かかりつけの動物病院で、最初から最後まで診てもらいたいと希望されるご家族様はたくさんいます。
ただ、なかなかこの希望が叶うのは珍しいと考えています。。。
それは、ご家族様が求める「医療内容」と、動物病院が提供できる「医療サービス」に、ステージごとで徐々に違いが出るからです。
今回は、どんな違い(ズレ)が、ご家族様と動物病院、獣医師の間で起こるのかを書かせていただき、ペットが終末期に差し掛かった時に、往診切替という選択肢を選ぶタイミングはいつなのか、についてお話しさせていただきます。
最後まで通院で行くと考えているご家族様でも、犬猫のライフステージごとに考えなければいけないことを書かせていただきましたので、是非参考のためにも、ご一読いただければと思います^^
【かかりつけ動物病院=家から近いところ】
SNSが普及しているため、単純に家から近いからと選ばれるご家族様は減少傾向にありますが、それでも通院距離は動物病院選びの優先事項に位置しています。
パピー期、キトン期では特にこの傾向が強く、健康診断やワクチン接種、健康診断や日常ケアといった内容だけで完結する時期は、『家から近い』ため、その動物病院をかかりつけにされています。
時間が経つのは早く、なんとなく体調が悪そうな日が増えてきた頃、動物病院選びは次のステージに入っていきます。
【かかりつけ動物病院=口コミがいい】
家から近いという利便性を捨ててまで遠くにある動物病院に行く理由は、その動物病院が何かに優れているからです。
もちろん、知人や友人からの紹介というケースもありますが、紹介先として名前が挙がるような動物病院であれば、きっと信頼を置ける動物病院だと思います。
ただ、口コミがいい動物病院の多くが、「名医」という雰囲気を醸し出していますが、そんなことはないです。
飼い主様から支持されている本当の理由は、意外と別のところにあるかもしれません。
人気の理由①:人当たりがいい動物病院
人間の病院でも同じかもしれませんが、もちろん治療技術や実績に富んでいる場合もありますが、中には人当たりのいい先生であり、よく話を聞いてくれるという長所が口コミの高評価につながっていることもあります。
待ち時間が長いのは人気のある証拠ですが、ある程度の規模の動物病院であれば、昨今の予約システムの普及によって、昔みたいに何時間も待たされたなどの長時間の待合室トラブルは少なくなっているように思われます。
ただ、飛び込みですぐに診てもらいたい場合には、予約システムがしっかりしている動物病院では融通が効かないこともあるので、注意しましょう。
人気の動物病院であれば、ある程度の待ち時間は許容し、もしかしたら検査が入る可能性もあるので、丸1日通院のために空けておくくらいの時間配分を心がけたほうがいいです。
人気の理由②:設備システムの豊富さ
とはいえ、人気があっていい先生でも、動物病院のほとんどが小規模であるため、24時間診療をやりたいけどできないのが現状です。
朝診ていたペットが夜に急変し、夜通しその対応をした場合、翌朝に待機しているペットの診療が厳かになってしまうという、負のスパイラルが起きてしまうため、多くの動物病院が夜は診療をしていません。
獣医師も人間なため、最初は精神が肉体を凌駕するということもありましたが、そんな無理は長くは続かず、判断能力が下がってしまっては本末転倒なため、苦渋の決断として、夜は受け付けないのがほとんどです。
中には、再診のみで夜間救急を受け付けている動物病院もありますが、できれば夜間は夜間救急に飛び込めるように、ご家族様自身で、現状の既往歴、処置や処方内容など、初めて診てもらう動物病院でも情報が伝わるような準備をしておきます。
これら以外にもまだまだありますが、大体こんなところだと思います。
いよいよ大きな病気を患う頃になると、今度はこのまま通院し続けのか、往診に切り替えるべきかで悩む時期がやってきます。
【往診切り替えのタイミング】
往診切り替えのタイミングは、「治療が見込めないと判断された時」と、セミナーなどではお伝えしています。
この「治療が見込めない」には2つの意味があります。
・医学的に、すでに治療不可な状態
・負担を考えると攻めた治療ではなく緩和的な処置のみを希望したいとした状態
・通院させること自体が環境的に難しい状態
・通院させられないくらい弱ってしまった状態
例えば以下のような事例があります。
■猫、18歳、慢性腎臓病で毎日の内服、週数回の皮下点滴で通院している。定期検診は月1回くらいだが、通院自体がストレスになってしまい、もう通院ではなく在宅に切り替えたい。
■犬/猫、腫瘍(がん)で抗がん剤など攻めた治療はしたくない。できる限り負担なく、家でゆっくり過ごさせてあげたい。
■大型犬で歩行が難しくなり、車に乗せるのも難しいため、往診で診てもらいたい。
このように、医学的な側面だけでなく、環境的な側面、犬猫の性格などを加味して考えていくと、いつまで通院を選ぶのかが決まっていきます。
最後まで通院で行くという選択も一つですし、もう通院が難しいと判断し、往診に切り替えるのもまた一つです。
【わんにゃん保健室の往診(在宅医療)】
当院が提供している診療は、終末期と言われる、余命を見据えた最後の医療を、ご自宅で最後まで提供していく、終末期ケア特化型の在宅医療です。
当院の往診では、初診時に2時間枠を設けてじっくりとお話をお伺いさせていただき、ご家族様が何を不安に感じていて、何をしてあげたいのか、また、現実問題として何ができるのか、などをご相談させていただきます。
内服薬が飲めない性格の犬猫に対しては、内服ではなく注射薬処方プランをご提案したり、実際に看病にあたる方の日常のスケジュールを伺うことで、投薬プランが決められたりなど、リアルな生活環境を加味しながらのプランニングをしていきます。
往診を選ぶにしても、獣医師1人でくる簡易的な往診を希望されるか、当院のように体制を整えた往診を希望されるかなどで、在宅での検査プランや治療プランも変わってくるかと思います。
まずは、ご自宅まで来てくれる往診を調べておくことから始めましょう。
その上で、いつまで通院で、どこからの在宅切り替えがおすすめなのか、かかりつけの獣医師とご相談しておくことを覚えておきましょう!
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