変更により、呼吸の速さや努力性呼吸(肩で息をする動き)が徐々に改善。胸水の貯留も少しずつ減少傾向となり、ロッキーくん自身の活動性もわずかに回復していきました。

加えて、腎機能の安定化と心負担軽減のために、内服薬やサプリメントの種類・量も細かく調整。血圧管理や利尿のバランスも慎重に見ながら治療を進め、ご家族には日々の観察ポイント(呼吸数・食欲・体重・排尿量など)を共有しました。

通院の負担から解放されたことはロッキーくんにとって非常に大きく、ご家族からも「以前より目に見えて落ち着いた」「呼吸も楽そうで安心して過ごせるようになった」とのお声をいただきました。

在宅ケア開始から約2週間後には、食欲・元気ともに安定。腎不全に対する治療を継続しながら、ストレスの少ない生活環境を整えることができました。

 

在宅管理のメリットと課題

在宅緩和ケアに切り替えたことで通院ストレスから解放され、診療のストレスも最小限にすることができ、また日々の変化についても二人三脚で歩んでいけることも大きなメリットのようでした。指示は口頭のこともあれば、基本はメールでの指示となるため、ご家族にとっても、どんな指示だったかのか、相談結果などを忘れてしまった時に、文書に戻れるという安心感があったとのことでした。

課題としては急変時の対応です。緩和ケア〜ターミナルケア、そして看取りといった後半のステージでは、急変はつきものです。その時に、1.救急を対応してくれる動物病院に飛び込むか、2.自宅でできる範囲の準備をしておき対処する、の2択となります。

まだ緩和ケアに切り替えたばかりの頃であれば、1を選ばれることがほとんどですが、病状の進行とともに、2を選ばれることが多くなり、ターミナルケアでは、みんなが2を選択されます。

もし1を選ぶ場合には、すでにかかりつけだった動物病院にお願いすることが多いですが、別の動物病院が関与しているのであればうちは診ない、とする動物病院も多く存在するのが現実です。

このように、在宅緩和ケアに切り替えることによるメリットもあれば、デメリットも存在します。

また、往診と救急は相性が悪いということをご理解ください。

急変時の判断はご家族に委ねられるため、日頃からの方針決定や、担当の先生との意思疎通はしっかりと行っておきましょう。

 

皮下点滴の調整と安全な管理

腎不全管理において皮下点滴は非常に重要な手段ですが、過剰輸液による副作用にも注意が必要です。ロッキーくんのケースでも、当初は過剰な点滴量が原因で胸水貯留を起こしてしまいました。在宅緩和ケアでは、安全な範囲での適正な投与量と頻度の調整が不可欠です。

過剰輸液のリスク
  • 胸水貯留や浮腫による呼吸苦
  • 心雑音の発現や循環負荷増加
  • 腎不全以外の合併症リスク
安全な皮下点滴管理のポイント
  • 体重1kgあたり10〜30ml/回を基準に設定
  • 猫の状態に応じて分割での投与を選択
  • 注射部位や針の選択、衛生管理を徹底
ご家族と二人三脚の治療
  • 初回は往診時に点滴方法を丁寧に指導
  • 不安があればオンライン相談やメールでフォロー
  • ご家族の精神的な負担を最小限にしつつ継続治療をサポート

現在ロッキーくんは1回60mlを1日2回という少量・高頻度投与で、腎臓への負担を抑えながら安定した管理が続けられています。

 

血液検査と病状モニタリング

腎不全の管理において、定期的な血液検査による病状の把握は不可欠です。在宅緩和ケアにおいても、月1回の血液検査で状態をモニタリングし、適切な治療調整を行っています。

主な検査項目
  • BUN(血中尿素窒素)・クレアチニン:腎機能の評価
  • SDMA:早期の腎障害検出
  • リン・カリウム・ナトリウムなど
検査データに基づく治療調整
  • 皮下点滴量や頻度の見直し
  • リン吸着剤を含めた投薬内容の調整
  • 食事療法やサプリメントの再評価
ご家族への説明とサポート
  • 検査結果は丁寧にご説明し、ご家族と今後の治療方針を相談
  • 体重や食欲の変化なども併せて総合的に判断
  • 常に最新の状態を共有し、ご家族と二人三脚のケア体制を継続

