猫の心筋症では、途中から胸水が貯留することがあります。
このケースでの胸水貯留では、針を胸に刺して胸水を抜去する胸水抜去という方法以外に、医薬品を用いて対応できる場合があります。
胸水抜去を実施すれば、その場で感じる痛み、また抜去後に刺入部に残る軽度の鈍痛や肋間神経の痛みと引き換えに、すぐに呼吸が楽になるという最大のメリットがあります。
この時の痛みはとても強いため、在宅緩和ケアの観点からは少量でも鎮静と鎮痛効果のある薬を使用し、猫ちゃんが感じるストレスを最小限にしてあげることを大切にしています。
ただし、状態がとても悪く、痛みのストレスよりも、鎮静処置に耐えられそうにない場合には、鎮静処置なしで胸水抜去を実施することもあります。
この「胸水」ですが、猫ちゃんで胸水貯留を認めた場合には、心臓病か腫瘍かの2つをまずは疑っていきます。
心臓病からくる胸水であれば、内服薬または同等の効果の注射薬などの使用で、胸水の貯留量がどんどん減弱し、たくさん溜まっていて胸水も、3日間ほどで軽度貯留まで減り、1週間ほどで消滅しました。
ちなみに腫瘍が原因で貯留した胸水では、医薬品での効果はなかなか期待できませんが、それでも胸水抜去ではなく医薬品を用いて様子を見てあげることを希望された場合には、その意向に合わせたプランを構築していきます。
猫ちゃんが心臓病の進行によって貯留してしまった胸水に対して、医薬品を用いたコントロールは、直近の6症例のうち、全ての症例で胸水の貯留量が減り、呼吸状態の改善が認められました。
ただし、心臓病などの病気では、使用する医薬品の数も量も増えがちなため、内服薬が得意な猫ちゃんであれば内服薬でのコントロールが叶いますが、ほとんどの猫ちゃんで内服薬が苦手です。
その場合には、比較的飲みやすい医薬品は内服で残し、それ以外を注射薬として、在宅にて皮下投与してもらうような環境を構築していきます。
それによって、苦手な内服投与の医薬品はできる限り少量とし、他を注射薬とすることで、猫ちゃんが抱えるストレスと、ご家族様が抱える投薬できないストレスが軽減できます。
心筋症による胸水貯留は、心筋症の後半の方で起こります。
胸水貯留が始まると、胸水抜去のために高い頻度で、下手すれば毎日の通院が必要となってきます。
もし猫ちゃんの心筋症などの心臓病で、動物病院に頑張って通院している場合には、いつかくるその日に備えて、一度在宅医療が可能な往診専門獣医師に相談しておくことをお勧めします。
体調を大きく崩してから、急いで往診専門の動物病院を探し出すと、もしかするとなかなか見つからなかったり、思っていた先生と違う像の獣医師にお願いすることになってしまった、ということも多くあります。
東京、千葉、埼玉、神奈川であれば、当院が訪問することが可能ですので、まずはお電話ないし問い合わせフォームから、今のご状況を教えてください。
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