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寄り添う往診獣医療の最近のブログ記事

今回は、前回に引き続き、水頭症を抱えながら生活してきた、小枝ちゃんのお話です。

 

前回のブログはこちらからご覧いただけます。

 

それでは、続きに入ります。

 

1.png

 

水頭症には好発犬種があり、マルチーズやトイ・プードル、チワワなどが該当します。

 

生まれながらにある先天性、何かしらの病気に併発した後天性に分けられますが、なんとなく多くの場合が先天性、つまり簡単いうと、生まれつき、ということです。

 

水頭症に伴う脳のダメージによる症状の一つが発作や行動異常であり、それを長年お薬コントロールしてきました。

 

今回は、前回からの続き「初診時の検査問診と対策」の続きと、その後についてです。

 

初診時血液検査

往診であったとしても、現段階での状態把握及び方針決定のために、どうしても初回検査が必要となってきます。

 

ただし、1週間前までのデータがかかりつけ動物病院にて実施済みで、そのデータを参照できた場合には、状態次第で、負担を減らす目的で、初診時検査をパスすることもありますが、できる限り実施してあげています。

 

実施してあげることで、今まで気づかなかったものが見えることがあります。

 

その背景には、今までの検査項目を絞り込みすぎてしまった結果、評価できなかったということも、実際にありました。

 

犬猫の状態が検査不適ではない限り、負担と相談しながらも、初回検査は実施していきましょう。

 

血液検査

さぁ検査頑張ろう!と抱っこして保定した瞬間、結構強く嫌がりました...

 

嫌がるとチアノーゼが出てしまうという状況も事前に把握できていましたので、スタッフ人数を揃えて臨むことができ、持ち込んだ酸素ボンベを最大限使用し、保定と酸素管理の看護師2人体制で、採血を無事終えることができました。

 

採血量も、少量でいいわけではなく、外注検査を実施するにはある程度の検体量が必要なため、当院では必ず保定を動物看護師にお願いしています。

 

保定一つで、犬猫の安全性だけでなく、押さえる圧力や緊張の伝わりなどに付随するストレスも下がり、検査精度も大幅に上がります。

 

もしお願いした往診専門動物病院で、獣医師一人でくると言われた場合には、保定として動物看護師さんをお願いできないか、確認してみてください。

 

もし連れてきてもらえない場合には、ご家族様がその役を担わなければなりませんので、当日しっかりと指導を受けてから、保定に取り組むようにしましょう。

 

 

超音波検査

呼吸状態の異常の要因除去を目的とし、胸水エコー、腹水エコーにて貯留がないことを確認しました。

 

特別押さえることはなく、横の下の方からピッピッとあてて終了です。

 

今回の検査では、胸水も腹水も貯留していませんでした。

 

 

尿検査

負担を避けたいところではありますが、培養検査を実施するためにも採尿を行いました。

 

採尿検体には、自然尿(自然に排尿した尿)、カテーテル尿(カテーテルで抜去した尿)、穿刺尿(針を刺して採取した尿)があります。

 

培養検査をするには、穿刺尿が必要なため、頑張ってもらいました。

 

先ほどの採血の状況があったので、できるかどうかも含めて取り組みましたが、全く嫌がらず、むしろ気づいていないようなくらいでした^^

 

 

...という流れで、前回のブログ〜ここまでが、初診時問診と検査まででした。

 

次に、初診時における診療プランの決定です^^

 

2.png

 

 

初診時診療プラン

初診時のプラン決定は、検査結果が出揃うまでの行動指針及び処方内容を決定していくというものです。

 

早速みていきましょう^^

 

投薬プラン

小枝ちゃんのご飯のタイミングを中心に投薬されていたのですが、意識レベルを少しあげ、かつ夜鳴きや発作の頻度を下げるためには、医薬品の都合に合わせたプログラムを実施する必要があります。

 

そのため、ご飯と投薬の時間を8:00、16:00、24:00に固定することで、8時間おきに使用するお薬を中心とした生活リズムをお願いし、夜鳴きや明け方に1時間おきに起こされるようなことの頻度がどうなるかを評価してもらうこととしました。

 

 

今後のプラン

発作のコントロールで使用する薬は、薬用量の変更が伴う場合に、2週間程度経過後に血中濃度測定を行い、用量判定および薬の効果を評価していきます。

 

ただ、小枝ちゃんの場合には、すでに長期間にわたって使用されていたこともあり、何より採血が苦手なこともあって、次回1週間後の往診では、できる限りストレスのないよう、検査は行わないこととしました。

 

状態次第ですが、その後は1ヶ月単位での診察としています。

 

状態も安定していた中、お正月に排尿痛が始まり、感受性試験で適応とされた抗生物質の多剤療法を行った結果、落ち着きを取り戻すことができました。

 

 

状態の変化と対策

時間の経過とともに、病状は変化します。

 

2023年1月の後半になると、薬が苦手となってしまい、薬がご飯に入っているかと、ご飯もあまり食べてくれなくなってしまいました。

 

どこまで頑張るべきなのか...

この状態でも飲ませるべきなのか...

 

ご状況をしっかりと共有いただき、ご家族様とご相談の上、今は1種類のみで状態維持を図ることとしました。

 

状態も下がってきたことから、前倒しで診察を組み直し、今の状態に合わせた投薬プランに切り替えていきます。

 

ペットの在宅医療を選ばれるご家族様のほとんどが、すでに愛犬、愛猫が緩和ケアのステージであったり、看取りを踏まえたターミナルケアのステージです。

 

状態の変化だけでなく、どんなことに悩んでいるのかをご共有いただき、その部分の解決ができなくとも、少しでも緩和できればと考えています。

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、在宅医療に特化した緩和ケアと看取りを見据えたターミナルケアに特化した獣医療を提供しています。^^

 

 

 

2023年2月5日

小枝ちゃんは、家族が見守る中、お空へ旅立っていきました。

 

お母さんたちが寝ている横で、最後の瞬間を知らせないくらい、とても静かに旅立っていったそうです。

 

旅立つ数日前に、大好きだったきゅうりとりんごを食べてくれ、眼振もなぜか止まっており、うんちもおしっこもしてくれましたとのことでした。

 

きっと、神様がくれたお別れの時間だったのかなって思いました^^

 

最後が苦しかったのかは誰にもわかりませんが、ただ静かに寝ている姿を見ると、とても穏やかな最期だったんだと、そう思えるほどの綺麗な寝顔でした^^

 

みんなからたくさんのパワーをもらって、無事に虹の向こうへお引越しできたのかな?

 

お姉さんたちが辛そうな時は、そっと向こうから応援してあげてね^^

 

小枝ちゃんのご冥福を心からお祈り申し上げます。

 

3.png

 

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皆さんは、てんかん発作を起こしたわんちゃん、猫ちゃんのケアをしたことはありますか?

 

てんかんは、その原因がある症候性てんかんと特発性てんかんに分けられますが、私たちが「特発性」といった場合には、原因がわからない、という意味だと受け取りましょう。

 

全部が全部、原因を突き止められ、治すことができればいいのですが、まだまだ未知の領域が存在していることは事実です。

 

今回ご紹介する症例は、生まれつき「水頭症」を抱えた小枝ちゃん、16歳の女の子です。

 

水頭症とは、その名の通り頭に水が溜まってしまう病気です。

 

水頭症を抱えて生まれてきた犬猫は、生涯に渡り脳圧を下げる薬だったり、発作を抑え込んであげる薬だったりを飲まなければなりません。

 

外科的な処置もありますので、もし水頭症を疑われた場合には、大きな動物病院、できれば二次医療施設などの脳神経外科を受診することをお勧めします。

 

それでは、症例紹介です。

 

今回の初診では、2時間半ほどお時間をいただき、過去(既往歴や投薬歴)から現在、そして未来(検査プランや処方プランの決定と今後の流れ)をゆっくりとお伺いさせていただきました^^

 

小枝ちゃん①.jpg

(若かりし頃の小枝ちゃんです^^クリクリお目目が愛らしいですね♪)

 

初診時のご様子と対策

小枝ちゃんは、子犬の時から水頭症があり、頭の病気に伴うてんかん発作もあったことから、医薬品を使用して、発作をずっと抑え込むためのコントロールをしていたとのことでした。

 

最近になって、深夜2、3時になると夜鳴きを起こしてしまうようになり、発作も見られ始めたため、小枝ちゃんの体力もかなり消耗していましたが、その横で看病しているご家族様も、疲弊しきっているご様子でした。

 

少し前から、かかりつけの動物病院にて後肢のふらつきを指摘されたはいましたが、徐々に夜中の発作の頻度が上がるにつれてナックリングが強くなり、体勢維持が難しくなり歩けなくなってしまったとのことでした。

 

初診時に現在のお薬内容を見てみると、かかりつけ動物病院から5種類処方されており、用量もしっかりとした量になっていたことから、ここ最近は意識レベル自体を下げることで常時鎮静状態にして、発作をコントロールしていたんだと判断できるものでした。

 

この場合、用法用量の見直しで、意識レベルを少しだけ上げてあげることで、また歩けるかもしれないことと、そのデメリットとして、投薬プランが1日3回になってしまうこと、さらには意識レベルが上がることで発作や夜鳴きが頻発してしまう可能性があることを天秤にかけながら調整していかなければなりません。

 

初診時段階で、かかりつけ動物病院から処方されていたお薬を必ず確認させていただきます。

 

また、アレルギーであったり、以前使った薬で体に合わなかったものがあるのかも併せて伺わせていただいています。

 

小枝ちゃんの場合5種類の医薬品を常備薬として処方されていて、発作止めとして1種類処方されていました。

 

現状の小枝ちゃんの体調及びご家族様の環境を踏まえ、3種類の医薬品を用量用法変更、2種類を種類変更させていただき、意識レベルと発作と夜鳴きの頻度を評価対象として様子見としました。

 

薬は全部で7種類、お母さんたちの工夫もあり、全部平らげてくれました^^

 

発作以外に併発していた病気

発作以外に、3ヶ月ほど前から、オリモノが出てしまうほどの、強い細菌性膀胱炎を発症しており、トイレの時にいつも鳴いてしまうほどでした。

 

抗生物質をずっと使用されていたこともあり、まずは培養検査と薬剤感受性検査を実施することが、症状緩和への最短ルートであると判断し、初診時に尿培養検査を行いました。

 

尿培養検査結果が揃うまでは、かかりつけ動物病院で処方されていた抗生物質を継続しようとしました。

 

チアノーゼ対策の酸素発生装置

小枝ちゃんは発作時や興奮時にはチアノーゼを起こしてしまうことから、ご自宅には酸素発生装置がレンタルされていました。

 

酸素発生装置(テルコム).jpeg

※ご自宅までレンタルしてくれる酸素業者さんを、事前に調べておきましょう。必要となったときにエリア外ですってならないよう、今のうちに調べるのがおすすめです^^

 

 

アクリル製の酸素ハウスの中にどうしても入ることが嫌いで、無理にでもハウスに入れてあげると、中を歩き回ってぶつかってしまうため、ほとんど使用できていないとのことでした。

 

ここ最近までは発作が出ていなかったので、発生装置をあまり使用していなかったが、発作が出てきてしまってからは、酸素発生装置をどうするべきか悩まれていました。

 

顔前で噴射する方法もありますが、風が顔に当たることを嫌がる犬猫がとても多いことから、少し工夫が必要であることをお伝えし、生活環境を見ながらアドバイスさせていただきました。

 

そして、今回重要なポイントである「介護の悩み」です。

 

病気の話もそうですが、理解して一歩ずつ進めなければいけないカテゴリが、現段階におけるご家族様の「病気以外の悩み」です。

 

犬猫の介護は、問題点をあぶり出すことから始まります。

 

看病/介護環境の整理から見つめ直す

犬猫の介護では、ペットの生活リズムに合わせてご家族様が生活していくというのが多く見受けられます。

 

まずは小枝ちゃんの生活リズムです。

 

・8:00ご飯(薬)→食後は就寝

・13:00ご飯(薬)→食後は就寝

・19:00ご飯(薬)→食後は就寝

 

お昼ご飯と夕食の間に1、2回起きて唸るため、抱っこして落ち着かせ、ベッドに戻すとまた寝てくれるとのことでした。

 

食後は疲れるようで、鼻をフガフガして震え出し、抱っこしてあげていると5〜10分程度で震えが収まり寝てしまうとのことでした。

 

お水を自分から飲んでくれないので、ご飯と薬をすりつぶして水で伸ばしてあげているとのことでした。

 

このリズムだけならば、まだ在宅環境であれば問題にはなりづらいのですが、問題は夜中の発作です。

初診時は、夜中2時〜明け方5時くらいに数回の発作のような症状が出てしまい、都度治まるまで見守り続けてしまっているという状況でした。

 

全体のお話の中から、まず最初に対処すべきは、この夜中の発作や夜鳴きをコントロールであることを確認しました。

 

発作のコントロールでは、容易に中毒域に達してしまう医薬品や呼吸抑制を起こしてしまうような医薬品を使用することもあり、いきなり強い薬を使用せずに、ステップを踏む必要があります。

そのため、もしかすると今の処方では効果が見られない可能性をお伝えした上で、まだまだ手はある事を支えとしてもらうために、未来予想図をお伝えし、安心してもらいながら一緒に向き合っていきます。

 

小枝ちゃん②.jpg

(ちなみに、小枝ちゃんの横にいたお猿さんのお人形はジョージって言うらしいです^^)

 

最後に・・・

今回は、最初の診察時に、問診の中で伺い対策を立てられた内容について書かせていただきました。

 

介護・看病と言葉で言うのは簡単ですが、その実態はかなりの精神力と体力を消耗しながらの戦いとなります。

 

向き合い方ややり方を見つめ直すだけで、愛犬、愛猫にとってだけでなく、その場で頑張っているご家族様にとっても心が軽くなることがあります。

 

...かなり長くなってしまったので、2回に分けてお送りさせていただきます^^

 

わんにゃん保健室では、在宅医療に特化した緩和ケアと看取りを見据えたターミナルケアに特化した獣医療を提供しています。

 

もちろん、通常診療で通院が難しい場合には、ご相談可能です。

 

それでは、また次回!^^

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今回は、前回に引き続き、左鼻腔内腫瘍を発症した猫ちゃんのお話です。

前のブログは以下からどうぞ!

