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犬猫の往診を知る(初めての方向け)の最近のブログ記事

猫の腎臓病と穏やかに過ごすための在宅ケア

腎臓病は高齢の猫ちゃんにとても多い病気のひとつです。10歳を超えると多くの猫ちゃんで腎機能の低下が見られ、徐々に進行していきます。

初期は多飲多尿や食欲低下といった症状が見られる程度ですが、進行すると嘔吐や体重減少、貧血などが現れ、最終的には腎不全へと移行します。腎臓病は完治が難しい病気ですが、適切なケアを行うことで穏やかな時間を長く過ごすことができます。

しかし、猫ちゃんは通院を極端に嫌がることが多く、ストレスによって病状が悪化することもあります。そんな時に選択肢となるのが「在宅ケア」です。往診を利用することで、ご家族の負担を減らしつつ、猫ちゃんにとっても安心できる環境で治療を受けることができます。

この記事では、腎臓病の猫ちゃんに対する在宅ケアの流れや、看取りに向けた準備について詳しく解説します。

 

目次

 

 

猫の腎臓病の初期症状と気づき方

腎臓病は静かに進行する病気

猫の腎臓病は「気づいたときには進行している」ことが多い病気です。初期段階では目立った症状が少なく、ご家族が異変に気づく頃にはすでに腎機能の多くが失われていることも珍しくありません。

特に、高齢の猫ちゃんでは腎臓の機能が徐々に低下していくため、「年のせいかな?」と思われがちです。しかし、腎臓病の早期発見・早期対策が猫ちゃんの余命を大きく左右します。

 

こんな症状が見られたら要注意

以下のような症状が見られたら、腎臓病の可能性を疑いましょう。

- 水をたくさん飲む(多飲)

- トイレの回数が増え、尿の量が多い(多尿)

- 体重が減ってきた(削痩)

- 毛づやが悪くなった

- 後ろ足がふらつく(筋力低下)

- 食欲が落ちてきた

- 嘔吐が増えてきた

 

腎臓病の発見が遅れやすい理由

猫ちゃんは本能的に体調の悪さを隠そうとする動物です。特に腎臓病はゆっくり進行するため、少しずつ変化していく姿を毎日見ているご家族が異変に気づきにくいこともあります。

また、猫ちゃんは環境の変化を嫌うため、「病院に連れて行くこと自体がストレスになるのでは?」と通院をためらうご家族も多いです。

そのため、動物病院での定期検診が難しい猫ちゃんの場合は、日々の様子をしっかり観察し、異変に気づいたらできるだけ早く対応することが大切です。

 

 

猫の腎臓病が進行するとどうなる?

腎臓病の進行とともに現れる症状

腎臓病が進行すると、猫ちゃんの体にはさまざまな変化が現れます。初期症状の段階では気づきにくかった異変も、次第にはっきりと見えてくるようになります。

- 食欲が著しく低下し、好きなものも食べなくなる

- 体重減少が顕著になり、骨ばってくる

- 毛づやがさらに悪くなり、被毛がバサバサする

- 嘔吐が頻繁になり、胃液を吐くことが増える

- 後肢のふらつきが強くなり、歩くのが困難になる

- 貧血が進行し、歯茎や舌の色が薄くなる

- おしっこの色が薄くなり、臭いが弱くなる

 

腎不全の末期に起こる変化

腎臓病がステージ4に進行すると、腎機能のほとんどが失われ、老廃物を排出できなくなります。すると、以下のような症状が現れることがあります。

- まったく食べなくなる

- 水を飲む量も減る

- 寝ている時間が圧倒的に長くなる

- 呼吸が荒くなることがある

- 意識がぼんやりする(尿毒症による影響)

- 強い貧血で動くのが困難になる

- 尿毒症による痙攣発作が起こる

 

猫の腎不全末期での選択肢

この段階になると、腎臓の機能を回復させることはできません。そのため、治療の目的は「腎臓の負担を軽減しながら、少しでも快適に過ごしてもらうこと」にシフトします。

選択肢としては、以下のようなものがあります。

- 皮下点滴で体の水分バランスを維持する

- 貧血対策として造血ホルモン剤を使用する

- 嘔吐や胃腸の不快感を和らげる内服薬を使う

- 食事を無理に与えず、猫ちゃんのペースに合わせる

- 酸素室を準備し、呼吸をサポートする

ご家族ができることは限られていますが、猫ちゃんが少しでも楽に過ごせるように、最適なケアを考えていくことが大切です。

 

 

在宅でできる腎不全のケア

皮下点滴による水分補給

腎不全の猫ちゃんにとって、皮下点滴は重要なケアのひとつです。特に、腎機能が低下すると体内の水分バランスが崩れ、脱水が進行しやすくなります。定期的に皮下点滴を行うことで、次のような効果が期待できます。

- 脱水を防ぎ、腎臓への負担を軽減する

- 老廃物の排出を促し、尿毒症の進行を遅らせる

- 食欲の回復をサポートする

ご家族が自宅で皮下点滴を行う場合、適切な手技と準備が必要です。当院では、ご家族が無理なく実施できるよう、丁寧にトレーニングを行っています。

 

投薬管理:無理なく飲ませる工夫

腎不全の治療では、複数の薬を併用することが一般的ですが、猫ちゃんにとって投薬は大きなストレスになりやすいものです。以下のような方法を取り入れることで、負担を軽減しつつ投薬を続けることができます。

- 錠剤をすりつぶしてウェットフードに混ぜる

- シロップタイプの薬をスポイトで与える

- 投薬用のおやつを活用する

- どうしても飲めない場合は、皮下点滴に切り替える

当院では、猫ちゃんの状態や性格に合わせた投薬方法を提案し、ご家族と一緒に最適な方法を見つけていきます。

 

食欲が落ちたときの対応

腎不全が進行すると、食欲が低下することがよくあります。無理に食べさせようとすると、かえって猫ちゃんにストレスを与えてしまうこともあるため、以下のような工夫をしながら様子を見ていきます。

- 好きなフードや手作り食を試してみる

- 温めて香りを立たせることで食欲を刺激する

- 強制給餌が必要かどうかを慎重に判断する

- 食欲促進剤の使用を検討する

最終的には、食べる・食べないも猫ちゃんの意思のひとつです。無理のない範囲で、ご家族と一緒にサポートしていきます。

 

 

家での生活環境の整え方

トイレ環境の工夫

腎不全の猫ちゃんは多飲多尿になり、トイレの回数が増えることが一般的です。また、体力の低下によりトイレまでの移動が負担になることもあります。以下のような工夫で、快適なトイレ環境を整えましょう。

- トイレの数を増やし、寝床の近くにも設置する

- 段差をなくし、入りやすい形状のトイレを選ぶ

- ペットシーツを活用し、万が一の粗相にも対応できるようにする

特に、高齢の猫ちゃんはトイレの失敗が増えることがあります。叱らずに、できるだけ負担のない環境を整えてあげることが大切です。

 

寝床と移動スペースの調整

腎不全が進行すると、筋力が低下し、ふらつきや転倒のリスクが高まります。安全で快適に過ごせるよう、寝床や移動スペースを見直しましょう。

- 柔らかく暖かいベッドを用意し、快適な睡眠環境を整える

- 滑りにくいマットを敷き、転倒を防ぐ

- キャットタワーの段差を減らし、安全に登れるようにする

寝床の位置を工夫することで、猫ちゃんが安心して休めるようになります。

 

温度管理と快適な空間作り

腎不全の猫ちゃんは体温調節が難しくなることがあります。特に冬場の寒さは体力を奪うため、適切な温度管理が重要です。

- 冬場は湯たんぽやペット用ヒーターで温かく保つ

- 夏場はエアコンや扇風機を使い、適度な涼しさを維持する

- 直射日光を避けつつ、適度に日向ぼっこできる場所を用意する

快適な環境を整えることで、猫ちゃんがリラックスして過ごせるようになります。

 

 

在宅緩和ケアでの投薬と水分補給

投薬の工夫と飲ませ方

腎不全の猫ちゃんにとって、適切な投薬は病状の進行を遅らせるために重要です。しかし、猫ちゃんは投薬を嫌がることが多いため、できるだけ負担の少ない方法を選ぶ必要があります。

- シロップや粉薬を使用し、投薬用のおやつやウェットフードに混ぜる

- カプセルに入れて匂いを抑え、投薬をスムーズにする

- 強制投薬が必要な場合は、事前に獣医師から適切な方法を学ぶ

無理に投薬すると猫ちゃんにストレスがかかるため、なるべく自然に摂取できる方法を探していくことが大切です。

 

水分補給の重要性

腎不全では脱水を防ぐことが非常に重要です。猫ちゃんが自発的に水を飲める環境を整えることで、体調を安定させやすくなります。

- 複数の場所に新鮮な水を用意し、いつでも飲めるようにする

- 流れる水を好む猫ちゃんには、自動給水器を設置する

- ウェットフードや水分を多く含むフードを与え、水分摂取量を増やす

猫ちゃんが水を飲みやすい環境を整えることが、腎臓の負担を軽減するポイントです。

 

皮下点滴の導入と実施方法

腎不全が進行すると、経口摂取だけでは十分な水分補給が難しくなることがあります。そのため、皮下点滴を取り入れることで、脱水を防ぐことができます。

- 獣医師の指導のもと、ご家族が自宅で皮下点滴を行う

- 点滴の頻度や投与量は、猫ちゃんの状態に合わせて調整する

- 点滴を行う際は、猫ちゃんがリラックスできる環境を整える

皮下点滴はご家族の協力が必要ですが、在宅緩和ケアを進める上で非常に有効な手段となります。

 

 

腎不全の猫ちゃんの生活環境の工夫

猫ちゃんが過ごしやすい環境作り

腎不全の猫ちゃんが快適に過ごせるように、生活環境を工夫することが重要です。体力の低下や関節の衰えを考慮し、以下のような調整を行いましょう。

- 移動の負担を減らすために、ベッドやトイレを近くに配置する

- 登り降りの負担を軽減するため、スロープやステップを設置する

- 寒さや暑さに敏感になるため、適温を維持できるように空調を調整する

 

トイレ環境の見直し

腎不全では多尿傾向があるため、トイレ環境の調整が必要です。

- トイレの数を増やし、猫ちゃんがすぐに行けるようにする

- 高さの低いトイレを用意し、足腰への負担を軽減する

- トイレの出入り口に滑り止めマットを敷き、安全に移動できるようにする

 

快適な寝床の準備

腎不全の猫ちゃんは寝ている時間が長くなるため、快適な寝床を用意しましょう。

- 体圧を分散するクッション性の高いベッドを用意する

- 冬場は湯たんぽや電気毛布などで適度に暖かさを確保する

- 静かで落ち着いた場所に寝床を配置し、ストレスを軽減する

生活環境の調整を行うことで、猫ちゃんが安心して過ごせる時間を増やしてあげることができます。

 

 

腎不全の猫ちゃんとの最期の時間

ターミナル期のサイン

腎不全が進行し、ターミナル期に入ると以下のような変化が見られることがあります。

- 食欲が極端に低下し、ほとんど食べられなくなる

- 水を飲む量が減り、脱水が進行する

- 動くことが少なくなり、一日の大半を寝て過ごす

- 呼吸が浅くなり、不規則になる

- 意識がぼんやりし、呼びかけへの反応が鈍くなる

これらの症状が見られた場合、積極的な治療を行うか、できるだけ穏やかに見送るか、ご家族での話し合いが必要です。

 

看取りに向けた準備

最期の時間を穏やかに過ごせるよう、以下の準備をしておきましょう。

- 猫ちゃんが安心できる静かな環境を整える

- 必要に応じて酸素ハウスや保温設備を用意する

- 食事が取れなくなった場合の水分補給方法を考える

- 痛みや苦しみを軽減するための頓服薬を準備する

- 看取りのタイミングについて、獣医師と相談しておく

 

ご家族の心の準備

看取りの時間はご家族にとっても精神的に大きな負担がかかる時期です。以下のポイントを意識して、心の準備を整えましょう。

- 「最期の時間をどう過ごしたいか」を家族で話し合っておく

- 愛猫の状態に合わせて、できることを受け入れる

- 悲しみや不安を抱え込まず、獣医師や周囲のサポートを頼る

- 後悔のないよう、できる限りそばにいてあげる

最期の時間をどう過ごすかは、それぞれのご家族によって異なります。どの選択も間違いではなく、愛猫とご家族にとって最善の方法を見つけることが大切です。

 

 

看取り後の対応とご家族のケア

看取り後の対応

愛猫が旅立った後、まずは静かにお別れの時間をとることが大切です。すぐに何かを決めなくても大丈夫です。以下の手順を参考にしてください。

- 猫ちゃんの体を優しく拭き、落ち着いた場所に寝かせる

- ご家族でお別れの時間をゆっくりととる

- 動物病院やペット葬儀社に連絡し、火葬や埋葬の手続きを確認する

- 信頼できる人に話を聞いてもらい、気持ちを整理する

 

ペット葬儀の選択肢

ペットの葬儀にはいくつかの方法があります。それぞれのご家庭に合った形を選びましょう。

- 個別火葬:自宅でお別れをした後、ペット専門の火葬施設で個別に火葬を行い、遺骨を手元に残す

- 合同火葬:他のペットと一緒に火葬し、遺骨は共同墓地に納める

- 自宅での供養:遺骨を手元に置き、写真や思い出の品とともに供養する

- ペット霊園での埋葬:専門の施設に納骨し、定期的にお参りできる場所を確保する

 

ご家族の心のケア

ペットを失った悲しみ(ペットロス)は、深い喪失感を伴うことがあります。無理に気持ちを切り替えようとせず、自然な形で受け入れることが大切です。

- 悲しい気持ちを抑え込まず、家族や友人と共有する

- 写真や思い出を振り返り、感謝の気持ちを持つ

- 必要であれば、ペットロスカウンセリングを受ける

- 次のステップに進む準備ができたら、新たな家族を迎えることを検討する

愛猫との時間はかけがえのないものであり、思い出はずっと心の中に残り続けます。どのような形であっても、大切な家族として過ごした時間を忘れずに、ゆっくりと前を向いていきましょう。

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犬の膵炎の在宅緩和ケア

犬の膵炎は、突然の嘔吐や激しい腹痛を伴い、場合によっては命に関わる病気です。多くのケースでは入院管理が推奨されますが、中には通院や入院が難しい犬もいます。

入院中のストレスや環境の変化により、状態が悪化してしまう犬も少なくありません。「できることなら自宅で落ち着いて過ごさせてあげたい」と考えるご家族のために、在宅緩和ケアの選択肢を詳しく解説します。
本記事では、膵炎の基本的な治療法に加え、在宅でできるケアの方法、症状の管理ポイントについてご紹介します。

 

目次

はじめに:膵炎とその治療の選択肢
膵炎の標準治療:通院・入院が可能な場合
在宅緩和ケアが必要なケースとは?
在宅での疼痛管理と症状緩和
在宅での経過観察と注意点
最期をどう迎えるか:ご家族の選択
まとめ:犬の膵炎と在宅緩和ケアの選択

 

 

はじめに:膵炎とその治療の選択肢

膵炎とは?犬の膵炎の基本

犬の膵炎は、膵臓が強い炎症を起こし、消化酵素が異常に分泌されることで膵臓自身を傷つけてしまう病気です。急性膵炎は特に症状が激しく、命に関わることもあります。
膵炎の発症には、脂肪分の多い食事や肥満、基礎疾患(クッシング症候群や糖尿病など)などが関係しているとされていますが、明確な原因が特定できないこともあります。

膵炎の症状と診断方法

膵炎の主な症状には以下のようなものがあります。

- 繰り返す嘔吐や下痢

- 食欲不振(全く食べなくなることも)

- お腹を触ると痛がる(腹部の違和感)

- 元気消失、ぐったりする

- 発熱や脱水

診断には、血液検査で膵炎のマーカー(Spec cPLIなど)を測定し、超音波検査で膵臓の腫れや異常を確認することが一般的です。

膵炎の治療方針と選択肢

膵炎の治療では、基本的に入院管理が推奨されます。その理由は、嘔吐や食欲不振が強いため、内服薬を使った治療が難しくなるためです。主な治療のポイントは以下の通りです。

- 点滴による水分・電解質補正

- 吐き気止めの投与

- 鎮痛剤による疼痛管理

- 必要に応じた抗生剤の使用

軽度の膵炎であれば、通院での治療も可能ですが、重度の場合には集中管理が必要になります。では、入院ができない場合、在宅でのケアはどこまで可能なのでしょうか?

 

 

膵炎の標準治療:通院・入院が可能な場合

入院管理のメリット

膵炎の標準治療は、基本的に入院での集中管理です。入院することで、以下のような治療が可能になります。

- 持続的な点滴で脱水や電解質バランスを整える

- 嘔吐がひどい場合でも、注射や点滴で薬を投与できる

- 痛みが強い場合に、持続的な鎮痛剤の投与が可能

- 必要に応じて酸素管理や血糖コントロールも実施できる

このように、入院管理は膵炎の治療において最も安定した環境を提供できます。

 

通院での治療が可能なケース

膵炎の症状が軽度で、嘔吐がそこまでひどくなく、食欲がわずかに残っている場合は、通院治療が可能です。通院治療では以下のような対応を行います。

- 点滴を打ち、脱水の進行を防ぐ

- 吐き気止めの注射や内服薬での対処

- 消化器サポートのフードを用いた食事療法

- 痛みが強くない場合の軽い鎮痛剤の使用

ただし、膵炎は急激に悪化することがあるため、通院での治療を選択する場合でも、慎重な経過観察が必要になります。

 

入院・通院のどちらが適しているのか?

愛犬の膵炎治療において、入院・通院のどちらが適しているかは、症状の重さやご家族の意向によります。以下のポイントを参考に判断することが重要です。

- 入院が適しているケース:重度の嘔吐・下痢、意識レベルの低下、強い腹痛、血液検査で著しい異常がある場合

- 通院が可能なケース:食欲がある程度あり、点滴での管理が不要な場合

- 在宅緩和ケアが必要なケース:入院や頻繁な通院ができない、または高齢やストレスに弱い犬である場合

もし入院や通院が難しい場合には、在宅での緩和ケアが選択肢になります。

 

 

在宅緩和ケアが必要なケースとは?

入院・通院が難しい理由

膵炎の治療には入院が推奨されますが、すべての犬が入院できるわけではありません。以下のような理由から、在宅緩和ケアを選択するご家族も少なくありません。

- 強い入院ストレス:病院が苦手で、入院すると極度のストレスを感じてしまう

- 家で最期を迎えたい:膵炎の重症度によっては回復が難しいため、病院で最期を迎えるのではなく、自宅で過ごさせたい

- 通院が困難:入院はさせたくないが、ご家族の事情により、頻繁な通院が難しい

このような場合、在宅での緩和ケアを検討することが重要になります。

 

在宅緩和ケアを選択する際のポイント

在宅緩和ケアでは、犬の症状を管理しながらできる限り苦痛を和らげることが目的になります。以下のようなポイントを押さえておくことで、適切なケアが可能になります。

- 吐き気止め・鎮痛剤の適切な使用:動物病院と相談し、在宅で使える薬を処方してもらう

- 水分補給の管理:皮下点滴を利用して脱水を防ぐ

- 食事管理:膵炎用の消化に優しいフードを準備し、少量ずつ与える

- 愛犬の変化をよく観察する:呼吸の異常、ぐったりしている、嘔吐が続くなどの症状があればすぐに獣医師に相談

在宅緩和ケアは、ご家族のサポートが不可欠です。そのため、無理のない範囲でケアできるよう、往診やオンライン相談などのサポートを活用することをおすすめします。

 

在宅緩和ケアのゴールとは?

在宅での膵炎ケアは、「回復を目指すケース」と「穏やかに見送るケース」の2つに分かれます。

- 回復を目指すケース:症状をコントロールしながら徐々に食欲や元気を回復させる

- 穏やかに見送るケース:愛犬が苦しまずに最期を迎えられるよう、疼痛管理や環境調整を行う

ご家族の希望に沿ったケアプランを立てることが大切です。

 

 

在宅緩和ケアの具体的な方法

1. 痛みの管理(鎮痛剤の使用)

膵炎の犬にとって痛みの管理は最も重要です。強い炎症が膵臓を刺激し、激しい腹痛を引き起こすため、適切な鎮痛剤の使用が不可欠です。

- 内服薬:軽度の痛みであれば、飲み薬での鎮痛管理が可能

- 皮下点滴による鎮痛薬:内服が困難な場合や、痛みが強い場合には、皮下点滴で鎮痛剤を投与

- 注射薬:必要に応じて、往診で鎮痛薬の注射を実施

在宅での鎮痛管理は、ご家族が犬の様子を観察しながら調整することが重要です。

 

2. 吐き気の管理(制吐剤の使用)

膵炎の犬は強い吐き気を感じることが多いため、食事を受け付けなくなることがあります。これを防ぐために、以下のような対応を行います。

- 制吐剤の内服:嘔吐が軽度であれば、内服薬でコントロール

- 皮下点滴での制吐剤投与:食欲がない場合には、皮下点滴に制吐剤を混ぜて投与

- 食事の工夫:少量ずつ、消化に優しいフードを与える

嘔吐が続く場合には、速やかに獣医師に相談することが大切です。

 

3. 水分補給(皮下点滴の実施)

膵炎による脱水を防ぐために、在宅での皮下点滴が推奨されます。

- 1日1回、皮下点滴を実施(ご家族が自宅で行う場合はトレーニングが必要)

- 電解質バランスを考慮:適切な輸液を使用し、犬の状態に合わせて調整

- 水分摂取のサポート:皮下点滴だけでなく、飲水量を確保できるよう、工夫が必要

皮下点滴の頻度や量は、獣医師と相談しながら調整しましょう。

 

4. 食事管理(膵炎用の低脂肪フード)

膵炎の犬にとって、適切な食事管理は回復の鍵となります。

- 低脂肪・消化の良い食事を選ぶ

- 少量ずつ、こまめに与える

- 食欲がない場合は流動食やシリンジ給餌を検討

食事の選択肢についても、獣医師と相談しながら決定することが大切です。

 

5. 環境の整備(安静とストレス軽減)

膵炎の犬は静かで落ち着いた環境で過ごすことが重要です。

- 安静を保てるスペースを作る

- 動きやすい場所にベッドやトイレを配置

- ストレスを最小限に抑えるため、過度な接触を避ける

快適な環境を整えることで、犬が少しでも楽に過ごせるようサポートします。

 

 

在宅緩和ケアの経過とご家族の対応

1. 初診時の状態とご家族の決断

犬の膵炎が判明し、ご家族は入院ではなく在宅での緩和ケアを選択しました。初診時には以下のような状態でした。

- 食欲低下:3日間ほとんど食べられていない

- 嘔吐が継続:水を飲んでも吐いてしまう

- 腹痛の兆候:背中を丸めるような姿勢

- 脱水の進行:皮膚をつまんでも戻りが遅い

この状態から、ご家族と相談しながら在宅緩和ケアのプランを決定しました。

 

2. 皮下点滴と投薬の実施

在宅での緩和ケアでは、皮下点滴と投薬が重要な役割を果たします。

- 皮下点滴:毎日2回、ご家族が自宅で実施(獣医師が指導)

- 鎮痛剤:痛みのコントロールのために定期投与

- 制吐剤:嘔吐を防ぐために皮下投与

ご家族には、投薬のタイミングや皮下点滴の方法について詳しくレクチャーしました。

 

3. 食事の工夫と経過

膵炎の犬は適切な食事管理が回復の鍵となります。

- 食事の工夫:低脂肪フードを少量ずつ与える

- 食欲がない場合:流動食をシリンジで与える

- 水分摂取:常に新鮮な水を用意し、飲水量を確認

在宅ケア開始から2日目には、少量ずつ食事を取れるようになりました。

 

4. ご家族のサポートと犬の変化

在宅緩和ケアの成功には、ご家族の協力が不可欠です。

- 観察の継続:毎日の様子を記録し、診察時に獣医師と共有

- 環境の整備:安静に過ごせる場所を確保

- ストレス軽減:いつも通り声をかけながら落ち着いた環境を維持

これにより、犬は次第に回復の兆しを見せ、落ち着いて過ごせるようになりました。

 

 

在宅緩和ケアの結果と今後の見通し

1. 在宅ケア開始後の経過

在宅緩和ケアを開始してから、犬の体調には徐々に変化が見られました。

- 1日目:嘔吐が軽減し、落ち着いて過ごせる時間が増える

- 4日目:少量ながら食事を受け付けるようになる

- 7日目:動きが出始め、短時間の歩行も可能に

- 14日目:食事量が安定し、投薬もスムーズに進む

この段階で、ご家族からも「少し元気になってきた気がする」という声が聞かれました。

 

2. 改善が見られたポイント

在宅緩和ケアによって、以下の点で改善が見られました。

- 嘔吐の完全抑止:制吐剤の効果で安定

- 食欲の回復:低脂肪フードを少量ずつ摂取

- 痛みの軽減:鎮痛剤により落ち着いた様子を維持

- ご家族の不安が軽減:在宅ケアに慣れ、対応がスムーズに

 

3. 今後の見通しと注意点

このまま安定した状態を維持できるよう、ご家族と協力しながらケアを継続していきます。

- 継続的なモニタリング:食欲や排泄、元気の有無を確認

- 皮下点滴の頻度調整:体調に応じて量や回数を調整

- 緊急時の対応準備:急変時の対処法を事前に共有

今後も定期的なフォローを行い、犬ができるだけ穏やかに過ごせるようサポートを続けます。

 

 

在宅緩和ケアの選択肢とご家族の決断

1. 入院と在宅ケアの選択肢

急性膵炎の治療には、一般的に以下の2つの選択肢があります。

- 入院治療:点滴や注射を用いて集中的に管理する

- 在宅緩和ケア:症状を和らげながら、自宅で見守る

本来であれば、入院管理が最善とされるケースが多いですが、ご家族の考え方や犬の性格、病状によっては在宅緩和ケアが適した選択となることもあります。

 

2. ご家族が在宅ケアを選択した理由

今回のケースでは、ご家族は入院ではなく在宅緩和ケアを選びました。その理由として、以下の点が挙げられます。

- 犬が入院を極度に嫌がる:ストレスで状態が悪化する可能性があった

- 自宅で穏やかに過ごさせたい:環境の変化がない方が安心できる

- 最後までそばにいたい:万が一のときに、一緒にいられる

- 治療の方向性を緩和ケアにシフト:病気の進行を考慮し、苦痛を和らげる方針に

こうしたご家族の想いを尊重し、往診でのサポート体制を整えました。

 

3. 在宅緩和ケアの準備と方針

在宅緩和ケアを選択するにあたり、以下の準備を行いました。

- 皮下点滴の指導:自宅での実施方法を詳しくレクチャー

- 投薬管理の調整:飲みやすい形での処方を検討

- 緊急時の対応プラン:急変時の行動指針を作成

ご家族の不安を軽減し、できる限り安心して看護できる環境を整えました。

 

 

まとめ:在宅緩和ケアを通じて感じたこと

1. ご家族の決断と向き合い方

今回のケースでは、入院ではなく在宅緩和ケアを選択し、ご家族が犬のそばで最後まで見守る道を選びました。この選択には、不安や葛藤が伴いましたが、「できる限り穏やかに過ごさせたい」という強い想いがありました。

在宅緩和ケアでは、獣医師の往診サポートのもと、ご家族が主体となってケアを行うことになります。だからこそ、事前にしっかりと準備し、正しい知識を持つことが重要です。

 

2. 在宅緩和ケアのメリットと課題

在宅緩和ケアを選択することで、以下のようなメリットがありました。

- 自宅という安心できる環境で過ごせる

- ご家族が最期までそばにいられる

- ストレスを最小限に抑えられる

一方で、次のような課題もありました。

- ご家族がケアを担う負担がある

- 急変時の対応が必要になる

- 精神的なプレッシャーを感じることがある

こうした課題を少しでも軽減するために、獣医師と密に連携をとり、状況に応じたサポートを受けながら進めていくことが大切です。

 

3. 最後に:後悔のない時間を過ごすために

在宅緩和ケアは、「最期まで穏やかに過ごさせてあげたい」と願うご家族にとって、大切な選択肢のひとつです。しかし、その道のりは決して簡単なものではなく、冷静な判断や決断が求められる場面もあります。

大切なのは、「どの選択が正解か」ではなく、「ご家族がどのように寄り添いたいか」です。最期の時間をどう過ごすか、どのようなサポートが必要かを考えながら、ご家族とペットが納得できる形を選んでいただきたいと思います。

もし在宅緩和ケアについてお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。ペットとご家族が安心して過ごせるよう、最適なプランをご提案いたします。

 

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犬の肺水腫の在宅緩和ケア

肺水腫とは?

肺水腫は、心臓の機能が低下することで肺に水が溜まり、呼吸が苦しくなる状態です。特に小型犬の高齢期に多くみられる僧帽弁閉鎖不全症が進行すると、心臓のポンプ機能が低下し、肺水腫を引き起こすことがあります。

今回ご紹介するのは、13歳の小型犬モコちゃんのケースです。モコちゃんは2ヶ月前に僧帽弁閉鎖不全症と診断され、内服薬で経過観察を続けていました。しかし、ある日突然呼吸が荒くなり、肺水腫が疑われる状態に。動物病院で緊急処置を受けましたが、ご家族は入院ではなく在宅での緩和ケアを選択しました。

本記事では、モコちゃんの在宅緩和ケアの流れを通じて、肺水腫の管理やケアのポイントについて詳しく解説します。

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目次

モコちゃんのケース:肺水腫発症から在宅緩和ケアへ

在宅緩和ケアの開始:呼吸を楽にするための対策

現在の経過と今後の展望

まとめ:肺水腫の犬を在宅で支えるために

 

 

肺水腫発症から在宅緩和ケアへ

診断から2ヶ月間の経過

モコちゃんは13歳の小型犬で、2ヶ月前にかかりつけの動物病院で僧帽弁閉鎖不全症と診断されました。当初は内服薬で経過観察を続けていましたが、3日ほど前に呼吸がゼコゼコしているのに気づいたとのことでした。元気食欲などの一般状態には大きく変化はなく、たまたま定期検診だった日の前日の夜から体調が悪そうで、検査日当日は食欲廃絶の状態だったとのことでした。

 

呼吸状態の急変と肺水腫の診断

定期検診の当日、ご家族がモコちゃんの呼吸が異常に荒く、苦しそうにしていることに気づき、動物病院で詳しい検査をお願いしたところ、超音波検査を実施しようとした時に急変し、呼吸状態が一気に増悪したとのことでした。すぐに利尿剤などを用いた緊急処置を受けましたが、ご家族は入院でお別れしてしまうリスクを考慮し、ご自宅に連れて帰り、最後の時間を在宅緩和ケアで過ごさせたいと希望されました。

 

在宅緩和ケアの選択

動物病院では、急性肺水腫を疑う場合には、緊急処置と徹底した入院管理を行うことが常ですが、その選択が正しかったかどうかは、結果を見てみなければ誰も断定できません。モコちゃんのご家族は「入院中に亡くなってしまうのではないか」という不安を抱えました。

結果として、最期の時間を家で過ごさせてあげたいという想いから、入院ではなく在宅での緩和ケアを選択しました。

 

 

在宅緩和ケアの開始

酸素環境の構築

モコちゃんのご家族は、帰宅後すぐに酸素ハウスの導入を決定しました。肺水腫の犬にとって、酸素濃度を適切に維持することは、呼吸の負担を軽減するために非常に重要です。

当院では、以下のような方法で酸素環境の構築をサポートしました。

- 酸素発生装置をレンタルし、モコちゃんが落ち着いて過ごせるスペースを確保

- 酸素ハウス内の温度や湿度を適切に管理

- モコちゃんの呼吸状態に適した酸素濃度指示

 

皮下点滴と投薬プランの調整

肺水腫の犬では、内服薬を無理に飲ませることで誤嚥やストレスによる悪化が懸念されます。そのため、モコちゃんには以下の対応を実施しました。

- 一旦内服薬の全面中止と注射薬への変更

- 皮下点滴による投薬を導入し、必要な薬剤を投与

- 利尿剤を適切な用量で使用し利尿による呼吸状態改善を目指す

モコちゃんは、ご家族の優しい声掛けと適切な環境調整により、少しずつ落ち着きを取り戻しました。診療の最後には、寝返りや呼び掛けに応じるなどの行動を見せてくれました。

 

食欲管理と日常生活のケア

肺水腫の犬は、呼吸が苦しくなることで食欲が低下しがちです。モコちゃんの場合も、食事を口にする機会が減っていました。そのため、ご家族には以下のような工夫をお願いしました。

- モコちゃんが好む食材を与える

- 水分補給は自由にさせてあげる

このようなケアを通じ、モコちゃんが少しでも体調を安定させ、もしかしたら酸素室から離脱できるかもしれない期待をみつつ、僧帽弁閉鎖不全症からの肺水腫に対する在宅緩和ケアが始まりました。

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現在の経過と今後の展望

在宅緩和ケア開始時の状況

モコちゃんは、在宅緩和ケアを開始したばかりであり、まだ安定しているとは言えない状態です。呼吸は高濃度酸素下でかろうじて維持できており、皮下点滴による治療と酸素環境の調整を行いながら、少しずつ様子を見ていく段階です。

 

モコちゃんの今後の展望

現時点では、今後の経過がどのように進むかは分かりません。大きく分けると以下の2つのシナリオが考えられます。

 

回復に向かう場合

- まずは酸素室内での飲食ができるようになる

- 現在は酸素濃度を高めに設定しているため、徐々に濃度を下げても呼吸の乱れが起きないか確認

- 酸素濃度を30%台まで下げることができれば、酸素室からの離脱が視野に入る

- 呼吸の安定を最優先しながら、皮下点滴での投薬を継続し、状態が良くなれば内服薬へ移行

- 最終的に酸素室なしで日常生活を送れるようになり、内服薬でのコントロールが可能になるのが理想のゴール

 

病状が進行する場合

- 高濃度酸素下でも呼吸促迫が止まらない

- 食欲廃絶が続き、栄養補給が困難になる

- 利尿剤を投与しても排尿が認められない状態になる

 

今後の診療計画

今後の診療では、モコちゃんの呼吸状態、食欲、排尿の有無などをこまめにチェックしながら、適切なケアを続けていきます。回復に向かうか、それとも悪化していくかは、今後の経過次第です。引き続きご家族と連携を取りながら、可能な限り最善のサポートを行っていきます。

どちらの道を進むのか、または紆余曲折しながらどちらにも揺れ動くのか、慎重に見守りながらケアを続けます。

 

 

まとめ:肺水腫の犬を在宅で支えるために

在宅緩和ケアの選択とその意義

肺水腫を発症した犬にとって、在宅緩和ケアは、ご家族が最期まで寄り添いながら治療を行う選択肢の一つです。モコちゃんのように、入院ではなく自宅でのケアを希望するケースでは、適切な環境を整え、状態を見ながら慎重に対応することが求められます。

 

肺水腫の犬に必要なサポート

- 酸素環境の適切な管理:酸素室や酸素発生装置を活用し、呼吸の負担を軽減する

- 定期的な状態チェック:呼吸の変化、食欲、排尿の有無をこまめに確認する

- 適切な投薬プラン:内服薬の調整や皮下点滴による薬剤投与を行い、症状を管理する

家族の心構え:病状の進行に備え、最期まで穏やかに見守る準備をする

 

モコちゃんのこれから

モコちゃんは、まだ在宅緩和ケアを開始したばかりです。今後の経過次第で、回復に向かう可能性もあれば、症状が悪化することも考えられます。どのような道を辿るにせよ、ご家族がモコちゃんと過ごす時間を大切にしながら、最適なサポートができるよう努めていきます。

 

在宅緩和ケアのご相談について

肺水腫や心臓病を抱える犬の在宅緩和ケアについて、ご相談を希望される場合は、お気軽にご連絡ください。東京23区を中心に往診を行い、愛犬とご家族が安心して過ごせるようサポートいたします。

 

 

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在宅緩和ケアの流れとは?

