緩和ケアをご存知でしょうか?
人の医療の方では、十分にその分野が周知されつつありますが、ペットの医療である獣医療業界では、まだまだその認知度は低いです。
緩和ケアとは、『慢性疾患やがんなど、もう治すことはできない病気に対して、苦痛をできる限り軽減することを最大の目的とした行為』です。(※個人的な見解ですが、このように考えています。)
緩和ケアと治療の違いは、以前ブログで書かせていただきましたので、本ブログの最後にリンクを載せておきます。後ほどご一読いただけたら幸いです。
今回は、この『ペットの緩和ケア』について、動物病院への通院と往診による在宅医療では、どんなメリット・デメリットがあるのかを書かせていただきます。
愛犬・愛猫が病気になった時、最初はもちろん治療を望みます。
治せる病気であれば、治療に踏み切ることを推奨します。
もしその病気が急性疾患ならば... 入院治療で良くなるならば...
動物病院に通院させ、入院管理による集中的な医療を選択される方は多くいます。
ただ、もしその病気が慢性疾患や癌などで、治療ではなく定期的な検診による毎日の投薬によるコントロールが重要とされる状態であれば、もう通院ではなく往診に切り替えたいと考えられるご家族様もいます。
通院なのか、往診なのか。
選択の参考になれればと思います。
今回は、以下のような症例で検討していきます。
【症例】
日本猫、16歳、慢性腎臓病(腎不全)。
1ヶ月ほど前からの食欲不振を主訴に動物病院へ通院したところ、慢性腎臓病(腎不全)のステージ4とされ、現在は月1回の血液検査で経過観察し、内服薬2種類と2日に1回の皮下点滴でコントロール中。
【通院のメリット】
通院でのメリットは、その場で幅広い検査結果が出るということと、必要に応じてX線検査を実施できることが挙げられます。
また、血液検査結果が大きく悪化していて、静脈点滴を推奨される状況だった場合に、ご家族様の同意のもと、集中的に静脈点滴を入院管理下で実施できるので、急性期には最適と考えられます。
【通院のデメリット】
通院と往診の大きな違いに、「通院させなければいけない」という通院ストレスの存在は大きくあります。
緩和ケアのステージでは高い頻度での通院が求められるため、帰宅するとぐったりしてしまうタイプの犬猫には、早期からの往診切り替えを検討するといいかと思われます。
【往診のメリット】
往診のメリットは、何といっても「自宅にいながら医療を受けられる」、そして「診療後すぐに好きな場所に隠れられる」です。
血液検査や尿検査などであれば、通院しなくても往診で可能です。
今回の症例で、もしこの猫ちゃんが通院が苦手な性格だとするならば、早期から往診に切り替えましょう。
【往診のデメリット】
往診は救急に不適なため、万が一に急変や入院を必要としているような場合には、往診では対応できません。
このような場合に、動物病院へ飛び込むか、もう通院させることがこの子にとって歩単位なるのでさせたくないと考える場合には、事前に今後起こりうる症状に対する対策を打っておくことで、ご自宅でいかにして過ごせるかを議論しておく必要があります。
また、往診は通院と比べて診療費がかかることは忘れてはダメです。
動物病院が家に来て、2時間ほど診療に時間を費やすため、通常の動物病院での診療がおおよそ10分間だとすると、単純に12倍ほどかかる可能性があります。
おそらく、この症例であれば、1ヶ月単位での検査と処方ですので3〜5倍程度かもしれませんが、往診は通院と比べると費用が嵩むことは覚えておきましょう。
ただ、その分色々な相談ができたり、生活環境を加味した最適な診療プランを組んでもらえるという最大のメリットがあることもあるため、ペットの負担を減らしてあげたいと感じた時に、一度往診専門動物病院へ相談してみるといいかと思われます^^
まとめ
今回紹介したケース「猫の慢性腎臓病(腎不全)」は、通院よりも往診での検診と処方が最適になりやすい症例です。
ただ、同じケースだとしても猫ではなくて犬の場合、費用面や検査設備面などから、往診よりも通院が好まれると考えます。
わんちゃんの多くがお散歩に出かける習慣があるため、連れ出すことが容易なことから、通院も難なくこなせる子が多いです。(中には、動物病院が苦手すぎる犬もいます...)
一緒に暮らすペットの性質を見極めて、ご家族様が判断してあげましょう。
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当院の往診は、一過性の症状に対する治療にも対応しております。
在宅医療特化型の犬猫往診を東京23区を中心に近隣地区までお伺いし、慢性疾患に対する検査・処方コントロール、および緩和ケアと看取りまでのターミナルケアに対しては、専門的に取り組んでおります。
わんちゃん、猫ちゃんの在宅医療でお困りのご家族様、まずはご相談ください。(03-4500-8701 / 10:00-19:00 / 不定休)
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次回は【往診専門動物病院選択の注意点】についてです^^
前回の記事
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