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)1-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)2-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)3-4①

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)3-4②

 

過去4回の投稿のテーマはこんな感じです。

1-4:予約までの経緯とご家族様の葛藤

2-4:ターミナルケアの往診現場の臨場感ある初診雰囲気

3-4:急変時のマインドセットとアクションプラン

 

鼻腔内腫瘍を発症した猫ちゃん。

多くの猫ちゃんが動物病院への通院ができない中で、本当によく頑張りました。

急に状態が下がってきて、もう家にある酸素室から出られなくなったことをきっかけに、往診でのターミナルケアを希望されました。

2022年8月19日から往診に切り替え、家族の見守る中、2022年9月8日に旅立ちました。

 

最終回となる今回は、方針が決まってから最後の日までをご紹介します。

 

ここからいよいよ、実技的な指導に入ります。

 

まずは、皮下点滴をご家族様だけで実施できるようになる必要があります。

 

このお家の場合には、先代の猫ちゃんで家の中での皮下点滴を実施していたということもあり、初めてのご家族様と比べて比較的スムーズに指導を終えることができました。

 

しかし、先代の猫ちゃんと比べてこの猫ちゃんは拘束されることを非常に嫌がり、嫌がった挙句に呼吸状態が悪化し(鼻腔内腺癌なので仕方ないのですが…)、開口呼吸をしてしまうということもあったので、長い時間拘束することは難しいと判断しました。

 

力強い性格なのか、お水もご飯も自分から行ってくれていました。

 

通常だと、皮下点滴はその脱水の状況に合わせて輸液量を増やしてあげたいところではありますが、このような犬猫の場合には、いかにして短時間で終わらせるかがポイントとなります。

 

自力で飲食ができる=脱水補正はある程度自力で可能、と考え、それであれば輸液量をギリギリまで減らし、投薬する時間をものの数秒とすることで、猫ちゃんにも、ご家族様にも負担にならないような治療プランを実現できます。

 

今回の皮下点滴は、複数の医薬品を1回の針刺でまとめて投薬してあげるための手段であり、脱水補正は経口補水で頑張ってもらうこととしました。

 

実際は、皮下点滴を10mlシリンジと23G翼状針を用いて、1回の注射薬の薬液量と希釈するための輸液を合算して8mlで実施することができました。

 

そして、通常であれば、注射後に針穴を塞ぐために刺入部近くの毛の根本を30秒程度は持ち上げるのですが、8ml程度なので、最悪逃げてしまっても抑える必要がないくらいです。

 

そして、この量であれば、針が入ってしまえば5秒もかからないで終わりますので、嫌がり出した頃には終わっているという状況を作ることができました。

 

もしこの性格の猫ちゃんで、この呼吸状態で、腎臓病の皮下点滴による補正を試みることになっていたと考えると、酸素環境をしっかりと設置しなければ難しかっただろうなと思いました。

 

この日から、朝と夜の皮下点滴プランを組ませていただきました。

 

心臓も少し悪かったことから、できるうちは心臓のお薬を使っていきますが、内服しかないこともあり、できる範囲でやっていただくこととなりました。

 

ご飯はいつもの場所で、自分でお皿から食べたいって感じならお皿から、徐々に甘えてきて手から食べたいとされたら手から、もう食べたくないって言っていたら、何度か口にご飯をつけてあげ、それでも嫌がるようであれば、もう食事はストップとしました。

 

トイレに関しては、猫ちゃんって、最後の最後まで、自分の力で頑張って、いつものトイレの場所に行くんですよね。

 

ご家族様がその姿を見て大変だろうからとトイレを近づけてあげても、やっぱりいつもの場所まで、休み休み行くんです。

 

途中で力付きで漏らしちゃうことはありますが、環境として、そのルートではどこでもトイレをしていい環境を作ってあげ、また、近くに新たなトイレを新設する(猫砂は同じもので、ステップの高さは極力低めで)のはありです。

 

今後のプランとしては、1週間おきの往診で、貧血などのデータが大きく変わっていないかだけの、血液スクリーニング検査と、負担のない範囲での胸部・腹部エコーのチェック、また発作が始まったら、前倒しでの往診予定とさせていただきました。

 

今のままの容体で、少しでも安定している時間を長く取れたらなと祈りつつ、3日目の往診を終了としました。

 

初診から2週間後

状態が急変したのは、初診からちょうど2週間後の、2022年9月2日です。

前日の夜に発作が出て、発作止めを使用したら1本で止まったとのことだったのですが、またすぐに出てしまい、昨晩から今朝にかけて5回ほど認めたとのことでした。

ご飯を食べなくなってしまい、ふらつきが強く、立ち上がってもすぐに倒れてしまうような状態だとことでした。

 

もし往診に切り替えていなければ、すぐに夜間救急に今までと同じく連れて行っていたが、今は発作が出ても発作止めがあるので怖いけど怖くないとのことで、発作に対して向き合う覚悟ができたようでした。

 

しかし、日中に家を空けなければいけないことが多いこともあり、頓服としての発作コントロールだけでなく、朝夜の皮下点滴に発作を抑え込む薬を使用することとなりました。

 

今よりももっとふらつきが強くなるかもしれないし、効き過ぎてしまうとそのまま眠ってしまうかもしれないリスクをとり、少しでも発作で苦しむ頻度を減らしてあげたいという希望に沿ったプランです。

 

実際に使用していくと、そこまでふらつきも出ないで、普通に生活しているとのことでした。

 

ただ、もうご飯は食べてくれないとのことでした。

 

食欲を出させる軟膏があるのですが、この医薬品の使用で興奮してしまう猫ちゃんも多々いることから、興奮させてしまうくらいなら使用しないというご家族様もおり、今回はもう食欲は見ないこととし、軟膏の食欲増進剤は使用しませんでした。

 

この日の診察を終え、次回は2022年9月9日の午前中を予定していました。

 

9月10日からお姉さんが出張で1日家を空けてしまうので、お母さんだけでは心配とのことでしたので、その日の訪問プランはまた次回の診療の時に決めることとしました。

 

しかし、ターミナル期と言われる終末期は、そう安定した日々は長く続きません。

 

旅立ち

9月8日にお姉さんが帰宅すると、いつも通り視線をくれて尻尾でお迎えの挨拶をしてくれたとのことでした。

 

夕食を済ませ、食器を洗っていたところ、急に開口呼吸が始まったとのことでした。

 

発作かと思ったが、発作とは何か違う様子で、不思議と、もうお別れなんだと感じたとのことでした。

 

近くまで駆け寄ると、苦しそうにしながらも何度か視線をくれて、抱きしめながら最後の時間を過ごさせてあげられたとのことでした。

 

翌々日からの出張の前の休暇中だったこともあり、旅立った後の丸1日を一緒に過ごすことができ、葬儀を無事終わらせることができました。

 

先代の猫ちゃんの壮絶な最後が脳裏にあったため、緩和ケアに対して消極的かつ牽制的

だった最初の頃とは違い、全部を受け入れた上で最後の時間に臨めたことで、恐怖もあったが、それ以上に使命感が高買ったとのことでした。

 

2022年9月9日 ご家族様の腕の中で、長い眠りにつきました。

 

 

全体を通じて

今回は、ターミナルケアの症例に対する往診専門動物病院わんにゃん保健室の診療の雰囲気について、伝わりやすく、伝わりやすく、を意識しながら書かせていただきました。

 

ご紹介させていただいた猫ちゃんでは、今回のような診療プランとなりましたが、猫ちゃんの個性に合わせ、かつご家族様の生活環境や意向を加味してプランニングを行います。

 

できる限り事細かにご説明させていただき、愛犬・愛猫がこれから旅立とうとしているという現実を少しでも受け入れながら、できること、できないこと、やってあげたいこと、やるべきこと、などを決めていきます。

 

もう通院させることができないからと諦めてしまう前に、まずは往診のご相談をください。

 

東京23区を中心に、近隣地区まで獣医師と動物看護師が一緒にお伺いし、呼吸状態など全ての状態に合わせた往診を行います。

 

看取るということは、決して簡単なことではありません。

 

まずはご相談いただき、何ができるのか、一緒に考えていきましょう。

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今回は、前回に引き続き、左鼻腔内腫瘍を発症した猫ちゃんのお話です。

前のブログは以下からどうぞ!

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)1-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)2-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)3-4①

 

『もしも…』が起こってしまうのが、ターミナルと呼ばれる終末期です。

 

前回は発作について書かせていただきました。

 

今回は、吐血・喀血、下血、嘔吐、ぐったり、開口呼吸です。

 

吐血・喀血

あまり起こりづらいとは思いつつも、もし起きた場合には、もしかすると消化管粘膜に腫瘍細胞が浸潤した結果かもしれないとお伝えしました。

 

こちらに関しては、もし吐血を認めたら写真をとって共有していただき、お電話をいただくこととしました。

 

なお、吐血後の食事については、少量頻回としたいため、電話が繋がるまでは、吐血後の食事方法を少量頻回給餌とさせていただきました。

 

喀血は全く違ったもので、咳に血が混じったようなものを認めることがあります。

 

こちらは、きっとその咳から出てくる液体は赤というよりはピンク色のことが多く、この場合ですと腫瘍の肺転移に伴う肺水腫や肺の損傷を疑います。これを認めた場合には、早急に酸素室に入れてあげ、写真、動画の共有をお願いしました。

 

下血

猫ちゃんの腫瘍性疾患で、最も多いのが、リンパ腫という、今回の病気とはずれてしまいますが、そういうものがあります。

 

このリンパ腫には何個かのパターンがあり、その一つが消化器型リンパ腫というもので、猫ちゃんに多く起こります。

 

下血は大きく2つに別れ、鮮血なのか、黒色便なのか、です。

 

鮮血であれば、血が固まりづらくなっていることを意識していきますが、今回はすでに止血剤関連の医薬品が皮下点滴に含まれているため、特別対処はないことから、もし発症したらご連絡をいただき、状況を詳しく伺うことから始めましょうとしました。

 

そして、もし黒色便(タール便)であれば話は変わり、もう長くない可能性を示唆しているとお伝えしました。

 

日常生活の中で変えるべきことはなく、ただこれから一気に運動性が下がってきてしまうことと、貧血が一気に進行することで呼吸状態が悪化することも想定できるので、その時の対応についてご説明させていただきました。

 

経験上、このステージのメレナと呼ばれるタール便を認めると、なんとなく貧血が5%ずつ進んでいくような気がしています。これはあくまで個人的な見解ですので、参考程度に覚えておいてください。

 

嘔吐

基本、嘔吐は起きないような処方となっております。

犬猫たちのターミナルケアの現場では、嘔吐することで一気に状態が悪くなることが多いです。

例えば、ご飯を少しでも食べられていて、全然吐かない犬猫の場合でも、血液検査や超音波検査(エコー検査)所見などから、嘔吐が起こる可能性が高くなっている場合には、先制的に制吐剤(吐き気止め)を使用しています。

 

もちろん、こちらも選択制ですので、メリット・デメリットをお伝えした上で、常用として使用するのではなく、頓服として使用したいなどのご希望も承っています。

 

ここで覚えておくべきことは、吐き気止めには大きく2つあり、1つ目が吐き気を緩和する薬、2つ目が吐くことをほぼほぼ抑制する薬です。

 

1つ目の方が理にかなっていると思われますが、実際の獣医療の現場では、嘔吐がひどい場合や絶対に吐かせたくないと考えた時、2つ目を使用することが多いです。

 

ターミナルの現場では両方とも使用してあげることで、少しでも多く口にしてもらって、それが原因で吐いてしまわないように、医薬品の力を使って、ゆっくりと時間をかけて吸収できるように促してあげています。

 

ぐったり、そして開口呼吸

『急にぐったりした』『猫ちゃんの開口呼吸』は明らかな急変のサインです。

 

ここで重要な選択を迫らせていただきます。

 

延命は希望されますか?

 

延命と通院

元気だった犬猫が、急に具合が悪そうになった場合には、できる限り救急で動物病院へ通院させてあげてください。

 

もしかしたら誤飲や誤食などで、中毒のようなものや腸閉塞を起こしているのか、膵炎かもしれないし、持病が急激に悪化したのかもしれません。

 

日中であったり、まだかかりつけの動物病院が診療中であれば、飛び込んでください。

 

夜間であれば、夜間受付をしている動物病院へ飛び込んでください。

 

あなたには、待てる猶予など、1分もないはずです。

 

緊急で犬猫を通院させ、検査し、入院治療を受けさせてあげ、安定したら、また家に帰って来れて、今まで通りの生活が戻ってくる。

 

きっとこんな想像ができるからこその決断と行動だと思います。

 

では、今のこの猫ちゃんではどうでしょうか?

 

左鼻腔内腺癌を発症し、肺に転移を起こしている可能性が高い状態で、もし急変した場合に、苦手な通院をさせて、入院治療を受けさせれば、また元の生活が戻ってくると思えますか?

 

そして、また急変を繰り返します。

 

その度に、動物病院への通院と入院を繰り返しますか?

 

移動中に、病院での検査中に、入院中に、亡くなることが十分に考えられる状態であることを、忘れないでください。

 

夜間救急の責務は、命を繋ぎ安定させ、日中のかかりつけの動物病院へ犬猫たちを返すことであり、かかりつけの動物病院の責務は、その犬猫たちが安心して家に戻れるようにアシストすることです。

 

今という終末期ステージでは、これって延命なるのでしょうか?

 

多くの飼い主様が、もう急変しても連れて行かないとされます。

 

もっと長く生きていてほしいという本心はあるものの、苦しみながら長らえるのは可哀想だと判断されることが多いです。

 

しかし、延命という強い言葉は、家族であっても暗黙の了解のように口にできないキーワードですので、あえて私たちが言葉にすることで、話し合えるきっかけを作らせていただいています。

 

万が一の時、その場に立ち会っている人が全てを判断しなくてはいけません。

 

それがお母さんなのか、お姉さんなのか。

 

その判断は、後からそれでよかったと背中を撫でられたところで、その判断をした人が責任を感じてしまうものです。

 

だからこそ、事前にどうなったらどうするのかという家族としての指針を立てるべきなのです。

 

話し合う.png

 

愛犬、愛猫とずっと一緒に暮らしてきた家族だからこそ、目の前が苦しんでいるこの子たちに何をしてあげるべきなのかを話し合えるものだと思っています。

 

今回は、お姉さんも、お母さんも、急変時に通院させることはせず、家でのそのまま看取ることを決意されたようでした。

 

ただ、これはあくまで現時点での意志であり、数分後には変わっていても全く問題ないです。

 

一緒に最良となる方針を立てていきましょう。

 

今回のまとめ

前回の『発作』に続き、『吐血・喀血、下血、嘔吐、ぐったり、開口呼吸』について書かせていただきました。

 

愛犬、愛猫がどんな形で最後の時間を過ごしていくのか、旅立つときは苦しいのか、どんな症状を見せるのか、など、飼い主様ごとで相談される内容は様々ですが、これらの質問は必ずされています。

 

いざその場になってみなければ、実際のところわかりかねてしまうのが正直なところではありますが、経験上であったり、血液検査や超音波検査などの検査結果、診断された病気などを参考に、ある程度想定される最後の形についてご説明させていただいています。

 

万が一の時をただ怖がって待っているより、もしその時が来たらどうすればいいのか、というアクションプランを明確にすることで、ただ怖がっていたはずの未来が、知識と医薬品という武器を持って、戦えるようになれます。

 

完璧な飼い主になる必要はないです。

 

一緒に最後まで頑張っていきましょう!

 

次回は、ターミナルケア、そしてお別れです。

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今回は、前回に引き続き、左鼻腔内腫瘍を発症した猫ちゃんのお話です。

前のブログは以下からどうぞ!

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)1-4

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)2-4

 

愛犬、愛猫が病気であることを知り、まずは治療に向けてどう歩んでいけばいいのかを探すことと思います。

 

模索している間、きっと飼い主様の精神状態はズタボロで、何をしてあげるのが正解なのかわからずに、ただひたすらかかりつけの動物病院に足を運び検査をお願いしたり、インターネットで同じような症状の犬猫がいないかを探すことかと思います。

 

中には通院すら難しく、ぐったりした段階ですでに看取りを覚悟されるご家族様もいます。

 

最初から、すでに手遅れな状態だとわかったり、老化現象の一環での生命維持活動が弱まっているだけとわかればいいのですが、そこは検査をしてみなければわかりません。

 

そして検査はどんどんステップアップし、途中で必ず考えさせられることがきっと出てくることと思われます。

 

「どこまでやるべきなのか」

 

「この検査って誰のため?この子のためなのか、それとも理解したいというあなた自身のためなの。」

 

立ち止まるのもまた勇気がいることです。

 

検査が嫌な猫.png

 

もう攻めた検査はせずに、余生をゆっくりと過ごさせてあげるための最小限にとどめ、できる限り苦痛なく過ごさせてあげたいと考えた時点から、緩和ケア、そしてターミナルケアが始まります。

 

前回に引き続き、左鼻腔内腺癌の猫ちゃんのお話です。

 

初診で血液検査を行えましたので、翌日の再診となる今回は、そのデータを用いたお話です。

 

そして、今回の最大のテーマは、「急変時」です。

 

急変時はどうするべきなのか、については、その時になって考えるのでは遅いです。

 

どんなことが起こりうるのかを想定し、それに対して事前にある程度決めておくこと。

 

しかし、登場人物が多ければ多いほど、その意見は分かれてきてしまい、それらが交わらなければ、何もできないまま、ないも決められないまま、その時を迎えるのを待っているようなものです。

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室では、できれば意思決定ができるご家族様全員が揃うように診察日程を調整しています。

 

私たちが想像できる事象に対し、どんなアクションを取ると、どんなメリット・デメリットが生じるのかを説明させていただき、それらを飲み込んだ状態で、ご家族様で話し合ってもらいます。

 

今回は、お母さんとお姉さんの2人です。

 

院内血液検査結果から、重度の貧血と黄疸、腎数値の大幅な上昇を認めました。

 

早速参ります。

 

再診(初診の翌日)

お伺いすると、猫ちゃんは昨日と変わらずゆっくり、ズビズビ音を立てながら挨拶に来てくれました。

 

追加の酸素発生装置とボンベも到着しており、酸素の運用方法について詰めてご説明させていただきました。

 

さて、本日は血液検査結果から想定される「急変リスク」についてです。

 

血液検査結果から急変のリスクが高いことをお伝えし、どんな症状を出す可能性があるかをご説明させていただきました。

 

ここで、先代の猫ちゃんが、最後に重度の痙攣発作を伴って亡くなったということがトラウマであることをお伺いできました。

 

痙攣発作は、意識を伴ったままのものと、意識すら飛ばしてしまう大きなものに別れ、放っておいても止まりますが、もしかするとそのまま旅立ってしまうかもしれないし、もし止まるのであれば、早期に止めてあげた方が、発作後の生活に支障が少ないように感じています。

 

発作止めがあることを説明しましたが、先代猫の時にそんな話をしてもらえなかったと辛い胸の内を聴かせていただきました。

 