高齢や病気によって通院が難しくなったペットにとって、在宅緩和ケアは大切な選択肢のひとつです。自宅での診療を通じて、ペットができるだけ苦しまずに穏やかに過ごせるようにサポートします。

わんにゃん保健室では、ご家族の不安に寄り添いながら、診療・投薬指導・在宅酸素の導入・定期フォローアップまで、一貫した緩和ケアを提供しています。

この記事では、当院の在宅緩和ケアの流れを詳しくご紹介します。ペットの最期の時間を後悔のないものにするために、ぜひご一読ください。

▼この記事の内容

 

 

1. 在宅緩和ケアとは?自宅での安心した医療を提供

在宅緩和ケアの目的

在宅緩和ケアは、病気や加齢によって通院が難しくなったペットが、ご家族と一緒に自宅で穏やかに過ごせるようにサポートする医療ケアです。

緩和ケアの目的は、「治すこと」ではなく、「苦痛を軽減し、穏やかな時間を過ごす」ことにあります。

  • 痛みや呼吸困難の緩和
  • 食欲低下時のサポート
  • 生活環境の調整とご家族の負担軽減

通院が難しいペットとご家族の負担軽減

高齢や病気の進行により、ペットがキャリーに入るのを嫌がる、移動の負担が大きいといった理由から、通院が難しくなることがあります。また、大型犬の場合は、歩けなくなると通院自体が物理的に困難になります。

往診による在宅緩和ケアでは、自宅で診療を受けられるため、ペットのストレスを大幅に軽減でき、ご家族も移動の負担を減らすことができます。

こんなペット・ご家族におすすめ

  • ペットが高齢で通院の負担が大きい
  • 病気の進行により、動物病院までの移動が困難
  • ペットが通院を極端に嫌がる(キャリーを見ただけでパニックになる)
  • 最期の時間をできるだけ穏やかに過ごさせたい

在宅緩和ケアを選択することで、ペットのストレスを最小限に抑えながら、ご家族がそばで見守ることが可能になります。

 

 

2. じっくり時間をかけた初回カウンセリング

初診は約2時間:ペットとご家族の状況を深く理解する

在宅緩和ケアを始める際、最も重要なのが初診の問診とカウンセリングです。ペットの病状だけでなく、ご家族の意向や生活環境も考慮しながら、最適な緩和ケアのプランを作成します。

当院では、初診時に約2時間をかけて以下のような内容を詳しく伺います。

  • ペットの病歴・現在の症状・服用中の薬
  • 食欲や排泄の状態、普段の生活リズム
  • ご家族のケアに対する考え方(どこまで治療をするか)
  • ペットが快適に過ごせる環境の確認

ご家族の気持ちに寄り添った方針の模索

緩和ケアでは、ペットのためだけでなく、ご家族の負担を減らすことも重要です。そのため、以下のような点も考慮しながら、無理のないケアプランを模索します。

  • ご家族がケアに割ける時間(仕事や家庭の事情)
  • どこまで治療を続けるか、在宅でどのように見守るか
  • 「最後まで自宅で看取りたい」「少しでも長く一緒にいたい」などの希望

「何が正解かわからない」「どうしてあげるのが一番いいのか迷う」と感じる方も多いため、獣医師と一緒に考えながら、最適な方針を決めていくことを大切にしています。

診療後に行う方針の決定

初診後には、問診と診察結果をもとに、以下のような方針を決めていきます。

  • 緩和ケアを進める上での具体的なケアプラン
  • 内服薬や皮下点滴の導入有無
  • 必要に応じた酸素管理の計画
  • ご家族ができる在宅ケアの指導

初診時にしっかりと方針を決めておくことで、今後のケアをスムーズに進めることができます。

 

 

3. 診察の流れと検査の実施

診察は基本的に獣医師1名で実施

在宅緩和ケアの診察は、ペットのストレスを最小限に抑えるため、基本的に獣医師1名で訪問し、穏やかな環境で行います。

診察では、ペットの状態を総合的に確認し、ご家族が普段気になっている症状についても詳しく伺います。

必要な検査の実施と動物看護師の同行

病状の変化を正確に把握するために、検査が必要な場合は動物看護師1~2名が同行し、以下のような検査を行います。

  • 血液検査:腎機能・肝機能・貧血の状態を確認
  • 超音波検査:胸水や腹水の有無、腫瘍の状態を確認
  • レントゲン検査:呼吸器や心臓の状態を把握(ご自宅では不可)

ご家族と結果を共有し、今後の方針を決定

検査結果はその場でご家族と共有し、今後のケア方針を相談しながら決定します。

  • 検査結果に応じた内服薬や皮下点滴の調整
  • 病状の進行に合わせた酸素管理の必要性
  • ご家族ができる在宅ケアの範囲

診察と検査を通じて、ペットの状態を正確に把握し、ご家族と一緒に最適なケアプランを立てていきます。

 

 

4. 具体的な在宅緩和ケアプランの策定

ペットの状態に応じた個別ケアプラン

診察と検査の結果をもとに、ペットの状態やご家族の希望に合わせた個別の在宅緩和ケアプランを作成します。

緩和ケアは「全ての症状に対処する」のではなく、ペットの負担を最小限にしながら快適に過ごせる方法を選択することが大切です。

緩和ケアプランの主な内容

  • 内服薬・皮下点滴の投与計画:投薬が難しい場合の代替方法も考慮
  • 呼吸管理:酸素発生装置の導入や使用方法の指導
  • 食事管理:食欲低下時の補助方法や好みに合わせた食事調整
  • 疼痛管理:痛みがある場合の鎮痛薬の使用
  • 生活環境の調整:移動しやすいスペース作りや寝床の整備

ご家族が無理なく続けられるプランを

緩和ケアは、ご家族が毎日行うケアでもあるため、無理のない範囲で続けられることが重要です。

  • 仕事や家事の合間でもできるケア方法の提案
  • ご家族の負担が少ないシンプルな投薬・点滴スケジュール
  • ペットの性格に合わせたストレスの少ない方法を優先

「何を優先すべきか」「何を諦めるべきか」も一緒に考えながら、最適なケアプランを決めていきます。

 

 

5. 内服薬・皮下点滴などの投薬指導

ご家族が無理なくできる投薬方法を提案

緩和ケアでは、投薬が負担になりすぎないことが大切です。ペットの性格やご家族の状況に合わせ、ストレスの少ない方法を提案します。

「内服薬が飲めない=治療ができない」わけではありません。飲めない場合には、皮下点滴や注射薬への切り替えを検討します。

内服薬の工夫とサポート

  • 投薬補助おやつ:おやつの中に薬を包み、自然に食べてもらう
  • ウェットフードに混ぜる:香りが強いフードで薬を包み込む
  • カプセルに入れて負担を減らす:苦味がある薬はカプセルで飲ませる

投薬に慣れていないご家族には、実際にやり方を見せながら指導し、スムーズにできるようサポートします。

皮下点滴の導入とトレーニング

腎不全や脱水症状がある場合、皮下点滴が在宅ケアの重要なポイントになります。ご家族が安心して実施できるよう、以下の点を重点的に指導します。

  • 適切な針のサイズと点滴量の確認
  • 皮下に適切に点滴液を注入する方法
  • ペットがリラックスできる体勢と環境作り

無理なく続けられる投薬計画

「毎日投薬しなければならない」と思うと、ご家族にとって大きな負担になります。そのため、無理なく続けられるスケジュールを提案します。

  • 飲ませる回数を最小限にする(1日1回にまとめるなど)
  • どうしても飲めない薬は皮下点滴や注射薬に切り替え
  • 投薬がストレスにならないよう、成功率の高い方法を選ぶ

ご家族が安心して投薬や点滴ができるよう、実践的なアドバイスを行いながらサポートします。

 

 

6. 生活環境に合わせた在宅酸素の運用指導

呼吸状態が悪化したときのための酸素管理

心疾患や腫瘍、腎不全の進行により、呼吸が苦しくなることがあります。このような場合、在宅での酸素療法が重要になります。

特に以下のような症状が見られた場合は、早めの酸素環境の整備を推奨します。

  • 呼吸が速く、浅い(頻呼吸)
  • お腹を使った呼吸(努力呼吸)
  • 伏せの姿勢で首を伸ばし、口を開けて呼吸する

在宅での酸素供給の方法

在宅で酸素を供給する方法には、酸素発生装置酸素ボンベの2種類があります。

  • 酸素発生装置:長時間の使用が可能で、自宅での管理に適している
  • 酸素ボンベ:緊急時に高濃度の酸素を即座に供給できる

酸素ハウスの活用と環境調整

小型犬や猫の場合、酸素ハウス(簡易的な酸素室)を設置することで、呼吸状態の安定を図ることができます。

  • ペットが出入りできるようにして、ストレスを最小限に
  • 室内の酸素濃度を適切に管理する(測定器の使用)
  • 酸素の供給量を状態に応じて調整する

大型犬の場合は酸素ハウスの設置が難しいため、鼻先に酸素を吹きかける方法を採用します。

ご家族ができる酸素療法の工夫

酸素管理を在宅で行うためには、ご家族の協力が不可欠です。以下のような工夫で、より効果的な酸素供給が可能になります。

  • 酸素発生装置の設置場所をペットの好きな場所に調整
  • 酸素を嫌がる場合は、徐々に慣れさせる
  • ペットがリラックスできる環境を作り、呼吸を落ち着かせる

在宅での酸素療法は、ご家族の理解と協力が不可欠です。事前に準備し、適切なタイミングで導入することで、ペットの呼吸状態を安定させることができます。

 

 

7. 定期フォローアップとご家族へのサポート

定期的な訪問診療でペットの状態を把握

在宅緩和ケアでは、定期的なフォローアップが重要です。ペットの状態に合わせて、診察やケアプランの見直しを行います。

訪問診療の頻度は以下を目安に調整します。

  • 安定している場合:1〜3ヶ月に1回程度の訪問診療
  • 症状が進行している場合:2週間~1週間に1回
  • 終末期の管理:必要に応じた頻回のフォローアップ

ご家族が不安にならないためのサポート

緩和ケアでは、ペットだけでなくご家族のサポートも大切です。ご家族が「何をすればいいかわからない」とならないよう、以下の対応を行います。

  • ペットの状態が悪化したときの対応方法を事前に説明
  • 食欲低下や呼吸の変化など、注意すべきポイントを共有
  • 内服薬・点滴の管理に関する相談受付

緊急時の対応と判断のポイント

「急に元気がなくなった」「食欲が落ちた」「呼吸が苦しそう」など、緊急時の対応が必要な場面では、すぐにご相談いただける体制を整えています。

ただし、緩和ケアを行う上で、救急対応が難しいケースもあります。そのため、以下のようなポイントを事前にお伝えし、ご家族に判断していただくこともあります。

  • 動物病院に連れて行くべきか、在宅で見守るべきか
  • 症状が出たときの具体的な対応手順
  • どのような状態が「危険な兆候」なのかを理解しておく

ご家族が不安なく対応できるよう、事前にしっかりと準備を整え、サポートしていきます。

 

 

8. わんにゃん保健室の在宅緩和ケアとは

在宅緩和ケア専門の動物病院として

「わんにゃん保健室」は、ペットの在宅緩和ケアを専門とする往診専門の動物病院です。通院が難しくなったペットとご家族のために、ご自宅での診療を提供しています。

当院では、病気の治療だけでなく、ペットとご家族が穏やかに過ごせることを最優先に考え、以下のような診療を行っています。

  • 緩和ケアの方針決定とカウンセリング
  • ご自宅での診察・検査・処置
  • 内服薬や皮下点滴などの投薬指導
  • 在宅での酸素管理サポート
  • 終末期のケアと看取りのサポート

東京23区を中心に訪問診療を実施

わんにゃん保健室では、東京23区を中心に往診を行っています。ご自宅での診療をご希望の方は、お気軽にご相談ください。

「病院に連れて行くのが難しくなった」「ペットが通院を嫌がるようになった」と感じたら、一度往診を検討してみてください。

ご相談・お問い合わせ

ペットの在宅緩和ケアについてのご相談は、当院の公式サイトまたはお電話にて受け付けています。

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ペットのターミナルケア

ペットの最期の時間を迎えるとき、ご家族にはさまざまな選択が求められます。「もっと何かできたのでは?」「これでよかったのだろうか?」と、迷いや葛藤を抱えることも少なくありません。

ターミナルケアでは、時に冷静な判断を求められる場面があります。しかし、その選択は「正解・不正解」ではなく、「その子にとって最善かどうか」が大切です。ご家族の決断に後悔が残らないよう、ペットの状態や希望をしっかりと見つめ、自分を信じて選択していくことが重要です。

この記事では、ターミナルケアにおいてご家族が持つべき心構えや、決断のポイントについてお伝えします。

【目次】

 

1. ターミナルケアとは?

ペットのターミナル期とは?

ターミナル期とは、病気の進行や加齢により治療による回復が見込めなくなった段階のことを指します。この時期のケアでは、延命を目的とするのではなく、ペットができるだけ苦痛を感じず、穏やかに過ごせることを最優先に考えます。

ターミナルケアの目的と役割

ターミナルケアの最大の目的は、ペットの生活の質(QOL)を維持し、できる限り安らかに最期を迎えられるようにすることです。そのため、以下のようなケアが行われます。

  • 痛みや苦しみを和らげるための緩和医療
  • 呼吸困難時の酸素供給や環境調整
  • 食欲が低下した際のサポート
  • ご家族の精神的なケアと意思決定のサポート

在宅ケアと病院ケアの違い

ターミナル期のケアには、動物病院での治療と在宅での緩和ケアの2つの選択肢があります。

  • 病院でのケア: 集中的な医療措置が可能だが、移動や環境のストレスが大きい
  • 在宅ケア: 慣れた環境で安心して過ごせるが、家族のサポートが必要

どちらの選択肢がペットにとって最善かを、ご家族と獣医師で話し合いながら決めることが大切です。

 

 

2. ご家族が持つべき心構え

冷静な判断が求められる場面

ターミナル期では、ご家族が「何をしてあげるべきか」「どこまで治療を続けるべきか」といった選択を迫られることが多くなります。特に、延命処置を行うか、緩和ケアに切り替えるかの判断は、多くのご家族にとって難しい決断です。

その場の感情に流されず、ペットにとって何が最善かを考えることが大切です。決して「諦める」のではなく、「ペットのために最良の選択をする」という視点を持つことが求められます。

「してあげたいこと」と「必要なこと」

ご家族は、「もっとご飯を食べてほしい」「最期まで歩かせてあげたい」など、できるだけ今まで通りの生活を送らせてあげたいと思うものです。しかし、ペット自身がそれを望んでいるかどうかを考えることも重要です。

例えば、食事を無理に与えることで苦しみが増す場合もあります。また、移動が負担になる状態で無理に歩かせることが、ペットの体力を奪うこともあります。「本当に必要なことは何か?」を冷静に見極めることが大切です。

自分の決断を信じることの大切さ

どんな選択をしても、「あの時こうしていれば…」という後悔が残ることは少なくありません。しかし、その時の自分が精一杯考えて出した決断であれば、それがペットにとって最善の選択だったはずです。

「正解のない選択」だからこそ、ご家族はペットの状態と向き合い、自分を信じて決断をすることが必要になります。迷ったときには、獣医師や周囲のサポートを受けながら、冷静に判断できる環境を整えましょう。

 

 

3. ターミナル期における決断

延命治療を続けるか、緩和ケアに切り替えるか

ターミナル期では、延命治療を続けるか、緩和ケアに移行するかの判断が求められます。

  • 延命治療:さまざまな方法を駆使して、できる限り生命を維持する
  • 緩和ケア:痛みや苦しみを和らげ、穏やかに過ごせるようサポートする

どちらの選択肢も間違いではなく、ご家族の価値観やペットの状態に合わせて決めることが大切です。

苦痛緩和のための鎮静や鎮痛処置

ターミナル期には、呼吸困難や痛みが出てくることがあり、鎮静剤や鎮痛剤を使用するかどうかの判断が必要になることがあります。

しかし、ご家族の中には「意識がなくなってしまうのでは?」という不安を感じる方もいます。獣医師と相談しながら、ペットにとって最良の方法を選択することが重要です。

最期をどこで迎えさせてあげるか

ペットの最期を病院で迎えるのか、それとも自宅で迎えるのかという選択も、ご家族にとって大きな決断となります。

  • 病院での看取り:医療設備が整っているため、緊急対応が可能
  • 在宅での看取り:慣れた環境で、家族に囲まれて穏やかに過ごせる

在宅での看取りを希望される場合は、事前に緩和ケアの準備を整えておくことが大切です。

 

 

4. ご家族自身のケアも大切に

ペットロスとどう向き合うか

ターミナルケアの過程では、ペットの状態を見守る中で強い悲しみや不安を感じることがあります。そして、最期を迎えた後も「ペットロス」と呼ばれる喪失感に苦しむことが少なくありません。

  • 「もっと何かできたのでは?」と後悔してしまう
  • ペットがいない日常に適応するのが難しくなる
  • 気持ちの整理がつかず、涙が止まらない

ペットロスは自然な感情です。大切なのは、一人で抱え込まずに誰かに気持ちを話すこと。家族や獣医師、ペットロスに理解のある友人と、気持ちを共有することが心のケアにつながります。

少しでも後悔しないためにできること

「もっとこうしてあげればよかった…」と後悔しないために、以下のことを意識してみてください。

  • ペットの様子を日々観察し、必要なケアを行う
  • 「何が正解か」ではなく、「今できる最善の選択」を考える
  • 決断に迷ったときは、獣医師や専門家の意見を参考にする

ご家族が冷静に考え、しっかりと向き合うことで、「最期までできることをやってあげられた」と思えるようになります。

支えてくれる人と繋がる

ターミナルケアの期間は、ご家族自身の心のケアも非常に重要です。一人で抱え込まず、信頼できる人と話すことで気持ちが少し楽になることもあります。

  • 動物病院のスタッフや往診獣医師に相談する
  • 同じ経験をした飼い主さんと交流する
  • ペットロスのサポートグループに参加する

ペットのためにも、ご家族自身の心のケアを大切にしながら、最期までしっかりと寄り添っていきましょう。

 

 

5. 獣医師ができるサポート

ご家族の決断を支える役割

ターミナルケアでは、ご家族が重要な決断を迫られる場面が多くあります。しかし、その決断を一人で抱え込む必要はありません。きっとかかりつけの獣医師は、医学的な視点だけでなく、ご家族の気持ちにも寄り添いながら、最善の選択をサポートしてくれるはずです。

  • 現在のペットの状態を正しく把握する
  • 緩和ケアに関する選択肢を分かりやすく説明する
  • ご家族の意向に沿った治療・ケアプランを提案する

「このまま見守るべきか、処置をするべきか」など、判断に迷った際には、獣医師と話し合うことで適切な選択ができるようになります。少なくとも、ご家族としてどうしていきたいのかを、できるだけ明確にして伝えましょう。

ターミナルケアにおける医療の選択肢

ペットの状態に応じて、ターミナル期には以下のような医療的な選択肢が考えられます。

  • 痛みや苦しみを軽減するための鎮痛剤・鎮静剤
  • 呼吸が苦しい場合の酸素供給(酸素発生装置、酸素マスク)
  • 水分補給のための皮下点滴
  • 食事が取れない場合の栄養管理

「どこまで治療を行うか」はご家族の希望によって異なります。獣医師と相談しながら、ペットにとって一番穏やかに過ごせる方法を選びましょう。

ご家族とペットのための最適なプラン

ターミナルケアは、ペットだけでなく、ご家族にとっても大切な時間です。獣医師は、その時間が少しでも穏やかに、後悔のないものとなるよう、サポートを提供します。

  • ペットの体調に応じたケアプランを作成
  • ご家族が自宅でできるケアのアドバイス

「何をしてあげるべきか」と悩むのではなく、「今、何ができるのか」を一緒に考えながら、最期の時間を大切に過ごしましょう。

 

 

6. 私たちのターミナルケア

在宅緩和ケアを支える往診専門動物病院

わんにゃん保健室は、ご自宅での緩和ケア・ターミナルケアを専門とする往診動物病院です。「病院に連れて行くのが難しい」「最期まで自宅で一緒に過ごしたい」というご家族の願いに寄り添いながら、ペットが安心できる環境で穏やかに過ごせるようサポートします。

当院のターミナルケアでできること

ペットの状態やご家族の意向に合わせて、以下のようなケアを提供しています。

  • ペットの苦痛を軽減するための鎮痛・鎮静処置
  • 呼吸困難時の酸素供給(酸素発生装置の設置・管理)
  • 水分補給や薬の投与を目的とした皮下点滴
  • 食事が取れない場合の栄養管理アドバイス
  • ご家族ができるケアの指導
  • 最期の時間を穏やかに過ごすための環境づくり

「何をしてあげるのがベストなのか分からない」と感じたときも、獣医師と相談しながらケアを決めることができます。

対応エリアとご相談について

当院では、東京23区・千葉・埼玉・神奈川エリアを中心に往診を行っています。「今すぐ相談したい」「これからターミナルケアを考えたい」といった場合も、お気軽にお問い合わせください。

ターミナルケアは、ご家族にとってもペットにとっても、とても大切な時間です。最後の時間を後悔のないものにするために、一緒に考えていきましょう。

お問い合わせは、お電話またはWebフォームから受け付けています。

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在宅緩和ケアはいつからなの?

ペットが高齢になり、慢性疾患や病気の進行が見られると「いつから在宅緩和ケアに切り替えるべきか?」と悩むご家族は多いです。

「まだ通院できるから大丈夫」「お薬を飲めているうちは病院で診てもらうべき?」と思う一方で、ペットが通院のストレスでぐったりしてしまったり、内服薬が難しくなったりすると、ご家族も不安を抱えるようになります。

この記事では、在宅緩和ケアを検討するべきタイミングと切り替えるポイントについて解説します。 ペットが最期まで安心して過ごせるように、負担を減らしながら適切なケアを選択していきましょう。

目次

 

 

1. 在宅緩和ケアとは?

在宅緩和ケアの目的

在宅緩和ケアとは、病気の治療ではなく、ペットが残りの時間をできるだけ穏やかに過ごせるようにするためのケアです。特に高齢のペットや慢性疾患を抱えた子にとって、通院の負担を減らし、安心できる環境でケアを受けられることが大きなメリットになります。

病院での治療との違い

動物病院では、「治療」を中心とした診療プランを組んでいきますが、慢性疾患やがんなどの末期では、基本的には治すというよりは症状をコントロールして、これ以上悪化させないようにすることが目的だったりもします。この段階になると検査の頻度も高くなり、ペットにとって通院が負担になることが懸念されることと思います。一方、在宅緩和ケアでは、ご自宅で必要な検査や処置(皮下点滴、投薬管理、栄養補助など)を行いながら、ペットがリラックスできる環境を整えることができます。

ご家族の負担を軽減するケア

緩和ケアはペットだけでなく、ご家族の負担を軽減することも目的としています。通院のストレスが減ることで、ご家族も安心してケアに専念できるようになります。また、ペットの状態に応じた適切なアドバイスを受けることで、最期の時間を後悔なく過ごすことができます。

 

 

2. 在宅緩和ケアを検討するタイミング

通院が負担になってきたとき

ペットが高齢になり、通院のたびに疲れやすくなったり、診察後にぐったりしてしまうことが増えてきたら、在宅緩和ケアへの切り替えを考える時期かもしれません。特に、大型犬で歩行困難になった時や通院ストレスが大きい猫にとって、往診によるケアは負担を大きく軽減できます。

内服薬が難しくなったとき

病気の進行とともに、内服薬を飲ませることが難しくなる場合があります。特に、食欲が低下し始めたペットに無理に投薬を続けることで、かえってストレスを与えてしまうことも。在宅緩和ケアでは、皮下点滴や注射による投薬管理が可能なため、ペットの負担を減らしながら治療を続けることができます。

食欲や活動量が低下してきたとき

「最近あまり食べなくなった」「寝ている時間が増えた」と感じる場合、ペットの体調に大きな変化が起こっている可能性があります。食事を摂ることが難しくなってきたときこそ、適切な栄養管理やケアが必要です。在宅緩和ケアでは、食欲低下時の工夫や栄養補助、静かな環境づくりをサポートすることができます。

 

 

3. 状態に応じた切り替えのポイント

慢性疾患の進行に応じて

慢性疾患を抱えているペットは、病気の進行とともに治療の負担が増していきます。例えば、腎臓病の猫の場合、皮下点滴が必要になったり、食欲が低下したりするタイミングで、通院ではなく在宅ケアへ切り替えることで負担を軽減できます。心臓病の犬では、呼吸が苦しくなってくると頻繁な検査や投薬管理が必要になるため、在宅での緩和ケアが有効になります。

呼吸が苦しくなったとき(酸素環境の準備)

呼吸が苦しそうになってきた場合、病院への移動がかえって負担になってしまうことがあります。在宅緩和ケアでは、酸素発生装置や酸素ハウスを導入し、自宅で呼吸をサポートすることが可能です。特に、心疾患や肺疾患を抱えるペットの場合、早めに酸素環境を準備することで、苦しさを和らげることができます。

痛みや不快感が増えてきたとき

ペットの体調が悪化すると、痛みや不快感が強くなることがあります。このような場合、無理に積極的な治療を続けるよりも、痛みを和らげ、できる範囲のケアをする選択肢があります。在宅緩和ケアでは、適切な鎮痛管理を行いながら、ペットが穏やかに過ごせる環境を整えることができます。

 

 

4. ご家族の気持ちと在宅ケアの選択

在宅ケアを選ぶ心理的な不安

「本当に自宅で看られるのか?」「最期を家で迎えさせてあげるのは正しいのか?」といった不安を抱えるご家族は多いです。在宅緩和ケアは、病院での治療を諦めることではなく、ペットの負担を最小限にしながら、穏やかに過ごすための選択肢の一つです。

事前に準備しておくべきこと

在宅緩和ケアを選択する際には、あらかじめ以下の準備をしておくと安心です。

  • かかりつけ医や往診専門の動物病院と連携する
  • 必要な医療機器(酸素発生装置・皮下点滴セットなど)を整える
  • 家族のスケジュールを調整し、ケアの時間を確保する

緩和ケアの選択肢と柔軟な対応

在宅緩和ケアでは、ご家族の状況やペットの状態に応じて、治療の進め方を柔軟に調整できます。たとえば、最初は内服薬で管理しながら、徐々に皮下点滴や注射に切り替えるなど、その子に合った方法を選択していきます。

 

 

5. 在宅緩和ケア切り替えの準備

かかりつけ医との相談と連携

在宅緩和ケアに切り替える際は、まずかかりつけの動物病院や往診専門の動物病院に相談することが重要です。病状の進行やケアの方針を獣医師と共有し、適切なサポートを受けられるよう準備を整えます。

自宅でできるケアの確認

在宅緩和ケアでは、ご家族ができる範囲でのケアが求められます。以下の点を確認しておくと、安心して対応できます。

  • 投薬管理(内服薬や注射の準備)
  • 皮下点滴の実施(必要に応じて練習)
  • 食欲が低下したときの対応(流動食や栄養補助)

 

必要な医療機器・物資の準備

ペットの状態に合わせて、以下のような医療機器や物資を揃えておくとスムーズにケアが進められます。

  • 酸素発生装置や酸素ハウス(呼吸が苦しくなったときに備えて)
  • 皮下点滴セット(脱水症状や腎不全のケア)
  • ペット用の介護マットや滑り止めマット(移動をサポート)

 

 

6. 在宅緩和ケアのメリットと事例

ペットがリラックスできる環境

慢性疾患の後半や腫瘍を抱えた犬猫、特に終末期にさしかかった時には、病院での診察や処置は、ペットにとって大きなストレスになります。在宅緩和ケアでは、慣れ親しんだ環境でケアを受けることができるため、精神的な負担が軽減されます。特に、通院が難しい高齢のペットにとって、自宅で安心して過ごせることは大きなメリットです。

家族が穏やかに見守れる時間

在宅緩和ケアを選ぶことで、ご家族はペットと過ごす時間を最大限に確保できます。通院にかかる時間やストレスが減ることで、ペットとゆっくり過ごしながら、最期の時間を大切にすることができます。

実際に在宅緩和ケアを選択したケース

例えば、腎臓病を患った高齢の猫ちゃんが、通院の負担を減らすために在宅緩和ケアに切り替えたケースがあります。皮下点滴や酸素管理を自宅で行うことで、ペットもご家族も安心して過ごすことができました。実際に、多くのご家族が「最期まで穏やかに過ごせた」と話されています。

 

 

7. どんなサポートが受けられるのか?

