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目がブヨブヨの猫(猫エイズ/重度結膜炎/東京中央区)

クリスマスイブとなる本日、いかがお過ごしでしょうか?

東京都内をペット往診車でぐるぐる回っていると、あちこちでイルミネーションが飾られているのを目にします。

東京港区にあるミッドタウンや、東京千代田区の東京駅エリアはとても幻想的な世界でした。

 

クリスマスといえば、チキン!

動物病院で最も多い症例は、クリスマスに骨つきチキンを食べちゃった、そして、お正月にお餅を飲み込んでしまった、の2点です!絶対にやめてくださいね!

 

12月は高齢犬・猫にとって、最も体調を崩しやすい時期です。理由は定かではありませんが、シニア期を迎えたワンちゃん・猫ちゃんが一気に状態が下がる傾向にありますので、些細な変化でも見逃さないで、まずはかかりつけの動物病院に連絡しましょう。

 

 

さて、今回は猫エイズについてお話させて頂こうと思います。

皆様、「猫エイズ」という病気は聞いたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、どのような病気かはぼんやりとしている方も多いかと思います。

ということで、今回は実際に猫エイズに感染してしまった子をご紹介させて頂きます。

 

東京中央区在住、猫、10歳のクロちゃんのお話です。

 

目やにと結膜浮腫(高齢猫/外猫出身/東京中央区)

東京中央区は、最近よくペット往診をご依頼いただく地域です。

クロちゃんは鼻水がと目やにがひどくて、目が開いていない日もあったということで、ご連絡を頂きました。

IMG_3460.jpg

(参考:https://1013.jp/結膜炎-結膜浮腫/)

クロちゃんはずっと地域猫としてお外でいろいろな方にお世話をしてもらっていたそうですが、鼻水がひどくてかわいそう、ということでお家に迎えられたそうですが、お家では遊んだりすることは可能ですが、目を触ったり、キャリーに入れるというのは難しく、かなり暴れまわってしまうということで往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡を頂きました。かなりの人見知りで繊細な性格であるということから、逃げてしまうことが予想されましたので、いつもトイレを入れている3段ケージに入ったところで扉を閉めてもらい、獣医師と動物看護師が到着するまで待機して頂くようにお伝えしました。

お家に訪問すると、クロちゃんは隣の部屋のケージの端で目を真ん丸にしていたので、まずはそっとしておき、飼い主様にお話をお伺いしました。

詳しくお話をお伺いすると、鼻水や目やにが出ていたらしく、毎年冬になると食欲低下やくしゃみをしていたそうですが、ずっと元気に過ごしていたようです。お家に来てからもずっと黄色の鼻水が止まらず、目も開けにくくなってきていて、どんどんひどくなってきている感じがするということでした。

元々外にいた猫ちゃん、ということでウイルス性疾患を中心に考えながら、身体検査、猫エイズと猫白血病の検査、10歳と言うことで全身状態をみるために血液検査を実施する、ということで飼い主様にご同意頂き、クロちゃんのお部屋にお邪魔しました。

クロちゃんは最初すごく怖がって端で威嚇していましたが、バスタオルをそっとかけると諦めてくれて、無事にケージから出すことが出来ました。

その後、動物看護師による保定しっかり頑張ってくれて、無事に採血をすることができました。目は結膜炎がひどくて、結膜がブヨブヨとしていて目が開けにくそうで、目の周りにはたくさんの黄色の目やにが付着していました。また、鼻は、緑色の鼻水が出ており、かなり感染が疑われる様子でした。

この日の診察は、抗生剤の点眼と、抗生剤の内服薬をお渡しし、血液検査結果が出次第治療を考えるという方向で終了しました。

血液検査では猫エイズ陽性以外に異常値はなく、おそらく猫エイズによって免疫力が落ちた結果、目や鼻に感染が起こりやすくなってしまい、感染症が起こっていると考えられました。

ここで、猫エイズに関して、少しお話ししようと思います。

エイズというと、免疫が落ちる病気、というざっくりとしたイメージがある方が多いのではないでしょうか?