なぜ説明がなかったのかは存じませんが、動物病院で獣医師として立っている以上、しっかりと説明して、飼い主様の理解をもらえるよう努力すべきだと、強く感じました。

 

きっと、その獣医師は忙しさを理由に、説明を省いたのだと解釈しています。

 

獣医師側の気持ちもお察ししますが、ちゃんと責務を全うしてほしいと思いました。

 

今回は、発作止めがあり、それがどんな風に作用するのか、投与経路も3つあって、お母さんとお姉さんに選択しただけることをお伝えしました。

 

発作が起きた時、本当であれば発作中に投与することが一番いいのですが、なかなかハードルが高いことと、その場に誰が立ち会えるのかで話が変わってきます。

 

何より、急変時の対応に対して「やらなきゃいけない」という切迫観念を持って過ごしてしまうと、人間側が簡単にガス欠を起こして精神衰弱となり壊れてしまいます。

 

できる範囲でできることをやればいいんですよ、ということを心がけ、それが正しいと肯定することが、私たち往診専門獣医師の大きな仕事の一つです。

 

お母さんは針刺が怖いため、点鼻タイプと坐薬タイプを選択され、お姉さんは針刺が一番楽という意味合いから注射タイプを希望されました。

 

発作って、3タイプに大きく分類できると考えています。

 

すぐに止まる発作と、なかなか止まらない発作、止まらない発作。

 

学術的な話を出すととても複雑になりますが、結局現場ではこの3つです。

 

そして、ご家族様を深く傷つけ、トラウマにするのが、「止まらない発作」です。

 

うちの子は苦しんで死んでいった。

 

もし今そう思っているのであれば、ここで訂正させてください。

 

止まらない発作であれば、きっとすでに早期段階から意識がないはずです。

 

苦しかったかどうかは本人でなければわかりません。

 

ただ、その姿を見て苦しがって死んでいったと断言する必要はないです。

 

その姿は、その子が最後まで頑張って生きていった証です。

 

そして、その姿をちゃんと最後まで見守り続けられたという、飼い主としての最後のお勤めを終えられたという、むしろ勲章に値することです。

 

あなたに見守られながら旅立つことができた子は、何より幸せだったと思います。

 

だから、もう自身を責めないでください。

 

発作に対しては発作止めがあり、また日常的にボ〜ッとさせてあげることで、発作の頻度を減らすことにつながるかもしれない方法もあります。

 

今回は、お母さんもお姉さんも先代の発作がトラウマだったため、もし発作が出たら頓服で止めていただき、次の点滴から安定剤を常時投与してあげる方針としました。

 

発作止め.png

 

もしもの話を1回でまとめようと思ったのですが、全然書ききれなかったので、この回だけボリュームが多くなると思います(>_<)

 

犬猫と暮らしているご家族様にとって有益となるブログになれるよう頑張りますので、是非お付き合いください^^

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今回は、前回に引き続き、左鼻腔内腫瘍を発症した猫ちゃんのお話です。

前回のブログはこちらからどうぞ!

・がんになった猫の在宅緩和ケアと看取り(腫瘍/癌(がん)/ペット往診)1-4

 

 

がん治療といっても多種多様であり、さらにはターミナルケアに関しては、ご家族様や犬猫の状況を考慮しなければいけないため、それはもう無数の形があるといっても過言ではないです。

 

だからこそ、全てがオリジナルであり、その子その子の性格や体調、取り巻く生活環境と登場人物と協力体制などを細かく把握する必要があります。

 

それでは、実際の往診当日から初診までの流れを書かせていただきます。

 

診察前準備(初診前)

初診時は、獣医師1人と動物看護師2人でお伺いしました。

初診の時は、できる限り人数を多くし、1人でも多く状況把握と飼い主様のマインドを共有しておくことが必要です。話している飼い主様の仕草や言葉の詰まり、早さやトーンなど、今の精神状態を知るキーポイントは診療現場にたくさん溢れています。

 

ちなみに、お伺いする前に必要そうなものを事前に準備しなければいけません。

 

そのため、電話問診は最初の超重要箇所ですので、当院としても気を引き締めて応対させていただいております。

 

今回は、前回予約までの流れとして書かせていただいた内容から察するに、左鼻腔内腺癌の末期+肺転移と判断し、準備を行なっています。

 

持ち込むべきボンベは小型ではなく中型サイズであり、もしかすると呼吸が途中で安定しなくなる可能性も大いに考えられるため、診察中に酸素流量最大の10L/分で使用することも想定できました。

 

初診時

お伺いすると、意外と人馴れしている猫ちゃんで、擦り寄ってきてはくれなかったんですが、挨拶に来てくれました。

 

左鼻からは鼻血を伴う鼻水が出ており、ズピーズピーといった音をずっと鳴らしていました。

 

まずは問診です。

 

往診の問診、特にターミナルケアでは、この問診という聞き取りの時間を最大限取っていきます。

 

なぜご家族様が往診を選択したのか。

 

そこには、いろんな出来事や過去のトラウマ、もっとやってあげたいけど猫ちゃん自体が望まないということを受け入れなければいけないという葛藤、そして、今まで通院で診てもらっていた動物病院の獣医師からの突き放しなど、いろんな思いがあります。

 

できることに限りがあるのが、ターミナルケアです。

 

しかし、それは医療側面の問題であり、逆に日常生活や猫ちゃんとの関わり方などについては、かなり大きく広がっていきますので、実際には限りがあると感じている余裕はないと思います。

 

ご飯ひとつにしても、食べてくれないのであればそこで諦めるのか、はたまた食べてくれそうなものを血眼になって探し出すのか。

 

粗相が始まったら、おむつにするのか環境自体を変えてあげるのか。

 

排尿排便がうまくできなくなった場合に、圧迫排尿や摘便などはどうするべきかなど、たくさんの日常問題を一挙に解決していきます。

 

それが、往診です。

 

状況から考えて、最後の血液検査から1週間以上経過してしまっていることもあり、まずは血液検査、できそうであれば超音波検査で胸部・腹部を一通り見てあげたいと考えました。

 

ただ、鼻が詰まっていることで容易に呼吸が乱れることが懸念されている中で、さらに肺転移までも疑われている状況で、どこまで検査してあげるべきなのかという論点があるため、メリットとデメリットを説明した上で、ご家族様に決めていただき、結果実施となりました。

 

点滴量それで大丈夫?.png

 

今後の方針を組む上で、都度状態に合わせて変化させていくことは前提としても、やはり現状を把握することは重要であると考えています。

 

貧血が一気に進行していたことを見逃し、皮下点滴の輸液量を前回のデータを参考に算出した結果、皮下点滴後に呼吸が悪化しまった、となっては元も子もありません。

 

胸水や腹水の貯留状況、消化管(胃腸など)につまりはなさそうか、蠕動運動はできているのかなども、食事量や食事間隔などの参考になります。

 

呼吸状態が安定できるように、酸素化を万全に行い、検査中も最大量の酸素が終始確保できる環境で臨みました。

 

通常だと、小型酸素ボンベの持ち込みなのですが、電話での事前問診で呼吸状態が悪いことが強く懸念できたため、持ち込むことができました。

 

いよいよ検査です。

 

まずは持ち込んだ体重計で、今の猫ちゃんの体重を測定します。

 

1週間前で4.3kgあった体重が、本日は4.3kgと、まさかのキープ!すごいぞ、、、!^^

 

酸素キャップを設置し、まずは酸素流量5L/分で設定し、いざ保定です。

 

保定されるのは嫌いのようで、早速呼吸が早くなり、鼻詰まりもあるせいで少し開口を始めました。

 

この開口呼吸は、緊急時のものとは違い、ただ鼻詰まりに対して代償的に口呼吸をしたまでと考えました。

 

とはいえ、酸素流量を一気に10L/分に変更です。

 

すると、呼吸が安定したのか、それにより不安が少し取れたのか、全体的に安定していきました。

 

血管が細くなっていたため少し時間がかかりましたが、無事に採血、超音波検査を完了させることができました。

 

採血した感覚として、血液がサラサラしており、1週間ほど前の血液検査データではなかった貧血が起きていると判断できましたので、本日の処置として、皮下点滴の輸液量を当初20ml/kgで設定していたのですが、10ml/kgまで落とし、43mlとさせていただきました。

その中に、今の猫ちゃんの状況に適した8種類の注射薬(抗炎症剤や抗生剤、胃薬や吐き気止めなど)を混ぜて皮下点滴し、終了です。

 

処置が終わると、「終わったよ〜!ご飯出して〜!」と言わんばかりにお母さんたちに催促を始め、私たちの目の前でガツガツ食べている姿を見せてくれました。

 

検査結果は即日〜1週間程度で出揃いますので、都度そのデータとその時の体調に合わせた処置プランを組んでいきます。

 

次回の診察は翌日であり、予定としては翌日に皮下点滴指導を入れて、翌々日に再度指導と確認を行い、医薬品のお渡し、さらに2日後にフィードバックと状況確認のための往診としました。

 

3日間は集中的に往診することとなったため、お母さんもお姉さんも、最初のご挨拶の時の緊張した面持ちから変わり、優しい安堵の表情となりました。

 

そして最後に、すでに設置されていた家にある酸素発生装置の運用方法についてです。

 

初診時の酸素運用説明

機械の裏側をチェックすると、酸素流量を3L/分に設定すると酸素濃度80%の風が出てくると記載がありました。

 

酸素ハウスは横90cm×奥行60cm×高さ60cmと、俗にいうMサイズくらいでした。

 

当院では、酸素ハウス形状として、その中に犬猫を生活させながらトイレの処理や処置などを行うことを視野に入れて、より運用しやすいものを推奨しております。

 

ちなみによくあるアクリル板でできたかっこいいものは、確かにかっこいいことと、全面が透明なので閉塞感が少ないこと、そして酸素ハウスの上に物が置けるというのがメリットであると考えています。

 

酸素ハウスの比較.png

 

今回の運用では、3L/分の酸素流量でこのサイズの酸素ハウスを運用することは難しく、また猫ちゃんも酸素ハウスを自由に出入りさせてあげられるよう半分開きっぱなしにしていることもあり、せめて5L/分は必要であり、かつ5L/分で80%以上の酸素濃度が出るものでなければ、ほとんど意味がないです。

 

ハウスサイズは終の住処になることも視野に入れ、酸素ハウスの中にご飯やトイレ、寝床を設置することも考えれば、このサイズの猫ちゃんであれば最適であると考えます。

 

変更および追加点は以下です。

・酸素発生装置を1台追加(5L/分の酸素流量で80%以上を確保できるもの)

・ボンベ設置(10L/分でほぼ100%を確保できるもの)

 

酸素関連機器が届くまでの間は今ある酸素発生装置の8L/分(45%以上)で酸素ハウス内に噴射し、呼吸が苦しそうになったら、3L/分(80%以上)に切り替えて鼻先で嗅がせてあげるというプランにしました。

 

状態も安定しているため、翌日に届く酸素関連機器を待っていられると判断したため、上記のようなプランとしましたが、もし厳しいと判断した場合には、わんにゃん保健室の方で酸素発生装置(10L/分、80%以上)を準備しています。

 

すぐに準備しない理由は、音の問題です。(結構うるさいんです。。。)

猫ちゃんにとって、あまりうるさい音はストレスになってしまいますので、耳がかなり遠くなっている場合を除き、基本は別会社の酸素発生装置を依頼設置していただいております。

(・・・東京都内は設置可能で、おそらく近郊までは、、、という予想です。予想だけですみません。)

 

以上で初診が終了です。

 

入室から退室までで、この日はおおよそ2時間でした。1時間は初回問診、30分が処置時間、30分が今日から明日にかけてのお話と今後想定されるタラレバと対策でした。

 

今回のまとめ

今回は、犬猫の往診でのターミナルケアにおける初診の雰囲気を伝えられるよう、実際の症例を使ってご説明させていただきました。

 

命の現場には、緊張感はつきものであり、時としてその場で見送ることもあります。

 

だからこそ、ご家族様の言葉に誠意を持って耳を傾けることと、先入観を一旦外す努力が重要です。

 

そうすることで、ご家族様の求めている最後の形を想像でき、医療面及び生活面でアドバイスを交えて方針決定が行えます。

 

次回は、急変時はどうすべきなのかの意思決定について書かせていただきます。

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犬猫にも同様に癌(がん)はあります。

 

人と同じように、癌と言っても一つではなく、良性腫瘍悪性腫瘍があります。

 

もっと早く検査していれば、早期治療ができたのにと思ってしまい、自身を傷つけがちですが、犬猫の場合は人間とは違い、そもそも治療を受けることが嫌いですので、愛犬・愛猫がどんな性格なのか、どこまでなら耐えてくれるのかなど、精神面も考えてあげなければいけません。

 

ただ理解しなければいけないことは、もしその腫瘍が悪性であれば、近い未来にお別れの日が訪れます。

 

その日がいつなのかは誰もわかりませんが、教科書や文献などのデータを参考にした余命(中央生存期間)をお伝えすることは可能です。

 

腫瘍に対する攻めた治療方法に、化学療法(抗がん剤)、腫瘍外科、放射線があり、最近では分子標的薬を用いた治療も適応であれば選択することができます。

 

腫瘍と診断された段階で、今後のことを事前に話し合っておく必要があります。

 

かかりつけの獣医師とご家族様で、何をどこまでやって、どんな副反応が出るまでは攻めた治療を続けるということ。

 

23245788.png

 

 

 

そして、もし抗がん剤治療などをやめて緩和ケアを実施したいとした場合に、どこに相談すべきなのか、または、かかりつけの動物病院が最後まで、在宅での治療も含めて支えてくれるのかなど、事細かに相談しておきましょう。

 

いざその時になると、気が動転してしまい、不安によって感情が先行してしまうことが予想されますので、冷静でいられるうちにある程度相談しておきのがおすすめです。

 

抗がん剤などの治療の一切を止める判断をするタイミングは、多くの例で投薬後にぐったりしてしまい、もう通院させることすら厳しいと判断した場合です。

 

昨日までは調子も良く頑張っていられたが、今朝になり急にぐったりとしてしまった、ということは容易に起こります。これが、【攻めた治療(抗がん剤治療など)を選ぶ】ということです。

 

ぐったりしてしまったことをきっかけに、もし往診を呼べる地域であれば、在宅緩和ケアに移行していきます。

 

緩和ケアにはいろんな形があり、ご家族様がどうしたいのか、それはそもそも実施可能なのか、犬猫の具合はどの程度まで下がっているのか、などはもちろんのこと、ご飯についてや温度や湿度、床の性状や物の高さや位置などの生活環境を、事細かに考えていきます。

 

緩和ケアを見据えた時には、これらに関しても担当の獣医師に相談しておくべきです。

 

もしかかりつけの動物病院だと緩和ケアはできないとされ、「内服薬だけを渡すので家で飲ませてあげ、ゆっくりと看取ってください」とされた場合には、すぐに往診専門動物病院に連絡するようにしましょう。

 

 

おそらくこの段階まで状態が下がった犬猫に対して、内服薬を飲ませることは叶わないと思っていた方がいいです。

 

ここの段階で突き放されてしまうというケースが多くあり、もしそうなってしまった場合には、諦める前に必ずお近くの往診専門動物病院まで連絡するようにしてください。

 

今回は、鼻腔内腫瘍を発症し、最初は通院できていたが急に状態が下がってしまい、家にある酸素室から出られなくなってしまったため、2022年8月19日から往診に急遽切り替え、在宅にて家族の見守る中、2022年9月8日に旅立った猫ちゃん(14歳7ヶ月)のお話です。

 

できることはもうないと諦めてしまう前に、まずは往診専門動物病院にご相談ください。

 

東京近郊であれば、私たち、往診専門動物病院わんにゃん保健室が、みんなの力になります。

 

疲れた猫.jpg

 

予約までの経緯

2022年2月頃に咳とくしゃみがはじまったとのことでした。

 

かかりつけの動物病院では怒ってしまうためX線検査ができず、とりあえず抗生剤を2週間ほど処方され一旦症状が治ったとのことでした。

 

その後もちょくちょく咳とくしゃみ継続していたのですが、そこまで症状がひどくならなかったので様子見としていたとのことでした。

 

徐々に粘り気のある鼻水や鼻血が出るようになり、7月3日に咳、くしゃみ、鼻血、吐血(少量)を認め、かかりつけが休診だったことから別の動物病院に通院したところ、そのまま入院となり、X線検査で左鼻の異常を認めたとのことでした。

 

麻酔をかけての精査を勧められたのですが、もっと元気になってからにしてほしいと伝え、4日間の入院を経て、無事退院することができました。

 