往診専門の動物病院による診察

在宅緩和ケアでは、往診専門の動物病院による診察を受けることができます。通院が難しくなったペットのために、獣医師がご自宅に訪問し、診察や必要な処置を行います。定期的な診察だけでなく、急な体調変化にも対応できるのが特徴です。

皮下点滴や注射薬の処方

腎臓病やがんなどの慢性疾患を抱えるペットには、皮下点滴や注射薬が処方されることがあります。ご家族が自宅で投与できるよう、獣医師が指導を行い、ペットの状態に応じたケアプランを提案します。

酸素発生装置や介護用品の手配

呼吸が苦しくなったペットのために、酸素発生装置や酸素ハウスを手配することも可能です。また、寝たきりのペットには、介護マットや歩行補助のグッズなど、快適に過ごすためのサポート用品も提供されます。

 

 

8. わんにゃん保健室の在宅緩和ケア

ペットとご家族に寄り添う往診サービス

わんにゃん保健室では、通院が難しくなったペットのために、在宅での緩和ケアを提供しています。往診専門の獣医師がご自宅に伺い、ペットの状態を丁寧に診察し、ご家族の希望に沿ったケアプランを立てていきます。

診療エリアと対応可能なケア

東京23区を中心に、埼玉・千葉・神奈川の一部地域まで対応しています。対応可能なケアには、以下のようなものがあります。

  • 定期的な往診(ペットの状態に応じた診察)
  • 皮下点滴・注射薬の処方と指導
  • 酸素発生装置や介護用品の導入サポート
  • 最期の時間を穏やかに過ごすためのターミナルケア

 

在宅緩和ケアをご検討の方へ

「在宅でできる限りのことをしてあげたい」「穏やかな最期を迎えさせてあげたい」そんなご家族の思いに寄り添いながら、サポートを行っています。ペットの状態が悪化する前に、早めにご相談いただくことで、最適なケアをご提案することが可能です。

東京23区・埼玉・千葉・神奈川エリアで往診を希望される方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

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犬猫の往診専門動物病院
わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
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東京都練馬区で暮らしていたシュンくんは、11歳のラブラドールレトリバー。穏やかで優しい性格のシュンくんは、高齢のご夫婦と暮らしながら、日々を大切に過ごしていました。

2024年4月、いつも楽しそうに歩いていたシュンくんが、散歩中に立ち止まることが増え、息が荒くなる姿を見せ始めました。気になったご夫婦が動物病院で検査を受けた結果、進行性の腫瘍が見つかりました。

治療を進めるか、穏やかな時間を優先するか悩んだ末、ご夫婦は在宅緩和ケアを選択。シュンくんが安心して過ごせる環境を整え、ご夫婦とともに穏やかな最期を迎えるまでのストーリーを、実際のケア内容やご家族の話などを交えながらご紹介します。

 

 

1. シュンくんとご家族の日々と病気の兆候

シュンくんは、東京都練馬区に暮らしていた11歳のラブラドールレトリバーです。人懐っこく穏やかな性格で、特にお母さんのそばにいるのが大好きでした。ご家族にとってシュンくんは、家族そのものであり、日々の生活に欠かせない存在でした。

 

シュンくんとご夫婦の日常

ご夫婦は高齢ではありましたが、毎日シュンくんの散歩を日課として楽しんでいました。練馬区の緑豊かな公園や散歩道を一緒に歩き、シュンくんはいつも嬉しそうに尻尾を振っていました。

お母さんがキッチンで料理をしているときには足元でお座りし、お父さんが新聞を読んでいるときにはそばに寄り添って一緒に過ごす。そんな何気ない日々が、シュンくんとご夫婦にとってかけがえのない時間でした。

 

病気の兆候が見え始めた日々

2024年の春、シュンくんの様子に少しずつ変化が現れ始めました。散歩中に急に立ち止まり、歩くのをためらうような仕草を見せたり、帰宅後に疲れたように横になる時間が増えました。

「少し年を取ったのかな?」と当初は楽観的に考えていたご夫婦ですが、ある日シュンくんが散歩中に座り込み、息を荒げる姿を見せたことで心配が募りました。

 

動物病院での検査と診断

ご夫婦はシュンくんを動物病院に連れて行き、検査を受けました。診断結果は、進行性の腫瘍による胸腔内の転移。腫瘍が胸水貯留を引き起こし、呼吸が苦しくなる可能性が高いとのことでした。

「治療を進めるべきか、シュンくんが穏やかに過ごせる方法を考えるべきか…」と、ご夫婦は深く悩みました。このとき、治療ではなく在宅での緩和ケアを選ぶことを決意しました。

 

 

2. 腫瘍の診断と通院でのケア

シュンくんが進行性の腫瘍と診断された後、ご夫婦は治療とケアについて何度も話し合いを重ねました。動物病院での診療は、シュンくんの症状を緩和するための重要なステップでしたが、次第に通院そのものが大きな負担となっていきました。

 

病気の進行と診断結果

動物病院での検査の結果、シュンくんの腫瘍は胸腔内に転移しており、胸水の貯留が確認されました。この状態は、腫瘍が胸膜を刺激し、液体が溜まることで呼吸困難を引き起こすリスクが高いものでした。

病気が進行すると、胸水の抜去が必要になる頻度が増え、また呼吸を助けるための酸素環境の整備も重要になると説明を受けたご夫婦。治療を進めるよりも、シュンくんが安心して穏やかに過ごせる方法を模索し始めました。

 

通院中に行われたケアとその効果

最初の通院では、胸水抜去が行われました。この処置により一時的に呼吸が楽になり、食欲や活動量が回復したように見えました。

しかし、胸水は再び溜まる可能性が高く、定期的な検査と抜去が必要になると説明を受けました。また、内服薬による症状管理も併せて行うことになりました。

 

通院の負担が見えてきた頃

通院を重ねる中で、ご夫婦は次第にその負担を感じるようになりました。シュンくんを車に乗せて病院まで運ぶことは、年齢的にご夫婦にとっても負担が大きく、シュンくん自身も帰宅後に疲れ切った様子を見せることが増えました。

「もっとシュンが楽に過ごせる方法はないだろうか…」そう感じたご夫婦は、往診による在宅緩和ケアの可能性について調べ始めました。

 

 

3. 通院から往診へ:在宅緩和ケアへの切り替え

シュンくんの通院が重なるにつれて、ご夫婦はシュンくん自身の負担とともに、自分たちの体力的な限界を感じ始めました。そんな中、在宅緩和ケアという選択肢が浮上し、シュンくんが安心して穏やかな日々を過ごせる環境を整えるきっかけとなりました。

 

通院が難しくなった理由

シュンくんは比較的落ち着いて通院を受け入れていましたが、胸水抜去や診療後にはぐったりしてしまうことが増えていました。ご夫婦もまた、シュンくんを車に乗せる作業や病院での待ち時間に疲れを感じ、通院そのものが双方にとってストレスとなっていました。

特にシュンくんが疲労で息を切らしながら横たわる姿を見るたびに、ご夫婦は「この時間がもっと穏やかになれば…」という思いを強くされていたそうです。

 

在宅緩和ケアを検討したきっかけ

通院中に知った在宅緩和ケアという選択肢に、ご夫婦は興味を持ち始めました。そこで「シュンが家で診てもらえるなら」という期待から、往診専門の動物病院である当院に相談をいただきました。

ご自宅で診療を受けられることで、シュンくんのストレスを大幅に軽減し、さらにご夫婦自身も負担を減らせることが大きな決め手となり、在宅緩和ケアを始めることを決意されました。

 

在宅緩和ケアの始まり

初回の往診では、シュンくんの状態を詳しく確認し、ご家族と一緒に緩和ケアのプランを立てました。ケアプランでは以下の点を重視しました。

  • 定期的な胸水抜去のスケジュール作成
  • 呼吸をサポートする酸素発生装置の導入
  • 内服薬が難しくなった場合に備えた皮下点滴の準備
  • シュンくんがストレスを感じにくい環境作り

「シュンくんが家でのびのび過ごせるのが一番の喜び」というご夫婦の希望に沿って、在宅緩和ケアが本格的にスタートしました。

 

 

4. 在宅緩和ケアの実施内容

シュンくんが在宅緩和ケアを受け始めてから、ご自宅での生活は大きく変わりました。ストレスなく穏やかな時間を過ごせるよう、さまざまなケアが行われました。ここでは、シュンくんに対して具体的に行われたケア内容をご紹介します。

 

内服薬から皮下点滴への切り替え

シュンくんは病気が進行しても、比較的内服薬を受け入れてくれる子でした。しかし、胸水が溜まり始めて呼吸が苦しくなると、内服薬を与えること自体が負担となる可能性がありました。

ご夫婦には「内服薬を無理に飲ませることが呼吸を悪化させることもある」と説明し、必要な薬の一部を皮下点滴で投与する準備をしました。皮下点滴には輸液剤を少量加え、苦痛を最小限にしながら薬を体内に届ける工夫をしました。

 

呼吸をサポートする酸素環境の整備

シュンくんの呼吸を楽にするために、酸素発生装置を2台導入しました。ラブラドールレトリバーのような大型犬の場合、酸素ハウスを設置するのが難しいため、鼻先に酸素を吹きかける方法を採用しました。

酸素供給を安定させるために、風量やシュンくんの状態に合わせた運用方法を調整しました。特に胸水が溜まり始めて呼吸が荒くなったときには、酸素を直接鼻先に吹きかけることでシュンくんの負担を軽減しました。

 

食欲低下時のケアと栄養補助

腫瘍が進行するとともに、シュンくんの食欲が低下する日もありました。このようなときには、好きな食べ物を少量ずつ与えることで少しでも栄養を摂れるよう工夫しました。

また、ご夫婦に「シュンくんが自分のペースで食べられるよう見守ってください」とお伝えし、無理に食べさせることは避けていただきました。食べる楽しみを保ちながら、必要に応じて栄養補助食品を利用することで、シュンくんのエネルギーをサポートしました。

 

シュンくんの体調に合わせた細やかなケアは、ご夫婦の負担を軽減するとともに、シュンくんが安心して過ごせる環境を作ることに大きく貢献しました。

 

6. 最期の1週間:シュンくんの穏やかな時間

シュンくんが過ごした最期の1週間は、ご夫婦とシュンくんが穏やかに絆を深める特別な時間でした。この時期のケアは、呼吸や痛みを管理しながら、シュンくんができるだけ快適に過ごせるよう細心の注意を払いながら進められました。

 

呼吸と痛みの管理:最優先のケア

シュンくんは胸水が溜まりやすい状態が続いていました。往診時にはこまめに胸水の状態を確認し、必要に応じて抜去を行いました。このとき、シュンくんが苦痛を感じないよう、慎重に進めることを心がけました。

呼吸をサポートするための酸素発生装置もフル稼働しました。シュンくんは直接鼻先に酸素を吹きかけられることで、呼吸が落ち着き、リビングで安心して横たわる姿が見られました。

 

ご夫婦とシュンくんの特別な時間

最期の数日間、シュンくんは食事の量が減り始めましたが、ご夫婦が手で与えた少量のフードは受け取ってくれました。「いつも通りにシュンが少しでも食べてくれることが、本当に嬉しい」とお母さんは話していました。

また、お父さんはシュンくんがそばで寝られるようにリビングに布団を敷き、一緒に過ごす時間を増やしました。ご夫婦は「シュンと一緒にいられる今が何より大切」と話し、穏やかな日々を大切にされていました。

 

最後の日に向けた準備

ご夫婦には、最期の時間に向けてできる準備をお伝えしました。特に以下の点を共有しました。

  • 呼吸が荒くなったときの対処法
  • 痛みが強い場合の頓服薬の使用方法
  • シュンくんの体調がさらに変化したときの対応

「できる限りのことをしたい」というご夫婦の思いに寄り添いながら、最期の時間が苦しみの少ないものとなるようサポートしました。

 

 

7. シュンくんの旅立ちとご家族の思い

2024年の秋、シュンくんは穏やかに最期の時を迎えました。ご夫婦に見守られながら、自宅という安心できる場所で、苦しみの少ない静かな旅立ちとなりました。

 

最期の日

その朝、シュンくんの呼吸は浅くゆっくりとしたものになっていました。お母さんはシュンくんを抱きかかえながら「そばにいるよ、大丈夫だからね」と優しく声をかけ続けました。お父さんも隣でシュンくんの頭を撫でながら、ずっと見守っていました。

呼吸が止まる瞬間は、あまりにも静かで穏やかなものでした。ご夫婦は「こんなに静かな旅立ちができるなんて、夢にも思わなかった」と話されていました。

 

緩和ケアがもたらした安心感

シュンくんの旅立ちを迎えた後、ご夫婦は「シュンが穏やかに過ごせたのは在宅緩和ケアのおかげです」と感謝の言葉を口にされていました。

「通院ではなく自宅でケアを受けられたことで、シュンが最後まで安心できたのだと思います。私たちも、シュンと一緒にいる時間を大切にすることができました」とお母さんは振り返ります。

 

ご家族が感じた緩和ケアの価値

シュンくんの最期の時間は、痛みや苦しみを最小限に抑え、ご夫婦との穏やかな時間を大切にすることができました。「緩和ケアはペットのためだけでなく、私たち家族のためのケアでもあったと実感しました」とお父さん。

ご家族に寄り添いながら、ペットとその家族が共に過ごす最期の時間を支えることが、緩和ケアの最大の価値であると改めて感じた瞬間でした。

 

 

8. わんにゃん保健室が提供する在宅緩和ケア

わんにゃん保健室では、ペットとご家族が安心して穏やかに最期の時間を過ごせるよう、在宅緩和ケアを中心とした診療を行っています。シュンくんのように通院が難しくなったペットや、ご家族の心の負担を軽減したい方に寄り添ったケアを提供します。

 

ペットとご家族に寄り添うオーダーメイドのケア

ペットの状態やご家族の希望に応じて、個別のケアプランを作成します。具体的には以下の内容を柔軟に対応しています。

  • 定期的な往診とこまめな状態確認
    ペットの体調に合わせた診療スケジュールを組み、変化に迅速に対応します。
  • 自宅での酸素環境の構築
    呼吸をサポートするための酸素発生装置やその他の機器を導入します。
  • 皮下点滴や胸水抜去などの専門的なケア
    通院が難しいペットでも、在宅でできる範囲での診療を行います。

 

東京23区を中心とした往診サービス

わんにゃん保健室は、東京都内を中心に往診サービスを提供しています。特に東京都練馬区などのエリアで、多くのご家族から信頼をいただいております。ご自宅でケアを受けられることで、ペットのストレスが軽減され、ご家族も安心して見守ることができます。

診療エリアや往診の詳細については、お気軽にお問い合わせください。

 

後悔のない選択を一緒に

「最期の時間を穏やかに過ごしてほしい」「苦しみを少しでも和らげたい」という思いを持つご家族のために、わんにゃん保健室では一つひとつの診療を丁寧に行っています。

ペットが安心できる環境で、ご家族と笑顔で過ごせる時間を作ることが、私たちの使命です。どんな小さな不安でも、まずはご相談ください。

ペットとご家族が笑顔で過ごせる穏やかな日々を、私たちと一緒に作っていきましょう。

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「ペットの緩和ケアって、具体的にどんなことをするんだろう?」

「治療をあきらめるということなの?」

こういった疑問をお持ちのご家族も少なくありません。緩和ケアは、ペットが病気や老化に伴う苦痛を軽減し、最期の時間を安心して過ごせるようにサポートするケアです。そして、それはペットだけでなく、ご家族の心の支えとなる重要な役割も果たします。

ペットが穏やかに過ごすことは、ご家族にとっても大きな安心感となり、「最期まで一緒にいられた」という実感を与えます。このブログでは、ペットの緩和ケアがどのようにペットとご家族を支えるのか、具体的な内容や事例を交えながらお伝えします。

ペットとの時間を大切にしたいと考えるすべてのご家族に向けて、緩和ケアという選択肢を知っていただければと思います。

 

 

1. ペットの緩和ケアとは:最期を穏やかに過ごすために

ペットの緩和ケアとは、病気や老化に伴う苦痛を和らげ、最期の時間を穏やかに過ごせるようにするためのケアです。ペット自身の体や心に寄り添うだけでなく、ご家族がその時間を悔いなく過ごせるようにサポートすることも、緩和ケアの大切な目的のひとつです。

 

病気や老化による苦痛を和らげるケア

病気が進行すると、痛みや呼吸困難、食欲低下など、ペットの生活に大きな負担がかかる症状が現れます。緩和ケアでは、こうした苦痛を少しでも和らげるために、以下のようなケアを行います。

  • 痛みを和らげるための鎮痛剤や皮下点滴の活用
  • 呼吸が苦しいときの酸素環境の整備
  • 食欲が落ちたときの特別な食事や栄養補助の工夫

これらのケアは、ペットが「その瞬間」を少しでも快適に過ごせるよう、病状や性格に合わせて柔軟に対応します。

 

ペットの「今」に寄り添うとは

緩和ケアの本質は、ペットが持つ「今」を大切にすることにあります。治療の延命効果を追求するのではなく、ペットが穏やかに、そして安心して過ごせる時間を最大限に引き出すことを目的としています。

例えば、治療のために負担が大きい検査や処置を繰り返すのではなく、ご自宅でペットがリラックスできる環境の中でケアを行うことで、ペット自身のストレスを軽減することができます。

ペットの緩和ケアは「治すこと」が目的ではありません。それでも、ペットが最期の時間を穏やかに過ごし、ご家族と安心して過ごせることを目指す、大切な選択肢です。

 

 

 

2. 緩和ケアでペットが得られる穏やかな時間

ペットの緩和ケアは、病気や老化による苦痛を軽減し、「穏やかな時間」を作るために行われます。緩和ケアを受けたペットは、身体的な負担が減るだけでなく、精神的にも落ち着きを取り戻すことができるのです。ここでは、緩和ケアがもたらす具体的な効果についてご紹介します。

 

痛みや苦しみを軽減する具体的な方法

病気が進行すると、痛みや苦しみがペットの生活に影響を与えます。緩和ケアでは、以下のような方法でこれらを和らげます。

  1. 痛みを抑える鎮痛薬や皮下点滴
    症状や病気の種類に合わせて、ペットができる限り快適に過ごせるよう、痛みを和らげる薬を使用します。内服薬が難しくなった場合には、皮下点滴で薬を投与することも可能です。

  2. 呼吸が苦しいときの酸素環境整備
    胸水貯留や肺への負担がある場合には、酸素発生装置を用いて呼吸を助ける環境を整えます。酸素濃度を保つことで、ペットが呼吸を楽に行えるようサポートします。

  3. 寝床や生活スペースの工夫
    ペットの体が楽になるように、寝床の素材や温度管理を工夫します。特に高齢のペットでは、床ずれや関節の負担を軽減するためのマットやブランケットが役立ちます。

 

呼吸が苦しいときの酸素環境整備

呼吸困難はペットにとって非常に辛い症状です。緩和ケアでは、酸素発生装置を活用して酸素環境を整え、ペットが呼吸しやすい状況を作ります。具体的には以下のような取り組みを行います。

  • 酸素発生装置の導入と運用
  • ペットの状態に応じた酸素濃度の調整
  • 鼻先に酸素を吹きかけるなどの負担が少ない方法の採用

これにより、ペットは呼吸の負担が軽減し、安らぎを取り戻します。

 

食欲が落ちたときのサポート

食欲低下は、病気が進行したペットによく見られる症状です。緩和ケアでは、食事をサポートするために以下のような工夫を行います。

  • ペットが好む特別な食事を用意
  • 水分補給がしやすい形での食事提供
  • 栄養補助食品や流動食の活用

これらの工夫によって、ペットは少量でも栄養を摂取でき、体力を維持しやすくなります。

 

ペットの緩和ケアは、痛みや苦しみを軽減し、穏やかで快適な時間を過ごせるようサポートするものです。

 

 

3. ご家族の心を支える緩和ケアの役割

ペットの緩和ケアは、ペットだけでなく、ご家族にとっても大きな支えとなります。病気や老化が進行し、ペットが苦しそうな姿を見ることは、ご家族にとって心の負担が非常に大きいものです。緩和ケアは、その苦しみを和らげ、ペットとの時間を大切に過ごせるようにするためのサポートでもあります。

 

ペットの苦しみを軽減することで心の負担を軽くする

ご家族が最も辛いと感じるのは、ペットが痛みや苦しみを感じているときです。緩和ケアでは、ペットの症状を客観的に捉え、適切な方法で苦痛を和らげます。

例えば、呼吸困難が起きた場合に酸素環境を整えることで、ペットが苦しそうな様子が和らぎます。このように具体的なケアを行うことで、ご家族も「ペットの苦しみを軽減できている」という安心感を持つことができます。

 

ご家族が「最期まで一緒にいられる」安心感

緩和ケアを受けることで、ペットが自宅で最期の時間を過ごすことができるようになります。通院や入院のストレスから解放され、慣れ親しんだ環境で穏やかに過ごすペットの姿を見ることは、ご家族にとっても大きな安心感につながります。

ご家族からは、「最期まで家で一緒にいられたことで、後悔がありません」というお言葉をいただくことが多くあります。この安心感は、在宅緩和ケアならではの大きなメリットです。

 

ペットとの時間を最大限に活用するために

緩和ケアでは、ペットとの時間をより大切に過ごせるようにサポートします。例えば、ペットがリラックスできる環境を整えたり、好きな食べ物を用意したりすることで、ペットが穏やかに過ごせる時間を増やすことができます。

さらに、緩和ケアを行うことで、ご家族は「今」という時間に集中しやすくなります。病気の進行に目を向けるだけではなく、ペットとの日々を楽しむことができるようになるのです。

 

緩和ケアは、ご家族にとって「ペットと共に歩む最後の時間」を支える重要な役割を果たします。

 

 

4. 緩和ケアでよくある誤解とその解消

緩和ケアに対して、「治療をあきらめることでは?」という誤解を持たれる方も少なくありません。しかし、緩和ケアはあきらめではなく、ペットとご家族が穏やかに過ごせる時間を作るための重要な選択肢です。ここでは、緩和ケアに対する誤解とその正しい理解について解説します。

 

「緩和ケアはあきらめではない」という考え方

緩和ケアの目的は、病気を「治すこと」ではなく、ペットが感じる苦痛を和らげ、最期の時間を穏やかに過ごせるようにすることです。

例えば、進行した腫瘍や老化に伴う症状では、治療の効果が期待できないこともあります。その場合でも、ペットが快適に過ごせる環境を整え、症状を管理することで、ペットとご家族が一緒に過ごせる大切な時間を作り出すことができます。

 

治療を継続しながらの緩和ケアも可能

緩和ケアは治療と完全に切り離されるものではありません。症状が軽減できる治療を併用しながら緩和ケアを行うことも可能です。

例えば、腫瘍が進行している場合には、抗がん剤を少量だけ投与することで症状を抑える治療を行いながら、痛みの緩和や呼吸のサポートを行うことがあります。このように、ペットの状態に応じて柔軟に対応するのが緩和ケアの特徴です。

 

緩和ケアを始めるタイミングとは?

緩和ケアは「治療がもうできない」と言われたときだけの選択肢ではありません。むしろ、以下のようなタイミングで始めることをお勧めします。

  • ペットの通院が難しくなったとき
  • 病状が進行し、症状がつらそうに見えるとき
  • ペットの負担を減らしてあげたいと思ったとき

早い段階で緩和ケアを取り入れることで、ペットとご家族がゆっくりと穏やかに過ごせる時間を増やすことができます。

 

緩和ケアは、ペットとご家族にとって大切な選択肢のひとつです。

 

 

5. 実際に緩和ケアを選択したご家族の声

緩和ケアを選択することで、ペットとご家族がどのような時間を過ごせるのか、具体的な事例を通じてご紹介します。緩和ケアを通じて得られた穏やかな時間や安心感は、多くのご家族にとって忘れられない大切な思い出となっています。

 

「家で穏やかに過ごせた」:猫の事例

心筋症を抱えていた15歳の猫ちゃんのご家族は、通院のたびにぐったりする愛猫の姿に胸を痛めていました。そこで往診での緩和ケアを選択。酸素発生装置や皮下点滴を使ったケアを中心に、ご自宅での診療を続けました。

「苦しい時間が減り、最期まで一緒にいられたことが本当に嬉しいです。愛猫がリラックスしている姿を見るたびに、緩和ケアを選んでよかったと思いました」と語るご家族。最後の時間まで、自宅で穏やかに過ごせたことが心の支えになったそうです。

 

「心穏やかに送り出せた」:大型犬の事例

ゴールデンレトリバーのロイくん(10歳)は、腫瘍が進行し、呼吸が苦しい状態が続いていました。ご家族は在宅緩和ケアを選択し、酸素発生装置の導入や頓服薬の指導を受けながら、ロイくんと向き合いました。

「緩和ケアを始めるまでは、不安と悲しみでいっぱいでした。でも、往診の先生が親身に寄り添ってくれたおかげで、私たちも冷静に対応できるようになりました。ロイが苦しむことなく、穏やかな顔で眠りにつけたのが何よりの救いです」と語るご家族の言葉が印象的でした。

 

「緩和ケアが支えとなった時間」

緩和ケアを受けたご家族の多くが、「自宅で過ごせる時間がペットとの絆を深める機会になった」とお話しされています。最期の時間を大切にすることは、ご家族自身の心の整理にもつながります。

 

 

6. 緩和ケアを支える往診サービスの価値

ペットが高齢や病気の進行によって通院が難しくなると、往診サービスによる在宅緩和ケアが大きな力を発揮します。通院のストレスや体力消耗を避け、ご自宅で穏やかに過ごせる環境を整えることが、ペットとご家族の負担を大幅に軽減します。

 

通院が難しいペットとご家族の負担を軽減

通院が難しいペットの場合、キャリーや車への移動だけでも大きなストレスとなります。特に大型犬の場合、体を持ち上げる作業や車への積み込みはご家族にとっても一苦労です。また、通院中の待ち時間や帰宅後のぐったりした様子を見て、心を痛めるご家族も少なくありません。

往診サービスでは、獣医師が直接ご自宅に訪問し、診療やケアを行うため、ペットは安心できる自宅で過ごすことができます。これにより、ペットのストレスを減らし、ご家族も安心してケアに集中できる環境を作ることができます。

 

ご自宅で行える診療やケア内容

往診による在宅緩和ケアでは、通院とほぼ同等の診療やケアを行うことが可能です。具体的には、以下のようなケアが含まれます。

  • 酸素発生装置や酸素環境の整備
    呼吸が苦しいペットに合わせた酸素供給を行います。
  • 胸水や心嚢水の抜去
    必要に応じて専門的な処置を在宅で行います。
  • 皮下点滴や頓服薬の投与
    内服薬が難しくなった場合の対応も可能です。
  • ご家族へのケア指導
    日常的なケアや緊急時の対応方法を丁寧にお伝えします。

 

ご家族とペットに合わせた柔軟なケアプラン

往診サービスでは、ペットの症状やご家族の希望に合わせて、柔軟なケアプランを作成します。緩和ケアにおいては、ご家族の心のサポートも重要な要素のひとつです。そのため、獣医師がペットの状態だけでなく、ご家族の不安や希望にも耳を傾けながらケアを進めていきます。

 

 

7. ペットの緩和ケアを検討するタイミング

ペットの緩和ケアは、病気の進行や高齢による体力の低下が見られるタイミングで考え始めることが大切です。「まだ大丈夫」と先延ばしにしてしまうと、緩和ケアを始めるタイミングを逃してしまい、ペットとご家族が苦しい時間を過ごすことにもつながりかねません。

 

病状が進行したとき

例えば、腫瘍や心臓病などの病気が進行し、以下のような症状が現れたときは、緩和ケアの検討を始めるサインです。

  • 痛みや呼吸困難が見られる
  • 食欲が落ち、体重が減少している
  • 活動量が減り、疲れやすくなった

これらの症状がある場合、治療の継続だけではなく、ペットが少しでも穏やかに過ごせるケアが求められます。

 

ペットの負担を減らしたいと感じたとき

ペットが通院を嫌がったり、移動中にぐったりしてしまう様子を見て「もっと楽に過ごさせてあげたい」と感じることがあるかもしれません。このようなとき、往診による在宅緩和ケアが非常に有効です。

通院が必要なくなることで、ペットが慣れ親しんだ環境でストレスを感じることなくケアを受けることができます。また、ご家族の負担も大幅に軽減されるため、ペットとの時間をより穏やかに過ごすことができるようになります。

 

ご家族が安心して選べるように

緩和ケアを検討する際には、獣医師との十分な相談が重要です。ペットの状態やご家族の希望を共有し、一緒に最適なケアプランを考えることで、後悔のない選択ができます。

緩和ケアは、ペットとご家族が最期の時間を穏やかに過ごせるための大切な手段です。「まだ早いかも」と思わず、少しでも気になることがあれば、ぜひ専門家に相談してみてください。

 

 

8. わんにゃん保健室が提供する緩和ケアの特徴

わんにゃん保健室では、通院が難しいペットとご家族のために、在宅緩和ケアを中心とした診療を行っています。ペットの最期の時間を穏やかに過ごせるよう、ペットとご家族の負担を軽減し、安心できるサポートを提供しています。

 

ペットの「今」と「これから」に寄り添う診療

わんにゃん保健室の在宅緩和ケアは、ペットの状態やご家族の希望に合わせたオーダーメイドのケアを特徴としています。以下のようなサービスを提供しています。

  • ペットの症状に応じた柔軟なケアプラン
    痛みの緩和や呼吸のサポートなど、病状に応じた具体的なケアを行います。
  • ご家族への丁寧な説明と相談
    ペットの状態をわかりやすく説明し、不安や疑問に寄り添いながら対応します。
  • 訪問時の細やかな診療
    酸素環境の整備や皮下点滴など、専門的な処置もご自宅で行うことができます。

 

東京23区を中心とした往診サービス

わんにゃん保健室は、東京23区を中心に往診サービスを提供しています。通院が難しいペットとご家族が、住み慣れた環境で安心してケアを受けられるようサポートしています。

特に、通院が困難な大型犬や高齢のペットにとって、自宅でケアを受けられることは大きなメリットとなります。診療に関するご相談や予約は、電話やウェブサイトの問い合わせフォームから受け付けています。

 

ご家族が笑顔で見守れる最期をサポート

緩和ケアの目的は、ペットとご家族が笑顔で過ごせる時間を作ることです。ペットが安心して穏やかに過ごせる環境を整え、ご家族が「一緒にいて良かった」と感じられる時間をサポートします。

「ペットの最期の時間を大切にしたい」とお考えの方は、ぜひわんにゃん保健室にご相談ください。一緒に最善のケアプランを考え、ペットとご家族の笑顔を守るお手伝いをさせていただきます。

お問い合わせはお気軽にどうぞ。ペットとご家族の安心できる時間を、一緒に作っていきましょう。

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犬猫の往診専門動物病院
わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
休診日:不定休診療カレンダー
 
〒111-0036
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ペットの病気が進行し、治療ではなく「今を穏やかに過ごすこと」を選ぶとき、ご家族は多くの不安や葛藤を抱えます。特に、猫の心筋症は進行性の病気であり、呼吸困難や胸水貯留といった症状が現れることがあり、通院そのものが負担になるケースも少なくありません。

この記事では、実際に心筋症を抱えた12歳の猫ちゃんが通院から在宅緩和ケアに切り替えた経緯を追いながら、具体的なケア内容や、在宅で得られる安心感についてお話しします。

ペットの「今」に寄り添う在宅緩和ケアは、治すことを目的とする医療とは異なり、ペットとご家族が一緒に穏やかな時間を過ごすための選択肢です。この記事が、同じように悩むご家族にとって少しでも参考になれば幸いです。

 

 

1. 心筋症の発覚と通院から在宅緩和ケアへの切り替え

12歳の健康診断で、猫ちゃんに心筋症が発覚しました。超音波検査と血液検査の結果、心臓に負担がかかりやすい状態であることが分かり、かかりつけの動物病院から「中央生存期間は3年程度」との説明を受けました。その日から、ご家族はできる限りのケアを始めました。心筋症を管理するための内服薬やサプリメント、食事管理がスタートし、当初は3ヶ月に1回の定期検査を行っていました。

最初の頃、猫ちゃんは通院にも慣れていて、特に問題なく動物病院に通えていました。しかし、心臓の数値が少しずつ悪化し、1ヶ月に1回の検査が必要になった頃から、通院後の疲れが目立つようになりました。キャリーケースに入れられると緊張し、帰宅後はぐったりして食欲が落ちることもありました。この状況を見たご家族は、通院による負担が猫ちゃんの状態を悪化させるリスクになると感じ始めました。

通院のたびに疲れ果てた姿を見るのは、ご家族にとっても辛いものでした。「もっと穏やかに過ごさせてあげられる方法はないか」という思いから、在宅緩和ケアへの切り替えを検討するようになりました。

在宅緩和ケアでは、通院のストレスがない状態で診療を受けられるため、猫ちゃんにとってもご家族にとっても大きな安心感があります。私たちの訪問診療では、まず初回の診察で猫ちゃんの状態を丁寧に確認し、ご家族と相談しながら、必要なケアを段階的に進めていくプランを立てました。

 

 

2. 在宅緩和ケア開始後の生活と診療

通院から在宅緩和ケアに切り替えた猫ちゃんは、自宅で穏やかに過ごせる時間が増えました。慣れた環境での診療は、猫ちゃんにとってストレスが少なく、ご家族にとっても安心できるものでした。

