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肝性脳症と戦った猫(東京荒川区/猫/発作)

久しぶりのブログとなる本日は、最後までご自宅で病気と向き合ったご家族様の姿と、毎日の投薬を甘んじて受け入れてくれた猫のみーちゃんのお話です。

 

2021年1月11日に出会い、往診による在宅緩和ケアおよびターミナルケアを実施し、2021年1月26日にご家族様の見守る中旅立ちました。

短い期間でしたが、とても内容は濃く、ご家族様とわんにゃん保健室スタッフ全員が一丸となって戦い抜くことができました。

 

猫のみーちゃんと往診で出会うまでの経緯

猫のみーちゃんは、2020年12月下旬に急にお腹がパンパンに腫れ(腹囲膨満)、もともと食欲旺盛だったことが嘘かの様に食欲は廃絶し、浅い呼吸になってしまったため、救急を対応している動物病院に行かれました。

 

救急の動物病院につくや否や、ご家族様がトラウマになるほどの嫌がりようで、動物病院スタッフの方々にはご尽力いただいたと伺いました。

なんとかみんなで必死に押えて処置をしてもらい、少しの間入院精査をしました。

検査の結果、門脈圧亢進症による腹水貯留を疑い、アンモニア高値、猫伝染性腹膜炎(FIP)陰性であり、更なる検査に望むのではなく、ご自宅での内科療法を選択され、当院までご連絡をいただきました。

 

往診初日 みーちゃん家族と初対面

1月11日にお電話にて状況を確認し、当日予約にて17:30から診察に向かいました。

とても明るい笑顔で迎えてくれたお母さんの右手首には痛々しい包帯がしっかりと巻かれていました。

往診で伺う少し前に、誤って手首を思いっきり噛まれてしまったようです。

そのケガを見た瞬間、今日は激しい診療になるかもなと、猫手袋というある程度頑丈なグローブを握りしめたことを覚えています。

お部屋に入ると、想像していた怖がりで威嚇を続けている猫ちゃんではなく、静かに好きな場所で隠れてこちらを覗いている、比較的穏やかな印象の猫ちゃんがそこにはいました。

お母さんたちからお話を伺っている中で、みーちゃんがお母さんの手を噛んでしまったのは、発作が原因だと考えました。

普段から人懐っこい性格だったということから、病気がみーちゃんにそのような行動をさせたのだと、順を追って、あくまで仮説の域を超えませんが、ゆっくりとご説明させていただきました。

 

発作が継続している状況だと、小さな刺激(撫でるや声を掛けるなど)にも敏感に反応し、本人の気持ちに反して攻撃してしまうことがあります。

瞳孔がまんまるでいつもよりも明らかに黒目が大きく感じる(瞳孔散大)、ピクピクしている、動きが奇怪、涎を垂らしている(流涎)など、普段との違いに気づいたら、声をかけるのではなくかかりつけの獣医師に連絡し、状況を伝え判断を仰ぎましょう。

安全対策は、ご家族様だけでなく、一緒にいるわんちゃん・猫ちゃんのためにもなります。

 

この時のみーちゃんは、思ったよりも落ち着いている印象でした。

今までの経緯と今後の診療プランを一緒に決めていき、この日の状態から、今は内服薬を飲ませることは誤嚥の恐れがあるため賢明ではないと考え、この日の往診では内服薬は一切使用せず、皮下点滴(複数の注射薬を混ぜたもの)のみを実施しました。

 

すると、処置後すぐに瞳孔散大を示し、動きも奇怪な感じで、よだれをたらし始めるといった、まさにこれから発作を起こします!という症状を認めました。

案の定、その数分後に発作が始まり、全身が硬って震えてしまう強直性痙攣を起こしました。

強直性痙攣を初めて目の当たりにしたご家族様は、その姿に混乱してしまうことと思います。しかし、愛犬・愛猫が発作を起こした時こそ、冷静な判断と行動が必要です。

 

準備していた痙攣止めの薬をご家族様と一緒に打ち、発作が止まるまでの流れを経験していただきました。

 