帰宅後には元気食欲があり、これで安心だと思っていたとのことでした。

 

退院から2週間後の7月21日に頻回嘔吐を認め、再度通院で点滴処置をしてもらい、また状態は安定したのですが、8月1日に鼻出血と呼吸促迫から入院となってしまいました。

 

入院中の8月4日にCT検査を行い、左鼻腔内腺癌が発見されました。

 

8月6日の退院と同時に酸素室をレンタルし、呼吸状態が悪い時だけ酸素室に入れてあげていたとのことでした。

 

その後も通院を予定していたのですが、8月15日の段階で重度の呼吸促迫と咳が出てしまい、もう通院できないと考え、往診を希望されました。

 

この経緯の中にも、本当であればかかりつけの動物病院で、担当の獣医師の指示のもと、最後まで一緒に歩いていけたら一番いいと考えていますが、通常の動物病院の運営上、多くの場合に、それは叶いません。

 

緩和ケアを希望された時点から、もしかしたら転院するかもしれないことを頭の片隅に置いておきましょう。

 

次回は、この猫ちゃんの往診で起きた実際のストーリーについて書いていきます。

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猫ちゃんの多くが、動物病院に通院することが苦手です。

 

通院させると異常に興奮してしまい、極度のストレスに失禁や脱糞をしてしまったり、診察室では恐怖のあまり威嚇してしまうなどの豹変ぶりを見せたり、帰宅すると隠れてしまったりと、通院するだけでぐったりしてしまうということを多く見受けます。

 

猫ちゃんが通院できないのは、決してご家族様のせいではなく、それは猫ちゃん自身が選んだことですので、あまり気負わないようにしましょう。

 

そんなこんなで年月が経ち、いつもなら数日で体調が戻っていたはずなのに、それどころか徐々に悪化してしまっているような時期が訪れます。

 

そこでご家族様には選択肢ができ、満を辞して通院させるべきなのか、このまま看取っていくべきなのか、または往診を呼ぶべきなのか。

 

今回は、東京港区のご実家で暮らす19歳6ヶ月の猫ちゃんの在宅緩和ケアのお話です。

 

今回のケースでは、ご実家にいるご高齢のお母さんと息子さん、近くにいるお孫さんと協力して在宅医療プランを組み、2022年11月9日から4日間の連続往診を終え、11月12日から内服と食餌介助のプランを開始しています。

 

今後往診による在宅医療をご検討のご家族様、その日の参考にご一読ください^^

 

1枚目.jpg

 

 

初診予約時

今回は、すでに当院で在宅医療を実施中の猫ちゃんと暮らしているお孫さんからご予約いただき、内容としては『実家にいる猫ちゃんの具合が悪いので往診をお願いしたい』とのことでした。

 

ここ最近急激に増えてきた事案として、「住んでいる場所は違うが、実家にいる犬猫の体調が悪く、また通院させることができないため、ご実家への往診してほしい」、というものです。

 

人間の方では、そういったサービスが拡大されているようですが、ペット業界ではまだまだ発展途上なため、こういったケースは以下のようなプランがおすすめかと思います。

1. 往診専門動物病院に依頼し、かかりつけ動物病院として現状を把握してもらう

2. 訪問サービスでペットの介助をしてくれる業者を選定する

3. 訪問サービス業者がどんなことをすべきかを往診専門動物病院から指示してもらう

 

今回のケースでは、お孫さんもご実家から比較的近くに住まれていたため、診察に立ち会っていただくことが可能だったので、スムーズに診療予約を確定できました。

 

もしこういったケースで遠方からのご依頼だった場合には、実際の診療に立ち会うことが物理的に難しいと思われます。

しかし、ご依頼される方と、実際にペットと生活しているご家族様の意見が異なってしまうと、お伺いしても何もできないという場合が発生してしまうことがあります。

ご依頼いただく時には、必ず意見の擦り合わせはできているのかをご確認させていただきますので、もしその時点でまだの場合には、何について決めておかなければいけないのかをご案内させていただきます。

意思決定ができる人間の数ほど意見がありますので、難しい場合には、診察に立ち会っていただくことをお勧めします。

私たちがお伺いして状況・状態を整理し、何がどこまで可能なのかを明確にした上で選択肢を挙げさせていただきます。

 

2枚目.jpg

 

初診(2022年11月9日)

子猫との時からの慢性鼻炎と便秘持ちで、現在は耳が聞こえてないとのことでした。

お会いすると、ベッドの上でぐったりとした猫ちゃんが静かに伏せして待っていてくれました。

 

普段は人見知りなのか、おそらく知らない人が来たら真っ先に隠れてしまうはずなのですが、それだけ具合が悪かったということと思います。

 

かかりつけの動物病院から処方された内服薬は、ちゃんと飲ませられていることに驚きました。

 

それであれば、もし押さえられたり針刺が苦手だった場合にも、内服薬でのコントロールを選択肢として挙げられるかもしれないと思われました。

 

お母さんのお気持ちとしては、検査はストレスが大きいので、検査なしで今の症状を楽にすることを望まれましたが、この背景には、まだ若くて元気だった頃に検査ですごく抵抗していて可哀想だった記憶がありました。

 

お孫さんとも相談し、長年検査をしていなかったことと、やはり今の状況を把握する方が対策を打てる可能性が高いことから、やはり検査をすることで話を進めさせていただきました。

 

もし猫ちゃんが嫌がって取り乱すことがあれば、その場で検査をすることを中止することとし、お母さんにどうにか承諾を得て、血液検査、超音波検査を実施しました。

 

想定していた通り、既に血圧も低くなっていたこともあり、ほぼ嫌がらずに検査を受けてくれました。

 

お母さんも、その姿に安心してくれました。

 

最後に皮下点滴を行い、この日は終了です。

 

初診日、翌日、翌々日と診察を行い、4日目に状況を整理してプランニングをしていくこととなりました。

 

 

再診(2022年11月10日)

昨日よりは状態も上がり、朝は猫ちゃん自らご飯を少しだけ食べてくれたとのことでした。

 

この時点で確認できた血液検査結果より、慢性腎臓病のステージ4急性〜慢性膵炎の2つを検出しました。

 

本来であれば、毎日皮下点滴を実施してもらいたいため、皮下点滴トレーニングをご家族様にしっかりと入れ、家の中でご家族様だけで実施できる環境づくりを行う状況です。

 

しかし、ご家族様の希望もあり、連続往診による皮下点滴処置後は、内服で余生を過ごさせてあげることとなりました。

 

わんにゃん保健室の在宅医療プランは、決して攻めた医療内容ではなく、愛犬、愛猫の余生を少しでも楽に過ごさせてあげるためのプランです。

ご家族様の望む最後の時間の過ごさせ方を、医療の面から、家の中でサポートさせていただきます。

 

少し元気が出てくると、この猫ちゃんらしさが徐々に出てきて、処置中にもイヤイヤモード全開でした。

 

 

連続往診4日目(2022年11月12日)

ご家族様がシリンジを用いた食事介助や投薬ができるという環境でしたので、連続往診を終え状況が把握できた後は、内服と食餌介助でのコントロールとしました。

 

ただ、状態がグッと上がってきたわけではなく、初診時よりは少し上がったものの、まだまだ予断を許さない状況であることをお伝えし、また内服薬がなくなる1ヶ月後くらいを目処にご予約をいただくこととしました。

 

内服薬は全部で6種類です。

 

頑張っていきましょう!

3枚目.jpg

 

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実家の猫ちゃんは腎臓病(東京北区/猫往診)

もともとは一緒にご実家で住んでいましたが、ライフステージの変化に伴い、実家を離れるといいうこと多くあるケースです。

 

今回の猫ちゃんは、娘さんがアメリカに引っ越され、ご実家には高齢のご両親と猫ちゃんがいるという環境で、実家にいる猫ちゃんの健康状態管理をご依頼されたケースのご紹介です。

 

猫ちゃんは現在16歳10ヶ月で、高齢のお母さん、お父さんと日々のんびりと過ごせています。

 

腎臓病ステージ3で、1日2回のシロップ投薬を頑張っています。

 

往診での血液検査と超音波検査は1ヶ月に1回程度、2週間おきに内服薬シロップの交換補充です。

 

それでは症例紹介に入ります。

 

逆光モコちゃん.png

 

予約から初診までの流れ

基本はアメリカに住まれている娘さんからご依頼を受け、通院が猫ちゃんにとって負担であることと、今後通院させる側の人間(ご両親)にとっても通院は厳しいという理由から、往診での管理をお願いされました。

 

おそらく今後はお母さんが基本的に診察に立ち会うこともあり、診療報告や治療プラン、医薬品の説明なども全てメールにて共有させていただくこととしました。

 

また、メールに決済フォームをお送りし、そこから決済可能ですので、遠方の地にいらしたとしても、ご実家にいる猫ちゃんの診療時における状況報告を共有できるようにしました。

 

そして、まだ最後の方針という段階では全くないですが、以前一緒に住んでいた猫ちゃんの経験から、外科や抗がん剤などの攻めた医療は望まなず、穏やかに家の中で過ごさせてあげたいという方針を受けました。

 

 

初診時の診療内容

初診時には、今の状態を把握するために検査を行います。

 

検査方法として用いる基本的な手技は、血液検査と超音波検査です。

 

爪切りは毎回実施することとし、初診は終了です。

 

往診では、X線検査を実施することが難しいため、X線検査は実施しませんが、もし通院可能な場合には、X線検査もお勧めします。

備えあれば憂いなし。定期健診は大切です^^

 

 

再診(検査結果説明と方針決定)

血液検査結果の説明と今後の方針を決めていきます。

 

腎臓が少し悪くなっていることが見つかり、内服薬の開始相談です。

 

シロップ剤.jpg

 

1回に投与する薬の量は、全部1錠という簡単なものではなく、体重あたりで計算するため、物によっては分割使用する必要があります。

 

今回処方する薬は動物薬で揃えられたため、1錠そのままのものと、1/2錠に分割して使用してもらうものでしたので、分割する上では比較的簡単なものでしたが、お母さんからすれば難しい課題となる可能性もありました。

 

そのため、お姉さんが日本にいる間に、次に帰国するまでの量を分割しておくか、処方時に私たちの方で分割するか、またはお母さんに頑張ってもらうかの選択肢がありましたが、お母さんに頑張っていただけることとなりました。

 

分割し1回量を準備していただき、乳鉢で粉砕し、それをウェットフードにかけて与えてもらうこととしました。

 

 

投薬プランの変化

腎臓病は進行性の病気であり、早期発見・早期対策が重要です。

 

早期に対策をすることで、腎臓病の進行を抑えてあげられることが期待されます。

 

この猫ちゃんの場合には、腎臓病ステージ2で発見できましたので、比較的早くから内服などの対策を立てることができました。

 

慢性腎不全に罹患した猫の余命は約771日とされています。

なお、IRISステージ分類という専門的な分類方法があるのですが、それによると軽度の臨床症状がみられるステージ2bで約3年(中央値1151日)、重度の臨床症状がみられるステージ3で約2年(中央値778日)、集中治療が求められるステージ4では約3ヶ月(中央値103日)であったと報告されているようです。

とはいうものの、データ上の話であり、このデータが必ずしも愛猫に当てはまる訳ではないので、一つの目安として知っておく程度で十分であると考えています。

 

・・・しかし、ここで問題が2つ起こりました。

 

1. 医薬品のフレーバー問題

医薬品の多くは苦く、あまりにも飲ませづらいものには糖衣と言って、砂糖のようなものでコーティングが使用されています。

 

これらを分割して飲ませるのですら至難の技なのに、粉にしてしまうと、その苦さはご飯全体に広がってしまいます。

 

今回は動物薬ということである程度、犬猫への投薬特有の問題をカバーできるような作りではあったのですが、逆に動物役特有の問題であるフレーバーで、こちらの猫ちゃんはダメだったようです。

 

同じ医薬品でも製剤が変わればその味や形などは変わるため、飲めなかった猫ちゃんが飲めるようになったということも起こり得ます。

 

しかし、ここで重要なのは動物薬の多くは若干フレーバーがあるということです。

 

今回は、腎臓病で使用する医薬品を人薬のOD錠(口腔内徐放剤)にすることで、味の問題を解決することができました。

 

 

2. 分割して粉砕することが難しい

分割まではまだしも、粉砕するときは上から押し砕く必要があるため、上から下に向かった力を込めなければいけません。

 

何気ない日常での投薬指導では、きっとこの問題に気づけなかったと思います。

 

ご高齢のお母さんが猫ちゃんの看病を家の中で実施していくということを常に考えた上で、投薬プランを再度検討させていただきました。

 

そして、ここでご提案させていただいたのはシロップにして飲ませる方法です。

 

ただ、通常ですと、投薬したい医薬品達を必要量粉砕し投薬便に移し、1回量を0.3mlに作成できるよう指示書を書いてお渡しします。

 

なお、投薬便には5ml〜100mlのサイズがあるので、適宜使い分けます。

 

しかし、スポイトとして使用するシリンジ(針がついていない注射器)ですが、これまた一定のところまで吸い上げるのが細かい作業となってしまうため、小さい数字が難なく見える世代でないと難しいです。

 

今回は、1回に使用するシロップを吸った状態で、朝用シロップ、夜用シロップ、というように1回1回シリンジを使い捨てできるような投薬タイプで処方させていただきました。

 

この方法であれば、ご高齢のお母さんでも問題なく実施することができ、現在も同じ方法で投薬していただいています。

 

このように、ご自宅に上がることで見えなかった問題点が見える化でき、より継続しやすい方法をご提案することができます。これは往診専門動物病院の強みですね!

 

モコちゃん(窓際全身).jpg

 

まとめ

診療の形式により、通院ができるわんちゃん、猫ちゃんに対しては動物病院への通院が推奨されますが、通院を苦手とする場合には、往診という選択肢があります。

 

往診では、ご家族様が実際に生活している環境を生の目で見ることができるため、診察室での診療方針決定や指導よりも、よりこの猫ちゃんに特化した診療プランを組むことができます。

 

診療プランには、もちろんわんちゃん、猫ちゃんの病気に対する検査や処方などが含まれていますが、往診ではご家族様の行動プランも一緒に含めて考えていきます。

 

「1日2回の投薬が難しいのであれば、1日1回の投薬で済む処方内容を組んでいく。」

 

「錠剤は飲まめないのであれば、粉にしてウェットフードと混ぜましょう。」

「ウェットが好きじゃなくドライフード派であれば、シロップにしてドライフードにかけましょう。その時、ドライの食感を無くさないために、できるだけ少ない量のシロップに全部溶かせるように、計算させていただきます。」

 

「どんな形状でも内服が難しいのであれば、注射薬での投薬プランを組みましょう。複数種類あるのであれば皮下点滴として、打てるようになるまで一緒にトレーニングしていきましょう!」

 

「ご家族様での注射が難しいようであれば、私たち往診専門動物病院わんにゃん保健室で注射プランを組んでお伺いさせていただきますね!」

 

他にも呼吸状態が苦しくなった場合の酸素環境の構築や、介護が必要になった場合のマインドセットや実技的な内容を含めた指導など、その子その子にオリジナル性ある診療プランを作成していきます。

 

わんちゃん、猫ちゃんの通院でお困りの方は、都内であれば当院までご連絡ださい。また、都外であっても近隣地区であればご相談の上、お伺いさせていただけますので、諦めずにまずはご連絡ください^^

 

公式インスタグラム

当院では、インスタグラムにて診療の雰囲気がわかるものや、院長江本の犬猫の在宅緩和ケア専門としての目線からのメッセージなどをお送りしています。

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犬猫にも糖尿病があるのをご存知でしょうか?

