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ステロイドって本当に怖いの?(東京ペット往診/訪問獣医)

こんにちは!

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、訪問に特化した動物医療を提供しています。

出会う犬猫の多くが高齢であり、何かしらの病気を抱えながらも日々のんびりと暮らしている子たちです。

往診専門動物病院わんにゃん保健室にご連絡をいただく中で特に多いのが、詳しい検査や積極的な治療は望まないが、できるだけ楽にしてあげたいという緩和ケアの依頼から、状態によって最後に日までの集中的に緩和処置を行うターミナルケアの依頼です。

緩和ケアとターミナルケアの中では、よく状態安定を目的にステロイドを使用します。その中で、よく質問に上がるのが「ステロイドって怖くないんですか?」というのがあります。

 

ですので、今日はステロイドについてお話ししようと思います。

 

ステロイドというと、何となく怖い気がする、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。私たちも、往診専門動物わんにゃん保健室でステロイドを使用することももちろんあります。

しかし、中にはステロイドは使いたくない、という方もいらっしゃいます。

もちろん闇雲に使い続けると副作用が出てしまいますが、ちゃんとした理由の元使用し、長期間使い続けなければ大きな副作用が出ることは比較的少ないです。

そこで今回は、ステロイドとはどんなお薬なのか、どういった時に使用するのか、副作用はどういったものがあるのかなどをお話ししていこうと思います。

 

そもそもステロイドとはどんなお薬なのでしょう?

 

ステロイドとは、副腎皮質ホルモン剤です。

つまり、身体の中でも作られている物質です。副腎皮質ホルモンは、糖質コルチコイドといって血糖値を上げるホルモンと、鉱質コルチコイドといって電解質のバランスをとるホルモンの2種類があり、ステロイド剤にはその2種類のホルモンがある比率で含まれています。その比率は薬の種類によって異なるので、副作用の出方や出やすさもステロイド剤の種類によって違ってきます。副腎皮質ホルモンは、ストレスがかかると身体の中で放出され、ストレス耐性がつくようにできています。このように、身体の中で作られているからこそ、使い方にも気をつけなければいけません。

 

では、ステロイド剤の副作用とは何でしょうか?

先ほどお話ししたように、ステロイド剤には、血糖値を上げる作用と電解質バランスを取る作用があります。

つまり、ステロイド剤を使用すると血糖値が上がってしまうため、糖尿病になってしまうことがあります。これが一つ目の副作用です。

 

あるいは、本来は体から出る副腎皮質ホルモンで電解質のバランスを取っているのですが、外から同じものが入ってくることで電解質のバランスがうまく取れなくなってしまうことがあります。これが二つ目の副作用です。

 

また、かなり長期的にステロイドを使用していると、外から副腎皮質ホルモンが入ってくるため、体からの副腎皮質ホルモンの放出量が減ってしまい、副腎自体が小さくなってしまい、ステロイドをやめても副腎皮質ホルモンが不足してしまうことがあります。

それら以外にも、免疫抑制や食欲増進、多飲多尿、肝臓への負担などたくさんあります。

しかし!これらの副作用が出るのは長期的に使用し続けた結果起こることが多いです。

しっかりと症状に合わせて、副作用が出ていないか検査をしながら使用していくと、こういった副作用はあまり起こりません。

 

では、次はどういう時にステロイドを使用していくのかをお話ししていきます。

ステロイド剤を使用する場面はいろいろですが、主には

 

・末期の疾患の緩和ケア、ターミナルケア

・腫瘍

・免疫疾患

・皮膚疾患

・アナフィラキシーショック

・炎症性疾患

 

などがあります。

末期の疾患の緩和ケアやターミナルケアの際には、ステロイドを使って、少しでも食欲増進を図ったり、末期の疾患の倦怠感や辛さを和らげる目的で使用していきます。

往診専門動物病院わんにゃん保健室でも、こういった使用をすることが多く、比較的辛さを和らげてあげることができています。

こういった場合には高容量で使用するわけではなく、比較的少ない量で使用していきます。

また、免疫疾患やアナフィラキシーショックでは高い用量で使用するため、副作用に注意が必要です。

アナフィラキシーショックでは1度の仕様なのでほとんど心配はありませんが、免疫疾患や皮膚疾患では、長期的に使用することが多く、特に免疫疾患では高用量での使用期間も長くなるため、副作用が起こりやすくもあります。

そのため、闇雲に使用し続けるのではなく、獣医師の診察のもと、処方に従って使用して、しっかりと検査も行いましょう。

腫瘍性疾患の場合は、腫瘍性の痛みを伴うこともよくあるのですが、ステロイドは腫瘍性疾患の痛みも比較的よくとってくれます。

もちろん、麻酔系や麻薬系の痛み止めも使用していくのですが、それらを使用すると消化管の動きが悪くなってしまったり、鎮静作用が出てしまったりすることもあるので、ステロイドを一緒に使用していくことがよくあります。

 

簡単にステロイドの副作用や使用するタイミングをお話しさせていただきましたが、しっかりと検査を行い、獣医師処方のもと、むやみに長期使用をしなければ決して怖れる薬ではなく、メリットもたくさんあるお薬です。

しかし、ステロイドを使用すると逆に悪化してしまったり、それこそ副作用が出てしまうことももちろんございます。

そのため、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室でも、使用する目的を明確にしたり、使用しても良いかどうかをしっかりと検査してから使用したりと、使用には気をつけています。

 

もちろん、往診専門動物病院わんにゃん保健室ではステロイドを使用しない治療法もご提案させて頂きます。動物たち、ご家族様に合った治療法をご提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。

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