往診の問い合わせで伺う症状として、こんなものがあります。
よくある主訴
・急にトイレに何回も行くようになった
・トイレの度に鳴く
・見にいくと、そんなにトイレシート/トイレ砂が濡れていない
・若干、尿が赤いような気がする
これらの症状から、膀胱炎が発症している可能性があることが示唆されます。
往診での電話問診で、上記の内容を聴取しましたら、以下のことを考えます。
整理しておくといい情報
・いつからの症状なのか
・その症状は初めてなのか
・お薬は飲めるタイプなのか
往診専門動物病院では、事前の情報を元に医薬品および医療資材・医療機器を選定しなければいけませんので、往診の電話応対はかなりの臨床的なスキルを求められます。
動物病院で経験と知識をある程度積んだ、3年目以降の動物看護師の皆さん、是非挑戦しにきてください!
猫ちゃんのご家族様は、きっと上記のような経験されたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、猫ちゃんでは膀胱炎になると血尿をすることがよくあります。
しかし、膀胱炎以外の可能性ももちろんありますので、しっかりと検査をしなければなりません。
猫ちゃんの膀胱炎は大きく、
- 細菌性膀胱炎
- 結石・結晶による膀胱炎
- 特発性膀胱炎
の3つに分けられます。
細菌性膀胱炎は、名前の通り細菌感染による膀胱炎です。
細菌感染によって、膀胱の粘膜に炎症が起きて出血してしまい、血尿になってしまうことがあります。
また、結石や結晶による膀胱炎では、結石や結晶が膀胱粘膜に傷をつけてしまい出血して血尿になってしまうことがあります。
さらに、粘膜の傷がついた部分に細菌が感染してしまい、細菌性膀胱炎を併発してしまうこともあります。
逆に、細菌性膀胱炎では、感染が起こってしまうことで炎症が起きておしっこのphが高くなってしまいます。
そしておしっこのphが上がると結石が出来やすくなり、結石や結晶が形成され、②の膀胱炎が併発してしまうこともあり、①と②の膀胱炎は密接に関わり合っています。
そして③の特発性膀胱炎です。
特発性というとどういうこと?と思われるかと思いますが、特発性というのは原因が分からないという意味で、原因不明の膀胱炎ということです。
ストレスであったり、その他にも何かしらの影響により、膀胱炎となってしまうことがありますので、じっくりと時間をかけて治療をする必要があります。
今回はそんな血尿が出てしまった猫ちゃんのお話です。
往診にて、血液検査・超音波検査(エコー検査)・尿検査を実施したところ、腎不全とストラバイト結晶を認めました。
腎不全に対しては内服薬とご家族様での皮下点滴、尿石症に対しては尿石用のご飯に切り替えてもらい、経過観察を行っています。
1ヶ月に1回だけご自宅に獣医師と動物看護師が訪問させていただき、血液検査、膀胱エコー検査、尿検査(お母さんが取れれば)を行い、今も安定した生活を送れています。
通院が難しい場合には、獣医師に診てもらうのを諦めるのではなく、往診という選択肢があります。
次回は、今回の症例についてもっと細かくお話しさせていただきます。
ご自宅で猫ちゃんを飼われている飼い主様、そして周囲で通院できないことを困っているご家族様がいらっしゃいましたら、是非ご一読いただき、往診専門動物病院があることを知っていただければと思います。
◆-----------------------------------◆