 

わんちゃん、猫ちゃんたちにも私たち人間と同様、糖尿病が存在します。

 

糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があり、犬は1型、猫と人は2型が多いとされています。

(※詳しい病態や座学的な箇所は、web上でたくさん情報が落ちているため割愛します。)

 

本ブログでは、糖尿病を発症した猫ちゃんが、早期発見早期治療によってインスリン投与生活から離脱できたため、症例報告として書かせていただこうと思います。

 

猫ちゃんが糖尿病を発症すると、以下のような症状が現れます。

 

☑️飲水量が増える(多飲)

☑️尿量が増える(多尿)

☑️食欲不振

☑️元気消失

☑️嘔吐

☑️毛艶が悪くなる

☑️削痩(痩せてきた)

☑️尿の臭いがなんか変

 

ご自宅にいる猫ちゃんで、あれ?なんか変だな?と思う箇所が上記に当てはまるのであれば、かかりつけの獣医師に相談するようにしましょう。

もし通院が難しく、かかりつけの動物病院がない場合には、往診専門動物病院まで相談し、指示を仰ぐようにしましょう。

 

 

糖尿病を発症した経緯

今回の猫ちゃんは、特発性膀胱炎を持病としていました。

 

猫ちゃんの膀胱炎というと、結石性膀胱炎細菌性膀胱炎、そして原因不明の特発性膀胱炎に分類されます。

 

特発性というのは調べたけど原因不明である、という意味です。

 

この場合は、ストレス性を疑うものの、原因は特定されませんので、対症療法のみを行って症状のコントロールを行っていきます。

 

この猫ちゃんは特発性膀胱炎を繰り返しており、処置すると症状が治るため、毎回同じ処置を繰り返していました。

 

本来は1日1回〜2回の内服薬でコントロールするのが一番いいのですが、とはいえ内服が苦手な猫ちゃんに対して毎日投薬することはとても難しく、ストレスがどんどん蓄積されてしまい、もしこの特発性膀胱炎の原因がストレスであればもっと悪化していく可能性も疑われました。

 

そのため、膀胱炎の症状が認められる度に、2週間の効果を期待できる注射薬を使用して、毎日処置するストレスをなくすことで調子を保てていました。

 

そんな中で、2022年1月末に異変が起き、糖尿病を発症していることが発覚しました。

 

糖尿病に気づくきっかけ

2022年1月末の定期検診の時に、「そういえば最近尿がベタつく」という主訴を受け、まさかと思い検査をしたところ、糖尿病を発症していることが発覚しました。

 

尿検査でケトンが検出されなかった(陰性)ことが救いです。

 

〜余談〜

糖尿病であれば、そのコントロールをどうするかについて経時的な変化を見つつ相談していく猶予がありますが、もしケトンが検出された場合には糖尿病性ケトアシドーシスを発症していることを疑い、致命的な結末も想定した入院管理が必須となり、24時間の集中治療を行います。

その場合には、できれば24時間管理ができるだけの規模の動物病院に入院させるのがおすすめですが、もし難しい場合に、夜間はケージで一人になることを受け入れなければいけません。

なお、在宅で管理できますか?、と質問を受けることがありますが、入院治療と比べて細かく1日に何度も検査ができないことから、コントロールが十分にできず、致命率は大幅に上がってしまうことを懸念し、もし回復を望むのであれば入院を推奨します。

なお、もうぐったりしていて、動物病院の中で1人旅立つのは絶対に嫌だとされる場合には、そのまま在宅で看取りを見据えた緩和ケアおよびターミナルケアに移行することもありました。

 

データが揃うのを待ち、2022年2月3日から、インスリン治療を開始しました。

 

血糖値の変化を知る方法

ここで、血糖値の変化について在宅医療ではどのように把握していくのかについて書かせていただきます。

 

皆さんは「Free Style Libre」をご存知でしょうか?皮膚に装着させることで、長期にわたって血糖値の変化をアプリで見ることができる優れものです。

 

人の医療では多用されているもので、ここ数年で動物医療にも使用されてきています。

 

img-index-01.jpg

 

装着させながら血糖値の変化を把握しつつ、尿検査も実施していただき、尿糖の状態、ケトン検出の有無を評価していただきました。

 

糖尿病のコントロールを把握するための表を作成し、ご家族様に測定していただいたものを毎日共有していただき、データの変化によってインスリン投与量を変化させてコントロールしていきました。

 

〜余談〜

Free Style Libreは、体表に装着させるため、設置面がそこまでルーズではなく、かつ設置面の広さを担保できる個体には有用かもしれませんが、結果としては参考値程度で3回の装着の後に、使用しなくなりました。

1回目は6日間程度データを取ることができ、2回目、3回目は4日程度で、商品に記載のある14日間有効というのは、「人の場合であり、ペットでは個体差あり」と認識させられました。

とはいえ、通常の動物病院で行うインスリン投与量決定前の日内入院による血糖効果曲線作成のための複数回の採血よりも、ストレスのない在宅中での正常時血糖を測定する方が有用であると考えているため、今後も初期検査方法の一つとして使用していこうと考えています。

 

基本プラン設定から離脱まで

 

基本的なプランは以下です。

 

☑️毎日の給餌時間と食事量(%)を主観で記載してもらう

☑️毎日のインスリン投与時間と投与量を記載してもらう

☑️トイレに溜まった尿で朝と夜に尿検査を実施してもらう

☑️毎日データを共有してもらう

☑️2週間に1回の往診で血液検査スクリーニング+長期血糖測定を実施する

 

基本的なプランと書きましたが、このプランもご家族様と相談し、何ができて何ができないかを明確にすることから、プラン決定に入ります。無理のない範囲で、かつちょっとだけ頑張ってもらうくらいがちょうどいいかと、個人的には考えています。

 

この方法で、インスリン投与量を徐々に増加させて4Uまで増加し、0.5Uずつ1週間〜2週間程度かけて下げていきました。

2022年2月3日から開始したインスリン療法は、ご家族様と猫ちゃんの協力により、2022年7月12日に完全離脱を成功し、今では食事療法のみでコントロールできています。

 

まとめ

猫ちゃんの糖尿病は、早期発見、早期治療でインスリン生活から離脱できるかもしれません。

もしすでに糖尿病が進行していて、ケトン尿が出てしまっている場合には、どうしても入院させたくない場合を除いて、治療を望むのであれば、可能な限り入院での集中管理を選ぶべきです。

とはいえ、もし糖尿病のサイン(多飲、多尿、尿の臭いの変化など)を感じた場合に、通院が苦手なわんちゃん・猫ちゃんであれば、早めに往診専門動物病院まで相談するようにしましょう。

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腎不全(ここでは腎臓病の全てを“腎不全”と記載します)を抱えると、多飲多尿という飲水量の増加やおしっこの量が増えたというもの、食欲不振などの他にも、ふらつきのような、歩きづらいような、という運動器症状を示します。

 

なんとなく後肢がうまく支えていないというか、後ろ足が突っ張ったままで竹馬のような歩き方をしているとか、立っているだけで後ろ足が開いてしまうなど、その症状はバラバラです。

 

今回ご紹介するのは、後肢破行(後ろ足をひきづる)を主訴に診察した高齢猫ちゃんです。血液検査結果で腎不全(腎臓病)が発覚し、投薬生活を続け、今も元気食欲満載でソファーに飛び乗る元気を持ち合わせた、タロウくんのお話です。

 

吉田タロウくん①.jpg

 

往診依頼のきっかけ

往診を依頼するきっかけになった症状は、5年前くらいから続く口を気にする様子と、3年前からの左後肢破行とその進行です。

口に関しては、最初は壁に擦り付ける程度だったが、だんだんと手で口元をかいてしまい、激しい時には手に膿のような時もあるとのことでした。

左後肢破行は3年くらい前からでしたが、最近はフローリングだと踏ん張れなくて、足が開いてしまうとのことでした。

 

往診当日の様子

元気食欲は大きく下がっているわけではなく、年相応に寝ている時間は多いが、いまだにソファーに飛び乗っているとのことでした。

便はやや硬めで、頻度も2日に1回程度。尿に関しては、ベランダとお部屋の中にトイレのがあり、紙タイプのトイレを使用しているため色はわからないが、特段尿量が増えた印象はないとのことでした。

お水も飲んではいるが、こちらも特段多くなっている印象はないとのことでした。

嘔吐もなく、呼吸状態も安定しており、飲水時にむせることはあるが、基本的には咳はしないとのことでした。

 

既往歴

18年ほど前(2004年頃)にトイレに行くが出ないという症状があって通院させたところ、尿石症と診断されたとのこと。

 

これらの状況を踏まえ、血液検査と超音波検査を実施したました。

 

吉田タロウくん②.jpg

 

検査が始まると、太い大きな声で「ギャーッ!!」と物申し続け、これだけ声が出せる姿を見て、安心して検査を行えました。

高齢犬、高齢猫のほとんどが関節になんらかの疾患を持っていることが多いため、あまり関節を伸ばさないよう注意しながら保定しました。

 

「よく簡単に押さえられますね!私には無理でした…。」

とお声かけいただくのですが、保定技術は何年もかけて習得していくものですので、ご家族様ができなくても気になさらないでください。また、高齢の猫ちゃんでは心臓や血圧、肺の状態などにも異常がある可能性もあり、極力酸素化させながら、苦しくないように検査をするようにしています。

 

タロウちゃんの診察雰囲気は、当院公式instagramに動画投稿してありますので、是非見てみてください^^

 

血液検査結果では、BUN 59.5mg/dl、CRE 4.01mg/dl、SDM A 17pmol/L、SpecfPL 9.1μg/Lと検出され、慢性膵炎持ちであることと、腎不全があることが発覚しました。

 

超音波検査では、胃から十二指腸にかけての食滞、膀胱内の浮遊物、胆嚢の1/3程度を占める胆泥貯留、左右腎臓の血流低下と左腎の腎嚢胞を検出しました。

 

これらの検査結果から、複数の治療プランをご提案させていただき、いよいよ処方プランのスタートです。

 

ここで最大のポイントとなるのは、タロウくんが“何なら飲んでくれるのか”です。

 

往診では、飲めなかったらまたご連絡ください、などと悠長なことは言っていられず、これが飲めなければこっちを飲んでください。そしてこれがダメならこっちを…というように、たらればをいくつも想定して行かなければいけません。

 

そんなこんなを乗り越え、現在は腎臓の薬を2種類、便通を良くしてあげる薬を1種類、口の痛みに対する頓服薬を1種類とさせていただいています。

 

次回は6週間後に往診でお伺いし、経過観察と定期検査を実施していきます。

 

また頑張ろうね!

 

吉田タロウくん③.jpg

 

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東京台東区の動物病院 わんにゃん保健室です。

「腎臓病の猫ちゃんの看取りを知る」の5回目の記事です。
ターミナルケアの時期に入った場合、飼い主の皆様が愛するペットの最期をどのように看取るのかを考えなければなりません。

わんにゃん保健室では、ペットの安心や安全は勿論ですが、飼い主様の心に寄り添う診療を行いたいと考えています。
つらい病状で、見ていることが苦しくなる場面もあるかもしれません。
懸命に生きるわんちゃん・ねこちゃんに、飼い主様ができることを一緒に考えていきましょう。

 

 

病気が進行し、いよいよお別れが視野に入ってきた頃になると、今までのようにご飯をいっぱい食べたり、お散歩に行けなくなったりするどころか、家の中を自由に動き回ることすらままならなくなり、トイレだって間に合わずに粗相をしてしまうようになります。

 

・大好きだったご飯も食べられないのに、このまま長らえても、本当にこの子にとって幸せなのか。

・治療しても良くならないのであれば...もう何もしないで自然のまま旅立たせてあげたい。

・いっそ安楽死だって考えたい...

・でも、お別れはしたくない。もっと一緒にいたい。寂しい...

 

人間は矛盾した感情を持ち合わせた、一番複雑な動物なんだと思います。

 

だからこそ、悩んで苦しんで当たり前です。

 

お別れを視野に入れたプランを、私たちはターミナルケアと呼んでいます。

 

このステージになると、家族としてよりももっと小さい単位である、家族一人一人の「あなたはどうしたいのか」について、直球で考えてもらうこととなります。

そして、最終的には、家族としての方針を固めていきます。

ターミナルケア①.png

 

 

食卓を囲んで和気藹々とはいかないと思いますが、大切な家族の最後についての方針決めなので、必ず1度立ち止まって、みんなで向き合う機会をとってもらうことを強くお勧めします。

 

マインドセットをするということ

元気な時ではなく、もう病気は治らないとされ、残りの時間が後わずかである時、看取りを見据えたターミナルケアに入ります。

 

最後の日まで緩やかに下がっていき、ロウソクの火が消えるように、最後は苦しむことなくスッと旅立ってほしいと願うものです。

 

しかし、見取りはそんなに甘くなく、たった1時間の間ですら状態が急激に状態が下がることもあり、そのまま下がっていくのかと思いきや、また持ち直し、また下がる、を繰り返します。

 

もうこのまま眠っていいんだよって何度も声をかけても、まだ生きたい意志があるならば、きっとまた意識を戻してくるかもしれません。

 

ご家族様は肉体的にも精神的にも疲弊していき、もしかすると正常な判断ができなくなっているかもしれません。

 

それが、「看取りを視野に入れたターミナルケア」を実施するということです。

 

Q.急変しますか?

A.急激に状態が下がることはあると思います。

 

 

Q.急変したどうしたらいいでしょうか?

 

この質問を決めるのが、1つ目の課題です。

 

延命という言葉について、皆さんはどうお考えでしょうか?

 

言葉の定義などはさておき、この言葉について、あなた自身の答えを出さなければいけません。

 

現在の獣医療では、人間の救急車のようなものは存在しないため、状態がグッと下がった時には、この子を抱いて救急対応をしている動物病院へ駆け込まなければいけません。

 

そして、もしそれが夜間であれば、夜間救急を対応している動物病院になることでしょう。

 

この場合、夜間救急で命を繋ぎ、昼間の動物病院で状態を安定させ、退院できるのを待つ、という流れです。

 

これは、延命でしょうか?

 

事故とか、急性の病気・病状であれば、この道筋を描くことで、また一緒に暮らせるようになるかもしれませんので、できることなら連れていきましょう。

 

ただ、ターミナルケアでは、「そのまま家で看取る」という選択肢が並行してあります。

 

もし命がつながっても、また状態が急激に下がります。

 

そしてまた入院させるのでしょうか?

 

ターミナルケアの時期に入ったのであれば、私個人の経験上、ほとんどのご家族様が延命を希望されません。

 

「もう十分頑張ったし、十分幸せな時間をくれました。だから、このまま家で看取ってあげたいです。」

 

つい先日、ターミナルケアを実施しているご家族様からの言葉です。

 

 

Q.延命しない場合、何もしないで見ているしかできないのでしょうか?

 

これが2つ目です。

 

家で看取ることを選択されたとしても、今後起こると想定される症状に対して使える頓服薬をご自宅に準備していきます。

 

どんな症状があった時に、それをどのように解釈し、どの薬を、どの量で、どの方法で投与するのか、その間隔はどのくらいは最低でも開けなければいけないのか、などを細かく指導させていただきます。

 

 

その症状については、きっと参考になる写真や動画などをインターネット上から見つけることができると思いますが、この時の心境であったり、またそれが自分の子だったりすると、冷静さを失うほどの恐怖を感じると思います。

 

しかし、その場にはきっとあなたしかいません。

 

いかに冷静に対処できるかが求められるため、全てをシンプルに、そしてご理解いただけるまで説明させていただきます。

 

 

Q.ご飯を食べなくなったらどうしたらいいですか?

 

必ずぶつかる3つ目の課題です。

 

何は最後の最後までご飯を食べてくれる食欲旺盛な子もいますが、ほとんどの子で段々とご飯が食べられなくなります。その姿をみて、とても辛い気持ちになると思います。

 

この段階での食事の摂らせ方として、強制給餌や鼻カテーテル設置という方法もありますが、もう無理に食べさせない、という選択肢もあります。

 

強制給餌をすると、間違いなく嫌われます。長年築き上げてきた関係性が、一気に崩れるような気がして、少なくない数の飼い主様が、途中で断念しています。

 

ただ、食べなければ栄養価が下がってくることは事実なため、するべきなのか、食べないのであれば無理にあげる必要はないと判断するかは、ご家族様次第です。

 

ご家族様の意思決定に沿ったプランをご説明させていただきます。

 

 

Q.薬はいつまで飲ませるのでしょうか?

