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ペットの終活(読売新聞社/東京/犬猫往診/往診専門動物病院)

往診専門動物病院わんにゃん保健室 院長の江本宏平です。当院は、東京中央区、東京台東区、東京江東区に拠点を構え、東京の東側をメインに東京23区と近隣地区まで訪問し、往診獣医療をご自宅にて提供しています。

ペット(犬、猫)の性格上、または、酸素室管理や病末期でもう家の中から動かせないなど、動物病院に通院させることが難しい場合には、ペットへの医療提供を諦めるのではなく、往診専門動物病院までご連絡ください。

 

今回は、先日投稿したコラムのご紹介です。

読売新聞の夕刊にあるペットらいふ特集の「教えて!」のコーナーにて、11月11日、18日、25日と、連週でペットの終活についてのコラムを書かせていただきました。

 

近年、医療やペットフードの向上によりペットの平均寿命が延びてきました。

しかし、寿命を延ばした先の未来を我々はまだ見据えられていないのが現状です。

 

例えば、寿命を延ばした先に待つ介護、高齢期特有の病気などです。

これらについての社会認知度は低く、それによって高齢期を迎えたペットとの生活に苦しんでいる飼い主は多くいます。

若かった頃とは違い、歳を重ねるに連れ徐々にできないことが増えてきます。

元気に走り回っていたペットも介護が必要になってきます。

 

介護が必要となったペットとの生活は、決して楽ではありません。現在、ペットの介護サービスは少しずつ普及されてきています。そして、医療においてはどこまでの検査・治療を求めるのかという決断を迫られます。

もう負担を掛けさせたくないという気持ちはあっても、しっかりと自分の意見を主張できる飼い主は多くないです。そして、必ず訪れるのが最愛のペットとの別れです。

 

様々な場面で求められる「選択」を誤ってしまったことで、ペットと過ごしてきた楽しかった時間が、最終的に辛かった思い出になってしまったということも珍しくありません。

 

ペットを迎えることを決めたその時から、どこでどんな風に最後の時間を過ごさせてあげたいのか、どこまでの医療を提供してあげたいのかなど、このコラムを通じ、その子の生涯を通した話し合いをご家族様の中でしていただける一つのきっかけになれれば幸いです。

 

当院が往診専門動物病院であるという側面からの切り口ではございますが、ペットを飼われている方、これからペットを飼おうとされている方は、是非ご一読ください。

 

1. 「理想の最期」を考えよう(2019年11月11日夕刊)

読売新聞コラム①.jpg

 犬や猫も人と同じように年を取ります。ペットに病気が見つかり、治療しても回復の見込みが薄い、または、入院中麻酔をかけている際に旅立ってしまうかもしれないと告げられた時、飼い主は今後の診療プランに対する決断を迫られます。

 ペットの医療は日々進歩しています。すでに、人と大差ないと言っても過言ではないかもしれません。自身の細胞を使った再生医療や抗がん剤治療をすることもできます。

 しかし、高齢期のペットにとって、麻酔をかけた検査や手術などの治療は負担が少ないとは言えません。最先端の医療を目指すことだけが正しいとも限りません。集中的な治療はしないで、自宅で余生を過ごさせるという選択肢もあります。

 だからこそ、病気の宣告をされた時、飼い主にまずしてもらいたいことは「どこまでの医療を望むか」、そして「最期の時間をどう過ごさせてあげたいか」について話し合うことです。

 一番近くでペットのことを思い、一緒に過ごしてきた飼い主だからこそ、積極的な医療ではなく、ゆっくり余生を過ごさせることを選択できるのです。

 飼い主だけで決められなければ、かかりつけの動物病院スタッフを含めて相談し、ペットにとって最良の選択をしてあげましょう。

 

2. ストレス少ない治療を(2019年11月18日夕刊)

読売新聞コラム②.jpg

 高齢のペットは積極的に入院治療をしても、回復を見込めないことがあります。病気の進行を遅らせたり、症状を抑えたりすることはできるかもしれませんが、体調が安定するまでに時間がかかり、飼い主の心が折れてしまうことがあります。

 若くて元気だった頃の印象が強いことで、老化のために「できないこと」が増えていく姿から目を背けがちになってしまうのです。ここで重要なことは、「ペットの今」を受け入れることです。

 ペットの看病に動物病院への通院が重なると、ペットと飼い主の負担がどんどん増していきます。飼い主の負担を少しでも減らすためには、ペットの状態を把握し、現在の治療は通院しなくてもできることかどうかを知ることです。

 例えば、皮下注射は自宅でもできます。頻繁に行う必要があるのであれば、できるようにしておきましょう。針を刺す人と、ペットを動かさないようにする人がいれば、暴れてしまうペットでない限り、できるものです。1人でやることも珍しくありません。このように対処方法を学べば、通院回数を減らせるかもしれません。

 ペットの今の状態を受け入れ、飼い主にとってもペットにとっても、ストレスが少ない治療プランにしましょう。

 

3. 負担をかけず 最期は家で(2019年11月25日夕刊)

読売新聞コラム③.jpg

 ペットに対して頑張って治療を続けていても、病気によっては徐々に衰弱してしまいます。病気の症状が明らかになってきた段階から、緩和ケアが始まることもあります。

 緩和ケアは、痛みや吐き気などの苦痛を薬を飲ませることで軽減したり、食事を介助したりしてその子らしい余生を過ごさせてあげるための対症療法です。QOL(生活の質)の向上が目的です。負担をかけずに過ごさせたいなら、通院より在宅での往診。事前に対応できる病院を調べておきましょう。

 食事が出来ないほど呼吸が苦しそうなら、酸素室を使ってください。ビニールシートで覆ったケージに酸素を送り込んで酸素濃度を高めるものです。専門業者が貸し出しています。

 衰弱が進んで治療にほとんど反応しなくなり、生命維持が難しくなった段階でターミナルケア(終末医療)に入ります。この段階になると、痛みや吐き気を抑える薬を飲めないので、投薬は皮下点滴になります。在宅で行い、飼い主と一緒に最期を迎えることでペットのQOD(死の質)を高められます。飼い主も全力で支えることで一つの達成感が得られます。

 ペットも大切な家族です。悔いのない最期を迎えるために最良の選択を考えてください。

 

ご一読いただき、ありがとうございました!

 

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