ロッキーくんのケースでも、月1回の血液検査によって過剰輸液の早期発見ができ、その後の適正管理につなげることができました。

 

 

在宅緩和ケアの進め方と注意点

在宅緩和ケアは、ご家族と獣医師が密に連携しながら進めていきます。ロッキーくんのケースでも、ご家族が主体となり、適切な医療サポートを受けながら在宅でのケアを続けています。

ご家族への情報提供と教育
  • 皮下点滴の手技や注意点を事前にしっかり指導
  • 症状の変化や異常サインの早期発見方法を説明
  • 日常的なモニタリング項目(体重、食欲、排尿量など)の確認
在宅医療の安全確保
  • 過剰輸液や低血圧などのリスクへの注意喚起
  • 感染予防のための衛生管理方法の徹底
  • 緊急時に備えた体制や対応方法の指導を提供
ご家族と獣医師の連携
  • 日常の様子を定期訪問時に報告
  • 月1回の往診および検査結果による治療計画の調整
  • 疑問点や不安を随時相談できる安心の体制づくり

このように在宅緩和ケアは、ご家族の協力と獣医師のサポートによって成り立ち、ロッキーくんも現在まで良好なコントロールが維持されています。

 

 

急変時の対応と準備

慢性腎臓病の在宅緩和ケアでは、急な体調変化にどう対応するかが非常に重要です。ロッキーくんのご家族も、事前にしっかりと準備を行い、不測の事態に備えていました。

事前に備えておくべきこと
  • 急変時の症状やサイン(ぐったり、食欲不振、呼吸異常など)を理解する
  • 急変時に緊急で対応してくれる動物病院の連絡先を調べておく
  • 皮下点滴や薬の量や種類、投与量、投与間隔などを再確認
  • 状態の悪化が続く場合、ご家族の意向に応じて看取りの準備を進める

 

 

わんにゃん保健室の在宅緩和ケア

ロッキーくんのように、慢性腎臓病の在宅緩和ケアをご希望されるご家族のサポートを、わんにゃん保健室では積極的に行っています。

ご家族とのカウンセリング
  • 初診時に過去の治療歴や現在の状態を詳細にヒアリング
  • 今後の診療方針や目標を明確に設定
  • ご家族の意向を最大限尊重したプラン作成
在宅管理への具体的な支援
  • 皮下点滴や投薬のご家族への指導
  • 緊急時の判断のための家族会議のすすめ
  • メールを活用した継続的な相談体制
最期までのトータルサポート
  • 病状の変化に応じた診療内容の調整
  • ターミナルケアや看取りへの準備・支援
  • ご家族の不安や負担を軽減するための伴走支援

在宅緩和ケアでは、ご家族と動物病院の信頼関係と密な連携が最も重要です。わんにゃん保健室では、ロッキーくんのご家族のように、自宅で最期まで穏やかに過ごしていただけるよう全力でサポートしています。

 

まとめ

ロッキーくんは、慢性腎臓病という長い闘病を経ながらも、ご家族の愛情と努力によって、自宅で穏やかな時間を過ごすことができています。

  • 通院によるストレスから解放されることで、精神的・身体的な負担が軽減された
  • 適切な皮下点滴量と在宅モニタリングにより、病状のコントロールが可能になった
  • ご家族と獣医師が二人三脚で在宅ケアを継続できたことで、最期までの生活の質(QOL)が保たれた

慢性腎臓病は完全な治癒が難しい疾患ですが、ご家族の協力と在宅ケアの工夫次第で、ペットにとっての「穏やかな日常」を実現することができます。

わんにゃん保健室では、東京を中心に通院が困難となった猫ちゃん・わんちゃんのご家族のもとへ往診に伺い、在宅緩和ケアの選択肢をご提案しています。どんな小さなご不安でも、まずはお気軽にご相談ください。

猫の肺腫瘍と胸水の向き合い方(2025年5月)