 

最初の診療では、全身状態を確認するための超音波検査を行いました。負担を最小限にすることを重視し、診療時間を短く設定しつつ、必要なデータをしっかりと収集しました。その後の診療でも、心臓の状態や呼吸の安定性を定期的に評価し、そのデータに基づいて内服薬やサプリメントの処方を調整しました。

 

内服薬の管理は、猫ちゃんの性格や状態に合わせてプランを組むことが重要です。ご家族の協力もあり、初期段階ではご飯に混ぜる方法で無理なく投薬を続けることができました。しかし、心臓の数値が悪化し始めた頃、呼吸状態の不安定さが目立つようになり、内服薬が負担となる可能性が高まったため、皮下点滴による薬の投与を開始しました。呼吸が苦しい猫ちゃんに無理に薬を飲ませることは逆効果となる場合もあるため、猫ちゃんの状態に合わせた柔軟なケアが求められます。

 

在宅緩和ケアでは、猫ちゃんが少しでも快適に過ごせる環境を整えることが重要です。私たちは、ご家族と相談しながら、自宅でのケア方法について細かくアドバイスを行いました。例えば、猫ちゃんがリラックスできる場所を確保し、静かで温度や湿度が適切な環境を作ることがポイントです。また、ご家族の希望や不安にも耳を傾けながら、日々のケアが無理なく続けられるようにサポートしました。

 

 

3. 胸水貯留の始まりと初期対応

在宅緩和ケアを始めてから半年後、猫ちゃんの呼吸状態に明らかな変化が見られました。呼吸が浅く速くなる頻呼吸や、お腹を大きく動かす努力呼吸の症状が目立ち始め、胸水貯留が疑われました。診察の結果、心筋症の進行による胸水貯留が確認され、早急に対応が必要な状況でした。

 

胸水が溜まると肺が圧迫され、酸素が十分に取り込めなくなるため、猫ちゃんにとって呼吸が非常に苦しくなります。この状況を緩和するため、初回の診療で胸水抜去を行いました。細い針を胸に刺して胸水を排出するこの処置は、猫ちゃんにとって負担がかかるため、慎重に鎮静と鎮痛を行いながら進めました。このとき、約50mlの胸水を抜去することができ、処置後は呼吸状態が大きく改善しました。

 

胸水抜去を行った後、呼吸の安定を維持するため、酸素環境の構築が必要になりました。酸素発生装置を設置し、猫ちゃんの状態に応じて酸素濃度を調整できる環境を整えました。酸素発生装置を導入することで、猫ちゃんが自宅で快適に呼吸を続けられるようになり、緊急時にも安心して対応できる体制が整いました。

 

胸水貯留は、心筋症が進行すると繰り返し発生することがあります。そのため、初回の胸水抜去後も定期的に診療を行い、胸水の量をチェックしながらケアプランを調整しました。2週間に1回だった胸水抜去の頻度は、猫ちゃんの状態が変化するにつれて徐々に増え、最終的には2~3日に1回の処置が必要となりました。

 

 

4. 酸素環境の構築と胸水貯留進行中のケア

胸水貯留が始まると、呼吸を楽にするための酸素環境が欠かせませんでした。私たちは、猫ちゃんの状態を見ながら酸素発生装置を導入し、細やかに運用方法を調整しました。  

 

酸素環境を整える際には、酸素発生装置を設置するだけでなく、猫ちゃんが快適に過ごせる場所を確保することが重要です。最初はリビングの一角に酸素ハウスを設置し、出入り自由にして猫ちゃん自身が入りやすい環境を作りました。呼吸がさらに苦しくなった段階では、酸素濃度を高めた密閉型の酸素室での管理に切り替えました。  

 

酸素発生装置の運用では、ご家族にも使い方を丁寧に説明しました。例えば、日中は酸素濃度を一定に保ちながら吹きかけで対応し、夜間は酸素ハウス内で管理する方法を採用しました。酸素濃度のモニタリングも行い、猫ちゃんの呼吸状態が安定する範囲を常に確認しながら運用を続けました。  

 

胸水貯留が進行する中、頻繁な胸水抜去が必要となる一方で、体力を消耗させないよう配慮したケアも重要でした。胸水抜去の頻度が2~3日に1回に増えた頃には、処置を無理なく続けられるように以下のような工夫をしました。  

 

1. 診療の際に必ず事前の鎮静と鎮痛を行うことで、猫ちゃんのストレスを最小限に抑える  

2. 胸水抜去後の休息時間を確保し、体力の回復を優先する  

3. 内服薬から皮下点滴への切り替えを進め、呼吸状態が悪化している猫ちゃんに負担をかけないよう調整  

 

ご家族の協力を得ながら、猫ちゃんが少しでも穏やかに過ごせる環境を維持しました。酸素環境と適切なケアによって、呼吸の安定が保たれた時間が多く、猫ちゃんも安心した様子を見せてくれることが増えました。  

 

 

5. ターミナルケアへの移行と最期の時間

胸水抜去の頻度が増え、2日に1回のペースになった頃、ご家族と相談しながらターミナルケアへの移行を進めました。この時期は、猫ちゃんにとってもご家族にとっても、大切な時間を穏やかに過ごすための準備期間でした。  

 

胸水が抜去した翌日には再び貯留が見られることが増えたため、頻繁な処置が猫ちゃんの体力を奪う可能性があると判断しました。そこで、ご家族と相談の上、酸素環境をさらに強化し、胸水抜去の間隔を少し広げる形を取りました。酸素濃度を調整しながら、猫ちゃんが楽に過ごせるよう配慮を続けました。  

 

ターミナルケアにおいて最も重要だったのは、猫ちゃんとご家族が心穏やかに時間を共有することでした。  

 

1. ご家族と猫ちゃんがリラックスして過ごせる空間を整えるため、酸素ハウスの位置をリビングの中心に設置し、常に目が届くようにしました。  

2. 呼吸が苦しくなる兆候が見られた際には、すぐに酸素濃度を上げるようご家族にお伝えし、適切に対応していただけるよう準備を整えました。  

3. 猫ちゃんが快適に過ごせるよう、必要に応じて鎮痛剤や安定剤を使用し、痛みや不安を最小限に抑えるよう努めました。  

 

最期の1週間は、猫ちゃんが自力で食事を取るのが難しくなりましたが、強制給餌は行わずに様子を見てあげることとしました。この時期、ご家族は「どんな選択が猫ちゃんにとって最善なのか」と悩む時間が多かったようです。しかし、最終的には「無理に処置を増やすのではなく、穏やかに過ごしてほしい」というご家族の希望に寄り添う形でケアを進めました。  

 

2024年12月27日、ご家族全員が見守る中、猫ちゃんは静かに眠りにつきました。最期の時間は呼吸も安定しており、苦しむ様子は見られませんでした。ご家族がそばで声をかけながら撫でていたことで、猫ちゃんも安心感に包まれていたように感じます。  

 

 

6. 在宅緩和ケアがもたらした安心と心の変化

在宅緩和ケアを選んだことで、ご家族と猫ちゃんにとって大きな変化がありました。それは「通院という負担から解放され、自宅で安心して過ごせるようになったこと」です。  

 

猫ちゃんが通院していた頃は、キャリーケースに入れるたびに緊張し、帰宅後にはぐったりと疲れてしまう姿を見るのが辛いとご家族はおっしゃっていました。しかし、在宅緩和ケアを始めてからは、慣れた環境で診療を受けることができ、猫ちゃん自身も穏やかに過ごせるようになりました。

 

ご家族は「自宅で診療を受けられるという選択肢があることを知り、もっと早く相談すればよかった」と振り返っています。また、獣医師と直接相談しながら、猫ちゃんの状態に合わせた柔軟なケアプランを立てることで、「これでいいんだ」という安心感を持ってケアに向き合えるようになりました。  

 

呼吸が苦しくなることが多かった猫ちゃんですが、酸素発生装置を導入したことで、日常的な安心感が大きく向上しました。酸素環境を整えることで呼吸が安定し、「いつでも適切なケアができる」という自信が、ご家族の心の負担を軽くしてくれたようです。  

 

最期の時間を穏やかに迎えることができたのも、在宅緩和ケアのおかげと感じています、とご家族はおっしゃっていました。猫ちゃんが苦しむことなく静かに旅立つ姿を見届けることができ、ご家族も心を込めて最期の時間を見守ることができたことに安堵の表情を浮かべていました。  

 

在宅緩和ケアは、ペットだけでなくご家族にとっても大きな安心感をもたらします。

 

 

7. わんにゃん保健室の在宅緩和ケア

わんにゃん保健室では、東京23区を中心に往診専門の在宅緩和ケアを提供しています。ペットが自宅で穏やかに過ごせるように、ご家族の不安や悩みに寄り添いながら、心のこもったケアを行っています。  

 

在宅緩和ケアは、通院が難しくなったペットや、緩和ケアを希望するご家族にとって、大きな助けとなる選択肢です。当院では、以下の特徴的なサービスを提供しています。  

 

1. ご家族に寄り添った柔軟なケアプラン

ペットの体調やご家族の希望に合わせて、個別のケアプランを作成します。内服薬や注射薬、皮下点滴などの医薬品管理を含め、最適な方法で対応します。  

 

2. 酸素環境の構築と運用サポート

呼吸困難を抱えるペットのために、酸素発生装置や酸素ボンベの導入をサポートします。使用方法の説明や状態に合わせた調整も丁寧に行います。  

 

3. 愛玩動物看護師とのチーム診療

獣医師だけでなく、愛玩動物看護師が同行することで、診療のサポートや保定などを適切に行い、ペットの負担を最小限に抑えます。  

 

4. 緊急時の相談と事前準備

急変時に備えたアクションプランを事前にご家族と共有します。特にターミナル期では、急な呼吸困難や食欲低下などに適切に対応できるよう、薬の準備や酸素運用を含めたサポートを行います。  

 

診療区域は東京23区全域をカバーしており、ペットの体調や緊急性に応じて迅速に訪問します。また、千葉、神奈川、埼玉の近隣地区までであれば、ご家族が少しでも安心してペットと過ごせるよう日程調整の上で訪問し、最善を尽くします。  

 

在宅緩和ケアについてお困りのことがあれば、まずはご相談ください。通院が難しい状態や、ペットの体調に不安がある場合、事前の相談を通じて最適なケアプランを一緒に考えさせていただきます。  

 

在宅緩和ケアやターミナルケアをご検討中のご家族様は、ぜひ一度わんにゃん保健室へお問い合わせください。

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ペットが終末期を迎えたとき、「今、自分に何ができるのか」と悩むご家族は多いのではないでしょうか。
緩和ケアは、病気を治すことを目的とするのではなく、ペットが苦痛なく、安心して過ごせるように寄り添うケアです。特に、通院が難しいペットや体力の低下が見られる犬や猫にとって、自宅でのケアは重要な選択肢となります。

この記事では、ペットの緩和ケアの基本から、在宅医療の具体的な内容、そしてご家族ができることについて解説します。最後には、東京23区で対応可能な当院のサポート内容もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

 

1. 緩和ケアとは:ペットに寄り添うための医療

 
緩和ケアの目的:苦痛を減らし安心できる時間をつくる
緩和ケアは、病気を抱えたペットが最期まで苦痛なく過ごせるようにするためのケアです。病気の治療や延命を目的とするのではなく、**ペットが安心して快適に過ごすこと**を重視します。  
 
例えば、こんな状況で緩和ケアが役立ちます。
 
病気の進行による痛みや不快感がある場合
- 鎮痛剤や安定剤を使って体を楽にします。  
 
呼吸が苦しい場合
 - 酸素環境を整え、呼吸をサポートします。  
 
食欲や体力が低下している場合
 - 無理なく栄養を補給し、体に負担をかけないケアを行います。  
 
緩和ケアは、病気の症状だけでなく、ペットの気持ちやストレスにも寄り添い、心と体の両方をサポートする方法といえます。  
 
 
治療とは違う「今を支えるケア」
治療は病気を治すことを目的としますが、緩和ケアは病気を抱えながら「今、この瞬間」を大切にするケアです。
 
治療ではなく、生活の質(QOL)を重視
- 病気を完全に治せなくても、穏やかに過ごせる時間を目指します。  
 
ペットの気持ちを尊重
- 無理に薬を飲ませたり、ストレスを与える処置を避けることも重要です。  
 
緩和ケアを取り入れることで、ご家族とペットが安心して寄り添える時間をつくり、「最期まで一緒にいる」という選択が可能になります。  
 
 

2. 痛みを和らげる:苦痛を最小限に抑える方法

 
緩和ケアでの痛み管理の重要性
ペットが終末期を迎えると、病気の進行に伴う痛みや不快感が現れることがあります。この痛みはペット自身だけでなく、ご家族にとっても大きな心配の種です。緩和ケアでは、ペットの苦痛を和らげることを最優先とし、以下のような方法でサポートしていきます。
 
1. 鎮痛剤の使用
   - 痛みを軽減するために、適切な内服薬や注射薬を処方します。  
   - ペットの状態に合わせて投与量を調整し、負担を減らします。  
 
2. 安定剤でリラックスをサポート
   - 不安感や興奮を鎮めることで、落ち着いた状態を保つことができます。  
   - 特に呼吸が苦しい場合には、安定剤が効果的です。  
 
3. 物理的なケア
   - 温かいタオルやクッションを使い、体を支える姿勢をサポートします。  
   - 痛みを感じやすい部位を避けて優しく撫でることで、安心感を与えます。  
 
呼吸が苦しい場合の酸素供給の重要性
呼吸が浅く速くなる、努力呼吸が見られるなどの症状がある場合、酸素供給を行うことで大きな改善が期待できます。緩和ケアでは、以下のような方法を考えていきます。
 
1. 酸素発生装置の使用
   - 在宅で酸素濃度を高めることができ、ペットが少ない呼吸回数でも体に必要な酸素を取り込めるようになります。  
 
2. 酸素ボンベの活用
   - 急な呼吸状態の悪化に対応するために、酸素ボンベを併用することもあります。  
 
3. 直接吹きかけによる酸素供給
   - 大型犬など、酸素ハウスの利用が難しい場合には、酸素を鼻先に直接吹きかけてサポートします。  
 
症状に応じた柔軟な対応
ペットの痛みや呼吸状態は、その日の体調や病気の進行具合によって変化します。緩和ケアでは、毎回の診療で状態を評価し、その都度必要な対応を行います。
- 痛みが強い場合には鎮痛薬の調整。  
- 呼吸が苦しい場合には酸素供給の強化。  
- その他の症状(下痢や嘔吐など)への適切な対応。  
 
ペットが「痛くない、苦しくない」という安心感を持つことで、穏やかな時間を過ごせるようにするのが緩和ケアの目的です。  
 
 

3. 食べられなくなったときのケア

 
無理に食べさせない選択肢とは
ペットが終末期を迎え、食欲が低下するのは自然な体の変化の一部です。このとき、「何とかして食べさせたい」と考えるご家族も多いですが、無理に食べさせることが必ずしもペットにとって良い結果をもたらすとは限りません。  
 
無理に食べさせることで考えられるデメリットを知っておきましょう。
 
1.ペットのストレス
   - 強制給餌は、ペットに恐怖や不快感を与え、心の負担になることがあります。
 
2. 誤嚥のリスク
   - 無理に食べさせることで、食べ物が気管に入り、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。 
 
3. 体の負担
   - 食べ物を消化するための体力が残っていない場合、無理に食事を摂ることで体がさらに疲れてしまうことがあります。  
 
緩和ケアでは、ペットが無理なく過ごせる方法を重視します。  
 
 
水分補給や皮下点滴でのサポート
食事が難しくなった場合でも、水分補給は体を支えるために重要です。ご家庭で簡単にできる工夫や医療的なサポート方法を、自宅環境を踏まえて考えていきます。
 
1. スプーンやシリンジで水分を少量ずつ与える
   - ペットが自分で飲めない場合でも、無理なく喉を潤すことができます。
 
2. 皮下点滴で水分と栄養を補給
   - 食事が取れないときは、皮下点滴を活用することで脱水を防ぎ、最低限の栄養を補うことが可能です。
 
3. 好みのスープやフードを少量提供
   - 香りが強く飲みやすいスープを与えることで、ペットが少しだけでも食事を楽しむことができます。  
 
これらの方法を組み合わせることで、ペットが無理なく水分や栄養を摂れる環境を整えます。  
 
ペットが楽しめる「少しだけ特別な食事」
食欲がわずかに残っている場合、ペットが好きだったものや香りの良いフードを用意することで、食事が「特別な時間」になります。  
 
 
1. お気に入りのフードを少量だけ提供
   - 特別なご褒美として与えることで、ペットが少しでも喜ぶ姿を見ることができます。
 
2. 温かい食事を用意する
   - 温めることで香りが強まり、食欲を刺激することがあります。
 
3. 液体やペースト状のフードを選ぶ
   - 固形物が食べにくい場合、飲み込みやすい形に変えることで負担を軽減します。  
 
ペットの「食べたい」という気持ちを尊重しながら、無理のない範囲でサポートしていきましょう。  
 
 

4. ストレスを減らす環境づくり

 
ペットがリラックスできる空間の作り方
終末期のペットにとって、ストレスの少ない環境はとても大切です。安心できる空間を整えることで、ペットが穏やかに過ごせるようになります。以下のポイントをまとめてみました。
 
1. 静かで落ち着いたスペースを確保する
   - 騒音が少ない場所を選び、ペットが安心して休める環境を整えます。  
   - 家族の気配を感じられる場所に寝床を用意するのも効果的です。  
 
2. 寝床の配置と素材に配慮
   - 柔らかいクッションやブランケットを使用して、体が痛くならないようにします。  
   - 寒さや暑さを避けるため、寝床の位置を季節に合わせて調整します。  
 
3. 安全で自由な動きができるスペース
   - ペットが立ち上がったり歩いたりできる範囲を確保し、家具や物を整理して安全性を高めます。  
 
 
温度や湿度、静かな環境の工夫
ペットが快適に過ごせるよう、室内環境を適切に整えることも重要です。  
 
1. 適切な温度管理
   - 犬や猫が体温を維持しやすい環境を作ります(20~25℃が理想的)。  
   - 寒い場合はヒーターやブランケットを使用し、暑い場合はエアコンや扇風機を活用します。  
 
2. 湿度の調整
   - 湿度が高すぎると呼吸が苦しくなり、低すぎると喉や鼻が乾燥してしまいます。50~60%の湿度を目安に加湿器や除湿器を使いましょう。  
 
3. 穏やかな音と光を提供
   - テレビやラジオの音を抑え、静かな環境を保ちます。  
   - 照明は柔らかい間接照明を使い、ペットがリラックスできる雰囲気を作ります。  
 
 
ご家族との触れ合いで安心感を高める
ご家族との触れ合いは、ペットにとって大きな安心材料です。
終末期を迎えたペットに対して、漠然とした不安や恐怖などからスキンシップを避けるようになってしまうことが考えられます。
そんなことはないですので、ぜひ積極的に触れ合ってあげてください。
 
1. 優しく撫でる
   - ペットが触られて心地よい場所(頭、背中など)を軽く撫でます。  
   - 痛みのある部位には触れず、ペットの様子を見ながら対応します。  
 
2. 声をかける
   - 穏やかなトーンで名前を呼んだり話しかけることで、ペットに安心感を与えます。  
 
3. 一緒に過ごす時間を増やす
   - 忙しい中でも少しの時間を割いてそばにいてあげるだけで、ペットに安心を与えることができます。  
 
 

5. 最期の時間をどう過ごしたいかを考える

 
ご家族とペットが共有する最後の時間
ペットの終末期には、限られた時間をどのように過ごすかを考えることが重要です。特に「最期の瞬間をどう迎えたいか」は、ご家族それぞれで異なる考え方がありますが、共通して大切にしたいのは、ペットが安心して穏やかな時間を過ごせることです。  
 
1. 無理をせず寄り添う
   - 病院への無理な通院を避け、ペットが慣れた自宅でリラックスできる環境を選ぶ。  
   - ご家族がそばにいるだけで、ペットにとって大きな安心感となります。  
 
2. ペットのペースを尊重する
   - 起きる、休む、触れられるといった行動を、ペットの意思に任せる。  
   - 無理に何かをさせるのではなく、自然なペースで過ごす時間を作る。  
 
3. 最後まで愛情を伝える
   - 名前を呼んだり、そばで優しく話しかけたりすることで、愛情を感じさせてあげましょう。  
 
 
穏やかな最期を迎えるためのケア
最期の時間を穏やかに過ごすためには、緩和ケアやターミナルケアのサポートが重要です。
 
1. 呼吸が苦しい場合のサポート
   - 酸素発生装置や酸素ボンベを用いて、呼吸を助ける環境を整えます。  
 
2. 苦痛を和らげる薬の使用
   - 鎮痛剤や安定剤を適切に使用し、ペットが痛みや不安を感じることがないようにします。  
 
3. ご家族の心の準備
   - 獣医師から、ペットが最期を迎える際の変化や注意点をあらかじめ聞いておくことで、落ち着いて見守ることができます。  
 
家族全員でケアプランを考える
ペットの最期をどのように見守るかは、ご家族全員で話し合い、共有しておくことが大切です。  
 
1. ペットにとっての最善を考える
   - 病院で最期を迎えるのか、自宅で見守るのか、ご家族の価値観やペットの状態に合わせて選択します。  
 
2. 家族全員で役割を分担する
   - 誰が何をするかを事前に決めておくことで、いざというときに混乱を避けられます。  
 
3. 最後の時間を共有する
   - 最期に立ち会えるよう、家族全員がペットと過ごす時間を意識的に作ります。  
 
 

6. 在宅医療がもたらす安心感

 
通院が難しいペットへの負担軽減
体調が悪化したペットや高齢のペットにとって、動物病院への通院は大きな負担になります。特に、以下のような症状がある場合は、無理に移動することで病状が悪化するリスクがあります。
 
1. 呼吸が苦しい場合
   - キャリーケースや車内での緊張が呼吸をさらに悪化させることがあります。  
 
2. 体力が著しく低下している場合
   - 通院中の移動や待ち時間で、ペットが疲れ果ててしまう可能性があります。  
 
3. 大型犬で歩行が困難な場合
   - 重量があるため、移動が難しく、ご家族の負担も大きくなります。  
 
在宅医療では、ペットが安心して過ごせる自宅に獣医師が訪問し、診療を行うため、ペットとご家族の負担を大幅に軽減できます。  
 
 
在宅ケアならではのメリットとは?
在宅医療を選択することで、ペットにとってもご家族にとっても多くのメリットがあります。
 
1. 慣れた環境で診療を受けられる
   - ペットが安心できる自宅で診療を行うため、ストレスが軽減されます。  
   - 通院による緊張や疲労がないため、ペットの体調を安定させやすくなります。  
 
2. 家族全員でケアに参加できる
   - 家族全員がその場に立ち会い、獣医師の診療を見守ることができます。  
   - ケアの方法や注意点をその場で学び、実践することが可能です。  
 
3. 緊急時の対応がスムーズ
   - 呼吸困難や急な体調変化に備えた酸素供給機器や皮下点滴など、在宅でのケアを整えることで、迅速な対応ができます。  
 
 
ご家族がケアに専念できるサポート体制
在宅医療では、ペットの状態に応じた柔軟なケアプランが提供されるため、ご家族が安心してケアに専念できる環境を整えます。  
 
1. 獣医師による定期的なフォローアップ
   - ペットの体調に応じて、週1回や2週間に1回の診療を行い、状態を評価します。  
 
2. 個別にカスタマイズされたケアプラン
   - 呼吸状態や食欲、体力に合わせたオーダーメイドのケアプランを提供します。  
 
3. 飼い主様へのアドバイスとサポート
   - 緊急時の対処法や、ペットのケアで困ったときの相談にも対応します。  
 
 

7. 緩和ケアがもたらすご家族の心の変化

 
「やりきった」と思える選択の大切さ
終末期のケアでは、「自分の選択が正しかったのか」と悩む瞬間が訪れることもあります。しかし、緩和ケアを通じてペットと向き合う中で、「自分ができる限りのことをした」という達成感や安堵感を得ることができます。  
 
1. 最期までそばにいてあげられる安心感
   - 在宅緩和ケアでは、ご家族がペットと一緒にいる時間を大切にできます。最期まで寄り添うことで、後悔を減らし、思い出を共有できます。  
 
2. ペットとの絆を深める時間
   - ケアを行いながら、ペットとの絆がさらに深まることを感じられます。優しく撫でたり、声をかけたりする小さな行動が、ペットにもご家族にも大きな安心感を与えます。  
 
3. 「ありがとう」を伝える時間を持てる
   - ペットへの感謝や愛情を伝える時間を確保できることが、心の整理につながります。  
 
 
獣医師と連携することで得られる安心感
緩和ケアでは、獣医師との連携が重要です。専門家と協力することで、ご家族が抱える不安や疑問が解消され、ペットへのケアに集中することができます。  
 
1. 緊急時の相談が可能
   - 症状の変化や急な対応が必要なときでも、獣医師が具体的なアドバイスを提供します。  
 
2. 最善の選択肢を提案
   - ペットの状況に応じたケアプランを提案してもらえるため、「これで大丈夫なのか」という不安が軽減されます。  
 
3. ケアの実践方法を学べる
   - 日常のケアや急変時の対応について丁寧に教えてもらえるため、ご家族も安心してケアを続けることができます。  
 
 
ペットと過ごす最後の時間を見守る意義
緩和ケアを選択することで、ペットの最期の時間を穏やかに見守ることができます。この時間は、ペットだけでなく、ご家族にとっても大切な意味を持ちます。  
 
1. ペットの安心を優先した選択
   - 病院のストレスを避け、安心できる自宅で過ごせる環境を提供します。  
 
2. 家族全員で迎える時間
   - 家族全員が集まり、ペットとの時間を共有することで、心の整理をするきっかけになります。  
 
3. 「最期まで愛情を注げた」という満足感
   - 緩和ケアを通じてペットに寄り添うことで、「自分たちができる最善を尽くした」という気持ちが心に残ります。  
 
 

8. わんにゃん保健室の在宅緩和ケアとは

 
往診で叶えるペットとご家族の安心
「わんにゃん保健室」では、東京中央区を中心に東京23区全域で往診を行い、ペットとご家族が安心して過ごせる環境を提供しています。
在宅緩和ケアでは、ペットの苦痛を最小限に抑え、ご家族とペットが穏やかな時間を過ごせるようサポートします。  
 
当院が選ばれる3つの理由
 
1. 通院不要でペットの負担を軽減
   - 通院が難しいペットに、自宅で診察・治療を提供します。慣れた環境でのケアは、ペットのストレスを大幅に軽減します。  
 
2. ペットの状態に合わせた柔軟な対応
   - 心嚢水抜去や酸素環境の整備、皮下点滴など、在宅でも対応可能な幅広いケアを行います。飼い主様のご希望に沿ったケアプランをオーダーメイドで提供します。  
 
3. 獣医師と看護師の専門チームで訪問
   - 当院では獣医師だけでなく、愛玩動物看護師が同行します。専門チームがケアを提供することで、保定や緊急対応も安心です。  
 
 
診療エリアと対応内容
当院は東京23区全域で往診を行っています。特に以下のケアが私たちの特徴です。
 
在宅緩和ケア
  - ペットの苦痛を和らげ、安心できる時間を提供します。  
 
在宅ターミナルケア
  - 最期の時間を穏やかに過ごすためのケアプランを作成します。  
 
酸素環境の徹底構築
  - 酸素発生装置や酸素ボンベの設置を含めた呼吸サポート。  
 
事前予測と準備
  - 在宅医療の経験から培った知識と経験から、疾患や状態ごとに今後起こりうる変化を予想して、準備を進めていきます。言葉ではうまく説明できないのですが、なんとなくこの症状であればこうなるだろうという経験的な知見からのアドバイスだったり、教科書的な変化に関する説明だったりと、症例だけでなくご家族の求める情報の提供に尽力します。急変時に備えたアクションプランの作成も特徴だと思っています。
 
 
まずはご相談ください
在宅緩和ケアやターミナルケアに興味がある、通院が難しくなってきた、ペットの状態が気になる――そんなご家族のために、当院が全力でサポートします。  
 
 
東京中央区をはじめ、東京23区全域で往診可能です。
まずはお電話または問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。ペットの状態やご希望をお聞きし、最適なケアプランをご提案いたします。  
 
 
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犬猫の往診専門動物病院
わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
休診日:不定休診療カレンダー
 
〒111-0036
東京都台東区松が谷3-12-4 マスヤビル5F
 
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ペットが終末期に入り、ご飯を食べなくなる場面に直面したとき、ご家族の心には「何かできることはないのか」と不安が募るかもしれません。特に犬や猫のご飯を食べる姿は、「元気の象徴」ともいえる日常の一コマ。食べない姿を見てしまうと、戸惑いや悲しみを感じるのは自然なことです。

 

しかし、終末期において「食べない」という行動は、その子にとって自然な体の変化の一部かもしれません。このブログでは、ペットの終末期にご飯を食べなくなる理由と、それに対してどのような選択肢があるのかを解説します。また、在宅緩和ケアやターミナルケアという視点から、犬や猫の苦痛を減らし、穏やかな最期を迎えるためにご家族ができることをお伝えします。

 

もし、ご家族が「何がその子にとって最善なのか」を悩んだときに、今回の記事が少しでも道しるべになることを願っています。最後には、在宅医療や往診対応についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。

 

1. 終末期のペットに訪れる変化とは?

 
ご飯を食べなくなる理由:自然な体の変化
終末期に近づくと、犬や猫などのペットがご飯を食べなくなる場面が見られることがあります。この変化は、ご家族にとって大きな不安や戸惑いをもたらしますが、決して珍しいことではありません。  
 
体の中では、次のような自然な変化が起きています:  

1. 代謝機能の低下

   - 終末期にはエネルギーの必要量が減少します。これに伴い、体が栄養を求めなくなるのです。  
 

2. 消化機能の衰え

   - 食べ物を消化する力が弱くなり、食べる行為そのものが体に負担になることがあります。  

3. 病気の進行

   - がんや慢性疾患など、体力や臓器の機能が著しく低下することで、食べ物を受け付けなくなることがあります。  
 
これらは病気の進行や体の自然な終末期プロセスの一部であり、「何かを間違えたのではないか」というご家族の不安とは無関係であることを理解しておきましょう。  
 
 
無理に食べさせることが与えるストレス
「ご飯を食べないと弱ってしまう」という考えから、無理に食べさせようとすることがペットにストレスを与えることがあります。例えば:  
 

1. 経鼻チューブによる強制給餌

   チューブを鼻から通すことで、栄養を直接胃に送り込む方法です。しかし、装着時の不快感が強く、ペットにとって大きなストレスとなる場合があります。  
 

2. 無理やりの給餌(=強制給餌)

   口を無理に開けて流動食を与えることは、ペットに恐怖心や拒否反応を与え、関係性にも影響を及ぼすことがあります。  
 
ペットの体が必要としない状況でこれらの対応を行うことは、結果的にペットの生活の質(QOL)を低下させる可能性があるため、慎重な判断が必要です。  
 
 
「食べない」ということを受け入れる視点
終末期において、ご飯を食べないことは、体が「次のステージ」へ移行するサインともいえます。この時期に重要なのは、ペットの体の声に耳を傾け、ご家族がその変化を受け入れる準備を整えることです。  
 
ご飯を無理に食べさせるのではなく、ペットが安心できる環境や寄り添う時間を増やすことが大切です。  
次のセクションでは、どのような選択肢を考えるべきか、そしてその選択に向き合う方法について詳しくお伝えします。
 
 
 

2. 選択肢と向き合う:何がその子にとって最善か?

