こんにちは!
往診専門動物病院わんにゃん保健室 往診獣医師の大東です!
当院では、台東区、江東区、中央区を拠点とし、東京23区全域、さらにはその近隣地区まで訪問させていただきます。当院の往診獣医療では、往診車で獣医師と動物看護師が一緒にお家まで訪問させていただき、お部屋の中からペット(犬・猫)を連れ出さなくても獣医療を受けさせてあげられます。また、とてもシャイなペット(犬・猫)と暮らしているご家族様には、事前にペット(犬・猫)の性格と性質をお伺いすることで、お部屋のどんな場所でどんな風にして診察をしたほうがいいなどのお話を、電話予約の段階でさせていただきます。
ペット(犬・猫)の飼い主様に広く寄り添える獣医療の新しい診療形態が、往診専門動物病院わんにゃん保健室です。
動物病院に通院できないで困っている飼い主様はまずはご相談ください。そして、もし周りでそのようなことで困っているご友人やお知り合いの方がいましたら、往診専門動物病院があることを教えてあげてください。
さて、ブログに入ります!
最近急に気温がぐっとさがってきましたが、皆様体調は崩されていませんか?
特に高齢のわんちゃんやねこちゃんは、体温調節が苦手なので、暑すぎるのも苦手ですが、寒さにも弱く体調を崩しやすい時期になってくるかと思います。
秋や冬は特に私たち人も、大切なわんちゃん猫ちゃんも体調を崩しやすい季節ですので、お気を付けください。
東京墨田区在住、15歳の高齢猫、シンちゃんのその後
それでは、今回は、先日ブログにてお話させて頂きました、東京墨田区在住、15歳の高齢猫、シンちゃんのその後について、お話させて頂こうと思います。
シニア猫のシンちゃんは、皮膚の症状と、元気食欲の低下、多飲多尿が主訴でしたが、シニア猫のシンちゃんはすごく敏感で、動物病院での処置が難しいため、往診専門動物病院の往診をご希望され、往診専門動物病院わんにゃん保健室までご自宅訪問依頼でお電話を頂きました。
初診の日は、対症療法と血液検査、尿検査を実施し、治療の反応をみつつ、検査結果を待つという流れを取らせて頂きました。往診専門動物病院わんにゃん保健室の往診では、血液検査などはすぐには結果が出ないものもあるので、状態をみつつ、稟告から治療方針を考える、対症療法を行う、という方法をよくとります。その後、検査結果が出次第、治療方針を提案してご家族様と相談させて頂きます。
初診の次の日もう一度お家まで獣医師と動物看護師で訪問させて頂くと、昨日の処置があったにも関わらず、高齢猫のシンちゃん(東京墨田区在住)はリビングの真ん中でリラックスして待っていてくれました。少し食欲が上がってきて、皮膚に関しては痒みや赤み(発赤)などのブツブツが引いたということでした。
皮膚はステロイドが効果を示したと考えられ、頸部や耳のブツブツに関してはやはりアレルギー疾患が最も可能性が高そうでした。
血液検査や尿検査の結果がまだ出そろっていなかったのですが、全身状態としては、前日の治療にて少し状態が上向きになっていました。そのため、初診日同様、少し脱水があったので皮下点滴、嘔吐があったので吐き気止め、胃薬、感染性疾患を考えて抗生剤を使用しました。この日も、保定をしようとするとシニア猫のシンちゃん(東京墨田区)は怒っていましたが、タオルをかけるとあっさりと処置をさせてくれるので、やはりシニア猫なだけあって、シンちゃんはお利口さんでした。
ここで、皮膚疾患について少しお話させて頂きます。
今回のように、小さいブツブツが大量にできている症状を総称して「粟粒性皮膚炎」といいます。しかし、この粟粒性皮膚炎というのはあくまで皮膚の状態であり、病名ではありません。
では、このブツブツの正体はなんでしょうか??
