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急に食べなくなってしまった(猫/腎不全/口内炎/東京中央区)

昨日までいつも通りご飯も食べられていたのに、今日になって急に食べられなくなってしまった、という経験はありますか?

 

老化現象に伴うこともあれば、病気が急に悪化した可能性も考えられます。

 

例えば、気持ちが悪くて食べられないのか、痛みを伴っていて食べられないのか、物理的に詰まっていて食べられないのか、または単純にご飯に飽きてしまったかなど、考えることは多岐にわたります。

 

今日はそんな中から、腎不全に伴う口内炎を発症した猫ちゃんのお話です。

 

口内炎があれば、人だって食欲がなくなります。

 

猫ちゃんでは特にそれが顕著で、口が痛くなってしまうと全く食べなくなってしまいます。

 

それと同時に、お水も飲まなくなってしまうので、結果脱水状態が進んでしまい、その状態が続くとぐったりして重篤な状態になってしまいます。

 

猫ちゃんにとって、口が痛くて食べられない、というのはすぐに命に関わる重大なことになるので、口が痛そうな場合には早めに動物病院にご相談することをお勧めします。

 

慢性腎臓病の猫.jpg

 

なぜ口内炎ができてしまうのでしょう?

 

原因は様々で、たとえば猫エイズやヘルペスなどのウイルス性の疾患や、慢性腎臓病、アレルギー性疾患など多岐に渡ります。

その原因をはっきりさせて適切な治療を行い、同時に口内炎の治療を行う必要があります。

今回はそんな口内炎に悩んでいた高齢猫ちゃんのお話です。

 

症例:東京中央区在住の高齢猫(ヒジキちゃん)

東京中央区区在住の17歳の高齢猫のヒジキちゃんです。

 

基本的には前日までのご予約での診療とさせていただいておりますが、猫ちゃんたちの状態や病気は待ってくれないため、大体が当日の診療予約となっています。

お問い合わせ内容は、口が痛そうで食べない日が続いているので往診をしてほしいとのことでした。

 

お家にお伺いすると、ひじきちゃんは部屋の隅に置いてあるベットの上で丸まっていて、こちらをチラッと見て尻尾で軽く挨拶をしてくれましたが、筋肉が落ちて痩せており、辛そうな様子が見て取れました。

 

まずはご家族様から詳しくお話しをお伺いすることにしました。

 

ご家族様によると、2週間ほど前からヨダレが増えて、ドライフードのかけらがお皿の周りに落ちることが多くなった気がしていたそうなのですが、その時点ではまだご飯も食べていたためあまり気にもとめていなかったそうです。

 

しかし1週間前から少しずつご飯を残すようになり、2,3日は全く口をつけようとせず、ヨダレで口の周りの毛が濡れていることが多くなったとのことで、口の痛みが疑われました。

 

お水もここ数日は数口程度しか飲んでおらず、スプーンで運んで行っても飲んでくれないとのことで、ご家族様としては脱水も気になるとのことでした。

 

おしっこもいつもは日中も何度かするのに、ご飯を食べなくなってからは朝晩の2回ほどに減ってしまっているらしく、かなり心配な状態でしたが、ひじきちゃんは元気な時はお外ではかなり鳴いてしまい、とても動物病院に連れて行ける状態ではないぐらい興奮してしまうとのことで、往診専門動物病院わんにゃん保健室にご連絡を頂いたそうです。

 

おはなしをお伺いしたところ、何らかの原因で口が痛くなってしまって食べなくなってしまったことから、高齢猫に多い慢性腎臓病の可能性を考えて、血液検査を行うことをご相談したところご同意が得られたので、身体検査に加えて血液検査も実施することとしました。

 

検査開始

 

身体検査では激しい脱水が見られ、口の中を確認するとかなり痛そうな口内炎が見られました。

 

また、ヨダレもたくさん出ており、おそらくこれが原因で食べれなくなってしまっていることが想像されました。

 

そのほか、結膜炎や鼻水は見られず、ウイルス性の可能性は低いのかなという様子でした。

 

その後採血もお利口にやらせてくれて、最後に皮下点滴と抗炎症剤、抗生剤や吐き気止めなどを注射してその日の診察は終了としました。

 

脱水がひどいので、次の日にもう一度再診予定として、ひじきちゃんに挨拶をして、お家をあとにしました。

 

血液検査結果は、動物病院とは異なり、その場では結果が出ないため、一度オフィスに持ち帰ってから検査を開始します。人間の病院のようなイメージで考えていただければ大丈夫です。

 

血液検査では、予想していたように、腎臓のかなり数値が高く、やや貧血も進んでいました。

 

また、白血球も少し上昇しており、炎症があることが予測されました。

 

そのほかには特に大きな異常値はなく、まずは点滴をして脱水を改善し、腎臓の数値を下げること、それと共に抗炎症剤を入れて、口内炎を抑えてご飯を食べられるようになることを目標にして、治療プランを考えていきました。

 

次の日、再診にお伺いすると、スープを少し飲んでくれたとのことで、ご家族様のお顔も少し安心されていて、私たちも安心しました。

 

ひじきちゃん自身も少し痛みが和らいだのか、ヨダレも減っていて、今日も引き続き同じ処置を行うことにしました。

 

今後の治療プランとして、口内炎が治るまでは抗炎症剤も入れて注射を行い、治ってきても、慢性腎臓病の疑いがあるため、数値が高ければ皮下点滴が必要であることをお伝えし増田。

 

ご家族様からは、できればお家で皮下点滴をできるようになりたいと申し出がありましたので、皮下点滴をご家族様だけでご自宅で行なって頂けるようにしっかりとご指導し、点滴をお渡しすることを今後のプランに組みました。

 

しかし、ひじきちゃんはまだしっかりと食べられているわけではないので、3日間は私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室のスタッフがお伺いして様子を見て、ある程度食べられるようになってから、点滴をお渡しすることになりました。

そして1週間後、ひじきちゃんはしっかりとご飯を食べられるようになり口内炎もおさまりましたが、腎臓の数値はまだ高いままなので、皮下点滴をお家で行なって頂くこととしました。

 

獣医療というのは、犬猫たち、ご家族様、そして獣医師看護師の3つがチームになって初めて最良の医療を提供することができると考えています。

 

もし動物病院に連れて行けないなどのお悩みがあれば、いつでも往診専門動物病院わんにゃん保健室までご相談ください。

 

過去に猫の腎不全関連の記事を書いていますので、気になる方は是非読んでみてください!

 

慢性腎不全を治療中の16歳の猫ちゃん(東京墨田区)

元気がなくなった高齢犬(東京墨田区)

慢性腎不全の猫(東京葛飾区)

ふらつく猫(東京板橋区)

 

ペットの緩和ケアと看取りのお話

ペットの緩和ケアやターミナルケアをお考えのご家族様向けに参考ページを作成しました。

今後、もし慢性疾患など、治療による根治ではなく、症状や病状のコントロールのみと診断された場合、通院で今後も診てもらうか、在宅に切り替えるべきかを考える参考にしていただければと思います。

 

ペットの緩和ケアと看取りのお話

 

是非ご一読ください。

 

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