 
経鼻チューブや強制給餌のメリットとデメリット
ご家族が「何とかして食べさせたい」と考えるのは自然なことです。特に、経鼻チューブや強制給餌といった方法は、栄養を補給する手段として考えられることがあります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、慎重な判断が必要です。  
 
1. 経鼻チューブ  
   - メリット:栄養を直接胃に送ることができ、消化吸収が比較的スムーズに行われる。  
   - デメリット:装着時の不快感や違和感が大きく、ペットがストレスを感じることが多い。  
 
2. 強制給餌  
   - メリット:少量でも栄養を摂取させることができる。  
   - デメリット:口を無理やり開ける行為がペットにとって恐怖となり、拒否反応を強める可能性がある。  
 
これらの方法は、一時的に栄養を補給する手段として役立つ場合もありますが、終末期のペットにとって「苦痛を伴わないか」を軸に選択を検討することが大切です。  
 
 
 
ご家族の覚悟と選択の重要性
終末期のケアでは、ペットの体の状態だけでなく、ご家族の気持ちや覚悟も重要な要素です。「最善の選択」とは、ご家族がペットの声に耳を傾け、どんな時間を共有したいかを真剣に考えることで導かれます。  
 
1. 命を優先するか、苦痛を減らすか
   - チューブや強制給餌で栄養を補給することがその子にとって苦痛となる場合、あえて「何もしない」という選択肢も考えられます。  
 
2. できる限り穏やかな時間をつくる
   - 栄養の補給よりも、ペットがリラックスできる環境を整えることで、安心して最期の時間を過ごせるようにします。  
 
 
「何もしない」という選択肢も尊重する
時には、「無理をしない」という選択が、ペットとご家族にとって最善となる場合があります。例えば:  
- 無理に食べさせるのではなく、ペットが望むように過ごさせる。  
- 食べられる間はお気に入りの食事を少量でも楽しませる。  
 
これらの選択肢は、「諦める」わけではなく、ペットの自然な体の変化を受け入れ、ご家族が寄り添うという意味があります。  
 
次のセクションでは、ペットが食べられなくなったとき、どのように最期の時間を過ごすか、その具体的な方法をご紹介します。
 
 

3. 最後の時間をどう過ごしたいかを考える

 
食事が取れない時期にできること
ペットがご飯を食べられなくなった終末期では、食事以外で「その子にできること」を考えることが重要です。この時期に注目すべき点は、栄養の補給ではなく、生活の質(QOL)をいかにして守るかです。  
 
1. 水分の補給を優先する
   - 喉が渇いているような仕草が見られた場合、小さなスプーンやシリンジで水や薄めたスープを与えることができます。  
   - 皮下点滴を活用し、脱水を防ぐことも選択肢の一つです。  
 
2. リラックスできる環境を整える
   - 静かで落ち着いた場所に寝床を用意し、ペットが自分のペースで休めるようにします。  
   - 温度や湿度を調整し、快適な環境を提供します。  
 
3. 好きなものに触れさせる
   - おもちゃやタオルなど、ペットが愛用していたものをそばに置くことで安心感を与えます。  
   - ご家族の声や匂いを感じられる時間を増やします。  
 
 
ペットが安心して過ごせる環境作り
終末期のペットにとって、最も大切なのは「心が落ち着ける場所」です。以下のような方法で、安心できる環境を提供しましょう:  
 
1. 視覚と聴覚に配慮する
   - 照明を柔らかくし、静かな音楽やご家族の優しい声で安心感を与えます。  
   - 過剰な刺激を避け、穏やかな雰囲気を保ちます。  
 
2. 触れることで伝える愛情
   - 優しく撫でたり、背中を包み込むように触れることで、言葉では伝えられない安心感を与えられます。  
   - 体調が許せば、一緒に横になるのも良い方法です。  
 
3. ペットのペースを尊重する
   - 食べる、休む、撫でられるなど、すべてペットが望むペースで進めることが重要です。  
   - 無理に起こしたり、触れることは避けましょう。  
 
 
家族全員で見守ることの大切さ
ペットにとって、ご家族がそばにいることは何よりも大きな安心感を与えます。以下のような行動が、ペットとご家族の絆を深める時間構築に役立つと考えています。 
 
1. 一緒に過ごす時間を増やす
   - 忙しい時間を少しだけペットに割いて、そばに寄り添うようにします。  
   - 特別なことをしなくても、ただ一緒にいるだけでペットの心が落ち着きます。  
 
2. 最後の時間を全員で共有する
   - 家族全員が順番に話しかけたり触れたりすることで、ペットが愛されていると感じられる時間を作ります。  
 
3. 静かで温かい空間を保つ
   - 笑顔と優しい声を絶やさず、ペットが最期まで安心していられるよう心がけます。  
 
次のセクションでは、「一度選んだ道を変えることもできる」という視点から、選択に迷ったときの再検討やケアの見直し方法についてお伝えします。
 
 

4. 一度選んだ道を変えることもできる

 
選択に迷ったときに振り返るポイント
終末期のケアでは、「これが正しい選択なのか」と迷う瞬間が必ず訪れます。最初に選んだ道が、その子にとってベストだと思ったとしても、病状の変化や状況によって選択を変えることは決して間違いではありません。  
 
以下のポイントを振り返りながら、選択を見直すことも大切です。
 
1. ペットの体の声を聞く
   - 痛みや苦しみが強い場合は、ケアの方針を緩和ケアやターミナルケアに切り替えるタイミングかもしれません。  
   - 呼吸が荒い、無理をしている様子があれば、より負担の少ない方法を検討します。  
 
2. ご家族自身の気持ちを確認する
   - 「もっとこうしてあげた方が良いのでは」という不安がある場合は、その思いをご相談ください。  
   - ケアを見直すことで、心の負担が軽減される場合もあります。  
 
3. 専門家に相談する
   - 獣医師や往診の専門家に相談し、今後のケアプランを再構築するのも一つの方法です。  
 
獣医師との相談でケアの方針を再調整
ケアの方向性に迷ったときは、一人で悩まず、専門家と話し合うことが重要です。以下のような内容を獣医師に相談することで、状況を再確認できます。
 
1. 現在の状況についての評価
   - ペットの病状や苦痛の程度を共有し、医療的な対応が必要かを確認します。  
 
2. 現実的なケアの選択肢
   - 現在のケアがその子にとって最善か、別の方法があるのかを具体的に話し合います。  
 
3. 在宅でできるケアの幅を広げる
   - 往診や在宅緩和ケアの導入を検討し、ご家族が無理なく続けられるケアプランを提案してもらいます。  
 
 
「やり直せる」から安心して選択を
一度選んだケアの方針を変えることは、決して「間違いを認めること」ではありません。それはむしろ、その子に寄り添い続ける愛情の証です。  
 
1. 柔軟に対応する気持ちが大切
   - ペットの状況は日々変化します。選択肢を柔軟に変えることが、ペットの生活の質を高めることに繋がります。  
 
2. どの選択肢も愛情からのもの
   - チューブや給餌を選んでも、あえてしない選択をしても、すべてはペットを思ってのことです。その気持ちを大切にしましょう。  
 
3. 不安をため込まない
   - ケアを変更する際に生じる迷いや不安は、獣医師やご家族と共有し、解消する努力を続けることで、安心して進むことができます。  
 
 
次のセクションでは、在宅緩和ケアやターミナルケアの具体的な内容について詳しく解説し、ご家族がペットと穏やかに過ごせる環境づくりを提案します。
 
 

5. 在宅緩和ケアとターミナルケアのすすめ

 
在宅緩和ケアでできること
在宅緩和ケアでは、ペットが慣れ親しんだ自宅という安心できる環境で、終末期を穏やかに過ごせるようサポートします。ご家族がペットの苦痛を和らげ、心穏やかに過ごすためには次のようなケアが可能です。
 
1. 痛みや不快感の緩和
   - 鎮痛剤や安定剤を使用し、苦痛を最小限に抑えます。  
   - 呼吸が苦しい場合は酸素発生装置を導入し、呼吸をサポートします。  
 
2. 食べられないときの栄養管理
   - 内服薬が難しくなった場合には、皮下点滴で水分や薬剤を補給します。  
   - 無理に食事を与えるのではなく、ペットの状態に合わせた柔軟な対応を行います。  
 
3. 生活の質(QOL)を守るための工夫
   - 静かで落ち着いたスペースを用意し、ペットが安心して過ごせる環境を整えます。  
   - ご家族がそばにいる時間を増やし、声をかけたり撫でたりすることで、愛情を伝えます。  
 
 
ターミナルケアの意義
ターミナルケアは、ペットの最期を迎える時間を、できるだけ穏やかで温かなものにするためのケアです。
 
1. 体調の変化に対応する準備
   - 呼吸が苦しくなる可能性がある場合、酸素供給の準備を整えます。  
   - 急な体調変化に備え、内服薬が使えない場合に対応できる注射薬を用意します。  
 
2. 最期の時間を大切にする
   - 飼い主様がペットのそばに寄り添い、ペットが安心して旅立てる環境を提供します。  
   - 穏やかな時間を保つために、獣医師からの具体的なアドバイスを受けることができます。  
 
3. 心の準備を支えるサポート
   - ペットの最期に向き合うための心構えや、見守り方についてアドバイスを提供します。  
   - 最期を迎えた後の心のケアもサポートします。  
 
 
ご家族とペットが穏やかに過ごすために
在宅緩和ケアやターミナルケアを選ぶことで、ペットとご家族が過ごす最後の時間を穏やかなものにすることができます。このケアは、以下の点でご家族の負担を軽減しつつ、ペットの生活の質を守ります。
 
1. 往診による負担軽減
   - 通院のストレスをなくし、自宅で必要なケアを受けることができます。  
 
2. 柔軟な対応
   - ペットの状態やご家族の希望に合わせたオーダーメイドのケアを提供します。  
 
3. 飼い主様の不安を軽減
   - ケアの方法や緊急時の対応を詳しく説明し、安心して見守ることができるようサポートします。  
 
次のセクションでは、東京23区での往診対応について、当院が提供する具体的なサービスをご紹介します。
 
 

6. 東京23区での在宅ケアなら当院へ

 
往診専門の在宅緩和ケアでペットの安心をサポート
当院では、東京中央区をはじめとした東京23区全域で、犬や猫の在宅緩和ケアやターミナルケアを行っています。通院が難しいペットや終末期のケアが必要なご家族に寄り添い、自宅でできる最善の医療を提供することを目指しています。  
 
1. 通院が困難なペットに対応
   - 高齢のペットや、体調が悪化しているペットにとって、通院は大きな負担となります。当院の往診サービスなら、ペットが慣れた環境で診察や治療を受けられます。  
 
2. 柔軟なケアプランを提案
   - 飼い主様のご希望やペットの状態に合わせて、ケアプランを柔軟に設計します。酸素環境の整備や皮下点滴の導入など、在宅でできることを最大限活用します。  
 
3. 急変時のアクションプランをサポート
   - 心嚢水や胸水の貯留が予測される場合、適切な処置と家族が取るべき行動を事前にお伝えします。  
 
 
往診が選ばれる理由
往診を選ぶことで、ご家族とペットに次のようなメリットがあります:  
 
1. ペットのストレスを最小限に
   - 自宅での診療は、ペットにとって最もリラックスできる環境です。特に終末期では、穏やかな時間を保つために大きな役割を果たします。  
 
2. 移動の負担を軽減
   - 大型犬や高齢猫にとって、通院の移動は体力を消耗するだけでなく、病状を悪化させる可能性があります。往診なら、その負担を完全に取り除くことができます。  
 
3. 診療内容の充実
   - 当院では、在宅でも超音波検査や心嚢水抜去、皮下点滴などの専門的な処置が可能です。  
 
 
当院の診療区域と対応可能なケア
東京中央区を中心に、東京23区全域で往診を行っています。対応可能なケア内容は以下の通りです。
 
1. 在宅緩和ケア
   - 内服薬や注射薬、酸素環境の整備を通じて、ペットの苦痛を軽減します。  
 
2. ターミナルケア
   - 最期の時間を安心して迎えられるよう、緩和的なケアを提供します。  
 
3. 診療後のサポート
   - ケアの方法や不安な点について、診療後もご相談を受け付けています。  
 
 
穏やかな時間を大切にするために
終末期を迎えたペットにとって、安心できる環境で家族と過ごすことが何よりも大切です。通院が難しい、在宅ケアを検討しているというご家族の方は、ぜひ一度ご相談ください。  
 
東京中央区をはじめ、23区全域で往診対応可能です。
まずはお電話またはお問い合わせフォームから、ペットの状況についてお聞かせください。一緒に最善のケアを考えていきましょう。  
 
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犬猫の往診専門動物病院
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電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
休診日:不定休診療カレンダー
 
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1. 突然歩けなくなった大型犬で考えられる原因とは

 

大型犬が急に歩けなくなる原因で何が考えられるのか?

大型犬が急に歩けなくなる原因としては、神経系、筋骨格系、循環器系の問題が挙げられます。特に高齢の大型犬では、次のような疾患がよく見られます。

 

1. 椎間板ヘルニアや脊椎疾患

背骨に負担がかかり、神経が圧迫されることで、後肢が麻痺することがあります。これも結構多い印象で、早期であれば高用量のステロイドなどによる対応で改善することが望めますが、その重症度をまずは評価してあげたいことから、CT、MRIを撮ることができる施設への通院をお勧めします。

 

2. 関節炎や股関節形成不全

大型犬に多い疾患で、関節の炎症や変形によって痛みが生じ、歩行が困難になることがあります。股関節形成不全はゴールデンレトリバーでよく見る印象です。お尻を振るような歩き方(モンローウォーク)をしている大型犬と暮らしているのであれば、いつか必ず関節炎を発症して、歩きづらさが出てくるというのは覚えておいてあげましょう。急に歩けなくなるほどの関節炎や股関節形成不全は甘利見たことないですが、もしかしたら積み重ねで一気に痛みが出てしまった結果、立ち上がることを拒否してしまうのかもしれません。

 

3. 心臓病や血管の問題

心臓血管肉腫や心タンポナーデのように循環器系の疾患が進行すると、突然立てなくなる場合があります。大型犬で持病がなかったのに、急に失神を起こしてしまった場合には、心タンポナーデが発症している可能性があります。心嚢水が貯留してしまい発症するものですが、その原因で最も厄介なのが心臓血管肉腫です。心臓血管肉腫のゴールデンレトリバーの症例報告ブログをあげていますので、是非ご一読ください。

 

病気のサインを見逃さないために

歩けなくなる前に見られる小さなサインを見逃さないことが大切です。例えば散歩を嫌がるということがあります。急に散歩に行きたがらなくなるのは、痛みや体力の低下が原因かもしれません。次によろけたり、ふらついたりなど、転ぶことが増えることがあります。これは筋力低下や神経障害の兆候です。そのほかにも、もし心臓病が関与している場合であれば、呼吸が浅く速いなどの息苦しそうな様子が見られることがあります。これらのサインを早期に発見することで、適切な診療プランの決定が神族に行われ、その後の時間のQOL(生活の質)に大きく影響します。

 

気づいたときにすべき第一歩

大型犬が急に立てなくなった場合、慌てずに次のステップを踏むことが重要です。

 

1. 呼吸や意識の確認

息苦しそうな様子や意識がもうろうとしている場合は、直ちに動物病院に相談しましょう。 もしかするとそのまま入院管理になることもあるため、緊急で動物病院にいく場合には、入院になるかもしれないことを頭に入れておきましょう。

 

2. 歩行補助

移動が必要な場合は、抱き上げたりスリングを使って犬を安全に支えましょう。

 

3. 早めの診察

色々書きましたが、まずはかかりつけの動物病院に連絡して、最短でいつ診てもらえるのかを確認しましょう。もし移動が難しいと判断した場合には、往診専門動物病院に連絡します。東京23区内にお住まいの場合は、当院(わんにゃん保健室)が訪問できますが、すぐに対応できるかと聞かれると、往診という形態上、今すぐのお伺いは難しいことをご理解ください。待てるのかどうかはご家族の判断となりますが、大型犬で起立困難となると、往診を依頼することで、わんちゃんだけでなくご家族にとっても移動の負担を減らす選択肢になります。  

 

突然の体調不良は飼い主様にとっても驚きと不安が伴いますが、冷静に対応することで、犬にとって最善のケアを行うことができます。  

 

次のセクションでは、東京中央区で急に立ち上がれなくなってしまったゴールデンレトリバーの犬吉くんについてご紹介します。

 

急に立てなくなったゴールデンレトリバーの犬吉くん

 

散歩好きな大型犬が見せた突然の異変

犬吉くんは、東京中央区で暮らす明るく元気な大型犬でした。毎日の散歩を何より楽しみにしており、家族の誰よりも早起きして散歩の準備をするほどでした。ところが、ある日、散歩の途中で急に足を止め、そのまま動けなくなってしまいました。  

 

飼い主様は最初、「疲れただけかな?」と思っていたそうですが、その後も歩きたがらない様子が続き、不安を感じて動物病院に連れて行きました。  

 

動物病院での診断と心配な症状

動物病院での診察の結果、犬吉くんは心臓の病気と神経障害の可能性を指摘されました。さらに、血液検査とエコー検査で、心臓周囲に液体が溜まる心嚢水貯留が確認され、すぐに抜去処置が必要とされました。

 

心嚢水貯留が進んだ犬には顔色(歯茎の色)の変化(白っぽくなる、もしくは青白くなる)特に横になりたがらず、呼吸が浅く速くな理、座ったままでいることが多くなり、特に横になりたがない印象です。 好物に興味を示さなくな理、元気や食欲の低下が著しく起こります。

 

もしこれらの症状が現れた場合、直ちに医療対応が必要です。

 

ご家族の想いと在宅医療の選択

診断後、動物病院で心嚢水の抜去処置が行われましたが、病状が進行する可能性を考慮し、飼い主様は通院ではなく在宅医療に切り替える選択をしました。大型犬の場合、通院は体力的にも負担が大きく、呼吸が苦しい状況での移動は非常に危険です。  

 

犬吉くんの飼い主様は、「少しでも穏やかな時間を家で過ごさせてあげたい」という想いから、往診専門の動物病院に相談し、在宅医療の準備を始めることにしました。  

 

次のセクションでは、急な体調不良時にどのような初期対応が必要か、そして早めの診察がいかに重要かをご紹介します。

 

3. 初動の速さが重要

 

「急に立てなくなった」に対する初期対応

大型犬が急に歩けなくなったり立てなくなった場合、初期対応が犬の命を守るうえで非常に重要です。以下のポイントを押さえて、冷静に行動しましょう。

 

1. 状況と状態を冷静に観察

大前提として、緊急時ほど冷静になることを意識しましょう。いつからの症状なのか、兄をしているときにそれが起きたのか、そして呼吸状態はいかがでしょうか。呼吸が浅く速くなっているか、または苦しそうな様子がないか確認します。歯茎や舌の色を見て、蒼白や青白い場合は緊急性が高い可能性があります。

 

2. 安静を保つ

無理に動かそうとせず、静かで落ち着いた場所に犬を寝かせましょう。この時、過剰に触ったり、無理に歩かせようとしないように注意します。急いで動物病院に連れて行きたい気持ちは山々ですが、その時点で胸部を圧迫してしまうと、致命的な結果になってしまうかもしれないので、注意しましょう。

 

3. 動物病院への連絡

緊急で受診できる動物病院に連絡し、状況を伝えて指示を仰ぎます。東京中央区を含む23区内では、夜間救急に対応可能な病院も複数ありますが、全国になると地域ごとで夜間も診療してくれる獣医師もいれば、全くいないということもあると思います。もしものことすぎるため、事前に動物病院と連携をとっておくことも難しいと思いますので、ご家族がアクションプランを決めておきましょう。

 

動物病院での検査とその後の流れ

動物病院では、身体検査や炎症や貧血の有無を調べるための血液検査、心臓や関節、脊椎など、内部の状態を確認するためのX線検査や超音波検査(エコー検査)などの画像検査、心嚢水や胸水が貯留している場合には鎮静処置を伴った抜去処置が行われるのが一般的です。

 

初期対応で重要なのは、早期に適切な診断と治療を受けることです。特に心嚢水貯留が疑われる場合、早めの抜去が犬の体調を大きく改善させる可能性があります。  

 

早めの在宅医療で生活の質を守る

診断後、通院でのケアが難しい場合は、早めに在宅医療(在宅緩和ケア)を検討することも大切です。在宅緩和ケアでは犬の体力を温存させるだけでなく、通院によるご家族の負担を回避できます。動や待ち時間が不要になることで、ケアに集中できます。そして、自宅での在宅ケアや介護のお話をさせていただき、ご家族のニーズに合わせた診療計画が立てられます。  

 

在宅医療では、定期的な往診を通じて症状を管理し、急変時に備えた準備を進めることが可能です。早めに体制を整えることで、犬と飼い主様が穏やかな時間を過ごすサポートができます。  

 

次のセクションでは、在宅医療を開始した犬吉くんの診療プランについて具体的にご紹介します。

 

4. 在宅医療の始まり(犬吉くんの診療プラン)

 

自宅でできるケアの準備(環境整備のポイント)

犬吉くんの在宅医療を開始するにあたり、まずは自宅での日常ケアと介護などの環境を整えることが重要でした。大型犬の場合、快適な環境を作るためには次のような点に注意が必要です。

 

1. 安静を保つスペースの確保

滑りにくいマットやカーペットを敷き、犬がリラックスして横になれる場所を準備します。部屋の温度や湿度も病態た状態によって適宜調整し、少しでも過ごしやすい環境へと進化させていきます。

 

2. 移動の補助器具の準備

ハーネスやスリングを用意し、立てなくなったときに安全に移動できるようにします。

 

3.必要な医療器具の配置

酸素発生装置や皮下点滴セットなど、緊急時に対応できる医療資材や機材をご自宅に設置していきます。今後起こりうる症状などに対し、その時ご家族が緊急通院以外を選択できるように、ご自宅の中に対策を残して行きます。

 

呼吸、食欲、排泄状態をモニタリングする方法

在宅医療では、犬の体調を日々観察することが欠かせません。以下のポイントを飼い主様に共有し、犬の健康状態を把握していただきました。

 

1. 呼吸状態のチェック

呼吸が浅く速い場合や、苦しそうにしている場合は、すぐに酸素を供給します。鼻や歯茎の色が蒼白または青白くなった場合も注意が必要です。  

 

2. 食欲の観察

食べる量や食事への興味を毎日確認します。食欲がない場合は早めに報告いただきました。 

 

3. 排泄の管理

排尿・排便の頻度や量、形状などを記録し、異常があれば診察時に伝えていただきます。

 

ご家族と連携した柔軟な診療プラン

犬吉くんの在宅医療では、ご家族との密な連携が診療プランの中心でした。次のような計画を立てて進めました。

 

1. 定期的な往診

最初のうちは1〜3日に1回の往診で経過観察と検診、医薬品投与による反応を評価していき、落ち着きを取り戻してきた頃からは、週1回程度の往診で、心嚢水や胸水の状態をチェックし、内服薬の調整を行いました。

 

2. 急変時の対応準備

在宅緩和ケアにおいて、症状の急激な悪化はつきものです。この時、回復を望む場合には緊急で動物病院に飛び込むことをお勧めします。しかし、移動中に苦しむこと、そして改善してもまた繰り返すのが、この緩和ケア期の後半〜ターミナルケア期です。もう通院は厳しいとした場合に何もできないという状況にならないように、酸素環境や注射薬の準備を整え、緊急時に備えた具体的な対応策を共有しました。  

 

3. 家族と相談しながらのケア

犬吉くんの体調やご家族の希望に合わせて柔軟にケアプランを調整し、犬と家族が安心して過ごせる環境をサポートしました。  

 

在宅医療を開始することで、犬吉くんは自宅で安心して穏やかな日々を過ごせるようになりました。次のセクションでは、急変時に必要なアクションプランと飼い主様ができる対応について詳しくご紹介します。

 

5. 緊急時のアクションプラン(家族がその時できること)

 

急変時に役立つ在宅緩和ケアの知識

大型犬の在宅医療では、症状が急変したときに家族がどのように対応するかが重要です。特に呼吸困難や突然の虚脱といった緊急事態に備えるため、事前に必要な知識と準備を整えておくことをおすすめします。以下のポイントを基に、犬吉くんの飼い主様にも対応をお伝えしました。

 

1. 犬の状態を冷静に観察する

呼吸が浅く速い、もしくは呼吸のリズムが乱れている場合は緊急対応が必要です。歯茎や舌の色が白っぽくなる、冷たくなるなどの変化をチェックします。

 

2. 慌てずに安静を保つ

急に動かしたり、無理に立たせようとせず、犬がリラックスできる体勢を維持します。

 

3. すぐに酸素供給を開始する

酸素発生装置を利用して呼吸をサポートします。大型犬の場合、鼻先に酸素を直接吹きかける方法が現実的です。

 

酸素供給や皮下点滴での対応準備

急変時には、酸素環境や注射薬を活用したケアが効果的です。酸素発生装置や酸素ボンベを設置し、使用方法を家族全員が理解しておくことで、急な呼吸状態の悪化に備えて酸素環境が整備されます。酸素を使い始めたら、犬の呼吸状態がどのように変化するかを観察し、獣医師に状況を共有しましょう。

そして、おそらくこの後からは内服薬が飲めないと思われます。内服薬が飲めなくなった場合に備え、皮下点滴で薬剤を投与できる体制を整えます。犬吉くんのお母さん、お父さんには、皮下点滴の方法を事前に練習していただきました。犬吉くんは何の不安もなさそうに皮下点滴を受けてくれ、まるで全部を理解しているような雰囲気でした。

緊急時に家族の誰が何をするのか役割を決めておくと、スムーズに対応できます。  

 

動物病院へ連れていくべきか判断する基準

急変時、動物病院に連れていくか在宅で見守るかの判断は、症状や犬の状態によります。以下の基準を参考に、適切な選択を行いましょう:  

 

この話からはズレてしまいますが、まだ治療中であり回復を望める場合には、通院という手段を消さないほうがいいです。ただ、もう厳しいと判断された以降は、もう通院をさせないで、家で看取ってあげる前提の上で判断をすることになると思います。酸素供給や皮下点滴を行っても呼吸状態が改善しない場合には、医薬品の内容変更や用量変更を行い、明らかに痛みを伴っている場合や苦しそうな鳴き声を出す場合には、痛み止めを追加使用するなど、在宅でできる緊急時の苦痛緩和用の医薬品は、ご自宅に事前準備することは可能です。

 

犬吉くんの飼い主様も、酸素供給や注射薬の準備を整えたことで、急変時にも落ち着いて対応できました。次のセクションでは、往診を活用した在宅医療の具体的な内容について詳しくご紹介します。

 

6. 在宅医療でできること(往診による柔軟なケア)

 

自宅での診療がもたらす犬の安心感

大型犬が通院する際の負担は非常に大きいため、自宅で診療を受けられる往診は、犬にとっても飼い主様にとっても安心できる選択肢です。犬吉くんのケースでも、次のようなメリットがありました。

 

1. 慣れた環境でストレスを軽減

犬吉くんは、自宅の落ち着いた環境で診療を受けることで、動物病院の通院後の疲れた表情がなく、きっと通院ストレスが緩和されたんだと思います。家の中での訪問診療中もリラックスした様子を見せてくれることが多く、診察がスムーズに進みました。

 

2. 体力温存に寄与

動物病院への通院だと、絶対に必要となる移動や待ち時間がなくなり、体力が温存されたような印象だと、ご家族から伺いました。往診であれば、呼吸が苦しい状態でも、移動の負担を感じることなく診療を受けることができました。

 

3. 飼い主様との一体感

家族が診療中もずっとそばにいてくれる安心感が、犬吉くんを精神的に支えてくれたからなのか、終始落ち着いて診察を受けてくれました。診療全体を通して、ご家族も安心した表情で診察に立ち会ってくれて、説明もわかりやすかったと話してくれました。

 

内服薬の調整と注射薬による症状コントロール

在宅医療では、犬の状態に応じた柔軟な治療プランが可能です。犬吉くんの場合は、症状に応じて利尿薬や心臓サポート薬を調整し、症状の進行を抑えました。大型犬は比較的内服薬を受け入れやすい傾向があり、犬吉くんも治療初期は内服薬で安定した生活を送ることができました。また、常に内服薬を飲めなくなった場合に備えておくことも欠かせません。犬吉くんでも同様に、内服薬が飲めなくなった場合に備え、皮下点滴による薬剤投与を準備しました。ご家族に点滴の方法を事前トレーニングを持って覚えていただき、急変時にも対応可能な体制を整えました。そして、呼吸困難が見られる場合には、酸素供給を組み合わせたケアを実施しました。また、痛みが強い場合には、どこをどう判断することで痛みなのかどうかが判断できるとお伝えし、痛みを確認した場合に使用できるように、鎮痛剤を準備させていただき、苦痛を和らげました。

 

定期的な往診で見守る大型犬の生活

犬吉くんの場合、週に1回の定期往診を実施し、状態の確認と治療プランの見直しを行いました。往診のたびに次の点を評価しました:  

 

1. 呼吸状態の確認

心嚢水や胸水の貯留の有無を超音波検査で確認し、必要に応じて抜去を実施しました。

 

2. 生活の質(QOL)

1週間を通じての食欲や排泄の状況を把握し、日常生活の質を維持するためのアドバイスを行いました。

 

3. ご家族のマインド

家族の不安や質問に丁寧に対応し、一緒に治療プランを調整しました。プラン構築の上で最も重要なことは、ご家族の心を把握することです。何をどんな風に悩んでいるのかを常に意識しながら状況説明を行うと、意外な言葉にご家族の反応が見えることがあり、その場合には別角度から同じような説明をしたりなどで、マインド把握を図ります。

 

往診による在宅医療は、犬の状態に応じた柔軟なケアを可能にし、飼い主様と犬が安心して穏やかな時間を過ごせる環境を提供します。次のセクションでは、犬吉くんが在宅医療でどのように穏やかな日々を過ごしたのか、その最期の時間についてご紹介します。

 

7. 犬吉くんの穏やかな道のり

 

ご家族との時間を大切にした在宅ケアの取り組み

在宅医療が始まってからの犬吉くんは、自宅という安心できる環境で、家族と特別な時間を過ごしました。通院の負担がなくなり、食欲が少しだけ回復したことで「らしさ」を取り戻してくれました。犬吉くんは、在宅医療の開始後にお気に入りのフードを再び楽しむようになりました。心嚢水抜去による呼吸の改善や内服薬の調整により、体調が安定し、今まで通りの家族時間が戻ってきたようだとお話しされていました。大型犬の心臓血管肉腫に伴う急な症状は、心嚢水の抜去が完了すると、次の瞬間からいつも通りの元気さが戻ってくることが多いです。もちろん、いきなり元気に走り回るかというと違いますが、起き上がれなかったのが家の中を普通に歩けるくらいまで回復し、ご飯だって食べてくれるようになります。

 

「もう一度散歩を」の願いが叶った日

抜去した日の昼過ぎに、家族の支えのもと、短い散歩に出ることができました。ゆっくりとしたペースでしたが、大好きな近所の公園で風を感じることができたその日は、家族全員にとって忘れられない思い出となったそうです。

本来であれば、ぐったりするたびに動物病院に連れて行かなければいけなかったのが、往診と出会うことができて以来、通院の必要なく、すべてが家の中で行えていました。

自宅で過ごす時間は、犬吉くんにとっても家族にとっても、かけがえのないものです。家族が交代でそばに座り、撫でたり話しかけたりする中で、犬吉くんはリラックスして眠る姿を見せてくれました。

 

最期を自宅で迎えることがもたらす安心感

犬吉くんの最期の時間は、家族全員に見守られながら、本当に穏やかで静かなものでした。心タンポナーデが進行する中でも、酸素供給による呼吸のサポートや安定剤の使用により、犬吉くんが苦しまずに過ごせていました。苦痛は最小限に抑えることで、治療ではない緩和ケアによって、緩やかな最後を描いてくれました。

 

家族との深い時間と後悔のないお見送り準備

家族全員が犬吉くんを囲み、話しかけたり、好きだったおもちゃやタオルをそばに置いたりして、犬吉くんにとって安心感のある時間を作りました。最期の瞬間は少し苦しそうでしたが、家族に見守られながら旅立つことができました。

病状の進行や予想される変化について事前に共有していたことで、ご家族は心の準備を整え、最後の呼吸が始まった時も、犬吉くんに寄り添い続けることができました。見送った後も、「自宅で一緒に過ごす選択ができて良かった」という思いを語ってくださいました。  

 

穏やかに過ごすための心の準備

在宅医療では、犬の体調管理だけでなく、家族が心穏やかに愛犬を見送るためのサポートも重要です。犬吉くんのケースでは、次のような取り組みを行いました。

 

1. 病状の進行についての丁寧な説明

ご家族が、今自分の子がどんなん状態で、今後何が起こりうるのかを知っておくことが重要です。心嚢水が再び貯留した際の兆候や、最期が近づくと見られる変化について具体的にお伝えしました。症状の一つひとつをご家族と共有することで、ご家族が抱える漠然とした不安の軽減を図りました。

 

2.最期の時間の過ごし方の提案

ご飯を食べられなくなった時は強制給餌をするのか、食べないことで餓死してしまうのでは、いつまで皮下点滴を打つのか、打たないほうが枯れるように亡くなるとどこかのブログでみた、など多岐にわたる質問を受けるのが、私たちが専門的に取り組んでいる在宅緩和ケア、そしてターミナルケアです。医療面のことはもちろん、できるだけわかりやすい言葉でシンプルにお伝えすることで、「わからない不安」を減らして行きます。また、「声をかけ続ける」「触れてあげる」など、犬が安心できる接し方をアドバイスしました。家族ができることに集中できる環境を整えることで、心の準備を後押ししました。

