こんにちは!
今回は外傷を負ってしまった猫ちゃんのお話です。
猫ちゃんは身体が柔らかく、狭い場所なども一瞬にして走りすぎて行ってしまうこともあるかと思います。
そのため、玄関の扉を開けた隙に逃げ出してしまったり、窓を開けた途端にベランダに出てしまったり、といったことはよく耳にします。
頭ではわかっていて、気をつけていても、動物たちの動きは一瞬なので、不意の事故が起こってしまうこともあります。
今回は、そんな不意の事故で外傷を負ってしまった、東京千代田区在住の猫ちゃん症例です。
東京千代田区は、動物病院がとにかく少ないエリアですので、東京千代田区に今後お引っ越しされる予定のある飼い主様は、早めにどんな動物病院がどこにあるのかを把握しておくようにしましょう。
マンションのベランダから落下した猫(東京千代田区)
症例は東京千代田区在住、4歳で元気な猫のモンちゃんです。
モンちゃんとの出会いは夏の本格的な暑さで苦しんでいた、1ヶ月ほど前でした。
外傷を負って以来あまり食べなくなってしまったので、家での皮下点滴をしてほしいとのご依頼で往診をさせて頂きました。
お家にお伺いすると、モンちゃんはテーブル下で、シャーっと怒っており、不機嫌さが伝わってきたので、ごめんね、と謝りつつ、別のお部屋でご家族様から詳しくお話をお伺いすることにしました。
問診
モンちゃんは、1ヶ月ほど前に、偶然の事故によって窓から落ちてしまい、マンションの下の植木の上に落ちてしまったところを発見され、すぐに動物病院に連れていかれたそうです。
幸い、植木がクッションとなり、内臓からの出血や損傷、骨折などはありませんでしたが、ショック状態になっていたため、緊急処置の末、無事に意識を取り戻し、数日間入院をして、体調が安定したため、退院して通院に切り替えられたとのことでした。
しかし、モンちゃんは、普段からその性格ゆえに、抱っこをしたり、キャリーに入れることができず、通院するのも一苦労で、1,2日は頑張ることができたそうなのですが、飼い主様としても、嫌がるモンちゃんを無理やりキャリーに入れて動物病院に連れて行き、抵抗する中での治療をすることに精神的に疲弊してしまい、お家で治療を出来ないか探して頂いたところ、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室を見つけてご連絡して頂いたとのことでした。
退院しても、投薬どころか全く食べ物に興味を示さず、ご飯を食べてくれないため、動物病院にて点滴にてお薬なども入れていたとのことで、何とかご飯を食べられるようになると内服薬にすることができるので、頑張って食べてくれるようになるまで、食べてくれることを願って、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室のスタッフで治療をさせて頂くことになりました。
検査開始
一般身体検査
まずは食べない原因を調べるために、動物病院にて行なっていた血液検査の結果を見せて頂くことにしました。
血液検査ではたしかに大きな異常値はなく、電解質バランスも正常でした。事故直後からの推移でも大きくは変化はないので、内臓の損傷などから来ていることは考えにくい状況でした。
つぎに、実際にモンちゃんを触って、身体検査です。
モンちゃんのいるお部屋に行くと、再びシャーっとお怒り気味でしたが、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室のスタッフは慣れっこです。
モンちゃんをバスタオルに包んで出てきてもらい、全身を触って身体検査を行なっていきました。すると、通常はお腹に聴診器を当てると、消化管が蠕動する音、いわゆる、ギュルギュルというお腹の音が聞こえるのですが、モンちゃんの場合それが聞こえず、お腹の動きが良くないことが考えられました。
超音波検査
そこで、実際にどれぐらい動いていないのかを超音波検査で見てみることにしました。
食べない以外は元気そうなモンちゃん、とても嫌そうでしたが、何とか実施することができました。
たしかに、胃の中や十二指腸まで液体が溜まっているような状態で、消化管の動きも全体的にあまり蠕動運動していない様子でした。
そのため、消化管が動くようになると、今溜まっている液体が流れていき、食べられるようになることが予測できましたので、消化管を動かすお薬を使っていくことにしました。
診療プラン
とりあえず現時点では脱水はしていないようでしたので、注射と強制給餌による内服薬の投与、そして内服薬の投薬指導を行い、薬の内容は消化管を動かすお薬のみ使用し、拘束時間を短くしてモンちゃんのストレスを最小限にすることにしました。
しかし、このお薬は効果時間が長くはないですが、お家でご家族様にあと2回分お渡しし、その日の診察は終了としました。
次の日、もう一度お伺いすると、ご家族様は無事に投薬が出来たとのことで安心しました。
また、少し缶詰を温めて置いておくと、今朝は匂いを嗅ぎに行っていたとのことで、少し消化管が動き始めた感じがしたので、もう一度超音波にて胃の中を確認しました。
すると昨日よりも明らかに液体貯留は減っており、腸も少し蠕動運動をし始めていました。
治療が好感触でしたので、引き続き、モンちゃんには点滴ではなく、お薬のみお渡しし頑張ってもらいました。
その次の日には、モンちゃんは少しスープとスープの具を食べてくれていました。
この調子だと強制的に投薬しなくても、ご飯に混ぜる内服薬の投与方法にもうすぐ切り替えられそうだとのお話をさせて頂いたところ、ご家族様も喜ばれていて、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室のスタッフも安心しました。
その後、モンちゃんは無事に切り替えもできて、今ではしっかりとご飯もいつも通り食べてくれています。
まとめ
猫ちゃんの性格によっては、弱っている時は動物病院に連れて行けても、通院をするなど動物病院に連れて行くこと自体が難しくなってしまうケースもたくさんあります。
そういった場合には、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室にご相談ください。
お家で出来る限り最大限の治療をご提案させて頂きます。
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