 

これが最後、4つ目です。

 

薬に関しては、可能な限り最後まで飲ませていただきたいと考えています。

 

最後とは、嚥下機能がなくなるとき、を表しています。

 

ただ、こちらもご家族様の意向を汲ませていただくため、まずは家族としての意見を伺わせていただきます。

 

 

・救急か看取りかの選択

・状態低下時の対応

・食欲廃絶時の対応

・投薬中止の判断

 

 

これら全部に対して、家族一人一人に考えていただき、そして家族として方針を決定していただきます。

 

これが、犬猫の在宅ターミナルケアにおけるマインドセットです。

 

もちろんこれで全てではないのですが、大きなポイントであるこの4点を、ターミナルケアだけでなく、緊急事態に備えて、是非日常生活においても話し合っておくことをお勧めします。

 

ターミナルケア②.png

 

 

今回、こちらのご家族様は、以下のような選択となりました。

・状態急変時は、動かしてさらに苦しい思いをさせたくないので、このまま家で看取る。

・強直性発作に対してのみ発作止めを使用する。

・嚥下ができるうちは内服薬のシロップを継続させる。

・ご飯を食べないのであれば、それは本人の選択として捉え、強制給餌はしない。

・皮下点滴による投薬は、最後まで行う。

 

 

以上、マインドセットでした。

 

次は、「看取りからお別れ、そしてご葬儀」です。

 

​猫の腎臓病についての解説ページ
猫の腎不全

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東京の往診専門、わんにゃん保健室です。
ペットの往診を専門としている動物病院となっており、病院嫌いのわんちゃん・ねこちゃんのご自宅へお伺いし医療を提供しています。

「腎臓病の猫ちゃんの看取りを知る」の4回目の記事となります。
当院では、腎臓病(腎不全)を抱えた猫ちゃんに対して、適切な治療を行います。

 

 

本日で連続お伺い3日目で、結果もある程度揃ってきたこともあり、今後の方針決定に入ります。

 

0201000537.png

 

初診日、昨日と処置を入れたこともあり、状態としては落ち着いているものの、やはり食欲は一口舐めた程度だったとのことでした。

シロップの薬は飲めたとのことでしたので、本日は皮下点滴指導を行い、明日からはお母さんたちだけで実施してもらいます。よく頑張りましたね^^

 

全部の結果が揃った段階で、病態を考慮すると痙攣発作を起こす可能性があることをお伝えしました。

 

腎臓病が進行すると、胃潰瘍腸潰瘍口内炎だったり高血圧に伴う網膜剥離だったりと考えることはたくさんあるのですが、その一つが尿毒症による痙攣発作です。

 

痙攣発作は、急に見られる症状なのですが、正直最初は気が動転するくらい焦ることと思われます。

猫ちゃんに腎臓病はつきものですので、痙攣発作の動画をYoutubeなどで事前に確認し、どのようなものなのかを知っておくことが重要です。

 

痙攣発作が起きた時の考え方、生活環境として取ることができる行動指針、実際の対処法などをお伝えさせていただます。

 

そして、少しでも、残された家時間を快適に過ごさせてあげるために、猫ちゃんの生活環境の改善策(床の工夫、トイレの高さ、ご飯皿など)など、アドバイスできることがあればできる限りさせていただきます。

 

今回のケースでは、内服薬を1種類のみシロップで1日1回投与、皮下点滴は状態に合わせた医薬品を混ぜ1日1回実施、1週間に1回の検査、発作止めは5回分お渡しし、使用したらご連絡をもらうこととしました。

 

最後に、とても重要なことです。

 

医療プランや生活環境の見直しなどの側面をお話ししてきましたが、実は同じくらい大切なことに、マインドセット(覚悟を決めること)があります。

次は、「延命と看取りを考える」「ターミナルケアを知る」の2つの視点から書かせていただきます。

 

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前回は腎臓病の猫ちゃんの「問い合わせから在宅医療の初診内容」を書かせていただきました。

初診当日は、今までの経緯をお伺いするのにおおよそ30分〜2時間程度と、通常の診療と比べて長く十分な時間をとって、今までの経緯をゆっくりと教えてください。

 

翌日の診療となる今日は、昨日採取した検体から暫定的に得られたデータをもとに診療内容を組んでいきます。

 

もちろん、ここでも問診は必須です。

 

問診猫.png

 

Q. 昨日から今日にかけて、元気さ(運動性)に変化はありましたか?

A. ふらつきが強くなってきたことが気になっていたのですが、昨日の点滴を打ってから2時間くらいしてゆっくり眠ってくれて、起きた時の足取りが、なんとなく軽くなっていたように感じました。

 

Q. 食欲はどうでしたか?

A. 昨日の夜、少しですが食べてくれました。もう食べれないと思っていたので涙が出るほど嬉しかったです。

 

Q. 排便・排尿はどうでしたか?

A. おしっこは変わらずよくしています。うんちは出ていません。

 

Q. 嘔吐はありましたか?

A. 吐き気止めを入れてもらったおかげで、久しぶりに丸1日吐いていません。

 

Q. 咳はありましたか?

A. なかったです。

 

最初の見立てと検査結果が一致していたというのもありますが、処置を入れるのが遅すぎない限り、最初の方は結構な確率で状態が上がってきてくれています。

 

この猫ちゃんも同様で、見立てから腎臓病が第一優先でしたので、処置内容が合致してとても嬉しかったです。

ここで、昨日行った検査結果の暫定的なものをご説明させていただきました。

 

高齢猫ちゃんの腎臓病といえば、往診では以下の項目をよく用います。

 

血液検査

・BUN(尿素窒素)

・CRE(クレアチニン)

・IP(リン)

・SDMA

・Na-K-Cl(電解質)

・血球計算(貧血の評価など)

 

腹部超音波検査

・腎臓の左右差、大きさ、血流など

 

この猫ちゃんの検査結果はBUN、CRE、IPが重度に高値であり、貧血も軽度に起こしていました。

 

電解質には、そこまでの大きな乱れはありませんでした。

 

尿検査ではタンパク尿が認められましたので、これらのことから、皮下点滴+内服薬の処方プランを立てていきます。

 

皮下点滴は今後ご自宅でお母さんたちにお願いすることも視野に入れ、ご自宅で実施可能かどうか伺ったところ、「やるしかないのでやります!」、と力強いお言葉をいただけました^^

 

家族だけでは心配だという場合であれば、慣れるまでの間をスケジュールを組んでお伺いさせていただくこともあれば、私たちの方で皮下点滴を実施していくというプランにすることもあります。

 

内服薬もシロップ状にして飲ませてあげるやり方を同日指導させてもらい、明日の診察までに明日分の内服シロップ飲ませに挑戦してもらい、できたかできなかったか、できなかったとしたら何が難しかったのか、などをお伺いする予定であることをお伝えさせていただきました。

 

さて、ここまでで初診日、その翌日、その翌々日と3日間のスケジュールを組んでいきます。

 

今回のケースでは、初日は詳しい問診と詳しい身体検査を主体とした処置内容の決定と検査を行い、翌日は検査結果に沿った暫定的な治療プランを組んでいきました。

 

最終的に処方プランや検査プランを決めていくのは翌日の3日目が多いですが、おおよそのイメージをこの段階でお伝えしています。

 

当院では、腎臓病の猫ちゃんでコントロールが聞いていないうちは週1回程度の検査を実施しています。安定してしまえば、3ヶ月に1回程度の訪問で、検診を行なっていきます。

 

明日、処方プランを最終的に決めていきますが、ここで重要なのは、「内服を飲ませることはできるのか」です。ちなみに、内服薬の上げ方はたくさんあります。

 

・例えば錠剤の場合

  • 錠剤のまま飲ませる
  • 細かく砕いて投薬用のカプセルに入れて飲ませる
  • 細かく砕いてウェットや投薬用のおやつなどで包んで飲ませる
  • 粉にしてウェットや投薬用のおやつなどで包んで飲ませる
  • 粉にして水などの液体を少量(飲ませられる液体量は1ショット0.5ml以内にするのがおすすめ)

薬剤形.png

きっと上記以外にもあるかと思いますが、とりあえず5パターンのご紹介でした^^

 

ちなみに、フィルムや糖衣でコーティングされている薬は、粉にしてシロップにすると、全体がとてつもなく苦くなることがあるので、そういった薬は①〜③がおすすめです。

 

明日の診察で、シロップを飲ませられたかどうかで処方プランが変わっていきますので、明日の診察に期待です^^

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今回ご紹介するのは、東京渋谷区にお住まいの16歳の日本猫の女の子、徐々に食べる量が減ってはきていたが、ここ1週間ほどご飯をほとんど食べられていない、という主訴でした。

 

②用.png

 

訪問してみると、脱水してそうな顔つきの猫ちゃんがカーペットの上で寝そべっており、いかにも気だるそうな雰囲気でした。

口をくちゃくちゃしており、気持ち悪んだろうな、または口が痛いのかな?という素振りを見せてくれました。

キャットタワーもありましたが、もう登れていないとのことでした。

ただ、高いところが好きなのか、よく下から眺めているとのことでした。

もともとは体重が6kgくらいあった大柄の猫ちゃんだったとのことでしたが、測定すると体重は3.2kgと、半分近くまで下がっていました。

 

初診では、こんなお話を伺いました。動物病院に行った時も、きっと同じようなことを質問されると思いますので、普段から答えられるようにトレーニングしておきましょう^^

 

Q. ご飯を食べる量が減ってきたのはいつくらいからでしょうか?

A. ここ半年くらい、徐々に下がってきていましたが、ドライフードからウェットフードに切り替えたら食べてくれていました。それが、今月に入って一気に食べる量が減ってきて、それでもチュールなら食べてくれていて、1日3本くらい食べてくれていました。しかし、ここ1週間くらいから全く食べてくれなくなってしまいました。

 

Q. 元気さ(運動性)はいかがでしょうか?キャットタワーにはいつくらいまで登っていましたか?

A. 年齢もあってか、ずっと寝っぱなしの猫なんです。朝から夜までカーペットの上で寝ていて、たまに起きてトイレに行き、また寝るといった感じです。ここ最近、寝ている時間が増えた気がします。キャットタワーは、もう1年ほど前ですね。上を眺めているので乗せたいが、落ちたら危ないと思って何もできていません。

 

Q. トイレ(排便状況/排尿状況)について教えてください。

A. 排便はだんだんと便秘傾向になったのか、もともと1日1回は出ていたものが、最近では3日に1回とかだったと思います。硬いコロッとしたものを1〜2個程度でした。食べなくなってからは、もう1週間ほど排便を見てないです。おしっこは回数としては変化はないですが、全体として量(尿量)が増えていました。

 

Q. お水は飲めていますか?

A. すごい飲みます。このお皿で(おそらく200ml程度入るもの)で、朝入れておくと夜にはほとんどなくなっていることが多いです。

 

Q. 吐き戻し(嘔吐)はいかがですか?

A. もともと吐き戻し(嘔吐)をしないタイプの猫だったんですが、言われてみると、やっぱり1年くらい前からたまに(1〜2日に1回程度)吐くようになって、1ヶ月前くらいからは1日1回くらいは吐いていたような気がします。今もそのくらいです。

 

Q 咳はありますか?

A. 咳はないですが、くしゃみはたまにしています。

 

上記のような質問を繰り返し、今までの経緯やどんな形を望んでいるのかなど、かなり幅広くお話を伺っていきます。

おおよそ30分〜2時間程度かけて、今まで溜まっていた心のうちを一つずつ、一緒に紐解いていきます。

 

今回は、上にある内容から推察するに、腎臓病をまずは第一優先で調べていくことを考えるべきと判断しました。

また、その治療の過程で皮下点滴が必要になる可能性があるため、心臓の評価も合わせて行うことしました。

また、1年ほど前までは食欲があったこと、キャットタワーも登れていたことが、もしかすると代謝の異常亢進があったことも考え、甲状腺機能検査も実施しました。

 

血液検査を含めた各種検査に関しての考え方は動物病院ごとで大きく差があります。

往診では、次回診察までの期間でどんなことが起こるかを推測し、それに対しても事前に対策を練らなければいけません。

そのため、在宅医療における緩和ケアやターミナルケアに入ったわんちゃん、猫ちゃんに対しては、何度も針刺をして細かく検査するよりも、初診で必要であろうと判断される項目を全て検査しています。負担を最小限に考えつつも、集められるデータというパーツ集め、それをもとに大きめのデータの地図を広げ、どんなことが起こりうるかをご説明させていただいた上で、その時の対策を一緒に練っていきます。

 

今回は、血液検査に合わせて、腹部超音波検査を実施することになりました。なお、実施中に尿を漏らしてくれたため、その尿を採取して尿検査も実施することができました。

 

まずは症状に合わせた注射薬を選定し、皮下点滴として投薬していきます。

 

今回は、当日、翌日、翌々日と診療プランを組み、結果が出たものから順次評価していき、その結果に沿った治療を実施していきます。

 

点滴は初めてだったようで、モゾモゾ動いていましたが、ここは獣医師と動物看護師がチームで伺っておりますので、安心して全量きちんと投与を完了し、本日は終了です。

 

次回は検査プランと処方プランのお話です^^

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腎臓病の猫ちゃんの看取りを知る①

猫ちゃんの腎臓病って、本当に多いんです。

経験的には、10歳以上になればほとんどの猫ちゃんで腎臓が悪くなっていて、以下のような症状を認めています。

 

・お水をよく飲むようになった。(多飲)

・尿量が増えた。(多尿)

・痩せてきた。(削痩)

・後肢がふらついてきた。(筋力低下)

 

そのほかにもたくさんありますが、まずはこんなところです。

 

猫ちゃんって、どうしても動物病院へ通院するのが苦手な性格の子が多く、きっかけは最初の避妊去勢のあたりかなと思っています。

 

これを機に、キャリーに入れて外出すると、キャリーに入れて持ち上げただけで、またはキャリーを見るだけで、発狂してしまったり、失禁・脱糞、泡を吹くなど、全力で嫌がるようになってきます。

 

図1.png

 

 

ご家族様も、そんなに嫌がるなら、「健康診断程度で通院させなくていいのではないか?」という感じで、通院をしないことを選択されるようになります。

 

少しくらいの体調不良も、私たちと同様で、大体数日経てば治ったりします。

 

そんな経験もあってか、かなり多くの猫ちゃんが、動物病院離れをしているのが、この世の中の現状です。

 

そんな猫ちゃんも高齢になり、数日程度でいつもは改善していた体調が治らないだけでなく、徐々に進行してるような気がしてきた段階で、覚悟を決めて通院に踏み出すはずです。

 

ここで問題なのは、そもそも通院ストレスでおかしくなってしまいそうな猫ちゃんに対して、「体調が悪いのにさらにストレスをかけてもいいのか?」ということです。

 

ご家族様の中には、それでも通院させることを選択できる方もいれば、いっそのことこのまま家で看取りを視野に入れて、ゆっくりと過ごさせてあげたいと考える方もいます。

 

動物病院へ通院させることができるのであれば、待たないですぐにでも連れて行ってあげてください。

若齢の頃と比べ、高齢、特に10歳を過ぎての体調不良は、放っておくと致命的な結果になるかも知れません。

 

そして、通院を断念し、家で看取りを視野に入れようとお考えのご家族様、一度「往診/獣医/動物病院/犬/猫」などで、ご自宅まで来てくれる往診専門動物病院を検索してみましょう。

 

東京都内であれば複数の往診専門獣医師がいますので比較的見つけやすいかと思いますが、他の地域では、往診専門動物病院の数自体がかなり少ないことが予想されるため、万が一の時に備えて、先に調べておくことをお勧めします。

 

これは猫ちゃんだけでなく、いよいよペットを連れて動物病院へ通院させることが難しい時期がくることを想定し、わんちゃんの飼い主さんも検索しておくことをお勧めします。

 

検索ワードのおすすめは、「往診/犬/東京」、「往診/猫/東京」など、目的/対象動物/地域で調べるのがいいかと思われます^^

 

携帯画面+猫.png

 

往診専門動物病院わんにゃん保健室の往診は、自宅での緩和ケアと呼ばれる苦痛をできる限り軽減して余生を過ごさせてあげることを目的とした治療、看取りが迫ったことを想定したターミナルケアに特化しています。

 

・病気に合わせた在宅医療プラン作成

・急変時の考え方と対処方法

・家で看取るということに対する心構え

 

生活環境とその子自身の性格などを考慮し、家族みんなの意思決定のもと、その方針に沿った、できる限り苦痛のない時間を過ごさせてあげるプランを作成していきます。

 

・ご飯のあげ方や種類

・トイレの位置や高さ

・床の簡易的な加工方法

 

状況に応じ、臨機応変にご提案させていただき、ご家族様と一丸となって、在宅ケアから家での看取りまで、一歩ずつゆっくりと一緒に歩んで行きます。

 

まだできることをあるはずです。諦める前に、必ずご相談ください^^

 

今回は、腎臓病の猫ちゃんの初診相談、緩和ケア〜看取り(ターミナルケア)までのお話です。

 

・問い合わせから在宅医療の初診内容

・検査プランと処方プランの立て方

・今後の方針決定

・延命と看取りを考える

・緩和ケアとターミナルケアのご飯の考え方

・看取りからお別れ、ご葬儀まで

 

猫ちゃんだけでなくわんちゃんであっても、最後を意識することで、今ある幸せにもっと気付けるようになれればなと思います^^

 

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命を迎えるということは、見送るということです。

今回お話しさせていただくのは、わんにゃん保健室で在宅ターミナルケアを実施した、高齢犬で保護犬だったバウちゃんです。愛の溢れるご家族様に見守られながら、2021年10月23日、虹の向こうにお引越しされました。

高齢犬と暮らしているご家族様はもちろん、元気いっぱいのわんちゃん、猫ちゃんとくらいしている方、さらにはこれから命を迎え入れようとお考えのご家族様。

その子たちを全力で愛してあげてください。そして最後は、笑顔で送り出してあげましょう。

常に考えておいて欲しいこと:急変は常に起こりうる、ということ

1週間前までは普段と同じようにご飯を食べてくれて、一緒にお散歩にも行けていたのに、急に足腰に力が入らなくなったのか、お散歩はおろかご飯を食べることすら辛そうになってしまう。

高齢になったわんちゃん、猫ちゃんと暮らしているご家族様は、常にこの急な変化を予想していなければいけません。

この変化は、実は急に出たものではなく、徐々に進行していたものが、ある一定水準を超えたところでパツッと糸が切れかのように症状を出すのだと考えています。

おそらく1週間前もそれなりに痛く、気持ちが悪かったのかもしれないですし、それでも大好きなご飯やお散歩への精神が勝り、肉体を凌駕していたのかもしれません。

日々の変化をこまめにチェックし、些細な変化だとしても、実は些細な変化ではなく決定的な所見かもしれませんので、診察の際に担当獣医師に前回診察からの変化をお伝えしてください。

ポイントは、元気(運動性)、食欲(どのくらい食べたのか、普段の何割くらいなのか)、排便(便の状態、頻度など)、排尿(尿の色や臭い、頻度や量など)です。

大変だと思いますが、ご家族様しかできないことです。一緒に頑張っていきましょう!