このブツブツの中には、好酸球といって、アレルギーや寄生虫がいるときに集まってくる白血球の一種がたくさんいて、ブツブツを形成しています。なので、粟粒性皮膚炎の原因として最初に考えなければいけないのは、アレルギーや寄生虫性疾患です。アレルギーや寄生虫とひとくちに言ってもたくさんあり、例えば食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、ノミ寄生によるノミアレルギー、蚊刺咬によるか蚊アレルギー、皮膚のその他の寄生虫など、たくさんあります。
ノミアレルギーであれば、ペット(犬・猫)の身体にノミ糞がついているか確認し、ノミダニ薬を塗布してあげれば良いですが、他のアレルギーに関しては、治療して反応をみなければなかなか原因が分からないことが多いです。例えば、食物アレルギーであればステロイドは効きにくく、高用量で使用してもあまり効果がなかったりします。逆に、アトピー性皮膚炎であれば、ステロイドや抗ヒスタミン剤がよく効果を示してくれます。
話をシニア猫のシンちゃん(東京墨田区在住)の皮膚に戻しますと、高齢猫のシンちゃんの場合は初診日に皮膚に対してステロイドを使用しました。そうするとてきめんに皮膚のブツブツや赤みが引いていきましたので、おそらくシンちゃんはアトピー性皮膚炎があったと考えられます。
また、余談ですが、みなさんノミ糞とゴミの見分け方はご存じですか??
猫ちゃんの皮膚に黒いゴマのようなものがついていても、一見私たち獣医師や動物看護師でもゴミなのかノミ糞なのか見分けはつきません。そこで、濡れティッシュの上にそれを置いてみます。ゴミであればもちろん何も変化は起きませんが、ノミ糞であればノミが血を吸って糞を出しているので赤く滲んできます。お外に出る猫ちゃんの場合は、是非一度試してみてください。
また話が逸れてしまいましたが、次の日、高齢猫のシンちゃん(東京墨田区)の血液検査と尿検査の結果が出揃いました。血液検査の結果は、少し脱水している所見はありましたが、大きな異常値はなく飼い主様も安心されていました。尿検査では、白血球がたくさん検出されていましたが、尿の濃さを示す尿比重は正常でしたので、尿検査・血液検査両方から、疑っていた腎不全は否定的でした。また、甲状腺機能亢進症に関しても、血液検査から否定されました。
ということで、除外していくと、今回の東京墨田区在住、高齢猫のシンちゃんの症状は膀胱炎から来ていたと考えられます。膀胱が気持ち悪くて何度もトイレに行く、元気食欲が低下する、下腹部を舐めるというのも猫ちゃんの膀胱炎ではよくみられる症状です。
診断がつけば次は治療です!!
猫ちゃんの膀胱炎の原因は大きく分けて、
・細菌性膀胱炎
・結晶や結石にによる膀胱炎
・特発性膀胱炎(原因不明の膀胱炎)
がありますが、シニア猫のシンちゃんの場合、尿検査結果から、細菌性膀胱炎か特発性膀胱炎が考えられます。
そこで、今回の治療方針としては、
・皮膚に対してはステロイド投与
・膀胱炎に対しては抗生剤投与
という方向性でご家族様にお話しさせて頂きました。
抗生剤は飲めなければ注射で入れることもできますが、シンちゃん(東京墨田区)がお薬を飲んでくれる性格であることと、すごく敏感な猫であるというのを考慮して、飲み薬を続けてもらうことになりました。
また、ご家族様とお話を重ねるうちにひとつ出てきたことが、お子様が夏休みに入ってシンちゃんにかまうことが出来なくなってしまい、夏休み終盤から元気がなくなってきたということが分かりました。これはひとつ重要なことで、猫ちゃんはストレスにすごく敏感で、特発性膀胱炎の原因の一つとなっています。
このように少しの変化が猫ちゃんのストレスとなってしまい、膀胱炎を引き起こしてしまうこともあるので、最近は気持ちを落ち着かせるような成分が入った処方食も出てきました。
頻尿かも、膀胱炎を何度も繰り返している、ご飯をどれにするか迷っている、という場合には一度往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡ください。その子に合ったごはんをご提案させて頂きます。
膀胱炎の再発はかなり多いですが、糖尿病など基礎疾患がある場合もあるので、なかなか治らない場合や再発を繰り返す場合には広い範囲で検査することをお勧めいたします。
高齢猫のシンちゃんは、現在皮膚症状も落ちつき、抗生剤の内服を頑張ってくれています。今回、初診時に様々な検査を頑張ってくれたので、診断がつき、治療方針を決めることが出来ました。これも、シンちゃんの協力があってのことです。
次回の尿検査で白血球がなくなっているといいなと願っています。
しかし、シニア猫のシンちゃん(東京墨田区)のように、お薬を内服では飲めない子、膀胱炎の再発を繰り返している子、結晶がなかなかなくならない子、など悩まれていらっしゃれば、往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡ください。
その子の性格に合った治療法をご提案し、ご家族様と一緒に治療していきます。
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