往診専門動物病院では、ご自宅に獣医師と動物看護師が一緒に訪問して診察を行いますので、診察が終わるまでの間、ご家族様は安心してペットを見守ることができます。
猫ちゃんのほとんどが、キャリーに入れられて動物病院に通院させられることをよしとしないことが多く、ご家族様と猫ちゃんの通院をめぐる戦いは日々熱を増すものとなっています。
これは動物病院に通院させるのは無理だな、と感じた場合には、諦める前に往診専門動物病院までご連絡ください。
往診に特化した動物看護師による捕獲から、ご自宅での採血、エコー検査、尿検査、糞便検査など、大型医療機器を用いたレントゲン検査や手術以外のほとおどが、ご自宅にいながらペットに受けさせてあげられます。
動物病院への通院でお困りの飼い主様、諦める前に往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡ください。
さて、ここ数日で一気に夏が近づいてきたなという感じがしてきましたね。
暖かくなってきた時に必ず考えなくてはいけないのが犬のフィラリア症ですが、今回は全く違くて、猫の血尿のお話です。
猫ちゃんで血尿が出ている場合に、考えなければいけないの膀胱結石があるのかな、細菌感染はどうだろうか、尿道からの出血ではないか、尿管から、または腎臓からの出血か、もしくは血尿ではなく血色素が出ているだけではないか…など、幅広く疑っていきます。
ちなみに、膀胱結石が増えるのは冬の時期です。
そして、猫ちゃんで多いのは原因不明の特発性膀胱炎で、あえていうならばストレスではないかなと考えられています。
ここ最近、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止に伴う緊急事態宣言が出たあたりから、猫の膀胱炎症例が増えてきました。ご家族様が抱えているストレスが、そのまま猫ちゃんにも影響しているのかもれませんね。
今日は、腫瘍によって血尿や血便が出てしまっても頑張って戦い抜いた猫ちゃんのお話です。
みなさん、腫瘍によって血尿や血便が出るの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
むしろほとんどの方がどういうこと?と思われていると思います。
病気の末期で血尿や黒色便が出るのは腫瘍だけではありません。
腎不全や膵炎、心臓病など様々な疾患で起こり得ます。
その原因はいろいろな要因が重なって起こるのですが、炎症によって血栓ができてしまったり、その逆で炎症によって血液が固まりにくくなってしまうこともあり、血液が固まりにくくなった結果血尿や血便として症状が出てしまうのです。
こうなってしまうとなかなか厳しい状態なのですが、少しでもその後を楽にしてあげるような治療はできます。
私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室では病末期で苦しんでいる犬猫に対して、少しでも苦痛を緩和させつつ、その子らしく最後の時間をご家族様のもとでゆっくりと過ごしていただけるよう、在宅でのターミナルケアに特化しています。犬猫だけでなく、そばで精神的・身体的にもギリギリで支えているご家族様に寄り添うことで、より心あるターミナルケアの実現を目指しています。
今回はそんな、血尿と血便が出てしまった猫ちゃんのターミナルケアの記録をお話しさせて頂こうと思います。
東京中央区在住の18歳の高齢猫のミイちゃんです。ミイちゃんとの出会いは半年ほど前のお電話でした。
猫ちゃんの乳腺にしこりのようなものがあるそうなのですが、ご家族様は触ることが出来ず、動物病院に連れていくことができない、とのことでお電話を頂きました。
お家にお伺いすると、お部屋にミイちゃんは見えず、先にご家族様にお話をお伺いすることにしました。
数日前ミイちゃんがしきりにお腹を舐めていたため、覗き見たところしこりができていたそうです。
ミイちゃん自身もすごく気にしてはいるようですが、元気や食欲は変わらずでした。
しかし、猫ちゃんの乳腺腫瘍についてご家族様が調べたところ、悪性度が高いということを知り、心配になって私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室にご連絡を頂いたそうです。
たしかに、猫ちゃんの乳腺腫瘍は悪性と良性の比は9対1で、ほとんどが悪性と言われています。
また、悪性でも発見された時点でのサイズやリンパ節への転移があるかどうかも重要になってきます。