猫の肺腫瘍は高齢猫に多く見られる疾患の一つであり、進行に伴って胸水貯留を引き起こすことがあります。胸水がたまると、猫は呼吸困難を訴えるようになり、食欲や活動性にも大きな影響を及ぼします。今回は、肺腫瘍による胸水貯留と向き合いながら、在宅での緩和ケアを選択された16歳の猫ちゃん、東京都江戸川区在住のキキちゃんのお話をご紹介します。

通院が困難となった今、どのような選択肢があり、胸水抜去は必須なのか、それとも他の方法で症状を緩和できるのか、ご家族様が取るべき行動と心構えをお伝えします。

目次

 

胸水がたまるということ

猫の肺腫瘍が進行すると、胸腔内に液体(胸水)が貯留することがあります。これは、腫瘍が肺や胸膜を圧迫・浸潤することで血液やリンパの流れが滞り、液体が溜まるためです。胸水の貯留が進行すると、肺が圧迫され、呼吸困難を引き起こすことがあります。

胸水がある時に見られる症状
  • 呼吸が速く浅くなる(呼吸促迫、尾翼呼吸、開口呼吸)
  • 安静時でも肩で息をするような動作
  • 食欲の低下、元気の消失
胸水がたまる原因
  • 肺腫瘍や胸膜腫瘍の進行
  • リンパの循環障害
  • 炎症による滲出液の産生増加
診断のために行う検査
  • 超音波検査(胸腔内の液体確認)
  • X線検査(肺の圧迫評価)
  • 血液検査(全身状態の把握)

猫の呼吸状態の異常に気づいたら、胸水の有無を含めた早急な評価が必要です。ご家族が気づく呼吸の変化が、命をつなぐきっかけになることもあります。

 

 

胸水抜去のメリットとリスク

胸水が貯留している場合、呼吸状態を改善するために胸水の抜去を検討することがあります。適切に胸水を抜去することで、肺の圧迫が軽減し、呼吸が楽になります。ただし、処置にはリスクも伴います。

胸水抜去のメリット
  • 肺が拡張し、呼吸が安定する
  • 食欲や元気の回復が期待できる
  • 苦しみを軽減できることで、ご家族の精神的負担も減少
胸水抜去のリスク
  • 抜去時の痛みと恐怖
  • 鎮静処置による呼吸抑制や循環不全
  • 大量の胸水を急速に抜去した場合の再膨張性肺水腫の可能性
在宅で抜去する場合の配慮
  • 状態の安定している時間帯に実施
  • 必要に応じた軽度鎮静を併用
  • 胸水抜去後の酸素管理を強化

胸水抜去は苦しみを取り除くための有効な処置である一方で、実施するかどうかはご家族の意向とその子の状態によって決まります。命をつなぐための選択肢の一つであると同時に、最期をどう過ごさせてあげるかを考える場面でもあります。

 

抜去しないという選択

胸水抜去は有効な対処法ではありますが、全ての症例において「必ず抜去すべき」とは限りません。猫の状態や性格、そしてご家族の希望によっては、抜去せずに緩和ケアを行うという選択肢もあります。

抜去を避ける理由
  • 重度の呼吸不全により鎮静のリスクが高い
  • 痛みによる強いストレスやトラウマ
  • 過去の経験から胸水抜去への強い拒否反応がある
代替手段としての治療
  • 利尿剤の増量(例:フロセミドなど)
  • ステロイドによる炎症抑制と腫瘍縮小の期待
  • 酸素濃度の管理強化(酸素発生装置・酸素ハウス)
在宅ケアに必要な準備
  • 高濃度酸素が維持できる環境整備
  • 状態の変化に応じた頓服薬の準備
  • こまめな呼吸数と様子のモニタリング

抜去を行わない場合でも、猫にとって「穏やかに過ごせる環境」を整えていくことは可能です。何がその子にとって最も苦痛の少ない道か、ご家族と共に考えることが在宅緩和ケアの本質です。

 

 

ご家族が選んだ緩和ケアとその工夫

ご家族は、「できるだけ苦しい処置を避けたい」「最後まで家で穏やかに過ごさせたい」という思いから、在宅緩和ケアという選択をされました。抜去を行わない代わりに、さまざまな工夫を重ねて呼吸状態の管理を行いました。