 

犬吉くんの在宅医療の取り組みは、家族と犬が互いに支え合いながら、特別な時間を過ごすことを可能にしました。次のセクションでは、当院の往診を紹介させていただきます。東京23区での訪問による在宅緩和ケアを検討されているご家族は、まずは当院がどのようなサポートを提供しているのかをご覧いただける内容となっています。

 

8. 東京23区での在宅医療なら往診専門動物病院わんにゃん保健室へ

 

東京23区を中心に近隣地域までの広範囲対応

当院では、東京23区を中心に、近隣地区まで在宅医療を提供しています。特に大型犬のように移動が困難な場合、往診は犬の体力や飼い主様の負担を軽減する最適な選択肢です。  

 

1. 東京23区全域をカバーした往診専門動物病院

多くの往診専門動物病院が、地域を限定しての訪問としており、地区を越えてまでの往診を定期的に提供できるところは希少です。私たちは、中央区、江東区、品川区などの都心部から足立区や葛飾区といったエリアまで対応しています。また、診療時間も飼い主様の生活スタイルに合わせた時間帯にできるだけ柔軟に対応しています。

 

2. 酸素環境や医療機器の導入サポート

酸素環境にここまで力を入れている動物病院は、出会ったことがないですが、最後の時間に酸素発生装置があることはかなり便利です。どんな環境で管理するかによって、酸素発生装置1台ではなく2台にするか、または酸素ボンベがあったほうがいいか、などを考えています。もし呼吸を苦しがっているような症状があれば、ご家族から直接レンタルできる酸素発生装置よりも、処方箋を出さないと入手できないもののほうが、実際に使ってみて使いや水です。

当院では、酸素環境を整えたいご家族の場合に、在宅での使用方法を丁寧に説明し、急変時にも対応できるようサポートさせていただいています。  

 

大型犬も安心の在宅医療サービス

大型犬は、小型犬に比べて通院の負担が大きく、特に歩行が難しくなった段階での往診が強く推奨されます。当院では、大型犬の在宅医療において次のようなサービスを提供しています。

 

1. 心嚢水や胸水の抜去はご自宅で可能

状況に応じて、自宅で心嚢水や胸水の抜去を実施し、呼吸の負担を軽減します。保定業務は経験豊富な愛玩動物看護師が行うため、飼い主様が負担する必要はなく、わんちゃんへの負担も最小限に抑えます。  

 

2. 診察中の呼吸悪化に対する対応準備

胸水貯留や心嚢水貯留などの症例では、処置時のストレスで呼吸状態が容易に悪化します。そのため、保定には十分に注意を払うのはもちろんのこと、呼吸状態悪化を回避するために、常に酸素ボンベを携帯しています。酸素供給を迅速に行える環境下で処置することで、通常の往診に比べて安心して対応できる環境を提供します。

 

3. 内服薬や注射薬による症状コントロール

こちらも通常の動物病院と比べると差はほとんどないのですが、往診専門動物病院と比較すると、当院は複数の内服薬を保持しています。その分柔軟に医薬品変更の対応が可能であり、わんちゃんの状態に合わせて、注射薬変更も可能という柔軟な処方対応を行います。  内服薬が飲めなくなった場合でも、注射薬であれば皮下点滴に混ぜることで投与が可能です。

 

飼い主様に寄り添う柔軟な診療プラン

当院では、ご家族の不安を軽減し、わんちゃんもご家族も穏やかに過ごせる環境を提供することを目指しています。  

 

1. 十分な時間枠による安心空間での診察

診療空間は家の中であり、実際の生活環境の中に改善点があればアドバイスをさせていたいています。診療時間枠も、通常の動物病院での診療では難しい時間枠にて、しっかりと診察させていただきます。初診では1時間半〜2時間半ほど、再診でも30分〜1時間ほどと、予約枠は状況次第で変動しますが、ゆっくりと十分な時間を取ることを大切にしています。

定期訪問の頻度やケア内容を都度調整し、飼い主様と一緒に最適な方法を探ります。  

 

2. 在宅医療の経験豊富なスタッフ

獣医師と動物看護師がチームとなり連携を密に取り合うことで、全症例を全員で診ていきます。医療面だけでなく、日常ケアや介護、食事などの悩みも、すべて把握させtいただいております。生活環境を見させていただくことで、どこに不安を感じているのか、どんな悩みがありそうか、など、獣医師、動物看護師の観点から見つめられるのも強みです。

飼い主様との密なコミュニケーションを大切にし、不安や疑問に丁寧にお答えすることで、質の高いケアを提供します。  

 

3. 穏やかな最期を迎えるためのサポート

わんちゃんとご家族が最後まで安心して過ごせるよう、緩和ケアからターミナルケアまで一貫してサポートします。最期の時間をご家族と共に穏やかに過ごせるよう、心の準備やケア方法をお伝えします。

 

お気軽にお問い合わせください

大型犬の在宅医療に関してお困りの際は、ぜひ当院までご相談ください。東京以外でも対応可能ですので、移動の負担を減らしたい、愛犬が最後まで安心して暮らせる環境を構築してあげたい、治療ができなくても苦痛だけは緩和してあげたい、など、診療にて全力でサポートさせていただきます。まずはお電話または問い合わせフォームから、現在の状況をお聞かせください。  

 

わんちゃんだけでなく、その横で必死に向き合ってくれているご家族にとっても、残された時間を少しでも穏やかに過ごしていただけるよう、最善のケアについて一緒に考えていきましょう。  

 

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犬猫の往診専門動物病院
わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
休診日:不定休診療カレンダー
 
〒111-0036
東京都台東区松が谷3-12-4 マスヤビル5F
 
【わんにゃん保健室】
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1. 心臓血管肉腫とは(進行性の悪性腫瘍)

 

血管肉腫とは?(血管内皮由来の疾患)

心臓血管肉腫は、大型犬に多く見られる進行性の悪性腫瘍で、血管内皮細胞が腫瘍化することで発生します。この病気では、腫瘍の破裂や進行によって血液や液体が心臓周囲に漏れ出し、心タンポナーデと呼ばれる状態を引き起こすことがあります。

 

心タンポナーデとは、心臓とその周囲を覆う膜(心嚢膜)の間に液体が溜まり、心臓が正常に動けなくなる状態です。この結果、呼吸困難や失神、急な衰弱といった症状が現れ、適切な処置が必要となります。

 

心臓に発生する血管肉腫と心タンポナーデの影響

心臓血管肉腫は症状が進行するにつれて、次のような症状が見られることが多いです。

いつも元気な犬が散歩を嫌がる、疲れやすくなるなどの変化(運動量の低下)、安静時でも呼吸が浅く速くなる(呼吸が苦しそうになる)、歯茎が白っぽくなるなど、貧血の兆候(顔色の変化、可視粘膜蒼白など)、そして急な体調不良を起こし、突然立てなくなる、失神することもあります。

 

心タンポナーデを解除するためには、心嚢水抜去と呼ばれる処置が必要です。この処置では、心臓周囲に溜まった液体を針で抜くことで心臓の圧迫を緩和します。ただし、心嚢水抜去は、往診で対応できる往診専門動物病院は多くないかもしれません。当院では、鎮静処置を行なった上で実施していますが、大型犬の場合には比較的痛みにとても強い子が多いので、無処置で心嚢水抜去に耐えてくれることも多くあります。

 

外科手術や積極的な治療は難しい

心臓血管肉腫の治療では、外科手術や抗がん剤が選択肢として挙げられることがありますが、多くの場合、効果を期待するのが難しいとされています特に大型犬では、以下の理由から在宅緩和ケアへの移行が選ばれることが多いです。心臓血管肉腫は進行が早く、緩和ケアで穏やかな生活を目指す選択が重要視されます。特に大型犬では、動かすことがそもそも小型犬と比べて重さの観点から難しい場合が多く、動物病院への高頻度な通院に耐えられず、在宅緩和ケアへの移行を選ばれることが多いです。

大型犬は比較的内服薬を受け入れてくれるため、週1回程度の定期検査、状態のよって内服薬の用量や種類を変更するなど、これらはほとんどの往診専門動物病院で管理が可能だと思います。

 

大型犬の場合、歩行が難しくなった段階で往診を検討するのが良いタイミングだと思います。心臓血管肉腫では、症状が進むと週1回以上の検査や内服薬の調整が必要になるため、無理な通院を避けるためにも、早めの往診切り替えが推奨されます。

 

次のセクションでは、実際の症例を基にした在宅緩和ケアの経過について詳しくご紹介します。

 

2. 大型犬の心臓血管肉腫(ゴールデンレトリバー)

 

病気の発覚(呼吸困難と急な失調症状)

大型犬で心臓血管肉腫が見つかるきっかけは、急な体調変化が多い傾向にあります。例えば、次のような症状から病気が発覚することが一般的です。

 

①散歩中に急に立ち止まり、動けなくなる  

②普段と違う浅い呼吸や疲れやすい様子が見られる  

③食欲旺盛だった犬が食事中に戸惑うような行動を見せる  

④失神や突然の衰弱  

 

これらの症状が出現した場合、緊急で動物病院を受診すると、心嚢水の貯留が確認され、心タンポナーデを起こした可能性が多いです。心嚢水の貯留が進むと心臓が圧迫され、正常な血液循環が阻害されるため、迅速な対応(心嚢水抜去)が必要になります。

 

心嚢水抜去で一時的に安定を取り戻す

心嚢水が貯留している場合、心嚢水抜去という処置が行われます。この処置では、心嚢膜に針を刺して溜まった液体を抜くことで、心臓の動きを改善します。抜去後は、呼吸が楽になる、顔色が戻り元気を取り戻す、そして抜去後には食欲や行動が一時的に改善するなどが期待できます。

 

ただし、心嚢水の貯留は繰り返し起こることが多いため、1回の処置だけで完治するものではありません。症状が再発するたびに抜去を行う場合、頻繁な通院が必要になるため、大型犬では体力面の負担が大きくなります。

 

在宅緩和ケアへの切り替えとその背景

通院が難しくなる段階で、在宅緩和ケアを選択する飼い主様も多くいらっしゃいます。特に、大型犬では次の理由から在宅ケアが選ばれることが一般的です。

 

①体力の低下に伴う通院リスク

心嚢水や胸水が貯留し始めた段階では、頻繁な検査や内服薬の調整が必要になります。大型犬の場合、これらを通院で対応するのは犬と飼い主様双方にとって大きな負担です。体力的な負担の増大と時間的な拘束は、直接的に精神面の崩壊を招いてしまうかもしれない、ということを忘れないでくださいね。

 

②緊急時の対応準備

心嚢水の貯留が急激に悪化した場合、自宅での酸素環境整備や注射薬の準備が重要となります。内服薬が飲めなくなることを想定し、皮下点滴の準備も行うことで、緊急時の対応がスムーズになります。もちろん、寝たきりの大型犬を動物病院まで連れて行ける環境があるのであれば、おかしいと判断したらすぐに動物病院に連れて行きましょう。

 

③穏やかな最期を目指したケア

終末期では、苦痛を最小限に抑えたケアが重視されます。飼い主様と犬が安心して過ごせる環境を整えるため、在宅ケアが選ばれるケースが増えています。  

 

大型犬の場合、比較的内服薬をしっかり受け入れてくれるため、症状が安定している間は薬でのコントロールが可能です。しかし、心嚢水や胸水が貯留し始めたら週1回以上の検査と内服薬の調整が必要になるため、早めに往診を利用し、飼い主様が適切にケアできる体制を整えることが推奨されます。

 

次のセクションでは、在宅緩和ケアで具体的にどのような対応が行われるかについて詳しくご紹介します。

 

 

3. 在宅緩和ケアの具体的な実施内容

 

初期対応とご自宅でのケアプラン

心臓血管肉腫を抱える大型犬にとって、在宅緩和ケアの最初のステップは症状の安定化と家の中でご家族様だけでできる在宅ケアプランの作成です。特に心嚢水や胸水が貯留し始めた場合、定期的な検査と緊急時の対応準備が不可欠です。

 

1. 酸素環境の整備

呼吸が苦しい場合、酸素濃度を高めた環境を整えることが重要です。在宅での酸素環境には、

酸素発生装置と酸素ボンベの適宜設置及び運用によって、犬の状況に合わせた酸素環境を構築していきます。

酸素発生装置は、基本的にはずっと酸素を供給できる装置であり、維持することを目的に使用していきます。地域によっては酸素ボンベの設置が可能な場合があります。

東京23区であれば、私たちの方から診療で必要だと判断した場合に処方箋を作成することで、ご自宅に酸素ボンベを設置することが可能です。

急激な呼吸状態の悪化時に即座に酸素を補給するための準備は欠かさないようにしましょう。また、大型犬の場合には、酸素ハウス内で管理することは、経験上行われないことが多いです。

大型犬が入り、なおかつ中で動きがとれるくらいの快適さを酸素ハウスに求めた場合、それだけの空間を酸素化することはかなり難しくなってきます。

ただ、ご希望があれば、私たちが酸素環境を構築させることは可能ですので、往診の時にご相談ください。

入らなかった場合には、直接吹きかけてあげることで、酸素供給を目指します。大型犬の場合、酸素を直接鼻先に吹きかける方法が現実問題として最も選ばれる手法だと思われます。  

 

2. 内服薬と皮下点滴の準備

大型犬では、比較的内服薬をしっかり受け入れてくれるケースが多いです。

これを活かし、症状のコントロールには、症状に応じて利尿薬や心臓をサポートする薬を中心に据えつつ、急変で内服薬が飲めなくなった場合に備え、家の中での皮下点滴を導入しましょう。皮下点滴を準備しておくことで、幅広い医薬品の投与が可能になります。

 

急変時の対応方法

心嚢水や胸水が貯留し始めた場合、症状の急変が避けられないケースもあります。在宅ケアでは、急変時に飼い主様が適切に対応できるよう、事前の準備とアクションプランが重要です。  

 

1. 心嚢水抜去の検討

心嚢水が急激に貯留した場合、速やかに心嚢水抜去を行う必要があります。

当院では、獣医師だけでなく愛玩動物看護師が同行し、保定を含む適切な対応を提供します。

鎮静後に心嚢水抜去を行いますが、大型犬では痛みにとても強い場合が多いため、無鎮静で実施できている印象を受けています。

当院以外の往診専門動物病院でも、状況次第では心嚢水抜去が可能なこともあると思いますが、抜去ができないために内服や注射薬で貯留した心嚢水が減少するかを見守るとされた場合には、別の往診専門動物病院を検討しましょう。

 

2. 家族ができるアクションプラン

飼い主様には、緊急時にどのように対応するべきかを具体的にお伝えしています。

呼吸が苦しい場合には、事前に準備された酸素運用を行い、まずは酸素の供給をサポートしてもらいます。

飲食ができなくなった場合には、内服薬を無理に飲ませるのではなく、皮下点滴や注射薬で対応することをお勧めします。

なお、もし動物病院まで連れて行けるのであれば、動物病院へ連れていくべきか、在宅で見守るべきかの判断基準を事前に話し合っていただきます。  

 

終末期のサポート(ターミナルケア)

在宅緩和ケアの目的は、愛犬ができるだけ苦しまずに、家族と穏やかな時間を過ごせるよう支えることです。終末期(ターミナル期)では緩和ケア期と比べて、より具体的に別れを意識した取り組みをさせていただきます。

 

例えば呼吸状態の管理で、酸素を十分に嗅がせていても呼吸状態が悪化していく場合には、安定剤や鎮痛剤を適切に使用し、少しでも今という時間を楽に過ごしてもらうのかを考えていきます。

ただ、この先の数分後、数十分後に訪れるのは、お別れになると思います。それでも最後の苦しい時間を短くしてあげたいと考え、実施されるご家族様もいます。

 

最後の時間を、少しでも不安や苦しみが少ないように、家族の不安を軽減するためにも、状況に応じた具体的なアドバイスを行います。  

 

在宅緩和ケアは、大型犬の体調や家族の状況に合わせて柔軟に対応できるケア方法です。

次のセクションでは、大型犬において通院が難しい理由と、往診を選ぶメリットについて詳しくご紹介します。

 

4. 呼吸が苦しい大型犬に往診を選ぶ理由

 

通院のリスクと体力消耗の危険性

大型犬にとっても、心臓血管肉腫の進行に伴う通院は、体力面・精神面で大きな負担となります。

特に呼吸が苦しい場合や心嚢水、胸水が貯留している場合、通院によるストレスが病状をさらに悪化させる可能性があります。

 

通院時のリスク

移動中の体力消耗がまずは大きいです。

持ち上げるにも、移動させるにも、胸郭の圧迫や興奮は避けなければいけません。

また、車の揺れも胸水貯留や心嚢水貯留を伴う犬猫には大きなストレスとして影響を与える可能性があります。次に待ち時間によるストレスです。

これは、毎回の積み重ねで、犬だけでなくご家族様の精神的な負担につながってきます。

ただし、心嚢水貯留をすでに起こしているわんちゃんが失神した場合などは別で、心嚢水抜去が可能な往診獣医師を待つことができなければ、動物病院に急ぐ連れていくことを検討しましょう。

 

往診専門動物病院でも酸素環境構築指示、心嚢水抜去、皮下点滴は可能

往診を利用することで、大型犬に必要なケアを自宅で受けられる環境を整えることができます。

特に次のようなケアは、往診の利点を活かして実施可能です。

 

1. 酸素供給の環境整備

自宅での酸素環境の構築により、通院せずに呼吸困難を緩和できます。酸素発生装置や酸素ボンベを利用した適切な運用方法を指導します。

 

2. 心嚢水や胸水の抜去

必要に応じて心嚢水や胸水の抜去を往診で実施します。これには鎮静処置が必要な場合があるので、事前に往診専門動物病院に確認しておきましょう。この時の保定には十分な知識と技術が必要なため、必ず動物看護師にお願いしましょう。

 

3. 内服薬や注射薬の調整

状態に応じた内服薬の調整を行い、犬が無理なく服用できる形でサポートします。心嚢水貯留が見られる犬猫では急変はつきものですので、急変時のために皮下点滴や注射薬を準備し、対応力を高めましょう。

 

在宅ケアの安心感

往診で行う在宅緩和ケアは、飼い主様と犬にとって多くの安心感を提供します。

 

1.犬の負担軽減

慣れ親しんだ自宅環境で診察やケアを受けることで、大型犬のストレスを最小限に抑えられます。

 

2.ご家族様の安心

大型犬を連れて通院する負担がないため、飼い主様が犬に集中してケアを続けられます。

 

3. 緊急時の対応力向上

酸素環境や注射薬の準備を事前に整えることで、急変時にも冷静に対応できます。

 

往診は大型犬の終末期ケア(ターミナルケア)に最適な選択肢

大型犬の心臓血管肉腫は、進行とともに通院が難しくなり、より頻繁なケアが求められる病気です。往診は、犬のストレスを最小限に抑えつつ、飼い主様が安心してケアを続けられる体制を提供します。

 

次のセクションでは、これらの取り組みがもたらす穏やかな最期と、在宅緩和ケアの重要性についてまとめてご紹介します。

 

5. まとめ:在宅緩和ケアがもたらす安心と穏やかな最期

 

呼吸状態の安定がもたらす生活の質(QOL)の向上

心臓血管肉腫の進行に伴い、大型犬は呼吸困難や体力の低下といった症状に苦しむことが多くなります。在宅緩和ケアでは、呼吸状態を安定させる環境を整えることで、犬が少しでも穏やかに過ごせる時間を増やすことが期待できます。  

 

生活の質を高めるポイント

1. 酸素環境の整備により、呼吸が苦しい時間を減らせます。  

2. 内服薬や皮下点滴を利用することで、症状をコントロールしつつ快適な生活を維持します。  

3. 自宅でのケアが可能になることで、飼い主様と犬が安心して過ごせる環境を作ります。  

 

大型犬の在宅ケアにおける往診の価値

特に大型犬では、通院による体力消耗やストレスが重篤な症状を悪化させる可能性があります。往診を利用することで、犬に必要なケアを自宅で受けられるだけでなく、飼い主様がケアに集中できる環境が整います。  

 

往診が選ばれる理由

心嚢水や胸水が貯留し始めた際に必要となる週1回以上の検査や内服薬の調整を通院なしで実施できます。また、酸素供給や注射薬を事前に用意しておくことで、急変時にも柔軟に対応可能です。さらに、慣れ親しんだ自宅でケアを行うことで、犬がよりリラックスした状態で治療を受けられます。

 

大切な家族を見守る選択肢としての在宅ケア

在宅緩和ケアは、病気と闘うだけではなく、犬と家族が穏やかな時間を過ごすための選択肢でもあります。通院が難しい状態になったとしても、「何もできない」ということではありません。酸素供給や鎮痛剤の使用を通じて、犬の苦しみを軽減し、穏やかな最期を迎えるサポートが少しでもできるようにしておきましょう。最期の時間を自宅で過ごせることで、飼い主様と犬が特別な絆を再確認する機会になります。

 

在宅緩和ケアを検討されている方へ

大型犬の心臓血管肉腫や終末期ケアにおいて、往診による在宅緩和ケアは、犬と飼い主様にとって負担の少ない最適な選択肢です。病気の進行に伴い、通院が難しくなる前に往診を検討し、必要な準備を進めておくことで、安心してケアに取り組むことができます。

 

もし、呼吸状態の悪化や心嚢水の貯留などでお困りの際は、ぜひ一度、往診専門動物病院までご相談ください。愛犬の穏やかな時間を守るために、私たちは全力でサポートさせていただきます。  

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

愛犬の健康を守るための在宅ケアについて、少しでもお力になれる情報をお届けできていれば幸いです。

 

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犬猫の往診専門動物病院
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猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
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1. 猫の乳腺腫瘍と在宅緩和ケアの重要性

乳腺腫瘍の多くは悪性

猫ちゃんの乳腺腫瘍は、特に高齢の猫ちゃんに多く見られる病気で、その約80~90%が悪性とされています。このため、早期発見が重要であり、乳腺にしこりや腫れを見つけた際には、すぐに獣医師に相談することが大切です。  

 

乳腺腫瘍は進行すると肺への転移が起こりやすく、肺転移が確認されると、呼吸が苦しくなる症状が見られることがあります。また、胸の中に液体が溜まる胸水貯留が発生し、呼吸困難を引き起こすこともあります。

 

治療法の選択肢と終末期ケアの考え方

乳腺腫瘍の治療には外科手術が選ばれることが一般的ですが、高齢の猫ちゃんや進行した状態では手術が難しい場合があります。また、「残りの時間を穏やかに過ごさせたい」という飼い主様の意向から、積極的な治療を避けるケースも少なくありません。  

 

その場合、在宅緩和ケアが重要な役割を果たします。在宅緩和ケアでは、猫ちゃんが安心できる自宅で、苦痛を軽減しながら過ごせる環境を整えることが目的です。治療を継続する場合でも、終末期ケアを選ぶ場合でも、猫ちゃんの体調や飼い主様の希望に寄り添ったプランを構築することが大切です。

 

なぜ在宅緩和ケアが乳腺腫瘍において重要なのか

乳腺腫瘍が進行し、呼吸が苦しくなったり食欲が低下したりする猫ちゃんにとって、通院は大きな負担となります。キャリーケースでの移動や病院での待ち時間は、体力を消耗させるだけでなく、病状を悪化させるリスクも伴います。

 

在宅緩和ケアには次のようなメリットがあります。

①安心できる環境でのケア

猫ちゃんが慣れ親しんだ自宅で診察や処置を受けられるため、ストレスを大幅に軽減できます。  

②柔軟な対応が可能

猫ちゃんの状態に応じて、皮下点滴や酸素ハウスの導入、胸水抜去などの処置を在宅で行うことができます。  

③飼い主様との時間を大切に

通院の時間を削減し、猫ちゃんと一緒に過ごす時間を増やせます。

 

乳腺腫瘍は進行の早い病気であり、特に猫ちゃんの場合、その多くが末期段階で発見されることが多いです。だからこそ、早期のケアプラン作成や往診による在宅ケアが飼い主様と猫ちゃんの負担を減らし、穏やかな日々を実現する第一歩となります。

 

次のセクションでは、呼吸状態が悪化する猫ちゃんに必要なケア、胸水貯留への対応策について詳しくご紹介します。

 

 

2. 呼吸状態が悪化する猫ちゃんのケア:胸水貯留と対応策

胸水貯留とは?猫ちゃんの呼吸が苦しくなる原因

乳腺腫瘍が進行し、肺に転移が起こると、胸の中に液体(胸水)が溜まる胸水貯留が発生することがあります。胸水が溜まると肺が圧迫され、猫ちゃんが十分に息を吸い込めなくなり、次のような症状が現れることが一般的です。

 

①呼吸が浅く速くなる(頻呼吸)

②お腹を使った苦しそうな呼吸(努力呼吸)

③横にならず、座ったままの体勢で過ごすことが多くなる

④食欲不振や動きたがらない状態

 

胸水貯留が進行すると猫ちゃんの体力を大きく消耗するため、早急な対応が必要です。

 

胸水抜去と医薬品:利尿剤が効きにくい場合の対処法

胸水貯留の治療には、溜まった胸水を直接排出する胸水抜去が効果的です。細い針を胸に刺して胸水を抜くことで、呼吸がすぐに楽になる効果が期待できます。ただし、胸水抜去は一時的な効果であり、乳腺腫瘍による胸水は再び溜まることが多いため、継続的な管理が必要です。  

 

また、心臓病由来の胸水とは異なり、乳腺腫瘍に伴う胸水貯留では利尿剤が効きにくい場合がほとんどです。そのため、以下のようなアプローチが考えられます。

 

1.胸水抜去を適切に繰り返す

猫ちゃんの呼吸状態を見ながら、必要に応じて胸水抜去を行います。この際、鎮静薬や鎮痛薬を用いることで猫ちゃんの負担を軽減します。

 

2.酸素環境の整備

酸素濃度の高い環境を整えることで、呼吸をサポートします。具体的には、酸素ハウス、酸素発生装置や酸素ボンベの導入を検討します。

 

呼吸を楽にする酸素ハウスの導入と活用

呼吸が苦しい猫ちゃんには、酸素濃度を高めた環境が重要です。酸素ハウスは、簡易的な酸素室を作るための設備で、猫ちゃんが安心して過ごせるスペースを提供します。  

 

酸素ハウスのメリット

①呼吸のサポート

人だと人工呼吸器がありますが、犬猫では空間ごと酸素化する必要があります。酸素ハウスを用いることで、酸素室内の酸素濃度が上がり、猫ちゃんが少ない呼吸回数でも体内に必要な酸素を取り込めるようになります。

 

②自宅での運用が可能

病院に行かずとも、自宅で継続的に呼吸管理ができます。  

 

③ストレスを軽減

通院の必要がなくなるため、猫ちゃんのストレスを最小限に抑えられます。  

 

酸素ハウスの活用方法

①酸素ハウスを出入り自由にする

閉鎖空間になると分かれば、酸素室内に入ってくれないのが常です。まずは酸素を垂れ流し状態にし、出入りが自由であることを理解してもらいましょう。

 

②酸素室でしっかり管理

いよいよ酸素室外では苦しくなってきましたら、酸素室内で管理を始めます。酸素濃度がどのくらいで猫ちゃんの呼吸が落ち着くのかを評価するためにも、酸素濃度測定器の設置が重要です。

 

③酸素ボンベの併用

酸素ハウス内の酸素濃度が下がった際に、ブーストをかける意味合いで使用することが可能です。酸素ボンベを使用して素早く濃度を回復させます。ただし、酸素ボンベの準備ができない地域もあるため、酸素業者に確認しておきましょう。

 

 

呼吸が苦しい猫ちゃんにとって、胸水抜去や酸素環境の整備は命を守るための重要なケアです。ただし、それらの処置が猫ちゃんに過剰なストレスを与えないよう、獣医師と連携して計画的に進めることが大切です。  

 

次のセクションでは、飼い主様が在宅でできるケアやトレーニング、安心できる環境作りについて詳しくご紹介します。

 

3. 在宅終末期ケアでできること:飼い主様に寄り添うプラン

猫ちゃんの負担を軽減する皮下点滴の導入

乳腺腫瘍を抱える猫ちゃんでは、体力を維持し、病状の進行による症状を緩和するために皮下点滴が重要な役割を果たします。脱水を防ぐ目的で選択する手法ですが、ここでは、まず投薬を目的に皮下点滴を実施していきます。投薬ができれば、食欲の改善や全体的な元気の維持が期待できます。

 

皮下点滴は、輸液を皮下に注入する方法で、猫ちゃんに負担をかけずに必要な水分や医薬品の投与が可能です。往診で獣医師が実施するだけでなく、飼い主様が自宅で行えるようにトレーニングを受けることで、以下のようなメリットが得られます。

 

1.実践をより具体的に想定した皮下点滴トレーニング

実際に自宅環境で皮下点滴のトレーニングを行うため、より具体性を持って皮下点滴トレーニングに取り組んでいただけます。自宅のどの場所で、誰がどのように保定して、どのように投与して行くのかを、家族様だけで実施できるようにゆっくりと理解していただけます。

 

2.状態悪化時も家族で対応可能な環境を作る

内服薬ができる猫ちゃんでも、急に内服薬を飲めなくなる時がやってきます。その時に、注射薬を準備しておけば、獣医師の指示のもとに、皮下点滴による医薬品の投与が可能ですので、医薬品によって症状を緩和できることが期待できます。特にターミナルケアの時は、急激に症状が悪化することがあります。その時に、何もできない状況を作らないため、事前に皮下点滴のトレーニングをしておきましょう。

 

3.通院の必要性を考え直せる

在宅医療で検査と処置、処方が可能なため、万が一の時の選択的通院以外の通院ストレスを大幅に軽減できます。そのため、本当に必要な時だけ動物病院に通院、他は在宅にて対処ができることを知ることで、より心穏やかな緩和ケア期、そしてターミナルケア期を迎えることができます。

 

ご家族でできるケアのためのトレーニング

在宅終末期ケアでは、飼い主様が日常的に猫ちゃんの状態を確認し、適切なケアを行えるようサポートすることが大切です。当院では、以下のようなトレーニングを通じて、飼い主様の不安を軽減し、自信を持ってケアに取り組めるようお手伝いします。

 

1.皮下点滴の練習

獣医師が針の刺し方や輸液の量、猫ちゃんを落ち着かせる方法を丁寧に指導します。必要な器具や衛生管理についても詳しく説明させていただくことで、道具の使い方や今からやることの意義を理解して、これからの在宅ケア、皮下点滴に臨めます。

 

2.呼吸状態の観察方法

呼吸数や努力呼吸の兆候を観察し、「何がどうなったら何をすればいいのか」をお伝えします。完全に酸素室内管理で行くのか、酸素の垂れ流しで出入り自由な環境で経過観察を進めるのかなど、状態と性格に応じてアドバイスさせていただきます。この時、酸素濃度測定器を使った評価方法もサポートします。

 

3. 薬の投与方法

内服薬が苦手な猫ちゃんには、注射薬や投薬補助おやつを使った工夫を提案します。また、すでに内服は難しいと判断した場合には、注射薬での処方に切り替えさせていただきます。投薬のタイミングや投薬経路、1日1回の投薬なのか2回、3回なのかなど、飼い主様の生活スタイルに合ったものをご提案させていただいています。

 

安心して過ごせる環境作りと在宅ケアの基本

乳腺腫瘍を抱える猫ちゃんが穏やかに過ごすためには、猫ちゃんにとって少し絵も快適に過ごせる環境作りが欠かせません。在宅ケアでは、以下のポイントを意識することが大切です。

 

1. 酸素室の設置場所は落ち着ける場所で 

猫ちゃんがリラックスできるよう、いつもの環境の中に酸素環境を作ってあげること心掛けています。お気に入りのクッションや毛布を用意することで、安心感が増します。

 

2.食事や水分補給の場所を酸素室内に

飲み込む過程で呼吸を一時的に止めるのですが、呼吸状態が悪い犬猫に対してそれを期待するのは難しいです。その場合に、ご飯皿と水皿を酸素室内にも設置してあげることで、気づくと食べてくれた、というような現象が見られるかもしれません。

 

3.症状に合わせた温度と湿度の管理

呼吸が苦しい場合や体温調節が難しい場合には、エアコンや加湿器などを使って快適な室温・湿度を保つことが重要です。一概に加湿がいい、除湿したほうがいい、寒いほうがいい、暑いほうがいいなどは言えず、全て病気とその時点での症状から判断させていただきます。

 