ペット往診依頼までの経緯

もともと体が丈夫だったこともあり、健康診断程度でしか動物病院にかからないで13歳までこれたという中・大型犬のバウちゃん。

パピーの頃に保護されたバウちゃん、ご家族様の元に引き取られ、愛情をいっぱい注がれてすくすくと育ってきました。 お姉さんのお部屋が好きとのことで、リビングで生活し、寝るときはお姉さんのお部屋だったそうです。

かかりつけの動物病院にて、2019年頃に乳腺の病気を確認したのですが、このまま様子を見ていくこととなり、その後もずっと安定していたとのことでした。

それがここ数日で、乳腺の病気が急に大きくなってきてしまい、自壊して出血してしまったとのことでした。

昼夜鳴いて、お母さんたちを呼ぶとのことでした。

呼吸も苦しそうだったのですが、2日前までは食事ができていることから、このままゆっくり過ごさせてあげようと考えていたのですが、徐々に弱ってきたバウちゃんを前に、最後に何かしてあげられることはないかと思い、当院まで往診のご連絡をいただきました。

初診時の診療内容

初診では、今までの経緯を伺い、今考えられることと検査プラン、処置・処方プラン、そしてご家族様のご意向をしっかりとヒアリングさせていただき確認した上で、今後の診療プランを立てていきます。

わんにゃん保健室では、通常診療の初診は1時間~1時間半程度、緩和ケア・ターミナルケアの初診は1時間半~2時間程度の時間をかけて、今までの経緯、ペットの状態確認およびご家族様のご意向をしっかりとお伺いさせていただいた上で診療を行なっております。

通常の動物病院との大きな違いは、ゆっくりとお話しできるところです。バウちゃんの初診では、おおよそ2時間ほどお時間をいただきました。

1週間ほど前までは普通にご飯を食べ、散歩に出かけられていたが、急に歩けなくなり、ぐったりしてしまったとのことでした。

乳腺の病気(乳腺腫瘍疑い)のところから出血してしまい、お母さんのTシャツを着せて生活していたとのことでした。呼吸も苦しそうで、一番の問題は昼夜鳴いてしまうので、痛いのか苦しいのかってずっと考えてしまっていることです。

高齢犬の特徴で、「夜鳴き」がありますが、夜鳴き=認知症!と判断するのではなく、それは要求吠えである可能性も非常に高いと考えています。

実際に、処置を入れた後から夜鳴きが止まったことを考え、バウちゃんも何かを訴えていたのだと判断しました。

何を訴えていたのかは定かではありませんが、要求吠えが止まりぐっすり眠れていたことから、体が楽になったのは間違いないと考えています。

初診では、乳腺腫瘍の大きさと症状から乳腺腫瘍の全身転移を疑い、もうご自宅から移動させて精査するのは難しいことから、ご自宅でゆっくりと残りの時間を過ごさせてあげるためのターミナルケアの診療プランを組ませていただきました。

検査内容は、血液検査と超音波検査を酸素ボンベから純酸素を流しながら酸素化した状態を作り、呼吸に負荷の少ない環境を作って実施しました。

今ある異常所見を負担のない範囲で把握し、限定されたデータではありますが、そのデータの中から最良と考えられる処置・処方プランを構築していきます。

自壊した乳腺の保護の仕方を検討し、薬は注射薬を用いて皮下点滴と一緒に背中の中に流し込みました。

できるだけ快適に、かつご家族様に負担がかからないようなプランを構築していきます。

初診の翌日

翌日にお伺いすると、処置内容が功を奏したのか、昨日の診察後から鳴きがなくなり呼吸も落ち着いて、いびきかいて寝ていたとのことでした。ぐっすり眠れていたのはひさしぶりで、とても嬉しかったとのことでした。

それを聞いて、私たちも本当に嬉しかったです。

何気ない愛犬・愛猫の幸せそうな寝顔を見れることを、今は当たり前だと思っていますが、そうじゃない時期がやってくるということを、犬猫と生活されているご家族様方へ、この掛け合いからお伝えできればと思います。

食事に関しては、ドライもウェットフードも食べてくれなかったが、おやつはすごい食べてくれたとのことでした。

嘔吐や吐き気を示す所見をなかったとのことでした。

自力でお水を飲み、おしっこもしてくれたとのことでした。

ご家族様がいる間はいいのですが、やはり一人になると、乳腺のところをずっとなめてしまっていたとのことでした。

皮膚バリアが崩壊した状態にある部位は、犬猫からすれば気になってずっと舐めてしまうのは当たり前であり、おそらく野生の本能だと思います。

しかし、口腔内にはたくさんの雑菌がいるため、なめれば舐めるほど悪化してきます。

そのため、本来であれば物理的な障壁を作成し、舐められなくする必要があります。例えば、エリザベスカラーのようなものです。

回復期の犬猫であれば、間違いなくエリザベスカラーの設置や専用の洋服を着せるなどして、ある程度ペットグッズとして市場にある商品を使用することができるのですが、高齢犬・高齢猫において、自分の体を支えることすらままならない状態の子に対してどこまで耐えられるのかは、結構至難の技です。

経験上、ほぼ全てがご家族様によるDIYになっています。また、既製品で対応できそうなものがあれば都度ご紹介させていただきますが、結局DIYになっているというのが現状です。

今回は、自壊した乳腺に対して出血のコントロールとカバーをメインに考え、母乳パットと手ぬぐい、その上からお母さんの洋服を着せるというプランで進めていきました。

新しい洋服を着ると、なんとなく気分がよさそうなバウちゃんでした。

その後、呼吸の苦しさが少し増したことから、ご自宅に大型の酸素発生装置を設置しました。

呼吸状態が悪い子に対して、酸素供給ができることは、何より大切であると考えています。

少しでも楽に、残りの時間を過ごそうね!

その後の経過

その後は安定し、ご飯も少しではあるのですが食べてくれ、夜鳴きもなく初診の頃よりは快適に過ごせているとのことでした。ただ、10日間ほど便が出ていないことが気になっていました。

排便を促すことを目的に、シロップ剤を使用することになりました。

診察開始から一番いい顔を見せてくれていたバウちゃんでした。

この日も血液検査と超音波検査を実施し、ご自宅で使用してもらう皮下点滴内容をお渡しさせていただきました。

最初の頃と比べ、ご家族様がどんどん強くなっていくのを、診療を通じてひしひしと感じました。

急変と旅立ち

血液検査結果は一向に良化せずでしたが、全身状態として元気を取り戻しつつあったバウちゃんでしたが、10月22日の夜に急にぐったりしてしまい、23日早朝に往診にお伺いさせていただいたところ、右目が開きづらいような状態で、可視粘膜(唇の粘膜の色や舌色)が白さを大きく増していて、全身で出血が起きたことが疑われました。

診療時に排尿し、尿は黄色さを超え、おそらくオレンジ色であることから黄疸尿であると考えました。この日に実施した血液検査で黄疸が出ていたことから、もう体は限界だという合図だったのかもしれません。

久しぶりの排便を、診療時に少し認めたのですが、少し黒さを含んだ緩い便が出てきました。もしかすると黒色便かもしれないと疑いました。

黒い海苔の佃煮みたいな軟便~水っぽい下痢が出てきたら、それは旅立ちの合図になるかもしれません。治療中のわんちゃん・猫ちゃんであれば、緊急入院を視野に入れて動物病院へ駆け込む覚悟をしましょう。

実際のところ、貧血が大幅に進行していました。DICと言われる、体が限界の状態だったのかもしれません。

その日の診療を終え、安定することを祈っていた矢先、夕方にお電話をいただき、旅立ったことを教えていただきました。

最後は、お母さん、お兄さん、お姉さんに見守られながら、静かに眠りについたとのことでした。

予定よりも駆け足になった虹の向こうへのお引越しでした。

不思議なことに、わんちゃん、猫ちゃんってお別れの日を選べるんじゃないかなって思うことが多々あります。

また、あの日に見せた元気そうな姿は安定していたのでなく、エンジェルタイムだったのかなって思いました。そして、きっと最後は、安心して旅立てたのだと思っています。

バウちゃん、そして闘病を必死に支えてくれたご家族様、本当にありだとうございました。
一緒に頑張れたことを、スタッフ一同光栄に思います。
バウちゃんのご冥福を、心からお祈り申し上げます。

最後に

ペットを迎えるということは、命の責任を取るということであり、それは簡単なことではないです。
そして、迎えるということは、見送るということです。
お別れは必ずやってきます。その日まで、全力で幸せにしてあげてください。

なかなか通院させられないタイプのわんちゃん、猫ちゃんには、往診という選択肢があります。また、往診は動物病院に付随するものでなく、時間の融通がきくことを考えると、できれば往診専門の動物病院がおすすめです。

なお、緩和ケアやターミナルケアでは、通常の往診よりも密な診療プランを組む必要性が出ることから、その往診専門動物病院の診療体制で選ばれるのがいいかと思われます。

往診専門動物病院わんにゃん保健室は、犬猫の在宅緩和ケア及びターミナルケアに特化してチーム医療をおこなっています。 いつから往診にすればいいのか、どんな時に往診を呼ぶべきなのか、など、参考となるページを作成しましたので、今後往診に切り替えたい、家で看取ってあげたいなどをお考えのご家族様は、是非そちらを一読いただければと思います。

通院できないからと諦める前に、まずは往診専門動物病院までご連絡ください。

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食欲がなくなった(猫/腎不全/東京中央区)

猫ちゃんを飼っているご家族様の中には、少なからず「通院させること」に対して苦手意識をお持ちの方がいます。

 

それもそうです。ほとんどの猫ちゃんが、外出させることを嫌がります。

 

もちろん中にはキャリーに入ることをなんとも思わない猫ちゃんもいますが、個人的には避妊去勢手術をきっかけに「キャリー=怖いもの、痛いもの、嫌なもの」というような認識になっているのではないかと思います。

 

そのため、通院が苦手な猫ちゃんのほとんどが大病を患ってしまった以外は、動物病院へ通院させずに、ネット情報や知り合い情報、長年の経験などからの判断で、治るのを家で待ってしまっていることと思われます。

 

だとしても、ほとんどの病気は自己治癒力というか、恒常性の維持と言いますか、状態として安定したり治ってしまったりする印象があります。

 

とはいえ治らない病気もたくさんあり、もしそれらであった場合に、様子を見てしまったことが致命的な結果になってしまったということも多々起きていると思います。

 

今回の症例は、腎不全を患った猫ちゃんで、たまたま連絡が早かったので復活し、それから2年間闘病生活をした上で、ご自宅で長い眠りについたミケ猫のブーちゃん、18歳の避妊済みの女の子です。

 

もしこの症例と同じような症状が、ご自宅にいる猫ちゃんにも当てはまるのであれば、早めに獣医師に相談するようにしましょう。そして、具合が悪い猫ちゃんに対して、さらにストレスをかけることが厳しいと判断した場合には、ご自宅まで来てくれる往診専門動物病院を探しましょう。

 

猫ターミナル.jpg

 

往診までの経緯

ブーちゃんは、キトン(子猫)の頃にご家族様に公園で出会ったとのことでした。

その日は大雨だったのですが、なぜか気になった先の草むらに段ボールが置いてあって、そこに力強く鳴くブーちゃんの姿があったとのことです。

家に来た時に、鼻がブーブーいっていたことから、女の子ですが、ブーちゃんになったとのことでした。

近所にある動物病院に連れ家的、おそらく生後2ヶ月くらいと言われ、日を追ってワクチン接種、避妊手術と終わらせたとのことでした。

しかし、この避妊手術をきっかけにキャリーに入れようとすると失禁に脱糞を繰り返して奇声をあげるようになってしまったことから、動物病院に通院させることを断念し、避妊手術後の抜糸も、近所の獣医師に来てもらったとのことでした。

 

以来動物病院につれていくことはなく、基本的には元気で食欲旺盛な毎日を過ごせていたとのことでした。

 

そんなブーちゃんの体調に違和感を覚えたのは、16歳を過ぎた頃とのことでした。

なんとなく食欲に波が出てきて、食べない日は丸一日何も食べないこともあったとのことでした。

ちょうどこれくらいの時期から、嘔吐の頻度が週2〜3回程度になったとのことでした。

それでも、ご飯は1日食べなくても翌日には食べる、お水をいっぱい飲んでるからお腹がいっぱいなだけ、おしっこもたくさん出てるから平気、うんちは少し便秘気味だけど、出てるので大丈夫、と考えて過ごしてきてしまったとのことでした。

 

それから半年ほどで食欲が全体的に低くなってしまい、それに伴いお水を飲む量が増えたこと、体重がどんどん減ってきてしまったことなど、状態が下がってきた旨を伺いました。

 

今回往診をご依頼されたきっかけは、1週間ほど何も食べれなくなり、毎日3~4回ほど吐いてぐったりしているということで、もうだめかもしれないができることがあればしてあげたいとのことで、ターミナルケアを目的にご連絡いただきました。

 

動物病院と心の距離ができてしまうと、その距離はどんどん離れていく一方であり、その結果、ネットの情報に翻弄されてしまうということは多々あります。

 

できれば早めに、専門家や診てくれる獣医師に相談することをお勧めします。

 

初診時の診療内容

東京中央区にお住まいのぶーちゃんは、ご家族様に大人が4人もいる環境でしたので、ご自宅でのご家族様による皮下点滴環境の構築ができると判断しました。

 

お話をお伺いすると、全くと言っていいほどに動物病院から離れてしまっているようで、その原因はキャリーを嫌がったということだけでなく、近所にあった(当時は東京台東区)昔ながらの動物病院の先生に、そんなに騒ぐ猫は連れてくるなと言われたことがトラウマになってしまったとのことでした。

 

そんな獣医師もいると思いますが、最近はフレンドリーな先生も多くなってきていますので、もし獣医師に対するトラウマがある場合であれば、複数の動物病院に、ご家族様だけで訪れ、「結構暴れてしまう猫なのですが、それでも連れてきていいですか?」と尋ねてみてください

 

ほとんどの動物病院で対策を教えてくれると思いますし、受け入れてもらえると思います。

暴れてしまう性格を含めて、それが猫ちゃんであり、そんな子たちに対して診療をおこなっているプロチームが獣医師や動物看護師率いる獣医療チームです。

 

ずっとご家族様だけで抱え込んでいた悩みをできる限りたくさん伺いました。

おそらくまだまだありますし、今回伺えた内容はほんの一部分かもしれませんが、これからも疑問や質問があれば、診療時に遠慮なく質問してもらいたいと思い、箇条書きでの質問リスト作成をご依頼させていただきました。

 

ブーちゃんの体調はというと、かなり悪そうではあるのですが、まだ立ち上がってフラフラしながらも自分でお水を飲みに行けていました。

 

ブーちゃんは人が好きなようで、お話を伺っている間はずっと輪の中にいてくれました。こんな子も珍しいのですが、おそらくどんな話をしているのかが気になっていたのかもしれないですね。

 

お話を聞いてみると、優先順位として腎不全が挙げられましたので、初診では血液検査で幅広く確認し、超音波検査で胸水貯留がないことだけを確認し、血液検査結果が揃ってから腹部超音波スクリーニング検査を実施することとしました。検査も処置も酸素ボンベを使用した酸素化を図りながら、呼吸に注意して診療を進めていきます。

 

ご家族様のご希望でご飯を食べさせてあげたいとのことでしたが、今日の今日で強制給餌をするのは危険であることをお伝えさせていただき、まずは3日間の集中的な診療プランを作りました。

 

薬は全て注射薬に絞り、皮下点滴を用いて投薬し、3日間は1日1回の往診としました。

 

さぁ、今日から診療開始です。少しの間毎日くるから頑張ろうね!