そのあたりを調べるためにも、まずは身体検査を行うこととしました。
また、年齢的にも腎臓など他の臓器に異常がないかどうかを見ておくために血液検査をご提案させて頂いたところ、ご同意頂けましたので、採血も行うことにしました。
ミイちゃんは押入れの奥に隠れていましたが、バスタオルに包んで出てきてもらいました。
バスタオルの中では威嚇をしているようでしたが、やはりお家だからか興奮はしていましたが、身体検査をするには問題ない程度の興奮でした。
まずは身体検査です。
たしかに乳腺にしこりがあり、おそらく乳腺腫瘍の可能性が高いと考えられました。
大きさは5センチほどで、おそらくリンパ節への転移もしているであろうサイズで、そのほかにも小さいしこりが2つ認められました。
また、舐めてしまっていることから少し出血しており、できるだけ舐めないようにしてもらうこととしました。
次は採血です。
採血は足を伸ばす必要がありますが、足を伸ばしても諦めたのかミイちゃんは受け入れてくれました。採血も無事に終わり、これからの治療についてご家族様とお話しさせて頂くこととしました。
乳腺腫瘍のサイズがかなり大きいため、おそらく手術だけでは根本的な治療にはならない可能性が高いことをご説明させて頂くと、ご家族様としては年齢的にも無理はさせたくないとのことで、できれば緩和ケアをしていきたいとのことでした。
腫瘍のサイズから、おそらく腫瘍性の痛みがあるかもしれないこと、そして肺への転移も考えられることから、痛みに関しては抗炎症剤を使用し、もし呼吸が速くなるようであれば酸素ハウスのレンタルもお勧めしました。
現状では、呼吸状態は問題がないので、まずは抗炎症剤の内服のみで様子を見てみることとし、その日の診察は終了としました。
血液検査の結果は18歳とは思えない数値で、腎臓の数値や肝臓の数値も問題なく、腫瘍以外には血液検査で分かる範囲では治療は必要ないと判断できました。
2週間後、ミイちゃんはお薬もしっかり飲めているそうで、舐める回数も減ったということで、安心しました。
その後5ヶ月ほどお薬を続けていましたが、1ヶ月ほど前にお伺いした時にはかなり痩せていて、食欲も落ちてきて、呼吸も早い時があるとのことで、お薬を少し増量し、点滴もお家で行なって頂くことにしました。
点滴は皮下点滴で、ご家族様にご指導させて頂き、お家で出来るようにしていただきました。
また、お薬は食欲が落ちてしまったため飲むことが難しくなってきており、飲み薬をやめて点滴に混ぜて頂くことにしました。
しかし、1ヶ月後、血尿と黒色便が出ているとのことでご連絡を頂き、往診をさせて頂いたところ、ぐったりしており、おしっこは茶色で、黒色便が出ており、おそらく身体の中で腫瘍によって凝固不全が起こっていることが予測されました。
ご家族様にご説明したところ、すでによく頑張ってくれているので、無理はさせたくないとのことで、点滴と抗炎症剤を点滴して、酸素ハウスに入ってもらいました。
その時にはすでにかなり呼吸も早くなっており、舌の色も貧血によって薄くなってきておりました。
おそらくミイちゃんはすでにかなり頑張っていて、この日ミイちゃんの最期になるかもしれないということで離れて住んでいるご家族様もお家に来ることになっていて、ミイちゃんが皆様に会えるのを願うばかりでした。
そしてその日の夜、ミイちゃんはご家族皆様に見守られて虹の橋を渡っていきました。
ミイちゃんは最後、家族みんなに会えました。本当によく頑張ってくれました。
わんちゃんも猫ちゃんもみんなが来てくれる、というのを感じ取って頑張ってくれます。
その間、少しでも辛くないように過ごさせてあげることに私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室が少しでもお手伝いできればと思います。
今回のミイちゃんのように、腫瘍があって、徐々に悪くなっていくことは珍しいことではありません。
また、猫ちゃんは痛みや吐き気などの苦痛を隠してしまうので、ご家族様が体調の変化に気付かなくても無理はありません。
それからの時間を辛くないように過ごすために、緩和ケアやターミナルケアに往診専門動物病院わんにゃん保健室では尽力しています。
動物病院には連れて行けないけれど何とかしてあげたい、という場合には往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡下さい。いつでもご相談させていただきます。
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