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猫の腎臓病は通院ではなく往診へ切り替えよう(猫/腎臓病/血液検査/皮下点滴)

腎臓病は高齢の猫で非常に多く見られる疾患です。

 

慢性腎臓病(CKD)は完治が難しい病気であり、進行を遅らせるためには定期的なケアが欠かせません。

 

しかし、通院そのものが猫にとってストレスとなることが多く、治療を続ける上での大きなハードルになる場合があります。

 

この記事では、「猫の腎臓病ケアを通院から往診に切り替えるべき理由」を中心に、往診で可能なケアやそのメリットをご紹介します。飼い主様が猫ちゃんと穏やかに過ごせる日々をサポートするための一助になれば幸いです。

 

 

猫の腎臓病における通院から往診への切り替えが有効な理由5つ

 

1. 通院が猫にとって大きなストレス

通院時にキャリーケースへ入れる、移動する、待合室で待つなど、猫にとっては多くのストレスがかかります。

 

腎臓病の猫は体力が低下していることが多く、通院によるストレスがさらに体調を悪化させる原因になることもあります。

 

2. 定期的なケアが必要なため、往診の方が継続しやすい

腎臓病の管理では、定期的な検査や治療が必須です。

 

最初は3ヶ月に1回の検査頻度であっても、状態が進行するにつれ、1ヶ月に1回、場合によってはそれ以上の頻度でのケアが必要になります。

 

往診であれば、通院の手間を減らし、治療を継続しやすくなります。

 

3. 自宅でリラックスした状態で診察可能

往診では、猫が自宅でリラックスした状態で診察を受けることができます。

 

キャリーケースや病院の待合室で緊張することなく、猫本来の状態を観察できるため、より適切な診断と治療が可能です。

 

4. 自宅環境に合わせたケアの提案が可能

往診では、猫が生活している環境を直接確認できます。

 

たとえば、食事の場所、水の配置、トイレの状況などを把握し、それに基づいた具体的なケアやアドバイスを提供することができます。

 

5. 移動リスクがないため体調が悪化している場合も対応可能

腎臓病が進行すると、猫は体力が低下し、移動が大きな負担になることがあります。

 

往診なら移動リスクを完全に排除できるため、体調が悪い時期でも適切なケアを提供できます。

 

 

定期検査の必要性と往診での対応

腎臓病の管理には、定期的な血液検査や尿検査が重要です。

 

これらの検査は、腎機能の状態を把握し、治療の効果を確認しながら進行を遅らせるために欠かせません。

 

検査内容

【血液検査】

BUN(尿素窒素)、クレアチニン、リン、SDMAなどの腎機能を示す値を確認します。

 

【尿検査】

尿比重や尿タンパク、尿中の細菌や結晶の有無を調べます。

 

これらの検査は、すべて往診で対応可能です。ご自宅で採血や採尿を行い、ストレスを最小限に抑えながら必要なデータを収集します。

 

検査頻度

【初期段階】

症状が安定している場合、3ヶ月に1回の検査を推奨。

 

当院では、腎臓病のステージ2〜3の始まりくらいが、ここに該当する印象です。

 

ただし、ご家族様の不安な様子やご希望に沿って、その頻度を上げることも可能ですし、逆に下げることもご相談いただけます。

 

【進行段階】

症状が進行した場合、1ヶ月に1回、場合によってはそれ以上の頻度で検査を行います。

 

ステージ4以降はここに該当すると思われます。

 

そのくらい日々の変化が激しくなり、また食欲減退や嘔吐、下痢または便秘などの消化と排泄の機能低下、機能異常が伴うのもこの頃です。

 

症状の変化が著しいため、ご家族様の心がついて来れないのも、またこの時期です。

 

今を受け入れるために、今がどんな状態なのかを都度ご説明し理解していただき、これから訪れる未来の変化について、対策を打っていくのもこの時期です。

 

 

皮下点滴の指導と処方の対応

 

腎臓病の猫において、皮下点滴は治療および緩和ケアの重要な柱となります。

 

腎臓の機能が低下すると脱水状態になりやすく、これを補うために定期的な点滴が必要です。

 

皮下点滴のメリット

腎臓病(腎不全)では、猫ちゃんは脱水傾向がより進行します。

 

皮下点滴を行うことで、経口補水(水を飲むこと)では補い切れない水分量をサポートし、脱水補正を図ることで、腎臓への負担を軽減します。

 

症状が悪化する速度を遅らせ、猫の生活の質(QOL)を向上させることを目的に、実施計画を作っていきましょう。

 

往診での対応

【皮下点滴の実施

最初は獣医師が点滴を実施し、その後飼い主様自身で行えるよう指導します。

 