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今後も発作を繰り返す可能性が高いことを伝え、家の中にデジタル時計を複数個おき、発作の長さを客観的に把握すること、発作後には痙攣止めの注射を打ち、後頭部を冷やしてあげるなどのアフターケアについて、私たち往診獣医療チームが退室した後に飼い主様だけになってからでも、的確な判断と行動が取れるように何度もお伝えさせていただきました。

 

この日を境に、旅立つ最後の日までの集中的な往診診療が始まりました。

 

往診2日目 診療方針の決定

翌日には、前日まで入院していた救急の動物病院から検査結果と経過報告書をいただき、今の状況をより把握させていただきました。

 

朝までは食事ができていませんでしたが、昼くらいにはご飯を食べられるようになったとのことでした。薬の効果が出てきたのだと思います。

検査結果から、発作が発生した時に酸素が身近にあったほうがいいと判断し、ご家族様の許可をいただいて酸素発生装置を同日、準備させていただきました。

 

ご自宅に酸素発生装置がありますので、呼吸が苦しそうになった時は使用していただけるようになりました。

家の中でもあまり動き回らない老犬・老猫ちゃんであれば広めの酸素ケージを用意し、その中にトイレからご飯台などを設置して、イメージで言うところの1Kのホームみたいな環境を作り上げます。

しかし、猫のみーちゃんは状態がいい時は家の中を散歩し、天気がいい時には日向ぼっこをするのが大好きなタイプであったため、酸素ケージは準備せず、ご家族様の介抱ありきでの用途使用とさせていただきました。

 

こたつの中も好きでしたので、もしこたつの中で酸素を使用する場合には、必ずこたつの電源は切るようにお願いしました。(※引火の恐れがあります)

 

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状態が安定し、この日から内服薬も開始しました。たくさんのお薬を使用しましたが、幸いにもみーちゃんは食欲旺盛な猫ちゃんでしたので、内服薬は思っていたよりもちゃんと飲むことができ、1日2回のものは食事に混ぜて、3回のものや1回のものは、訪問時にシロップ状にして飲ませてあげることで、全部飲ませることに成功していました。

 

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状況と投薬プランから、毎日の訪問を診療プランとさせていただきました。

毎日訪問することが決まっていれば、前日の診療から翌日までの変化、投薬状況を細かく確認でき、朝飲ませられなかった薬は訪問時に飲ませることができます。

 

何より、飼い主様にとって、そして私たちにとっても一番安心できる診療プランを組ませていただきました

 

往診3日目 自宅での腹水抜去開始

前日の処置後から、高濃度酸素空間で久しぶりにぐっすり眠れていたとのことでした。

2~3時間で目を覚まし、少し飲食をして、3~4時間寝て、起きると大量にご飯を食べてくれたとのことでした。しかし、呼吸は苦しそうだとのことでした。腹囲膨満(腹水貯留所見)が著しく進行していることから、緩和目的で腹水抜去を実施しました。

 

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腹水に関しては、あまり抜去しないという場合も多々あります。抜去するかしないかは、今回の場合、みーちゃんの生活の質を著しく下げてしまっているかどうかでした。

 

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前回、近医や救急動物病院では結構暴れてしまったということがあったので、ご自宅での腹水抜去についてはとても不安そうだったご家族様でしたが、みーちゃんのここ2日間の診療中の落ち着き様を信じて実施してみると、ほぼ抵抗せずに腹水抜去に応じてくれました。むしろ、途中から呼吸が楽になったのか、眠そうな表情すら見せてくれました。

 

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この日の腹水は1000mlで、抜き終わるといつもの場所まで歩いて行き、身軽になったせいか気持ちよさそうに眠ってしまいました。

 

この日も診察後に少し眠り、起きると大量にご飯を食べるという、みーちゃんの食いしん坊な姿を見せてくれたとのことでした。

 

往診4日目〜14日目 日常のケアと毎日の処置内容

ご家族様にお願いしている内容は大きく3つでした。

 