飼い主様と猫ちゃんが共に安心できるケアを

在宅終末期ケアでは、猫ちゃんの症状を緩和するだけでなく、飼い主様が安心してケアを続けられる環境作りを目指します。当院では、飼い主様が無理なく猫ちゃんを支えられるよう、柔軟なケアプランとサポートを提供しています。

 

次のセクションでは、往診ならではの強みや、猫ちゃんの負担を最小限に抑える保定業務について詳しくご紹介します。

 

4. 保定には専門的な技術が必要

呼吸状態を悪化させないために

猫ちゃんの診察や処置を行う際、保定(動物の体を押さえて安全に診療すること)は欠かせません。しかし、乳腺腫瘍が進行し、胸水貯留や肺転移によって呼吸が苦しい猫ちゃんの場合、不適切な保定はかえって危険です。特に、胸を強く押さえつけてしまうと、猫ちゃんの呼吸状態をさらに悪化させてしまい、その場で亡くなるリスクも十分にあります。

 

状態が悪い猫の保定には専門的な知識と技術が必要不可欠

多くの往診専門動物病院では獣医師1名で訪問し、必要に応じてご家族様に保定をお願いすることと思われます。ただ、単純な採血やエコー検査などであればまだしも、呼吸状態が悪い猫ちゃんの布袋となると、専門的な知識と技術が必要です。当院では愛玩動物看護師が必ず同行するチーム体制を整えています。これにより、次のようなメリットを提供できます。

 

1.猫ちゃんの負担を最小限に

訓練を積んだ愛玩動物看護師が、猫ちゃんの状態に応じた優しい保定を行います。呼吸が苦しい猫ちゃんに無理をさせないよう、慎重に対応します。また、呼吸だけでなく、関節を痛がる猫ちゃんであっても、関節に負担をかけないような保定を行い、安全かつ安心の保定で診察をスムーズに受けていただけます。

 

2.ご家族様も安心して診察に立ち会えます

保定を飼い主様にお願いすることは、基本的にはありません。愛玩動物看護師や動物看護師といって保定のプロが対応することで、猫ちゃんと飼い主様の双方にかかるストレスを軽減します。

 

3.安全でスムーズな診療を実現

獣医師が診察や処置に集中できるため、短時間で安全にケアを行うことが可能です。

 

なぜ自宅でのケアが選べれるのか

自宅での往診ケアは、猫ちゃんにとってだけでなく、飼い主様にとっても多くのメリットがあります。

 

1.通院によるストレスを解消

キャリーケースへの移動や病院での待ち時間がなくなるため、猫ちゃんの精神的・肉体的負担を大幅に軽減できます。  

 

2.生活環境を踏まえた診療プランが立てられる

自宅というリラックスした環境で診察を行うことで、猫ちゃんの本来の状態を正確に観察できます。病院で緊張して隠れてしまう症状を見逃す心配がありません。また、生活環境に潜んでいる落とし穴に気づくことができれば、より具体的なアドバイスができます。

 

3.環境に合わせた具体的なアドバイスが可能

猫ちゃんが生活している環境を直接確認し、食事の場所や水飲み場の配置、酸素ハウスの設置場所など、具体的で実践的なアドバイスを行います。

 

当院が特化する「ペットの在宅緩和ケア」の強み

当院は、乳腺腫瘍をはじめとする進行性疾患や終末期ケアに特化した往診専門動物病院です。猫ちゃんと飼い主様に最適なケアを提供するため、以下の点にこだわっています:  

 

①柔軟なケアプランの提案

何よりも、まずは柔軟さが必要であると考えています。ご家族様の希望する内容だったり、悩まれている内容だったりと、事前に決まっているものはほとんどありません。重点的に問診を行い、猫ちゃんだけでなく、ご家族様にとっても最良となるプランを構築し、状況に応じて柔軟に調整します。

 

②経験豊富なスタッフ

在宅緩和ケアにおける豊富な症例経験を持つ獣医師と愛玩動物看護師が連携し、安心感のある診療を提供します。

 

③アフターフォローの徹底

往診後も、猫ちゃんの状態や飼い主様の不安に対してきめ細かいフォローを行います。診療にて、獣医師から今後起こりうる症状や事象、それに対する受け止め方や評価、対処法までをご説明させていただきます。その上で、まだご不安が残っていたり、またはこれってどうなってたかな?など、電話またはメールにてサポートさせていただきます。

 

保定業務は愛玩動物看護師に任せましょう

保定業務は、猫ちゃんの命を守るための重要なポイントです。不適切な保定は呼吸状態を悪化させるリスクがあるため、熟練したプロが行うことが不可欠です。自宅で安心してケアを受けられる往診のメリットを最大限活用し、猫ちゃんと飼い主様にとって最善の環境を整えましょう。  

 

もし獣医師一人で対応する往診専門動物病院にお願いする場合には、愛玩動物看護師をアテンドできるかどうかを事前に確認することをおすすめします。特に呼吸が苦しい猫ちゃんや体力が低下しているケースでは、適切な保定が命を守るために必要不可欠です。安心して依頼できる、往診体制の整った往診専門動物病院を選びましょう。

 

次のセクションでは、当院が選ばれる理由と、広範囲にわたる対応エリアについて詳しくご紹介します。

 

5. 当院が選ばれる理由:猫ちゃんとご家族様の未来を守るために

緩和ケアに特化した専門性

当院は、猫ちゃんの乳腺腫瘍をはじめとする進行性疾患や終末期ケアに特化した往診専門動物病院です。緩和ケアは、ただ病気と闘うのではなく、猫ちゃんとご家族様が一緒に穏やかな時間を過ごせるようサポートする医療です。私たちは、その時間を守るために、次のような取り組みを行っています。  

 

1.ご家族様の思いに寄り添った柔軟なプラン作成

乳腺腫瘍は進行が早い病気です。そのため、猫ちゃんの状態や飼い主様の希望を詳細に伺い、一匹一匹に最適なケアプランを提案します。例えば、呼吸状態の安定を目指した酸素ハウスの導入や、投薬や皮下点滴の指導によるご家族様でのケアの実現や、猫ちゃんの負担を最小限に抑えた処置や診療の実施などです、

 

2.経験豊富なスタッフによる安心のケア

当院の獣医師と愛玩動物看護師は、緩和ケアの専門的な知識と経験を持っています。乳腺腫瘍による胸水貯留や肺転移などの複雑な病態にも対応可能です。  

 

3.豊富な症例経験

数多くの在宅緩和ケア症例を通じて、猫ちゃんの症状に応じた適切な診療を提供しています。

 

4.丁寧でスムーズな対応

ご家族様に安心していただけるよう、診察時には猫ちゃんへの配慮を第一に考え、迅速かつ安全なケアを実施します。また、アピアランスも需要視しており、清潔感のある服装や佇まいを意識しています。

 

5. 広範囲にわたる対応エリア

当院は、東京、千葉、埼玉、神奈川を対象に往診を行っています。都市部の忙しいご家庭や移動が困難な場合でも、自宅で専門的な診療を受けられる環境を整えています。  

 

6. 飼い主様への手厚いサポート

往診時の診療だけでなく、診療後のフォローアップも徹底しています。例えばすでに当院で緩和ケア中場合には、ペットの負担を考えて、無理に高頻度で往診せず、電話にて状況を把握し、獣医師が対応しています。ご家族様が安心してケアに入れるため、いつでも相談できる体制を整備しております。

 

なぜ当院が選ばれるのか

多くの飼い主様が当院を選ばれる理由は、私たちが最も大切にしている「深いヒアリング力とご家族様の心を理解しようとする姿勢」、そして「動物たちと最後の時間を過ごしたい飼い主様に寄り添った在宅医療」を提供しているからだと考えています。乳腺腫瘍や胸水貯留などの症状に対して、一概に教科書的な話だけでなく、今までの経験から得た変化に対する知識と対策から最善の方法を共に考え、猫ちゃんの生活の質(QOL)を高めるお手伝いをしています。

 

乳腺腫瘍と診断され、外科手術での完治が望めないと宣告されることは、とても辛いことです。医療面で詰まったから終了ではなく、宣告後もご家族様と猫ちゃんの時間は続きます。専門的なサポートを受けることで、きっと今よりも安心して穏やかな時間を過ごすことができると信じています。

もしも乳腺腫瘍や呼吸困難、胸水貯留などでお悩みの際は、ぜひ当院にご相談ください。一緒に最後までの道を考えていきましょう。

 

 

今後在宅緩和ケアを検討されているご家族様へ

きっといつかは在宅緩和ケアになるだろうな、またはすでに治療ではなくて緩和ケアを選択したいご家族様は、事前の在宅緩和ケア相談をお勧めしています。いざ必要となった時に急いで探すのではなく、事前に相談しておくことで、どんな先生が来てくれるのかを知ることができます。特に、往診専門動物病院を選択する場合には、自宅のエリアまで来てくれる獣医師がいるのかどうか、どんな風な診療プランになるのかなど、事前に相談することである程度把握することができ、不安が一つ減るかもしれません。

 

わんにゃん保健室の対応エリア

当院は、東京、千葉、埼玉、神奈川を中心に往診を行っております。これらのエリアで「通院が難しい」「猫ちゃんの負担を減らしたい」と感じている飼い主様に、安心してご利用いただける往診ケアをご提供しています。

 

早めのご相談で、万全の準備を

乳腺腫瘍やリンパ腫、心筋症や腎臓病(腎不全)などの進行性疾患を抱える猫ちゃんのケアでは、飼い主様と獣医師が事前に連携し、今後の症状変化に備えることが非常に重要です。  

 

猫ちゃんの体調が大きく悪化してから急いで往診を依頼すると、対応可能な動物病院が限られたり、飼い主様のご希望に合う診療プランを構築する時間が十分に取れない場合があります。そこで、以下のようなことを感じ始めましたら、お早めにご相談いただくことをおすすめします。

 

①通院に負担を感じ始めた

②在宅緩和ケアに切り替えを検討している

③乳腺腫瘍や胸水貯留、肺転移の症状が見られる

 

診療を早めに受けることでできること

1.体調変化に備えたケアプランの構築

猫ちゃんの状態やご家族様の生活スタイルに合わせ、事前に緩和ケアのプランを作成します。病気の診断がついている場合には、今後起こりうる変化についてお話しさせていただき、その時どうするのかをご説明させていただきます。

 

2.急な悪化時の対応準備

酸素ハウスの手配や皮下点滴の導入、薬の調整を早めに進めることで、万が一の急な体調悪化時に、何もできない状況ではなく、何かできる環境をご自宅の中に構築することが可能です。

 

3.猫ちゃんとご家族様の負担軽減

症状が安定しているうちから診療を受けておくことで、後々の通院や対応の負担が大幅に減少します。いつまで動物病院に通院するのが良くて、何がどうなったら在宅緩和ケアを開始するのかなど、具体的な症状ごとのタイミングをお話しさせていただきます。決まったタイミングがない中で判断をしなければいけないため、ご家族様がどのような医療を望まれるのかを深くヒアリングさせていただいた上で、今後の診療プランをお話しさせていただきます。

 

まずはお気軽にご相談ください

通院が難しくなった時、あるいは在宅緩和ケアを検討されている飼い主様は、ぜひ一度当院にご相談ください。  

大切な猫ちゃんの穏やかな日々を守るために、早めの診療と準備が何よりの支えとなります。お気軽にお電話や問い合わせフォームからご連絡いただき、現在の状況をお聞かせください。  

 

私たちが全力でサポートさせていただきます。

 

 

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本年も、多くのご家族様と動物たちのご縁をいただき、心より感謝申し上げます。

 
 
当院は2017年2月の開業以来、在宅緩和ケアを通じて、動物たちとそのご家族様に寄り添う診療を目指してまいりました。
 
年々、在宅緩和ケアを希望されるご家族様の数が増加していることは、私たちにとって大変意義深い事実です。
 
この傾向は、ペットを「家族」として捉え、最期の時まで穏やかに過ごしてほしいという願いがより広く共有されている証と考えております。
 
その信頼にお応えするため、より質の高いケアを提供する責任を改めて感じております。
 
2024年は、東京213症例、千葉18症例、神奈川10症例、埼玉12症例、茨城2症例、合計255症例の在宅緩和ケアに携わらせていただきました。
 
通常の往診のご予約以上に、在宅緩和ケアのニーズの高さを感じる年となりました。
 
その中で、81症例についてはターミナルケアを実施し、動物たちの最期の時間をご家族様とともに見届けることができました。
 
一つひとつの出会いに心を動かされ、また学びを深めることができた1年でした。
 
2025年は、1月4日より診療を開始いたします。
 
予約の受付は随時、問い合わせフォームにて承っておりますので、お気軽にご連絡ください。
 
本年も変わらぬご支援を賜りましたこと、深く感謝申し上げますとともに、来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 
皆様にとって、新しい年が笑顔と健康に満ちた一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。  
良いお年をお迎えくださいませ。  
 
往診専門動物病院わんにゃん保健室
院長 江本宏平

年末年始の診療案内

2024年の年末年始の診療のお知らせ

 

休診期間 2024年12月28日〜2025年1月3日

 

2025年も宜しくお願い致します。

 

わんにゃん保健室 スタッフ一同

1. 猫の心筋症と胸水貯留:症状とケアの基本

 

心筋症による胸水貯留とは?

猫ちゃんの心筋症は、高齢の猫ちゃんや特定の遺伝的要因を持つ猫ちゃんに多く見られる病気で、心臓の機能が徐々に低下していく疾患です。

 

この病気が進行すると、心臓のポンプ機能が弱まることで血液循環が悪化し、胸の中に液体(胸水)が溜まる胸水貯留が起こることがあります。

 

胸水貯留は、猫ちゃんの肺を圧迫し、呼吸を難しくするため、以下のような症状が現れることが一般的です。

 

①呼吸が浅く早くなる(頻呼吸)  

②お腹を使って呼吸をする(努力呼吸)  

③動きたがらず、ぐったりした様子になる  

④食欲の低下や元気の消失  

 

これらの症状が見られた場合、早急な対応が必要です。

 

胸水抜去の役割とその効果

胸水貯留が確認された場合、緊急措置として胸水抜去を行うことがあります。

 

胸水抜去とは、細い針を胸に刺して溜まった液体を排出する処置のことです。この方法には以下のようなメリットがあります。

 

①呼吸がすぐに楽になる

胸水による肺の圧迫が解消され、猫ちゃんが落ち着いて呼吸できるようになります。  

 

②短時間で効果を実感できる

処置後、即座に呼吸状態の改善が見られることが多いです。

 

ただし、この処置は猫ちゃんにとって少なからず痛みを伴うため、鎮静や鎮痛の薬を併用してストレスを最小限に抑えることが重要です。

 

一方で、状態が悪化して鎮静に耐えられない場合には、鎮静なしで胸水抜去を行うことも選択肢の1つとなります。

 

医薬品でのコントロールが可能な場合

胸水貯留が心筋症によるものであれば、医薬品で胸水の貯留を抑えられることが多くあります。

 

特に利尿剤を使うことで、体内の余分な液体を排出し、胸水の量を減らすことが期待できます。医薬品によるコントロールには以下のような利点があります。

 

①非侵襲的(針を使わない)

猫ちゃんに針を刺さずに済むため、痛みやストレスを減らせます。  

 

②家庭でのケアが可能

往診で処方された薬を自宅で投与することで、病院に頻繁に通う必要がなくなります。

 

ただし、医薬品でのコントロールは、猫ちゃんの体質や病状によって効果に差が出るため、獣医師による継続的な経過観察が必要です。

 

また、使用する医薬品にもよりますが、カリウムの喪失が著しく目立つことがあるため、週1回は血液検査で電解質を確認することをお勧めします。

 

胸水が減っていくかどうかを定期的に確認し、必要に応じて薬の量や種類を調整することで、より良い状態を維持できます。

 

猫の心筋症と胸水貯留の基礎知識

猫ちゃんの心筋症による胸水貯留は、進行性の心臓病の一環として発生することが多いですが、適切なケアを行うことで猫ちゃんの呼吸を楽にし、穏やかな日々を過ごさせてあげることが可能です。

 

次のセクションでは、在宅緩和ケアにおける「往診」の役割や具体的なケアの方法について詳しくご紹介します。

 

 

 

2. 在宅緩和ケアがもたらす安心

 

通院の負担を減らす「往診」のメリット

猫ちゃんにとって、通院は大きなストレスになることが多いです。

 

キャリーケースに入れられること、移動中の振動や音、病院の待合室で感じる緊張感など、すべてが猫ちゃんの負担になります。

 

特に心筋症を抱えた猫ちゃんは、体力が低下していること、そして持続的な興奮は心臓へのダメージが懸念されます。

 

通院によるストレスは持続的な興奮状態を作ってしまうことから、病状を悪化させるリスクになってしまうこともあります。  

 

一方で、動物病院への通院の必要がない在宅医療(往診など)であれば、猫ちゃんにとって通院のストレスを与える必要がないので、以下のような点で、動物病院への通院と比較すると、より安心した環境で診察を受けさせてあげることが可能です。

 

①慣れた環境で診察を受けられる

猫ちゃんが普段過ごしている自宅での診察は、ストレスを最小限に抑えます。  

 

②移動のリスクを排除

キャリーケースや車での移動が不要になり、呼吸状態が悪い時でも安心です。  

 

③猫ちゃん本来の状態を観察できる

緊張せずリラックスした猫ちゃんの様子を獣医師が確認できると言いたいところですが、実際は緊張していると思います。

 

ただし、生活環境を見ることができるので、普段の姿をより想像しやすく、それによってアドバイスも変化していきます。

 

猫ちゃんのストレスを最小限にするケアの工夫

在宅緩和ケアでは、猫ちゃんが抱えるストレスや苦痛を軽減することが最も重要です。

 

心筋症や胸水貯留を抱える猫ちゃんにとって、ストレスの軽減は病状の安定にもつながります。

 

具体的な工夫には次のようなものがあります。

 

①薬の味や形状を工夫する

内服薬が苦手な猫ちゃんには、より飲みやすい無味無臭のものだったり、薬の形状、注射薬など、幅広く柔軟に提案します。  

 

②診察時の配慮

獣医師が猫ちゃんの落ち着いた状態を保つため、診察や処置の際にゆっくりと時間をかけて接します。

 

③鎮静・鎮痛薬の活用

胸水抜去などの処置が必要な場合には、可能な限り少量の鎮静や鎮痛薬を使い、猫ちゃんが感じる痛みや不安を減らします。

 

これらの工夫を行うことで、猫ちゃんと飼い主様の双方にとって、より穏やかなケアが実現します。

 

鎮静と鎮痛の重要性:胸水抜去時の配慮

胸水抜去は、猫ちゃんにとって一時的な痛みや不快感を伴う処置ですが、呼吸を楽にするためには非常に重要なケアです。

 

在宅緩和ケアでは、胸水抜去を行う際に次のようなことに注意しながら進めていきます。

 

①鎮静で痛みと恐怖を減らす

胸水抜去の際には強い痛みを感じるため、鎮静薬と併せて鎮痛薬を併用することで、処置後の鈍痛や不快感を軽減します。

 

また、猫ちゃんが怖がらないよう少量の鎮静薬を使うことで、処置中の緊張や恐怖を最小限に抑えることができます。

 

②飼い主様への手順説明

これから何が行われるのかが不明なままだと、見守るご家族様も不安が高まることと思います。

 

鎮静をかける前に、鎮静処置についてまずはご説明させていただき、実際に鎮静をかけた後にどのくらいの時間で何が起きて、処置はどんな道具でどんなことをするのか、目が覚めるのはどのくらい経ってからか、その後のことなど、手順ごとに詳細に説明させていただきます。

 

ご家族様が安心することで、猫ちゃんの感じる緊張感も和らぎます。

 

在宅緩和ケアは安心の味方

在宅緩和ケアは、猫ちゃんと飼い主様ができる限り穏やかに日々を過ごせるように設計されたケア方法です。

 

次のセクションでは、医薬品による胸水のコントロールや、事例から学ぶ緩和ケアの選択肢について詳しくお伝えします。

 

 

 

3. 胸水貯留と医薬品での対応

 

医薬品の効果が期待できる心臓病由来の胸水貯留

猫ちゃんの心筋症に伴う胸水貯留では、利尿剤をはじめとする医薬品によって、胸水の量を減らすことが期待できます。

 

心臓病が原因の場合、胸水の原因は体内の血液循環の滞りにあります。そのため、体に溜まった余分な液体を尿として排出することで、胸水を減らし、呼吸を楽にすることができます。

 

以下のようなタイミングで利尿剤を用いた治療をすることがあります。

 

①初期段階の胸水貯留

胸水貯留の出始めだったり、初期段階であれば、医薬品の効果で胸水抜去を行わずとも胸水が減少〜消失することがあります。

 

食欲が維持できいて、胸水もコントロールできていれば、胸水抜去を実施せずに、内服薬だけでの長期的なコントロールが期待できます。

 

②中等度以上の胸水貯留

呼吸状態を改善させないと食欲などの一般状態の改善は見込めないと判断した場合に、まずは胸水抜去してあげます。その後、利尿剤を使用することで、胸水の再貯留を防ぎ、呼吸状態を安定させることが期待できます。

 

 

腫瘍が原因の場合:医薬品治療と家族の選択肢

胸水貯留は心筋症以外にも、腫瘍が原因で発生することがあります。

 

例えば乳腺腫瘍などで、腫瘍が進行した場合に胸腔内に転移を起こし、血混じりの胸水を引き起こすことがあります。

 

ただ腫瘍性の胸水では、利尿剤などの医薬品の効果が限定的であることが多いです。

 

「できるだけ猫ちゃんの負担を減らしたい」「薬で対応できるところまで頑張りたい」といったご家族様の意向に沿った治療計画を立てます。

 

まずは病状を説明させていただき、どこまで何をしてあげたいのかを教えてください。

 

その上で、最良となるプランを一緒に考えます。

 

心筋症と同じように、胸水抜去による呼吸状態の一時的な改善、その後に医薬品で胸水の再貯留をコントロールするという方法を取ることもあります。

 

このように、腫瘍が原因の場合でも、猫ちゃんやご家族様の希望に応じたケアを行うことで、負担を軽減しつつ最善の対応を目指します。

 

猫の心筋症による胸水貯留を起こした6症例

2024年に在宅緩和ケアで看取った猫ちゃんで、心筋症由来の胸水貯留と戦う6症例では、医薬品で管理したところ、全ての猫ちゃんで胸水の量が減少し、呼吸状態が改善しました。

 

この結果からわかることは、猫ちゃんの病状や体質に応じた医薬品の使用が非常に効果的であるということです。

 

猫ちゃんの状態に合わせた医薬品の使い方を検討することで、無理に痛いこと(胸水抜去)をしなくても、胸水のコントロールができる可能性が期待できました。

 

医薬品治療の注意点

利尿剤やその他の薬は、適切な量と頻度で使用しないと効果が弱まったり、副作用が出ることがあります。定期的に獣医師の診察を受け、薬の調整を行うことが大切です。

 

内服薬が難しい場合には、注射薬や皮下投与という選択肢もあります。

 

飼い主様が自宅で投与できるよう、往診時に具体的な指導を行います。

 

胸水貯留は抜去と医薬品の併用で

 

心筋症に伴う胸水貯留に対する内服薬などの医薬品の投与は、猫ちゃんの状態を大きく改善させる可能性が期待できます。

 

内服が苦手な猫ちゃんであれば内服薬だけでなく注射薬での投与を選択し、ご自宅で皮下点滴に混ぜて実施していくことで、投与が可能となります。

 

また、胸水抜去を併用することで、即時的な呼吸状態の改善が見込まれますが、胸水抜去には強い痛みを伴います。

 

鎮静下で行うなど、猫ちゃんとご家族様に最も負担の少ない方法を選ぶことが重要です。

 

次のセクションでは、内服薬や注射薬を用いたケアの工夫について、さらに詳しくご紹介します。

 

 

 

4. 内服薬が苦手な猫ちゃんでも安心のケアプラン

 

内服薬が苦手な猫ちゃんの課題

猫ちゃんは基本的に警戒心が強く、知らない物や嫌な味のする物を嫌がる傾向があります。

 

そのため、内服薬を与えることが飼い主様にとって大きなストレスになる場合が多いです。

 

特に心筋症や胸水貯留などの疾患を抱える猫ちゃんは体力が落ちているため、投薬そのものが負担になることもあります。

 

よくある内服薬の課題としては以下のようなものがあります。

 

①薬を嫌がり、口をしっかり閉じてしまう。

②投薬後に唾液を垂らす、吐き出す。

③投薬のたびに猫ちゃんがストレスを感じ、隠れてしまう。

④飼い主様自身が薬を飲ませることに不安を感じる。

 

こうした問題を解決するためには、内服薬に頼りすぎないケアプランを構築することが大切です。

 

内服薬と注射薬を使い分ける工夫

内服薬が苦手な猫ちゃんでも、医薬品を適切に投与する方法はいくつかあります。

 

重要なのは、猫ちゃんと飼い主様の負担を最小限にするために、薬の形状や投与方法を工夫することです。

 

比較的飲みやすい内服薬を選ぶ

①動物薬は結構飲ませやすい

動物薬は人薬と比較して、動物たちに取った飲ませやすいものになっています。

 

基本的には、苦味を抑えており、動物が好きなフレーバーを加味しているような印象です。

 

ただ、そのフレーバーが嫌で食べない場合もあるので要注意です。

 

②できることなら口腔内崩壊錠を選ぶ

使いたい医薬品にもよるのですが、通常の錠剤と比べて水に溶けやすく、また苦味がほとんどないのが特徴です。

 

普段動物病院で使用している医薬品と比べて、口腔内崩壊錠をお願いすると費用が高くなるので、費用感との兼ね合いで相談してみましょう。

 

③お薬のお供を選定する

投薬補助おやつは、ペット市場において大きくなっている分野の一つです。

 

つまり、それだけたくさんのご家族様が、ペットへの投薬に手をこまねているという証拠です。

 

特に、猫ちゃん用となると、本当にたくさんあります。

 

猫ちゃんが気に入る投薬補助用のペーストやおやつが見つかれば、そのおやつに混ぜるだけで、自然に薬を摂取してくれるようになります。

 

猫ちゃんの好みに出会えることを祈っています。

 

 

内服が難しい場合は注射薬を選択

内服薬を完全に拒否する猫ちゃんには、皮下点滴に混ぜる注射薬が効果的です。

 

これにより、薬のストレスを軽減しながら必要な治療を継続できます。  

 

動物病院であれば診察代の上で、往診であればご自宅の中で獣医師が皮下投与の方法を飼い主様に指導します。

 

適切な器具の使い方や猫ちゃんを落ち着かせる方法を学ぶことで、自宅での投与がスムーズになります。

 

ストレス軽減のための皮下投与環境の構築

皮下投与を成功させるためには、猫ちゃんと飼い主様の双方が安心できる環境を整えることが重要です。

 

以下のポイントを抑えることで、投与時のストレスを最小限に抑えられます:

 

①猫ちゃんの安心できる場所で投与

猫ちゃんがリラックスできる環境を構築することで、成功率は上がります。

 

お気に入りのクッションやバスタオルなどで動きをある程度制限してあげることも大切です。

 

②1回あたりの処置時間はなるべく短く

手際よく投与を終えることで、猫ちゃんに余計なストレスを与えません。  

 

③投与後のフォローをしっかり行う

投与後におやつや撫でる時間を設けることで、猫ちゃんに「処置が終わるといいことがある」と感じてもらいます。

 

ただし、嫌なことの後に、例えばチュールをあげると、嫌な思い出と繋がってしまい、チュールを食べなくなってしまう、ということも起こる可能性があります。

 

そのため、もし皮下点滴などの嫌な思いをさせた場合には、一番好きなものではなく二番目以降にまぁまぁ好きなものなどで機嫌を取ってあげることをお勧めします。

 

飼い主様の負担を減らすためにできること

猫ちゃんのケアを続ける上で、飼い主様が無理なく投薬や治療を行えるようにすることも重要です。

 

在宅緩和ケアでは、次のような工夫を行います:

 

①相談しやすい環境の提供

「薬を飲ませられない」「注射が難しい」といった悩みを獣医師に気軽に相談できる体制を整えます。

 

②定期的な往診で調整(在宅医療に切り替える)

内服薬や注射薬の効果を定期的に確認し、猫ちゃんの状態に合わせた薬剤や投与頻度を調整しましょう。  

 

③ケアプランの柔軟な変更

飼い主様の状況や猫ちゃんの体調に合わせてケアプランを見直し、負担を軽減します。

 

 

安心のケアプランを在宅医療で構築使用

内服薬が苦手な猫ちゃんでも、投薬方法を工夫すれば、治療を無理なく継続することが可能です。

 

次のセクションでは、心筋症や胸水貯留における往診の役割と、その具体的なメリットについて詳しくご紹介します。

 

 

 

5. 猫の心筋症に往診を選んだ方がいい理由

 

通院ではなく往診を選ぶべき理由

心筋症や胸水貯留を抱える猫ちゃんにとって、通院は大きな負担となります。

 

特に症状が進行して呼吸が苦しい猫ちゃんや体力が落ちている猫ちゃんにとって、キャリーケースに入ることや病院までの移動、待ち時間そのものが大きなストレスを生み出します。

 

通院ではなく往診の方が適している理由は以下です。

 

①慣れた自宅で診察が受けられる

猫ちゃんは環境の変化に敏感な動物です。

 

病院の待合室での緊張や、知らない匂いや音に囲まれることは猫ちゃんにとって非常にストレスフルです。

 

往診では、猫ちゃんがリラックスできる自宅で診察や処置を受けられるため、猫ちゃんの体調への悪影響を最小限に抑えられます。

 

②呼吸が苦しい猫ちゃんにも安心

胸水貯留によって呼吸が苦しい猫ちゃんにとって、通院そのものが命に関わるリスクになることもあります。

 

往診であれば移動のリスクを完全に排除できるため、体調が不安定な時でも安心してケアを受けられます。

 

酸素室が必要な状況になった場合には、もう動物病院に通院することができないと思った方がいいです。

 

今後、呼吸状態が悪化した場合に、かかりつけの獣医師が往診してくれるのかどうかは、事前に伺っておくことをお勧めします。

 

③高頻度のケアも対応可能

心筋症や胸水貯留では、状態に応じて頻繁な診察や胸水抜去が必要になることがあります。

 

毎日のように通院するのは飼い主様にとっても猫ちゃんにとっても大きな負担ですが、往診であれば頻繁なケアも、通院の負担なく行えます。

 

④生活環境に合わせたアドバイスが可能

往診では、猫ちゃんが生活する環境を直接確認できます。

 

水飲み場や食事の配置、猫ちゃんが過ごしているスペースの様子を見ながら、具体的で実践的なアドバイスを行えるのも大きなメリットです。

 

自宅環境を見ながら診療を行えるというのは、往診ならではの強みです。

 

⑤飼い主様と猫ちゃんに寄り添ったケア

通院の場合、病院での診察時間が限られているため、細かな相談やケア方法の説明が不十分になることもあります。

 

往診では診療時間枠を十分に取り、飼い主様とじっくり話し合い、猫ちゃんの状態や飼い主様のご希望に合わせた最適なケアプランを提案できます。

 

なぜ当院が選ばれるのか?