器具の提供

点滴セットや必要な器具をお渡しします。

 

具体的な指導

針の刺し方や点滴の量、猫が嫌がる場合の対処法など、基本的な実践的アドバイスを行います。

 

実施するのは診察台の上ではなく、ご自宅の中です。

 

実際に実施する環境や、家の中にあるもので、どこでどんな態勢で皮下点滴を打つといいのかなども、環境を見ながらご相談いただけます。

 

皮下点滴のトレーニングをしっかり受けることで、飼い主様が自信を持って実施できるようになります。点滴の量や頻度は猫の状態に応じて調整します。

 

 

内服薬や注射薬の処方も往診で対応可能

 

腎臓病の治療では、薬剤の投与が不可欠です。

 

多くの場合、以下のような薬剤が使用されます。

 

内服薬の種類

【リン吸着剤】

腎臓でのリンの処理能力が低下するため、食事中のリンの吸収を抑える薬です。

 

【血管拡張薬】

腎臓への血液供給を改善し、腎臓の負担を軽減します。

 

【胃腸薬】

腎臓病による嘔吐や胃腸の不調を改善します。

 

このほかにも、BUNを下げる(生成させないことを目的とした)サプリのようなものもあれば、吐くことを止める目的で使用する薬、血圧自体を下げてあげる薬、そして血栓予防など、幅広く存在します。

 

基本的には、どこの動物病院でも医薬品会社から購入することは可能。

 

往診切り替えの時には、今どんな薬をどのくらいの量と頻度で飲んでいるのか、また腎臓病に対する内服薬の投与経歴などをまとめておくと、より方針立てに役立ちますのでおすすめです。

 

往診での内服薬処方のメリット

猫ちゃんにとって飲みやすい形状(粉、液体、投薬補助おやつと組み合わせる方法など)を提案するだけでなく、少し単価は上がってしまいますが、苦味の少ない医薬品を選択し、ご提案させていただきます。

 

注射薬の使用

進行した腎臓病では、内服薬だけでは効果が不十分な場合があります。

 

この場合に、できる限り注射薬に変更し、皮下点滴に混ぜて投与することが可能です。

 

皮下点滴の頻度は投薬頻度に合わせて調整するため、基本的には1日2回になることが多いですが、1回量は少量の点滴になるため、皮下点滴時間は10秒程度で終えられます。

 

腎臓病は徐々に進行する病気です。

 

その過程で、貧血を起こすことがあります。

 

その場合には、当院だと造血ホルモン製剤を週1回の間隔で皮下投与していきます。

 

輸血も選択肢としてありますが、若い猫ちゃんであればまだしも、高齢猫ちゃんの場合には、輸血の負担を考え、体力的にも望まない猫ちゃんがほとんどです。

 

 

ここまでのまとめ

腎臓病の猫にとって、通院はストレスが大きく、治療の継続が難しくなることがあります。そのため、往診に切り替えることで、猫ちゃんと飼い主様双方の負担を軽減しながら、適切な治療を続けることが可能になります。

 

【往診のメリット】

1. 通院ストレスを回避し、猫ちゃんがリラックスした状態でケアを受けられる。

2. 自宅での生活環境を考慮したアドバイスが可能。

3. 定期検査や皮下点滴、薬剤の処方がすべて往診で完結。

4. 移動のリスクがなく、体調が悪い時でも適切なケアが受けられる。

5. 飼い主様がケアを継続しやすい仕組みを提供。

 

腎臓病を抱える猫ちゃんに穏やかで快適な日々を過ごしてもらうために、ぜひ往診を選択肢の一つとしてご検討ください。私たち往診専門動物病院は、飼い主様と猫ちゃんが安心して治療を続けられるよう、全力でサポートいたします。

 

続いて、実際の症例について、1つ書かせていただきます。

 

 

日本猫のミミちゃん、18歳、腎臓病(腎不全)

 

東京足立区の静かな住宅街で暮らす、日本猫のミミちゃん、18歳。

 

家族構成はお母さんとお父さんの二人暮らしで、おこさんが巣立った後、御夫婦二人にとって、ミミちゃんはかけがえのない家族となっていました。

 

元々体は強く、目立った病気になったこともなく過ごしてきましたが、数年ほど前から徐々に体重が減り、食欲にムラが出始めました。

 

動物病院で診察を受けたところ、慢性腎臓病(CKD)と診断されました。

 

「老猫ちゃんに多い病気」と聞いて驚いたお母さんは、腎臓病の治療に力を入れることを決意し食事療法を始め、毎月一度の検診に通う生活がスタートしました。

 

