往診専門動物病院わんにゃん保健室 往診獣医師の江本宏平です。
往診専門動物病院として診療を実施している中で、最も多いお問い合わせが「家での看取り」についてです。元気な時は動物病院に通院できたし、病気になってもまだ通院できてはいたが、いよいよ通院後に辛そうにするようになり、往診で家まで訪問してほしいと言うお問い合わせが最も多いです。
本日は、往診専門動物病院わんにゃん保健室が特化している分野である、「在宅でのターミナルケア」について書いていきます。
ペットのターミナルケアとは?
ターミナルとは「終末期」を意味します。愛犬・愛猫たちの終末期、病気の終末期が来たとき、延命治療をするか、それとも残された時間を充実させるか、ご家族様が決断しなければなりません。
もっとも、人医療と獣医療では、近年獣医療も発達はきてきましたがやはり人医療に比べると出来ることは限られており、また、人と違ってCTやMRI検査などにも基本的には麻酔が必要となるため、状態が良くない場合に麻酔をかけて検査を行うか、といったところから決断に迫られるかと思います。
頑張って治療していても、やがて治療に反応しなくなってしまい、もっと高度な治療を求めるために遠くにある専門機関まで通院するご家族様がいることも事実ですし、もう攻めた治療で辛い思いをさせるくらいなら、いっそのこと安楽死を望むご家族様がいることもまた事実です。
ペットの今と向きあうための飼い主の覚悟
こうした決断に迫られる中、もちろん何もしないでただ見守る、というのももちろん一つの過ごし方だと思いますし、決して間違いでもありません。
これらの選択はどれをとっても間違いはありません。
愛犬・愛猫たちのために一生懸命考えて出した答えなので、どれを選んでも正解なのです。
ただ、人医療ではホスピスなどといった施設が昨今充実してきて、ターミナルケアという選択肢がより身近になって来ました。人医療の流れに沿うように、動物医療でもターミナルケアを望まれる方が増えてきているのを感じ、おそらく潜在的な意識の中に、私たちは緩和ケア・ターミナルケアという考え方を既に持っているのかもしれません。
しかし、ペットにターミナルケアをしてあげたいけれども、実際どこで、どんな風に、どんなことをやっているのかなどが分からないとご質問を、まずは最初のお問い合わせで受けます。
今回、往診専門動物病院わんにゃん保健室で行なっている、実際のターミナルケアについてお話しようと思います。
私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室では、本当にさまざまな症例に出会います。ワクチンなどの予防から、末期の腫瘍でターミナルケアを必要とする犬猫までいます。
その中でも、やはり末期の腫瘍や、末期の腎臓病、末期の心臓病など、末期の子に出会うことはとても多いです。
その理由としては、
- 末期なので動物病院に連れていくストレスももう与えずにお家でゆっくりと過ごしてもらいたい
- 暴れてしまいキャリーに入れることができない、動物病院に行くと暴れて診察が出来ない、などの理由で長年動物病院に行っておらず、状態が下がった頃には末期だった
というご家族様がほとんどです。2つ目の理由の場合は、後悔してしまう方もとても多いのですが、そんなにご自身を責めないで下さい。
むしろそれまで動物病院への通院というストレスを与えなかったからこそのんびりと過ごすことができて、愛猫・愛犬たちにとってはそれが本望だったんだと思います。
往診専門動物病院わんにゃん保健室では、往診、というスタイルなので、診察をするのはお家のお部屋です。
ですので、たとえ診察がイヤな子でも、素早く診察、処置を終えれば、すぐにいつもの隠れ家に隠れることが出来るので、ストレスは最小限に留められるかと思います。
次に、実際の流れについてです。
往診では、どういったことを行うのでしょうか。
まずは全身状態を把握するために、身体検査と、適切な治療法を行うために血液検査をご相談させて頂いています。
もちろん、採血をすることさえ負担になってしまいそうな状態であれば行うことはありません。
また、腫瘍や心臓病、腎臓病など、様々な病気の末期の子たちは、多くは自分でご飯を食べることを嫌がります。
わんちゃんでは、中にはギリギリまで食べられる子もいますが、猫ちゃんの多くは、すぐに食べることを嫌がってしまいます。
そういった中で、痛みや気分の悪さ、気だるさなどをとりのぞくお薬を注射したり、点滴をすることで、食べるようになるぐらい楽になることもあれば、食欲は上がらないですが顔つきが良くなる、といった子もいて、どれぐらい上がるかはその子次第ですが、少なくとも脱水していたり、気分が悪いままよりは身体が楽になるので、そういった対症療法を行うことかほとんどです。
こういった注射や点滴は、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室の獣医師、看護師がお伺いして実施することももちろんできますが、ターミナルケアの場合には、私たちが行くことで知らない人が来た、というストレスを動物たちに与えてしまうことが多いので、出来るだけノンストレスに過ごしてもらうために、ご家族様に注射方法をご指導して、出来るようになれば、ご家族様に行なって頂くことがほとんどです。
そして数日分の点滴などをお渡しして、数日後に再診を行い、状態を見させて頂きます。
そうすることで、動物たちを、安心できる場所で、しんどさから少しでも解放してあげることが出来るのです。
また、場合によって、酸素が必要と判断した場合には、お家で酸素ハウスをレンタルして頂いたり、といったこともしています。
貧血や、心臓病、胸水貯留などがある場合には酸素ハウスがある方が絶対にその子たちは楽になります。
ざっくりではありますが、往診専門動物病院わんにゃん保健室では、このようにターミナルケアを実施しています。
もしお家で過ごさせてあげたいけれど、病院に行くストレスが心配、であったり、そもそも病院に連れていけない、大型犬なので抱っこできない、などがあれば、いつでも往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡下さい。
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【執筆・監修】
江本宏平(在宅緩和ケア専門獣医師)
【病院名】
往診専門動物病院 わんにゃん保健室
【診療受付】
10:00~19:00(不定休)
【住所】
東京都台東区松が谷3-12-4 マスヤビル
【連絡先】
03-4500-8701(留守電対応)
Mail:house.call@asakusa12.com
※診療中につき電話をとることができないことが多いです。
往診をご希望の際には、問合せフォームからご連絡をいただくか、留守番電話にメッセージをお残しください。
【SNS】
Instagram:
@wannyan_hokenshitsu(診療紹介)
@koheiemoto(家族に向けた心のケア)
note:
https://note.com/koheiemoto
【ご挨拶】
末期がん、腎不全、心疾患など、 高齢の犬や猫に対する在宅緩和ケア・ターミナルケアを専門としています。
ご自宅でのケアに限界を感じたとき、 病院への通院が難しくなってきたとき、
「最後まで苦しませたくない」という気持ちに寄り添った診療を行っています。
【診療対応地域(往診対応エリア)】
東京都:
23区全域、国立市、府中市、三鷹市、稲城市、調布市、狛江市、武蔵野市
神奈川県:
川崎市(高津区・宮前区・川崎区)、横浜市(青葉区・港北区・神奈川区・鶴見区)
埼玉県:
戸田市、川口市、草加市、蕨市、八潮市、三郷市
千葉県:
松戸市、市川市、浦安市、習志野市