年末年始は、どこも動物病院がやっていなかったため、初診でご依頼される症例が、どれも病状が深刻です。
年末年始で出会った多くのご家族様で、最後にかかりつけ動物病院を受診したのは、12月29日または12月30日が多く、そのまま内服薬だけをもらって新年の診療開始日(多くが1月4日からのようです)を待っていたそうです。
病状が深刻であり、食欲もなく、そして呼吸も苦しい犬猫に内服薬を飲ませることは非常に困難であり、無理に投薬すれば、それによって亡くなってしまうことだって想定されます。ですので、かかりつけの動物病院がお休みに入ることを前もって知っていれば、その日に急変することを想定し、その間の診察を受けてもらえる動物病院に事前に相談しておくことがとても重要です。
本日は、千代田区麹町にお住いの、肺ガンを患ってしまった高齢猫ちゃん、19歳です。
1月2日の早朝、事態は急変しました。
高齢(シニア)猫の開口呼吸/千代田区/酸素室利用
1月2日の朝4時頃、往診専用の携帯電話が鳴り、お電話先からは混乱している様子の声で緊急往診依頼を受けました。次の診察が朝8時からであったことから、電話の後すぐに訪問することにし、朝5時からの診察を行いました。
こちらの高齢猫ちゃんは、2018年10月26日に近所のかかりつけである動物病院にて肺ガンであることを告げられ、1週間に3回くらい動物病院へ通院し、検査と点滴注射をされていたとのことでした。
全身状態は不良であり、ペット用酸素室の中で深く努力性呼吸(頑張って呼吸している様子)を見せていました。ご家族様は、もっていた内服薬の投与を何度も何度も挑戦した様子でしたが、1度も成功しなかったとのことでした。瞳孔は散大しており、光を当てても反応がなく、また瞼(まぶた)に触れても反応がなかったのですが、最後に何かできることはないかというというご家族様のご要望により、注射による緩和処置を行いました。
その後1時間ほどで、さっきまで意識がなかった猫ちゃんが、顔をあげてお母さんの方に話し掛け始めたとお電話をいただきましたが、その2時間ほど後に、ゆっくりと眠りについたとご連絡をいただきました。
高齢ペット(犬・猫)を飼っているご家族様は、かかりつけ動物病院以外に、必ずもう一つ、セカンドドクター(2つ目のかかりつけ動物病院)を持っていてください。もし、かかりつけの動物病院がお休みであった場合に、セカンドドクターで診察を受けられるような環境構築を考えておいてあげてください。また、酸素室を利用している犬猫を連れ出して動物病院にいくことは非常に困難です。すでに酸素室に入っている、または今後すぐに必要になる可能性があるならば、事前に往診専門動物病院の診察を受けておき、何かあった時の対処法などが相談できる環境も整えてあげましょう。ご家族様しか、ペットの命を守ることはできません。
『昨日のうちに連絡していれば、少しでも楽にさせてあげられたのではないか・・・』
『もっと早く相談していれば、何かできたんじゃないか・・・』
すでに手は尽くし、何も出来ないかもしれません。ただ、それでも寝ている体制や気温、湿度、ご飯のあげ方、お水のあげ方、トイレのさせ方など、獣医療面以外の高齢動物看護・高齢動物介護面で、もしかしたら、残された時間をもっと快適に過ごさせてあげることはできるかもしれません。
明日は1月4日で、多くの動物病院で診療を開始します。
まずは、今のペットの状態をしっかりと把握するためにも、かかりつけの動物病院の獣医師にわからないことはわかるまで質問し、愛犬・愛猫に何かが起きた時、万が一かかりつけの動物病院にいけない場合、違う動物病院に駆け込まなければいけません。その時、その動物病院の担当獣医師に病状と既往歴などをちゃんと伝えられるよう、日頃から心がけておきましょう!
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