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消化器型リンパ腫を患った猫(家族時間/家で看取る)

ペットはただの動物ではなく、ご自宅で一緒に過ごしてきた家族であり、日々の生活の中で積み重ねた「家族の時間」は、かけがえのないものです。

 

今回ご紹介するのは、12歳6ヶ月の女の子の猫ちゃん。

 

とても優しく、飼い主様に甘えん坊な性格の猫ちゃんですが、外出や通院が極端に苦手で、キャリーに入れるだけで呼吸が乱れ、パニックを起こしてしまうほどでした。

 

この子に消化器型リンパ腫が見つかったのは、突然のことでした。

 

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診断後の決断。通院治療か、それとも在宅でのケアか

最初に症状が出始めたのは2024年8月。

 

少しずつ食欲が落ち、元気がなくなっていく猫ちゃんを見て、ご家族様はどこか「ただの食欲不振だろう」と楽観的に考えようとしていました。

 

しかし、その様子が日を追うごとに悪化し、体重も急激に減ってきたことで、意を決して近くの動物病院を受診。

 

そこで告げられたのは「消化器型リンパ腫」という病名でした。

 

通院を勧められたものの、移動が大きなストレスになる猫ちゃんにとって、抗がん剤治療を続けることは苦痛以外の何物でもないとすぐに判断されたそうです。

 

大好きな家族と一緒にいられることが、この子にとって何よりも大事だと考えたご家族様は、在宅でできる緩和ケアを探し、当院にたどり着きました。

 

初めてお会いしたとき、ご家族様は明るく振舞おうとしていましたが、心の内には深い不安が渦巻いているのを感じました。

 

「本当にこれでいいのだろうか」

 

「もっと積極的な治療を受けさせるべきでは?」

 

という葛藤。

 

そして何より、「この子の最期を、どう見守ってあげるべきか」という問いを胸に秘めているのが伝わってきました。

 

初診時に見えたご家族様の愛情と、私たちの責任

初診時、約1時間半の問診を行いました。

 

猫ちゃんの病状の変化を辿るのはもちろんのこと、ただその時間のほとんどは、ご家族様の想いを伺うことに費やされました。

 

診察室ではなく、自宅のリビングで、猫ちゃんがいつものベッドの上で丸まっている様子を見ながら、ご家族様はこれまでの日々の出来事や、診断を受けたときのショック、そして「どこまで治療すべきか」という迷いを、涙ながらに語られました。

 

「この子に負担をかけたくない。大好きな家で、できるだけ苦痛のないようにしてあげたい。でも、私たちの選択が、この子にとって正しいのかどうか……わからないんです。」

 

その言葉に、私たちも胸が締め付けられる思いでした。

 

病気と闘うか、それとも穏やかな時間を優先するか。

 

どちらを選んでもご家族様にとっては苦しい選択です。

 

それでも、最後にご家族様が出した結論は「自宅で見守りながら、できる限り穏やかな時間を過ごさせてあげたい」というものでした。

 

日々の診療を通して変わるご家族様の気持ち

初診時の検査結果に基づき、緩和ケアを中心に診療方針を立てました。治療計画には、通院を避けるための皮下点滴や自宅での注射投与が含まれ、ご家族様も積極的にケアに取り組まれました。

 

特に、注射の指導をする際は、最初は恐る恐るだったご家族様が、少しずつ自信をつけていかれるのを目の当たりにし、「この子のために私たちも頑張らなければ」と覚悟を決められた姿を見て、家族って本当にすごいなと思いました。

 

しかし、診療が進むにつれ、病状は日々変化していきました。

 

状態が落ち着いている日もあれば、急に呼吸が乱れ、不安な日々を過ごさなければならないこともありました。

 

その度に、ご連絡をいただいたり、往診の頻度を変動させ、注射薬の内容を調整し、ご家族様の不安を少しでも減らせるようにサポートを続けました。

 

中でも、特に印象に残っているのは、呼吸困難の兆候が強まったときのことです。

 

酸素室の設置を提案した際、ご家族様は一瞬だけ「ここまでしても、この子は喜ぶだろうか」と迷われました。

 

けれども、酸素室の中で眠る猫ちゃんの姿を見て、「これで、この子が少しでも楽になっているなら」と安堵された表情を見たとき、この診療方針が正しかったと強く感じました。

 

最期の瞬間、穏やかに眠りについた猫ちゃん

初診から18日が経った時の再診の際、ご家族様には「残された時間がもうわずかであること」をお伝えしました。

 

どこかで覚悟はされていたものの、やはりそれを直接伝えられると、ご家族様の表情には悲しみが色濃くにじみました。

 

それでも、「家でこの子を見守ってあげたい」という想いに変わりはなく、最後まで家族と一緒に過ごせるよう、ご家族様は決意を新たにされたようでした。

 

「もし発作が起きたときのために」とお渡しした頓服薬を手にしたとき、ご家族様は静かに頷きながら「何があっても、しっかりと受け止めます」とおっしゃったのが忘れられません。

 

最期の時が訪れたのは、それから2日後の夜でした。

 

家族に見守られながら、穏やかに息を引き取ったというご報告をメールでいただきました。

 

最後に少しの痙攣は見られたものの、それ以外は本当に安らかで、まるで「今までありがとう」と伝えるように、静かに目を閉じたとのことでした。

 

自宅でできるケアの意義

在宅医療は、時として通院治療よりも飼い主様にとって大きな決断を伴います。

 

目の前で愛するペットが苦しむ姿を見るのは、ご家族様にとっても辛いことです。

 

それでも、自宅での診療が持つ意味は、ペットにとっても、ご家族様にとっても、かけがえのないものです。

 

今回のケースでは、ご家族様が一歩ずつ決断を重ね、ご自身の手で猫ちゃんを支える覚悟を決めたことが、最期の穏やかな時間につながったのだと思います。

 

私たちは、その過程を支え、ご家族様が少しでも安心して最期の時間を迎えられるようサポートできたことを心から誇りに思います。

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