通院が生むストレス

最初のうちは通院も順調でした。

 

ミミちゃんはおとなしくキャリーに入り、病院での検査も問題なく受けていました。

 

しかし、月日が経つにつれ、通院後のミミちゃんに変化が見られるようになりました。

 

帰宅後のぐったり感が強く、ほとんど動かずに寝ていたり、食欲が落ち、翌日まで元気が戻らない日も出てきました。

 

病院での待ち時間が増えると、キャリーの中で不安そうに鳴くようになったとのことでした。

 

お母さんは「この通院自体がミミちゃんにとって負担になっているのではないか」と感じ始めましたが、動物病院の獣医師に相談したところ、往診は空いている時間に行うことはできるが、基本的には予約を受けていないし、最近はほとんどやってないと言われたとのことでした。

 

そんな時、往診での腎臓病ケアを紹介する記事を目にし、迷うことなく往診切り替えを希望してくれたとのことでした。

 

基本的にはどこの動物病院でも往診対応していると思います。

 

ただ、検査や手術、術後のペットの状態管理など幅広い業務が動物病院には課されているため、単発の往診であればまだしも、定期的な往診を希望されるご家族様のニーズに答えることはできないと思っていた方がいいです。

 

もし往診を希望される場合には、迷わずに往診専門動物病院を探すようにしましょう。

 

初めての往診

ミミちゃんは病院に行くストレスがないせいか、普段通りリラックスした様子で、いつものお気に入りの場所である窓辺のクッションに座っていました。

 

初診では、今までの長い経緯をしっかりと伺い、腎臓病の進行具合を把握するための血液検査と尿検査生活環境の確認、水を飲む頻度、トイレの回数、食事量のチェックなどの生活環境の確認、定期的な皮下点滴を在宅でご家族様だけで実施できるように、皮下点滴トレーニング、という流れでした。

 

全体でおおよそ2時間半ほどとなりましたが、終始ミミちゃんは落ち着いた様子だったこともあり、お母さんもお父さんも安心して診察に専念してくれたとのことでした。

 

日々の変化

往診を始めてからの生活は、ミミちゃんにとっても家族にとっても穏やかなものとなりました。

 

皮下点滴も、最初は獣医師が行う専門的なことのように思っていたとのことでしたが、実際に家の中で家族だけでできるなんても思ってもいなかったとのことでした。

 

実施自体は決して難しくはないです。

 

あえて言うなら保定が必要な場合や、痩せ細った状態の猫ちゃんですと、ハードルが少し上がりますが、それでもみんななんとか頑張れている印象を受けています。

 

ミミちゃんのお母さんも、3回目までは不安が残っていたが、今は問題なくお母さん一人でリビングのソファーの上で腰掛けながら、実施できるようになったとのことでした。

 

診察の時は嫌がるそぶりが大きかったミミちゃんでしたが、家族だけの空間であれば、お伝えしたとおり、ミミちゃんも受け入れる姿勢で嫌がらずに受けてくれたと、お母さんが話してくれました。

 

すでに腎臓病ステージ4だったため、毎月1回の往診で血液検査を行い、腎臓病の進行具合を細かくチェックし、データに基づいて、皮下点滴量や頻度、食事や内服薬の調整もこまめに行いました。

 

水皿の配置を増やし、食事は腎臓病用のウェットフードに変更することで食欲を維持し、ミミちゃんの好みに合わせて温める工夫も加えました。

 

ドライフードしか食べないタイプの猫ちゃんもたくさんいます。

 

ただ、高齢期になると投薬が始まることが多いので、その時にドライフード1つだと投薬が難しくなると思われます。

 

若齢のうちから、ウェットフードやウェットタイプのおやつなどを食べる練習を行なっておくと、投薬が始まった時にスムーズに内服薬プランが立てられると思いますので、あげすぎない程度あげておきましょう。

 

大きな体調悪化と最後の時間

初診から1年8ヶ月後の2024年11月13日、ミミちゃんは食欲が急激に落ち、動きも少なくなりました。

 

検査では腎臓病の進行が明らかで、貧血も進んでいました。

 

造血剤の提案をしましたが、造血剤は投与後に2-3日ぐったりするくらい体力を持っていかれる可能性が高いことをお伝えしたところ、もう負担となる処置はしたくないとのことから、全身状態を安定させる医薬品プランのみとしました。

 

皮下点滴と一部の内服薬で体調を保ちながらも、嘔吐などの症状を一切起こさずに、自宅で穏やかな時間を過ごしていました。

 

一度は食欲が上がってきた雰囲気を見せてくれたミミちゃんでしたが、大きく回復することなく、2024年12月2日、大好きなお母さんの膝の上で、お母さんとお父さんに撫でてもらいながら静かに眠りにつきました。