 

 

初診の翌日

やっぱりブーちゃんは強い猫ちゃんでした。

昨日の処置後から少しではありますが、ドライフードを食べてくれたそうです。

血液検査の院内スクリーニング検査にて暫定的に揃った結果からまずは腎臓の数値が高いことを確認し、この日から腎臓病の方に使いたい内服薬を使用することになりました。

腹部超音波検査にて、腎臓の血流量が少ないこと以外大きな異常を認めなかったことから、腎臓病からくる症状を安定させることに尽力しました。

 

 

その翌日

食欲も上がってきて、まさかのふらつきもやや改善してくるという様子を見せてくれました。

この日、ご家族様に皮下点滴の仕方をしっかりと指導させていただき、1週間分の道具のお渡しをすることに成功しました。

 

 

その後の様子

状態は安定し、最初は毎日の往診から、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回となり、道具と薬のお渡し、診療時に血液検査と超音波検査をするまでとなりました。

 

現在も、1ヶ月に1回の往診で、状態を見ながらゆっくりとブーちゃんらしい生活を送れています。

 

当院までご連絡をいただく前までは、もうだめか、でも最後にできることをしてあげたいと思っていたとのことでした。

往診とは、単なる獣医療だけでなく、本当に困っているご家族様たちの心を支える存在であるべきだと考えています。

またこの生活に戻れるなんて思ってもいなかった、と伺った時には、私たちも治療に反応が出て、また飼い主様の心の支えになれた気がしてとても嬉しかったです。

 

今は通院で検査・治療を受けているが、今やっている内容を往診で切り替えることはできないかと思われた場合には、お近くの往診専門動物病院までご連絡してみましょう。きっと力になってくれると思います。

 

当院は東京23区を中心に獣医師1人、動物看護師1~2人程度で毎日訪問していますので、該当地域にお住まいで在宅医療への切り替えを検討されているご家族様や、家での看取りを考えたいご家族様、まずは当院までご連絡ください。

 

〜 ペットの緩和ケアと看取りのお話 〜

ペットの緩和ケアやターミナルケアをお考えのご家族様向けに参考ページを作成しました。

今後、もし慢性疾患など、治療による根治ではなく、症状や病状のコントロールのみと診断された場合、通院で今後も診てもらうか、在宅に切り替えるべきかを考える参考にしていただければと思います。

 

ペットの緩和ケアと看取りのお話

 

是非ご一読ください。

 

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飼い主「食欲が下がってきてしまい、最近よく吐くんです。」

獣医師「12歳という年齢的にも一度検査してみましょう。」

 

獣医師「尿素窒素(BUN)高値クレアチン(CRE)高値ですね。腎臓病です。」

飼い主「えっ・・・。」

 

獣医師「内服を出しますので、これとこれを1日1回、これは2回飲ませてください。ご飯は腎臓病用のご飯に切り替えてください。また、皮下点滴に通院でまずは週2回きてください。間隔をあけたいので、水・土や日・木のように通院してください。お大事にどうぞ。」

 

猫ちゃんとの暮らしは、とても心温まるものであると思います。

 

気まぐれな愛猫に振り回されたり、昨日まで食べていたご飯を急にいらないとプイッとされてしまって凹んだり、夜中の運動会で顔の上を駆け抜けられて怪我してみたりなど、いろんなストーリーがご家族様ごとにあるかと思います。

 

ずっとそんな時間が続けばいいと誰もが願います。

 

ずっと子供のように接してきているため、歳を重ねても子供のように感じており、まだ5歳、まだ6歳、まだ9歳、まだ12歳…と、時間的な間隔を優先して考えてしまいがちです。

 

「猫ちゃんにとって12歳は間違いなく高齢期」

 

辛い現実ですが、この話に登場する12歳という年齢は、猫ちゃんからすればすでに高齢期であると考えています。

 

また、高齢期には、病気が付きものです。

 

検査をすれば、きっと何かしらの異常が検知されると思います。

 

そのときに、「うちの子に限ってそんなことは・・・」と感じてしまうかと思いますが、その心の反応はごく普通のことです。

 

自分よりも小さく、また若い猫ちゃんに対して、人間の高齢者の像を照らし合わせてみられている方のほうが希少であると考えています。

 

私ですら、現在8歳の自分の愛犬に対して、まだまだ赤ん坊のように感じてしまっています。

 

高齢期まで頑張って生き続けてくれたペットの今に対して、飼い主の考えとして大切なことは、「病気を持った我が子を、病気ごと受け入れてあげること」だと思います。

 

受け入れることで、今までの日常に終止符を打ち、その瞬間から新しい日常が始まります。

それは、単なる変化であり延長のようでもあり、また、もしかしたら全く違うもののようにも感じるかもしれません。

 

しかし、わんちゃん、猫ちゃんからしたら、間違いなく延長であり、飼い主様を思う気持ちに変化はないと思います。

 

むしろ、体調が悪くなってしまった時の不安な気持ちから、もっと飼い主様と一緒に居たいと訴えてくることでしょう。

 

その心の変化に気づいたのであれば、飼い主様側が変わらなければいけません。

 

時間は有限であり、その有限な時間をどれだけ、今目の前にいる我が子のために使えるかを、飼い主様自身で調整できるのであれば、最大限悔いのないように、時間を調整してあげてください。

 

その子達からすれば、飼い主様が全てなのです。

 

往診をしていて出会う猫ちゃんたちのほとんどが高齢であるということもありますが、大体10歳過ぎたら何かしらの体調不良を飼い主様に訴えかけているように感じます。

 

一緒に暮らしていると日常の中での少しずつの変化だと、「いつものことだから」「3日もすればいつも通り元気になる」などの経験からの推測が実証されてきたという自負もあり、結構気づけないことが多いようです。

 

もしかすると、「気づけない」のではなく、「気づかないようにしている」という方が正しいのかもしれません。

 

飼い主様による期待的観測は一概に「間違っている!」と否定はしませんが、確かな知見を持ってでない限り、肯定はできません。

 

それにより、もし状態が良化しなかった場合、おそらくその待機させてしまった期間で、その猫ちゃん、わんちゃんの状態は進行してしまったことと思われます。

 

治療すれば治るものであれば治療を進めてあげましょう!

 

ただ、その治療にもしも大きな負担を伴うのであれば、家族でしっかりと話し合いましょう

 

腎臓が悪い子の検査には、血液検査、尿検査をはじめまだまだたくさんあります。

 

全部やってあげたいという飼い主様の気持ちとは裏腹に、猫ちゃんにとって検査されること自体、中には大丈夫な猫ちゃんもいますが、ほとんどの場合は大きなストレスになります。

 

 

動物病院に通院させ

 

待合室でまち

 

診察室で診察を受け

 

検査室に運ばれて検査をされ

 

帰り道の間もじっとキャリーの中で堪えてもらう。

 

 

もしかしたら、麻酔や鎮静を必要とする検査もあるかもしれません。

 

治療だけでなく、実は検査にもさまざまなリスクがあります。

 

そのリスクを獣医師に確認した上で、どこまで攻めた検査・治療を行うか、または、もう攻めずに対症療法のみで苦痛を軽減してあげる(緩和ケア)ことを選択するかを決めていきます。

 

どの選択肢を選んでも、決して誰も飼い主様を責めません。

 

飼い主様が選んだ選択肢が、その子にとって最良となれるように、獣医師含めた動物病院の医療スタッフみんなでサポートしてくれるはずです。

 

もしも治せる病気であれば治してあげたいし、だとすれば、検査で原因となる病変部を発見してあげたいです。

 

しかし、その検査自体に負担があり、もしかしたらそれをきっかけにぐったりしてしまい、もう会うことができなくなってしまうかもしれないと考えたら、一概に検査をさせることだけが正しいとは言い難いと思っています。

 

高齢期の猫ちゃん、わんちゃんと暮らしている飼い主様にとって、病気を治してあげることに専念することもそうですが、それ以上に、病気になった我が子をまるっと受け入れてあげることも大切だと思っています。

 

「今までは元気で健康だった愛猫が、急に病気を発症してしまった。これからどうしよう・・・」

 

今までの日常はそこで終わり、ここからは新たな日常が始まります。

 

猫ちゃんをお家に迎え入れるのであれば、この子たちは高齢期になると腎臓病になりやすい、ということを知っておいてください。

 

腎臓病は、元に戻ることは考えづらい病気です。

 

そのため、如何にして早期発見し、早い段階から進行を抑制できるような診療プランを考えていくことがおすすめです。

 

そして、腎臓病を発症したのであれば、獣医師との連携投薬内容の管理ご飯の管理運動性の管理などが必要不可欠になります。

 

また、猫ちゃんはご飯の好みにとてもうるさい生き物です!

 

そのため、好きなご飯ではなく腎臓病用ご飯など、結構の確率で食べてくれません

 

食欲が今までよりもなく、ご飯の味も今までよりも悪いのであれば、そりゃ食べてくれないでしょ、ってなりますよね。

 

それでもどうにかこうにか腎臓に負担のないご飯を探していきます。

 

コンビニやショップ、ドンキやamazonなどのネット通販を駆使して、さまざまな種類のご飯を最小単位で購入し、試してみます。

 

一部屋がほぼ猫ちゃん用ご飯部屋になっているというご家庭も珍しくありません。

 

そのくらい、食べてくれるご飯を探すのは大変です。

 

そんなふうにして四苦八苦して、なんとか食べてくれる腎臓に優しいご飯と巡り会うということを、ほとんどの猫の飼い主様はやっています。

 

投薬でもそうです。

 

猫ちゃんは薬が飲めない生き物です。

 

でも飲ませてあげたいのが人間側の意見であり、頑張って飲ませるのですが一筋縄にはいきません。

 

そんな時は、まずはかかりつけの獣医師および動物病院スタッフに相談してみましょう。

 

こういった内容は、獣医師よりも動物看護師の方が得意だったりしますし、案外思ってもいなかった方法を教えてくれるかもしれません。

 

毎日投薬し、ご飯選びに四苦八苦し、日々の体調の変化にこんなにも注視する日常がやってくるのかと思っている飼い主様もいると思います。

 

そんな日は訪れます。

 

そして、そんな日が訪れたということは、ちゃんと一緒に、あなたの横で生きてきてくれたという証です。

 

さぁ、チャンスです。

 

今まで一方的に与えられ続けた愛情を返せる、恩返しのチャンスが到来しました。

 

毎日たくさんの愛情を返してあげましょう。

 

そう考えるだけで、辛い闘病生活が一転し、優しく心温まる看病生活に変わるはずです。

 

一緒に頑張っていきましょう!

 

次は、第二章①「向き合い方と家族の役割」をお送りします。

 

ここまでの話に共感されましたら、ぜひ続きも読んでください^^

 

ベンガル子猫.jpg

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第一章 腎臓病の猫〜そのときは突然に〜①

飼い主 「食欲が下がってきてしまい、最近よく吐くんです。」

 

獣医師 「12歳という年齢的にも一度検査してみましょう。」

 

獣医師 「尿素窒素(BUN)高値クレアチン(CRE)高値ですね。腎臓病です。」

飼い主 「えっ・・・。」

 

獣医師 「内服を出しますので、これとこれを1日1回、これは2回飲ませてください。ご飯は腎臓病用のご飯に切り替えてください。また、皮下点滴に通院でまずは週2回きてください。間隔をあけたいので、水・土や日・木のように通院してください。お大事にどうぞ。」

 

一緒に暮らす猫ちゃんに、唐突に訪れた腎臓病の通告。

きっとこの診断を下される前は、

 

「単なる風邪みたいなもので、今回はいつもより少しだけ長引いただけでしょ。まぁ長引いちゃってるし、しかも吐く頻度も多くなってるし、ここらで検査してもらうかな。」

 

飼い主様のモチベーションや、現状に対する捉え方はこんな程度であったと思います。

しかし、検査結果は腎臓病。

腎臓病は進行性の病気であり、大切なことは如何にして進行を抑制できるか、です。

 

毎日の投薬、ご飯の変更、頻回の通院・・・

 

「お薬なんて飲ませたことない。」

 

「ご飯の変更?うちの子、食へのこだわりが強くて食べてくれなかったらどうしよう。」

 

「週2回も通院させるの?今日だってこんなに暴れたのに、それが週2回もだなんて。仕事の休みが取れないから、平日はどうしたらいいんだろう。どうしても20:00は過ぎちゃうけど、時間外でも対応してくれるのかな。」

 

混乱の中、必死に事実を頑張って受け入れようとしている飼い主に対して、淡々とした口調で病気の説明と今後のプランを、獣医師が説明することでしょう。

 

動物病院からすれば、高齢の猫ちゃんで食欲不振、頻回嘔吐とくれば腎不全を疑わないところはないと思います。

 

そのくらい、動物病院の日常には、今回のようなケースはありふれています。

 

しかし、飼い主様からすればどうでしょうか。

 

ずっと一緒に暮らしている家族が急に腎臓病だと通告され、これからどうすればいいんだろうという不安のどん底に落とされた気持ちだと思います。

 

本当であれば、獣医師になると決めるきっかけは、少なからずペットが好きで助けてあげたいという気持ちであり、そして、もっと飼い主様の心の声を聞いて、「寄り添える獣医師になりたい」「どんな病気だって治せる獣医師になりたい」、と志高く病気と向き合っていました。

 

しかし現実はどうでしょうか。

 

この世の中には治せる病気と治せない病気があり、専門医の方々が日々困難な課題に挑戦し、一つ、また一つと改善策が考案されてきています。

本当にすごいことで、実践することで少しでもペットが健康で長生きできるのであれば、是非飼い主様に説明した上で提供できないか、と獣医師はみんな考えています。

 

現段階では直せる見込みはなく、またその時にどんなことをすれば状態改善を図れるのかを、ある程度のパターン認識として現場の獣医師は把握しています。

 

ですので、獣医師の説明は淡々としており、その雰囲気を「冷たい先生だな」と捉えられてしまうかもしれませんが、日々の診療で追われている動物病院の中では、この子の診察の後ろで苦しんで診察を待っている犬猫たちが並んでいます。

 

方針を即座に決めて、また次の犬猫を診察して方針を決め、と1症例に対して約10分程度で終わらせなければいけません。

 

もし1診察に時間をかけすぎてしまったら、本来であれば診てあげられたわんちゃん・猫ちゃんまで時間を割けず、その結果その子達が致命的な結果になってしまったら…。

 

そんなことも考えながら、日々診療と向き合っている獣医師にとって、言葉は淡々としていたとしても、心の中ではよくなって欲しいという願いを込めながら説明していたと思います。

 

たくさんの腎臓病(腎不全など)を抱えられた猫ちゃんの飼い主様と出会ってきて、心苦しい気持ちをこの目でしっかりと見てきたからこそ、そんな飼い主様に伝えたいことはただ一つです。

 

「悲しみにふけている時間はありません。」

 

なぜならば、愛猫の代弁者かつ命の手綱を掴んでいるのは、誰でもなく、飼い主様、あなただからです。

 

あなたが決断し、実行しなければ、目の前であなたを信じているその子は、ただじっと今の状態を我慢するしかないのです。

 

飼い主様が覚悟を決めて決断したその瞬間から、闘病生活が始まります。

 

猫ちゃん、わんちゃんの闘病生活は、決して甘くありません。中には途中で心病んでしまう飼い主様だっています。

 

だからこそ、寄り添える獣医師の存在が必須であり、その先生を信頼してついていくという飼い主様の決意も重要になってきます。

 

「一緒に頑張っていきましょう!」

動物病院で働いている獣医師、そして動物看護師やスタッフの皆さんは、簡単ではないこの言葉を、是非飼い主様にかけてあげてください。

 

そうすることで、自分にとっても医療従事者という自覚が芽生えるでしょうし、またその言葉で救われる飼い主様の数はとても多いことと思っています。

 

ペットを迎えるということは、命を迎えることであり、それは同時に、命の責任を持つということでもあります。そして、その命をしっかりと看取ってあげ、飼い主様の生涯をかけて幸せにしてあげる、という意味でもあるのかなと、個人的には思っています。

 

次は、第一章②「今までの生活の終わりと始まり」をお送りします。

 

ここまでの話に共感されましたら、ぜひ続きも読んでください^^

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