もちろん、猫エイズも最終的には免疫力が落ちてしまい、感染症にかかってしまうことも少なくありません。

しかし急にそういったことが起こるわけではなく、段階を踏んで進行したり、その子によっては進行しなかったりします。

そもそも猫エイズはどのように感染するのでしょう?

多くは、外猫さんやペットショップ、ブリーダーのもとで集団生活している間に、感染している猫によって咬まれてしまい、唾液を介して感染してしまうことが多いです。口腔内に口内炎などの症状がある場合にはより感染する率が高いと言われています。また、外猫の場合には喧嘩をすることもよくあるため、外猫は室内外の猫よりも感染率は高いという統計が出ています。

この病気は症状と感染経路に基づいて5つの病期に分かれています。

①急性期:発熱やリンパ節の腫大、白血球の減少、貧血、下痢などの症状が現れます。この期間は感染後約数週間~4か月ほど持続し、身体の中でウイルスと戦うための抗体が産生されます。一般的に抗体は8週間で産生されます。

②無症候キャリアー期:この時期には特に何も症状はありません。この期間は数か月~数年続き、ずっとこのステージの子も少なくありません。

③持続性リンパ節腫大期:全身のリンパ節が腫大しますが、この時期は臨床的に明確でない場合も多いです。

④エイズ関連症候群期:歯肉炎や口内炎、上部気道炎や消化器症状、皮膚病変など免疫異常に伴う症状が現れてきます。

⑤後天性免疫不全症候群期:感染症の日和見感染や貧血、白血球減少、脳炎、腫瘍など免疫不全に関連した症状が出てきます。

ただし、すべての猫ちゃんが①~⑤の経過をたどるとは限りません。

例えば、②から進行しない子もいれば、④で対症療法を続けつつ、できるだけストレスを与えないようにすれば⑤に進行しない猫ちゃんもいます。発病して⑤に行っていなければ、小さな症状が出るたびに正しい対症療法を行っていけば、かなり長く生き延びられると言われています。

この病気の厄介なところは、検査がタイミングによっては偽陰性になってしまうことがあるということです。

よくお家に来た時に、あるいは保護団体で検査をしています、という方もいらっしゃますが、この病気は感染してすぐは陰性で出ても、2ヶ月後には陽性になってしまうことがあるのです。その見逃しを防ぐために、検査はお家に来てすぐ、と、お家に来てから2ヶ月後、の2回行うことを往診専門動物病院わんにゃん保健室ではお勧めしています。もちろん動物病院に連れていけない子の場合は、私たちがご自宅に訪問する往診獣医療にて検査することも可能なので、お気軽にご相談下さい。

では、この病気の予防はどうすれば良いのでしょう??

ワクチンもあるのですが、効果については100%とは言われていません。一番有効な予防は、お家から出さないことです。感染ネコと接触しなければ、感染することはありません。

また、お家に来た時点ですでに感染していた場合にも、お外だとケンカしてしまったり、けがをしてしまうリスクも高く、感染猫は傷の治りがとても悪くなってしまいます。そのため、家の中で出来る限りストレスをかけないような生活をさせてあげましょう。

 

今回、クロちゃんは、抗生物質の投与によって、無事に結膜炎や鼻炎の症状が治まってきましたので、今後は免疫力を上げるラクトフェリンなどを続けていき、症状が出ればまた対処をする、という方向になりました。

 

猫ちゃんの場合、保護団体さんからの譲渡、あるいは地域猫を保護、といった方法で、お外の猫ちゃんをお家に迎えることも多いかと思います。

その場合、必ず行って頂きたいことが、お外に出さない、ウイルス検査、ノミダニの予防です。したいけれど触れないからできていない、何となく連れていけなさそう、などお悩みがあるかと思います。その場合には私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室のスタッフが訪問して処置させて頂きますので、お気軽にご相談下さい。

 

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