こんにちは!久しぶりの投稿です!
往診専門動物病院わんにゃん保健室は、基本的には10:00〜19:00の不定休で診察を行っています。前日までの完全予約制ですが、実際のところ、ほとんどの初診の方は当日でのご予約です。
犬猫は、私たちと違って病気を隠す生き物であり、特に猫ちゃんにその傾向が強く見られます。ペットの体調の変化には、普段との比較がとても重要です。
元気、食欲、飲水量、排尿量・回数・性状、排便回数・性状・形状などを見ていきます。
些細なことでも気づかれましたら、すぐにかかりつけの動物病院に電話または通院し、獣医師の指示を仰ぐようにしましょう。
そんな今回は、病気というよりは事故に近いですが、外傷によって後遺症が残ってしまったわんちゃんのお話です。
外傷というと、身近なところでいう深爪の際の出血や爪が折れてしまった際の出血などの軽度なものから、窓からの落下や交通事故による重度なものまで、原因も重症度も様々です。
外傷は気をつけて頂いて、させないようにするのが一番良いのですが、それでも起こってしまうことがあります。
また、人でも同じですが、怪我自体が治っても、後遺症という形でなんらかの症状が残ってしまうことがあります。
まずは外傷自体を治すことが大切ですが、もし後遺症が残ってしまった場合には、それに対するケアやリハビリがもちろん必要であり、大切になってきます。
今回は重度な外傷ののち、残ってしまった後遺症と頑張ってたたかった高齢犬とご家族様のお話です。
トイプードルの奈々ちゃん(東京千代田区在住、認知症?)
症例は千代田区半蔵門在住の15歳の小型犬で高齢犬の奈々ちゃんです。
奈々ちゃんとの出会いは半年ほど前です。
外傷後の後遺症のケアをご希望とのことでお電話をいただきました。
お家にお伺いすると、奈々ちゃんを抱っこしてご家族様がお出迎えをしてくれました。
その時は奈々ちゃんは寝てしまっていましたので、まずは詳しくお話をお伺いさせて頂くこととしました。
問診(今までの経緯と今日の状態を伺います)
奈々ちゃんは1ヶ月ほど前に、ご家族様が気付かないうちに窓から落ちてしまったそうなのですが、幸い下には植木があり、それがクッションとなって一命は取り留めたものの、おそらく腰椎を骨折してしまったのか、後ろ足の麻痺が残ってしまいました。
また、頭部を打ってしまったのか、突然鳴き出して鳴き止まなくなってしまったり、今までご飯をしっかり食べていたにも関わらず食が細くなってしまったり、といった後遺症が残ってしまったそうです。
ただ、外傷が良くなるまでは動物病院で入院をしていたそうなのですが、退院してお家に帰ってからどんどんそのような症状が進んできて、声も大きくなってきたため、お家で何かできることがあればとのご相談で、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室にご連絡をいただきました。
今もっともご家族様の中で負担になっていることは、昼夜問わず大きい声で鳴くこと、とのことで、他のお家の方にも迷惑になってしまう、とご心配されていらっしゃいました。
たしかに、高齢犬では特に夜鳴きや夜の徘徊をする子が多く、痴呆の一つの症状として考えることが多いのですが、今回の奈々ちゃんの場合は、外傷をきっかけに症状が出てきたので、後遺症の可能性が高いかと思われました。
しかし、食欲にムラがあるとのことでしたので、一概に後遺症だけではなく、他の疾患の可能性も考えて、念のために血液検査を実施することをご提案させて頂いたところ、ご同意が得られましたので、身体検査に加えて血液検査を実施しました。
検査
身体検査では、おそらく食欲不振からの軽度の脱水が見られ、また、後ろ足に関しては両後肢ともに完全麻痺となっていました。
外傷後運動ができていないこともあり、筋肉が落ちて痩せてしまっていたので、何か奈々ちゃんが好きなものを見つけてもらい積極的に食べさせてもらうことにしました。
次に血液検査のための採血です。
採血は特に嫌がることなく、お利口さんにさせてくれました。
血液検査の結果が出次第、使用できるお薬を検討して、処方させて頂くこととし、次の日にもう一度お伺いさせて頂くことになりました。
血液検査の結果を見てから、奈々ちゃんの負担も出来るだけ少なく、また、ご家族様の精神的負担、肉体的負担を少しでも減らせるようにという思いで治療プランを考えさせて頂きました。
血液検査では、一部の肝臓の数値がやや高めでしたが、ものすごい高値というわけではありませんでした。
また、それ以外も優秀で、異常値はほとんど認められませんでした。
翌日
次の日、奈々ちゃんのお家にお伺いすると、お外にいても聞こえる声で奈々ちゃんが鳴いていて、早く何とかしてあげなければ、との思いに駆られました。
ご家族様に血液検査の結果をお伝えし、鎮静効果のある、てんかんの時などに使用する飲み薬をご提案させて頂いたところ、少しでも身体の負担が少なく鳴くことが減るなら、ということで飲ませてみて頂くことになりました。
このお薬は、効き目が2週間ほど飲み続けなければ明らかにならないお薬なのですが、奈々ちゃんの場合1週間ほどで効果が出てきて、鳴く回数が減ってきました。
本人も、鳴いているとかなり体力を消耗してしまっていたため、身体は楽になったのか、少し顔つきもよくなってきました。
奈々ちゃんは現在は食が細くなってきていて、お薬もほとんど飲んでいない状況です。
しかし、ご家族様の献身的な介護により、自力での排泄が難しい場合は解除をしてもらったり、ご飯をスプーンで頻回にあげてもらったりと、頑張ってくれています。
頑張っている姿をみて、私たちも他に何かできることはないかと日々考えていますが、やはりここまで奈々ちゃんが頑張ってくれているのも、ご家族様の愛情が一番の源だと思っています。
しかし、どれだけ愛情があっても、どうやって介護をしたら良いか、どうやったら少しでも楽になれるか、分からない時もあると思います。そういった手助けを私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室ではさせて頂いておりますので、一度往診専門動物病院わんにゃん保健室までご相談ください。
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