1. 処置後から翌日の診察までのみーちゃんの様子と投薬状況の共有

2. 発作時には専用の注射を打ってもらい、ご連絡をいただくこと

3. 適宜、酸素を使用してもらう

 

往診では、ご家族様の役割や生活環境を細かく伺うことができますので、誰がどんな担当をされているのか、またはするのか、それをどこでやるのか、もしこの環境ならどうするかなど、診察室ではアドバイスできない箇所までお伝えさせていただいています。ご家族様によっては、全てをお母さんが担当している場合もありますが、負担は関わる家族みんなで少しずつでも分担しなければ、介護疲れで倒れてしまいます。そのため、みんなで病気と向き合うことを心からお勧めします。

 

腹水を抜くと状態は安定し、また腹水が溜まってくると苦しくなるので抜去するということの繰り返しですが、それによってみーちゃんが苦しくなく生活できていたのは明らかでした。

 

ご家族様が、入院でずっと処置してもらうのではなく、家でできることを最大限やって家の中で安心させて過ごさせてあげたいという大きな覚悟のおかげで、みーちゃんも通院ストレスなく、ご自宅で過ごせていました。

 

最後の日

前日までは元気よく、ご飯もいっぱい食べていると伺っており、わんにゃん保健室のスタッフ全員安堵に包まれていました。

ここまでよく頑張ってくれたなという思いと、これからも頑張っていこうねという思いが込み上げていました。

しかし、病状は急変し、1月26日の朝、ご家族様の見守る中旅立ちました。

夜中2時くらいから急変を示し、お渡ししていた注射を打っていただき、それでも安定せずにさらに追加で注射をしてもらいました。

ご家族様の中で、もう一度緊急に連れて行くべきか、それとも連れて行かないでここで発作止めを打って見守ってあげるべきなのかの相談をされたと伺いました。

 

 

飼い主様の覚悟と決断

究極の2択です。

連れて行ければ、もしかしたらを臨めるかもしれません。しかし、連れていく準備をしている間に、キャリーに入れている間に、移動中に、動物病院内での処置中に、検査中に、入院中に…、もしかしたら旅立ってしまうかもしれません。

みーちゃんは通院することが苦手で、キャリーの中に入れられることも怖く、揺さぶられている間は大きな不安の中に居たのかもしれません。

みーちゃんのご家族様は、みーちゃんが大好きなご自宅で、家族みんなで見守ることを決断されました。

その結果、家族みんなで看取られて、静かに旅立つことができました。

旅立つ瞬間をどこで迎えさせてあげるのか、最終的な判断をするのは飼い主様です。

どんな選択をしても、少なからず後悔はついてくるものだと考えています。

しかし、最後の瞬間を看取ることができたことは奇跡であり、最後までできることをしてあげられたという実績は紛れもない事実として、ご家族様の胸の中に刻まれることと思います。

 

お別れの日に、お花をお持ちすることができました。

眠りについたみーちゃんと、病気と最後まで向き合い戦い抜いた素敵なご家族様がそこにはいました。

精神も体力も限界まですり減らしながら一緒に戦ってくれたご家族様に最大の敬意を払います。

 

 

犬猫をこれから迎えようとお考えのご家族様へ

ペットを家族として向かい入れるということは、送り出すということであることを忘れないでください。

楽しいことだけでなく、これから辛いことも同じくらい起きることを知っていてください。それでも、消して逃げ出さないで向き合ってあげることが、その子たちにとっては何よりも嬉しいことです。

動物病院に通院させることが難しくなったのであれば、往診専門動物病院に連絡しましょう。

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、わんちゃん・猫ちゃんが最後の瞬間をご家族様のもとで過ごせるよう、最大限寄り添った最良の往診獣医療を最後まで提供していくことをモットーに、日々診療と向き合っております。

 

慢性疾患(猫の腎不全など)のコントロールや緩和ケア、ターミナルケアをできる限りストレスを軽減し負担を少なくし、ご自宅で過ごさせてあげたいとお考えのご家族様、まずはご連絡ください。

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