酸素環境の見直しと強化
  • 酸素濃度を高く保てるよう、酸素発生装置を1台追加
  • 密閉性の高い酸素ハウスの見直し
  • 猫が安心できる場所に酸素供給を集約(ベッドやお気に入りのスペース)
薬の調整による緩和ケア
  • 利尿剤の用量を調整し、胸水のさらなる貯留を抑制
  • ステロイドによる抗炎症作用と腫瘍の進行抑制
  • 鎮静や呼吸緩和を目的とした内服薬・注射薬のバランス調整
猫に寄り添った生活環境の整備
  • 酸素ハウスとトイレの距離を縮め、移動の負担を軽減
  • 床に滑り止めマットや低反発マットを敷き、動きやすくする
  • 好物の匂いを活用して、少しでも食欲を引き出す工夫

胸水抜去という選択をしない分、ご家族の工夫と努力で「穏やかな時間」を守っていく。その姿勢が、キキちゃんにとっての何よりの安心だったはずです。

 

 

最期の日の話

キキちゃんが旅立つ当日、ご家族はいつもと同じように朝のケアを行い、声をかけながら一日を過ごしました。呼吸は浅く早いものの、目を閉じて穏やかに横たわっていました。

酸素室の中で静かに寝ていたキキちゃんに、ご家族が「おはよう」と声をかけると尻尾と耳で反応を見せてくれ、お気に入りのウェットフードを鼻先に持っていくと、ほんの少しだけ舐めてくれたそうです。

午後に入り、呼吸がゆっくりになり、全身の動きも少なくなってきました。ご家族がそっと手を握っていたところ、一度だけお母さんの手をぎゅっと押し返してくれたとのことでした。

その後、軽くひきつけるような動きを数秒見せ、苦しむ様子もなく眠るように息を引き取ったとのことでした。

通院をやめると決めた時から、キキちゃんの表情が穏やかだったと話してくれました。きっとご家族の心が決まったことで、心の反応が穏やかになったことと、それがキキちゃんに伝わり、安心を与えられたんだと思っています。

動物も、そして人も、最後の時間をどう過ごせるかは、その一生を象徴する大切な時間です。キキちゃんのように、愛されながら、静かに、穏やかに過ごすこと。それが在宅緩和ケアの一つの理想です。

 

 

胸水抜去をしないという決断とその理由

キキちゃんの胸水貯留が確認された際、通常であれば胸水抜去を行うことで呼吸の改善が期待されます。しかし、胸水抜去には以下のようなリスクや負担が伴います。

  • 胸水抜去は肋骨の間に針を刺すため、大きな痛みを伴う
  • 鎮静処置が必要となるが、状態の悪い猫に対してはリスクが高い
  • 処置によるストレスやトラウマが残る可能性がある

これらの理由から、ご家族は胸水抜去を行わない選択をされました。代わりに、以下のような在宅での緩和ケアを進めました。

  • 利尿剤とステロイドの用量調整を行い、胸水の貯留を抑制
  • 酸素濃度を高めるために、酸素発生装置や酸素ボンベを追加設置
  • 内服薬を中止し、すべての薬剤を注射薬に切り替えて皮下点滴で投与

このようなケアにより、キキちゃんは呼吸状態が安定し、穏やかな日々を過ごすことができました。胸水抜去を行わないという決断は、ご家族とキキちゃんにとって最善の選択であったと考えられます。

 

 

在宅酸素療法の導入とその効果

呼吸状態が悪化したキキちゃんにとって、在宅酸素療法は重要な選択肢となりました。通院が難しい状態でも、自宅で酸素環境を整えることで、呼吸の補助が可能になります。

使用した酸素療法機器
  • 酸素発生装置(1〜2台)
  • 酸素ハウス
  • 必要に応じて酸素ボンベを追加導入

これらの機器を活用し、酸素濃度を安定的に維持することで、呼吸の苦しさを軽減しました。

設置と運用の工夫
  • 日の当たらない場所に酸素ハウスを設置し、温度が上がりすぎないようにする
  • 温度だけでなく湿度管理を併せて行い、快適な環境を維持
  • モニタリングにより、呼吸状態に合わせた酸素濃度の調整