往診を行う動物病院は増えていますが、当院が多くの飼い主様に選ばれる理由にはいくつかのポイントがあります。

 

①犬猫の在宅緩和ケアに特化した専門性

当院は、心筋症や胸水貯留を含む慢性疾患や終末期ケアに特化した診療を行っています。

 

緩和ケアにおいては、ただ病気を治すだけではなく、猫ちゃんと飼い主様ができるだけ穏やかな日々を過ごせるようなケアを目指しています。

 

②丁寧で柔軟なケアプランの提供

猫ちゃんの状態や飼い主様の生活状況に合わせた、柔軟で実現可能なケアプランを提供します。

 

例えば、内服薬が苦手な猫ちゃんには注射薬や皮下点滴を提案し、家庭でのケアがスムーズに行えるようサポートします。

 

一度決めた方針を変えたい場合には、都度診療時にご相談いただければ、柔軟に変更させていただくことが可能です。

 

③高い技術と豊富な経験

胸水抜去や皮下点滴など、猫ちゃんにとって重要な処置を数多く行ってきた経験を活かし、状態に応じた安心で確実な在宅緩和ケアを提供します。

 

必要に応じて鎮静や鎮痛を行い、猫ちゃんが感じる痛みや不安を最小限に抑えます。

 

④飼い主様との信頼関係を重視

往診では、飼い主様とのコミュニケーションが非常に重要です。

 

当院では、飼い主様の不安や疑問に丁寧にお答えし、猫ちゃんと飼い主様の双方にとって安心できるケア環境を整えることを心掛けています。

 

⑤東京・千葉・埼玉・神奈川をカバーする広範な対応エリア

当院は通常の往診専門動物病院と比べて、広範なエリアでの往診に対応しており、多くの飼い主様のご自宅へ訪問しています。

 

遠方の方でも気軽にご相談いただける体制を整えています。

 

在宅緩和ケアを通じて猫ちゃんと飼い主様の心を守る

心筋症や胸水貯留などの疾患を抱える猫ちゃんにとって、どのケアを選択するかは、体調や生活の質(QOL)に大きな影響を与えます。

 

当院の往診では、通院による負担を減らし、猫ちゃんと飼い主様が穏やかな時間を過ごせるようにするための最適な選択をご提案させていただきます。

 

私たちの目標は、病気と向き合う猫ちゃんだけでなく、その猫ちゃんを支える飼い主様も含めて、心から安心できるケアを提供することです。

 

ぜひ、お気軽にお問い合わせいただき、あなたの猫ちゃんに最適なケアを一緒に考えさせてください。

 

私たちがお力になれることを心より願っております。

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犬猫の往診専門動物病院
わんにゃん保健室
 
猫の腎不全、末期がん(腫瘍)、診断後の慢性疾患、酸素室設置、家での皮下点滴など、お気軽にご相談ください!
電話番号:03-4500-8701(往診本部直通)
 
 
受付時間:10:00~19:00
休診日:不定休診療カレンダー
 
〒111-0036
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腎臓病は高齢の猫で非常に多く見られる疾患です。

 

慢性腎臓病(CKD)は完治が難しい病気であり、進行を遅らせるためには定期的なケアが欠かせません。

 

しかし、通院そのものが猫にとってストレスとなることが多く、治療を続ける上での大きなハードルになる場合があります。

 

この記事では、「猫の腎臓病ケアを通院から往診に切り替えるべき理由」を中心に、往診で可能なケアやそのメリットをご紹介します。飼い主様が猫ちゃんと穏やかに過ごせる日々をサポートするための一助になれば幸いです。

 

 

猫の腎臓病における通院から往診への切り替えが有効な理由5つ

 

1. 通院が猫にとって大きなストレス

通院時にキャリーケースへ入れる、移動する、待合室で待つなど、猫にとっては多くのストレスがかかります。

 

腎臓病の猫は体力が低下していることが多く、通院によるストレスがさらに体調を悪化させる原因になることもあります。

 

2. 定期的なケアが必要なため、往診の方が継続しやすい

腎臓病の管理では、定期的な検査や治療が必須です。

 

最初は3ヶ月に1回の検査頻度であっても、状態が進行するにつれ、1ヶ月に1回、場合によってはそれ以上の頻度でのケアが必要になります。

 

往診であれば、通院の手間を減らし、治療を継続しやすくなります。

 

3. 自宅でリラックスした状態で診察可能

往診では、猫が自宅でリラックスした状態で診察を受けることができます。

 

キャリーケースや病院の待合室で緊張することなく、猫本来の状態を観察できるため、より適切な診断と治療が可能です。

 

4. 自宅環境に合わせたケアの提案が可能

往診では、猫が生活している環境を直接確認できます。

 

たとえば、食事の場所、水の配置、トイレの状況などを把握し、それに基づいた具体的なケアやアドバイスを提供することができます。

 

5. 移動リスクがないため体調が悪化している場合も対応可能

腎臓病が進行すると、猫は体力が低下し、移動が大きな負担になることがあります。

 

往診なら移動リスクを完全に排除できるため、体調が悪い時期でも適切なケアを提供できます。

 

 

定期検査の必要性と往診での対応

腎臓病の管理には、定期的な血液検査や尿検査が重要です。

 

これらの検査は、腎機能の状態を把握し、治療の効果を確認しながら進行を遅らせるために欠かせません。

 

検査内容

【血液検査】

BUN(尿素窒素)、クレアチニン、リン、SDMAなどの腎機能を示す値を確認します。

 

【尿検査】

尿比重や尿タンパク、尿中の細菌や結晶の有無を調べます。

 

これらの検査は、すべて往診で対応可能です。ご自宅で採血や採尿を行い、ストレスを最小限に抑えながら必要なデータを収集します。

 

検査頻度

【初期段階】

症状が安定している場合、3ヶ月に1回の検査を推奨。

 

当院では、腎臓病のステージ2〜3の始まりくらいが、ここに該当する印象です。

 

ただし、ご家族様の不安な様子やご希望に沿って、その頻度を上げることも可能ですし、逆に下げることもご相談いただけます。

 

【進行段階】

症状が進行した場合、1ヶ月に1回、場合によってはそれ以上の頻度で検査を行います。

 

ステージ4以降はここに該当すると思われます。

 

そのくらい日々の変化が激しくなり、また食欲減退や嘔吐、下痢または便秘などの消化と排泄の機能低下、機能異常が伴うのもこの頃です。

 

症状の変化が著しいため、ご家族様の心がついて来れないのも、またこの時期です。

 

今を受け入れるために、今がどんな状態なのかを都度ご説明し理解していただき、これから訪れる未来の変化について、対策を打っていくのもこの時期です。

 

 

皮下点滴の指導と処方の対応

 

腎臓病の猫において、皮下点滴は治療および緩和ケアの重要な柱となります。

 

腎臓の機能が低下すると脱水状態になりやすく、これを補うために定期的な点滴が必要です。

 

皮下点滴のメリット

腎臓病(腎不全)では、猫ちゃんは脱水傾向がより進行します。

 

皮下点滴を行うことで、経口補水(水を飲むこと)では補い切れない水分量をサポートし、脱水補正を図ることで、腎臓への負担を軽減します。

 

症状が悪化する速度を遅らせ、猫の生活の質(QOL)を向上させることを目的に、実施計画を作っていきましょう。

 

往診での対応

【皮下点滴の実施

最初は獣医師が点滴を実施し、その後飼い主様自身で行えるよう指導します。

 

器具の提供

点滴セットや必要な器具をお渡しします。

 

具体的な指導

針の刺し方や点滴の量、猫が嫌がる場合の対処法など、基本的な実践的アドバイスを行います。

 

実施するのは診察台の上ではなく、ご自宅の中です。

 

実際に実施する環境や、家の中にあるもので、どこでどんな態勢で皮下点滴を打つといいのかなども、環境を見ながらご相談いただけます。

 

皮下点滴のトレーニングをしっかり受けることで、飼い主様が自信を持って実施できるようになります。点滴の量や頻度は猫の状態に応じて調整します。

 

 

内服薬や注射薬の処方も往診で対応可能

 

腎臓病の治療では、薬剤の投与が不可欠です。

 

多くの場合、以下のような薬剤が使用されます。

 

内服薬の種類

【リン吸着剤】

腎臓でのリンの処理能力が低下するため、食事中のリンの吸収を抑える薬です。

 

【血管拡張薬】

腎臓への血液供給を改善し、腎臓の負担を軽減します。

 

【胃腸薬】

腎臓病による嘔吐や胃腸の不調を改善します。

 

このほかにも、BUNを下げる(生成させないことを目的とした)サプリのようなものもあれば、吐くことを止める目的で使用する薬、血圧自体を下げてあげる薬、そして血栓予防など、幅広く存在します。

 

基本的には、どこの動物病院でも医薬品会社から購入することは可能。

 

往診切り替えの時には、今どんな薬をどのくらいの量と頻度で飲んでいるのか、また腎臓病に対する内服薬の投与経歴などをまとめておくと、より方針立てに役立ちますのでおすすめです。

 

往診での内服薬処方のメリット

猫ちゃんにとって飲みやすい形状(粉、液体、投薬補助おやつと組み合わせる方法など)を提案するだけでなく、少し単価は上がってしまいますが、苦味の少ない医薬品を選択し、ご提案させていただきます。

 

注射薬の使用

進行した腎臓病では、内服薬だけでは効果が不十分な場合があります。

 

この場合に、できる限り注射薬に変更し、皮下点滴に混ぜて投与することが可能です。

 

皮下点滴の頻度は投薬頻度に合わせて調整するため、基本的には1日2回になることが多いですが、1回量は少量の点滴になるため、皮下点滴時間は10秒程度で終えられます。

 

腎臓病は徐々に進行する病気です。

 

その過程で、貧血を起こすことがあります。

 

その場合には、当院だと造血ホルモン製剤を週1回の間隔で皮下投与していきます。

 

輸血も選択肢としてありますが、若い猫ちゃんであればまだしも、高齢猫ちゃんの場合には、輸血の負担を考え、体力的にも望まない猫ちゃんがほとんどです。

 

 

ここまでのまとめ

腎臓病の猫にとって、通院はストレスが大きく、治療の継続が難しくなることがあります。そのため、往診に切り替えることで、猫ちゃんと飼い主様双方の負担を軽減しながら、適切な治療を続けることが可能になります。

 

【往診のメリット】

1. 通院ストレスを回避し、猫ちゃんがリラックスした状態でケアを受けられる。

2. 自宅での生活環境を考慮したアドバイスが可能。

3. 定期検査や皮下点滴、薬剤の処方がすべて往診で完結。

4. 移動のリスクがなく、体調が悪い時でも適切なケアが受けられる。

5. 飼い主様がケアを継続しやすい仕組みを提供。

 

腎臓病を抱える猫ちゃんに穏やかで快適な日々を過ごしてもらうために、ぜひ往診を選択肢の一つとしてご検討ください。私たち往診専門動物病院は、飼い主様と猫ちゃんが安心して治療を続けられるよう、全力でサポートいたします。

 

続いて、実際の症例について、1つ書かせていただきます。

 

 

日本猫のミミちゃん、18歳、腎臓病(腎不全)

 

東京足立区の静かな住宅街で暮らす、日本猫のミミちゃん、18歳。

 

家族構成はお母さんとお父さんの二人暮らしで、おこさんが巣立った後、御夫婦二人にとって、ミミちゃんはかけがえのない家族となっていました。

 

元々体は強く、目立った病気になったこともなく過ごしてきましたが、数年ほど前から徐々に体重が減り、食欲にムラが出始めました。

 

動物病院で診察を受けたところ、慢性腎臓病(CKD)と診断されました。

 

「老猫ちゃんに多い病気」と聞いて驚いたお母さんは、腎臓病の治療に力を入れることを決意し食事療法を始め、毎月一度の検診に通う生活がスタートしました。

 

通院が生むストレス

最初のうちは通院も順調でした。

 

ミミちゃんはおとなしくキャリーに入り、病院での検査も問題なく受けていました。

 

しかし、月日が経つにつれ、通院後のミミちゃんに変化が見られるようになりました。

 

帰宅後のぐったり感が強く、ほとんど動かずに寝ていたり、食欲が落ち、翌日まで元気が戻らない日も出てきました。

 

病院での待ち時間が増えると、キャリーの中で不安そうに鳴くようになったとのことでした。

 

お母さんは「この通院自体がミミちゃんにとって負担になっているのではないか」と感じ始めましたが、動物病院の獣医師に相談したところ、往診は空いている時間に行うことはできるが、基本的には予約を受けていないし、最近はほとんどやってないと言われたとのことでした。

 

そんな時、往診での腎臓病ケアを紹介する記事を目にし、迷うことなく往診切り替えを希望してくれたとのことでした。

 

基本的にはどこの動物病院でも往診対応していると思います。

 

ただ、検査や手術、術後のペットの状態管理など幅広い業務が動物病院には課されているため、単発の往診であればまだしも、定期的な往診を希望されるご家族様のニーズに答えることはできないと思っていた方がいいです。

 

もし往診を希望される場合には、迷わずに往診専門動物病院を探すようにしましょう。

 

初めての往診

ミミちゃんは病院に行くストレスがないせいか、普段通りリラックスした様子で、いつものお気に入りの場所である窓辺のクッションに座っていました。

 

初診では、今までの長い経緯をしっかりと伺い、腎臓病の進行具合を把握するための血液検査と尿検査生活環境の確認、水を飲む頻度、トイレの回数、食事量のチェックなどの生活環境の確認、定期的な皮下点滴を在宅でご家族様だけで実施できるように、皮下点滴トレーニング、という流れでした。

 

全体でおおよそ2時間半ほどとなりましたが、終始ミミちゃんは落ち着いた様子だったこともあり、お母さんもお父さんも安心して診察に専念してくれたとのことでした。

 

日々の変化

往診を始めてからの生活は、ミミちゃんにとっても家族にとっても穏やかなものとなりました。

 

皮下点滴も、最初は獣医師が行う専門的なことのように思っていたとのことでしたが、実際に家の中で家族だけでできるなんても思ってもいなかったとのことでした。

 

実施自体は決して難しくはないです。

 

あえて言うなら保定が必要な場合や、痩せ細った状態の猫ちゃんですと、ハードルが少し上がりますが、それでもみんななんとか頑張れている印象を受けています。

 

ミミちゃんのお母さんも、3回目までは不安が残っていたが、今は問題なくお母さん一人でリビングのソファーの上で腰掛けながら、実施できるようになったとのことでした。

 

診察の時は嫌がるそぶりが大きかったミミちゃんでしたが、家族だけの空間であれば、お伝えしたとおり、ミミちゃんも受け入れる姿勢で嫌がらずに受けてくれたと、お母さんが話してくれました。

 

すでに腎臓病ステージ4だったため、毎月1回の往診で血液検査を行い、腎臓病の進行具合を細かくチェックし、データに基づいて、皮下点滴量や頻度、食事や内服薬の調整もこまめに行いました。

 

水皿の配置を増やし、食事は腎臓病用のウェットフードに変更することで食欲を維持し、ミミちゃんの好みに合わせて温める工夫も加えました。

 

ドライフードしか食べないタイプの猫ちゃんもたくさんいます。

 

ただ、高齢期になると投薬が始まることが多いので、その時にドライフード1つだと投薬が難しくなると思われます。

 

若齢のうちから、ウェットフードやウェットタイプのおやつなどを食べる練習を行なっておくと、投薬が始まった時にスムーズに内服薬プランが立てられると思いますので、あげすぎない程度あげておきましょう。

 

大きな体調悪化と最後の時間

初診から1年8ヶ月後の2024年11月13日、ミミちゃんは食欲が急激に落ち、動きも少なくなりました。

 

検査では腎臓病の進行が明らかで、貧血も進んでいました。

 

造血剤の提案をしましたが、造血剤は投与後に2-3日ぐったりするくらい体力を持っていかれる可能性が高いことをお伝えしたところ、もう負担となる処置はしたくないとのことから、全身状態を安定させる医薬品プランのみとしました。

 

皮下点滴と一部の内服薬で体調を保ちながらも、嘔吐などの症状を一切起こさずに、自宅で穏やかな時間を過ごしていました。

 

一度は食欲が上がってきた雰囲気を見せてくれたミミちゃんでしたが、大きく回復することなく、2024年12月2日、大好きなお母さんの膝の上で、お母さんとお父さんに撫でてもらいながら静かに眠りにつきました。

 

ミミちゃんの診察を通じて

ミミちゃんのように高齢で腎臓病を患う猫ちゃんにとって、通院は治療の一環であると同時に、大きな負担ともなります。

 

病院までの移動、待ち時間、診察台での緊張など、猫ちゃんがストレスを感じる場面は多く、その結果、治療後にぐったりしてしまうことも珍しくありません。

 

腎臓病の治療では、定期的な検査やケアを継続していくことが何よりも重要です。そのため、治療そのものが猫ちゃんにとって快適であることが、治療を成功に導く鍵となります。

 

往診は、こうした通院による負担を軽減するだけでなく、猫ちゃんとそのご家族が一緒に穏やかな日々を過ごすための大きなサポートとなります。

 

獣医師が直接ご自宅に訪問することで、猫ちゃんは慣れ親しんだ環境で診察を受けられ、飼い主様もリラックスした状態で猫ちゃんのケアに専念することができます。

 

往診のメリットを改めて考える

猫ちゃんにとってのメリットは、通院がなくなることで、キャリーケースに入るストレスや、移動中の不安が一切なくなります。

 

また、自宅という安心できる環境で診察を受けるため、病院での緊張がなく、本来の体調や行動を獣医師に見せることができます。

 

これにより、より正確な診断と適切な治療が可能になります。

 

飼い主様にとってのメリットは、往診によって病院までの移動時間が省けるだけでなく、待ち時間や猫ちゃんのケアに対する心配も減少します。

 

また、獣医師が生活環境を直接確認し、適切なアドバイスを提供することで、飼い主様が行うケアの質も向上します。

 

結果として、治療の継続性が高まると思っています。

 

腎臓病の治療では定期的な血液検査や尿検査、皮下点滴などが必要になりますが、往診ではこれらがすべて自宅で完結します。

 

特に高齢の猫ちゃんや体調が悪化している猫ちゃんにとっては、この「移動しなくてよい」という点が治療を継続するうえで大きな利点となります。

 

家族だけで過ごす穏やかな時間

往診の大きな魅力は、猫ちゃんが家族と共に過ごす時間を最大限に延ばせることです。

 

腎臓病の治療では、病気を完全に治すことが難しい場合も多く、どれだけ穏やかな時間を過ごせるかが治療の目的となることもあります。

 

ミミちゃんが往診に切り替えたことで、最期の瞬間まで大好きな家族と一緒に安心した状態で過ごせたのは、飼い主様にとっても大きな喜びでした。

 

飼い主様の膝の上でくつろぐ姿や、お気に入りの窓辺で日向ぼっこする姿を見守る時間は、何ものにも代えがたい価値があります。

 

こうした日々を積み重ねるためにも、猫ちゃんの治療が負担ではなく、生活の一部として無理なく続けられる環境を整えることが大切です。

 

往診はこんな飼い主様に往診をおすすめ

「猫ちゃんがキャリーケースを嫌がる、移動中に不安そうに鳴くことが多い。」

「病院に行った後、ぐったりするなど体調が悪化することがある。」

「高齢で体力が落ちているため、通院の負担を減らしたい。」

「猫ちゃんが腎臓病などの慢性疾患を抱えており、定期的な検査や治療が必要。」

「自宅でケアを続けたいが、皮下点滴や内服薬の方法に不安がある。」

 

往診は猫ちゃんと家族にとっての安心を届ける選択肢

猫ちゃんの腎臓病ケアにおいて、往診はただの代替手段ではなく、猫ちゃんと飼い主様にとって最善の治療環境を提供する方法です。

 

自宅で診察を受けることで、猫ちゃんのストレスを減らし、家族と一緒に過ごす穏やかな時間を大切にすることができます。

 

ミミちゃんの物語が示しているように、往診を選ぶことで猫ちゃんのQOL(生活の質)を大幅に向上させることが可能です。

 

もし、通院による負担や治療の継続性に不安を感じているのであれば、ぜひ往診という選択肢を検討してみてください。

 

あなたの大切な猫ちゃんにとって、穏やかで安心できる時間を作るために、往診専門の動物病院が全力でサポートいたします。

 

「猫ちゃんが家で安心して過ごす姿を守りたい」

 

往診はその願いをかなえる第一歩です。

 

東京、千葉、埼玉、神奈川であれば、当院がご自宅までお伺いし、残された時間をできる限り苦痛なく過ごせるサポートをさせていただきます。

 

現在、動物病院への通院で悩んでいるご家族様は、まずはお気軽にご相談ください。

 

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犬猫の往診専門動物病院
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猫の心臓病と聞くと、多くの飼い主様が「肥大型心筋症(HCM)」を思い浮かべるのではないでしょうか。

 

確かにHCMは猫に最も多く見られる心疾患です。

 

しかし、猫でも僧帽弁閉鎖不全症(Mitral Valve Disease, MVD)が発生することをご存知でしょうか?

 

この疾患は犬では一般的ですが、猫では稀なケースとされています。

 

今回の記事では、13歳の猫ちゃんがこの疾患に罹患し、在宅緩和ケアを通じて最期の時間を穏やかに過ごした実例をご紹介します。

 

このケーススタディを通じて、猫ちゃんの心臓病ケアの可能性と、在宅緩和ケアがいかに重要であるかを詳しくお伝えします。

 

 

僧帽弁閉鎖不全症(MVD)とは?

 

僧帽弁閉鎖不全症は、心臓の左心房と左心室を隔てる僧帽弁が正常に閉じなくなることで、血液が逆流する疾患です。

 

この疾患により心臓への負担が増大し、最終的には心不全を引き起こす可能性があります。

 

犬では加齢とともに僧帽弁の変性が進行することで発症することが多いですが、猫ではその発生メカニズムが十分に解明されておらず、非常に稀なケースです。

 

僧帽弁閉鎖不全症の主な症状

 

呼吸が速くなる(頻呼吸):安静時でも呼吸数が多くなる。

食欲低下:食事を摂ることが難しくなる場合も多い。

倦怠感や活動性の低下:動くことを嫌がり、長時間横になっている。

胸水貯留:胸腔内に液体が溜まり、呼吸困難を引き起こす。

 

肥大型心筋症との違い

肥大型心筋症は心筋が肥厚して硬化することで、心臓の収縮や血液の循環に影響を及ぼします。

 

一方、MVDは弁の機能不全が主因であり、血液が逆流することによって心不全のリスクが高まります。

 

 

症例紹介:13歳の猫ちゃん(僧帽弁閉鎖不全症による胸水貯留)

 

今回の症例は、13歳の去勢雄の猫ちゃんです。

 

この猫ちゃんは、呼吸が速いこと、そして食欲不振を主訴として飼い主様が東京中央区日本橋付近の動物病院に連れて行きました。

 

検査の結果、僧帽弁閉鎖不全症と胸水貯留が確認されました。

 

動物病院での対応

 

動物病院では、胸水抜去を提案され、鎮静下で胸水を抜去し、呼吸状態の改善を図りました。

 

また、状態の改善及び安定を目的として、心臓病治療に必要な内服薬が処方されました。

 

しかし、猫ちゃん問いこともあり、内服薬を全く受け付けてくれませんでした。

 

投薬のたびに拒否され、結果的に呼吸状態が再び悪化。

 

再度の通院を試みたものの、キャリーに入れる段階で開口呼吸となり、通院自体が困難な状況となりました。

 

在宅緩和ケアへの決断

飼い主様は非常に悩まれましたが、通院が猫ちゃんのストレスになり、病状を悪化させてしまう様子を目の当たりにして、「もう通院は無理だ」とすでに感じていたそうです。

 

そのような中、SNS(インスタグラム)で当院の情報を見つけ、往診による在宅緩和ケアを希望されました。

 

飼い主様のご希望

往診による在宅緩和ケアを希望されるご家族様の希望は全て同じで、猫ちゃんの苦しみやストレスを最小限に抑えたい、そして通院や投薬のストレスを減らし、穏やかな余生を過ごさせたい、というものです。

 

往診初診時のアプローチ

 

初診では、以下のような流れで診察を行いました。

 

1. 現場の把握と飼い主様の希望の確認

訪問時には、まず猫ちゃんの生活環境と症状の確認を行いました。

 

呼吸数や体重の測定、胸水の有無の確認などを行いながら、飼い主様の希望を丁寧にヒアリングしました。

 

特に、「どのような最期の時間を過ごさせてあげたいのか」を共有することを大切にしました。

 

2. 緩和ケアプランの説明

在宅で可能なケアの選択肢を提示しました。

 

主に以下の内容についてご説明させていただきました。

 

呼吸管理については酸素発生装置の導入と使用法の説明をして、投薬方法の工夫としては投薬補助おやつや経口薬を拒否する場合の代替案を、そして皮下点滴という手法を用いた、注射薬を使用した薬剤投与の実践などです。

 

3. 呼吸環境の整備

胸水が溜まると呼吸が悪化しやすいため、酸素発生装置を用いて、猫ちゃんが快適に過ごせる呼吸環境を構築しました。

 

また、使用方法やトラブル時の対処法もご説明しました。

 

4. 今後の事前準備

急変時に備えた対応策を共有。

 

呼吸数や食欲の変化など、飼い主様が日々観察すべきポイントを明確化。

 

 

投薬問題への対応

 

この猫ちゃんの最大の課題は、「内服薬が飲めない」ことでした。以下の工夫を行いました。

 

1. 投薬補助食品の活用

投薬用のおやつは市販のものを複数試しましたが、食べてくれない場合もあります。

 

そのため、特別なサンプル品を診察時に提供しました。

 

その結果、猫ちゃんが食べてくれる製品を見つけることができました。

 

2. 内服薬が完全に無理な場合

どうしても内服薬が無理な場合、皮下点滴での薬剤投与を提案しました。

 

この方法は、飼い主様の協力が必要ですが、内服に伴うストレスを軽減できる大きなメリットがあります。

 

訪問ケアでの今後のプラン

最初は2〜3日に1回の頻度で訪問し、徐々に状態が安定してきたため、訪問間隔を週1回、2週間に1回と広げることができました。

 

この間、猫ちゃんは穏やかで安定した日々を過ごすことができました。

 

症状の悪化と最期のケア

約3ヶ月が経過した頃、再び呼吸状態が悪化。

 

胸水貯留が進行したため、在宅で鎮静下での胸水抜去を行いました。

 

食欲も低下したため、皮下点滴に注射薬を混ぜて投与を続けました。

 

最期の1ヶ月

胸水の溜まる速度が徐々に増し、最終的には3日に1回の胸水抜去が必要となりました。

 

それでも、猫ちゃんは穏やかに生活を続け、2024年10月3日、飼い主様の腕の中で静かに息を引き取りました。

 

発作を起こすことなく、眠るように旅立ったとのことでした。

 

 

緩和ケアの意義と可能性

このケースからわかるように、在宅緩和ケアは猫ちゃんと飼い主様に大きな安心感を与えるものです。

 

在宅緩和ケアの利点

ペットの在宅緩和ケアには、動物病院で行う、いわゆる通院型の緩和ケアと違い、通院や待ち時間におけるペットのストレス軽減が期待できます。

 

この通院の負担は、通院頻度の高まりを見せる緩和ケアの後半になると、通院させるご家族様にとっても負担が大きくなってきます。

 

その負担を軽減することで、わんちゃん、猫ちゃん、そしてご家族様にも、残された時間を少しでも穏やかに過ごせることと思います。

 

呼吸管理や投薬方法をペットの性格や状態だけでなく、生活環境などの周囲環境を考慮した調整が可能です。

 

 

まとめ

僧帽弁閉鎖不全症をはじめとする慢性疾患や腫瘍を抱える猫ちゃんにとって、在宅緩和ケアは非常に重要な選択肢です。

 

治療が難しい場合でも、その子らしい穏やかな時間を作ることが最も大切です。

 

東京、千葉、神奈川、埼玉で在宅緩和ケアを希望される方は、ぜひ往診専門動物病院にご相談ください。

 

私たちは、一緒に最善のケアを考え、少しでも後悔のない時間を過ごせるよう全力でサポートします。

 

少しでも多くの猫ちゃんと飼い主様が穏やかな日々を送れますように。

 

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今日は腎臓病を抱えた猫ちゃんの通院からの在宅切り替え相談がありましたので、そのお話です。

 

猫ちゃんは動物病院に通院することが苦手なことを理解して上で、それでも月に1回以上、または週3回とか4回とか通院の指示を出されて、皮下点滴だけで通院しているというご家族様からの在宅切り替え(転院希望、在宅緩和希ケア望)のご相談を受けました。

 

猫ちゃんのほとんどが腎臓病(腎不全)になる印象を持たれているご家族様も多くいらっしゃいますが、あながち間違っていません。

 

高齢猫、特に10歳以上であれば、尿素窒素やクレアチニン、リンなどの腎臓評価の指標となる項目に異常が見え始めます。

 

腎臓病が発覚すると、まずは腎臓病に適した食事指導から始めります。

 

ほとんど獣医師が食事には詳しくないこともあり、大体が療法食で腎臓サポートやk/dなどを提案されることかと思います。

 

腎臓病用のご飯って、美味しくないんですよね…

 

それもあってか、腎臓病が進行していてご飯を食べないのか、それとも嗜好性が合わなくて食べないのかは、実際に診て、検査しないとなんともいえません。

 

ただ、食事療法1つとっても、そもそも食べてくれないと意味がないため、どうしてもダメな場合には、一般食などなんでもいので栄養をとってもらったほうがいいです。

 

腎臓病も進行してきて、多飲多尿などの症状が見えてきた頃、多分腎臓はステージ2以降である事が多いです。

 

腎臓病(腎不全)の定期検診(血液検査、尿検査、腹部超音波検査)は往診で

腎臓病の定期検診は、安定していれば3ヶ月に1回程度、安定していなければ2週間〜1ヶ月程度のスパンで検査を行っていきます。

 

検査項目でもっとも大切なのは血液検査だと思っています

 

でも血液検査のために頑張って通院させた結果、通院後ぐったりしてしまうということがあれば、通院が負担になっていることを獣医師に相談してみましょう

 

もしかしたら往診で検査してくれるかもしれませんので、聞きづらいかもしれませんが、猫ちゃんのためにも伺ってみましょう。

 

また、往診はやっていないとされた場合には、早めから往診専門動物病院探しを始めることをお勧めします。

 

往診でも血液検査を行うことは可能ですし、項目も同じように広く見ることができます。

 

また、血液検査以外にもエコー検査、尿検査など、X線検査以外のことであれば、往診で行う事が可能です。

 

腎臓病が発覚した時点で、もっといえば高齢期の過ごし方の準備として、往診専門動物病院を探しておくことをお勧めします。

 

腎臓病(腎不全)の皮下点滴や内服薬処方は往診で十分

腎不全というと、療法食の話から始まり、内服薬やサプリメントのお話、そして皮下点滴へと続き、腎性貧血などが始まれば増血剤をどうするかなどという相談が始まってきます。

 

犬の腎不全であれば、通院がそこまで負担になることは少ないと思います。

 

ただし、それでも頻繁に動物病院へ行くことで精神的なストレスが蓄積すると考えると、できれば検査以外での通院は避け、皮下点滴はご自宅で打てるようにしたほうがいいです。

 

自宅での皮下点滴は、ペットの固定さえうまくできて仕舞えば1人でも可能ですし、もし2人以上いるのであれば、ある程度の性格の子で実施することが可能です。

 

一人が保定、一人が皮下点滴を実施してあげる、といった流れです。

 

輸液量や犬猫の体調などを踏まえて、実施の仕方にも工夫を凝らしてあげることで、体にもより負担がないように在宅皮下点滴プランを組んでいきます。

 

猫の腎臓病(腎不全)の皮下点滴は1回量に細心の注意を!

次は猫ちゃんの腎不全における皮下点滴についてです。

 

動物病院としては、本来であれば毎日分散して皮下点滴を打ってあげたいですが、猫ちゃんのストレスやご家族様の負担を考えて、週3-4回くらいにしましょうと伝える事があります。

 

そして、週3-4回と頻度を下げた分、1回量をたくさん入れるという事があり、体力があるうちなら代謝できるかもしれませんが、高齢期で、例えばすでに痩せ細ってきている腎臓病ステージ4とかであれば、浮腫や胸水への漏れ出しに細心の注意を払いましょう。

 

このステージになると、貧血まではいかないもののヘマトクリット値と言われる数値が下がってきている事が多く、また心臓への負担もかかっている事もあります。

 

そんな中でたくさんの輸液を1度に入れてしまうことで、過剰輸液を起こしてしまい、結果として皮下点滴を実施したことで苦しい思いをさせてしまった、という症例をたくさんみてきました。

 

「皮下点滴して帰宅してから呼吸が速くなってしまい、ご飯を食べられなくなってしまった」

 

この主訴で訪問して、この日を境に在宅医療(在宅緩和ケア)を実施することが多いです。

 

このように、皮下点滴一つをとっても、本音と建前が混在してしまう事があるため、もし獣医師に訪ねるのであれば、「なぜ今は週3-4回の皮下点滴でいいのか。本当なら毎日のほうがいいのか。」など、質問してみてくださいね。

 

犬猫は自分から選択できないため、ご家族様が判断するしかありません。

 

言いづらいことだとしても、動物病院側にちゃんと伝えることで、思ってもみなかった回答をいただけるかもしれませんし、それによって、今抱えている悩みの突破口が見えるかもしれません。

 

腎臓病なら在宅医療(在宅緩和ケア)切り替えを検討しましょう
 

みんな病院は好きじゃないです。

 

ましてや犬猫からすれば、動物病院はできれば行きたくない場所だと思います。

 

日常ケアの時ならまだしも、毎回嫌な思いをするのがこの持病を抱え始めたステージです。

 

慢性疾患のコントロール(定期検診と薬剤調整など)は、どちらにせよやってあげたほうがいいですが、そのためにかかるストレスをどこまで許容させるのかは、一度考えてあげましょう。

 

愛犬、愛猫にとって、そしてご家族様にとっても最良となる選択肢を見つけましょうね。

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