こんにちは!
今日はウイルス疾患の猫ちゃんのお話です。
猫ちゃんを飼われていらっしゃる方は一度は猫エイズや猫白血病という病気を聞かれたことがある方が多いのではないでしょうか。
それ以外にも、猫ちゃんのウイルス疾患は、猫ヘルペスやコロナ、などワクチンに入っているものなどとってもたくさんあります。
その中で今回は猫エイズにかかってしまった猫ちゃんのお話しです。
以下のブログでは、エイズ陽性の猫ちゃんに関する症例を書いています。ご参考までに^^
東京都港区在住の推定10歳の高齢猫ちゃんのウニちゃんです。
往診専門動物病院わんにゃん保健室ではお電話とメールどちらでもご予約を頂けるのですが、ウニちゃんはメールにてご予約を頂き、往診をさせて頂きました。
お家に入ると、同居のわんちゃんがルンルンとご機嫌でお出迎えしてくれて、お部屋に案内してくれました。
ウニちゃんのお話しを先に詳しくお伺いすると、ウニちゃんは1年前に別の場所で外猫さんだったところを保護されお家に来たらしく、その時すでに足に怪我をしていたそうです。
そこで、近くの動物病院さんに連れて行ったところ、念のためにウイルスのチェックと、全身の状態を調べるために他の血液検査も行ったところ、猫エイズ陽性、末期の腎不全という結果で、治療をしていたそうです。
その後ご家族様が引越しをすることになり、東京都内に来られ、ウニちゃんも一緒に来ましたが、新しい土地でストレスも強いだろうということで、近くの動物病院ではなく、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室にご連絡を頂きました。
足の傷は1年前に比べてやや大きくなってきている様子で、ずっと洗浄をしているけれども良くならないとのことでした。
また、腎不全の方はしばらく検査ができていないそうなのですが、調子は悪くはなく、食欲もあるようです。
そのため、この日はまずは身体検査と、現在の腎不全の状態を見るために血液検査、そして傷の処置を行うこととしました。
ウニちゃんがいる部屋に入るとウニちゃんはお気に入りのベットで寝ていて、私たちが入ると顔だけこちらに向けて尻尾で挨拶をしてくれました。
こちらに来てもらい、まずは身体検査です。
激しい脱水はありませんでしたが、やや脱水気味で、粘膜色が薄く貧血傾向が予測されました。
採血はすごくお利口さんにさせてくれ、また、足の傷はかなりにおいが強く、感染している可能性が高かったため、抗生物質の種類を決めるために、感受性試験、という検査をすることにしました。
この検査によって、どの抗生物質がよく効くのかが分かります。
逆に、ひどい感染の場合、これを行わなければ効かない抗生物質を使ってしまう可能性があるので、できれば抗生物質を使用する前にこの検査を行うことが理想的です。
検体を取った後、生理食塩水で綺麗に傷口を洗浄し、湿潤状態を保てるように工夫して傷口を保護していきました。
感染兆候があるため、洗浄はできれば1日2回行って頂くこととし、この日はそれで診察終了としました。
血液検査の結果、貧血の数値が悪く、白血球の上昇も見られました。
また、腎臓の数値は以前の検査結果に比べると良くはなっていますがやはりまだ高く、脱水傾向も認められたので、点滴が必要と判断しました。
ここで、エイズについて少しご説明していきます。
猫ちゃんのエイズは4期に分かれていて、発症すると口内炎(口をくちゃくちゃするなど)などが出てきて、1番末期になると免疫不全状態、つまり、感染しても身体が戦えなくなって、白血球も上がってこない状態になってしまいます。
今回ウニちゃんは白血球の上昇が認められたので、まだ末期ではありませんでした。
ウイルスに感染した直後はリンパ節の腫れが出たり発熱したりといった症状が出ます。
これが急性期です。
その後4〜5年ほど無症候キャリア期といって健康な他の猫ちゃんと見分けがつかない状態になります。
次のステージがエイズ関連症候群期で、慢性的な口内炎や歯肉炎、下痢や皮膚炎などの症状が徐々に悪化していき、最終的にエイズ期に入っていきます。
今回のウニちゃんはおそらくエイズ関連症候群期かと思われ、そのため傷の治りがとても悪いと考えられました。
貧血の数値が良くなかったため、赤血球を作るホルモンの注射をするために、もう一度お伺いし、その時に皮下点滴もお渡しさせて頂きました。
その後は感受性試験の結果が出てもう一度お伺いさせて頂きました。
その時には、傷は洗浄によってやや綺麗になってはいましたが、効果があった抗生物質をお渡ししました。
その日は、貧血の注射の効果が少し出てきたようで、粘膜色が少し良くなり、いつもより元気になってきているそうで、少し安心しました。
その後も定期的にウニちゃんの往診は続けており、傷は少し小さくなり、感染もなくなったので現在は洗浄のみ続けて頂いています。
ウニちゃんも慣れてきてくれたようで、最初は私たちがおやつをあげても食べませんでしたが、最近はかなり食いつき良く食べてくれるようになって、嬉しい気持ちでいっぱいです。
ウニちゃんのように腎不全と猫エイズの両方にかかっている場合、傷の治りはかなり悪く、もしかするとウニちゃんの傷はずっと治らないかもしれません。
しかし、管理をしてあげることで、感染から守ったり、それによる痛みを取り除いてあげることができます。
ウニちゃんもお利口さんなので、ご家族様もあまり負担なく続けられるようで、良かったです。
ウニちゃんのように毎日の処置が必要になる場合でも、何回できるか、お家でどうすれば一番やりやすいか、など私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室ではしっかりとヒアリングして、ご相談させて頂きます。
治らない怪我や、末期の腎不全、その他の末期の病気で病院のストレスを避けたい、とご希望の方、いつでも往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡下さい。
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