こんにちは!
すごい雨風が吹き荒れた本日ですが、こういう天候が崩れた日はペットの体調も崩れることが多いように感じています。往診専門動物病院わんにゃん保健室では、基本的に道路が封鎖されてしまったりなどの物理的な障害がない限り、吐いていたり、痛がっていたり、ぐったりしていたり、食欲がなくなってしまったりした犬猫のもとに、往診車で訪問し、ご自宅で診察させていただきます。
雨風が強くても、例えば港区台場や江東区東雲といった川や海に囲まれている地域にも往診可能です。
ペットの体調が悪そうだなと感じましたら、待たずに往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡ください。
さて、今回は鼻がつまってしまい、食欲が落ちてしまった猫ちゃんのお話です。
猫の鼻づまりと食欲不振
どなたでも、一度は鼻づまりになったことがあるかと思います。また、鼻炎持ちの方だと年中鼻づまりで苦しんでいる!という方もいることかと思います。
私たちも鼻がつまると匂いや味がしにくくなって、いつも美味しく食べているものの味が足りないように感じることはありませんか?
猫ちゃんも同様で、鼻がつまると匂いを感じないので、食欲がなくなってしまい、食べなくなってしまいます。特に猫ちゃんは本当に匂いで食欲が左右されるため、全く食べない子も中にはいます。
では鼻がつまってしまう原因は何でしょうか?
アレルギー性鼻炎の場合もあれば、猫風邪、重度の歯周病、あるいは腫瘍といったことも考えられます。
原因は様々ですが、いずれにしても、鼻詰まりを放置してしまうと食べれず、内臓にも負担がかかってしまうので、しっかりと治療を行う必要があります。
今回は、そんな鼻詰まりになってご飯が食べられなくなってしまった猫ちゃんに出会ったお話です。
症例は東京中央区晴海在住の高齢猫のトラちゃんです。トラちゃんとの出会いは1ヶ月ほど前のことです。
東京中央区はよく往診でぐるぐる回っているのですが、この時はちょうど東京中央区勝どきで行われた血尿でよくトイレに行く猫ちゃんの診察後にかかってきたお電話だったので、電話から30分以内にご自宅を訪問することができました。
お電話での内容は、お家の猫ちゃんが最近食欲が落ちてきているとのことで、猫ちゃんが高齢とのことでしたので、早めにお伺いさせて頂くこととしたという流れです。
お家に入ると、トラちゃんはドアの隙間からチラリと私たちを見て去って行ってしまいましたので、先にトラちゃんの最近の様子をご家族様に詳しくお伺いさせて頂くことにしました。
トラちゃんは、2週間ほど前から少しずつくしゃみや鼻水の症状が出てきたそうで、そこから少しずつ食欲が落ちてきて、鼻もズビズビといわせているそうです。
それでもウェットフードをあげてみたり、いつも大好きなおやつをあげてみたりとご家族様も工夫して頂いていたのですが、トラちゃんは食べてくれず、ここ2,3日はほとんど何も口にしていないとのことでした。
猫ちゃんはご飯を食べていないと、身体の中で栄養の代謝が変化してしまい、肝臓に脂肪を溜め込んでしまい、脂肪肝になってしまいます。
また、お水を飲んでいなければ脱水してしまい、脱水するとそれだけで体が重だるくなって、ご飯を食べてくれなくなってしまう、という悪循環に陥ってしまいます。
また、脱水すると、腎臓にいく水分が減ってしまいますので、腎不全を悪化させてしまうこともあります。
そういった点から、また、食べない原因が何かを調べるために、血液検査をご提案させて頂いたところ、ご同意が得られましたので、血液検査も実施することとしました。
まずはトラちゃんのいるお部屋にお邪魔し、往診専門動物病院の動物看護師がタオルで包んで、狭い所に隠れていたトラちゃんに出てきてもらいました。
身体検査では脱水が見られましたが、黄疸は認められませんでした。
また、かなり鼻がつまっているようで、身体検査中も鼻水が出ていて、目やにも見られました。
しかし、鼻水の原因としてよく考えられる歯周病は、見える限りではひどくはない様子でしたので、歯からの鼻水の可能性は低いと考えられました。しかし、鼻水と目やにの症状から、上部気道での何かしらの感染症が疑われました。
次は血液検査です。
採血をするために、足を伸ばしてもたなければなりませんが、それに関しては特に問題はないようでした。
その後、トラちゃんは脱水していたので点滴や抗生剤、消化管を動かすお薬の注射を行い、鼻には点鼻薬を入れて、点鼻薬に関してはお家でも続けて頂くことにしました。
トラちゃんは子猫の頃からよく鼻水やくしゃみをしていたそうなのですが、成猫になりしばらく鼻水も出ておらず、最近になってまた出てきてしまったとのことで、ウイルスの潜伏感染が疑われました。
血液検査では、腎臓の数値が軽度に上昇し、また、白血球数も軽度に上昇していたことから、慢性腎不全と加齢による免疫力の低下に伴って、潜伏感染していたウイルスが出てきて、鼻がつまってしまい、食欲がなくなってしまったと考えられました。
しかし、肝臓の数値などには問題がなかったので、ひとまず安心しました。
次の日も往診すると、少し鼻水は改善していて、缶詰の匂いを嗅ぎに行っているとのことでした。
ご家族様に感染症のお話をさせていただき、点滴と抗生物質の注射、そして点鼻薬は続けて頂くこととしました。
また、食欲増進剤として、内服薬をその日は私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室のスタッフで飲ませて、その日の診察は終了としました。
そして、次の日再び往診でお伺いさせて頂いたところ、なんと!トラちゃんがご飯を少し食べてくれるようになっていました。
これにはご家族様も私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室のスタッフも安心しました。ご飯が食べられるようになったので、次の日からは内服薬を飲んで頂くこととし、次の診察は3日後としました。
その後、トラちゃんは無事に鼻づまりも治って、今は慢性腎不全の治療のみ続けています。
このように、高齢猫では小さい頃にかかっていた猫風邪のウイルスを持ち続けていて、高齢になって免疫力が下がった頃に症状が再燃してしまうこともあります。
高齢になって様子が変わったな、健康診断も出来ていないし少し気になるな、など何かあれば、いつでも往診専門動物病院わんにゃん保健室までご連絡ください。
◆-----------------------------------◆