こんにちは!
新型コロナウイルス性肺炎が話題になっていますが、動物からの感染症にちなんで、暖かくなって来たので、予防の観点から、SFTSという病気に関してのお話です。
春になるとわんちゃんのご家族様は特に予防の季節、という感じがするのではないでしょうか?
もちろん、法律で決められている狂犬病の予防接種や、フィラリアの予防もすごく大切で、ぜひやって頂きたいところです。
ただ、それだけではなく、今回はノミダニ予防、特にマダニを介してわんちゃん猫ちゃん、そしてヒトにも感染する病気が近年獣医療界で注目されているので、マダニ予防のお話しをさせて頂こうと思います。
ちなみに、東京中央区を中心に最近では活動しているのですが、マダニに刺されている犬猫を見たことがありません。みんなノミダニやフィラリアなどと同じように、ちゃんと予防できているからなのかなって思っています。
今日お話しようと思っている病気は感染症です。
SFTSという感染症を聞かれたことはありますか?何それ?という方がほとんどだと思います。
SFTSとは、正式名「重症熱性血小板減少症候群」という名前で、SFTSウイルスというウイルスによる感染症です。
この感染症はマダニを介して感染していきます。
ウイルスをもったマダニは生涯ウイルスを保有することができ、野生動物など、動物を吸血した際に、その動物にウイルスが感染します。
ウイルスは、その動物の体内で増殖し、別のマダニが吸血した際にウイルスもマダニに移行して、どんどん広がっていきます。
日本では、西日本を中心に広がっていましたが、最近では東日本にも広がってきており、注意が必要です。そのため、きっと東京23区でマダニに寄生された犬猫を見ないのだと信じています。
では、感染するとどうなってしまうのでしょうか?
症状は動物種によって違いがあり、まだ分かっていないことも多いのですが、猫ちゃんではとくに重篤な症状を示すことが多いようで、食欲不振や元気消失、嘔吐や40度近い高熱、黄疸が見られることが多いです。
また、血を固める作用がある血小板が減ってしまうことで、出血性の下痢など出血傾向を伴うこともあります。そして、治療をしても、命を落としてしまうこともあります。わんちゃんでの感染もあり、わんちゃんでは黄疸は認められることが少ないようですが、食欲不振や元気消失は認められます。
また、嘔吐や発熱、そして命を落としてしまうこともあります。
しかし、致死率もわんちゃんよりも猫ちゃんの方が高く、その理由はまだ分かっていません。また、マダニに吸血されればもちろんですが、吸血されていない人でも、動物たちから感染してしまうこともあります。人でも致死的になってしまうことが多く、特に50代以上の方は致死率が上昇し、重篤化するリスクも上昇します。
人でも症状としては、発熱や吐き気、嘔吐、倦怠感、関節痛などがあり、初めは風邪や疲れと間違われることが多いのですが、感染リスクがある場合には速やかにお医者さんに伝えましょう。
ここまで、SFTSの怖い面ばかりをお話ししてきましたが、実際にはSFTSウイルスとは環境中ではとても弱いウイルスなので、感染経路や予防、適切な対処をすれば感染を抑えることができます。
ではまずは感染経路からお話ししていきましょう。
感染経路は、冒頭にもお話ししましたが、まずはマダニからの感染です。感染マダニに吸血されることで、ウイルスに感染してしまうので、マダニがいるようなところに行く際は必ず防御できるように忌避剤や厚手の服や靴下などの着用を心掛けましょう。また、野生動物や、野良の猫ちゃん、お散歩をする猫ちゃんや、野良猫さんと接触のある飼い猫さんからの感染が近年注目されています。ウイルス性の感染症なので、動物同士、猫から猫はもちろんのこと、猫から人への感染も起こります。
外で見かけた犬猫が可愛いからと、つい触れたくなる気持ちはわかります。しかし、万が一のことも考えて、そっと優しく微笑んであげる程度にしておくことが無難でしょう。
感染経路は、主に血液、目や鼻、口からの粘液や糞便にウイルスがたくさん含まれているため、それらが傷口や粘膜に接した場合に感染が起こってしまいます。たとえば感染した猫ちゃんに噛まれてしまった場合などにかかってしまうことが多いと言われています。
ある動物病院では、SFTSの症状を示した猫ちゃんが来院し、検査、処置を行なった後、皮下点滴がわずかに血液と共に漏れてきていたため、獣医師と看護師でそれを拭おうとしたところ、猫ちゃんがブルブルっと身震いをしたため、その血液混じりの点滴が飛び散ってしまい、その時にはしっかりと手袋とマスクもしていましたが手洗いも行なったそうなのですが、数日後その獣医師と看護師がSFTSを発症、早めに医療機関を受診していたため、重症にはならなかったそうなのですが、その程度の体液でも感染してしまうのが事実です。
そして、おそらくこの時は身震いして飛んでしまった点滴が目に少量入ってしまったのかもしれません。もし、感染したのが高齢者だった場合は重篤になっていたかと思います。
では、どうやってわんちゃんや猫ちゃんへの感染を防御すれば良いのでしょう?
それはノミダニの予防薬をつけることです。少し前まではノミダニ予防薬ですが、マダニの予防はできないお薬もありましたが、今ではマダニも含めたノミダニ予防薬が主流になってきています。
往診専門動物病院では、わんちゃん用にはネクスガードスペクトラ、猫ちゃん用にはレボリューションプラスを使用しています。フィラリアのシーズンやノミダニ予防など、往診専門動物病院でも対応できますので、お気軽にお声かけください。
これらの予防薬を使用することで、マダニからの感染症を確実に予防することができるので、特にお外にいく猫ちゃんでは必ず予防してあげましょう。また、お家では触れなくてとても付けられない、という場合には、往診専門動物病院わんにゃん保健室にご相談下さい。
ノミダニのお薬をつける、ということも含めて、身体検査なども一緒に実施させて頂きます。
そして、もしお家のわんちゃん猫ちゃんが疑わしい!という場合には速やかにそのことを動物病院にお伝えした上で受診しましょう。
また、ウイルス自体はアルコールや石鹸水で流すだけで殺滅できる程度のものなので、体液がついてしまったりした場合は速やかにしっかりと洗い流しましょう。
このように、動物を介して人にうつってしまう感染症もたくさんあります。
今回は少し怖いお話しをしましたが、しっかりと予防をすれば決して過剰に恐れることはありません。そして先ほどもお話ししましたが、お家ではつけられない、という場合には往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡ください。いつでもご相談をお受けしています。
◆-----------------------------------◆