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呼吸が荒い、体があつい(熱中症/高齢犬/東京荒川区)

こんにちは!

 

一気に暑くなってきましたね。梅雨の時期を迎え、早くも夏の訪れを感じます。

特に湿度が高いと、人間も余計暑く感じるかと思いますが、犬や猫たちも同様に、湿度が高ければ気温が高すぎなくても暑さを感じます。

そのため、これからの季節注意しなければならないのが熱中症です!

 

そこで今回は、熱中症になってしまったわんちゃんたちを3症例、順番にご紹介していきます。この記事を見て、今一度、ペットの生活環境を見直すきっかけになればと思います!

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症例は、東京都荒川区在住10歳のペキニーズのはなちゃんです。

はなちゃんの飼い主様が帰宅されると、はなちゃんはハアハアと息が荒く、身体が熱くなってしまって、ぐったりしてしまっているとのことで、かなり緊急性が高かったため、すぐにお伺いさせて頂くことにしました。

その時点では舌の色はピンク色とのことでしたが、その日は雨の後で、湿度が高く、気温もそれなりに高かったため、熱中症も考えて、お電話にてある程度の問診もさせて頂きました。

普段は日中一人でお留守番をすることが多く、大概は窓を開けて行くと熱がこもりにくいため、その日も窓を開けて外出をされていたとのことでしたが、帰ってみると湿度が高くて蒸し暑い部屋になってしまっていたそうで、はなちゃんは出来るだけ冷たい場所に移動しようとしたのか、自分のベッドではなくフローリングでぐったりしていたそうです。

飼い主様のお話から、熱中症を疑い、到着までにまずは出来るだけお部屋を涼しくし、身体を冷やしてもらうこととしました。

具体的には、クーラーももちろんですが、人の熱中症の際も同様ですが、脇の下と股の間にタオルで包んだ保冷剤を挟み、サーキュレーターなどで涼しい風を送るという方法です。

到着までにそれらの出来る限りのことをしていただき、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室スタッフは到着を急ぐこととしました。

お家に到着し、中に入ると、部屋は涼しくして下さっており、はなちゃんも幾分最初よりは呼吸が落ち着いたような気がするとのことでした。

お話はお電話にてお伺いしているので、まずは身体検査、そして血液検査も実施させて頂くこととしました。

身体検査では、体温は41.5度、呼吸も早くハアハアしている状態でしたが舌の色はピンクで、呼吸音も問題はありませんでした。

しかしかなり脱水しており、点滴が必要と判断されました。また、お腹の痛みなどはない様子で、かなり身体が熱いため、引き続き冷やしながら採血を実施することとしました。

発熱や呼吸が速い、という症状は熱中症以外にもよく見られる症状ですが、今回、お部屋が暑かったという点と、熱がかなり高いということから、熱中症と判断し、治療にあたらせて頂きました。

 

ではそもそも、犬の熱中症はどういうものなのでしょうか?何に気を付けなければならないのでしょうか?

 

犬の熱中症も、人と同じで身体に熱がこもってしまうことで発症します。しかし、人と犬とで大きく異なる点が一つあります。

それは、人は全身に汗腺があり、発汗して体温を下げるということができますが、犬では汗腺は肉球のみでほとんど汗はかきません。

そのため、息をハアハアして、口から体温を逃しています。

しかし、それだけでは体温調節が難しいため、犬では人よりも熱中症に気をつけてあげなければなりません。

特に、ペキニーズやフレンチブルドッグ、チワワやパグ、トイプードルなどのいわゆる短頭種では、生まれ持った骨格から、他の犬よりも呼吸で熱を逃がすことが苦手なため、熱中症にはより注意が必要です。コーギーで熱中症が発覚し、血便と嘔吐が止まらないと言う症例も以前出会ったことがあります。

熱中症の症状は、発熱、呼吸が速くなる、といったことが初期症状で、悪化していくと、嘔吐や下痢、血便や虚脱、最悪の場合死に至ります。

熱中症は身体に熱がこもってしまい、その熱によって身体の様々な細胞が壊されることによって重症化していってしまいます。

そのため、なるべく早く身体を冷やす処置が必要となるのです。

 

今回のはなちゃんも、現状で身体の細胞が壊れたりしていないかどうか、ほかの疾患は無いか、というのを判断するために血液検査を実施しました。

この日の処置としては、まず最優先は身体を冷やしながら、血圧や脈に変化がないかを見つつ、点滴や吐き気どめを注射しました。

身体を冷やし始めて1時間ほどで、体温は39.5度まで下がりました。

その間、往診専門動物病院わんにゃん保健室のスタッフで脈や血圧を見ていましたが、呼吸も落ち着いてきたため、その日の診察は終了とし、急な変化が起こる可能性もあるため、ご家族様には注意してもらい、次の日の朝一で再診にお伺いさせて頂くこととしました。

 

血液検査では、大きな異常値は見られなかったため、何とか早めに処置ができていることに安心しました。

 

次の日、再診にてお伺いすると、はなちゃんは、昨日より顔つきが良くなっており、体温も38.5度まで下がってくれていました。

血便や血尿、嘔吐をすることもないそうですが、まだ少し怠さが残っているのか、食欲はあまりないそうなので、その日も点滴や吐き気どめ、胃薬などを注射し、次の日にもう一度お伺いすることとしました。

 

次の日には、はなちゃん自身でお出迎えしてくれるまでに回復しており、ご家族様の顔にも笑顔が戻っていました。

 

今回のはなちゃんは、熱中症の中では軽度でしたが、それでも少し遅ければどんどん悪化していたと予測されます。

熱中症は予防できる病気です。これからの季節、お散歩の時間や、お出かけの際の室温や湿度には十分注意しましょう。

しかし、どれだけ気を付けていても熱中症になってしまうことはあります。特に高齢犬では体温調節が難しいため、起こりやすいです。

もし熱中症かもしれない、ハアハアしている、身体が熱い、血便や、嘔吐をしているなどの症状があれば、往診専門動物病院わんにゃん保健室までご相談ください。

動物病院に連れて行くことが難しい場合でも、往診専門動物病院わんにゃん保健室ではお家を診察室として使わせ頂くので、ご安心ください。

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