こんにちは!
朝晩が涼しくなってきて、過ごしやすくなってきましたね!
往診専門動物病院わんにゃん保健室では、東京台東区、東京中央区、東京江東区に拠点を構え、東京23区全体までを主な診療圏としています。また、その近隣地区からのご依頼でも、日程を調整させていただきお伺いしています。ご家族様やペットの諸事情により動物病院に通院させられない場合には、諦めずにまずは往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡ください。
さて、今回は「口が痛い」猫ちゃんの症例のご紹介です。
猫ちゃんで口が痛いというと、口内炎かな?と思い浮かべる方も多いと思いますが、実は口が痛くなる原因はそれだけではなく、さらに口内炎になる原因もたくさんあるので、お話させて頂こうと思います。
今回は、東京台東区在住、3歳のクロちゃんのお話です。
口が痛い猫(口内炎/猫/東京台東区)
東京台東区に在住している猫のクロちゃんは、口が痛そう、なんとなく口を気にしている、とのことでお電話を頂き、かなり神経質で繊細な対応なため動物病院に通院させられないということでペット往診をご希望されました。
お家にご訪問させていただくと、猫のクロちゃんはカーテンの裏に隠れており、かなりビクビクしていたのでまずはお話を詳しくお伺いすることにしました。
クロちゃんは保護猫で、兄弟猫がいましたが、4か月ぐらいで亡くなってしまったらしく、もしかすると先天性疾患などあるのかもしれないと譲渡するときに言われたとのことでした。また、1週間ほど前から口の周りの毛が濡れていることが多く、2日前ほど前からちゅーるの食べ方が変わったということで、口が痛いのかな?と思ったそうです。
たしかに、口が痛くなると食べ方が変わったり、よだれの量が増えたりと、よだれがよく出てくる症状が、クロちゃんにも現れていました。
では猫で口が痛くなる原因は何でしょう?
一つは歯周病による歯肉炎が考えられます。歯周病によって歯周ポケットに炎症が起き、歯肉炎を引き起こします。
もう一つは口内炎が考えられますが、こちらはたくさん原因が考えられます。高齢猫であれば、一番考えられるのは慢性腎不全による口内炎です。慢性腎不全により、身体に老廃物が溜まった結果口内炎や胃潰瘍を引き起こします。
また、かみ合わせが悪く歯が当たってしまっていたり、ウイルス性の口内炎の場合もあります。
ウイルス性の場合、代表的なところではヘルペスウイルスやカリシウイルス、猫白血病ウイルス、猫エイズウイルス、猫コロナウイルスなどたくさんのウイルスが口内炎、結膜炎などを引き起こします。
治療法は、歯周病の場合は主に麻酔下での歯石除去になります。一方、ウイルス性の場合は、抗生剤やヘルペス性の場合であれば抗ウイルス剤の投与が主な治療法であり対処法となりますが、難治性の場合は全抜歯を行うこともあります。全抜歯というと食べられないんじゃないの?と心配される飼い主様もたくさんいらっしゃいますが、実は猫ちゃんたちは歯がなくても丸のみで食べることが出来ます。さらに、歯がなくなって口内炎が治った方がすっきりと痛みなく過ごすことが出来て快適に生活している子がほとんどです。
ということで、様々な原因がある中で、原因疾患を追求するために血液検査を行うこととなりました。
また、歯周病があるかどうかを見るために、身体検査では口の中もしっかりとチェックを行っていきました。
まず、びくびくする猫のクロちゃんを保定するために、往診専門動物病院わんにゃん保健室の動物看護師がタオルで包もうとしましたが、カーテンを登ったり、キャットタワーに飛び乗ったりとすごくパワフルでした。このような猫ちゃんにも往診専門動物病院わんにゃん保健室のスタッフは慣れておりますので、うまくバスタオルで包み、口の中を観察しました。
(※参考写真でクロちゃんのではありません)
案の定たくさんの歯石がついており、歯周病も重度な状態でした。また、口を触っている途中で歯が1本抜けてしまい、その歯は歯根部がかなり溶けていて、すごく小さい歯になってしまっていました。
次はいよいよ採血です。採血の時も、しっかりと保定をするので、クロちゃんは全く動くことなく、すごくお利口さんに終わらせることができました。
ここで、少し猫ちゃんのウイルス疾患についてお話しようと思います。
猫ちゃんのウイルス疾患のあれこれ
最もご家族様が聞いたことがあるウイルスはヘルペスウイルスかと思います。しかし、ヘルペス以外にも、カリシウイルスやコロナウイルス、猫白血病ウイルス、猫免疫不全ウイルスなどたくさんのウイルスがいます。
このうち猫風邪を引き起こすことが多いのがヘルペスウイルスとカリシウイルスです。よく子猫時代に鼻水やくしゃみ、結膜炎といった症状があった子も多いのではないでしょうか?
猫風邪は、症状が治まっても、身体の中からウイルスがいなくなっているわけではないので、免疫力が落ちた時などに症状が再燃することがほとんどです。
子猫や老猫であれば、猫風邪が致命的になることもありますが、成猫であれば猫風邪が致命的になることはほとんどありません。
では、どういったウイルスが致命的になるのでしょう?
多いのは、猫白血病や猫エイズです。これらのウイルスにかかっている猫は発症すると致命的になることが多いので、お家に迎えたときに必ずチェックすることをおすすめします。
また、猫コロナウイルスも致命的になる場合があります。猫コロナウイルスは通常腸炎を引き起こすウイルスで、ほとんどの猫ちゃんがウイルスに感染し体に抗体を持っています。しかし、このコロナウイルスが稀に突然変異を起こし、血管炎を起こして腹水や胸水が溜まったり、肉芽腫を形成したりと、猫伝染性腹膜炎になってしまうことがあります。猫伝染性腹膜炎を発症すると致死的な結果となり、残念ながら、現在のところ確立された治療法はありません。
このように、猫ちゃんのウイルス疾患はとてもたくさんあり、その病状も重症度もとても様々です。
また、診断も難しい場合もありますので、難治性の口内炎や結膜炎、猫腹膜炎での緩和ケアなど往診専門動物病院わんにゃん保健室ではいつでも受け付けております。
話が逸れてしまいましたが、台東区在住のクロちゃんは採血後、口内炎を抑えるために、抗炎症剤と抗生物質を注射し、放してあげると、ふたたびキャットタワーに登って、まだ何かされるのかな?という目でこちらを見ていましたので、私たち往診獣医療チームは素早く終えて、その日の診察は終了しました。
今回のクロちゃんのように、ご家族様だけでは捕まえることが出来ず、猫ちゃんも神経質で繊細だという場合にも、往診専門動物病院わんにゃん保健室では出来るだけ負担をかけないように処置を行い、処置が終われば、すぐに、自分のいつもの居場所に戻ることが出来るので、猫ちゃんにとっても、ご家族様にとっても負担が少ない処置が可能となります。
猫ちゃんが怖がりで動物病院に通院させられない、難治性の疾患で家での緩和ケアを希望している、などの場合にも一度お気軽に往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡下さい。
ご家族様と猫ちゃんの環境に合わせた治療方針を一緒に考えましょう。
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