 

ミミちゃんの診察を通じて

ミミちゃんのように高齢で腎臓病を患う猫ちゃんにとって、通院は治療の一環であると同時に、大きな負担ともなります。

 

病院までの移動、待ち時間、診察台での緊張など、猫ちゃんがストレスを感じる場面は多く、その結果、治療後にぐったりしてしまうことも珍しくありません。

 

腎臓病の治療では、定期的な検査やケアを継続していくことが何よりも重要です。そのため、治療そのものが猫ちゃんにとって快適であることが、治療を成功に導く鍵となります。

 

往診は、こうした通院による負担を軽減するだけでなく、猫ちゃんとそのご家族が一緒に穏やかな日々を過ごすための大きなサポートとなります。

 

獣医師が直接ご自宅に訪問することで、猫ちゃんは慣れ親しんだ環境で診察を受けられ、飼い主様もリラックスした状態で猫ちゃんのケアに専念することができます。

 

往診のメリットを改めて考える

猫ちゃんにとってのメリットは、通院がなくなることで、キャリーケースに入るストレスや、移動中の不安が一切なくなります。

 

また、自宅という安心できる環境で診察を受けるため、病院での緊張がなく、本来の体調や行動を獣医師に見せることができます。

 

これにより、より正確な診断と適切な治療が可能になります。

 

飼い主様にとってのメリットは、往診によって病院までの移動時間が省けるだけでなく、待ち時間や猫ちゃんのケアに対する心配も減少します。

 

また、獣医師が生活環境を直接確認し、適切なアドバイスを提供することで、飼い主様が行うケアの質も向上します。

 

結果として、治療の継続性が高まると思っています。

 

腎臓病の治療では定期的な血液検査や尿検査、皮下点滴などが必要になりますが、往診ではこれらがすべて自宅で完結します。

 

特に高齢の猫ちゃんや体調が悪化している猫ちゃんにとっては、この「移動しなくてよい」という点が治療を継続するうえで大きな利点となります。

 

家族だけで過ごす穏やかな時間

往診の大きな魅力は、猫ちゃんが家族と共に過ごす時間を最大限に延ばせることです。

 

腎臓病の治療では、病気を完全に治すことが難しい場合も多く、どれだけ穏やかな時間を過ごせるかが治療の目的となることもあります。

 

ミミちゃんが往診に切り替えたことで、最期の瞬間まで大好きな家族と一緒に安心した状態で過ごせたのは、飼い主様にとっても大きな喜びでした。

 

飼い主様の膝の上でくつろぐ姿や、お気に入りの窓辺で日向ぼっこする姿を見守る時間は、何ものにも代えがたい価値があります。

 

こうした日々を積み重ねるためにも、猫ちゃんの治療が負担ではなく、生活の一部として無理なく続けられる環境を整えることが大切です。

 

往診はこんな飼い主様に往診をおすすめ

「猫ちゃんがキャリーケースを嫌がる、移動中に不安そうに鳴くことが多い。」

「病院に行った後、ぐったりするなど体調が悪化することがある。」

「高齢で体力が落ちているため、通院の負担を減らしたい。」

「猫ちゃんが腎臓病などの慢性疾患を抱えており、定期的な検査や治療が必要。」

「自宅でケアを続けたいが、皮下点滴や内服薬の方法に不安がある。」

 

往診は猫ちゃんと家族にとっての安心を届ける選択肢

猫ちゃんの腎臓病ケアにおいて、往診はただの代替手段ではなく、猫ちゃんと飼い主様にとって最善の治療環境を提供する方法です。

 

自宅で診察を受けることで、猫ちゃんのストレスを減らし、家族と一緒に過ごす穏やかな時間を大切にすることができます。

 

ミミちゃんの物語が示しているように、往診を選ぶことで猫ちゃんのQOL(生活の質)を大幅に向上させることが可能です。

 

もし、通院による負担や治療の継続性に不安を感じているのであれば、ぜひ往診という選択肢を検討してみてください。

 

あなたの大切な猫ちゃんにとって、穏やかで安心できる時間を作るために、往診専門の動物病院が全力でサポートいたします。

 

「猫ちゃんが家で安心して過ごす姿を守りたい」

 

往診はその願いをかなえる第一歩です。

 

東京、千葉、埼玉、神奈川であれば、当院がご自宅までお伺いし、残された時間をできる限り苦痛なく過ごせるサポートをさせていただきます。

 

現在、動物病院への通院で悩んでいるご家族様は、まずはお気軽にご相談ください。

 

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