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高齢の大型犬で多い甲状腺機能低下症(犬猫往診/東京往診/往診獣医)

こんにちは!

暑いですね。毎日、めちゃめちゃ暑いです。

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、飼い主様の家まで往診車に乗り、基本的には獣医師と動物看護師でご訪問させていただいています。

その際に、車内温度が上がりすぎないようにカバーをかけていますが、それでも暑くなりすぎる場合が多いので、常に車内にある荷物を持ち運んでいます。

入室の際に、もし荷物が多かったらすみません。

 

さて、今回は病気のお話です。

みなさん、甲状腺という臓器をご存知でしょうか?

人でも、バセドウ病などがありますがあれらも甲状腺の疾患です。

喉の気管の横に付いているとても小さな臓器ですが、身体の中ではとても重要な役割を担っています。

しかし、わんちゃん、特に高齢犬では甲状腺の機能が落ちてしまう、甲状腺機能低下症という病気がとても多いのです。

そこで今回は、甲状腺機能低下症についてお話していこうと思います。

 

以前にも甲状腺機能低下症の話、または真逆の甲状腺機能亢進症(主に猫)の話もご参考にどうぞ!

 

 

甲状腺機能低下症のブログ

・歩き方が変?(東京足立区)

・皮膚が悪くなった大型犬(東京足立区)

・大量出血の犬(東京墨田区)

 

甲状腺機能亢進症のブログ

・急な食欲低下の高齢猫(東京中央区)

・甲状腺機能亢進症を治療中の猫ちゃん(東京中央区)

・猫の嘔吐と食欲不振(東京足立区)

 

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そもそも甲状腺とはどのように働いているのでしょうか?

甲状腺は甲状腺ホルモンというホルモンを出して、それが全身の臓器の働きを活性化します。

しかし、甲状腺自身が勝手にどんどんとホルモンを出していると、たくさん出すぎてしまって臓器が活発になりすぎてしまうため、脳が調節をしています。

身体の中で甲状腺ホルモン濃度が一定ラインより低くなると、脳下垂体というところから甲状腺ホルモン放出ホルモンという、甲状腺に甲状腺ホルモンを出させるホルモンが放出されます。

そのホルモンが甲状腺に届くと甲状腺は甲状腺ホルモンを分泌します。

それが血液にのって全身に行き渡ります。

そうすると全身の臓器が活性化され、代謝が上がっていきます。

例えば心臓であれば心拍数や血圧の上昇、消化管であれば消化、腎臓では尿産生の増加、など多岐にわたって身体の代謝が上がります。

そして、甲状腺ホルモンの血中濃度が一定の濃度に達すると、脳下垂体に負のフィードバックといって、甲状腺ホルモン放出ホルモンの分泌がストップされます。

そうすると、甲状腺は刺激を受けなくなるため、甲状腺ホルモンを出すことをストップし、身体の中での甲状腺ホルモンの濃度は維持されます。

これが、甲状腺ホルモンの調節機能です。

 

では高齢犬で多い甲状腺機能低下症とはどういった病気でしょうか。

 

甲状腺機能低下症とは、何らかの要因によって、甲状腺からのホルモン分泌量が減ってしまい、体内の甲状腺ホルモン濃度が低くなってしまう疾患です。

余談ですが、人では女性が多いと言われているこの疾患ですが、わんちゃんでは疾患率に特に性差はありません。

わんちゃんの甲状腺機能低下症の原因は、ほとんどは甲状腺自体が原因と言われており、免疫疾患による甲状腺炎や、特発性(原因不明)甲状腺萎縮、甲状腺腫瘍などが挙げられます。

 

では、甲状腺機能低下症になるとどうなってしまうのでしょう??

 

先ほど、甲状腺は代謝を司る臓器というお話をしましたが、その機能が落ちてしまうので、全身の代謝が落ちてしまい、さまざまな変化をもたらします。

 

心臓では心拍数が落ちてしまったり、不整脈になったりします。

その結果、不整脈が続くと失神してしまったり、疲れやすくなってしまったり、といった変化が出てきます。

また、血圧も落ちるので、寝る時間が増えたり、なんとなく元気がないような感じになってきます。

皮膚では、通常は皮膚のターンオーバーによって垢となり、古い皮膚はどんどん落ちて生まれ変わっていくのですが、皮膚の代謝が落ちてしまうことで、皮膚のターンオーバーが遅れてしまい、古い皮膚がなかなか落ちなくなってしまったり、皮脂が出過ぎてしまったり、逆に出なくて乾燥してしまったり、と皮膚にも影響が出てきます。

古い皮膚がなかなか落ちない結果、そこに細菌感染が起こりやすくなり、痒みが出たりして、皮膚炎を起こす原因となったり、皮膚が分厚くなることで、いわゆる「悲しそうな顔」になってしまいます。

そのほか、腎臓では腎臓の血圧が下がってしまったり、太りやすくなってしまったり、神経障害も起こりますので、それにより斜頸が見られることもあります。

とてもさまざまな症状が出るので、この症状が出ているからこの病気!というわけにはいきません。

 

診断方法としては血液検査で甲状腺ホルモン濃度を測定します。

 

治療方法としては、甲状腺ホルモンを内服薬で飲むことです。

甲状腺ホルモンを外から入れてあげることで、甲状腺自体が出せない分を補ってくれます。

ただ飲みすぎてしまっていたり、あるいは血中濃度が上がらなかったり、個々で飲む量は変わってくるので、最初は2週間でもう一度血中濃度を測定します。そうして、ホルモン濃度を正常範囲内に入れていきます。

猫ちゃんでは、甲状腺機能亢進症といって、甲状腺ホルモンが出すぎる病気が多いのですが、高齢犬では甲状腺機能低下症がよく見られます。

甲状腺機能亢進症はすぐ命に関わる、ということはないのですが、甲状腺機能低下症は、不整脈が起こったり、血圧が下がったりすることで、命に関わることもあります。

そのため、高齢犬がお家にいる方は、健康診断の時にぜひ一緒に検査することをおすすめします。

最近あまり歩かなくなってきた、寝ている時間が増えた、体重が増えた気がする、顔に覇気がない、といった高齢犬だからかな?と思ってしまうこれらの症状、実は甲状腺機能低下症かもしれません。

もし思い当たる症状があれば、検査をしてみることをお勧めします。

ただ、高齢で歩かなくなってしまい病院に行けない、高齢になって病院での待ち時間のストレスをかけたくない、といった方は一度往診専門動物病院わんにゃん保健室にご連絡ください。

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、血液検査はもちろん、超音波検査も実施することもできますし、それらの症状からどういった検査が必要か、ご提案させていただきます。

高齢になってほとんど外に行かなくなったというわんちゃんのご家族様、一度往診専門動物病院わんにゃん保健室までご相談ください。

 

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