ご家族と相談のうえ、無理のない運用方法を構築し、継続的なサポートを実現しました。

在宅酸素療法の効果
  • 呼吸促迫が改善し、落ち着いて横になる時間が増加
  • 食欲と元気が徐々に回復
  • ご家族が目の届く環境で見守れる安心感

キキちゃんにとって、在宅酸素療法は「安心して過ごせる時間」をもたらす大きな支えとなりました。

 

 

看取りを迎えるということ

キキちゃんの旅立ちは、ご家族にとって心に残る大切な時間となりました。通院という大きなストレスから解放され、自宅という安心できる場所で最期を迎えることは、猫にとってもご家族にとっても、穏やかな選択だったのだと思います。

在宅で看取るという決意
  • キキちゃんの呼吸が悪化したタイミングで、ご家族は通院を断念
  • 病院での処置を受けるよりも、自宅で寄り添いたいという強い思い
  • 在宅緩和ケアを選んだことへの後悔はなく、むしろ安心感があったとお話しされていました
最期の瞬間にできること
  • そばに寄り添い、優しく声をかける
  • 手を握ったり、背中を撫でたりといったスキンシップ
  • 呼吸が落ち着くよう酸素環境を保ち、静かな環境を整える

こうした「できること」を一つひとつ行っていただくことで、苦しさを最小限に抑え、穏やかな旅立ちへとつなげていくことが可能です。

在宅での看取りの意味
  • 病院という非日常ではなく、日常の延長にある時間で看取れる
  • 介護の時間を通じて、より深く絆を感じることができる
  • 最期の姿がトラウマになりにくく、後悔が少ない

キキちゃんの旅立ちが、悲しみだけではなく、「ちゃんとできた」という安堵と誇りに変わるよう、私たちは全力でサポートしています。

 

 

まとめ

キキちゃんは、肺腫瘍による胸水貯留や呼吸困難と向き合いながら、ご家族とともに在宅での時間を大切に過ごしてきました。

通院の限界を迎えたタイミングで在宅緩和ケアに切り替えたことで、治療の継続だけでなく、穏やかな生活と尊厳ある最期を実現することができました。

  • 肺腫瘍による胸水貯留には、在宅でも対応が可能なケースがある
  • 呼吸が苦しい状態でも、酸素療法や皮下点滴で負担を軽減できる
  • 通院が困難になっても、適切なケアと見守りで「穏やかな日々」を支えられる

呼吸の異変や日常の違和感を覚えた時、ご家族の気づきが命をつなぐきっかけになります。キキちゃんのように、ご家族に見守られながら、安心できる場所で穏やかに過ごすこと。

それが、私たちが目指す在宅緩和ケアのかたちです。

東京都江戸川区を中心に、通院が難しくなった猫ちゃん・わんちゃんのご家族のもとへお伺いしています。どんな小さな不安でも、どうか一度ご相談ください。

 

◆-----------------------------------◆

〜犬猫の在宅緩和ケア専門〜
往診専門動物病院わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
休診日:不定休診療カレンダー
 
〒111-0036
東京都台東区松が谷3-12-4 マスヤビル5F
 
【わんにゃん保健室】
公式インスタグラム、facebookがスタート!
 

 

ブログ
非常事態宣言について
ドクターズインタビューに当院のドクターが掲載されました

所在地

本拠点:
〒111-0036
東京都台東区松が谷3-12-4
マスヤビル5F

東京23区へ往診エリア拡大!
お気軽にご相談ください。

診療日・受付時間

診療時間 10:00~19:00
休診:不定休

>診療カレンダー

電話番号

03-4500-8701
診察をご希望の場合には、必ず留守番電話に
メッセージをお残しください
(お名前、ご住所、電話番号、動物種、年齢、体重、性別、症状)

お問い合わせ

お問い合わせはコチラ

リンク集

ご自宅での緩和ケアを
ご検討される方へ